JP2004235539A - 太陽電池 - Google Patents
太陽電池 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004235539A JP2004235539A JP2003024133A JP2003024133A JP2004235539A JP 2004235539 A JP2004235539 A JP 2004235539A JP 2003024133 A JP2003024133 A JP 2003024133A JP 2003024133 A JP2003024133 A JP 2003024133A JP 2004235539 A JP2004235539 A JP 2004235539A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- film
- composition
- solar cell
- compound
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E10/00—Energy generation through renewable energy sources
- Y02E10/50—Photovoltaic [PV] energy
Landscapes
- Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
- Photovoltaic Devices (AREA)
Abstract
【課題】柔軟性、耐衝撃性、透明性、耐熱性に優れ、低い線膨張係数を有する基体上にシリコン膜形成用組成物を塗布することにより形成された半導体膜を有する太陽電池を提供すること。
【解決手段】基体1上に、一対の電極2,6と、その間に形成された不純物の濃度および/または種類の異なる半導体膜3,4,5を少なくとも2層有する太陽電池であって、基体の破断伸びは6〜10%、かつ破断強度は40〜50MPaであり、少なくとも1層の半導体膜がシリコン粒子(A)、高次シラン化合物(B)および水素化シラン化合物(C)を含有するシリコン膜形成用組成物から形成された太陽電池10。
【選択図】 図1
【解決手段】基体1上に、一対の電極2,6と、その間に形成された不純物の濃度および/または種類の異なる半導体膜3,4,5を少なくとも2層有する太陽電池であって、基体の破断伸びは6〜10%、かつ破断強度は40〜50MPaであり、少なくとも1層の半導体膜がシリコン粒子(A)、高次シラン化合物(B)および水素化シラン化合物(C)を含有するシリコン膜形成用組成物から形成された太陽電池10。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、太陽電池に関し、さらに詳しくは、太陽電池の基板として適当な物理特性を有する樹脂基板上に、簡便な方法で形成された半導体膜を有する太陽電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題に対する意識の高まりから環境汚染が無くクリーンなエネルギー源としての太陽電池が注目され、有用なエネルギー資源としての太陽エネルギー利用の面から鋭意研究され実用化が進んでいる。太陽電池には様々な形態があり、その代表的なものとして結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池の他、銅インジウムセレナイド太陽電池、化合物半導体太陽電池が知られている。このうち、薄膜結晶太陽電池、薄膜アモルファス太陽電池はシリコン使用量が少なく、シリコンウェハを用いる太陽電池に比べ材料コストは比較的低く製造される利点を有する。しかしながら、薄膜シリコンはプラズマCVDやスパッタリングなどの真空方式で薄膜が形成されるため、大面積化するためには製造装置が大がかりになる。その結果、太陽電池としての製造コストは高くなってしまい、安価に電力を供給するためのネックになっている。さらに従来の単結晶または多結晶シリコン太陽電池は、シリコンウェハ自体を基板にするため耐衝撃性に乏しく、またアモルファスシリコン太陽電池もガラス基板を用いるため耐衝撃性に乏しい。従って、単結晶、多結晶またはアモルファスシリコン太陽電池は、頑丈なハウジングを施したモジュールとして使用されている。そのため、モジュールとしての総重量、総容積が、太陽電池として本質的に必要な部材の重量、容積を大きく上回ることとなり、製造効率上の問題があり、また製品の貯蔵や運搬に多大なコストがかかっている。さらに、一般家屋の屋根材の耐久性には限界があることから、このような重厚長大なモジュールを使用することは、太陽電池の普及の妨げともなっていた。
【0003】
最近、このような事情を鑑み、基板として軽量のプラスチックを用いる試みがなされている。例えば、特定のポリイミド樹脂を太陽電池の基板に用いることにより、太陽電池が軽量化でき、かつハンドリングが容易である旨の提案がなされている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、特許文献1では、樹脂フィルム上に半導体膜を蒸着法により形成する際に、フィルムにカールが生じないことを解決すべき課題としており、その課題を解決すべく当該ポリイミド樹脂に至ったものであり、太陽電池の基板としての樹脂にいかなる物理特性が要求されるべきかについての考察はなされていない。なお、ポリイミド樹脂は、破断伸び、破断強度、耐熱性に優れ、低い線膨張係数を示すが、透明性に劣るため、太陽光のエネルギーの有効利用度が低くなる欠点を有している。
また、太陽電池の基板としてフレキシブルな樹脂を使用すれば、太陽電池の製造工程上有利である旨の提案がなされている(例えば特許文献2および3参照。)。しかし、これら特許文献では、フレキシブルな樹脂を基板として使用する太陽電池の製造工程の概念が示されているに過ぎず、具体的に使用しうる樹脂の種類やその物理特性などに関する考察はなされていない。例えば、公知のフレキシブルな樹脂である、ポリカーボネート樹脂、環状オレフィンの開環重合体(例えば、日本ゼオン(株)製、商品名ZEONEX)などは、透明性、耐熱性に優れ、低い線膨張係数を示すが、破断伸び、破断強度に劣るため、太陽電池の基体としての柔軟性、耐衝撃性に乏しい。
【0004】
ところで、太陽電池に用いられるアモルファスシリコン膜や多結晶シリコン膜の形成方法としては、モノシランガスやジシランガスの熱CVD(Chemical Vapor Deposition)法、プラズマCVD法あるいは光CVD法などが利用されている。一般的にはポリシリコン膜の形成には熱CVD法(例えば、非特許文献1参照。)が、またアモルファスシリコン膜の形成にはプラズマCVD法(例えば、非特許文献2参照)が広く用いられている。
しかし、これらのCVD法によるシリコン膜の形成においては、気相反応を用いるため気相でシリコン粒子の副生による装置の汚染や異物の発生が生じ、生産歩留まりが低い、原料がガス状であるため表面に凹凸のある基板上には均一膜厚のものが得られにくい、膜の形成速度が遅いため生産性が低い、プラズマCVD法においては複雑で高価な高周波発生装置や真空装置などが必要である、などの問題がありさらなる改良が待たれていた。
また、材料面では毒性、反応性の高いガス状の水素化ケイ素を用いるため取り扱いに難点があるのみでなく、ガス状であるため密閉状の真空装置が必要である。一般にこれらの装置は大掛かりなもので装置自体が高価であるのみでなく、真空系やプラズマ系に多大のエネルギーを消費するため製品のコスト高につながっている。
【0005】
近年、これに対して真空系を使わずに液体状の水素化ケイ素を塗布する方法が提案されている。例えば、ガス状の原料を冷却した基板上に液体化して吸着させ、化学的に活性な原子状の水素と反応させてシリコン系の薄膜を形成する方法が開示されている(例えば特許文献4参照。)。しかしこの方法によると、原料の水素化ケイ素を気化と冷却を続けて行うため複雑な装置が必要になるのみでなく、膜厚の制御が困難であるという問題がある。
また、低分子量の液体状水素化ケイ素を基板に塗布する方法が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。しかし、この方法は系が不安定なために取り扱いに難点があるとともに、液体状であるため、大面積基板に応用する場合に均一膜厚を得るのが困難である。
【0006】
このように、太陽電池の軽量化、ハンドリング改善のために樹脂基板を使用しうることは知られているが、太陽電池の基板としてどのような物理特性を有する樹脂を使用することが必要かという考察はかつてなされておらず、また、そのような樹脂基板上に簡易な方法により形成された半導体膜を有する太陽電池については知られていない。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−81212号公報
【特許文献2】
特開2001−230430号公報
【特許文献3】
特開2002−217432号公報
【非特許文献1】
J.Vac.Sci.Technology.,14巻1082頁(1977年)
【非特許文献2】
Solid State Com.,17巻1193頁(1975年)
【特許文献4】
特開平1―29661号公報
【特許文献5】
特開平7―267621号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情を鑑みなされたものであり、その目的は太陽電池の基板としての適当な物理特性を有する樹脂基板上に、簡便な方法で形成された半導体膜を有する太陽電池を提供することである。このような太陽電池により、太陽電池の軽量化が実現され、製造、貯蔵、輸送、据え付け時などにおけるハンドリングに資する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、本発明の上記課題は、基体上に、一対の電極と、その間に形成された不純物の濃度および/または種類の異なる半導体膜を少なくとも2層有する太陽電池であって、基体の破断伸びは6〜10%、かつ破断強度は40〜50MPa(共にJIS K7118に準じて引っ張り速度3mm/minで測定)であり、少なくとも1層の半導体膜がシリコン粒子(A)、高次シラン化合物(B)およびSiiHj(ここで、iは5または6であり、jは2iである。)で表される水素化シラン化合物(C)を含有するシリコン膜形成用組成物から形成されたものである、太陽電池により達成される。
上記基体は、下記一般式(1−1)〜(1−4)で表される繰り返し単位から選ばれた少なくとも1種の繰り返し単位(a)、および下記一般式(2)で表される繰り返し単位(b)を含む環状オレフィン系付加共重合体であって、付加重合後繰り返し単位(a)を形成するトリシクロオレフィン化合物中のendo体(立体異性体)の割合が80モル%以上のものを付加重合し得られるもの、もしくは得られた共重合体中にオレフィン性不飽和結合が存在する場合にはさらに水素化することによって得られるものであり、25℃の、トルエン、シクロヘキサンまたはこれらの混合溶媒のいずれかに均一に可溶であり、ポリスチレン換算数平均分子量が30,000〜500,000の範囲である環状オレフィン系付加共重合体(以下、単に「環状オレフィン系付加共重合体」ともいう)を含むことが好ましい。
【0010】
【化6】
【0011】
【化7】
【0012】
【化8】
【0013】
【化9】
【0014】
[式(1−1)〜(1−4)中、R1〜R20はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基から選ばれた置換基を示す。]
【0015】
【化10】
【0016】
[式(2)中、A1〜A4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を示し、mは0または1である。]
上記一対の電極のうち少なくとも一方が、無機粉体および結着樹脂を含有する導電性膜形成用組成物から形成されたものでもよい。
また、上記一対の電極のうち少なくとも一方が、
In(OCOR)a(OR)bX1 c(ここで、Rは炭素数1〜10のアルキル基、X1はハロゲン原子であり、a,bおよびcはそれぞれ独立に0〜3の数であり、かつa+b+c=3である。)で表されるインジウム化合物、および、
Sn(OCOR)d(OR)eX2 f(ここで、Rは炭素数1〜10のアルキル基、X2はハロゲン原子であり、d,eおよびfはそれぞれ独立に0〜3の数であり、かつd+e+f=2である。)で表されるスズ化合物
を含有する透明導電性膜形成用組成物から形成されたものであってもよい。
上記高次シラン化合物(B)は、SikRl〔ここで、kは11以上の整数であり、lはk〜(2k+2)の整数でありそしてl個のRは互いに独立に水素原子、アルキル基、フェニル基またはハロゲン原子である〕で表される化合物であってもよい。
また、上記高次シラン化合物(B)は、
SiqH2q+2(ここで、qは2〜10の整数である)で表される水素化鎖状シラン化合物、
SirH2r(ここで、rは3〜10の整数である)で表される水素化環状シラン化合物、および
SisHs(ここで、sは6〜10の整数である)で表される水素化かご状シラン化合物
よりなる群から選ばれる少なくとも1種のシラン化合物が光照射を受けて生成する生成物であってもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の太陽電池について詳細に説明する。
本発明の太陽電池は、基体上に、一対の電極と、その間に形成された不純物の濃度および/または種類の異なる半導体膜を少なくとも2層有する太陽電池である。
【0018】
本発明に使用する基体としては、特定の破断伸びおよび破断強度を有するものであれば、特に限定されないが、太陽電池形成のための処理温度に耐えられる必要がある。
このような基体の材質の具体例としては、金属、プラスチックなどを挙げることができる。金属としては、例えば金、銀、銅、ニッケル、シリコン、アルミニウム、鉄の他ステンレス鋼などが使用できる。プラスチックとしては、例えばポリイミド、ポリエーテルスルホン、上記環状オレフィン系付加共重合体などを使用することができ、好ましくは環状オレフィン系付加共重合体である。
【0019】
上記環状オレフィン系付加共重合体は、付加重合後、上記繰り返し単位(a)を形成するトリシクロオレフィン化合物中のendo体(立体異性体)の割合が80モル%以上のものを付加重合し得られるもの、もしくは得られた共重合体中にオレフィン性不飽和結合が存在する場合にはさらに水素化することによって得られるものである。
【0020】
上記繰り返し単位(a)は、下記一般式(7−1)〜(7−4)で表されるトリシクロオレフィン化合物から選ばれた単量体(以下、まとめて「特定単量体(a−1)」という。)を付加重合することにより形成される。
【0021】
【化11】
【0022】
【化12】
【0023】
【化13】
【0024】
【化14】
【0025】
[式(7−1)〜(7−4)において、R1〜R20は式(1−1)〜(1−4)と同じ。]
【0026】
また、上記環状オレフィン系付加共重合体に含まれる繰り返し単位(a)は、下記一般式(8−1)〜(8−7)で表されるトリシクロオレフィン化合物から選ばれた単量体(以下、まとめて「特定単量体(a−2)」という)を付加重合した後、該重合体を水素化することによっても形成される。
【0027】
【化15】
【0028】
【化16】
【0029】
【化17】
【0030】
【化18】
【0031】
【化19】
【0032】
【化20】
【0033】
【化21】
【0034】
[式(8−1)〜(8−7)において、R1〜R20は式(1−1)〜(1−4)と同じ。]
【0035】
上記の特定単量体(a−1)の具体例としては、以下のものが挙げられるが、これら具体例に限定されるものではない。
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エン、
1−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エン、
1−メトキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エン、
2−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エン、
5−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エン、
6−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エン、
6−エチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エン、
9−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エン、
9−エチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エン、
10−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エン、
10−エチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エン、
10−フェニルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エン、
10−シクロヘキシルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エン、
【0036】
トリシクロ[4.2.0.12,5]ノナ−3−エン、
2−メチルトリシクロ[4.2.0.12,5]ノナ−3−エン、
7−メチルトリシクロ[4.2.0.12,5]ノナ−3−エン、
トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン、
【0037】
1−メチルトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン、
2−メチルトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン、
2−エチルトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン、
8−メチルトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン、
【0038】
トリシクロ[6.4.0.12,5]トリデカ−3−エン、
2−メチルトリシクロ[6.4.0.12,5]トリデカ−3−エン、
8−メチルトリシクロ[6.4.0.12,5]トリデカ−3−エン
などが挙げられ、これらの中でも、原料として入手しやすく得られる共重合体の耐熱性と機械特性のバランスの点でトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エンが好ましく用いられる。
なお、これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0039】
上記の特定単量体(a−2)の具体例としては以下のものが挙げられるが、これら具体例に限定されるものではない。
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,7−ジエン、
1−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,7−ジエン、
2−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,7−ジエン、
2−エチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,7−ジエン、
5−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,7−ジエン、
6−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,7−ジエン、
6−エチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,7−ジエン、
10−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,7−ジエン、
10−エチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,7−ジエン、
10−フェニルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−ジエン、
10−シクロヘキシルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,7−ジエン、
【0040】
トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,7−ジエン、
1−メチルトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,7−ジエン、
2−メチルトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,7−ジエン、
2−エチルトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,7−ジエン、
7−クロロトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,7−ジエン、
7−フロロトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,7−ジエン、
8−メチルトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,7−ジエン、
トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,8−ジエン、
1−メチルトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,8−ジエン、
2−メチルトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,8−ジエン、
2−エチルトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,8−ジエン、
8−メチルトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,8−ジエン、
【0041】
トリシクロ[6.4.0.12,5]トリデカ−3,11−ジエン、
2−メチルトリシクロ[6.4.0.12,5]トリデカ−3,11−ジエン、
8−メチルトリシクロ[6.4.0.12,5]トリデカ−3,11−ジエン、
【0042】
トリシクロ[6.4.0.12,5]トリデカ−3,10−ジエン、
2−メチルトリシクロ[6.4.0.12,5]トリデカ−3,10−ジエン、
8−メチルトリシクロ[6.4.0.12,5]トリデカ−3,10−ジエン、
【0043】
トリシクロ[6.4.0.12,5]トリデカ−3,9−ジエン、
2−メチルトリシクロ[6.4.0.12,5]トリデカ−3,9−ジエン、
9−メチルトリシクロ[6.4.0.12,5]トリデカ−3,9−ジエン
などが挙げられる。これらの中でも、原料として入手しやすく得られる共重合体の耐熱性と機械特性のバランスの点でトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,7−ジエンが好ましく使用される。
なお、これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0044】
特定単量体(a−2)を用いて上記付加共重合体を得る場合には、付加重合した後に水素化することでことが必要である。該共重合体中にオレフィン性不飽和結合が存在すると、高温下での酸素による酸化や、熱による劣化を受けるため望ましくない。このためこれら付加共重合体は、不飽和結合の90モル%以上、好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは99モル%以上が水素化される必要がある。
【0045】
上記特定単量体(a−1)および(a−2)のうち、水素添加反応を必須としない点で、上記特定単量体(a−1)を用いることが好ましく、中でもトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エンを用いることが最も好ましい。
【0046】
なお、上記の特定単量体(a−1)および(a−2)には、立体異性体としてendo体およびexo体が存在する。しかしながら、endo体の含有する割合が高いものほど、得られる共重合体の強度、特に引っ張り試験にて測定される破断強度、および破断伸びの特性などが優れ、靭性に優れるため、本発明の基体として好ましい。すなわち、上記共重合体を製造するにあたり、使用する特定単量体(a−1)および/または(a−2)中のendo体の割合は、少なくとも80%モル以上、好ましくは90モル%以上であることが必要である。この割合が80%モル未満では、得られる共重合体の破断強度や破断伸びなどの特性で満足する性能が得られず、靭性が劣り、フィルム、シートなどの成形体が割れやすいものとなる。
【0047】
上記環状オレフィン系付加共重合体に含まれる繰り返し単位(b)は、下記一般式(9)で表される環状オレフィン化合物から選ばれた単量体(以下、「特定単量体(b)」という。)を付加重合することにより形成される。
【0048】
【化22】
【0049】
[式(9)中、A1〜A4、Xおよびmは一般式(2)と同じ。]
【0050】
このような特定単量体(b)としては、例えば以下の化合物のうちの1種、あるいは2種以上を併用して使用されるが、これらの具体例に限定されるものではない。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−プロピルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フロロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シクロヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シクロオクチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−インダニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
【0051】
上記環状オレフィン系付加共重合体において、繰り返し単位(b)の種類および含有する割合を選択することで、得られる共重合体の物理特性や有機溶媒への溶解度などをコントロールすることができる。例えば、5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンなどのアルキル基を有する環状オレフィンより誘導される繰り返し単位を任意に含むことにより、有機溶媒への溶解度やガラス転移温度をコントロールすることができ、かつ、得られるフィルム、シートなどの成形体に柔軟性を付与できる。ただし、その割合が多すぎると、耐熱性や機械的強度の低下、線膨張係数の悪化などの問題を生じることがある。繰り返し単位(b)の割合の合計は、全繰り返し単位中、10〜90モル%、好ましくは20〜90モル%、さらに好ましくは30〜70モル%である。その割合が90モル%を超えると、破断伸びが小さく、靭性が劣り、フィルムやシートなどの成形体が脆く割れやすいものとなる。一方、10モル%未満であると、25℃の、トルエン、シクロヘキサンまたはこれらの混合溶媒に対する溶解性に問題が生じることがある。
【0052】
特定単量体(b)を用いて付加重合すると、主として繰り返し単位(b)が形成されるが、その際、下記一般式(6)で表される繰り返し単位(d)も生成する。例えば一般式(9)においてmが0のとき、繰り返し単位(b)は、2,3付加で重合された繰り返し単位を示し、繰り返し単位(d)は2,7付加で重合された繰り返し単位を示す。また、一般式(9)において、mが1のとき、繰り返し単位(b)は3,4付加で重合された繰り返し単位を示し、繰り返し単位(d)は3,11付加で重合された繰り返し単位を示す。
【0053】
【化23】
【0054】
[式(6)中、A1〜A4、およびmは一般式(2)と同じ]
【0055】
なお、上記環状オレフィン系付加共重合体中の繰り返し単位(d)の定量は困難ではあるが、13C−NMRスペクトル(核磁気共鳴スペクトル)の45−55ppmに出現するCH吸収の領域においてみられる強い吸収により、2,7付加重合または3,11付加重合で形成される繰り返し単位(d)の存在が確認できる。
【0056】
また、上記環状オレフィン系付加共重合体は、繰り返し単位(a)および繰り返し単位(b)以外に、下記一般式(3)で表される繰り返し単位(c)を含むことができる。
【0057】
【化24】
【0058】
[式(3)中、B1〜B4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基、加水分解性のシリル基、または−(CH2)kXで表される極性基を示し、 B1〜 B4の少なくとも1つは加水分解性のシリル基、または−(CH2)kXで表される極性基から選ばれた置換基である。ここで、Xは−C(O)OR21または−OC(O)R22であり、R21,R22は炭素数1〜10の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基から選ばれた置換基であり、kは0〜3の整数である。また、B1〜B4は、B1とB3またはB2とB4から形成される炭化水素環もしくは複素環などの環構造あるいはB1とB2またはB3とB4から形成されるアルキリデニル基であってもよい。pは0〜2の整数を示す。]
【0059】
繰り返し単位(c)は、下記一般式(10)で表される環状オレフィン化合物から選ばれた単量体(以下、「特定単量体(c)」と言う。)を付加重合することにより形成される。
【0060】
【化25】
【0061】
[式(10)において、B1〜B4およびpは一般式(3)と同じである。]
【0062】
このような特定単量体(c)としては、例えば以下の化合物のうちの1種、あるいは2種以上を併用して使用されるが、これらの具体例に限定されるものではない。
【0063】
−(CH2)kXで表される極性基を有する特定単量体(c)の例としては、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸メチル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸エチル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸ブチル、
2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸メチル、
2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸エチル、
2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸プロピル、
2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸ブチル、
2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸トリフロロエチル、
2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−酢酸エチル、
アクリル酸2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニル、
メタクリル酸2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸ジメチル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸ジエチル、
8−メチル−8−カルボキシメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−メチル−8−カルボキシエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
が挙げられる。
【0064】
また加水分解性のシリル基としては一般式(4)あるいは一般式(5)で表されるものが望ましく用いられる。
【0065】
【化26】
【0066】
−(CR23R24)n−SiR26R27R28 一般式(5)
【0067】
[式(4),式(5)中、 R23,R24,R25はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基から選ばれた置換基を示し、 R26,R27,R28はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリロキシ基、およびハロゲン原子から選ばれた置換基、nは0〜5の整数を示す。また、Yは炭素数2〜20の脂肪族ジオール、脂環族ジオールあるいは芳香族ジオールの炭化水素残基を示す。]
【0068】
一般式(4)で表される加水分解性のシリル基を有する特定単量体(c)の例としては、
5−[1’−メチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−メチル−3’,3’,4’,4’−テトラフェニル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−メチル−3’,3’,4’,4’−テトラメチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−フェニル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−エチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’3’−ジメチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−メチル−3’,4’−ジメチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−メチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−エチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’,3’−ジメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’,4’,4’−トリメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’,4’,4’−トリメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’,4’,4’−トリメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−フェニル−4’4’−ジメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−メチル−4’−フェニル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[3’−メチル−2’,4’−ジオキサ−3’−シラスピロ[5.5]ウンデシル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−メチル−4’−エチル、4’−ブチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−メチル−3’,3’−ジメチル−5’−メチレン−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−フェニル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−メチル−3’−フェニル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’,4’,4’−トリメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−メチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−メチル−2’,7’−ジオキサ−1’−シラシクロヘプチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−[1’,4’,4’−トリメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−[1’−メチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
などが挙げられる。
【0069】
また、一般式(5)で表される加水分解性のシリル基を有する特定単量体(c)の例としては、
5−トリエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチルジエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチルジメトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ジメチルクロロシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチルジエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチルジクロロシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリプロポキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−トリエトキシシリルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
などが挙げられる。
【0070】
ここで、加水分解性シリル基、エステル基などの極性基を有する繰り返し単位(c)の含有率を増加させると、他部材との密着性や接着性をさらに向上でき、また、後述する架橋剤を用いることによって上記環状オレフィン系付加共重合体を架橋体とすることができる。しかしその反面、極性基を有する繰り返し単位(c)の含有率の増加は、吸水性、誘電率の上昇を招くことになるため、環状オレフィン系付加共重合体中の式(3)で表される繰り返し単位(c)の割合は、全繰り返し単位中30モル%以下、好ましくは0.1〜10モル%、さらに好ましくは1〜5モル%とするのが望ましい。
なお、上記一般式(5)で表される加水分解性シリル基を有する繰り返し単位(c)は、上記一般式(4)で表されるシリル基を有する場合に比べ反応性に優れる。逆に、上記一般式(4)で表される加水分解性シリル基を有する繰り返し単位(c)は、より耐加水分解性に優れるため、当該環状オレフィン共重合体の溶液が貯蔵安定性に優れるものとなる。
また、アクリロイル基もしくはメタアクリロイル基を有する特定単量体(c)を使用して付加重合し、係るアクリロイル基もしくはメタアクリロイル基を架橋点として利用することもできる。ただし、この場合には、繰り返し単位(a)を与える単量体として特定単量体(a−1)を使用するなど、得られた共重合体の水素添加処理が不必要な設計をする必要がある。
【0071】
上記環状オレフィン系付加共重合体は、さらに「特定のα−オレフィン化合物」を付加重合して得られる繰り返し単位(e)を含むことができる。
このような「特定のα−オレフィン化合物」の具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−メチルプロペン(イソブテン)、トリメチルビニルシラン、トリエチルビニルシラン、スチレン、4−メチルスチレン、2−メチルスチレン、4−エチルスチレンなどが挙げられる。これらは、1種単独または2種以上を組み合わせて、用いることができる。
【0072】
「特定のα−オレフィン化合物」に由来する繰り返し単位(e)を共重合体に導入することにより、上記環状オレフィン系付加共重合体のガラス転移温度を制御することができる。環状オレフィン系付加共重合体中の繰り返し単位(e)の割合は、0〜40モル%、好ましくは0〜20モル%〔ただし、繰り返し単位(a)+(b)+(c)+(e)=100モル%〕である。繰り返し単位(e)の割合が40モル%を超えると、上記環状オレフィン系付加共重合体のガラス転移温度が低くなり、耐熱性が低下する。
【0073】
上記環状オレフィン系付加共重合体のガラス転移温度は、動的粘弾性で測定されるTanδの温度分散のピーク温度で求められる。(貯蔵弾性率:E’、損失弾性率:E”、Tanδ=E”/E’)
上記のようにして測定される上記環状オレフィン系付加共重合体のガラス転移温度は、通常、150〜450℃、好ましくは200〜400℃、特に好ましくは200〜250℃である。150℃未満であると太陽電池作成の際の処理温度に耐えられず、熱変形などの問題が生じる可能性が高くなる。一方、450℃を超える場合には、重合体が剛直になり、フィルム、シートに成形した場合、さらに線膨張係数は小さくなるが割れやすく、靭性のないものになる。上記環状オレフィン系付加共重合体におけるガラス転移温度は、例えば、繰り返し単位(c)への炭素数4〜20の直鎖アルキル置換基の導入など、繰り返し単位(b)および(c)における置換基の選択、および/または繰り返し単位(e)の導入により、制御することができる。
【0074】
上記環状オレフィン系付加共重合体の分子量は、o−ジクロロベンゼンを溶媒とし、120℃で測定されるゲル・パーミエションクロマトグラフィーにより、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が30,000〜500,000、重量平均分子量(Mw)が50,000〜1,000,000、好ましくは数平均分子量が50,000〜200,000、重量平均分子量が100,000〜500,000であることが望ましい。
数平均分子量が30,000未満、重量平均分子量が50,000未満では、フィルム、薄膜およびシートとしたときの破壊強度および伸びが不十分で割れやすくなることが多い。一方、数平均分子量が500,000、重量平均分子量が1,000,000を超えると、キャストフィルムの製膜時、溶液粘度が高くなり、溶液での貯蔵安定性が劣り、取扱いが困難となる場合がある。
【0075】
また、上記環状オレフィン系付加共重合体の線膨張係数は、70ppm/℃以下、好ましくは60ppm/℃以下である。共重合体における線膨張係数は、繰り返し単位(b)あるいは繰り返し単位(c)上の置換基の選択、共重合体中に含有される各繰り返し単位の割合により変化するが、70ppm/℃を超えると、膜を積層する際の密着性に劣り、そり、バリの発生、温度変化の大きい使用環境における寸法変化に伴う変形などの問題が発生する場合があり望ましくない。
【0076】
上記環状オレフィン系付加共重合体は、特定単量体(a−1)および/または(a−2)、および特定単量体(b)を必須とし、さらに、必要に応じて用いられる特定単量体(c)および/または特定のα−オレフィン化合物を、ニッケル化合物を触媒成分として付加共重合することにより製造される。以下、その製造法について説明する。
【0077】
重合触媒としては、
(f−1):下記1)〜3)で示された成分を含む多成分触媒
1)ニッケル化合物
2)超強酸、ルイス酸およびイオン性ホウ素化合物から選ばれた化合物
3)有機アルミニウム化合物
または、
(f−2)少なくとも1つのニッケル−炭素間のシグマ結合を有し、超強酸アニオンを対アニオンとするニッケル錯体
が用いられるが、(f−1)の多成分系触媒が煩雑な合成の工程を経る必要がないので好ましい。
【0078】
(f−1):多成分系触媒は、以下の1)、2)および3)を含む成分から構成される。
1)ニッケル化合物:以下に挙げる群から選ばれた少なくとも1種の化合物
ニッケルの、有機カルボン酸塩、有機亜リン酸塩、有機リン酸塩、有機スルホン酸塩、β−ジケトン化合物などから選ばれた化合物。例えば、酢酸ニッケル、オクタン酸ニッケル、2−エチルヘキサン酸ニッケル、ナフテン酸ニッケル、オレイン酸ニッケル、バーサチック酸ニッケル、ジブチル亜リン酸ニッケル、ジブチルリン酸ニッケル、ジオクチルリン酸ニッケル、リン酸ジブチルエステルのニッケル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ニッケル、p−トルエンスルホン酸ニッケル、ビス(アセチルアセトナート)ニッケル、ビス(エチルアセトアセテート)ニッケルなど。
上記のニッケルの有機カルボン酸塩を六フッ化アンチモン酸、四フッ化ホウ素酸、トリフロロ酢酸、六フッ化アセトンなどの超強酸で変性した化合物、
ニッケルのジエンもしくはトリエン配位錯体、例えば、
ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、
[(η3−クロチル)(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル]ヘキサフロロホスフェート、およびそのテトラフロロボレート、テトラキス[3,5−ビス(トリフロロメチル)]ボレート錯体、
(1,5,9−シクロドデカトリエン)ニッケル、ビス(ノルボルナジエン)ニッケル、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル
などのニッケル錯体、
ニッケルにP、N、Oなどの原子を有する配位子が配位した錯体、例えば、
ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロライド、
ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジブロマイド、
ビス(トリフェニルホスフィン)コバルトジブロマイド、
ビス[トリ(2−メチルフェニル)ホスフィン]ニッケルジクロライド、
ビス[トリ(4−メチルフェニル)ホスフィン]ニッケルジクロライド、
ビス[N−(3−t−ブチルサリシリデン)フェニルアミネート]ニッケル、
Ni[PhC(O)CH](Ph)、
Ni(OC(C6H4)PPh)(H)(PCy3)、
Ni[OC(O)(C6H4)P](H)(PPh3)、
ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケルとPhC(O)CH=PPh3との反応物、
[2,6−(i−Pr)2C6H3N=CHC6H3(O)(Anth)](Ph)(PPh3)Niなどのニッケル錯体(ここで、Anth:9−anthracenyl、Ph:phenyl、Cy:cyclohexyl)
が挙げられる。
【0079】
2)超強酸、ルイス酸化合物およびイオン性ホウ素化合物から選ばれた化合物
超強酸としては、例えば、ヘキサフロロアンチモン酸、ヘキサフロロリン酸、ヘキサフロロ砒酸、トリフロロ酢酸、フロロ硫酸、トリフロロメタンスルホン酸、テトラフロロホウ酸、テトラキス(ペンタフロロフェニル)ホウ酸、テトラキス[3,5−ビス(トリフロロメチル)フェニル]ホウ酸、p−トルエンスルホン酸、ペンタフロロプロピオン酸などが挙げられる。
ルイス酸化合物としては、例えば、三フッ化ホウ素とエーテル、アミン、フェノールなどとの錯体、三フッ化アルミニウムのエーテル、アミン、フェノールなどの錯体、トリス(ペンタフロロフェニル)ボラン、トリス[3,5−ビス(トリフロロメチル)フェニル]ボラン、などのホウ素化合物、三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウム、エチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムフロライド、トリ(ペンタフロロフェニル)アルミニウムなどのアルミニウム化合物、ヘキサフロロアセトン、ヘキサクロロアセトン、クロラニル、ヘキサフロロメチルエチルケトン
などのルイス酸性を示す有機ハロゲン化合物、その他、四塩化チタン、ペンタフロロアンチモンなどのルイス酸性を示す化合物などが挙げられる。
イオン性ホウ素化合物としては、例えば、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(2,4,6−トリフルオロフェニル)ボレート、
トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボレート、
トリブチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジフェニルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート
などが挙げられる。
【0080】
3)有機アルミニウム化合物
例えば、メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、ブチルアルモキサンなどのアルキルアルモキサン化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムフルオライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライドなどのアルキルアルミニウム化合物およびハロゲン化アルキルアルミニウム化合物、または上記アルキルアルモキサン化合物と上記アルキルアルミニウム化合物との混合物などが好適に使用される。特には、メチルアルモキサン、またはメチルアルモキサンを含む有機アルミニウム成分が、極性基を含む特定単量体(c)を用いる場合において重合活性の低下が少なく、最も好ましい。
【0081】
(f−2)超強酸アニオンを対アニオンとして有し、少なくとも一つのニッケル−炭素間のシグマ結合を有するニッケル錯体は、下記一般式(11)で表される。
[L1L2ML3]+[An]−・・・・(11)
[式(11)中、Mはニッケル原子を表す。L1,L2,L3はMの配位子を示し、少なくとも1個の配位子の炭素原子がσ結合によりニッケル原子と結合しており、その他は炭素数6〜12のシクロアルカジエン、ノルボルナジエン、炭素数10〜20のシクロアルカトリエン、炭素数6〜20の芳香族化合物から選ばれた化合物を示す。また、[An]−は超強酸に由来する非配位性、あるいは弱配位性の対アニオンを示す。対アニオン[An]−としては、BF4 −、PF6 −、SbF5SO3F−、AlF3SO3CF3 −、AsF6 −、SbF6 −、AsF6 −、CF3CO2 −、C2F5CO2 −、CH3C6H4SO3 −、B[C6F5]4 −、B[3,5−(CF3)2C6H3]4 −であることが好ましい。]
【0082】
上記一般式(11)で表される化合物の具体例としては、
[(η3−crotyl)Ni(cycloocta−1,5−diene)][B(3,5−(CF3)2C6F3)4]、
[(η3−crotyl)Ni(cycloocta−1,5−diene)][PF6]、
[(η3−allyl)Ni(cycloocta−1,5−diene)][B(C6F5)4]、
[(η3−crotyl)Ni(cycloocta−1,5−diene)][SbF6]、
などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
これら触媒成分は、以下の範囲の使用量で用いられる。
ニッケル化合物は、単量体1モルに対して0.02〜100ミリモル原子、有機アルミニウム化合物はニッケル1モル原子に対し1〜5,000モル、超強酸はニッケル1モル原子に対して0.2〜5.0モルである。ルイス酸はニッケル1モル原子に対し、0〜50モルである。または、単量体1モルに対してニッケル化合物0.02〜100ミリモル原子、有機アルミニウム化合物はニッケル1モル原子に対し、1〜5,000モル、イオン性ホウ素化合物はニッケル1モル原子に対して0.2〜5.0モルである。
【0084】
上記(f−1)多成分触媒における1)ニッケル化合物として、超強酸で変性されたニッケル化合物を用いる場合には、必ずしもルイス酸を必要としないが、ルイス酸を添加した方が重合活性がより向上する。また、塩素を含むハロゲン化有機アルミニウム化合物を有機アルミニウム成分として用いた場合は、必ずしもルイス酸の添加は必要としない。
また、上記触媒成分として、(f−1)多成分系触媒では超強酸、ルイス酸およびイオン性ホウ素化合物から1種または2種以上選ばれた化合物の添加、(f−2)単成分系触媒では超強酸に由来する非配位性、あるいは弱配位性の対アニオンが必要である。これらの触媒を用いることにより、上記共重合体中に特定単量体(b)に由来する2,7位による付加重合、あるいは3,11位による付加重合により生成する繰り返し単位(d)が観測され、共重合体は25℃での、トルエン、シクロヘキサン、またはこれら混合溶媒への溶解性が向上する。
【0085】
上記環状オレフィン系付加共重合体は、上記(f−1)多成分系触媒または(f−2)単成分系触媒を用い、シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタンなどの脂環式炭化水素溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素溶媒、クロロメタン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロシクロペンタン、クロロシクロヘキサン、クロロベンゼン、ジクロロべンゼンなどのハロゲン化炭化水素溶媒などから1種または2種以上選ばれた溶媒中で重合を行うことができる。これらの中でも汎用性などの観点から、トルエン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、あるいはこれらからなる混合溶媒が望ましく用いられる。
【0086】
重合の方法としては、窒素、またはアルゴン雰囲気下で反応容器に溶媒、特定単量体(a)および(b)、および必要に応じて特定単量体(c)、さらに必要に応じて特定のα−オレフィン化合物、必要に応じて分子量調節剤を仕込み、−20℃から100℃の範囲の温度に重合系を設定する。次に、上記触媒成分を添加して−20℃から100℃の範囲で重合を行う。溶媒/モノマーの重量比は、1〜20の範囲で行われる。共重合体の分子量は、重合触媒の量や分子量調節剤の添加量、重合体への転化率および重合温度によって調節される。分子量調節剤としては、1−ヘキセン、1−オクテンなどのα−オレフィン、スチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、1−ビニルナフタレン、ジビニルベンゼンなどの芳香族ビニル化合物、シクロオクタジエン、シクロドデカトリエンなどの環状非共役ポリエン、ジフェニルジヒドロシラン、水素などが用いられ、好ましくは芳香族ビニル化合物が使用される。
重合の停止は、水、アルコール、有機酸、炭酸ガスなどから選ばれた化合物により行われる。触媒残さの分離・除去は、公知の方法を適宜用いてよく、例えば、重合体溶液にマレイン酸、フマル酸、シュウ酸、リンゴ酸などから選ばれた有機酸の水/アルコール混合物を添加して、水層と分離するなどの方法がある。また、触媒残さは、ケイソウ土、アルミナ、シリカなどの吸着剤を用いての吸着除去やフィルターなどによるろ過分離などによって除去してもよい。
重合体は、重合体溶液をメタノール、エタノール、イソプロパノールなどから選ばれたアルコール中に入れて、凝固し、減圧乾燥することにより得られる。この工程で、重合体溶液に残存する未反応単量体も除去される。
【0087】
上記の特定単量体(a−2)を1種以上を含んでなる単量体を用いて重合して得られる、オレフィン性不飽和結合を有する付加共重合体は、次のような触媒および条件により水素化される。
水素化触媒としては、ニッケル、ロジウム、パラジウム、白金などがシリカ、ケイソウ土、アルミナ、活性炭などの固体上に担持された不均一系触媒や、チタン、ニッケル、パラジウム、コバルトなどの化合物と有機金属化合物とを組み合わせてなる均一系の触媒、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウムなどの錯体からなる触媒などから選ばれたものが好適に使用される。溶媒としてはトルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリンなどの芳香族炭化水素、シクロヘキサン、メチルペンタン、メチルシクロヘキサン、デカリンなどの脂環族炭化水素、必要に応じて、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ブチルエーテルなどのエーテル類などを用い、条件は、水素圧0.5〜15MPa、20〜200℃の範囲で適宜選択される。
水素化された共重合体は、重合の後処理と同様にして、有機酸や吸着剤など用いて触媒残さが除去され、スチームやアルコールを用いての凝固を行い、分離・乾燥して、重合体は回収される。
【0088】
上記環状オレフィン系付加共重合体は、公知の環状オレフィン系開環(共)重合体の水素化体や環状オレフィンとエチレンとの付加共重合体などと配合された、重合体ブレンド組成物とすることもできる。重合体ブレンド組成物とすることにより、上記環状オレフィン系付加共重合体の靭性を損なうことなく、そのガラス転移温度を調節することができ、熱処理によるフィルム、シートなどの成形体の光学特性の制御・修正や射出成形、圧縮成型などを可能なものにする。また、上記環状オレフィン系付加共重合体は、脂環式炭化水素構造を有する石油樹脂類、水素化されたスチレン系樹脂などともブレンドでき、それにより透明性を保持して、軟化温度、複屈折などを制御することができる。
【0089】
このような組成物において、上記環状オレフィン系付加共重合体と上記の水素化された開環(共)重合体との配合割合は、上記環状オレフィン系付加共重合体の該組成物中の割合が、10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、さらに好ましくは30〜70重量%である。
【0090】
上記環状オレフィン系付加共重合体には、公知の酸化防止剤、例えば、
2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、
4,4’−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、
1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、
2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、
ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
などのフェノール系あるいはヒドロキノン系酸化防止剤を添加することができる。
さらに、
トリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)ホスファイト、
トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、
トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、
ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト、
ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト
などのリン系酸化防止剤を配合して、酸化安定性を向上させることができる。
これら化合物の中で、分解温度(5%重量減少)が250℃以上の化合物が好ましい。
また、これら酸化防止剤を添加する場合は、環状オレフィン系付加共重合体100重量部当たり、0.05〜5.0重量部の範囲で添加される。
【0091】
上記環状オレフィン系付加共重合体は、また、以下に示す方法を用いて、架橋性組成物、および架橋体とすることができる。
1)ラジカルにより架橋させるものにあっては、次の組成物および架橋方法がとられる。その際、メタアクリロイル基、あるいはアクリロイル基を側鎖置換基に有する繰り返し単位(c)を用いた環状オレフィン系付加重合体にあっては、さらに容易に架橋体とすることができる。
(1−1)過酸化物、あるいはアゾ化合物と配合された組成物、および熱や活性光線などを用いて発生させたラジカルにより該組成物を架橋する方法。
(1−2)過酸化物および還元性の金属化合物との組成物、およびレドックス反応により発生させたラジカルにより該組成物を架橋する方法。
2)繰り返し単位(c)として加水分解性シリル基を有するものを用いた共重合体を加水分解、縮合反応により架橋させるものにあっては、次の組成物が用いられる。
(2−1)スズ、アルミニウム、亜鉛、チタニウム、アンチモンなどの金属の酸化物、アルコキシド、フェノキシド、β−ジケトネート、アルキル化物、ハロゲン化物、有機酸塩などとの組成物。
(2−2)BF4、PF4、AsF6、SbF6、B(C6F5)4などから選ばれた対アニオンを有する芳香族スルホニウム塩、芳香族アンモニウム塩、芳香族ピリジニウム塩、芳香族ホスホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、ヒドラジニウム塩、フェロセニウム塩など、加熱することにより酸としての作用をする化合物との組成物。
(2−3)トリアルキル亜リン酸エステル、トリアリール亜リン酸エステル、ジアルキル亜リン酸エステル、モノアルキル亜リン酸エステル、次亜リン酸エステル、有機カルボン酸の第2級または第3級アルコールのエステル、有機カルボン酸のヘミアセタールエステル、有機カルボン酸のトリアルキルシリルエステルなどの水または水蒸気の存在下で加熱することにより酸としての作用をする化合物との組成物。
(2−4)g線、h線、i線など、紫外線、遠紫外線、X線、電子線などの光線の照射により、ブレンステッド酸、あるいはルイス酸を生成するジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、アルセニウム塩、オキソニウム塩などのオニウム塩、ハロゲン含有オキサジアゾール化合物、ハロゲン含有トリアジン化合物、ハロゲン含有アセトフェノン化合物、ハロゲン含有ベンゾフェノン化合物などのハロゲン化有機化合物、キノンジアジド化合物、α,α−ビス(スルホニル)ジアゾメタン化合物、α−カルボニル−α−スルホニル−ジアゾメタン化合物、スルホニル化合物、有機酸エステル化合物、有機酸アミド化合物、有機酸イミド化合物などの光酸発生剤との組成物。
3)繰り返し単位(c)としてエステル基を有するものを用いた共重合体にあっては、1分子あたりに水酸基を2〜4個有する多価アルコール化合物、および触媒として上記2)のa)に記載した金属化合物との組成物をエステル交換反応により架橋することにより、架橋体とすることができる。
【0092】
これらの過酸化物、アゾ化合物、および(2−1)〜(2−4)の金属化合物、酸発生のエステル化合物、熱酸発生剤、光酸発生剤、多価アルコール化合物などから選ばれた化合物を上記環状オレフィン系付加共重合体と配合し、架橋性組成物とすることにより、10〜280℃という比較的、温和な温度条件で短時間で環状オレフィン系付加共重合体の架橋体を得ることができる。このため、環状オレフィン系付加共重合体の優れた光学特性を維持し、さらに、架橋されているため、耐熱性がより高まり、寸法安定性、破断強度、破断伸び、耐溶剤・薬品性、耐液晶性が優れたものとなる。
【0093】
上記の架橋用に用いられる化合物は、上記環状オレフィン系付加共重合体100重量部当たり、0.0001〜5.0重量部の範囲で配合して用いられる。
【0094】
上記架橋性組成物としては、さらに、ケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウムから選ばれた金属のアルコキシド化合物、あるいはアリロキシド化合物、およびこれら金属のアルコキシド化合物の縮合度が3〜30である縮合体から選ばれた、少なくとも1種の化合物を配合することもできる。このような化合物を配合することにより、架橋体とした際に寸法安定性や耐溶媒・薬品性の向上に有効な架橋構造を得やすくなる。具体的な例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イルトリメトキシシラン、2−ビシクロ[2.2.1]ヘプテン−5−イルトリメトキシシラン、アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、チタンテトラエトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、およびこれらの縮合度が3〜30である縮合体などを挙げることができる。また、メタクリロイル基、アクリロイル基などのラジカル重合性のある置換基を有するシラン化合物、およびラジカル発生剤との組成物とし、光あるいは熱を用いて架橋した架橋体とすることができる。
【0095】
上記のケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウムから選ばれた金属のアルコキシド化合物あるいはアリロキシド化合物、もしくはそれらの縮合度が3〜30である縮合体との組成物においては、上記環状オレフィン系付加共重合体100重量部当たり、好ましくは5〜60重量部の範囲で配合される。
【0096】
また、上記ケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウムから選ばれた金属のアルコキシド化合物あるいはアリロキシド化合物、もしくはそれらの縮合度が3〜30である縮合体に加え、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニアなどの平均粒径が100nm以下の金属酸化物の粒子あるいはコロイド状粒子を配合した組成物とし、さらに架橋体としてもよい。
【0097】
上記金属酸化物の配合量(コロイド状粒子においては固形分換算の配合量)は、上記環状オレフィン系付加共重合体100重量当たり、1〜40重量部配合される。その配合量が1重量部未満の場合には、架橋して得られる架橋体の硬度、弾性率、線膨張係数において金属酸化物による改良の効果が不十分である。一方、40重量を超える場合には、架橋して得られる架橋体が脆くなる場合がある。
【0098】
上記環状オレフィン系付加共重合体(組成物)は、炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、あるいはこれらからなる混合溶媒から選ばれた溶媒に該共重合体(組成物)を溶解させ、スチールベルトやキャリアーフィルムなどの上に塗工あるいは流延し、その後乾燥工程を経て成形品を得る溶液キャスト法により、太陽電池の基体となるフィルムあるいはシートとすることができる。また、これら溶媒に共重合体(組成物)を膨潤させた後、押し出し機で溶媒を蒸発させながら、該共重合体(組成物)をフィルム、シートに成形・加工することもできる。また、他の熱可塑性樹脂と配合した重合体ブレンド組成物とすることで、溶融押し出し機などを使用する溶融押出法により、フィルムあるいはシートとすることもできる。
【0099】
上記溶液キャスト法において、環状オレフィン系付加重合体を含有する組成物を、該環状オレフィン系付加重合体を25℃で溶解できる良溶媒で溶解して溶液キャストし、次いで該環状オレフィン系付加重合体を溶解しないが良溶媒と均一に混合する沸点が大気圧下で150℃以下の貧溶媒と接触させると、残留溶媒が減少し、さらに丈夫なフィルムまたはシートを得ることができる。すなわち、着色や破断強度を低下させることがない、寸法安定性に優れた残留溶媒の少ない環状オレフィン系付加型重合体組成物からなるフィルムまたはシートを提供でき、これらのフィルムまたはシートは環境負荷が小さく、太陽電池用途に好適である。
【0100】
上記良溶媒とは、環状オレフィン系付加重合体を25℃で容易に溶解できる溶媒である。フィルムまたはシートから、良溶媒を加熱・減圧により容易に除去できるようにするためには、該良溶媒の大気圧下の沸点は200℃以下、好ましくは30〜150℃、さらに好ましくは30〜120℃である。
上記良溶媒は、環状オレフィン系付加重合体を構成する構造単位の種類や、含まれる官能基の種類・量によって適宜決定されるが、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素およびクロロベンゼンなどの含ハロゲン芳香族炭化水素が好ましい。なお、上記良溶媒を用いて、環状オレフィン系付加重合体を含有する組成物を溶解して溶液キャストする場合の固形分濃度は、通常、5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%である。
【0101】
一方、上記貧溶媒とは、環状オレフィン系付加重合体が25℃において、ほとんど、あるいは全く溶解しないが、上記良溶媒と均一に混合する溶媒である。フィルムまたはシートから、貧溶媒の蒸気または液体での抽出操作後、加熱・減圧により容易に除去できるようにするためには、該貧溶媒の大気圧下の沸点は150℃以下、好ましくは30〜120℃、さらに好ましくは30〜100℃である。上記貧溶媒は、環状オレフィン系付加重合体を構成する構造単位の種類や、含まれる官能基の種類・量によって適宜決定されるが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどの含ハロゲン脂肪族炭化水素およびヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素が好ましい。
【0102】
上記良溶媒と貧溶媒の組み合わせは、例えば次のようなものが挙げられる。すなわち、上記良溶媒としてシクロヘキサンを用いる場合、貧溶媒としてはジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどの炭素数1〜10の含ハロゲン炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの炭素数5〜8の脂肪族炭化水素が挙げられる。それらの中でもジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどの含ハロゲン脂肪族炭化水素、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素が好ましい。上記良溶媒としてトルエンを用いる場合、貧溶媒としてはジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどの炭素数1〜10の含ハロゲン炭化水素、メタノール、エタノール、ジエチルエーテル、アセトンなどの炭素数1〜8の含酸素炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの炭素数5〜8の脂肪族炭化水素が挙げられる。それらの中でも、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどの含ハロゲン脂肪族炭化水素、メタノール、エタノールなどの炭素数1〜8の含酸素炭化水素、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素が好ましい。
【0103】
上記溶液キャスティングは、上記環状オレフィン系付加重合体を含む組成物を良溶媒に溶解し溶液キャスティングして得られたフィルムまたはシートを、液体状の貧溶媒中に浸漬する、あるいは貧溶媒の蒸気に曝すという方法である。
これらいずれの方法においても、溶液キャスティングにより得られたフィルムまたはシート中に残留する良溶媒と、抽出に用いる貧溶媒が互いに混合しない場合には抽出効果が期待できない。
【0104】
上記環状オレフィン系付加重合体を含む組成物を良溶媒に溶解させて溶液キャスティングした後、まず良溶媒の沸点以下の温度条件下で、良溶媒を蒸発させることにより、環状オレフィン系付加重合体を含む組成物からなるフィルムまたはシート中の良溶媒量を1〜10重量%とし、基材から剥がす。該フィルムまたはシートを貧溶媒と接触させてもよいが、好ましくは該フィルムまたはシートを上記した種々の方法で架橋体とした後、貧溶媒と接触させる。上記環状オレフィン系付加重合体を架橋体とすることで、破壊強度・耐溶媒性・耐薬品性がより優れたものとなる。また、フィルムまたはシートから残存溶媒を除去する際、係るフィルムまたはシートが未架橋であれば、貧溶媒の種類によっては、該貧溶媒を接触させた際にフィルムまたはシートが膨潤し形状が崩れることがある。しかし、架橋された環状オレフィン系付加重合体を含む場合には、そのような貧溶媒と接触させた場合にも形状が崩れないので、環状オレフィン系付加重合体は架橋されていることが好ましい。
【0105】
貧溶媒を接触させる温度は、通常、0〜200℃であるが、大気圧下の沸点が80℃以下である貧溶媒を用いる場合は0℃〜沸点までの温度が好ましく、0℃〜30℃で接触することがより好ましい。貧溶媒を接触させる時間は、30秒以上5時間以内が好ましく、さらに好ましくは1分以上1時間以内である。貧溶媒と接触させた後、フィルムまたはシートを10分〜1時間、50〜150℃に加熱することで、残留溶媒をほとんど全て除去することができる。
【0106】
フィルムまたはシート中の残留溶媒量は、5,000ppm以下が好ましく、さらに好ましくは500ppm以下である。残留溶媒量が5,000ppmを超える場合、フィルムまたはシートの寸法安定性が悪いばかりでなく、残留溶媒が揮発するため表面加工などの後加工を施す際、例えばスパッタリングや蒸着工程で高真空度が得られない、あるいは残留溶媒の滲出による周囲への汚染や使用機器の機能低下などの問題が生じる場合がある。
【0107】
本発明の基体の形状は、板状、フィルム形状、シート形状などいずれでもよく、また、平面でも、段差のある非平面でもよく、その形態は特に限定されるものではない。太陽電池の基体として好ましくはフィルムまたはシートであり、厚さは好ましくは20〜500μm、さらに好ましくは50〜200μmである。20μm未満であると自立性が減少し、また強度も低く、基体としては不向きとなる場合がある。一方、500μmを超えると、透過率が減少し、太陽電池としたときの効率が低下する場合がある。また、耐衝撃性が不足する場合がある。
【0108】
本発明の基体の破断伸びは、JIS K7118に準じて引っ張り速度3mm/minで測定して4〜15%、好ましくは6〜15%、さらに好ましくは6〜12%である。
また、本発明の基体の破断強度は、JIS K7118に準じて引っ張り速度3mm/minで測定して30〜80MPa、好ましくは40〜60MPa、さらに好ましくは40〜50MPaである。
破断伸びが4%未満および/または破断強度が30MPa未満であると、太陽電池の基体としての柔軟性に乏しく、耐衝撃性が著しく減少する。一方、破断伸びが15%を超える、および/または破断強度が80MPaを超えると基体としての自立性に欠け、太陽電池の基体としての機能を果たせない。
【0109】
本発明の基体の透明性について、ASTM D 1003に準拠して測定した全光線透過率は、好ましくは85%以上、さらに好ましくは88%以上である。85%未満であると、吸収が多く、太陽電池の光電変換効率が低下する。
【0110】
本発明の太陽電池の電極の間に形成された、不純物の濃度および/または種類の異なる半導体膜は、少なくとも1層の半導体膜がシリコン粒子(A)、高次シラン化合物(B)およびSiiHj(ここで、iは5または6であり、jは2iである。)で表される水素化シラン化合物(C)を含有するシリコン膜形成用組成物から形成されたものである。
【0111】
上記シリコン粒子(A)としては、本発明の目的および効果を損なわない限りどのようなものでも使用できるが、多結晶または単結晶であり、かつ高純度であることが好ましい。このようなシリコン粒子は、例えば、多結晶または単結晶シリコンのインゴットを粉砕処理することにより製造することができる。ここで使用できるインゴットとしては、高純度のi型シリコンインゴット、n型シリコンインゴットおよびp型シリコンインゴットを挙げることができる。
【0112】
上記i型シリコンインゴットは高純度であることが好ましく、例えば純度99.99%以上のもの、さらに好ましくは純度99.9999%以上であることが好ましい。
i型シリコンインゴットの抵抗率は、広がり抵抗測定法〔日本結晶学会誌、18巻、34頁(1976年)〕で測定した値として、好ましくは10Ωcm以上、さらに好ましくは100Ωcm以上、特に好ましくは500Ωcm以上である。10Ωcm未満では、発電性能(起電力)が低下する。
【0113】
また上記n型シリコンインゴットとしては、例えば窒素原子、リン原子、ヒ素原子をドープしたものであることができる。これらのドープ原子のうち、リン原子が好ましい。ドーピングは、熱拡散法、レーザドーピング法、プラズマドーピング法、およびイオン注入法など、公知のドーピング法が採用できる。ドープ量としては、通常1010〜1021atom/cm3程度であり、好ましくは1015〜1020atom/cm3である。この範囲のドープ量とすることで、形成されるシリコン膜を好適な電気特性を示すn型の半導体膜とすることができる。
n型シリコンインゴットの抵抗率は、同様の測定条件で、好ましくは1〜0.001Ωcm、さらに好ましくは0.1〜0.001Ωcm、特に好ましくは0.01〜0.001Ωcmである。1Ωcmを超えると、取り出し電流密度が低下する。
【0114】
上記p型シリコンインゴットとしては、例えばホウ素原子、ガリウム原子をドープしたものであることができる。これらのドープ原子のうち、ホウ素原子が好ましい。ドープ量としては、通常1010〜1021atom/cm3程度であり、好ましくは1015〜1020atom/cm3である。この範囲のドープ量とすることで、形成されるシリコン膜を好適な電気特性を示すp型の半導体膜とすることができる。
p型シリコンインゴットの抵抗率は、同様の測定条件で、好ましくは1〜0.001Ωcm、さらに好ましくは0.1〜0.001Ωcm、特に好ましくは0.01〜0.001Ωcmである。1Ωcmを超えると、取り出し電流密度が低下する。
上記i型、n型およびp型シリコンインゴットのいずれか1種、下記高次シラン化合物(B)および水素化シラン化合物(C)を含有するシリコン膜形成用組成物をそれぞれ調製し、基体に塗布することにより、不純物の濃度および/または種類の異なる少なくとも2層の半導体膜を適宜形成することができる。
【0115】
上記の如きシリコンインゴットを粉砕する際には、乾式粉砕または湿式粉砕のいずれの方法をとってもよい。乾式粉砕で適当な大きさまで予備粉砕した後、さらに本発明のシリコン膜形成用組成物に含有されるべき分散媒を使用して湿式粉砕する方法をとれば、粉砕処理終了後にそのまま本発明のシリコン膜形成用組成物とすることができ、便利である。
上記乾式粉砕の際には、チップクラッシャー、ハンマークラッシャー、カッターミルなどを用いて、公知の方法で実施することができる。このような予備粉砕では、シリコン粒子の粒径として好ましくは10〜500μm程度、より好ましくは50〜300μm程度とすることが後の工程に便利である。
【0116】
上記乾式粉砕処理終了後、かつ上記湿式粉砕の処理前に適当な洗浄剤を用いて洗浄することが好ましい。この洗浄処理により、乾式粉砕処理中にシリコン粒子の表面に形成された酸化シリコンの層を除去することができ、本発明の組成物に含有されるシリコン粒子をより高純度とすることができる。上記洗浄処理としては、例えば、RCA洗浄法(RCA Review,1970(Jun),p187参照)や、王水、フッ化水素酸水溶液などの適宜の洗浄剤を使用した洗浄法を採用することができ、またこれらを組み合わせて使用することもできる。
【0117】
上記湿式粉砕の際には、ビーズミル、ボールミル、高圧液液衝突型ミルなどを用いて、公知の方法で実施することができる。湿式粉砕の際に使用する媒体としては、後述の本発明の組成物に含有されるべき分散媒を使用することができる。
湿式粉砕後のシリコン粒子の粒径は、本発明のシリコン膜形成用組成物に含有されるべきシリコン粒子の粒径に調整することができる。
【0118】
本発明のシリコン膜形成用組成物に含有されるシリコン粒子の平均粒径は、所望の膜厚などに応じて適宜の値とすることができる。平均粒径は、好ましくは0.001〜20μm、さらに好ましくは0.005〜10μm、特に0.01〜5μmとすることができる。0.001μm未満であると、組成物の安定性が悪くなる。一方、20μmを超えると、均一成膜性が悪化する。
本発明のシリコン膜形成用組成物に含有されるシリコン粒子の含有量は、所望の膜厚などに応じて適宜の値とすることができる。例えばシリコン膜形成用組成物の全固形分量に対して、好ましくは1〜50質量%、さらに好ましくは5〜25質量%(固形分換算)である。1重量%未満であると、膜にクラックなどの異常が発生し易く、一方、50重量%を超えると、均一成膜性が悪くなる。
【0119】
本発明のシリコン膜形成用組成物に含有される高次シラン化合物(B)としては、SikRl〔ここで、kは11以上の整数であり、lはk〜(2k+2)の整数でありそしてl個のRは互いに独立に水素原子、アルキル基、フェニル基またはハロゲン原子である〕、
で表される化合物が挙げられる。
【0120】
上記のRが表すアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基およびn−デシル基などの炭素数1〜10のアルキル基を好ましいものとして挙ることができる。
また、ハロゲン原子としては、例えばフッ素、塩素および臭素を好ましいものとして挙げることができる。
【0121】
上記高次シラン化合物は、鎖状、環状、またはかご状であることができる。
上記高次シラン化合物のうち、Rのすべてが水素原子である水素化高次シラン化合物が好ましく用いられる。このような水素化高次シラン化合物としては、SitH2t+2で表される水素化鎖状ポリシラン、SitH2tで表される水素化環状ポリシラン、およびSitHtで表される水素化かご状ポリシラン化合物が好適に用いられる。なお、「かご状」とは、プリズマン骨格、キューバン骨格、5角柱型骨格などを含むものを意味する。
ただし、上記各式におけるtは、水素化鎖状ポリシランにおいて11〜100,000、好ましくは11〜50,000の整数であり、水素化環状ポリシランにおいて11〜100,000、好ましくは11〜50,000の整数であり、そして水素化かご状ポリシランにおいて11〜100,000、好ましくは11〜50,000の整数である。
この場合、tが11より小さい場合には高次シラン化合物の成膜性に難点が生じる場合があり、またtが上記最大値より大きい場合には高次シラン化合物の凝集力に起因する溶解性の低下が認められる場合がある。
このような高次シラン化合物は、単独で、また、2種以上を混合して使用することができる。
【0122】
本発明の高次シラン化合物(B)は、所望の構造単位を有するモノマ−を原料として、例えば以下の方法により製造することができる。(1)アルカリ金属の存在下にハロシラン類を脱ハロゲン縮重合させる方法(いわゆる「キッピング法」、J.Am.Chem.Soc.,110,2342(1988)およびMacromolecules,23,3423(1990)参照);(2)電極還元によりハロシラン類を脱ハロゲン縮重合させる方法(J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,1161(1990)およびJ.Chem.Soc.,Chem.Commun.,896(1992)参照);(3)金属触媒の存在下にヒドロシラン類を脱水素縮重合させる方法(特開平4−334551号公報参照):(4)ビフェニルなどで架橋されたジシレンのアニオン重合による方法(Macro molecules,23,4494(1990)参照)。(5)フェニル基やアルキル基で置換された環状ケイ素化合物を上記の方法で合成した後、公知の方法(例えば、Z.Anorg.Allg.Chem.,459,123−130 (1979)、E.Henggeら Mh.Chem.第106巻、503頁、1975年など)によりヒドロ置換体やハロゲン置換体などに誘導することができ、(6)上記の方法で合成したシラン化合物に光照射することによりさらに高分子量の高次シラン化合物とすることができる。
【0123】
(6)シラン化合物に光照射して高次シラン化合物を合成する場合、その原料となるシラン化合物としては、SiqH2q+2(ここで、qは2〜10の整数である)で表される水素化鎖状シラン化合物、SirH2r(ここで、rは3〜10の整数である)で表される水素化環状シラン化合物、および、SisHs(ここで、sは6〜10の整数である)で表される水素化かご状シラン化合物、よりなる群から選ばれる少なくとも1種のシラン化合物が好ましい。そのうちでも上記水素化環状シラン化合物がさらに好ましく、特に好ましくはシクロペンタシラン、シクロヘキサシランおよびシリルシクロペンタシランよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。これらはそれぞれ、下記式(B1)〜(B3)で表される。
【0124】
【化27】
【0125】
高次シラン化合物(B)は、具体的には、ジフェニルジクロロシランから製造されるデカフェニルシクロペンタシランおよびドデカフェニルシクロペンタシランを経て製造することができる。
高次シラン化合物(B)は単独であるいは2種以上の混合物として用いることができる。
高次シラン化合物(B)の使用量としては、シリコン膜形成用組成物の全固形分量に対して30質量%以下とすることができ、さらに10質量%以下(固形分換算)とすることができる。
【0126】
高次シラン化合物(B)を合成するために光照射する際には、可視光線、紫外線、遠紫外線の他、低圧あるいは高圧の水銀ランプ、重水素ランプあるいはアルゴン、クリプトン、キセノンなどの希ガスの放電光の他、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザーなどを光源として使用することができる。これらの光源としては、好ましくは10〜5,000W、さらに好ましくは100〜1,000Wの出力のものが用いられる。これらの光源の波長は原料のシラン化合物が多少でも吸収するものであれば特に限定されないが、170nm〜600nmが好ましい。
【0127】
光照射処理を行う際の温度は、好ましくは室温〜300℃以下である。処理時間は0.1〜30分程度である。光照射処理は、非酸化性雰囲気下で行うことが好ましい。
また、光照射処理は、適当な溶媒の存在下に行ってもよい。このような溶媒としては、本発明の組成物の任意添加成分として後述する溶媒と同様のものを使用することができる。
【0128】
上記の高次シラン化合物(B)は、式SikRlにおける重合度kが11程度以上の高分子量体になると、炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒などの汎用溶媒に対する溶解性が著しく低くなり、実質的に不溶性となる。このため、本発明のシリコン膜形成用組成物は、高次シラン化合物に対して良好な溶解性を示す、SiiHj(ここで、iは5または6であり、jは2iである。)で表される水素化シラン化合物(C)を含有する。上記(C)成分を含有することにより形成された膜が緻密で均一性に優れた高品位のものとなる利点がある。
本発明に用いられる水素化シラン化合物(C)としては、高次シラン化合物を合成する原料として挙げられた水素化鎖状シラン化合物、水素化環状シラン化合物、および水素化かご状シラン化合物が挙げられる。中でも、シクロペンタシラン、シクロヘキサシランおよびシリルシクロペンタシランよりなる群から選ばれる少なくとも1種のシラン化合物が好ましい。
本発明において、水素化シラン化合物(C)は単独であるいは2種以上の混合物として用いることができる。
【0129】
本発明の溶液組成物を構成する水素化シラン化合物(C)に対する高次シラン化合物(B)の割合は好ましくは0.01〜1,000重量%、さらに好ましくは0.05〜500重量%、特に好ましくは0.1〜100重量%(固形分換算)である。
この値が0.01重量%未満の場合は、塗布した後に塗膜が薄すぎ最終的に連続したシリコン膜またはシリコン酸化膜にならない場合がある。一方、この値が1,000重量%を超える場合は、高次シラン化合物が完全に溶解しない場合がある。
【0130】
本発明のシリコン膜形成用組成物に含有される分散媒としては、本発明の(A)〜(C)成分と反応しないものが用いられる。例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ジシクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、スクワランなどの炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒドロフランテトラヒドロピラン、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;およびプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリルなどの極性溶媒を挙げることができる。これらのうち、該溶液の安定性の点で炭化水素系溶媒が好ましい。これらの溶媒は、単独でもあるいは2種以上の混合物としても使用できる。
【0131】
本発明のシリコン膜形成用組成物中の溶媒の使用量は、所望のシリコン膜およびシリコン酸化膜の膜厚に応じて適宜調整することができるが、好ましくは高次シラン化合物に対し、固形分換算で10,000重量%以下であり、特に好ましくは5,000重量%以下である。10,000重量%を超えると高次シラン化合物が析出する場合があり好ましくない。
【0132】
本発明のシリコン膜形成用組成物には、本発明の目的と機能を損なわない範囲で必要に応じてさらに界面活性剤を添加することができる。このような界面活性剤は、カチオン系、アニオン系、両イオン系または非イオン系であることができる。このうち、非イオン系界面活性剤は、組成物の塗布対象物への濡れ性を良好化し、塗布した膜のレベルリング性を改良し、塗膜のぶつぶつの発生、ゆず肌の発生などの防止に役立つ点で好ましく使用できる。
かかる非イオン性界面活性剤としては、例えばフッ化アルキル基もしくはパーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤、またはオキシアルキル基を有するポリエーテルアルキル系界面活性剤を挙げることができる。
【0133】
前記フッ素系界面活性剤としては、例えばエフトップEF301、同EF303、同EF352(新秋田化成(株)製)、メガファックF171、同F173(大日本インキ(株)製)、アサヒガードAG710(旭硝子(株)製)、フロラードFC−170C、同FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(旭硝子(株)製)、BM−1000、同1100(B.M−Chemie社製)、Schsego−Fluor(Schwegmann社製)、C9F19CONHC12H25、C8F17SO2NH−(C2H4O)6H、C9F17O(プルロニックL−35)C9F17、C9F17O(プルロニックP−84)C9F17、C9F7O(テトロニック−704)(C9F17)2などを挙げることができる。(ここで、プルロニックL−35:旭電化工業(株)製、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体、平均分子量1,900;プルロニックP−84:旭電化工業(株)製、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体、平均分子量4,200;テトロニック−704:旭電化工業(株)製、N,N,N’,N’−テトラキス(ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体)、平均分子量5,000である。)
【0134】
またポリエーテルアルキル系界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマーなどを挙げることができる。
これらのポリエーテルアルキル系界面活性剤の具体例としては、エマルゲン105、同430、同810、同920、レオドールSP−40S、同TW−L120、エマノール3199、同4110、エキセルP−40S、ブリッジ30、同52、同72、同92、アラッセル20、エマゾール320、ツィーン20、同60、マージ45(いずれも(株)花王製)、ノニボール55(三洋化成(株)製)などを挙げることができる。上記以外の非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリアルキレンオキサイドブロック共重合体などがあり、具体的にはケミスタット2500(三洋化成工業(株)製)、SN−EX9228(サンノプコ(株)製)、ノナール530(東邦化学工業(株)製)などを挙げることができる。
【0135】
このような界面活性剤の使用量は、(A)〜(C)成分ならびに任意的に添加される溶媒の合計100重量部に対して、好ましくは10重量部以下、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。ここで、10重量部を超えると得られる組成物が発泡し易くなると共に、熱変色を起こす場合があり好ましくない。
【0136】
また本発明の組成物には、組成物のゲル化防止および増粘、得られるシリコン酸化膜の耐熱性、耐薬品性、硬度、および密着性の向上、さらには静電防止などを目的として、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタンなどの金属酸化物の微粉末を適宜配合することもできる。
【0137】
次に本発明のシリコン膜の形成方法について説明する。
本発明のシリコン膜の形成方法は、例えば以下の態様においてなされることが好ましい。
(1)基体上に形成した電極上に、(A)〜(C)成分を含有する組成物溶媒の存在下または不存在下で塗布し、熱および/または光で処理してシリコン膜形成用組成物の塗膜を形成する、多結晶シリコン膜の形成方法。
(2)基体上に形成した電極上に、シリコン粒子(A)および水素化シラン化合物(C)を含有する組成物を溶媒の存在下または不存在下で塗布し、熱および/または光で処理してシリコン膜形成用組成物の塗膜を形成する、多結晶シリコン膜の形成方法。この場合、熱および/または光処理によって(C)成分の一部から高次シラン化合物(B)が形成されるため、本発明の組成物は、塗布後の処理によって調製されることになる。
【0138】
上記基体上に形成された電極には、必要に応じて、UV/オゾン処理、プラズマなどの前処理を行なっても良い。
上記態様(1),(2)において、基体上に形成された電極上に組成物の塗膜を形成するには、例えばスプレー法、ロールコート法、カーテンコート法、スピンコート法、ワイヤーコート法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、インクジェット法、浸漬法などの適宜の方法により塗布した後、分散媒を除去することにより実施することができる。
塗膜形成工程は非酸化性雰囲気下で実施されることが好ましい。このような雰囲気を実現するためには、酸素、二酸化炭素などの酸化性物質を実質的に含有しない雰囲気とすればよく、具体的には、窒素、水素、希ガスおよびこれらの混合ガス中の雰囲気が好ましく使用できる。
上記分散媒除去工程においては、室温で静置することにより分散媒が自然に蒸散するのを待っても良いが、加熱することにより一層効果的に分散媒の除去が行える。分散媒除去工程において加熱する場合には、オーブン、ホットプレートなどの適当な加熱器具を用い、通常100〜400℃程度の温度で、1〜120分程度の加熱で充分である。
塗膜の膜厚は、本発明のシリコン膜形成用組成物に含有されるシリコン粒子の粒径により異なるが、分散媒除去後の乾燥膜厚として、例えば0.001〜10μmとすることができ、好ましくは0.01〜5μm程度となるように塗布する。
【0139】
上記(2)の態様において、組成物を塗布する際に使用できる溶媒としては、前述した本発明のシリコン膜形成用組成物が含有することのできる分散媒と同様のものを使用することができる。溶媒を使用する場合、溶液中の水素化シラン化合物(C)の濃度は1〜30質量%とすることができる。
上記(1)、(2)の態様において、高次シラン化合物(B)および水素化シラン化合物(C)の合計塗布量は、溶媒除去後に少なくともすべてのシリコン粒子がシラン化合物に埋没する量とすることが好ましい。
【0140】
上記態様(1)(2)において形成された塗膜は、次いで、光および/または熱処理を施されることにより多結晶シリコン膜とすることができる。
多結晶シリコン膜とするための光処理に際しては、上記高次シラン化合物(B)を合成するために使用される光源と同様のW数、波長などの条件で使用することができる。
【0141】
また、多結晶シリコン膜とするための熱処理は、好ましくは100〜1,000℃で、より好ましくは200〜850℃で、さらに好ましくは300℃〜500℃の温度で行われる。熱処理の加熱時間は好ましくは、10〜120分、より好ましくは15〜60分である。
上記光処理および/または熱処理は非酸化性雰囲気下で行うことが好ましく、窒素、アルゴン、水素を含有するアルゴンあるいは水素を含有する窒素の雰囲気下で行うことがさらに好ましい。
【0142】
このようにして形成された塗膜は、必要に応じて、さらに溶融結着することができる。
ここで溶融結着とは、塗膜中に含有されるシリコン粒子の少なくとも表層部を短時間のうちに溶融させ、隣接する他のシリコン粒子と結着させることにより、全体としてシリコン膜を形成することをいう。
このような溶融決着を行うには、例えば上記(B)成分を合成するために挙げられた希ガスの放電光の他、上記各種レーザーなどを光源とした光照射により実施することができる。光源のW数、波長も上記(B)成分を合成するために挙げられたものと同様である。
【0143】
また、パルス幅1.5ms以下の閃光発光によっても溶融結着を実現することができる。
閃光の照射は、閃光放電ランプ(またはフラッシュランプ)で行うことができる。閃光放電ランプとしては、例えば発光用希ガスが封入された、石英ガラスの棒状放電容器からなるものが用いられる。これらの閃光放電ランプとしては、例えば電流密度1.5〜3.0kA/cm2、パルス幅(半値幅)0.1〜0.5msで1回という高電流密度、短パルス化という条件下で放電ランプの閃光発光をさせることが挙げられる。照射回数は1回〜複数回であることができる。照射時の温度は、例えば−273℃、〜1,000℃の広範囲にわたることができる。また、照射時の雰囲気は特に限定されないが、非酸化性雰囲気下で実施するのが好ましい。非酸化性雰囲気としては前記したと同様の雰囲気が用いられる。
【0144】
本発明の太陽電池は、一対の電極のうち少なくとも一方が、無機粉体および結着樹脂を含有する導電性膜形成用組成物から形成されたものであることが好ましい。
【0145】
本発明の導電性膜形成用組成物は、(g)無機粉体、(h)結着樹脂および溶媒を含有してなるペースト状の組成物である。
【0146】
(g)無機粉体
本発明の導電性膜形成用組成物に使用される(g)無機粉体は、形成材料の種類によって適宜選択できる。
電極形成材料に使用される無機粉体としては、Ag、Au、Al、Ni、Ti、Pd、Ag−Pd合金、Cu、Crなどを挙げることができる。また、透明電極形成材料に使用される無機粉体としては、酸化インジウム、酸化錫、錫含有酸化インジウム(ITO)、アンチモン含有酸化錫(ATO)、フッ素添加酸化インジウム(FIO)、フッ素添加酸化錫(FTO)、フッ素添加酸化亜鉛(FZO)、ならびに、Al、Co、Fe、In、SnおよびTiの群から選ばれた少なくとも1種の金属を含有する酸化亜鉛微粉体などを挙げることができる。
中でもn型の半導体膜に付設する導電性膜形成に使用される無機粉体として、好ましくはTiおよび/またはAgである。
また、p型の半導体膜に付設する導電性膜形成に使用される無機粉体として、好ましくはAlおよび/またはAgなどであり、透明電極の場合は、好ましくは錫含有酸化インジウム(ITO)である。
【0147】
なお、導電性膜形成用組成物から形成された導電性膜(電極)の接着力向上の目的で、隔壁形成材料に使用される低融点ガラスフリットを無機粉体に併用しても良い。この場合の低融点ガラスフリットの含有量は、用途によって異なるが、通常、低融点ガラスフリットを含む無機粉体全量100重量部に対して50重量部以下である。
【0148】
(h)結着樹脂
本発明の導電性膜形成用組成物に使用される結着樹脂としては、種々の樹脂を用いることができるが、アルカリ可溶性樹脂を30〜100重量%の割合で含有する結着樹脂を用いることが好ましい。
ここに、「アルカリ可溶性」とは、後述するアルカリ性のエッチング液によって溶解し、目的とするエッチング処理が遂行される程度に溶解性を有する性質をいう。
かかるアルカリ可溶性樹脂の具体例としては、例えば(メタ)アクリル系樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、ノボラック樹脂、ポリエステル樹脂などを挙げることができる。
このようなアルカリ可溶性樹脂のうち、特に好ましいものとしては、下記のモノマー(h−1)とモノマー(h−2)との共重合体、又はモノマー(h−1)と、モノマー(h−2)とモノマー(h−3)との共重合体を挙げることができる。
【0149】
モノマー(h−1):
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ケイ皮酸、コハク酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレートなどのカルボキシル基含有モノマー類;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどの水酸基含有モノマー類;o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレンなどのフェノール性水酸基含有モノマー類などに代表されるアルカリ可溶性官能基含有モノマー類。
モノマー(h−2):
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸(2−エチルヘキシル)、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、グリシジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートなどのモノマー(イ)以外の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル系モノマー類;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン類などに代表されるモノマー(イ)と共重合可能なモノマー類。
モノマー(h−3):
ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ベンジルなどのポリマー鎖の一方の末端に、(メタ)アクリロイル基などの重合性不飽和基を有するマクロモノマーなどに代表されるマクロモノマー類。
【0150】
導電性膜形成用組成物における結着樹脂の含有割合としては、無機粉体100重量部に対して、通常1〜500重量部とされ、好ましくは5〜100重量部とされる。
【0151】
溶媒
導電性膜形成用組成物の溶媒は、当該導電性膜形成用組成物に、適当な流動性または可塑性、良好な膜形成性を付与するために使用される。
導電性膜形成用組成物の溶媒としては、特に制限されるものではなく、例えばエーテル類、エステル類、エーテルエステル類、ケトン類、ケトンエステル類、アミド類、アミドエステル類、ラクタム類、ラクトン類、スルホキシド類、スルホン類、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類などを挙げることができる。
かかる溶媒の具体例としては、テトラヒドロフラン、アニソール、ジオキサン、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールジアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールジアルキルエーテル類、酢酸エステル類、ヒドロキシ酢酸エステル類、アルコキシ酢酸エステル類、プロピオン酸エステル類、ヒドロキシプロピオン酸エステル類、アルコキシプロピオン酸エステル類、乳酸エステル類、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、アルコキシ酢酸エステル類、環式ケトン類、非環式ケトン類、アセト酢酸エステル類、ピルビン酸エステル類、N,N−ジアルキルホルムアミド類、N,N−ジアルキルアセトアミド類、N−アルキルピロリドン類、γ−ラクトン類、ジアルキルスルホキシド類、ジアルキルスルホン類、ターピネオール、N−メチル−2−ピロリドンなどを挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
導電性膜形成用組成物における溶媒の含有割合としては、良好な膜形成性(流動性または可塑性)が得られる範囲内において適宜選択することができる。
導電性膜形成用組成物の具体例としては、例えば、田中貴金属(株)製、商品名銀「ペースト3350C」などが挙げられる。
【0152】
導電性膜形成用組成物には、任意成分として、可塑剤、現像促進剤、接着助剤、ハレーション防止剤、保存安定剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、フィラー、低融点ガラスなどの各種添加剤が含有されていてもよい。
【0153】
上記導電性膜形成用組成物を使用して、電極としての機能を有する導電性膜を基体上に形成することができる。導電性膜の形成方法としては、上記シリコン膜形成用組成物の塗布方法の他、転写フィルムを使用する方法など公知の方法が挙げられる。
【0154】
上記のようにして形成される無機粉体含有樹脂層(導電性膜電極)の厚さとしては、無機粉末の含有率、部材の種類やサイズなどによっても異なるが、好ましくは0.1〜10μm、さらに好ましくは0.5〜5μmである。0.1μm未満であると、シート抵抗が高くなり、一方、10μmを超えると、膜にクラックが入りやすくなる。
【0155】
本発明の太陽電池の一対の電極のうち、少なくとも一方は、
In(OCOR)a(OR)bX1 c(ここで、Rは炭素数1〜110のアルキル基、X1はハロゲン原子を示し、a,bおよびcはそれぞれ独立に0〜3の数であり、かつa+b+c=3である。)で表されるインジウム化合物、および
Sn(OCOR)d(OR)eX2 f(ここで、Rは炭素数1〜110のアルキル基、X2はハロゲン原子を示し、d,eおよびfはそれぞれ独立に0〜3の数であり、かつd+e+f=2である。)で表されるスズ化合物
を含有する透明導電性膜形成用組成物から形成されたものである
【0156】
上記インジウム化合物としては、例えば、In(OCOR)3(式中、Rは炭素数1〜8の直鎖または分岐鎖のアルキル基を示す)で表される脂肪酸インジウムであり、例えば、酢酸インジウム、プロピオン酸インジウム、2−エチルヘキサン酸インジウムなどが挙げられる。中でも、炭素数の多いインジウム化合物は、熱分解時の重量減少が多いが、成膜性の点で2−エチルヘキサン酸が好ましい。
【0157】
上記スズ化合物としては、例えば、Sn(OCOR’)2(式中、R’は炭素数1〜8の直鎖または分岐鎖のアルキル基を示す)で表される脂肪酸スズであり、例えば、酢酸スズ、プロピオン酸スズ、カプロン酸スズ、2−エチルヘキサン酸スズなどが挙げられる。中でも2−エチルヘキサン酸スズ、カプロン酸スズが好ましい。
【0158】
上記インジウム化合物とスズ化合物との配合割合は、Sn濃度がIn濃度に対して、好ましくは0.01〜0.3(モル比)、さらに好ましくは0.05〜0.2である。0.01未満であると、得られる膜の比抵抗率が高くなる。一方、0.3を超えると、膜厚の均一性が悪くなる。
【0159】
本発明の透明導電性膜形成用組成物に使用される有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、2−ブタノールなどのアルコール系溶媒、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、メトキシエタノール、エトキシエタノール、イソプロポキシエタノールなどのグリコールエーテル類などが挙げられる。これらの有機溶媒のうち、1種だけを用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもかまわない。
【0160】
有機溶媒の量としては、In濃度が好ましくは0.05〜2mol/l、さらに好ましくは0.1〜1mol/lとなる量が好ましい。In濃度が0.05mol/l未満であると、塗布膜厚の薄い導電性の充分でない膜ができてしまい好ましくない。一方、2mol/lを超えると、粘度が高くなり、透明導電性膜形成用組成物としては適さなくなり、塗布膜にクラックが入ったり、可視光透過率の低い膜ができてしまう。
【0161】
本発明の透明導電性膜形成用組成物は、インジウム化合物およびスズ化合物と有機溶媒のみではインジウム化合物が溶解せずに固体として分散または沈殿してしまうため、アミン化合物を含有することが好ましい。
【0162】
アミン化合物としては、例えば、メタノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのエタノールアミン、ピリジン、アニリンなどが挙げられる。これらは、1種単独でもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0163】
アミン化合物の量は、インジウム化合物とスズ化合物の合計のモルに対して好ましくは1〜6(mol比)、さらに好ましくは2〜4(mol比)である。アミン化合物が1(mol比)未満であるとインジウム化合物の溶解が不十分で、塗布の際、未溶解のインジウム化合物粒子が析出した、表面の粗い塗布膜となったり、スズ化合物にエタノールアミンが充分配位されないため、スズ化合物の加水分解が十分に抑制されず、大気中の湿分でスズ化合物が加水分解され、塗布膜が白化したりする。一方、8(mol比)を超えると、塗布膜にムラが生じてしまい、均一な膜厚とはならない。
上記範囲内で、均質な安定した透明溶液が得られ、スズ化合物の加水分解が抑制されるため、塗布膜の白化が防止できる。その結果、透明かつ均質な透明導電性膜が形成される。
【0164】
透明導電性膜形成用組成物の塗布方法としてはスプレー、ロールコート、スピンコート、浸漬法などが均質な膜を容易に製造する方法として優れている。上記の方法で基体表面に塗布膜を形成した後、有機溶媒を除去するために好ましくは70〜200℃、さらに好ましくは100〜150℃で溶媒除去を行う。溶媒除去時間は、好ましくは10〜60分、さらに好ましくは20〜40分である。上記範囲内であると、成膜性のため好ましい。溶媒除去後、好ましくは300〜600℃、さらに好ましくは400〜500℃で加熱を行う。加熱時間は、好ましくは10分〜2時間、さらに好ましくは30分〜1時間である。上記範囲内であると、残留炭素が少なく、得られる膜の電気特性のため好ましい。加熱雰囲気に関しては大気中、または酸素中で行い、さらに場合によってはその後、不活性雰囲気(窒素、アルゴンなど)または還元性雰囲気中で加熱を行ってもよい。この方法により、透明でしかも導電性の高い酸化インジウム系酸化物被膜が得られる。
【0165】
上記のようにして形成される透明導電性膜電極の厚さとしては、好ましくは0.1〜5μm、さらに好ましくは0.3〜3μmである。0.1μm未満であると、得られる膜のシート抵抗が高くなる。一方、5μmを超えると、得られる膜にクラックが入りやすくなる。
【0166】
本発明の導電性膜(電極)および/または透明導電性膜(電極)には、必要に応じて、光触媒層形成用組成物を塗布し、光触媒層を積層してもよい。光触媒層を積層することにより、防汚性が向上し、太陽電池の耐久性が向上するという効果が得られる。上記光触媒層形成用組成物としては、下記(j),(k),(m)成分を含むものが挙げられる。
【0167】
(j)成分
(j)成分は、下記一般式(21)
(R1)nSi(OR2)4−n ・・・・・(21)
(式中、R1は、2個存在するときは同一または異なり、炭素数1〜10の1価の有機基を示し、R2は、同一または異なり、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基を示し、nは1〜2の整数である)で表されるオルガノシラン(以下「オルガノシラン(1)」という)およびオルガノシラン(1)の加水分解物から選択された少なくとも1種であり、光触媒層形成用組成物中においては結合剤としての働きをするものである。
ここで、上記オルガノシラン(1)の加水分解物は、オルガノシラン(1)に2〜4個含まれるOR2基がすべて加水分解されている必要はなく、例えば、1個だけが加水分解されているもの、2個以上が加水分解されているもの、あるいはこれらの混合物であってもよい。
上記のように、(j)成分として、オルガノシラン(1)を加水分解物として使用する場合は、あらかじめ加水分解させて(j)成分として使用することもできるが、オルガノシラン(1)を残りの成分と混合して組成物を調整する際に、適量の水を添加することにより、オルガノシラン(1)を加水分解させて(j)成分とすることが好ましい。
オルガノシラン(1)の加水分解に用いられる水の使用量は、オルガノシラン(1)1モルに対して、通常、0.3〜3モル、好ましくは0.4〜2モル程度である。
上記(j)成分は、単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0168】
一般式(21)において、R1の炭素数1〜10の1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基などのアルキル基;アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ベンゾイル基、トリオイル基、カプロイル基などのアシル基;ビニル基、アリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、エポキシ基、グリシジル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アミド基、フルオロアセトアミド基、イソシアナート基などのほか、これらの基の置換誘導体などを挙げることができる。
【0169】
R1の置換誘導体における置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のアミノ基、水酸基、メルカプト基、イソシアナート基、グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アンモニウム塩基などを挙げることができる。ただし、これらの置換誘導体からなるR1の炭素数は、置換基中の炭素原子を含めて8以下である。
一般式(21)中に、R1が2個存在するときは、相互に同一でも異なってもよい。
【0170】
また、R2の炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基などを挙げることができ、炭素数1〜6のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、カプロイル基などを挙げることができる。
一般式(21)中に複数個存在するR2は、相互に同一でも異なってもよい。
【0171】
このようなオルガノシラン(1)の具体例としては、
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどのトリアルコキシシラン類;
【0172】
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどのジアルコキシシラン類のほか、メチルトリアセチルオキシシラン、ジメチルジアセチルオキシシランなどを挙げることができる。
【0173】
これらのうち、トリアルコキシシラン類としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランが好ましく、さらに、ジアルコキシシラン類としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランが好ましい。また、(j)成分の一部として、上記一般式(21)におけるR1が炭素数が3〜10の有機基であるものを含有することが好ましい。炭素数3〜10の有機基としては、例えば、n−プロピル基、i−プロピル基、ブチル基などのアルキル基のほか、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリクロロプロピル基、3−グリシドキシプロピル基、3−メタクリルオキシプロピル基、3−メルカプト基、3−メルカプトプロピル基、フェニル基、3,4−エポキシシキロヘキシルエチル基等が挙げられる。このようなオルガノシランの具体的には、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシランなどが挙げられ、好ましくは、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。これらのオルガノシランは、(j)成分全体の1〜25%程度含まれていることが好ましい。
【0174】
上記オルガノシラン(1)としては、特に、トリアルコキシシランのみ、あるいは、トリアルコキシシラン40〜95モル%とジアルコキシシラン60〜5モル%との組み合わせが好ましい。ジアルコキシシランをトリアルコキシシランと併用することにより、得られる塗膜を柔軟化し、耐クラック性を向上させることができる。
【0175】
(k)成分
(k)成分は、SiO結合を有し、重量平均分子量が300〜100,000の3官能および/または2官能のシロキサンオリゴマーであり、単独で使用しても2種以上の混合物であってもよい。(k)成分の製法は、特に規定はないが、主にクロロシランの縮合物あるいはアルコキシシランの縮合物が好ましい。上記シロキサンオリゴマーにおいて、シロキサンの末端官能基は、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜15の有機基〔例えば、アルキル基、アシル基、アルコキシル基、アルコキシシリル基、ビニル基、アリル基、アセトキシル基、アセトキシシリル基、シクロアルキル基、フェニル基、グリシジル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アミド基、フルオロアセトアミド基、イソシアナート基〕のほか、−(RO)p−(R′O)q−R″(式中、RおよびR′は、同一または異なり、炭素数1〜5のアルキル基を示し、R″は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を示し、pおよびqは、p+qの値が2〜30の整数である)で表される基である。これらの基は、部分的に加水分解・縮合したものであってもよく、置換誘導体であってもよい。
【0176】
上記ハロゲン原子としては、フッ素、塩素などが挙げられる。
また、炭素数1〜15のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられ、アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ベンゾイル基、トリオイル基などが挙げられ、アルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられ、アルコキシシリル基としては、メトキシシリル基、エトキシシリル基、プロポキシシリル基、ブトキシシリル基などが挙げられる。
−(RO)n−(R′O)m−R″で表される基は、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)基などのポリオキシアルキレン基である。(k)成分がこのような末端官能基を有することにより、(j)成分と(k)成分との共縮合物が親水性となるほか、ポリオキシアルキレン基の部分が(m)成分や(n)成分に吸着しやすいため、(m)成分や(n)成分の分散安定性が向上する。
【0177】
上記置換誘導体における置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のアミノ基、水酸基、メルカプト基、イソシアナート基、グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アンモニウム塩基、ケトエステル基などを挙げることができる。
【0178】
(k)成分の重量平均分子量(以下「Mw」ともいう)は、300〜100,000、特に好ましくは600〜50,000である。300未満では、得られる塗膜の柔軟性が不足し、一方、100,000を超えると、得られるコーティング組成物が保存安定性に乏しいものとなるため、好ましくない。
また、(k)成分としては、Mwの異なる2種のオリゴマーを混合して用いてもよく、例えば、Mw=400〜2,800のオリゴマーと、Mw=3,000〜50,000のオリゴマーとを混合して用いても良い。
【0179】
(k)成分の市販品には、東レ・ダウコーニング社製のシリコンレジン、東芝シリコーン(株)製のシリコンレジン、信越化学工業(株)製のシリコンレジン、ダウコーニング・アジア(株)製のヒドロキシル基含有ポリジメチルシロキサン、日本ユニカ(株)製のシリコンオリゴマーなどがあり、これらをそのまま、または縮合させて使用してもよい。
上記(k)成分は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0180】
(j)成分と(k)成分との使用割合は、(j)成分5〜95重量%、好ましくは10〜90重量%、(k)成分5〜95重量%、好ましくは10〜90重量%〔ただし、(j)+(k)=100重量%〕である。(j)成分が5重量%未満では、得られるコーティング組成物が硬化性に乏しいものとなる場合があり、一方、95重量%を超えると、耐クラック性が低下する場合がある。
【0181】
なお、光触媒層形成用組成物において、(k)成分は、通常、上記の(j)成分とともに、共・加水分解、縮合される。
この場合、オルガノシラン(1)や(k)シロキサンの加水分解・縮合水の使用量は、オルガノシラン(1)および(k)シロキサンの合計1モルに対して、通常、0.3〜3モル、好ましくは、0.4〜2モル程度である。
この際の加水分解・縮合反応、すなわち光触媒層形成用組成物の調製時における反応は、温度30〜80℃、好ましくは40〜70℃、反応時間0.5〜10時間、好ましくは1〜7時間程度である。
また、光触媒層形成用組成物において、(j)成分と(k)成分とが共加水分解・縮合した場合の共加水分解縮合物(加水分解物および/またはその縮合物)の重量平均分子量は、通常、500〜100,000、好ましくは、600〜80,000程度である。
【0182】
(m)光触媒
(m)光触媒としては、好ましくは光触媒能を有する半導体の粉体および/またはゾルが挙げられる。
【0183】
光触媒能を有する半導体としては、例えば、TiO2、TiO3、SrTiO3、FeTiO3、WO3、SnO2、Bi2O3、In2O3、ZnO、Fe2O3、RuO2、CdO、CdS、CdSe、GaP、GaAs、CdFeO3、MoS2、LaRhO3、GaN、CdP、ZnS、ZnSe、ZnTe、Nb2O5、ZrO2、InP、GaAsP、InGaAlP、AlGaAs、PbS、InAs、PbSe、InSbなどを挙げることができ、このうち、好ましいものは、TiO2、ZnOであり、特に好ましいものはアナターゼ型の構造を含むTiO2である。
【0184】
上記(m)成分の光触媒能により、微弱な光によっても短時間で塗膜表面が親水性化され、その結果、他の塗膜性能を実質的に損なうことなく、塗膜の耐汚染性を著しく改善できることが明らかとなった。しかも、光触媒層形成用組成物から得られる塗膜中では、通常、(m)成分が上記(j)成分などと結合を有しており、塗膜の親水性、耐汚染性が長期にわたり持続される。
【0185】
また、上記半導体は、粉体および/またはゾルの態様で使用されることが望ましい。詳細には、粉体、水に分散した水系ゾル、イソプロピルアルコールなどの極性溶媒やトルエンなどの非極性溶媒に分散した溶媒系ゾルの3種類のうちのいずれかの態様をとることが望ましい。溶媒系ゾルの場合、半導体の分散性によっては、さらに水や溶媒で希釈して用いてもよい。これらの存在形態における半導体の平均粒子径は、光触媒能の観点では小さいほど好ましい。この場合、半導体の平均粒子径が0.3μm以上であると、半導体の光隠ぺい作用により、塗膜が不透明になりやすい。また、0.3μm未満であると、塗膜が透明となる傾向にある。従って、半導体の平均粒子径は、組成物の用途に応じて適宜選択することができる。
【0186】
(m)成分が水系ゾルあるいは溶媒系ゾルである場合の固形分濃度は、50重量%以下が好ましく、さらに好ましくは、40重量%以下である。
【0187】
(m)成分を組成物中に配合する方法としては、上記(j)、(k)成分と後記(n)〜(r)成分などからなる組成物の調製後に添加してもよく、あるいは、この組成物の調製時に添加して、(m)成分の存在下で、(j)、(k)成分などを加水分解・縮合させることもできる。(m)成分を組成物の調製時に添加すると、(m)成分中の半導体化合物を(j)成分などと共縮合させることができ、得られる塗膜の塗膜耐久性が特に改善される。また、(m)成分が水系ゾルである場合は、組成物の調製時に添加するのが好ましく、さらに、後述する(q)成分の配合により、系内の粘性が上昇する場合にも、(m)成分を組成物の調製時に添加する方が好ましい。
【0188】
上記(m)成分は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
(m)成分の使用量は、(j)、(k)成分の完全加水分解縮合物100重量部に対して、固形分換算で、通常、1〜500重量部、好ましくは、5〜400重量部である。1重量部未満では、光触媒反応による防汚効果が不足する場合があり、一方、500重量部を超えると、得られるコーティング組成物の成膜性が低下する場合がある。
ここで、完全加水分解縮合物とは、例えば、オルガノシラン(1)のR2O−基などが100%加水分解してSiOH基となり、さらに完全に縮合するか、(k)成分が完全に縮合して、シロキサン構造になったものをいう。
【0189】
(n)コロイド状シリカおよび/またはコロイド状アルミナ
(n)成分は、光触媒層形成用組成物に添加することにより、光触媒活性(親水化能)を大幅に低下させることなく、酸化チタンなどの光触媒の含量を低減させることができる。また、有機物分解能を有する光触媒を低減させることで、基材・塗膜の耐久性を向上させることができる。
ここで、コロイド状シリカ、コロイド状アルミナとは、例えば、水または有機溶媒に分散した分散液であり、通常、平均粒径が1μm以下、好ましくは0.5μm以下、固形分濃度が10〜40重量%程度のものである。このようなコロイド状シリカとしては、例えば、日産化学工業(株)製、メタノールシリカゾルおよびイソプロパノールシリカゾル;触媒化成工業(株)製、オスカルなどが挙げられる。
また、コロイド状アルミナとしては、例えば、日産化学工業(株)製のアルミナゾル520、同100、同200;川研ファインケミカル(株)製のアルミナクリアーゾル、アルミナゾル10、同132などが挙げられる。
以上の(n)コロイド状シリカおよび/またはコロイド状アルミナは、1種単独であるいは2種以上を併用することができる。
また、光触媒層形成用組成物中の(n)成分としては、コロイド状シリカが特に好ましい。
【0190】
光触媒層形成用組成物における(n)成分の使用量は、(j)成分および(k)成分の完全加水分解縮合物100重量部に対して、固形分換算で、通常、5〜500重量部、好ましくは、10〜400重量部、さらに好ましくは、20〜200重量部である。この場合、(n)成分の使用量が5重量部未満では、親水化能が十分に発揮されず、塗膜表面の親水化速度が遅い場合がある。一方、500重量部を超えると、得られるコーティング剤の成膜性が劣り、割れや剥離を生ずる場合がある。
【0191】
(o)水および/または有機溶媒
上記有機溶媒は、上記(j),(k),(m)および(n)成分、ならびに任意成分である下記(p)〜(r)成分などを均一に混合させ、組成物の全固形分濃度を調整すると同時に、種々の塗装方法に適用できるようにし、かつ組成物の分散安定性および保存安定性をさらに向上させるために使用される。
【0192】
このような有機溶媒としては、上記各成分を均一に混合できるものであれば特に限定されないが、例えば、アルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などを挙げることができる。
これらの有機溶媒のうち、アルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレンモノメチルエーテルアセテート、ジアセトンアルコールなどを挙げることができる。
【0193】
また、芳香族炭化水素類の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを、エーテル類の具体例としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどを、ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどを、エステル類の具体例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレンなどを挙げることができる。
これらの有機溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0194】
(p)成分
(p)成分は、(j)成分や(k)成分などの加水分解・縮合反応を促進する触媒である。
(p)成分を使用することにより、得られる塗膜の硬化速度を高めるとともに、使用されるオルガノシラン成分の重縮合反応により生成されるポリシロキサン樹脂の分子量が大きくなり、強度、塗膜耐久性などに優れた塗膜を得ることができ、かつ塗膜の厚膜化や塗装作業も容易となる。
【0195】
このような(p)成分としては、酸性化合物、アルカリ性化合物、塩化合物、アミン化合物、有機金属化合物および/またはその部分加水分解物(以下、有機金属化合物および/またはその部分加水分解物をまとめて「有機金属化合物等」という)が好ましい。
上記酸性化合物としては、例えば、酢酸、塩酸、硫酸、リン酸、アルキルチタン酸、p−トルエンスルホン酸、フタル酸などを挙げることができ、好ましくは、酢酸である。
また、上記アルカリ性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを挙げることができ、好ましくは、水酸化ナトリウムである。
また、上記塩化合物としては、例えば、ナフテン酸、オクチル酸、亜硝酸、亜硫酸、アルミン酸、炭酸などのアルカリ金属塩などを挙げることができる。
【0196】
また、上記アミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ピペリジン、ピペラジン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、エタノールアミン、トリエチルアミン、3−アミノプロピル・トリメトキシシラン、3−アミノプロピル・トリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・トリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・トリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・メチル・ジメトキシシラン、3−アニリノプロピル・トリメトキシシランや、アルキルアミン塩類、四級アンモニウム塩類のほか、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられる各種変性アミンなどを挙げることができ、好ましくは、3−アミノプロピル・トリメトキシシラン、3−アミノプロピル・トリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・トリメトキシシランである。
【0197】
また、上記有機金属化合物等としては、例えば、下記一般式(24)で表される化合物(以下「有機金属化合物(4)」という)、同一のスズ原子に結合した炭素数1〜10のアルキル基を1〜2個有する4価スズの有機金属化合物(以下「有機スズ化合物」という)、あるいは、これらの化合物の部分加水分解物などを挙げることができる。
【0198】
M(OR5)r(R6COCHCOR7)s ・・・(24)
〔式中、Mはジルコニウム、チタンまたはアルミニウムを示し、R5およびR6は、同一または異なって、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基などの炭素数1〜6の1価の炭化水素基を示し、R7は、R5およびR6と同様の炭素数1〜6の1価の炭化水素基のほか、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ラウリルオキシ基、ステアリルオキシ基などの炭素数1〜16のアルコキシル基を示し、rおよびsは0〜4の整数で、(r+s)=(Mの原子価)である。〕
【0199】
有機金属化合物(4)の具体例としては、
(イ)テトラ−n−ブトキシジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどの有機ジルコニウム化合物;
【0200】
(ロ)テトラ−i−プロポキシチタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどの有機チタン化合物;
(ハ)トリ−i−プロポキシアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・アセチルアセトナートアルミニウム、i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどの有機アルミニウム化合物;
などを挙げることができる。
【0201】
これらの有機金属化合物(4)およびその部分加水分解物のうち、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、あるいは、これらの化合物の部分加水分解物が好ましい。
【0202】
また、有機スズ化合物の具体例としては、
(C4H9)2Sn(OCOC11H23)2、
(C4H9)2Sn(OCOCH=CHCOOCH3)2、
(C4H9)2Sn(OCOCH=CHCOOC4H9)2、
(C8H17)2Sn(OCOC8H17)2、
(C8H17)2Sn(OCOC11H23)2、
(C8H17)2Sn(OCOCH=CHCOOCH3)2、
(C8H17)2Sn(OCOCH=CHCOOC4H9)2、
(C8H17)2Sn(OCOCH=CHCOOC8H17)2、
(C8H17)2Sn(OCOCH=CHCOOC16H33)2、
(C8H17)2Sn(OCOCH=CHCOOC17H35)2、
(C8H17)2Sn(OCOCH=CHCOOC18H37)2、
(C8H17)2Sn(OCOCH=CHCOOC20H41)2、
【0203】
(C4H9)Sn(OCOC11H23)3、
(C4H9)Sn(OCONa)3
などのカルボン酸型有機スズ化合物;
【0204】
(C4H9)2Sn(SCH2COOC8H17)2、
(C4H9)2Sn(SCH2CH2COOC8H17)2、
(C8H17)2Sn(SCH2COOC8H17)2、
(C8H17)2Sn(SCH2CH2COOC8H17)2、
(C8H17)2Sn(SCH2COOC12H25)2、
(C8H17)2Sn(SCH2CH2COOC12H25)2、
(C4H9)Sn(SCOCH=CHCOOC8H17)3、
(C8H17)Sn(SCOCH=CHCOOC8H17)3、
【0205】
などのメルカプチド型有機スズ化合物;
【0206】
(C4H9)2Sn=S、(C8H17)2Sn=S、
などのスルフィド型有機スズ化合物;
【0207】
(C4H9)SnCl3、(C4H9)2SnCl2、
(C8H17)2SnCl2、
などのクロライド型有機スズ化合物;
(C4H9)2SnO、(C8H17)2SnOなどの有機スズオキサイドや、これらの有機スズオキサイドとシリケート、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フタル酸ジオクチルなどのエステル化合物との反応生成物;
などを挙げることができる。
【0208】
(p)成分は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができ、また亜鉛化合物やその他の反応遅延剤と混合して使用することもできる。
【0209】
(p)成分は、組成物を調製する際に配合してもよく、また、塗膜を形成する段階で組成物に配合してもよく、さらには、組成物の調製と塗膜の形成との両方の段階で配合してもよい。
(p)成分の使用量は、有機金属化合物等以外の場合、上記(j)成分を構成するオルガノシラン(1)中に含まれるOR21モルに対して、通常、0〜10モル、好ましくは、0.001〜5モル、さらに好ましくは、0.001〜2モルであり、有機金属化合物等の場合、上記(j)成分を構成するオルガノシラン(1)中に含まれるOR21モルに対して、通常、0〜10モル、好ましくは、0.001〜7モル、さらに好ましくは、0.001〜5モルである。この場合、(p)成分の使用量が10モルを超えると、組成物の保存安定性が低下したり、塗膜にクラックが発生しやすくなる傾向がある。
【0210】
(q)成分
(q)成分は、下記一般式(25)
R6COCH2COR7 ・・・(25)
〔式中、R6およびR7は、有機金属化合物(4)における上記各一般式のそれぞれR6およびR7と同義である〕で表されるβ−ジケトン類およびβ−ケトエステル類、カルボン酸化合物、ジヒドロキシ化合物、アミン化合物、およびオキシアルデヒド化合物からなる群から選択される少なくとも1種である。
このような(q)成分は、特に、上記(p)成分として有機金属化合物等を使用する場合に併用することが好ましい。
【0211】
(q)成分は、組成物の安定性向上剤として作用するものである。すなわち、(q)成分が上記有機金属化合物等の金属原子に配位して、該有機金属化合物等による上記(j)成分と(k)成分の共縮合反応を促進する作用を適度にコントロールすることにより、得られる組成物の保存安定性をさらに向上させる作用をなすものと推定される。
【0212】
(q)成分の具体例としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec−ブチル、アセト酢酸−t−ブチル、ヘキサン−2,4−ジオン、ヘプタン−2,4−ジオン、ヘプタン−3,5−ジオン、オクタン−2,4−ジオン、ノナン−2,4−ジオン、5−メチルヘキサン−2,4−ジオン、マロン酸、シュウ酸、フタル酸、グリコール酸、サリチル酸、アミノ酢酸、イミノ酢酸、エチレンジアミン四酢酸、グリコール、カテコール、エチレンジアミン、2,2−ビピリジン、1,10−フェナントロリン、ジエチレントリアミン、2−エタノールアミン、ジメチルグリオキシム、ジチゾン、メチオニン、サリチルアルデヒドなどを挙げることができる。これらのうち、アセチルアセトン、アセト酢酸エチルが好ましい。(q)成分は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0213】
(q)成分の使用量は、上記有機金属化合物等における有機金属化合物1モルに対して、通常、2モル以上、好ましくは3〜20モルである。この場合、(q)成分の使用量が2モル未満では、得られる組成物の保存安定性の向上効果が不充分となる傾向がある。
【0214】
(r)成分
(r)成分は、光触媒能を有さない、無機化合物の粉体および/またはゾルもしくはコロイドからなり、塗膜の所望の特性に応じて配合される。ただし、光触媒層形成用組成物においては、(r)成分として、上記(n)成分であるコロイド状シリカやコロイド状アルミナは除く。
(r)成分がゾルもしくはコロイド状の場合には、その平均粒径は、通常、0.001〜100μm程度である。
【0215】
(r)成分をなす化合物の具体例としては、AlGaAs、Al(OH)3、Sb2O5、Si3N4、Sn−In2O3、Sb−In2O3、MgF、CeF3、CeO2、3Al2O3・2SiO2、BeO、SiC、AlN、Fe、Co、Co−FeOx、CrO2、Fe4N、BaTiO3、BaO−Al2O3−SiO2、Baフェライト、SmCO5、YCO5、CeCO5、PrCO5、Sm2CO17、Nd2Fe14B、Al4O3、α−Si、SiN4、CoO、Sb−SnO2、Sb2 O5、MnO2、MnB、CO3O4、CO3B、LiTaO3、MgO、MgAl2O4、BeAl2O4、ZrSiO4、ZnSb、PbTe、GeSi、FeSi2、CrSi2、CoSi2、MnSi1.73、Mg2Si、β−B、BaC、BP、TiB2、ZrB2、HfB2、Ru2Si3、TiO2(ルチル型)、TiO3、PbTiO3、Al2TiO5、Zn2SiO4、Zr2SiO4、2MgO2−Al2O3−5SiO2、Nb2O5、Li2O−Al2O3−4SiO2、Mgフェライト、Niフェライト、Ni−Znフェライト、Liフェライト、Srフェライトなどを挙げることができる。
これら(r)成分は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0216】
(r)成分の存在形態には、粉体、水に分散した水系のゾルもしくはコロイド、イソプロピルアルコールなどの極性溶媒や、トルエンなどの非極性溶媒中に分散した溶媒系のゾルもしくはコロイドがある。溶媒系のゾルもしくはコロイドの場合、半導体の分散性によってはさらに水や溶媒にて希釈して用いてもよく、また分散性を向上させるために表面処理して用いてもよい。
【0217】
(r)成分が、水系のゾルもしくはコロイド、あるいは溶媒系のゾルもしくはコロイドである場合、固形分濃度は40重量%以下が好ましい。
【0218】
(r)成分を組成物中に配合する方法としては、組成物の調製後に添加してもよく、あるいは、組成物の調製時に添加して、(r)成分を、上記(j)成分、(k)成分あるいは上記縮合物などと共加水分解・縮合させてもよい。
【0219】
(r)成分の使用量は、上記(j)成分の完全加水分解縮合物100重量部に対して、固形分で、通常、0〜500重量部、好ましくは、0.1〜400重量部である。
【0220】
さらに、光触媒層形成用組成物には、所望により、オルトギ酸メチル、オルト酢酸メチル、テトラエトキシシランなどの公知の脱水剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、ポリカルボン酸塩、ポリリン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリアミドエステル塩、ポリエチレングリコールなどの分散剤;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース類や、ひまし油誘導体、フェロけい酸塩などの増粘剤;炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、カルシウムアジドなどの無機発泡剤や、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物、ジフェニルスルホン−3,3′−ジスルホヒドラジンなどのヒドラジン化合物、セミカルバジド化合物、トリアゾール化合物、N−ニトロソ化合物などの有機発泡剤のほか、界面活性剤、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、染料、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、レベリング剤などの他の添加剤を配合することもできる。
【0221】
なお、光触媒層形成用組成物には、他の樹脂をブレンドしてもよい。他の樹脂としては、アクリル−ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、アクリル樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂エマルジョン、エポキシ樹脂エマルジョン、ポリウレタンエマルジョン、ポリエステルエマルジョンなどが挙げられる。
【0222】
光触媒層形成用組成物を調製するに際しては、(p)成分と(q)成分とを使用しない場合は、各成分の混合方法は特に限定されないが、(p)成分と(q)成分とを使用する場合は、好ましくは、(j),(k),(m)〜(r)成分のうち(q)成分を除いた混合物を得たのち、これに(q)成分を添加する方法が採用される。
【0223】
光触媒層形成用組成物の調製法としては種々の方法が採れるが、具体例としては、下記▲1▼〜▲4▼の方法などが挙げられる。
▲1▼(j)成分を構成するオルガノシラン(1)、(k),(m),(n)成分および必要量の有機溶媒からなる混合物において加水分解・縮合反応を行う。
▲2▼(j)成分を構成するオルガノシラン(1)、(k)成分および必要量の有機溶媒からなる混合物に、所定量の水を加えて加水分解・縮合反応を行い、次いで(m)、(n)成分を加え混合して調整終了とするか、またはさらに縮合反応を行う。
【0224】
▲3▼(j)成分を構成するオルガノシラン(1)、(k)、(m)成分および必要量の有機溶媒からなる混合物に、所定量の水を加えて加水分解・縮合反応を行い、次いで(n)成分を加え混合して調整終了とするか、またはさらに縮合反応を行う。
▲4▼(j)成分を構成するオルガノシラン(1)、(k)、(n)成分および必要量の有機溶媒からなる混合物に、所定量の水を加えて加水分解・縮合反応を行い、次いで(m)成分を加え混合して調整終了とするか、またはさらに縮合反応を行う。
【0225】
光触媒層形成用組成物の全固形分濃度は、通常、3〜50重量%、好ましくは、5〜40重量%で調整され、光触媒層形成用組成物をコーティングする場合は使用目的に応じて適宜調整される。組成物の全固形分濃度が45重量%を超えると、保存安定性が低下する傾向がある。
【0226】
光触媒層形成用組成物を基材に塗布する際には、刷毛、ロールコーター、フローコーター、遠心コーター、超音波コーター、(マイクロ)グラビアコーターなどを用いたり、ディップコート、流し塗り、スプレー、スクリーンプロセス、電着、蒸着などが挙げられる。
【0227】
光触媒層形成用組成物の場合、乾燥膜厚として、1回塗りで厚さ0.05〜20μm程度、2回塗りでは厚さ0.1〜40μm程度の塗膜を形成することができる。その後、常温で乾燥するか、あるいは、30〜200℃程度の温度で、通常、1〜60分程度加熱して乾燥することにより、塗膜を形成することができる。
【0228】
なお、あらかじめ光触媒層形成用組成物を使用して下塗りを施す場合には、乾燥膜厚として、1回塗りで厚さ0.05〜20μm程度、2回塗りでは厚さ0.1〜40μm程度の塗膜を形成させることができる。その後、常温で乾燥するか、あるいは、30〜200℃程度の温度で、通常、1〜60分程度加熱して乾燥することにより、各種の基材に塗膜を形成することができる。
なお、下塗りと上塗りの総計膜厚は、乾燥膜厚で、通常、0.1〜80μm、好ましくは、0.2〜60μm程度である。
【0229】
本発明の好ましい態様としては、図1に示すとおり、本発明の基体1上に、導電性膜形成用組成物からなる導電性膜2(電極)、n型シリコンインゴットを使用したシリコン膜形成用組成物からなる半導体膜3、i型シリコンインゴットを使用したシリコン膜形成用組成物からなる半導体膜4、p型シリコンインゴットを使用したシリコン膜形成用組成物からなる半導体膜5、透明導電性膜形成用組成物からなる透明導電性膜6(電極)、光触媒層7、グリッド電極8、が番号順に積層されてなる太陽電池である。
上記グリッド電極8は、例えば、光触媒層上に市販の銀ペースト(例えば、田中貴金属(株)製、商品名「銀ペースト3350C」)をスクリーン印刷するなど公知の方法により容易に形成することができる。
【0230】
【実施例】
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例中の部および%は、特に断らない限り重量部および重量%である。また、各種評価は下記の方法で測定した。
【0231】
(1)数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)およびMw/Mn
ウォーターズ(WATERS)社製150C型ゲルパーミエションクロマトグラフィー(GPC)装置で東ソー(株)製Hタイプカラムを用い、o−ジクロロベンゼンを溶媒として120℃で測定した。得られた分子量は標準ポリスチレン換算値である。
(2)抵抗率
広がり抵抗測定法〔日本結晶学会誌、18巻、34頁(1976)〕により測定した。単位はΩcmである。
【0232】
(3)破断強度および破断伸び
JIS K7118に準じて引っ張り速度3mm/minで測定した。
(4)全光線透過率
ASTM−D1003に準拠し、厚さが約100μmのフィルムにして、全光線透過率を測定した。
【0233】
(5)ガラス転移温度(Tg)
ガラス転移温度は動的粘弾性で測定されるTanδ(貯蔵弾性率E’と損失弾性率E”との比 Tanδ=E”/E’)の温度分散のピーク温度で測定した。
動的粘弾性の測定はレオバイブロンDDV−01FP(オリエンテック製)を用い、測定周波数が10Hz、昇温速度が4℃/分、加振モードが単一波形、加振振幅が2.5μmのものを用いてTanδのピーク温度を測定した。
(6)線膨張係数
TMA(Thermal Mechanical Analysis)/SS6100(セイコーインスツルメント社製)を用いて試料形状 膜厚150μm、幅3mm、長さ10cm、チャック間距離10mmで試料を固定し、室温から200℃程度まで一旦昇温して残留歪みを除いた後、室温から3℃/minで昇温し、チャック間距離の伸びから線膨張係数を求めた。
【0234】
(7)フィルムの寸法変化
膜厚150μm、縦横90mm×90mmの正方形型のフィルムを90℃の水に2時間浸漬した後に、大気下200℃で加熱し、正方形の4辺の収縮を観測した。収縮後の寸法(L′)と収縮前の寸法(L)を測定し、変化の大きさ((L′−L)/L)を求めた。
【0235】
基体フィルムの製造
合成例1
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンを700ミリモル、endo−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン(endo/exo=96/4)を570ミリモル、5−トリエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンを30ミリモル、1−ヘキセンを5ミリモル、溶媒としてシクロヘキサン400g、塩化メチレン100gを2Lのステンレス製反応器に窒素下で仕込んだ。
オクタン酸ニッケルのヘキサン溶液とヘキサフロロアンチモン酸を−10℃、モル比1:1で反応させ、副生するビス(ヘキサフロロアンチモン酸)ニッケル、[Ni(SbF6)2]の沈殿をろ過で除去し、トルエンで希釈した。得られたオクタン酸ニッケルのヘキサフロロアンチモン酸変性体をニッケル原子に換算して0.40ミリモルに相当する量、三フッ化ホウ素エチルエーテラート1.2ミリモル、メチルアルモキサン8.0ミリモル、1,5−シクロオクタジエン0.4ミリモル、メチルトリエトキシシラン8.0ミリモルを、メチルトリエトキシシラン、1,5−シクロオクタジエン、メチルアルモキサン、三フッ化ホウ素エチルエーテラート、オクタン酸ニッケルのヘキサフロロアンチモン酸変性体の順に仕込み、重合を開始した。30℃で3時間重合を行い、メタノールを添加して重合を停止した。単量体の共重合体への転化率は92%であった。
【0236】
共重合体溶液にシクロヘキサン480gを加えて希釈し、そこに水660ml、乳酸48ミリモルを加え、充分に攪拌混合した後、共重合体溶液と水相を静置分離した。触媒成分の反応物を含む水相を除去し、共重合体溶液を4Lのイソプロピルアルコールに入れて共重合体を凝固し、未反応単量体および触媒残さを除去した。凝固した共重合体を乾燥し、共重合体を75g得た。1H−NMRスペクトルから求められた、共重合体中の5−トリエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンに由来する構造単位の割合は2.1モル%、未反応の単量体のガスクロマトグラフ分析から計算された、endo−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エンに由来する構造単位の割合は35モル%であった。また、共重合体のポリスチレン換算のMnは89,000、Mwは187,000、で、Mw/Mnは2.1であった。
【0237】
次に、共重合体10gをシクロヘキサン35.5gに溶解して、酸化防止剤としてペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を共重合体100部に対して1.0部、および架橋触媒としてトリブトキシホスファイトを共重合体100部に対して0.5部それぞれ添加した。この共重合体溶液をキャストして、生成したフィルムを150℃で2時間乾燥、さらに真空下200℃で1時間乾燥して、厚さ150μmの未架橋フィルムを作製した。さらにこのフィルムを150℃の水蒸気下で4時間熱処理した。その後、真空下200℃で1時間乾燥して、厚さ150μmの基体フィルム(架橋フィルム)を得た。
この基体フィルムの破断強度は49.5MPaであり、破断伸びは6.3%であった。基体フィルムの全光線透過率は91%、Tgは375℃、線膨張係数は50%、フィルムの寸法変化は−350ppmであった。
【0238】
シリコン膜形成用組成物の調製
合成例2(シクロペンタシランの合成)
温度計、冷却コンデンサー、滴下ロートおよび攪拌装置を取り付けた内容量が3Lの4つ口フラスコ内をアルゴンガスで置換した後、乾燥したテトラヒドロフラン1Lとリチウム金属18.3gを仕込み、アルゴンガスでバブリングした。この懸濁液を0℃で攪拌しながらジフェニルジクロロシラン333gを滴下ロートより添加し、滴下終了後、室温下でリチウム金属が完全に消失するまでさらに12時間攪拌を続けた。反応混合物を5Lの氷水に注ぎ、反応生成物を沈殿させた。この沈殿物を濾別し、水でよく洗滌した後シクロヘキサンで洗滌し、真空乾燥することにより白色固体140gを得た。この白色固体100gと乾燥したシクロヘキサン1,000mLを2Lのフラスコに仕込み、塩化アルミニウム4gを加え、攪拌しながら室温下で乾燥した塩化水素ガスを8時間バブリングした。ここで別途に、水素化リチウムアルミニウム40gとジエチルエーテル400mLを3Lのフラスコに仕込み、アルゴン雰囲気下、0℃で攪拌しながら上記反応混合物を加え、同温にて1時間撹拌後さらに室温で12時間撹拌を続けた。反応混合物より副生物を除去した後、70℃、10mmHgで減圧蒸留を行ったところ、無色の液体が10g得られた。このものはIR、1H−NMR、29Si−NMR、GC−MSの各スペクトルより、シクロペンタシランであることが判った。
【0239】
合成例3(高次シランのシクロペンタシラン溶液の合成)
アルゴン雰囲気下、合成例1で得られたシクロペンタシラン10gを100mLのフラスコに加え、攪拌しながら500Wの高圧水銀灯を30分間照射したところ、白色固体が得られた。ここで得られた白色固体はトルエン、シクロヘキサンには不溶であった。このものに、合成例2で得られたシクロペンタシランを100g加えたところ、無色透明の高次シランのシクロペンタシラン溶液が得られた。
【0240】
合成例4(i型シリコン膜形成用組成物の調製)
シリコン単結晶インゴット(抵抗率2×103Ωcm)を乾式粉砕した平均粒径100μmのシリコン粉を王水で洗浄後、さらに1%濃度のフッ化水素酸で洗浄したもの60gと脱気したキシレン340gおよびCCl4 60gを窒化シリコン製のビーズミルに仕込み、窒素雰囲気中、60℃で50分間湿式粉砕し、平均粒子径0.15μmのシリコン微粒子のキシレン分散液を得た。
次いで、この分散液100gに合成例3で得られた高次シランのシクロペンタシラン溶液10gを加えシリコン微粒子、高次シランおよびシクロペンタシランを含有するi型シリコン膜形成用組成物を調整した。
【0241】
合成例5(p型シリコン膜形成用組成物の調製)
合成例4において、シリコン単結晶インゴットに替えてホウ素原子を1018atom/cm3の濃度ドーピングしたp型のシリコン単結晶インゴット(抵抗率0.5Ωcm)を用いた他は、合成例4と同様にして実施し、p型シリコン膜形成用組成物を調製した。
合成例6(n型シリコン膜形成用組成物の調製)
合成例4において、シリコン単結晶インゴットに替えてリン原子を1017atom/cm3の濃度でドーピングしたn型のシリコン単結晶インゴット(抵抗率0.1Ωcm)を用いた他は、合成例4と同様にして実施し、n型シリコン膜形成用組成物を調製した。
【0242】
透明導電性膜形成用組成物の調製
合成例7
酢酸インジウム146g(0.5mol)および2−エチルヘキサン酸スズ17.3g(0.025mol)をn−プロパノール1000mL中で混合、攪拌し、それらの混合液にジエタノールアミン105g(1.0mol)およびモノエタノールアミン61g(1.0mol)を添加して1時間攪拌することにより、透明導電性膜形成用組成物を調製した。
【0243】
光触媒層形成用組成物の調製
合成例8
還流冷却器、撹拌機を備えた反応器に、メチルトリメトキシシラン100部、酸化チタンの水系ゾル100部(酸化チタン含量40%、水40%、アルコール20%)、シリカの溶媒系ゾル75部(溶液)、i−プロピルアルコール200部を加えて混合し、攪拌下、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、3−アミノプロピルトリメトキシシラン20部を後添加して、固形分濃度20%の光触媒層形成用組成物を調製した。この組成物中のメチルトリメトキシシランの部分縮合物のMwは、3,000であった。
【0244】
実施例1
合成例1で得られた膜厚150μmの基体フィルムに、銀ペースト(田中貴金属(株)製、「銀ペースト3350C」)をロールコーターにより塗布した後、110℃にて5分間加熱することにより厚さ0.5μmの導電成膜を形成した。
この導電成膜上に、さらに合成例6で得られたn型シリコン膜形成用組成物を窒素雰囲気下でワイヤコーターにより塗布し、次いで250℃にて1時間加熱し、厚さ1.2μmのn型シリコン層を形成した。次いで、合成例4で調製したi型シリコン膜形成用組成物をワイヤコーターにより塗布し、250℃にて1時間加熱することにより、厚さ6.5μmのi型シリコン層を形成し、さらに合成例5で調製したp型シリコン膜形成用組成物をワイヤコーターにより塗布し、250℃にて1時間加熱することにより、厚さ1.1μmのp型シリコン層を形成した。
続いて、合成例7で調製した透明導電性膜形成用組成物をワイヤーコーターにて塗布し、空気中300℃にて30分間加熱することにより、厚さ0.1μmの透明導電性膜(透明電極)を形成した。
続いて、合成例8で調製した光触媒層形成用組成物をスプレーコート法にて塗布し、空気中で300℃で30分間加熱することにより、厚さ0.2μmの光触媒層を形成した。
次いで、この光触媒層上に、銀ペースト(田中貴金属(株)製、「銀ペースト3350C」)をスクリーン印刷してグリッド電極を形成した。
以上のようにして、図1に示した如く、基体フィルム上に導電性膜(銀電極)、n型シリコン膜、i型シリコン膜、p型シリコン膜、透明導電性膜、および光触媒層が順次積層された構造の本発明の太陽電池を作製した。
かくして全工程を塗布法により得られた太陽電池はフレキシブルで充分な柔軟性を有していた。この太陽電池出力試験をソーラーシミュレーター(日本分光(株)製)で評価したところ、AM1.5で100mW/cm2の照度で開放電圧0.45V、発電効率2.0%であった。
【0245】
【発明の効果】
本発明の太陽電池は、柔軟性、耐衝撃性、透明性、耐熱性に優れ、低い線膨張係数を有する基体上にシリコン膜形成用組成物を塗布することにより形成された半導体膜を有するため、大面積化にも大型設備を必要とせず、モジュールとして使用する必要が無いため、製造効率がよく、製品の貯蔵、運搬費用が低廉化でき、安価に電力を供給することができる。また、軽量かつ軽容量なため貯蔵、輸送、据え付け時などにおけるハンドリングに有利であり、一般家屋の屋根に設置することが容易となるため太陽電池の普及に資するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で得られた太陽電池の断面を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 基体
2 導電性膜(銀電極)
3 n型シリコン膜
4 i型シリコン膜
5 p型シリコン膜
6 透明導電性膜
7 光触媒層
8 グリッド電極
【発明の属する技術分野】
本発明は、太陽電池に関し、さらに詳しくは、太陽電池の基板として適当な物理特性を有する樹脂基板上に、簡便な方法で形成された半導体膜を有する太陽電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題に対する意識の高まりから環境汚染が無くクリーンなエネルギー源としての太陽電池が注目され、有用なエネルギー資源としての太陽エネルギー利用の面から鋭意研究され実用化が進んでいる。太陽電池には様々な形態があり、その代表的なものとして結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池の他、銅インジウムセレナイド太陽電池、化合物半導体太陽電池が知られている。このうち、薄膜結晶太陽電池、薄膜アモルファス太陽電池はシリコン使用量が少なく、シリコンウェハを用いる太陽電池に比べ材料コストは比較的低く製造される利点を有する。しかしながら、薄膜シリコンはプラズマCVDやスパッタリングなどの真空方式で薄膜が形成されるため、大面積化するためには製造装置が大がかりになる。その結果、太陽電池としての製造コストは高くなってしまい、安価に電力を供給するためのネックになっている。さらに従来の単結晶または多結晶シリコン太陽電池は、シリコンウェハ自体を基板にするため耐衝撃性に乏しく、またアモルファスシリコン太陽電池もガラス基板を用いるため耐衝撃性に乏しい。従って、単結晶、多結晶またはアモルファスシリコン太陽電池は、頑丈なハウジングを施したモジュールとして使用されている。そのため、モジュールとしての総重量、総容積が、太陽電池として本質的に必要な部材の重量、容積を大きく上回ることとなり、製造効率上の問題があり、また製品の貯蔵や運搬に多大なコストがかかっている。さらに、一般家屋の屋根材の耐久性には限界があることから、このような重厚長大なモジュールを使用することは、太陽電池の普及の妨げともなっていた。
【0003】
最近、このような事情を鑑み、基板として軽量のプラスチックを用いる試みがなされている。例えば、特定のポリイミド樹脂を太陽電池の基板に用いることにより、太陽電池が軽量化でき、かつハンドリングが容易である旨の提案がなされている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、特許文献1では、樹脂フィルム上に半導体膜を蒸着法により形成する際に、フィルムにカールが生じないことを解決すべき課題としており、その課題を解決すべく当該ポリイミド樹脂に至ったものであり、太陽電池の基板としての樹脂にいかなる物理特性が要求されるべきかについての考察はなされていない。なお、ポリイミド樹脂は、破断伸び、破断強度、耐熱性に優れ、低い線膨張係数を示すが、透明性に劣るため、太陽光のエネルギーの有効利用度が低くなる欠点を有している。
また、太陽電池の基板としてフレキシブルな樹脂を使用すれば、太陽電池の製造工程上有利である旨の提案がなされている(例えば特許文献2および3参照。)。しかし、これら特許文献では、フレキシブルな樹脂を基板として使用する太陽電池の製造工程の概念が示されているに過ぎず、具体的に使用しうる樹脂の種類やその物理特性などに関する考察はなされていない。例えば、公知のフレキシブルな樹脂である、ポリカーボネート樹脂、環状オレフィンの開環重合体(例えば、日本ゼオン(株)製、商品名ZEONEX)などは、透明性、耐熱性に優れ、低い線膨張係数を示すが、破断伸び、破断強度に劣るため、太陽電池の基体としての柔軟性、耐衝撃性に乏しい。
【0004】
ところで、太陽電池に用いられるアモルファスシリコン膜や多結晶シリコン膜の形成方法としては、モノシランガスやジシランガスの熱CVD(Chemical Vapor Deposition)法、プラズマCVD法あるいは光CVD法などが利用されている。一般的にはポリシリコン膜の形成には熱CVD法(例えば、非特許文献1参照。)が、またアモルファスシリコン膜の形成にはプラズマCVD法(例えば、非特許文献2参照)が広く用いられている。
しかし、これらのCVD法によるシリコン膜の形成においては、気相反応を用いるため気相でシリコン粒子の副生による装置の汚染や異物の発生が生じ、生産歩留まりが低い、原料がガス状であるため表面に凹凸のある基板上には均一膜厚のものが得られにくい、膜の形成速度が遅いため生産性が低い、プラズマCVD法においては複雑で高価な高周波発生装置や真空装置などが必要である、などの問題がありさらなる改良が待たれていた。
また、材料面では毒性、反応性の高いガス状の水素化ケイ素を用いるため取り扱いに難点があるのみでなく、ガス状であるため密閉状の真空装置が必要である。一般にこれらの装置は大掛かりなもので装置自体が高価であるのみでなく、真空系やプラズマ系に多大のエネルギーを消費するため製品のコスト高につながっている。
【0005】
近年、これに対して真空系を使わずに液体状の水素化ケイ素を塗布する方法が提案されている。例えば、ガス状の原料を冷却した基板上に液体化して吸着させ、化学的に活性な原子状の水素と反応させてシリコン系の薄膜を形成する方法が開示されている(例えば特許文献4参照。)。しかしこの方法によると、原料の水素化ケイ素を気化と冷却を続けて行うため複雑な装置が必要になるのみでなく、膜厚の制御が困難であるという問題がある。
また、低分子量の液体状水素化ケイ素を基板に塗布する方法が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。しかし、この方法は系が不安定なために取り扱いに難点があるとともに、液体状であるため、大面積基板に応用する場合に均一膜厚を得るのが困難である。
【0006】
このように、太陽電池の軽量化、ハンドリング改善のために樹脂基板を使用しうることは知られているが、太陽電池の基板としてどのような物理特性を有する樹脂を使用することが必要かという考察はかつてなされておらず、また、そのような樹脂基板上に簡易な方法により形成された半導体膜を有する太陽電池については知られていない。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−81212号公報
【特許文献2】
特開2001−230430号公報
【特許文献3】
特開2002−217432号公報
【非特許文献1】
J.Vac.Sci.Technology.,14巻1082頁(1977年)
【非特許文献2】
Solid State Com.,17巻1193頁(1975年)
【特許文献4】
特開平1―29661号公報
【特許文献5】
特開平7―267621号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情を鑑みなされたものであり、その目的は太陽電池の基板としての適当な物理特性を有する樹脂基板上に、簡便な方法で形成された半導体膜を有する太陽電池を提供することである。このような太陽電池により、太陽電池の軽量化が実現され、製造、貯蔵、輸送、据え付け時などにおけるハンドリングに資する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、本発明の上記課題は、基体上に、一対の電極と、その間に形成された不純物の濃度および/または種類の異なる半導体膜を少なくとも2層有する太陽電池であって、基体の破断伸びは6〜10%、かつ破断強度は40〜50MPa(共にJIS K7118に準じて引っ張り速度3mm/minで測定)であり、少なくとも1層の半導体膜がシリコン粒子(A)、高次シラン化合物(B)およびSiiHj(ここで、iは5または6であり、jは2iである。)で表される水素化シラン化合物(C)を含有するシリコン膜形成用組成物から形成されたものである、太陽電池により達成される。
上記基体は、下記一般式(1−1)〜(1−4)で表される繰り返し単位から選ばれた少なくとも1種の繰り返し単位(a)、および下記一般式(2)で表される繰り返し単位(b)を含む環状オレフィン系付加共重合体であって、付加重合後繰り返し単位(a)を形成するトリシクロオレフィン化合物中のendo体(立体異性体)の割合が80モル%以上のものを付加重合し得られるもの、もしくは得られた共重合体中にオレフィン性不飽和結合が存在する場合にはさらに水素化することによって得られるものであり、25℃の、トルエン、シクロヘキサンまたはこれらの混合溶媒のいずれかに均一に可溶であり、ポリスチレン換算数平均分子量が30,000〜500,000の範囲である環状オレフィン系付加共重合体(以下、単に「環状オレフィン系付加共重合体」ともいう)を含むことが好ましい。
【0010】
【化6】
【0011】
【化7】
【0012】
【化8】
【0013】
【化9】
【0014】
[式(1−1)〜(1−4)中、R1〜R20はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基から選ばれた置換基を示す。]
【0015】
【化10】
【0016】
[式(2)中、A1〜A4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を示し、mは0または1である。]
上記一対の電極のうち少なくとも一方が、無機粉体および結着樹脂を含有する導電性膜形成用組成物から形成されたものでもよい。
また、上記一対の電極のうち少なくとも一方が、
In(OCOR)a(OR)bX1 c(ここで、Rは炭素数1〜10のアルキル基、X1はハロゲン原子であり、a,bおよびcはそれぞれ独立に0〜3の数であり、かつa+b+c=3である。)で表されるインジウム化合物、および、
Sn(OCOR)d(OR)eX2 f(ここで、Rは炭素数1〜10のアルキル基、X2はハロゲン原子であり、d,eおよびfはそれぞれ独立に0〜3の数であり、かつd+e+f=2である。)で表されるスズ化合物
を含有する透明導電性膜形成用組成物から形成されたものであってもよい。
上記高次シラン化合物(B)は、SikRl〔ここで、kは11以上の整数であり、lはk〜(2k+2)の整数でありそしてl個のRは互いに独立に水素原子、アルキル基、フェニル基またはハロゲン原子である〕で表される化合物であってもよい。
また、上記高次シラン化合物(B)は、
SiqH2q+2(ここで、qは2〜10の整数である)で表される水素化鎖状シラン化合物、
SirH2r(ここで、rは3〜10の整数である)で表される水素化環状シラン化合物、および
SisHs(ここで、sは6〜10の整数である)で表される水素化かご状シラン化合物
よりなる群から選ばれる少なくとも1種のシラン化合物が光照射を受けて生成する生成物であってもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の太陽電池について詳細に説明する。
本発明の太陽電池は、基体上に、一対の電極と、その間に形成された不純物の濃度および/または種類の異なる半導体膜を少なくとも2層有する太陽電池である。
【0018】
本発明に使用する基体としては、特定の破断伸びおよび破断強度を有するものであれば、特に限定されないが、太陽電池形成のための処理温度に耐えられる必要がある。
このような基体の材質の具体例としては、金属、プラスチックなどを挙げることができる。金属としては、例えば金、銀、銅、ニッケル、シリコン、アルミニウム、鉄の他ステンレス鋼などが使用できる。プラスチックとしては、例えばポリイミド、ポリエーテルスルホン、上記環状オレフィン系付加共重合体などを使用することができ、好ましくは環状オレフィン系付加共重合体である。
【0019】
上記環状オレフィン系付加共重合体は、付加重合後、上記繰り返し単位(a)を形成するトリシクロオレフィン化合物中のendo体(立体異性体)の割合が80モル%以上のものを付加重合し得られるもの、もしくは得られた共重合体中にオレフィン性不飽和結合が存在する場合にはさらに水素化することによって得られるものである。
【0020】
上記繰り返し単位(a)は、下記一般式(7−1)〜(7−4)で表されるトリシクロオレフィン化合物から選ばれた単量体(以下、まとめて「特定単量体(a−1)」という。)を付加重合することにより形成される。
【0021】
【化11】
【0022】
【化12】
【0023】
【化13】
【0024】
【化14】
【0025】
[式(7−1)〜(7−4)において、R1〜R20は式(1−1)〜(1−4)と同じ。]
【0026】
また、上記環状オレフィン系付加共重合体に含まれる繰り返し単位(a)は、下記一般式(8−1)〜(8−7)で表されるトリシクロオレフィン化合物から選ばれた単量体(以下、まとめて「特定単量体(a−2)」という)を付加重合した後、該重合体を水素化することによっても形成される。
【0027】
【化15】
【0028】
【化16】
【0029】
【化17】
【0030】
【化18】
【0031】
【化19】
【0032】
【化20】
【0033】
【化21】
【0034】
[式(8−1)〜(8−7)において、R1〜R20は式(1−1)〜(1−4)と同じ。]
【0035】
上記の特定単量体(a−1)の具体例としては、以下のものが挙げられるが、これら具体例に限定されるものではない。
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エン、
1−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エン、
1−メトキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エン、
2−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エン、
5−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エン、
6−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エン、
6−エチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エン、
9−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エン、
9−エチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エン、
10−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エン、
10−エチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エン、
10−フェニルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エン、
10−シクロヘキシルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エン、
【0036】
トリシクロ[4.2.0.12,5]ノナ−3−エン、
2−メチルトリシクロ[4.2.0.12,5]ノナ−3−エン、
7−メチルトリシクロ[4.2.0.12,5]ノナ−3−エン、
トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン、
【0037】
1−メチルトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン、
2−メチルトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン、
2−エチルトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン、
8−メチルトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン、
【0038】
トリシクロ[6.4.0.12,5]トリデカ−3−エン、
2−メチルトリシクロ[6.4.0.12,5]トリデカ−3−エン、
8−メチルトリシクロ[6.4.0.12,5]トリデカ−3−エン
などが挙げられ、これらの中でも、原料として入手しやすく得られる共重合体の耐熱性と機械特性のバランスの点でトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エンが好ましく用いられる。
なお、これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0039】
上記の特定単量体(a−2)の具体例としては以下のものが挙げられるが、これら具体例に限定されるものではない。
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,7−ジエン、
1−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,7−ジエン、
2−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,7−ジエン、
2−エチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,7−ジエン、
5−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,7−ジエン、
6−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,7−ジエン、
6−エチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,7−ジエン、
10−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,7−ジエン、
10−エチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,7−ジエン、
10−フェニルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−ジエン、
10−シクロヘキシルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,7−ジエン、
【0040】
トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,7−ジエン、
1−メチルトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,7−ジエン、
2−メチルトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,7−ジエン、
2−エチルトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,7−ジエン、
7−クロロトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,7−ジエン、
7−フロロトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,7−ジエン、
8−メチルトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,7−ジエン、
トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,8−ジエン、
1−メチルトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,8−ジエン、
2−メチルトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,8−ジエン、
2−エチルトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,8−ジエン、
8−メチルトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,8−ジエン、
【0041】
トリシクロ[6.4.0.12,5]トリデカ−3,11−ジエン、
2−メチルトリシクロ[6.4.0.12,5]トリデカ−3,11−ジエン、
8−メチルトリシクロ[6.4.0.12,5]トリデカ−3,11−ジエン、
【0042】
トリシクロ[6.4.0.12,5]トリデカ−3,10−ジエン、
2−メチルトリシクロ[6.4.0.12,5]トリデカ−3,10−ジエン、
8−メチルトリシクロ[6.4.0.12,5]トリデカ−3,10−ジエン、
【0043】
トリシクロ[6.4.0.12,5]トリデカ−3,9−ジエン、
2−メチルトリシクロ[6.4.0.12,5]トリデカ−3,9−ジエン、
9−メチルトリシクロ[6.4.0.12,5]トリデカ−3,9−ジエン
などが挙げられる。これらの中でも、原料として入手しやすく得られる共重合体の耐熱性と機械特性のバランスの点でトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,7−ジエンが好ましく使用される。
なお、これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0044】
特定単量体(a−2)を用いて上記付加共重合体を得る場合には、付加重合した後に水素化することでことが必要である。該共重合体中にオレフィン性不飽和結合が存在すると、高温下での酸素による酸化や、熱による劣化を受けるため望ましくない。このためこれら付加共重合体は、不飽和結合の90モル%以上、好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは99モル%以上が水素化される必要がある。
【0045】
上記特定単量体(a−1)および(a−2)のうち、水素添加反応を必須としない点で、上記特定単量体(a−1)を用いることが好ましく、中でもトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3−エンを用いることが最も好ましい。
【0046】
なお、上記の特定単量体(a−1)および(a−2)には、立体異性体としてendo体およびexo体が存在する。しかしながら、endo体の含有する割合が高いものほど、得られる共重合体の強度、特に引っ張り試験にて測定される破断強度、および破断伸びの特性などが優れ、靭性に優れるため、本発明の基体として好ましい。すなわち、上記共重合体を製造するにあたり、使用する特定単量体(a−1)および/または(a−2)中のendo体の割合は、少なくとも80%モル以上、好ましくは90モル%以上であることが必要である。この割合が80%モル未満では、得られる共重合体の破断強度や破断伸びなどの特性で満足する性能が得られず、靭性が劣り、フィルム、シートなどの成形体が割れやすいものとなる。
【0047】
上記環状オレフィン系付加共重合体に含まれる繰り返し単位(b)は、下記一般式(9)で表される環状オレフィン化合物から選ばれた単量体(以下、「特定単量体(b)」という。)を付加重合することにより形成される。
【0048】
【化22】
【0049】
[式(9)中、A1〜A4、Xおよびmは一般式(2)と同じ。]
【0050】
このような特定単量体(b)としては、例えば以下の化合物のうちの1種、あるいは2種以上を併用して使用されるが、これらの具体例に限定されるものではない。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−プロピルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フロロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シクロヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シクロオクチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−インダニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
【0051】
上記環状オレフィン系付加共重合体において、繰り返し単位(b)の種類および含有する割合を選択することで、得られる共重合体の物理特性や有機溶媒への溶解度などをコントロールすることができる。例えば、5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンなどのアルキル基を有する環状オレフィンより誘導される繰り返し単位を任意に含むことにより、有機溶媒への溶解度やガラス転移温度をコントロールすることができ、かつ、得られるフィルム、シートなどの成形体に柔軟性を付与できる。ただし、その割合が多すぎると、耐熱性や機械的強度の低下、線膨張係数の悪化などの問題を生じることがある。繰り返し単位(b)の割合の合計は、全繰り返し単位中、10〜90モル%、好ましくは20〜90モル%、さらに好ましくは30〜70モル%である。その割合が90モル%を超えると、破断伸びが小さく、靭性が劣り、フィルムやシートなどの成形体が脆く割れやすいものとなる。一方、10モル%未満であると、25℃の、トルエン、シクロヘキサンまたはこれらの混合溶媒に対する溶解性に問題が生じることがある。
【0052】
特定単量体(b)を用いて付加重合すると、主として繰り返し単位(b)が形成されるが、その際、下記一般式(6)で表される繰り返し単位(d)も生成する。例えば一般式(9)においてmが0のとき、繰り返し単位(b)は、2,3付加で重合された繰り返し単位を示し、繰り返し単位(d)は2,7付加で重合された繰り返し単位を示す。また、一般式(9)において、mが1のとき、繰り返し単位(b)は3,4付加で重合された繰り返し単位を示し、繰り返し単位(d)は3,11付加で重合された繰り返し単位を示す。
【0053】
【化23】
【0054】
[式(6)中、A1〜A4、およびmは一般式(2)と同じ]
【0055】
なお、上記環状オレフィン系付加共重合体中の繰り返し単位(d)の定量は困難ではあるが、13C−NMRスペクトル(核磁気共鳴スペクトル)の45−55ppmに出現するCH吸収の領域においてみられる強い吸収により、2,7付加重合または3,11付加重合で形成される繰り返し単位(d)の存在が確認できる。
【0056】
また、上記環状オレフィン系付加共重合体は、繰り返し単位(a)および繰り返し単位(b)以外に、下記一般式(3)で表される繰り返し単位(c)を含むことができる。
【0057】
【化24】
【0058】
[式(3)中、B1〜B4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基、加水分解性のシリル基、または−(CH2)kXで表される極性基を示し、 B1〜 B4の少なくとも1つは加水分解性のシリル基、または−(CH2)kXで表される極性基から選ばれた置換基である。ここで、Xは−C(O)OR21または−OC(O)R22であり、R21,R22は炭素数1〜10の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基から選ばれた置換基であり、kは0〜3の整数である。また、B1〜B4は、B1とB3またはB2とB4から形成される炭化水素環もしくは複素環などの環構造あるいはB1とB2またはB3とB4から形成されるアルキリデニル基であってもよい。pは0〜2の整数を示す。]
【0059】
繰り返し単位(c)は、下記一般式(10)で表される環状オレフィン化合物から選ばれた単量体(以下、「特定単量体(c)」と言う。)を付加重合することにより形成される。
【0060】
【化25】
【0061】
[式(10)において、B1〜B4およびpは一般式(3)と同じである。]
【0062】
このような特定単量体(c)としては、例えば以下の化合物のうちの1種、あるいは2種以上を併用して使用されるが、これらの具体例に限定されるものではない。
【0063】
−(CH2)kXで表される極性基を有する特定単量体(c)の例としては、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸メチル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸エチル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸ブチル、
2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸メチル、
2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸エチル、
2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸プロピル、
2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸ブチル、
2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸トリフロロエチル、
2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−酢酸エチル、
アクリル酸2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニル、
メタクリル酸2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸ジメチル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸ジエチル、
8−メチル−8−カルボキシメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−メチル−8−カルボキシエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
が挙げられる。
【0064】
また加水分解性のシリル基としては一般式(4)あるいは一般式(5)で表されるものが望ましく用いられる。
【0065】
【化26】
【0066】
−(CR23R24)n−SiR26R27R28 一般式(5)
【0067】
[式(4),式(5)中、 R23,R24,R25はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基から選ばれた置換基を示し、 R26,R27,R28はそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリロキシ基、およびハロゲン原子から選ばれた置換基、nは0〜5の整数を示す。また、Yは炭素数2〜20の脂肪族ジオール、脂環族ジオールあるいは芳香族ジオールの炭化水素残基を示す。]
【0068】
一般式(4)で表される加水分解性のシリル基を有する特定単量体(c)の例としては、
5−[1’−メチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−メチル−3’,3’,4’,4’−テトラフェニル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−メチル−3’,3’,4’,4’−テトラメチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−フェニル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−エチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’3’−ジメチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−メチル−3’,4’−ジメチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−メチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−エチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’,3’−ジメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’,4’,4’−トリメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’,4’,4’−トリメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’,4’,4’−トリメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−フェニル−4’4’−ジメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−メチル−4’−フェニル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[3’−メチル−2’,4’−ジオキサ−3’−シラスピロ[5.5]ウンデシル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−メチル−4’−エチル、4’−ブチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−メチル−3’,3’−ジメチル−5’−メチレン−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−フェニル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−メチル−3’−フェニル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’,4’,4’−トリメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−メチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−[1’−メチル−2’,7’−ジオキサ−1’−シラシクロヘプチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−[1’,4’,4’−トリメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−[1’−メチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
などが挙げられる。
【0069】
また、一般式(5)で表される加水分解性のシリル基を有する特定単量体(c)の例としては、
5−トリエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチルジエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチルジメトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ジメチルクロロシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチルジエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチルジクロロシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリプロポキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−トリエトキシシリルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン
などが挙げられる。
【0070】
ここで、加水分解性シリル基、エステル基などの極性基を有する繰り返し単位(c)の含有率を増加させると、他部材との密着性や接着性をさらに向上でき、また、後述する架橋剤を用いることによって上記環状オレフィン系付加共重合体を架橋体とすることができる。しかしその反面、極性基を有する繰り返し単位(c)の含有率の増加は、吸水性、誘電率の上昇を招くことになるため、環状オレフィン系付加共重合体中の式(3)で表される繰り返し単位(c)の割合は、全繰り返し単位中30モル%以下、好ましくは0.1〜10モル%、さらに好ましくは1〜5モル%とするのが望ましい。
なお、上記一般式(5)で表される加水分解性シリル基を有する繰り返し単位(c)は、上記一般式(4)で表されるシリル基を有する場合に比べ反応性に優れる。逆に、上記一般式(4)で表される加水分解性シリル基を有する繰り返し単位(c)は、より耐加水分解性に優れるため、当該環状オレフィン共重合体の溶液が貯蔵安定性に優れるものとなる。
また、アクリロイル基もしくはメタアクリロイル基を有する特定単量体(c)を使用して付加重合し、係るアクリロイル基もしくはメタアクリロイル基を架橋点として利用することもできる。ただし、この場合には、繰り返し単位(a)を与える単量体として特定単量体(a−1)を使用するなど、得られた共重合体の水素添加処理が不必要な設計をする必要がある。
【0071】
上記環状オレフィン系付加共重合体は、さらに「特定のα−オレフィン化合物」を付加重合して得られる繰り返し単位(e)を含むことができる。
このような「特定のα−オレフィン化合物」の具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−メチルプロペン(イソブテン)、トリメチルビニルシラン、トリエチルビニルシラン、スチレン、4−メチルスチレン、2−メチルスチレン、4−エチルスチレンなどが挙げられる。これらは、1種単独または2種以上を組み合わせて、用いることができる。
【0072】
「特定のα−オレフィン化合物」に由来する繰り返し単位(e)を共重合体に導入することにより、上記環状オレフィン系付加共重合体のガラス転移温度を制御することができる。環状オレフィン系付加共重合体中の繰り返し単位(e)の割合は、0〜40モル%、好ましくは0〜20モル%〔ただし、繰り返し単位(a)+(b)+(c)+(e)=100モル%〕である。繰り返し単位(e)の割合が40モル%を超えると、上記環状オレフィン系付加共重合体のガラス転移温度が低くなり、耐熱性が低下する。
【0073】
上記環状オレフィン系付加共重合体のガラス転移温度は、動的粘弾性で測定されるTanδの温度分散のピーク温度で求められる。(貯蔵弾性率:E’、損失弾性率:E”、Tanδ=E”/E’)
上記のようにして測定される上記環状オレフィン系付加共重合体のガラス転移温度は、通常、150〜450℃、好ましくは200〜400℃、特に好ましくは200〜250℃である。150℃未満であると太陽電池作成の際の処理温度に耐えられず、熱変形などの問題が生じる可能性が高くなる。一方、450℃を超える場合には、重合体が剛直になり、フィルム、シートに成形した場合、さらに線膨張係数は小さくなるが割れやすく、靭性のないものになる。上記環状オレフィン系付加共重合体におけるガラス転移温度は、例えば、繰り返し単位(c)への炭素数4〜20の直鎖アルキル置換基の導入など、繰り返し単位(b)および(c)における置換基の選択、および/または繰り返し単位(e)の導入により、制御することができる。
【0074】
上記環状オレフィン系付加共重合体の分子量は、o−ジクロロベンゼンを溶媒とし、120℃で測定されるゲル・パーミエションクロマトグラフィーにより、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が30,000〜500,000、重量平均分子量(Mw)が50,000〜1,000,000、好ましくは数平均分子量が50,000〜200,000、重量平均分子量が100,000〜500,000であることが望ましい。
数平均分子量が30,000未満、重量平均分子量が50,000未満では、フィルム、薄膜およびシートとしたときの破壊強度および伸びが不十分で割れやすくなることが多い。一方、数平均分子量が500,000、重量平均分子量が1,000,000を超えると、キャストフィルムの製膜時、溶液粘度が高くなり、溶液での貯蔵安定性が劣り、取扱いが困難となる場合がある。
【0075】
また、上記環状オレフィン系付加共重合体の線膨張係数は、70ppm/℃以下、好ましくは60ppm/℃以下である。共重合体における線膨張係数は、繰り返し単位(b)あるいは繰り返し単位(c)上の置換基の選択、共重合体中に含有される各繰り返し単位の割合により変化するが、70ppm/℃を超えると、膜を積層する際の密着性に劣り、そり、バリの発生、温度変化の大きい使用環境における寸法変化に伴う変形などの問題が発生する場合があり望ましくない。
【0076】
上記環状オレフィン系付加共重合体は、特定単量体(a−1)および/または(a−2)、および特定単量体(b)を必須とし、さらに、必要に応じて用いられる特定単量体(c)および/または特定のα−オレフィン化合物を、ニッケル化合物を触媒成分として付加共重合することにより製造される。以下、その製造法について説明する。
【0077】
重合触媒としては、
(f−1):下記1)〜3)で示された成分を含む多成分触媒
1)ニッケル化合物
2)超強酸、ルイス酸およびイオン性ホウ素化合物から選ばれた化合物
3)有機アルミニウム化合物
または、
(f−2)少なくとも1つのニッケル−炭素間のシグマ結合を有し、超強酸アニオンを対アニオンとするニッケル錯体
が用いられるが、(f−1)の多成分系触媒が煩雑な合成の工程を経る必要がないので好ましい。
【0078】
(f−1):多成分系触媒は、以下の1)、2)および3)を含む成分から構成される。
1)ニッケル化合物:以下に挙げる群から選ばれた少なくとも1種の化合物
ニッケルの、有機カルボン酸塩、有機亜リン酸塩、有機リン酸塩、有機スルホン酸塩、β−ジケトン化合物などから選ばれた化合物。例えば、酢酸ニッケル、オクタン酸ニッケル、2−エチルヘキサン酸ニッケル、ナフテン酸ニッケル、オレイン酸ニッケル、バーサチック酸ニッケル、ジブチル亜リン酸ニッケル、ジブチルリン酸ニッケル、ジオクチルリン酸ニッケル、リン酸ジブチルエステルのニッケル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ニッケル、p−トルエンスルホン酸ニッケル、ビス(アセチルアセトナート)ニッケル、ビス(エチルアセトアセテート)ニッケルなど。
上記のニッケルの有機カルボン酸塩を六フッ化アンチモン酸、四フッ化ホウ素酸、トリフロロ酢酸、六フッ化アセトンなどの超強酸で変性した化合物、
ニッケルのジエンもしくはトリエン配位錯体、例えば、
ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、
[(η3−クロチル)(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル]ヘキサフロロホスフェート、およびそのテトラフロロボレート、テトラキス[3,5−ビス(トリフロロメチル)]ボレート錯体、
(1,5,9−シクロドデカトリエン)ニッケル、ビス(ノルボルナジエン)ニッケル、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル
などのニッケル錯体、
ニッケルにP、N、Oなどの原子を有する配位子が配位した錯体、例えば、
ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロライド、
ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジブロマイド、
ビス(トリフェニルホスフィン)コバルトジブロマイド、
ビス[トリ(2−メチルフェニル)ホスフィン]ニッケルジクロライド、
ビス[トリ(4−メチルフェニル)ホスフィン]ニッケルジクロライド、
ビス[N−(3−t−ブチルサリシリデン)フェニルアミネート]ニッケル、
Ni[PhC(O)CH](Ph)、
Ni(OC(C6H4)PPh)(H)(PCy3)、
Ni[OC(O)(C6H4)P](H)(PPh3)、
ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケルとPhC(O)CH=PPh3との反応物、
[2,6−(i−Pr)2C6H3N=CHC6H3(O)(Anth)](Ph)(PPh3)Niなどのニッケル錯体(ここで、Anth:9−anthracenyl、Ph:phenyl、Cy:cyclohexyl)
が挙げられる。
【0079】
2)超強酸、ルイス酸化合物およびイオン性ホウ素化合物から選ばれた化合物
超強酸としては、例えば、ヘキサフロロアンチモン酸、ヘキサフロロリン酸、ヘキサフロロ砒酸、トリフロロ酢酸、フロロ硫酸、トリフロロメタンスルホン酸、テトラフロロホウ酸、テトラキス(ペンタフロロフェニル)ホウ酸、テトラキス[3,5−ビス(トリフロロメチル)フェニル]ホウ酸、p−トルエンスルホン酸、ペンタフロロプロピオン酸などが挙げられる。
ルイス酸化合物としては、例えば、三フッ化ホウ素とエーテル、アミン、フェノールなどとの錯体、三フッ化アルミニウムのエーテル、アミン、フェノールなどの錯体、トリス(ペンタフロロフェニル)ボラン、トリス[3,5−ビス(トリフロロメチル)フェニル]ボラン、などのホウ素化合物、三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウム、エチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムフロライド、トリ(ペンタフロロフェニル)アルミニウムなどのアルミニウム化合物、ヘキサフロロアセトン、ヘキサクロロアセトン、クロラニル、ヘキサフロロメチルエチルケトン
などのルイス酸性を示す有機ハロゲン化合物、その他、四塩化チタン、ペンタフロロアンチモンなどのルイス酸性を示す化合物などが挙げられる。
イオン性ホウ素化合物としては、例えば、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(2,4,6−トリフルオロフェニル)ボレート、
トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボレート、
トリブチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジフェニルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート
などが挙げられる。
【0080】
3)有機アルミニウム化合物
例えば、メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、ブチルアルモキサンなどのアルキルアルモキサン化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムフルオライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライドなどのアルキルアルミニウム化合物およびハロゲン化アルキルアルミニウム化合物、または上記アルキルアルモキサン化合物と上記アルキルアルミニウム化合物との混合物などが好適に使用される。特には、メチルアルモキサン、またはメチルアルモキサンを含む有機アルミニウム成分が、極性基を含む特定単量体(c)を用いる場合において重合活性の低下が少なく、最も好ましい。
【0081】
(f−2)超強酸アニオンを対アニオンとして有し、少なくとも一つのニッケル−炭素間のシグマ結合を有するニッケル錯体は、下記一般式(11)で表される。
[L1L2ML3]+[An]−・・・・(11)
[式(11)中、Mはニッケル原子を表す。L1,L2,L3はMの配位子を示し、少なくとも1個の配位子の炭素原子がσ結合によりニッケル原子と結合しており、その他は炭素数6〜12のシクロアルカジエン、ノルボルナジエン、炭素数10〜20のシクロアルカトリエン、炭素数6〜20の芳香族化合物から選ばれた化合物を示す。また、[An]−は超強酸に由来する非配位性、あるいは弱配位性の対アニオンを示す。対アニオン[An]−としては、BF4 −、PF6 −、SbF5SO3F−、AlF3SO3CF3 −、AsF6 −、SbF6 −、AsF6 −、CF3CO2 −、C2F5CO2 −、CH3C6H4SO3 −、B[C6F5]4 −、B[3,5−(CF3)2C6H3]4 −であることが好ましい。]
【0082】
上記一般式(11)で表される化合物の具体例としては、
[(η3−crotyl)Ni(cycloocta−1,5−diene)][B(3,5−(CF3)2C6F3)4]、
[(η3−crotyl)Ni(cycloocta−1,5−diene)][PF6]、
[(η3−allyl)Ni(cycloocta−1,5−diene)][B(C6F5)4]、
[(η3−crotyl)Ni(cycloocta−1,5−diene)][SbF6]、
などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
これら触媒成分は、以下の範囲の使用量で用いられる。
ニッケル化合物は、単量体1モルに対して0.02〜100ミリモル原子、有機アルミニウム化合物はニッケル1モル原子に対し1〜5,000モル、超強酸はニッケル1モル原子に対して0.2〜5.0モルである。ルイス酸はニッケル1モル原子に対し、0〜50モルである。または、単量体1モルに対してニッケル化合物0.02〜100ミリモル原子、有機アルミニウム化合物はニッケル1モル原子に対し、1〜5,000モル、イオン性ホウ素化合物はニッケル1モル原子に対して0.2〜5.0モルである。
【0084】
上記(f−1)多成分触媒における1)ニッケル化合物として、超強酸で変性されたニッケル化合物を用いる場合には、必ずしもルイス酸を必要としないが、ルイス酸を添加した方が重合活性がより向上する。また、塩素を含むハロゲン化有機アルミニウム化合物を有機アルミニウム成分として用いた場合は、必ずしもルイス酸の添加は必要としない。
また、上記触媒成分として、(f−1)多成分系触媒では超強酸、ルイス酸およびイオン性ホウ素化合物から1種または2種以上選ばれた化合物の添加、(f−2)単成分系触媒では超強酸に由来する非配位性、あるいは弱配位性の対アニオンが必要である。これらの触媒を用いることにより、上記共重合体中に特定単量体(b)に由来する2,7位による付加重合、あるいは3,11位による付加重合により生成する繰り返し単位(d)が観測され、共重合体は25℃での、トルエン、シクロヘキサン、またはこれら混合溶媒への溶解性が向上する。
【0085】
上記環状オレフィン系付加共重合体は、上記(f−1)多成分系触媒または(f−2)単成分系触媒を用い、シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタンなどの脂環式炭化水素溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素溶媒、クロロメタン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロシクロペンタン、クロロシクロヘキサン、クロロベンゼン、ジクロロべンゼンなどのハロゲン化炭化水素溶媒などから1種または2種以上選ばれた溶媒中で重合を行うことができる。これらの中でも汎用性などの観点から、トルエン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、あるいはこれらからなる混合溶媒が望ましく用いられる。
【0086】
重合の方法としては、窒素、またはアルゴン雰囲気下で反応容器に溶媒、特定単量体(a)および(b)、および必要に応じて特定単量体(c)、さらに必要に応じて特定のα−オレフィン化合物、必要に応じて分子量調節剤を仕込み、−20℃から100℃の範囲の温度に重合系を設定する。次に、上記触媒成分を添加して−20℃から100℃の範囲で重合を行う。溶媒/モノマーの重量比は、1〜20の範囲で行われる。共重合体の分子量は、重合触媒の量や分子量調節剤の添加量、重合体への転化率および重合温度によって調節される。分子量調節剤としては、1−ヘキセン、1−オクテンなどのα−オレフィン、スチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、1−ビニルナフタレン、ジビニルベンゼンなどの芳香族ビニル化合物、シクロオクタジエン、シクロドデカトリエンなどの環状非共役ポリエン、ジフェニルジヒドロシラン、水素などが用いられ、好ましくは芳香族ビニル化合物が使用される。
重合の停止は、水、アルコール、有機酸、炭酸ガスなどから選ばれた化合物により行われる。触媒残さの分離・除去は、公知の方法を適宜用いてよく、例えば、重合体溶液にマレイン酸、フマル酸、シュウ酸、リンゴ酸などから選ばれた有機酸の水/アルコール混合物を添加して、水層と分離するなどの方法がある。また、触媒残さは、ケイソウ土、アルミナ、シリカなどの吸着剤を用いての吸着除去やフィルターなどによるろ過分離などによって除去してもよい。
重合体は、重合体溶液をメタノール、エタノール、イソプロパノールなどから選ばれたアルコール中に入れて、凝固し、減圧乾燥することにより得られる。この工程で、重合体溶液に残存する未反応単量体も除去される。
【0087】
上記の特定単量体(a−2)を1種以上を含んでなる単量体を用いて重合して得られる、オレフィン性不飽和結合を有する付加共重合体は、次のような触媒および条件により水素化される。
水素化触媒としては、ニッケル、ロジウム、パラジウム、白金などがシリカ、ケイソウ土、アルミナ、活性炭などの固体上に担持された不均一系触媒や、チタン、ニッケル、パラジウム、コバルトなどの化合物と有機金属化合物とを組み合わせてなる均一系の触媒、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウムなどの錯体からなる触媒などから選ばれたものが好適に使用される。溶媒としてはトルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリンなどの芳香族炭化水素、シクロヘキサン、メチルペンタン、メチルシクロヘキサン、デカリンなどの脂環族炭化水素、必要に応じて、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ブチルエーテルなどのエーテル類などを用い、条件は、水素圧0.5〜15MPa、20〜200℃の範囲で適宜選択される。
水素化された共重合体は、重合の後処理と同様にして、有機酸や吸着剤など用いて触媒残さが除去され、スチームやアルコールを用いての凝固を行い、分離・乾燥して、重合体は回収される。
【0088】
上記環状オレフィン系付加共重合体は、公知の環状オレフィン系開環(共)重合体の水素化体や環状オレフィンとエチレンとの付加共重合体などと配合された、重合体ブレンド組成物とすることもできる。重合体ブレンド組成物とすることにより、上記環状オレフィン系付加共重合体の靭性を損なうことなく、そのガラス転移温度を調節することができ、熱処理によるフィルム、シートなどの成形体の光学特性の制御・修正や射出成形、圧縮成型などを可能なものにする。また、上記環状オレフィン系付加共重合体は、脂環式炭化水素構造を有する石油樹脂類、水素化されたスチレン系樹脂などともブレンドでき、それにより透明性を保持して、軟化温度、複屈折などを制御することができる。
【0089】
このような組成物において、上記環状オレフィン系付加共重合体と上記の水素化された開環(共)重合体との配合割合は、上記環状オレフィン系付加共重合体の該組成物中の割合が、10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、さらに好ましくは30〜70重量%である。
【0090】
上記環状オレフィン系付加共重合体には、公知の酸化防止剤、例えば、
2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、
4,4’−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、
1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、
2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、
ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
などのフェノール系あるいはヒドロキノン系酸化防止剤を添加することができる。
さらに、
トリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)ホスファイト、
トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、
トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、
ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト、
ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト
などのリン系酸化防止剤を配合して、酸化安定性を向上させることができる。
これら化合物の中で、分解温度(5%重量減少)が250℃以上の化合物が好ましい。
また、これら酸化防止剤を添加する場合は、環状オレフィン系付加共重合体100重量部当たり、0.05〜5.0重量部の範囲で添加される。
【0091】
上記環状オレフィン系付加共重合体は、また、以下に示す方法を用いて、架橋性組成物、および架橋体とすることができる。
1)ラジカルにより架橋させるものにあっては、次の組成物および架橋方法がとられる。その際、メタアクリロイル基、あるいはアクリロイル基を側鎖置換基に有する繰り返し単位(c)を用いた環状オレフィン系付加重合体にあっては、さらに容易に架橋体とすることができる。
(1−1)過酸化物、あるいはアゾ化合物と配合された組成物、および熱や活性光線などを用いて発生させたラジカルにより該組成物を架橋する方法。
(1−2)過酸化物および還元性の金属化合物との組成物、およびレドックス反応により発生させたラジカルにより該組成物を架橋する方法。
2)繰り返し単位(c)として加水分解性シリル基を有するものを用いた共重合体を加水分解、縮合反応により架橋させるものにあっては、次の組成物が用いられる。
(2−1)スズ、アルミニウム、亜鉛、チタニウム、アンチモンなどの金属の酸化物、アルコキシド、フェノキシド、β−ジケトネート、アルキル化物、ハロゲン化物、有機酸塩などとの組成物。
(2−2)BF4、PF4、AsF6、SbF6、B(C6F5)4などから選ばれた対アニオンを有する芳香族スルホニウム塩、芳香族アンモニウム塩、芳香族ピリジニウム塩、芳香族ホスホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、ヒドラジニウム塩、フェロセニウム塩など、加熱することにより酸としての作用をする化合物との組成物。
(2−3)トリアルキル亜リン酸エステル、トリアリール亜リン酸エステル、ジアルキル亜リン酸エステル、モノアルキル亜リン酸エステル、次亜リン酸エステル、有機カルボン酸の第2級または第3級アルコールのエステル、有機カルボン酸のヘミアセタールエステル、有機カルボン酸のトリアルキルシリルエステルなどの水または水蒸気の存在下で加熱することにより酸としての作用をする化合物との組成物。
(2−4)g線、h線、i線など、紫外線、遠紫外線、X線、電子線などの光線の照射により、ブレンステッド酸、あるいはルイス酸を生成するジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、アルセニウム塩、オキソニウム塩などのオニウム塩、ハロゲン含有オキサジアゾール化合物、ハロゲン含有トリアジン化合物、ハロゲン含有アセトフェノン化合物、ハロゲン含有ベンゾフェノン化合物などのハロゲン化有機化合物、キノンジアジド化合物、α,α−ビス(スルホニル)ジアゾメタン化合物、α−カルボニル−α−スルホニル−ジアゾメタン化合物、スルホニル化合物、有機酸エステル化合物、有機酸アミド化合物、有機酸イミド化合物などの光酸発生剤との組成物。
3)繰り返し単位(c)としてエステル基を有するものを用いた共重合体にあっては、1分子あたりに水酸基を2〜4個有する多価アルコール化合物、および触媒として上記2)のa)に記載した金属化合物との組成物をエステル交換反応により架橋することにより、架橋体とすることができる。
【0092】
これらの過酸化物、アゾ化合物、および(2−1)〜(2−4)の金属化合物、酸発生のエステル化合物、熱酸発生剤、光酸発生剤、多価アルコール化合物などから選ばれた化合物を上記環状オレフィン系付加共重合体と配合し、架橋性組成物とすることにより、10〜280℃という比較的、温和な温度条件で短時間で環状オレフィン系付加共重合体の架橋体を得ることができる。このため、環状オレフィン系付加共重合体の優れた光学特性を維持し、さらに、架橋されているため、耐熱性がより高まり、寸法安定性、破断強度、破断伸び、耐溶剤・薬品性、耐液晶性が優れたものとなる。
【0093】
上記の架橋用に用いられる化合物は、上記環状オレフィン系付加共重合体100重量部当たり、0.0001〜5.0重量部の範囲で配合して用いられる。
【0094】
上記架橋性組成物としては、さらに、ケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウムから選ばれた金属のアルコキシド化合物、あるいはアリロキシド化合物、およびこれら金属のアルコキシド化合物の縮合度が3〜30である縮合体から選ばれた、少なくとも1種の化合物を配合することもできる。このような化合物を配合することにより、架橋体とした際に寸法安定性や耐溶媒・薬品性の向上に有効な架橋構造を得やすくなる。具体的な例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イルトリメトキシシラン、2−ビシクロ[2.2.1]ヘプテン−5−イルトリメトキシシラン、アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、チタンテトラエトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、およびこれらの縮合度が3〜30である縮合体などを挙げることができる。また、メタクリロイル基、アクリロイル基などのラジカル重合性のある置換基を有するシラン化合物、およびラジカル発生剤との組成物とし、光あるいは熱を用いて架橋した架橋体とすることができる。
【0095】
上記のケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウムから選ばれた金属のアルコキシド化合物あるいはアリロキシド化合物、もしくはそれらの縮合度が3〜30である縮合体との組成物においては、上記環状オレフィン系付加共重合体100重量部当たり、好ましくは5〜60重量部の範囲で配合される。
【0096】
また、上記ケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウムから選ばれた金属のアルコキシド化合物あるいはアリロキシド化合物、もしくはそれらの縮合度が3〜30である縮合体に加え、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニアなどの平均粒径が100nm以下の金属酸化物の粒子あるいはコロイド状粒子を配合した組成物とし、さらに架橋体としてもよい。
【0097】
上記金属酸化物の配合量(コロイド状粒子においては固形分換算の配合量)は、上記環状オレフィン系付加共重合体100重量当たり、1〜40重量部配合される。その配合量が1重量部未満の場合には、架橋して得られる架橋体の硬度、弾性率、線膨張係数において金属酸化物による改良の効果が不十分である。一方、40重量を超える場合には、架橋して得られる架橋体が脆くなる場合がある。
【0098】
上記環状オレフィン系付加共重合体(組成物)は、炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、あるいはこれらからなる混合溶媒から選ばれた溶媒に該共重合体(組成物)を溶解させ、スチールベルトやキャリアーフィルムなどの上に塗工あるいは流延し、その後乾燥工程を経て成形品を得る溶液キャスト法により、太陽電池の基体となるフィルムあるいはシートとすることができる。また、これら溶媒に共重合体(組成物)を膨潤させた後、押し出し機で溶媒を蒸発させながら、該共重合体(組成物)をフィルム、シートに成形・加工することもできる。また、他の熱可塑性樹脂と配合した重合体ブレンド組成物とすることで、溶融押し出し機などを使用する溶融押出法により、フィルムあるいはシートとすることもできる。
【0099】
上記溶液キャスト法において、環状オレフィン系付加重合体を含有する組成物を、該環状オレフィン系付加重合体を25℃で溶解できる良溶媒で溶解して溶液キャストし、次いで該環状オレフィン系付加重合体を溶解しないが良溶媒と均一に混合する沸点が大気圧下で150℃以下の貧溶媒と接触させると、残留溶媒が減少し、さらに丈夫なフィルムまたはシートを得ることができる。すなわち、着色や破断強度を低下させることがない、寸法安定性に優れた残留溶媒の少ない環状オレフィン系付加型重合体組成物からなるフィルムまたはシートを提供でき、これらのフィルムまたはシートは環境負荷が小さく、太陽電池用途に好適である。
【0100】
上記良溶媒とは、環状オレフィン系付加重合体を25℃で容易に溶解できる溶媒である。フィルムまたはシートから、良溶媒を加熱・減圧により容易に除去できるようにするためには、該良溶媒の大気圧下の沸点は200℃以下、好ましくは30〜150℃、さらに好ましくは30〜120℃である。
上記良溶媒は、環状オレフィン系付加重合体を構成する構造単位の種類や、含まれる官能基の種類・量によって適宜決定されるが、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素およびクロロベンゼンなどの含ハロゲン芳香族炭化水素が好ましい。なお、上記良溶媒を用いて、環状オレフィン系付加重合体を含有する組成物を溶解して溶液キャストする場合の固形分濃度は、通常、5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%である。
【0101】
一方、上記貧溶媒とは、環状オレフィン系付加重合体が25℃において、ほとんど、あるいは全く溶解しないが、上記良溶媒と均一に混合する溶媒である。フィルムまたはシートから、貧溶媒の蒸気または液体での抽出操作後、加熱・減圧により容易に除去できるようにするためには、該貧溶媒の大気圧下の沸点は150℃以下、好ましくは30〜120℃、さらに好ましくは30〜100℃である。上記貧溶媒は、環状オレフィン系付加重合体を構成する構造単位の種類や、含まれる官能基の種類・量によって適宜決定されるが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどの含ハロゲン脂肪族炭化水素およびヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素が好ましい。
【0102】
上記良溶媒と貧溶媒の組み合わせは、例えば次のようなものが挙げられる。すなわち、上記良溶媒としてシクロヘキサンを用いる場合、貧溶媒としてはジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどの炭素数1〜10の含ハロゲン炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの炭素数5〜8の脂肪族炭化水素が挙げられる。それらの中でもジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどの含ハロゲン脂肪族炭化水素、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素が好ましい。上記良溶媒としてトルエンを用いる場合、貧溶媒としてはジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどの炭素数1〜10の含ハロゲン炭化水素、メタノール、エタノール、ジエチルエーテル、アセトンなどの炭素数1〜8の含酸素炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの炭素数5〜8の脂肪族炭化水素が挙げられる。それらの中でも、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどの含ハロゲン脂肪族炭化水素、メタノール、エタノールなどの炭素数1〜8の含酸素炭化水素、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素が好ましい。
【0103】
上記溶液キャスティングは、上記環状オレフィン系付加重合体を含む組成物を良溶媒に溶解し溶液キャスティングして得られたフィルムまたはシートを、液体状の貧溶媒中に浸漬する、あるいは貧溶媒の蒸気に曝すという方法である。
これらいずれの方法においても、溶液キャスティングにより得られたフィルムまたはシート中に残留する良溶媒と、抽出に用いる貧溶媒が互いに混合しない場合には抽出効果が期待できない。
【0104】
上記環状オレフィン系付加重合体を含む組成物を良溶媒に溶解させて溶液キャスティングした後、まず良溶媒の沸点以下の温度条件下で、良溶媒を蒸発させることにより、環状オレフィン系付加重合体を含む組成物からなるフィルムまたはシート中の良溶媒量を1〜10重量%とし、基材から剥がす。該フィルムまたはシートを貧溶媒と接触させてもよいが、好ましくは該フィルムまたはシートを上記した種々の方法で架橋体とした後、貧溶媒と接触させる。上記環状オレフィン系付加重合体を架橋体とすることで、破壊強度・耐溶媒性・耐薬品性がより優れたものとなる。また、フィルムまたはシートから残存溶媒を除去する際、係るフィルムまたはシートが未架橋であれば、貧溶媒の種類によっては、該貧溶媒を接触させた際にフィルムまたはシートが膨潤し形状が崩れることがある。しかし、架橋された環状オレフィン系付加重合体を含む場合には、そのような貧溶媒と接触させた場合にも形状が崩れないので、環状オレフィン系付加重合体は架橋されていることが好ましい。
【0105】
貧溶媒を接触させる温度は、通常、0〜200℃であるが、大気圧下の沸点が80℃以下である貧溶媒を用いる場合は0℃〜沸点までの温度が好ましく、0℃〜30℃で接触することがより好ましい。貧溶媒を接触させる時間は、30秒以上5時間以内が好ましく、さらに好ましくは1分以上1時間以内である。貧溶媒と接触させた後、フィルムまたはシートを10分〜1時間、50〜150℃に加熱することで、残留溶媒をほとんど全て除去することができる。
【0106】
フィルムまたはシート中の残留溶媒量は、5,000ppm以下が好ましく、さらに好ましくは500ppm以下である。残留溶媒量が5,000ppmを超える場合、フィルムまたはシートの寸法安定性が悪いばかりでなく、残留溶媒が揮発するため表面加工などの後加工を施す際、例えばスパッタリングや蒸着工程で高真空度が得られない、あるいは残留溶媒の滲出による周囲への汚染や使用機器の機能低下などの問題が生じる場合がある。
【0107】
本発明の基体の形状は、板状、フィルム形状、シート形状などいずれでもよく、また、平面でも、段差のある非平面でもよく、その形態は特に限定されるものではない。太陽電池の基体として好ましくはフィルムまたはシートであり、厚さは好ましくは20〜500μm、さらに好ましくは50〜200μmである。20μm未満であると自立性が減少し、また強度も低く、基体としては不向きとなる場合がある。一方、500μmを超えると、透過率が減少し、太陽電池としたときの効率が低下する場合がある。また、耐衝撃性が不足する場合がある。
【0108】
本発明の基体の破断伸びは、JIS K7118に準じて引っ張り速度3mm/minで測定して4〜15%、好ましくは6〜15%、さらに好ましくは6〜12%である。
また、本発明の基体の破断強度は、JIS K7118に準じて引っ張り速度3mm/minで測定して30〜80MPa、好ましくは40〜60MPa、さらに好ましくは40〜50MPaである。
破断伸びが4%未満および/または破断強度が30MPa未満であると、太陽電池の基体としての柔軟性に乏しく、耐衝撃性が著しく減少する。一方、破断伸びが15%を超える、および/または破断強度が80MPaを超えると基体としての自立性に欠け、太陽電池の基体としての機能を果たせない。
【0109】
本発明の基体の透明性について、ASTM D 1003に準拠して測定した全光線透過率は、好ましくは85%以上、さらに好ましくは88%以上である。85%未満であると、吸収が多く、太陽電池の光電変換効率が低下する。
【0110】
本発明の太陽電池の電極の間に形成された、不純物の濃度および/または種類の異なる半導体膜は、少なくとも1層の半導体膜がシリコン粒子(A)、高次シラン化合物(B)およびSiiHj(ここで、iは5または6であり、jは2iである。)で表される水素化シラン化合物(C)を含有するシリコン膜形成用組成物から形成されたものである。
【0111】
上記シリコン粒子(A)としては、本発明の目的および効果を損なわない限りどのようなものでも使用できるが、多結晶または単結晶であり、かつ高純度であることが好ましい。このようなシリコン粒子は、例えば、多結晶または単結晶シリコンのインゴットを粉砕処理することにより製造することができる。ここで使用できるインゴットとしては、高純度のi型シリコンインゴット、n型シリコンインゴットおよびp型シリコンインゴットを挙げることができる。
【0112】
上記i型シリコンインゴットは高純度であることが好ましく、例えば純度99.99%以上のもの、さらに好ましくは純度99.9999%以上であることが好ましい。
i型シリコンインゴットの抵抗率は、広がり抵抗測定法〔日本結晶学会誌、18巻、34頁(1976年)〕で測定した値として、好ましくは10Ωcm以上、さらに好ましくは100Ωcm以上、特に好ましくは500Ωcm以上である。10Ωcm未満では、発電性能(起電力)が低下する。
【0113】
また上記n型シリコンインゴットとしては、例えば窒素原子、リン原子、ヒ素原子をドープしたものであることができる。これらのドープ原子のうち、リン原子が好ましい。ドーピングは、熱拡散法、レーザドーピング法、プラズマドーピング法、およびイオン注入法など、公知のドーピング法が採用できる。ドープ量としては、通常1010〜1021atom/cm3程度であり、好ましくは1015〜1020atom/cm3である。この範囲のドープ量とすることで、形成されるシリコン膜を好適な電気特性を示すn型の半導体膜とすることができる。
n型シリコンインゴットの抵抗率は、同様の測定条件で、好ましくは1〜0.001Ωcm、さらに好ましくは0.1〜0.001Ωcm、特に好ましくは0.01〜0.001Ωcmである。1Ωcmを超えると、取り出し電流密度が低下する。
【0114】
上記p型シリコンインゴットとしては、例えばホウ素原子、ガリウム原子をドープしたものであることができる。これらのドープ原子のうち、ホウ素原子が好ましい。ドープ量としては、通常1010〜1021atom/cm3程度であり、好ましくは1015〜1020atom/cm3である。この範囲のドープ量とすることで、形成されるシリコン膜を好適な電気特性を示すp型の半導体膜とすることができる。
p型シリコンインゴットの抵抗率は、同様の測定条件で、好ましくは1〜0.001Ωcm、さらに好ましくは0.1〜0.001Ωcm、特に好ましくは0.01〜0.001Ωcmである。1Ωcmを超えると、取り出し電流密度が低下する。
上記i型、n型およびp型シリコンインゴットのいずれか1種、下記高次シラン化合物(B)および水素化シラン化合物(C)を含有するシリコン膜形成用組成物をそれぞれ調製し、基体に塗布することにより、不純物の濃度および/または種類の異なる少なくとも2層の半導体膜を適宜形成することができる。
【0115】
上記の如きシリコンインゴットを粉砕する際には、乾式粉砕または湿式粉砕のいずれの方法をとってもよい。乾式粉砕で適当な大きさまで予備粉砕した後、さらに本発明のシリコン膜形成用組成物に含有されるべき分散媒を使用して湿式粉砕する方法をとれば、粉砕処理終了後にそのまま本発明のシリコン膜形成用組成物とすることができ、便利である。
上記乾式粉砕の際には、チップクラッシャー、ハンマークラッシャー、カッターミルなどを用いて、公知の方法で実施することができる。このような予備粉砕では、シリコン粒子の粒径として好ましくは10〜500μm程度、より好ましくは50〜300μm程度とすることが後の工程に便利である。
【0116】
上記乾式粉砕処理終了後、かつ上記湿式粉砕の処理前に適当な洗浄剤を用いて洗浄することが好ましい。この洗浄処理により、乾式粉砕処理中にシリコン粒子の表面に形成された酸化シリコンの層を除去することができ、本発明の組成物に含有されるシリコン粒子をより高純度とすることができる。上記洗浄処理としては、例えば、RCA洗浄法(RCA Review,1970(Jun),p187参照)や、王水、フッ化水素酸水溶液などの適宜の洗浄剤を使用した洗浄法を採用することができ、またこれらを組み合わせて使用することもできる。
【0117】
上記湿式粉砕の際には、ビーズミル、ボールミル、高圧液液衝突型ミルなどを用いて、公知の方法で実施することができる。湿式粉砕の際に使用する媒体としては、後述の本発明の組成物に含有されるべき分散媒を使用することができる。
湿式粉砕後のシリコン粒子の粒径は、本発明のシリコン膜形成用組成物に含有されるべきシリコン粒子の粒径に調整することができる。
【0118】
本発明のシリコン膜形成用組成物に含有されるシリコン粒子の平均粒径は、所望の膜厚などに応じて適宜の値とすることができる。平均粒径は、好ましくは0.001〜20μm、さらに好ましくは0.005〜10μm、特に0.01〜5μmとすることができる。0.001μm未満であると、組成物の安定性が悪くなる。一方、20μmを超えると、均一成膜性が悪化する。
本発明のシリコン膜形成用組成物に含有されるシリコン粒子の含有量は、所望の膜厚などに応じて適宜の値とすることができる。例えばシリコン膜形成用組成物の全固形分量に対して、好ましくは1〜50質量%、さらに好ましくは5〜25質量%(固形分換算)である。1重量%未満であると、膜にクラックなどの異常が発生し易く、一方、50重量%を超えると、均一成膜性が悪くなる。
【0119】
本発明のシリコン膜形成用組成物に含有される高次シラン化合物(B)としては、SikRl〔ここで、kは11以上の整数であり、lはk〜(2k+2)の整数でありそしてl個のRは互いに独立に水素原子、アルキル基、フェニル基またはハロゲン原子である〕、
で表される化合物が挙げられる。
【0120】
上記のRが表すアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基およびn−デシル基などの炭素数1〜10のアルキル基を好ましいものとして挙ることができる。
また、ハロゲン原子としては、例えばフッ素、塩素および臭素を好ましいものとして挙げることができる。
【0121】
上記高次シラン化合物は、鎖状、環状、またはかご状であることができる。
上記高次シラン化合物のうち、Rのすべてが水素原子である水素化高次シラン化合物が好ましく用いられる。このような水素化高次シラン化合物としては、SitH2t+2で表される水素化鎖状ポリシラン、SitH2tで表される水素化環状ポリシラン、およびSitHtで表される水素化かご状ポリシラン化合物が好適に用いられる。なお、「かご状」とは、プリズマン骨格、キューバン骨格、5角柱型骨格などを含むものを意味する。
ただし、上記各式におけるtは、水素化鎖状ポリシランにおいて11〜100,000、好ましくは11〜50,000の整数であり、水素化環状ポリシランにおいて11〜100,000、好ましくは11〜50,000の整数であり、そして水素化かご状ポリシランにおいて11〜100,000、好ましくは11〜50,000の整数である。
この場合、tが11より小さい場合には高次シラン化合物の成膜性に難点が生じる場合があり、またtが上記最大値より大きい場合には高次シラン化合物の凝集力に起因する溶解性の低下が認められる場合がある。
このような高次シラン化合物は、単独で、また、2種以上を混合して使用することができる。
【0122】
本発明の高次シラン化合物(B)は、所望の構造単位を有するモノマ−を原料として、例えば以下の方法により製造することができる。(1)アルカリ金属の存在下にハロシラン類を脱ハロゲン縮重合させる方法(いわゆる「キッピング法」、J.Am.Chem.Soc.,110,2342(1988)およびMacromolecules,23,3423(1990)参照);(2)電極還元によりハロシラン類を脱ハロゲン縮重合させる方法(J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,1161(1990)およびJ.Chem.Soc.,Chem.Commun.,896(1992)参照);(3)金属触媒の存在下にヒドロシラン類を脱水素縮重合させる方法(特開平4−334551号公報参照):(4)ビフェニルなどで架橋されたジシレンのアニオン重合による方法(Macro molecules,23,4494(1990)参照)。(5)フェニル基やアルキル基で置換された環状ケイ素化合物を上記の方法で合成した後、公知の方法(例えば、Z.Anorg.Allg.Chem.,459,123−130 (1979)、E.Henggeら Mh.Chem.第106巻、503頁、1975年など)によりヒドロ置換体やハロゲン置換体などに誘導することができ、(6)上記の方法で合成したシラン化合物に光照射することによりさらに高分子量の高次シラン化合物とすることができる。
【0123】
(6)シラン化合物に光照射して高次シラン化合物を合成する場合、その原料となるシラン化合物としては、SiqH2q+2(ここで、qは2〜10の整数である)で表される水素化鎖状シラン化合物、SirH2r(ここで、rは3〜10の整数である)で表される水素化環状シラン化合物、および、SisHs(ここで、sは6〜10の整数である)で表される水素化かご状シラン化合物、よりなる群から選ばれる少なくとも1種のシラン化合物が好ましい。そのうちでも上記水素化環状シラン化合物がさらに好ましく、特に好ましくはシクロペンタシラン、シクロヘキサシランおよびシリルシクロペンタシランよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。これらはそれぞれ、下記式(B1)〜(B3)で表される。
【0124】
【化27】
【0125】
高次シラン化合物(B)は、具体的には、ジフェニルジクロロシランから製造されるデカフェニルシクロペンタシランおよびドデカフェニルシクロペンタシランを経て製造することができる。
高次シラン化合物(B)は単独であるいは2種以上の混合物として用いることができる。
高次シラン化合物(B)の使用量としては、シリコン膜形成用組成物の全固形分量に対して30質量%以下とすることができ、さらに10質量%以下(固形分換算)とすることができる。
【0126】
高次シラン化合物(B)を合成するために光照射する際には、可視光線、紫外線、遠紫外線の他、低圧あるいは高圧の水銀ランプ、重水素ランプあるいはアルゴン、クリプトン、キセノンなどの希ガスの放電光の他、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザーなどを光源として使用することができる。これらの光源としては、好ましくは10〜5,000W、さらに好ましくは100〜1,000Wの出力のものが用いられる。これらの光源の波長は原料のシラン化合物が多少でも吸収するものであれば特に限定されないが、170nm〜600nmが好ましい。
【0127】
光照射処理を行う際の温度は、好ましくは室温〜300℃以下である。処理時間は0.1〜30分程度である。光照射処理は、非酸化性雰囲気下で行うことが好ましい。
また、光照射処理は、適当な溶媒の存在下に行ってもよい。このような溶媒としては、本発明の組成物の任意添加成分として後述する溶媒と同様のものを使用することができる。
【0128】
上記の高次シラン化合物(B)は、式SikRlにおける重合度kが11程度以上の高分子量体になると、炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒などの汎用溶媒に対する溶解性が著しく低くなり、実質的に不溶性となる。このため、本発明のシリコン膜形成用組成物は、高次シラン化合物に対して良好な溶解性を示す、SiiHj(ここで、iは5または6であり、jは2iである。)で表される水素化シラン化合物(C)を含有する。上記(C)成分を含有することにより形成された膜が緻密で均一性に優れた高品位のものとなる利点がある。
本発明に用いられる水素化シラン化合物(C)としては、高次シラン化合物を合成する原料として挙げられた水素化鎖状シラン化合物、水素化環状シラン化合物、および水素化かご状シラン化合物が挙げられる。中でも、シクロペンタシラン、シクロヘキサシランおよびシリルシクロペンタシランよりなる群から選ばれる少なくとも1種のシラン化合物が好ましい。
本発明において、水素化シラン化合物(C)は単独であるいは2種以上の混合物として用いることができる。
【0129】
本発明の溶液組成物を構成する水素化シラン化合物(C)に対する高次シラン化合物(B)の割合は好ましくは0.01〜1,000重量%、さらに好ましくは0.05〜500重量%、特に好ましくは0.1〜100重量%(固形分換算)である。
この値が0.01重量%未満の場合は、塗布した後に塗膜が薄すぎ最終的に連続したシリコン膜またはシリコン酸化膜にならない場合がある。一方、この値が1,000重量%を超える場合は、高次シラン化合物が完全に溶解しない場合がある。
【0130】
本発明のシリコン膜形成用組成物に含有される分散媒としては、本発明の(A)〜(C)成分と反応しないものが用いられる。例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ジシクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、スクワランなどの炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒドロフランテトラヒドロピラン、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;およびプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリルなどの極性溶媒を挙げることができる。これらのうち、該溶液の安定性の点で炭化水素系溶媒が好ましい。これらの溶媒は、単独でもあるいは2種以上の混合物としても使用できる。
【0131】
本発明のシリコン膜形成用組成物中の溶媒の使用量は、所望のシリコン膜およびシリコン酸化膜の膜厚に応じて適宜調整することができるが、好ましくは高次シラン化合物に対し、固形分換算で10,000重量%以下であり、特に好ましくは5,000重量%以下である。10,000重量%を超えると高次シラン化合物が析出する場合があり好ましくない。
【0132】
本発明のシリコン膜形成用組成物には、本発明の目的と機能を損なわない範囲で必要に応じてさらに界面活性剤を添加することができる。このような界面活性剤は、カチオン系、アニオン系、両イオン系または非イオン系であることができる。このうち、非イオン系界面活性剤は、組成物の塗布対象物への濡れ性を良好化し、塗布した膜のレベルリング性を改良し、塗膜のぶつぶつの発生、ゆず肌の発生などの防止に役立つ点で好ましく使用できる。
かかる非イオン性界面活性剤としては、例えばフッ化アルキル基もしくはパーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤、またはオキシアルキル基を有するポリエーテルアルキル系界面活性剤を挙げることができる。
【0133】
前記フッ素系界面活性剤としては、例えばエフトップEF301、同EF303、同EF352(新秋田化成(株)製)、メガファックF171、同F173(大日本インキ(株)製)、アサヒガードAG710(旭硝子(株)製)、フロラードFC−170C、同FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(旭硝子(株)製)、BM−1000、同1100(B.M−Chemie社製)、Schsego−Fluor(Schwegmann社製)、C9F19CONHC12H25、C8F17SO2NH−(C2H4O)6H、C9F17O(プルロニックL−35)C9F17、C9F17O(プルロニックP−84)C9F17、C9F7O(テトロニック−704)(C9F17)2などを挙げることができる。(ここで、プルロニックL−35:旭電化工業(株)製、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体、平均分子量1,900;プルロニックP−84:旭電化工業(株)製、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体、平均分子量4,200;テトロニック−704:旭電化工業(株)製、N,N,N’,N’−テトラキス(ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体)、平均分子量5,000である。)
【0134】
またポリエーテルアルキル系界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマーなどを挙げることができる。
これらのポリエーテルアルキル系界面活性剤の具体例としては、エマルゲン105、同430、同810、同920、レオドールSP−40S、同TW−L120、エマノール3199、同4110、エキセルP−40S、ブリッジ30、同52、同72、同92、アラッセル20、エマゾール320、ツィーン20、同60、マージ45(いずれも(株)花王製)、ノニボール55(三洋化成(株)製)などを挙げることができる。上記以外の非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリアルキレンオキサイドブロック共重合体などがあり、具体的にはケミスタット2500(三洋化成工業(株)製)、SN−EX9228(サンノプコ(株)製)、ノナール530(東邦化学工業(株)製)などを挙げることができる。
【0135】
このような界面活性剤の使用量は、(A)〜(C)成分ならびに任意的に添加される溶媒の合計100重量部に対して、好ましくは10重量部以下、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。ここで、10重量部を超えると得られる組成物が発泡し易くなると共に、熱変色を起こす場合があり好ましくない。
【0136】
また本発明の組成物には、組成物のゲル化防止および増粘、得られるシリコン酸化膜の耐熱性、耐薬品性、硬度、および密着性の向上、さらには静電防止などを目的として、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタンなどの金属酸化物の微粉末を適宜配合することもできる。
【0137】
次に本発明のシリコン膜の形成方法について説明する。
本発明のシリコン膜の形成方法は、例えば以下の態様においてなされることが好ましい。
(1)基体上に形成した電極上に、(A)〜(C)成分を含有する組成物溶媒の存在下または不存在下で塗布し、熱および/または光で処理してシリコン膜形成用組成物の塗膜を形成する、多結晶シリコン膜の形成方法。
(2)基体上に形成した電極上に、シリコン粒子(A)および水素化シラン化合物(C)を含有する組成物を溶媒の存在下または不存在下で塗布し、熱および/または光で処理してシリコン膜形成用組成物の塗膜を形成する、多結晶シリコン膜の形成方法。この場合、熱および/または光処理によって(C)成分の一部から高次シラン化合物(B)が形成されるため、本発明の組成物は、塗布後の処理によって調製されることになる。
【0138】
上記基体上に形成された電極には、必要に応じて、UV/オゾン処理、プラズマなどの前処理を行なっても良い。
上記態様(1),(2)において、基体上に形成された電極上に組成物の塗膜を形成するには、例えばスプレー法、ロールコート法、カーテンコート法、スピンコート法、ワイヤーコート法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、インクジェット法、浸漬法などの適宜の方法により塗布した後、分散媒を除去することにより実施することができる。
塗膜形成工程は非酸化性雰囲気下で実施されることが好ましい。このような雰囲気を実現するためには、酸素、二酸化炭素などの酸化性物質を実質的に含有しない雰囲気とすればよく、具体的には、窒素、水素、希ガスおよびこれらの混合ガス中の雰囲気が好ましく使用できる。
上記分散媒除去工程においては、室温で静置することにより分散媒が自然に蒸散するのを待っても良いが、加熱することにより一層効果的に分散媒の除去が行える。分散媒除去工程において加熱する場合には、オーブン、ホットプレートなどの適当な加熱器具を用い、通常100〜400℃程度の温度で、1〜120分程度の加熱で充分である。
塗膜の膜厚は、本発明のシリコン膜形成用組成物に含有されるシリコン粒子の粒径により異なるが、分散媒除去後の乾燥膜厚として、例えば0.001〜10μmとすることができ、好ましくは0.01〜5μm程度となるように塗布する。
【0139】
上記(2)の態様において、組成物を塗布する際に使用できる溶媒としては、前述した本発明のシリコン膜形成用組成物が含有することのできる分散媒と同様のものを使用することができる。溶媒を使用する場合、溶液中の水素化シラン化合物(C)の濃度は1〜30質量%とすることができる。
上記(1)、(2)の態様において、高次シラン化合物(B)および水素化シラン化合物(C)の合計塗布量は、溶媒除去後に少なくともすべてのシリコン粒子がシラン化合物に埋没する量とすることが好ましい。
【0140】
上記態様(1)(2)において形成された塗膜は、次いで、光および/または熱処理を施されることにより多結晶シリコン膜とすることができる。
多結晶シリコン膜とするための光処理に際しては、上記高次シラン化合物(B)を合成するために使用される光源と同様のW数、波長などの条件で使用することができる。
【0141】
また、多結晶シリコン膜とするための熱処理は、好ましくは100〜1,000℃で、より好ましくは200〜850℃で、さらに好ましくは300℃〜500℃の温度で行われる。熱処理の加熱時間は好ましくは、10〜120分、より好ましくは15〜60分である。
上記光処理および/または熱処理は非酸化性雰囲気下で行うことが好ましく、窒素、アルゴン、水素を含有するアルゴンあるいは水素を含有する窒素の雰囲気下で行うことがさらに好ましい。
【0142】
このようにして形成された塗膜は、必要に応じて、さらに溶融結着することができる。
ここで溶融結着とは、塗膜中に含有されるシリコン粒子の少なくとも表層部を短時間のうちに溶融させ、隣接する他のシリコン粒子と結着させることにより、全体としてシリコン膜を形成することをいう。
このような溶融決着を行うには、例えば上記(B)成分を合成するために挙げられた希ガスの放電光の他、上記各種レーザーなどを光源とした光照射により実施することができる。光源のW数、波長も上記(B)成分を合成するために挙げられたものと同様である。
【0143】
また、パルス幅1.5ms以下の閃光発光によっても溶融結着を実現することができる。
閃光の照射は、閃光放電ランプ(またはフラッシュランプ)で行うことができる。閃光放電ランプとしては、例えば発光用希ガスが封入された、石英ガラスの棒状放電容器からなるものが用いられる。これらの閃光放電ランプとしては、例えば電流密度1.5〜3.0kA/cm2、パルス幅(半値幅)0.1〜0.5msで1回という高電流密度、短パルス化という条件下で放電ランプの閃光発光をさせることが挙げられる。照射回数は1回〜複数回であることができる。照射時の温度は、例えば−273℃、〜1,000℃の広範囲にわたることができる。また、照射時の雰囲気は特に限定されないが、非酸化性雰囲気下で実施するのが好ましい。非酸化性雰囲気としては前記したと同様の雰囲気が用いられる。
【0144】
本発明の太陽電池は、一対の電極のうち少なくとも一方が、無機粉体および結着樹脂を含有する導電性膜形成用組成物から形成されたものであることが好ましい。
【0145】
本発明の導電性膜形成用組成物は、(g)無機粉体、(h)結着樹脂および溶媒を含有してなるペースト状の組成物である。
【0146】
(g)無機粉体
本発明の導電性膜形成用組成物に使用される(g)無機粉体は、形成材料の種類によって適宜選択できる。
電極形成材料に使用される無機粉体としては、Ag、Au、Al、Ni、Ti、Pd、Ag−Pd合金、Cu、Crなどを挙げることができる。また、透明電極形成材料に使用される無機粉体としては、酸化インジウム、酸化錫、錫含有酸化インジウム(ITO)、アンチモン含有酸化錫(ATO)、フッ素添加酸化インジウム(FIO)、フッ素添加酸化錫(FTO)、フッ素添加酸化亜鉛(FZO)、ならびに、Al、Co、Fe、In、SnおよびTiの群から選ばれた少なくとも1種の金属を含有する酸化亜鉛微粉体などを挙げることができる。
中でもn型の半導体膜に付設する導電性膜形成に使用される無機粉体として、好ましくはTiおよび/またはAgである。
また、p型の半導体膜に付設する導電性膜形成に使用される無機粉体として、好ましくはAlおよび/またはAgなどであり、透明電極の場合は、好ましくは錫含有酸化インジウム(ITO)である。
【0147】
なお、導電性膜形成用組成物から形成された導電性膜(電極)の接着力向上の目的で、隔壁形成材料に使用される低融点ガラスフリットを無機粉体に併用しても良い。この場合の低融点ガラスフリットの含有量は、用途によって異なるが、通常、低融点ガラスフリットを含む無機粉体全量100重量部に対して50重量部以下である。
【0148】
(h)結着樹脂
本発明の導電性膜形成用組成物に使用される結着樹脂としては、種々の樹脂を用いることができるが、アルカリ可溶性樹脂を30〜100重量%の割合で含有する結着樹脂を用いることが好ましい。
ここに、「アルカリ可溶性」とは、後述するアルカリ性のエッチング液によって溶解し、目的とするエッチング処理が遂行される程度に溶解性を有する性質をいう。
かかるアルカリ可溶性樹脂の具体例としては、例えば(メタ)アクリル系樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、ノボラック樹脂、ポリエステル樹脂などを挙げることができる。
このようなアルカリ可溶性樹脂のうち、特に好ましいものとしては、下記のモノマー(h−1)とモノマー(h−2)との共重合体、又はモノマー(h−1)と、モノマー(h−2)とモノマー(h−3)との共重合体を挙げることができる。
【0149】
モノマー(h−1):
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ケイ皮酸、コハク酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレートなどのカルボキシル基含有モノマー類;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどの水酸基含有モノマー類;o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレンなどのフェノール性水酸基含有モノマー類などに代表されるアルカリ可溶性官能基含有モノマー類。
モノマー(h−2):
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸(2−エチルヘキシル)、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、グリシジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートなどのモノマー(イ)以外の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル系モノマー類;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン類などに代表されるモノマー(イ)と共重合可能なモノマー類。
モノマー(h−3):
ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ベンジルなどのポリマー鎖の一方の末端に、(メタ)アクリロイル基などの重合性不飽和基を有するマクロモノマーなどに代表されるマクロモノマー類。
【0150】
導電性膜形成用組成物における結着樹脂の含有割合としては、無機粉体100重量部に対して、通常1〜500重量部とされ、好ましくは5〜100重量部とされる。
【0151】
溶媒
導電性膜形成用組成物の溶媒は、当該導電性膜形成用組成物に、適当な流動性または可塑性、良好な膜形成性を付与するために使用される。
導電性膜形成用組成物の溶媒としては、特に制限されるものではなく、例えばエーテル類、エステル類、エーテルエステル類、ケトン類、ケトンエステル類、アミド類、アミドエステル類、ラクタム類、ラクトン類、スルホキシド類、スルホン類、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類などを挙げることができる。
かかる溶媒の具体例としては、テトラヒドロフラン、アニソール、ジオキサン、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールジアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールジアルキルエーテル類、酢酸エステル類、ヒドロキシ酢酸エステル類、アルコキシ酢酸エステル類、プロピオン酸エステル類、ヒドロキシプロピオン酸エステル類、アルコキシプロピオン酸エステル類、乳酸エステル類、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、アルコキシ酢酸エステル類、環式ケトン類、非環式ケトン類、アセト酢酸エステル類、ピルビン酸エステル類、N,N−ジアルキルホルムアミド類、N,N−ジアルキルアセトアミド類、N−アルキルピロリドン類、γ−ラクトン類、ジアルキルスルホキシド類、ジアルキルスルホン類、ターピネオール、N−メチル−2−ピロリドンなどを挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
導電性膜形成用組成物における溶媒の含有割合としては、良好な膜形成性(流動性または可塑性)が得られる範囲内において適宜選択することができる。
導電性膜形成用組成物の具体例としては、例えば、田中貴金属(株)製、商品名銀「ペースト3350C」などが挙げられる。
【0152】
導電性膜形成用組成物には、任意成分として、可塑剤、現像促進剤、接着助剤、ハレーション防止剤、保存安定剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、フィラー、低融点ガラスなどの各種添加剤が含有されていてもよい。
【0153】
上記導電性膜形成用組成物を使用して、電極としての機能を有する導電性膜を基体上に形成することができる。導電性膜の形成方法としては、上記シリコン膜形成用組成物の塗布方法の他、転写フィルムを使用する方法など公知の方法が挙げられる。
【0154】
上記のようにして形成される無機粉体含有樹脂層(導電性膜電極)の厚さとしては、無機粉末の含有率、部材の種類やサイズなどによっても異なるが、好ましくは0.1〜10μm、さらに好ましくは0.5〜5μmである。0.1μm未満であると、シート抵抗が高くなり、一方、10μmを超えると、膜にクラックが入りやすくなる。
【0155】
本発明の太陽電池の一対の電極のうち、少なくとも一方は、
In(OCOR)a(OR)bX1 c(ここで、Rは炭素数1〜110のアルキル基、X1はハロゲン原子を示し、a,bおよびcはそれぞれ独立に0〜3の数であり、かつa+b+c=3である。)で表されるインジウム化合物、および
Sn(OCOR)d(OR)eX2 f(ここで、Rは炭素数1〜110のアルキル基、X2はハロゲン原子を示し、d,eおよびfはそれぞれ独立に0〜3の数であり、かつd+e+f=2である。)で表されるスズ化合物
を含有する透明導電性膜形成用組成物から形成されたものである
【0156】
上記インジウム化合物としては、例えば、In(OCOR)3(式中、Rは炭素数1〜8の直鎖または分岐鎖のアルキル基を示す)で表される脂肪酸インジウムであり、例えば、酢酸インジウム、プロピオン酸インジウム、2−エチルヘキサン酸インジウムなどが挙げられる。中でも、炭素数の多いインジウム化合物は、熱分解時の重量減少が多いが、成膜性の点で2−エチルヘキサン酸が好ましい。
【0157】
上記スズ化合物としては、例えば、Sn(OCOR’)2(式中、R’は炭素数1〜8の直鎖または分岐鎖のアルキル基を示す)で表される脂肪酸スズであり、例えば、酢酸スズ、プロピオン酸スズ、カプロン酸スズ、2−エチルヘキサン酸スズなどが挙げられる。中でも2−エチルヘキサン酸スズ、カプロン酸スズが好ましい。
【0158】
上記インジウム化合物とスズ化合物との配合割合は、Sn濃度がIn濃度に対して、好ましくは0.01〜0.3(モル比)、さらに好ましくは0.05〜0.2である。0.01未満であると、得られる膜の比抵抗率が高くなる。一方、0.3を超えると、膜厚の均一性が悪くなる。
【0159】
本発明の透明導電性膜形成用組成物に使用される有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、2−ブタノールなどのアルコール系溶媒、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、メトキシエタノール、エトキシエタノール、イソプロポキシエタノールなどのグリコールエーテル類などが挙げられる。これらの有機溶媒のうち、1種だけを用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもかまわない。
【0160】
有機溶媒の量としては、In濃度が好ましくは0.05〜2mol/l、さらに好ましくは0.1〜1mol/lとなる量が好ましい。In濃度が0.05mol/l未満であると、塗布膜厚の薄い導電性の充分でない膜ができてしまい好ましくない。一方、2mol/lを超えると、粘度が高くなり、透明導電性膜形成用組成物としては適さなくなり、塗布膜にクラックが入ったり、可視光透過率の低い膜ができてしまう。
【0161】
本発明の透明導電性膜形成用組成物は、インジウム化合物およびスズ化合物と有機溶媒のみではインジウム化合物が溶解せずに固体として分散または沈殿してしまうため、アミン化合物を含有することが好ましい。
【0162】
アミン化合物としては、例えば、メタノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのエタノールアミン、ピリジン、アニリンなどが挙げられる。これらは、1種単独でもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0163】
アミン化合物の量は、インジウム化合物とスズ化合物の合計のモルに対して好ましくは1〜6(mol比)、さらに好ましくは2〜4(mol比)である。アミン化合物が1(mol比)未満であるとインジウム化合物の溶解が不十分で、塗布の際、未溶解のインジウム化合物粒子が析出した、表面の粗い塗布膜となったり、スズ化合物にエタノールアミンが充分配位されないため、スズ化合物の加水分解が十分に抑制されず、大気中の湿分でスズ化合物が加水分解され、塗布膜が白化したりする。一方、8(mol比)を超えると、塗布膜にムラが生じてしまい、均一な膜厚とはならない。
上記範囲内で、均質な安定した透明溶液が得られ、スズ化合物の加水分解が抑制されるため、塗布膜の白化が防止できる。その結果、透明かつ均質な透明導電性膜が形成される。
【0164】
透明導電性膜形成用組成物の塗布方法としてはスプレー、ロールコート、スピンコート、浸漬法などが均質な膜を容易に製造する方法として優れている。上記の方法で基体表面に塗布膜を形成した後、有機溶媒を除去するために好ましくは70〜200℃、さらに好ましくは100〜150℃で溶媒除去を行う。溶媒除去時間は、好ましくは10〜60分、さらに好ましくは20〜40分である。上記範囲内であると、成膜性のため好ましい。溶媒除去後、好ましくは300〜600℃、さらに好ましくは400〜500℃で加熱を行う。加熱時間は、好ましくは10分〜2時間、さらに好ましくは30分〜1時間である。上記範囲内であると、残留炭素が少なく、得られる膜の電気特性のため好ましい。加熱雰囲気に関しては大気中、または酸素中で行い、さらに場合によってはその後、不活性雰囲気(窒素、アルゴンなど)または還元性雰囲気中で加熱を行ってもよい。この方法により、透明でしかも導電性の高い酸化インジウム系酸化物被膜が得られる。
【0165】
上記のようにして形成される透明導電性膜電極の厚さとしては、好ましくは0.1〜5μm、さらに好ましくは0.3〜3μmである。0.1μm未満であると、得られる膜のシート抵抗が高くなる。一方、5μmを超えると、得られる膜にクラックが入りやすくなる。
【0166】
本発明の導電性膜(電極)および/または透明導電性膜(電極)には、必要に応じて、光触媒層形成用組成物を塗布し、光触媒層を積層してもよい。光触媒層を積層することにより、防汚性が向上し、太陽電池の耐久性が向上するという効果が得られる。上記光触媒層形成用組成物としては、下記(j),(k),(m)成分を含むものが挙げられる。
【0167】
(j)成分
(j)成分は、下記一般式(21)
(R1)nSi(OR2)4−n ・・・・・(21)
(式中、R1は、2個存在するときは同一または異なり、炭素数1〜10の1価の有機基を示し、R2は、同一または異なり、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基を示し、nは1〜2の整数である)で表されるオルガノシラン(以下「オルガノシラン(1)」という)およびオルガノシラン(1)の加水分解物から選択された少なくとも1種であり、光触媒層形成用組成物中においては結合剤としての働きをするものである。
ここで、上記オルガノシラン(1)の加水分解物は、オルガノシラン(1)に2〜4個含まれるOR2基がすべて加水分解されている必要はなく、例えば、1個だけが加水分解されているもの、2個以上が加水分解されているもの、あるいはこれらの混合物であってもよい。
上記のように、(j)成分として、オルガノシラン(1)を加水分解物として使用する場合は、あらかじめ加水分解させて(j)成分として使用することもできるが、オルガノシラン(1)を残りの成分と混合して組成物を調整する際に、適量の水を添加することにより、オルガノシラン(1)を加水分解させて(j)成分とすることが好ましい。
オルガノシラン(1)の加水分解に用いられる水の使用量は、オルガノシラン(1)1モルに対して、通常、0.3〜3モル、好ましくは0.4〜2モル程度である。
上記(j)成分は、単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0168】
一般式(21)において、R1の炭素数1〜10の1価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基などのアルキル基;アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ベンゾイル基、トリオイル基、カプロイル基などのアシル基;ビニル基、アリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、エポキシ基、グリシジル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アミド基、フルオロアセトアミド基、イソシアナート基などのほか、これらの基の置換誘導体などを挙げることができる。
【0169】
R1の置換誘導体における置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のアミノ基、水酸基、メルカプト基、イソシアナート基、グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アンモニウム塩基などを挙げることができる。ただし、これらの置換誘導体からなるR1の炭素数は、置換基中の炭素原子を含めて8以下である。
一般式(21)中に、R1が2個存在するときは、相互に同一でも異なってもよい。
【0170】
また、R2の炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基などを挙げることができ、炭素数1〜6のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、カプロイル基などを挙げることができる。
一般式(21)中に複数個存在するR2は、相互に同一でも異なってもよい。
【0171】
このようなオルガノシラン(1)の具体例としては、
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどのトリアルコキシシラン類;
【0172】
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどのジアルコキシシラン類のほか、メチルトリアセチルオキシシラン、ジメチルジアセチルオキシシランなどを挙げることができる。
【0173】
これらのうち、トリアルコキシシラン類としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランが好ましく、さらに、ジアルコキシシラン類としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランが好ましい。また、(j)成分の一部として、上記一般式(21)におけるR1が炭素数が3〜10の有機基であるものを含有することが好ましい。炭素数3〜10の有機基としては、例えば、n−プロピル基、i−プロピル基、ブチル基などのアルキル基のほか、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリクロロプロピル基、3−グリシドキシプロピル基、3−メタクリルオキシプロピル基、3−メルカプト基、3−メルカプトプロピル基、フェニル基、3,4−エポキシシキロヘキシルエチル基等が挙げられる。このようなオルガノシランの具体的には、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシランなどが挙げられ、好ましくは、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。これらのオルガノシランは、(j)成分全体の1〜25%程度含まれていることが好ましい。
【0174】
上記オルガノシラン(1)としては、特に、トリアルコキシシランのみ、あるいは、トリアルコキシシラン40〜95モル%とジアルコキシシラン60〜5モル%との組み合わせが好ましい。ジアルコキシシランをトリアルコキシシランと併用することにより、得られる塗膜を柔軟化し、耐クラック性を向上させることができる。
【0175】
(k)成分
(k)成分は、SiO結合を有し、重量平均分子量が300〜100,000の3官能および/または2官能のシロキサンオリゴマーであり、単独で使用しても2種以上の混合物であってもよい。(k)成分の製法は、特に規定はないが、主にクロロシランの縮合物あるいはアルコキシシランの縮合物が好ましい。上記シロキサンオリゴマーにおいて、シロキサンの末端官能基は、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜15の有機基〔例えば、アルキル基、アシル基、アルコキシル基、アルコキシシリル基、ビニル基、アリル基、アセトキシル基、アセトキシシリル基、シクロアルキル基、フェニル基、グリシジル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アミド基、フルオロアセトアミド基、イソシアナート基〕のほか、−(RO)p−(R′O)q−R″(式中、RおよびR′は、同一または異なり、炭素数1〜5のアルキル基を示し、R″は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を示し、pおよびqは、p+qの値が2〜30の整数である)で表される基である。これらの基は、部分的に加水分解・縮合したものであってもよく、置換誘導体であってもよい。
【0176】
上記ハロゲン原子としては、フッ素、塩素などが挙げられる。
また、炭素数1〜15のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられ、アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ベンゾイル基、トリオイル基などが挙げられ、アルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられ、アルコキシシリル基としては、メトキシシリル基、エトキシシリル基、プロポキシシリル基、ブトキシシリル基などが挙げられる。
−(RO)n−(R′O)m−R″で表される基は、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)基などのポリオキシアルキレン基である。(k)成分がこのような末端官能基を有することにより、(j)成分と(k)成分との共縮合物が親水性となるほか、ポリオキシアルキレン基の部分が(m)成分や(n)成分に吸着しやすいため、(m)成分や(n)成分の分散安定性が向上する。
【0177】
上記置換誘導体における置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のアミノ基、水酸基、メルカプト基、イソシアナート基、グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アンモニウム塩基、ケトエステル基などを挙げることができる。
【0178】
(k)成分の重量平均分子量(以下「Mw」ともいう)は、300〜100,000、特に好ましくは600〜50,000である。300未満では、得られる塗膜の柔軟性が不足し、一方、100,000を超えると、得られるコーティング組成物が保存安定性に乏しいものとなるため、好ましくない。
また、(k)成分としては、Mwの異なる2種のオリゴマーを混合して用いてもよく、例えば、Mw=400〜2,800のオリゴマーと、Mw=3,000〜50,000のオリゴマーとを混合して用いても良い。
【0179】
(k)成分の市販品には、東レ・ダウコーニング社製のシリコンレジン、東芝シリコーン(株)製のシリコンレジン、信越化学工業(株)製のシリコンレジン、ダウコーニング・アジア(株)製のヒドロキシル基含有ポリジメチルシロキサン、日本ユニカ(株)製のシリコンオリゴマーなどがあり、これらをそのまま、または縮合させて使用してもよい。
上記(k)成分は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0180】
(j)成分と(k)成分との使用割合は、(j)成分5〜95重量%、好ましくは10〜90重量%、(k)成分5〜95重量%、好ましくは10〜90重量%〔ただし、(j)+(k)=100重量%〕である。(j)成分が5重量%未満では、得られるコーティング組成物が硬化性に乏しいものとなる場合があり、一方、95重量%を超えると、耐クラック性が低下する場合がある。
【0181】
なお、光触媒層形成用組成物において、(k)成分は、通常、上記の(j)成分とともに、共・加水分解、縮合される。
この場合、オルガノシラン(1)や(k)シロキサンの加水分解・縮合水の使用量は、オルガノシラン(1)および(k)シロキサンの合計1モルに対して、通常、0.3〜3モル、好ましくは、0.4〜2モル程度である。
この際の加水分解・縮合反応、すなわち光触媒層形成用組成物の調製時における反応は、温度30〜80℃、好ましくは40〜70℃、反応時間0.5〜10時間、好ましくは1〜7時間程度である。
また、光触媒層形成用組成物において、(j)成分と(k)成分とが共加水分解・縮合した場合の共加水分解縮合物(加水分解物および/またはその縮合物)の重量平均分子量は、通常、500〜100,000、好ましくは、600〜80,000程度である。
【0182】
(m)光触媒
(m)光触媒としては、好ましくは光触媒能を有する半導体の粉体および/またはゾルが挙げられる。
【0183】
光触媒能を有する半導体としては、例えば、TiO2、TiO3、SrTiO3、FeTiO3、WO3、SnO2、Bi2O3、In2O3、ZnO、Fe2O3、RuO2、CdO、CdS、CdSe、GaP、GaAs、CdFeO3、MoS2、LaRhO3、GaN、CdP、ZnS、ZnSe、ZnTe、Nb2O5、ZrO2、InP、GaAsP、InGaAlP、AlGaAs、PbS、InAs、PbSe、InSbなどを挙げることができ、このうち、好ましいものは、TiO2、ZnOであり、特に好ましいものはアナターゼ型の構造を含むTiO2である。
【0184】
上記(m)成分の光触媒能により、微弱な光によっても短時間で塗膜表面が親水性化され、その結果、他の塗膜性能を実質的に損なうことなく、塗膜の耐汚染性を著しく改善できることが明らかとなった。しかも、光触媒層形成用組成物から得られる塗膜中では、通常、(m)成分が上記(j)成分などと結合を有しており、塗膜の親水性、耐汚染性が長期にわたり持続される。
【0185】
また、上記半導体は、粉体および/またはゾルの態様で使用されることが望ましい。詳細には、粉体、水に分散した水系ゾル、イソプロピルアルコールなどの極性溶媒やトルエンなどの非極性溶媒に分散した溶媒系ゾルの3種類のうちのいずれかの態様をとることが望ましい。溶媒系ゾルの場合、半導体の分散性によっては、さらに水や溶媒で希釈して用いてもよい。これらの存在形態における半導体の平均粒子径は、光触媒能の観点では小さいほど好ましい。この場合、半導体の平均粒子径が0.3μm以上であると、半導体の光隠ぺい作用により、塗膜が不透明になりやすい。また、0.3μm未満であると、塗膜が透明となる傾向にある。従って、半導体の平均粒子径は、組成物の用途に応じて適宜選択することができる。
【0186】
(m)成分が水系ゾルあるいは溶媒系ゾルである場合の固形分濃度は、50重量%以下が好ましく、さらに好ましくは、40重量%以下である。
【0187】
(m)成分を組成物中に配合する方法としては、上記(j)、(k)成分と後記(n)〜(r)成分などからなる組成物の調製後に添加してもよく、あるいは、この組成物の調製時に添加して、(m)成分の存在下で、(j)、(k)成分などを加水分解・縮合させることもできる。(m)成分を組成物の調製時に添加すると、(m)成分中の半導体化合物を(j)成分などと共縮合させることができ、得られる塗膜の塗膜耐久性が特に改善される。また、(m)成分が水系ゾルである場合は、組成物の調製時に添加するのが好ましく、さらに、後述する(q)成分の配合により、系内の粘性が上昇する場合にも、(m)成分を組成物の調製時に添加する方が好ましい。
【0188】
上記(m)成分は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
(m)成分の使用量は、(j)、(k)成分の完全加水分解縮合物100重量部に対して、固形分換算で、通常、1〜500重量部、好ましくは、5〜400重量部である。1重量部未満では、光触媒反応による防汚効果が不足する場合があり、一方、500重量部を超えると、得られるコーティング組成物の成膜性が低下する場合がある。
ここで、完全加水分解縮合物とは、例えば、オルガノシラン(1)のR2O−基などが100%加水分解してSiOH基となり、さらに完全に縮合するか、(k)成分が完全に縮合して、シロキサン構造になったものをいう。
【0189】
(n)コロイド状シリカおよび/またはコロイド状アルミナ
(n)成分は、光触媒層形成用組成物に添加することにより、光触媒活性(親水化能)を大幅に低下させることなく、酸化チタンなどの光触媒の含量を低減させることができる。また、有機物分解能を有する光触媒を低減させることで、基材・塗膜の耐久性を向上させることができる。
ここで、コロイド状シリカ、コロイド状アルミナとは、例えば、水または有機溶媒に分散した分散液であり、通常、平均粒径が1μm以下、好ましくは0.5μm以下、固形分濃度が10〜40重量%程度のものである。このようなコロイド状シリカとしては、例えば、日産化学工業(株)製、メタノールシリカゾルおよびイソプロパノールシリカゾル;触媒化成工業(株)製、オスカルなどが挙げられる。
また、コロイド状アルミナとしては、例えば、日産化学工業(株)製のアルミナゾル520、同100、同200;川研ファインケミカル(株)製のアルミナクリアーゾル、アルミナゾル10、同132などが挙げられる。
以上の(n)コロイド状シリカおよび/またはコロイド状アルミナは、1種単独であるいは2種以上を併用することができる。
また、光触媒層形成用組成物中の(n)成分としては、コロイド状シリカが特に好ましい。
【0190】
光触媒層形成用組成物における(n)成分の使用量は、(j)成分および(k)成分の完全加水分解縮合物100重量部に対して、固形分換算で、通常、5〜500重量部、好ましくは、10〜400重量部、さらに好ましくは、20〜200重量部である。この場合、(n)成分の使用量が5重量部未満では、親水化能が十分に発揮されず、塗膜表面の親水化速度が遅い場合がある。一方、500重量部を超えると、得られるコーティング剤の成膜性が劣り、割れや剥離を生ずる場合がある。
【0191】
(o)水および/または有機溶媒
上記有機溶媒は、上記(j),(k),(m)および(n)成分、ならびに任意成分である下記(p)〜(r)成分などを均一に混合させ、組成物の全固形分濃度を調整すると同時に、種々の塗装方法に適用できるようにし、かつ組成物の分散安定性および保存安定性をさらに向上させるために使用される。
【0192】
このような有機溶媒としては、上記各成分を均一に混合できるものであれば特に限定されないが、例えば、アルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などを挙げることができる。
これらの有機溶媒のうち、アルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレンモノメチルエーテルアセテート、ジアセトンアルコールなどを挙げることができる。
【0193】
また、芳香族炭化水素類の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを、エーテル類の具体例としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどを、ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどを、エステル類の具体例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレンなどを挙げることができる。
これらの有機溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0194】
(p)成分
(p)成分は、(j)成分や(k)成分などの加水分解・縮合反応を促進する触媒である。
(p)成分を使用することにより、得られる塗膜の硬化速度を高めるとともに、使用されるオルガノシラン成分の重縮合反応により生成されるポリシロキサン樹脂の分子量が大きくなり、強度、塗膜耐久性などに優れた塗膜を得ることができ、かつ塗膜の厚膜化や塗装作業も容易となる。
【0195】
このような(p)成分としては、酸性化合物、アルカリ性化合物、塩化合物、アミン化合物、有機金属化合物および/またはその部分加水分解物(以下、有機金属化合物および/またはその部分加水分解物をまとめて「有機金属化合物等」という)が好ましい。
上記酸性化合物としては、例えば、酢酸、塩酸、硫酸、リン酸、アルキルチタン酸、p−トルエンスルホン酸、フタル酸などを挙げることができ、好ましくは、酢酸である。
また、上記アルカリ性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを挙げることができ、好ましくは、水酸化ナトリウムである。
また、上記塩化合物としては、例えば、ナフテン酸、オクチル酸、亜硝酸、亜硫酸、アルミン酸、炭酸などのアルカリ金属塩などを挙げることができる。
【0196】
また、上記アミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ピペリジン、ピペラジン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、エタノールアミン、トリエチルアミン、3−アミノプロピル・トリメトキシシラン、3−アミノプロピル・トリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・トリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・トリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・メチル・ジメトキシシラン、3−アニリノプロピル・トリメトキシシランや、アルキルアミン塩類、四級アンモニウム塩類のほか、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられる各種変性アミンなどを挙げることができ、好ましくは、3−アミノプロピル・トリメトキシシラン、3−アミノプロピル・トリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピル・トリメトキシシランである。
【0197】
また、上記有機金属化合物等としては、例えば、下記一般式(24)で表される化合物(以下「有機金属化合物(4)」という)、同一のスズ原子に結合した炭素数1〜10のアルキル基を1〜2個有する4価スズの有機金属化合物(以下「有機スズ化合物」という)、あるいは、これらの化合物の部分加水分解物などを挙げることができる。
【0198】
M(OR5)r(R6COCHCOR7)s ・・・(24)
〔式中、Mはジルコニウム、チタンまたはアルミニウムを示し、R5およびR6は、同一または異なって、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基などの炭素数1〜6の1価の炭化水素基を示し、R7は、R5およびR6と同様の炭素数1〜6の1価の炭化水素基のほか、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ラウリルオキシ基、ステアリルオキシ基などの炭素数1〜16のアルコキシル基を示し、rおよびsは0〜4の整数で、(r+s)=(Mの原子価)である。〕
【0199】
有機金属化合物(4)の具体例としては、
(イ)テトラ−n−ブトキシジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどの有機ジルコニウム化合物;
【0200】
(ロ)テトラ−i−プロポキシチタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどの有機チタン化合物;
(ハ)トリ−i−プロポキシアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・アセチルアセトナートアルミニウム、i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどの有機アルミニウム化合物;
などを挙げることができる。
【0201】
これらの有機金属化合物(4)およびその部分加水分解物のうち、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、あるいは、これらの化合物の部分加水分解物が好ましい。
【0202】
また、有機スズ化合物の具体例としては、
(C4H9)2Sn(OCOC11H23)2、
(C4H9)2Sn(OCOCH=CHCOOCH3)2、
(C4H9)2Sn(OCOCH=CHCOOC4H9)2、
(C8H17)2Sn(OCOC8H17)2、
(C8H17)2Sn(OCOC11H23)2、
(C8H17)2Sn(OCOCH=CHCOOCH3)2、
(C8H17)2Sn(OCOCH=CHCOOC4H9)2、
(C8H17)2Sn(OCOCH=CHCOOC8H17)2、
(C8H17)2Sn(OCOCH=CHCOOC16H33)2、
(C8H17)2Sn(OCOCH=CHCOOC17H35)2、
(C8H17)2Sn(OCOCH=CHCOOC18H37)2、
(C8H17)2Sn(OCOCH=CHCOOC20H41)2、
【0203】
(C4H9)Sn(OCOC11H23)3、
(C4H9)Sn(OCONa)3
などのカルボン酸型有機スズ化合物;
【0204】
(C4H9)2Sn(SCH2COOC8H17)2、
(C4H9)2Sn(SCH2CH2COOC8H17)2、
(C8H17)2Sn(SCH2COOC8H17)2、
(C8H17)2Sn(SCH2CH2COOC8H17)2、
(C8H17)2Sn(SCH2COOC12H25)2、
(C8H17)2Sn(SCH2CH2COOC12H25)2、
(C4H9)Sn(SCOCH=CHCOOC8H17)3、
(C8H17)Sn(SCOCH=CHCOOC8H17)3、
【0205】
などのメルカプチド型有機スズ化合物;
【0206】
(C4H9)2Sn=S、(C8H17)2Sn=S、
などのスルフィド型有機スズ化合物;
【0207】
(C4H9)SnCl3、(C4H9)2SnCl2、
(C8H17)2SnCl2、
などのクロライド型有機スズ化合物;
(C4H9)2SnO、(C8H17)2SnOなどの有機スズオキサイドや、これらの有機スズオキサイドとシリケート、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フタル酸ジオクチルなどのエステル化合物との反応生成物;
などを挙げることができる。
【0208】
(p)成分は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができ、また亜鉛化合物やその他の反応遅延剤と混合して使用することもできる。
【0209】
(p)成分は、組成物を調製する際に配合してもよく、また、塗膜を形成する段階で組成物に配合してもよく、さらには、組成物の調製と塗膜の形成との両方の段階で配合してもよい。
(p)成分の使用量は、有機金属化合物等以外の場合、上記(j)成分を構成するオルガノシラン(1)中に含まれるOR21モルに対して、通常、0〜10モル、好ましくは、0.001〜5モル、さらに好ましくは、0.001〜2モルであり、有機金属化合物等の場合、上記(j)成分を構成するオルガノシラン(1)中に含まれるOR21モルに対して、通常、0〜10モル、好ましくは、0.001〜7モル、さらに好ましくは、0.001〜5モルである。この場合、(p)成分の使用量が10モルを超えると、組成物の保存安定性が低下したり、塗膜にクラックが発生しやすくなる傾向がある。
【0210】
(q)成分
(q)成分は、下記一般式(25)
R6COCH2COR7 ・・・(25)
〔式中、R6およびR7は、有機金属化合物(4)における上記各一般式のそれぞれR6およびR7と同義である〕で表されるβ−ジケトン類およびβ−ケトエステル類、カルボン酸化合物、ジヒドロキシ化合物、アミン化合物、およびオキシアルデヒド化合物からなる群から選択される少なくとも1種である。
このような(q)成分は、特に、上記(p)成分として有機金属化合物等を使用する場合に併用することが好ましい。
【0211】
(q)成分は、組成物の安定性向上剤として作用するものである。すなわち、(q)成分が上記有機金属化合物等の金属原子に配位して、該有機金属化合物等による上記(j)成分と(k)成分の共縮合反応を促進する作用を適度にコントロールすることにより、得られる組成物の保存安定性をさらに向上させる作用をなすものと推定される。
【0212】
(q)成分の具体例としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec−ブチル、アセト酢酸−t−ブチル、ヘキサン−2,4−ジオン、ヘプタン−2,4−ジオン、ヘプタン−3,5−ジオン、オクタン−2,4−ジオン、ノナン−2,4−ジオン、5−メチルヘキサン−2,4−ジオン、マロン酸、シュウ酸、フタル酸、グリコール酸、サリチル酸、アミノ酢酸、イミノ酢酸、エチレンジアミン四酢酸、グリコール、カテコール、エチレンジアミン、2,2−ビピリジン、1,10−フェナントロリン、ジエチレントリアミン、2−エタノールアミン、ジメチルグリオキシム、ジチゾン、メチオニン、サリチルアルデヒドなどを挙げることができる。これらのうち、アセチルアセトン、アセト酢酸エチルが好ましい。(q)成分は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0213】
(q)成分の使用量は、上記有機金属化合物等における有機金属化合物1モルに対して、通常、2モル以上、好ましくは3〜20モルである。この場合、(q)成分の使用量が2モル未満では、得られる組成物の保存安定性の向上効果が不充分となる傾向がある。
【0214】
(r)成分
(r)成分は、光触媒能を有さない、無機化合物の粉体および/またはゾルもしくはコロイドからなり、塗膜の所望の特性に応じて配合される。ただし、光触媒層形成用組成物においては、(r)成分として、上記(n)成分であるコロイド状シリカやコロイド状アルミナは除く。
(r)成分がゾルもしくはコロイド状の場合には、その平均粒径は、通常、0.001〜100μm程度である。
【0215】
(r)成分をなす化合物の具体例としては、AlGaAs、Al(OH)3、Sb2O5、Si3N4、Sn−In2O3、Sb−In2O3、MgF、CeF3、CeO2、3Al2O3・2SiO2、BeO、SiC、AlN、Fe、Co、Co−FeOx、CrO2、Fe4N、BaTiO3、BaO−Al2O3−SiO2、Baフェライト、SmCO5、YCO5、CeCO5、PrCO5、Sm2CO17、Nd2Fe14B、Al4O3、α−Si、SiN4、CoO、Sb−SnO2、Sb2 O5、MnO2、MnB、CO3O4、CO3B、LiTaO3、MgO、MgAl2O4、BeAl2O4、ZrSiO4、ZnSb、PbTe、GeSi、FeSi2、CrSi2、CoSi2、MnSi1.73、Mg2Si、β−B、BaC、BP、TiB2、ZrB2、HfB2、Ru2Si3、TiO2(ルチル型)、TiO3、PbTiO3、Al2TiO5、Zn2SiO4、Zr2SiO4、2MgO2−Al2O3−5SiO2、Nb2O5、Li2O−Al2O3−4SiO2、Mgフェライト、Niフェライト、Ni−Znフェライト、Liフェライト、Srフェライトなどを挙げることができる。
これら(r)成分は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0216】
(r)成分の存在形態には、粉体、水に分散した水系のゾルもしくはコロイド、イソプロピルアルコールなどの極性溶媒や、トルエンなどの非極性溶媒中に分散した溶媒系のゾルもしくはコロイドがある。溶媒系のゾルもしくはコロイドの場合、半導体の分散性によってはさらに水や溶媒にて希釈して用いてもよく、また分散性を向上させるために表面処理して用いてもよい。
【0217】
(r)成分が、水系のゾルもしくはコロイド、あるいは溶媒系のゾルもしくはコロイドである場合、固形分濃度は40重量%以下が好ましい。
【0218】
(r)成分を組成物中に配合する方法としては、組成物の調製後に添加してもよく、あるいは、組成物の調製時に添加して、(r)成分を、上記(j)成分、(k)成分あるいは上記縮合物などと共加水分解・縮合させてもよい。
【0219】
(r)成分の使用量は、上記(j)成分の完全加水分解縮合物100重量部に対して、固形分で、通常、0〜500重量部、好ましくは、0.1〜400重量部である。
【0220】
さらに、光触媒層形成用組成物には、所望により、オルトギ酸メチル、オルト酢酸メチル、テトラエトキシシランなどの公知の脱水剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、ポリカルボン酸塩、ポリリン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリアミドエステル塩、ポリエチレングリコールなどの分散剤;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース類や、ひまし油誘導体、フェロけい酸塩などの増粘剤;炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、カルシウムアジドなどの無機発泡剤や、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物、ジフェニルスルホン−3,3′−ジスルホヒドラジンなどのヒドラジン化合物、セミカルバジド化合物、トリアゾール化合物、N−ニトロソ化合物などの有機発泡剤のほか、界面活性剤、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、染料、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、レベリング剤などの他の添加剤を配合することもできる。
【0221】
なお、光触媒層形成用組成物には、他の樹脂をブレンドしてもよい。他の樹脂としては、アクリル−ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、アクリル樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂エマルジョン、エポキシ樹脂エマルジョン、ポリウレタンエマルジョン、ポリエステルエマルジョンなどが挙げられる。
【0222】
光触媒層形成用組成物を調製するに際しては、(p)成分と(q)成分とを使用しない場合は、各成分の混合方法は特に限定されないが、(p)成分と(q)成分とを使用する場合は、好ましくは、(j),(k),(m)〜(r)成分のうち(q)成分を除いた混合物を得たのち、これに(q)成分を添加する方法が採用される。
【0223】
光触媒層形成用組成物の調製法としては種々の方法が採れるが、具体例としては、下記▲1▼〜▲4▼の方法などが挙げられる。
▲1▼(j)成分を構成するオルガノシラン(1)、(k),(m),(n)成分および必要量の有機溶媒からなる混合物において加水分解・縮合反応を行う。
▲2▼(j)成分を構成するオルガノシラン(1)、(k)成分および必要量の有機溶媒からなる混合物に、所定量の水を加えて加水分解・縮合反応を行い、次いで(m)、(n)成分を加え混合して調整終了とするか、またはさらに縮合反応を行う。
【0224】
▲3▼(j)成分を構成するオルガノシラン(1)、(k)、(m)成分および必要量の有機溶媒からなる混合物に、所定量の水を加えて加水分解・縮合反応を行い、次いで(n)成分を加え混合して調整終了とするか、またはさらに縮合反応を行う。
▲4▼(j)成分を構成するオルガノシラン(1)、(k)、(n)成分および必要量の有機溶媒からなる混合物に、所定量の水を加えて加水分解・縮合反応を行い、次いで(m)成分を加え混合して調整終了とするか、またはさらに縮合反応を行う。
【0225】
光触媒層形成用組成物の全固形分濃度は、通常、3〜50重量%、好ましくは、5〜40重量%で調整され、光触媒層形成用組成物をコーティングする場合は使用目的に応じて適宜調整される。組成物の全固形分濃度が45重量%を超えると、保存安定性が低下する傾向がある。
【0226】
光触媒層形成用組成物を基材に塗布する際には、刷毛、ロールコーター、フローコーター、遠心コーター、超音波コーター、(マイクロ)グラビアコーターなどを用いたり、ディップコート、流し塗り、スプレー、スクリーンプロセス、電着、蒸着などが挙げられる。
【0227】
光触媒層形成用組成物の場合、乾燥膜厚として、1回塗りで厚さ0.05〜20μm程度、2回塗りでは厚さ0.1〜40μm程度の塗膜を形成することができる。その後、常温で乾燥するか、あるいは、30〜200℃程度の温度で、通常、1〜60分程度加熱して乾燥することにより、塗膜を形成することができる。
【0228】
なお、あらかじめ光触媒層形成用組成物を使用して下塗りを施す場合には、乾燥膜厚として、1回塗りで厚さ0.05〜20μm程度、2回塗りでは厚さ0.1〜40μm程度の塗膜を形成させることができる。その後、常温で乾燥するか、あるいは、30〜200℃程度の温度で、通常、1〜60分程度加熱して乾燥することにより、各種の基材に塗膜を形成することができる。
なお、下塗りと上塗りの総計膜厚は、乾燥膜厚で、通常、0.1〜80μm、好ましくは、0.2〜60μm程度である。
【0229】
本発明の好ましい態様としては、図1に示すとおり、本発明の基体1上に、導電性膜形成用組成物からなる導電性膜2(電極)、n型シリコンインゴットを使用したシリコン膜形成用組成物からなる半導体膜3、i型シリコンインゴットを使用したシリコン膜形成用組成物からなる半導体膜4、p型シリコンインゴットを使用したシリコン膜形成用組成物からなる半導体膜5、透明導電性膜形成用組成物からなる透明導電性膜6(電極)、光触媒層7、グリッド電極8、が番号順に積層されてなる太陽電池である。
上記グリッド電極8は、例えば、光触媒層上に市販の銀ペースト(例えば、田中貴金属(株)製、商品名「銀ペースト3350C」)をスクリーン印刷するなど公知の方法により容易に形成することができる。
【0230】
【実施例】
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例中の部および%は、特に断らない限り重量部および重量%である。また、各種評価は下記の方法で測定した。
【0231】
(1)数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)およびMw/Mn
ウォーターズ(WATERS)社製150C型ゲルパーミエションクロマトグラフィー(GPC)装置で東ソー(株)製Hタイプカラムを用い、o−ジクロロベンゼンを溶媒として120℃で測定した。得られた分子量は標準ポリスチレン換算値である。
(2)抵抗率
広がり抵抗測定法〔日本結晶学会誌、18巻、34頁(1976)〕により測定した。単位はΩcmである。
【0232】
(3)破断強度および破断伸び
JIS K7118に準じて引っ張り速度3mm/minで測定した。
(4)全光線透過率
ASTM−D1003に準拠し、厚さが約100μmのフィルムにして、全光線透過率を測定した。
【0233】
(5)ガラス転移温度(Tg)
ガラス転移温度は動的粘弾性で測定されるTanδ(貯蔵弾性率E’と損失弾性率E”との比 Tanδ=E”/E’)の温度分散のピーク温度で測定した。
動的粘弾性の測定はレオバイブロンDDV−01FP(オリエンテック製)を用い、測定周波数が10Hz、昇温速度が4℃/分、加振モードが単一波形、加振振幅が2.5μmのものを用いてTanδのピーク温度を測定した。
(6)線膨張係数
TMA(Thermal Mechanical Analysis)/SS6100(セイコーインスツルメント社製)を用いて試料形状 膜厚150μm、幅3mm、長さ10cm、チャック間距離10mmで試料を固定し、室温から200℃程度まで一旦昇温して残留歪みを除いた後、室温から3℃/minで昇温し、チャック間距離の伸びから線膨張係数を求めた。
【0234】
(7)フィルムの寸法変化
膜厚150μm、縦横90mm×90mmの正方形型のフィルムを90℃の水に2時間浸漬した後に、大気下200℃で加熱し、正方形の4辺の収縮を観測した。収縮後の寸法(L′)と収縮前の寸法(L)を測定し、変化の大きさ((L′−L)/L)を求めた。
【0235】
基体フィルムの製造
合成例1
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンを700ミリモル、endo−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン(endo/exo=96/4)を570ミリモル、5−トリエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンを30ミリモル、1−ヘキセンを5ミリモル、溶媒としてシクロヘキサン400g、塩化メチレン100gを2Lのステンレス製反応器に窒素下で仕込んだ。
オクタン酸ニッケルのヘキサン溶液とヘキサフロロアンチモン酸を−10℃、モル比1:1で反応させ、副生するビス(ヘキサフロロアンチモン酸)ニッケル、[Ni(SbF6)2]の沈殿をろ過で除去し、トルエンで希釈した。得られたオクタン酸ニッケルのヘキサフロロアンチモン酸変性体をニッケル原子に換算して0.40ミリモルに相当する量、三フッ化ホウ素エチルエーテラート1.2ミリモル、メチルアルモキサン8.0ミリモル、1,5−シクロオクタジエン0.4ミリモル、メチルトリエトキシシラン8.0ミリモルを、メチルトリエトキシシラン、1,5−シクロオクタジエン、メチルアルモキサン、三フッ化ホウ素エチルエーテラート、オクタン酸ニッケルのヘキサフロロアンチモン酸変性体の順に仕込み、重合を開始した。30℃で3時間重合を行い、メタノールを添加して重合を停止した。単量体の共重合体への転化率は92%であった。
【0236】
共重合体溶液にシクロヘキサン480gを加えて希釈し、そこに水660ml、乳酸48ミリモルを加え、充分に攪拌混合した後、共重合体溶液と水相を静置分離した。触媒成分の反応物を含む水相を除去し、共重合体溶液を4Lのイソプロピルアルコールに入れて共重合体を凝固し、未反応単量体および触媒残さを除去した。凝固した共重合体を乾燥し、共重合体を75g得た。1H−NMRスペクトルから求められた、共重合体中の5−トリエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンに由来する構造単位の割合は2.1モル%、未反応の単量体のガスクロマトグラフ分析から計算された、endo−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エンに由来する構造単位の割合は35モル%であった。また、共重合体のポリスチレン換算のMnは89,000、Mwは187,000、で、Mw/Mnは2.1であった。
【0237】
次に、共重合体10gをシクロヘキサン35.5gに溶解して、酸化防止剤としてペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を共重合体100部に対して1.0部、および架橋触媒としてトリブトキシホスファイトを共重合体100部に対して0.5部それぞれ添加した。この共重合体溶液をキャストして、生成したフィルムを150℃で2時間乾燥、さらに真空下200℃で1時間乾燥して、厚さ150μmの未架橋フィルムを作製した。さらにこのフィルムを150℃の水蒸気下で4時間熱処理した。その後、真空下200℃で1時間乾燥して、厚さ150μmの基体フィルム(架橋フィルム)を得た。
この基体フィルムの破断強度は49.5MPaであり、破断伸びは6.3%であった。基体フィルムの全光線透過率は91%、Tgは375℃、線膨張係数は50%、フィルムの寸法変化は−350ppmであった。
【0238】
シリコン膜形成用組成物の調製
合成例2(シクロペンタシランの合成)
温度計、冷却コンデンサー、滴下ロートおよび攪拌装置を取り付けた内容量が3Lの4つ口フラスコ内をアルゴンガスで置換した後、乾燥したテトラヒドロフラン1Lとリチウム金属18.3gを仕込み、アルゴンガスでバブリングした。この懸濁液を0℃で攪拌しながらジフェニルジクロロシラン333gを滴下ロートより添加し、滴下終了後、室温下でリチウム金属が完全に消失するまでさらに12時間攪拌を続けた。反応混合物を5Lの氷水に注ぎ、反応生成物を沈殿させた。この沈殿物を濾別し、水でよく洗滌した後シクロヘキサンで洗滌し、真空乾燥することにより白色固体140gを得た。この白色固体100gと乾燥したシクロヘキサン1,000mLを2Lのフラスコに仕込み、塩化アルミニウム4gを加え、攪拌しながら室温下で乾燥した塩化水素ガスを8時間バブリングした。ここで別途に、水素化リチウムアルミニウム40gとジエチルエーテル400mLを3Lのフラスコに仕込み、アルゴン雰囲気下、0℃で攪拌しながら上記反応混合物を加え、同温にて1時間撹拌後さらに室温で12時間撹拌を続けた。反応混合物より副生物を除去した後、70℃、10mmHgで減圧蒸留を行ったところ、無色の液体が10g得られた。このものはIR、1H−NMR、29Si−NMR、GC−MSの各スペクトルより、シクロペンタシランであることが判った。
【0239】
合成例3(高次シランのシクロペンタシラン溶液の合成)
アルゴン雰囲気下、合成例1で得られたシクロペンタシラン10gを100mLのフラスコに加え、攪拌しながら500Wの高圧水銀灯を30分間照射したところ、白色固体が得られた。ここで得られた白色固体はトルエン、シクロヘキサンには不溶であった。このものに、合成例2で得られたシクロペンタシランを100g加えたところ、無色透明の高次シランのシクロペンタシラン溶液が得られた。
【0240】
合成例4(i型シリコン膜形成用組成物の調製)
シリコン単結晶インゴット(抵抗率2×103Ωcm)を乾式粉砕した平均粒径100μmのシリコン粉を王水で洗浄後、さらに1%濃度のフッ化水素酸で洗浄したもの60gと脱気したキシレン340gおよびCCl4 60gを窒化シリコン製のビーズミルに仕込み、窒素雰囲気中、60℃で50分間湿式粉砕し、平均粒子径0.15μmのシリコン微粒子のキシレン分散液を得た。
次いで、この分散液100gに合成例3で得られた高次シランのシクロペンタシラン溶液10gを加えシリコン微粒子、高次シランおよびシクロペンタシランを含有するi型シリコン膜形成用組成物を調整した。
【0241】
合成例5(p型シリコン膜形成用組成物の調製)
合成例4において、シリコン単結晶インゴットに替えてホウ素原子を1018atom/cm3の濃度ドーピングしたp型のシリコン単結晶インゴット(抵抗率0.5Ωcm)を用いた他は、合成例4と同様にして実施し、p型シリコン膜形成用組成物を調製した。
合成例6(n型シリコン膜形成用組成物の調製)
合成例4において、シリコン単結晶インゴットに替えてリン原子を1017atom/cm3の濃度でドーピングしたn型のシリコン単結晶インゴット(抵抗率0.1Ωcm)を用いた他は、合成例4と同様にして実施し、n型シリコン膜形成用組成物を調製した。
【0242】
透明導電性膜形成用組成物の調製
合成例7
酢酸インジウム146g(0.5mol)および2−エチルヘキサン酸スズ17.3g(0.025mol)をn−プロパノール1000mL中で混合、攪拌し、それらの混合液にジエタノールアミン105g(1.0mol)およびモノエタノールアミン61g(1.0mol)を添加して1時間攪拌することにより、透明導電性膜形成用組成物を調製した。
【0243】
光触媒層形成用組成物の調製
合成例8
還流冷却器、撹拌機を備えた反応器に、メチルトリメトキシシラン100部、酸化チタンの水系ゾル100部(酸化チタン含量40%、水40%、アルコール20%)、シリカの溶媒系ゾル75部(溶液)、i−プロピルアルコール200部を加えて混合し、攪拌下、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、3−アミノプロピルトリメトキシシラン20部を後添加して、固形分濃度20%の光触媒層形成用組成物を調製した。この組成物中のメチルトリメトキシシランの部分縮合物のMwは、3,000であった。
【0244】
実施例1
合成例1で得られた膜厚150μmの基体フィルムに、銀ペースト(田中貴金属(株)製、「銀ペースト3350C」)をロールコーターにより塗布した後、110℃にて5分間加熱することにより厚さ0.5μmの導電成膜を形成した。
この導電成膜上に、さらに合成例6で得られたn型シリコン膜形成用組成物を窒素雰囲気下でワイヤコーターにより塗布し、次いで250℃にて1時間加熱し、厚さ1.2μmのn型シリコン層を形成した。次いで、合成例4で調製したi型シリコン膜形成用組成物をワイヤコーターにより塗布し、250℃にて1時間加熱することにより、厚さ6.5μmのi型シリコン層を形成し、さらに合成例5で調製したp型シリコン膜形成用組成物をワイヤコーターにより塗布し、250℃にて1時間加熱することにより、厚さ1.1μmのp型シリコン層を形成した。
続いて、合成例7で調製した透明導電性膜形成用組成物をワイヤーコーターにて塗布し、空気中300℃にて30分間加熱することにより、厚さ0.1μmの透明導電性膜(透明電極)を形成した。
続いて、合成例8で調製した光触媒層形成用組成物をスプレーコート法にて塗布し、空気中で300℃で30分間加熱することにより、厚さ0.2μmの光触媒層を形成した。
次いで、この光触媒層上に、銀ペースト(田中貴金属(株)製、「銀ペースト3350C」)をスクリーン印刷してグリッド電極を形成した。
以上のようにして、図1に示した如く、基体フィルム上に導電性膜(銀電極)、n型シリコン膜、i型シリコン膜、p型シリコン膜、透明導電性膜、および光触媒層が順次積層された構造の本発明の太陽電池を作製した。
かくして全工程を塗布法により得られた太陽電池はフレキシブルで充分な柔軟性を有していた。この太陽電池出力試験をソーラーシミュレーター(日本分光(株)製)で評価したところ、AM1.5で100mW/cm2の照度で開放電圧0.45V、発電効率2.0%であった。
【0245】
【発明の効果】
本発明の太陽電池は、柔軟性、耐衝撃性、透明性、耐熱性に優れ、低い線膨張係数を有する基体上にシリコン膜形成用組成物を塗布することにより形成された半導体膜を有するため、大面積化にも大型設備を必要とせず、モジュールとして使用する必要が無いため、製造効率がよく、製品の貯蔵、運搬費用が低廉化でき、安価に電力を供給することができる。また、軽量かつ軽容量なため貯蔵、輸送、据え付け時などにおけるハンドリングに有利であり、一般家屋の屋根に設置することが容易となるため太陽電池の普及に資するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で得られた太陽電池の断面を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 基体
2 導電性膜(銀電極)
3 n型シリコン膜
4 i型シリコン膜
5 p型シリコン膜
6 透明導電性膜
7 光触媒層
8 グリッド電極
Claims (6)
- 基体上に、一対の電極と、その間に形成された不純物の濃度および/または種類の異なる半導体膜を少なくとも2層有する太陽電池であって、基体の破断伸びは6〜10%、かつ破断強度は40〜50MPa(共にJISK7118に準じて引っ張り速度3mm/minで測定)であり、少なくとも1層の半導体膜がシリコン粒子(A)、高次シラン化合物(B)およびSiiHj(ここで、iは5または6であり、jは2iである。)で表される水素化シラン化合物(C)を含有するシリコン膜形成用組成物から形成されたものであることを特徴とする、太陽電池。
- 上記基体が、下記一般式(1−1)〜(1−4)で表される繰り返し単位から選ばれた少なくとも1種の繰り返し単位(a)、および下記一般式(2)で表される繰り返し単位(b)を含む環状オレフィン系付加共重合体であって、付加重合後繰り返し単位(a)を形成するトリシクロオレフィン化合物中のendo体(立体異性体)の割合が80モル%以上のものを付加重合し得られるもの、もしくは得られた共重合体中にオレフィン性不飽和結合が存在する場合にはさらに水素化することによって得られるものであり、25℃の、トルエン、シクロヘキサンまたはこれらの混合溶媒のいずれかに均一に可溶であり、ポリスチレン換算数平均分子量が30,000〜500,000の範囲である環状オレフィン系付加共重合体を含むものから構成された請求項1記載の太陽電池。
[式(1−1)〜(1−4)中、R1〜R20はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基から選ばれた置換基を示す。]
[式(2)中、A1〜A4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を示し、mは0または1である。] - 一対の電極のうち少なくとも一方が、無機粉体および結着樹脂を含有する導電性膜形成用組成物から形成されたものである、請求項1または2に記載の太陽電池。
- 一対の電極のうち少なくとも一方が、
In(OCOR)a(OR)bX1 c(ここで、Rは炭素数1〜10のアルキル基、X1はハロゲン原子を示し、a,bおよびcはそれぞれ独立に0〜3の数であり、かつa+b+c=3である。)で表されるインジウム化合物、および、
Sn(OCOR)d(OR)eX2 f(ここで、Rは炭素数1〜10のアルキル基、X2はハロゲン原子を示し、d,eおよびfはそれぞれ独立に0〜3の数であり、かつd+e+f=2である。)で表されるスズ化合物
を含有する透明導電性膜形成用組成物から形成されたものである、請求項1〜3いずれか1項記載の太陽電池。 - 高次シラン化合物(B)が
SikRl〔ここで、kは11以上の整数であり、lはk〜(2k+2)の整数でありそしてl個のRは互いに独立に水素原子、アルキル基、フェニル基またはハロゲン原子である〕、
で表される化合物である請求項1〜4いずれか1項記載の太陽電池。 - 高次シラン化合物(B)が
SiqH2q+2(ここで、qは2〜10の整数である)で表される水素化鎖状シラン化合物、
SirH2r(ここで、rは3〜10の整数である)で表される水素化環状シラン化合物、および
SisHs(ここで、sは6〜10の整数である)で表される水素化かご状シラン化合物
よりなる群から選ばれる少なくとも1種のシラン化合物が光照射を受けて生成する生成物である請求項1〜4いずれか1項記載の太陽電池。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2003024133A JP2004235539A (ja) | 2003-01-31 | 2003-01-31 | 太陽電池 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2003024133A JP2004235539A (ja) | 2003-01-31 | 2003-01-31 | 太陽電池 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2004235539A true JP2004235539A (ja) | 2004-08-19 |
Family
ID=32952752
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2003024133A Withdrawn JP2004235539A (ja) | 2003-01-31 | 2003-01-31 | 太陽電池 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2004235539A (ja) |
Cited By (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2009088489A (ja) * | 2007-09-12 | 2009-04-23 | Mitsubishi Materials Corp | スーパーストレート型薄膜太陽電池用の複合膜及びその製造方法 |
| US7943721B2 (en) | 2005-10-05 | 2011-05-17 | Kovio, Inc. | Linear and cross-linked high molecular weight polysilanes, polygermanes, and copolymers thereof, compositions containing the same, and methods of making and using such compounds and compositions |
| KR101137701B1 (ko) | 2009-10-22 | 2012-04-25 | 한양대학교 산학협력단 | 고분자 공흡착제를 갖는 염료감응형 태양전지용 광전극 |
| JP2013058813A (ja) * | 2005-09-06 | 2013-03-28 | Kyoto Univ | 有機薄膜光電変換素子及びその製造方法 |
| US20220085311A1 (en) * | 2019-02-01 | 2022-03-17 | Zeon Corporation | Conductive film and production method thereof, electrode, and solar cell |
-
2003
- 2003-01-31 JP JP2003024133A patent/JP2004235539A/ja not_active Withdrawn
Cited By (7)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2013058813A (ja) * | 2005-09-06 | 2013-03-28 | Kyoto Univ | 有機薄膜光電変換素子及びその製造方法 |
| US7943721B2 (en) | 2005-10-05 | 2011-05-17 | Kovio, Inc. | Linear and cross-linked high molecular weight polysilanes, polygermanes, and copolymers thereof, compositions containing the same, and methods of making and using such compounds and compositions |
| US8378050B2 (en) | 2005-10-05 | 2013-02-19 | Kovio, Inc. | Linear and cross-linked high molecular weight polysilanes, polygermanes, and copolymers thereof, compositions containing the same, and methods of making and using such compounds and compositions |
| JP2009088489A (ja) * | 2007-09-12 | 2009-04-23 | Mitsubishi Materials Corp | スーパーストレート型薄膜太陽電池用の複合膜及びその製造方法 |
| KR101137701B1 (ko) | 2009-10-22 | 2012-04-25 | 한양대학교 산학협력단 | 고분자 공흡착제를 갖는 염료감응형 태양전지용 광전극 |
| US20220085311A1 (en) * | 2019-02-01 | 2022-03-17 | Zeon Corporation | Conductive film and production method thereof, electrode, and solar cell |
| US12156414B2 (en) * | 2019-02-01 | 2024-11-26 | Zeon Corporation | Conductive film and production method thereof, electrode, and solar cell |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| CN101501139B (zh) | 硅氧烷树脂和硅氧烷组合物 | |
| US9630208B2 (en) | Coating composition, coating film, laminate, and process for manufacturing the laminate | |
| CN100392008C (zh) | 硅烷组合物、硅膜的形成方法和太阳能电池的制造方法 | |
| CN100478391C (zh) | 环烯烃加成共聚物组合物和交联材料 | |
| US10693021B2 (en) | Method of passivating a silicon substrate for use in a photovoltaic device | |
| CN1297578A (zh) | 硅氧化膜的形成方法 | |
| JP5728278B2 (ja) | 複合組成物、当該複合組成物を用いた塗膜の製造方法、当該製造方法により得られる塗膜、及び当該塗膜を具備する部材 | |
| CN102947393B (zh) | 含典型金属聚硅氧烷组合物、其制造方法、及其用途 | |
| JP2019050196A (ja) | 電子デバイスおよびその製造方法 | |
| JP2009511290A (ja) | 被覆基板及びその製造方法 | |
| KR20100080605A (ko) | 세라믹 산화규소계 피막의 형성 방법, 무기 기재의 제조 방법, 세라믹 산화규소계 피막 형성제 및 반도체 장치 | |
| JP2007529897A (ja) | ポリシロキサンを含む正孔輸送材料 | |
| WO2014044922A2 (en) | Method of forming functional coatings on silicon substrates | |
| US20150255638A1 (en) | method of modifying an n-type silicon substrate | |
| CN102015900B (zh) | 硅氧烷组合物和有机发光二极管 | |
| JP2004235539A (ja) | 太陽電池 | |
| JP2003115532A (ja) | トレンチアイソレーションの形成方法 | |
| TWI699006B (zh) | p型不純物擴散組成物、使用其的半導體元件的製造方法及太陽電池的製造方法 | |
| JP2008045133A (ja) | 架橋樹脂フィルム、およびその用途 | |
| US20150295196A1 (en) | Method of producing a photovoltaic device | |
| US11377522B2 (en) | Silicon-containing polymer, film-forming composition, method for forming silicon-containing polymer coating, method for forming silica-based coating, and production method for silicon-containing polymer | |
| CN105408986B (zh) | 掩模糊料组合物、使用其得到的半导体元件及半导体元件的制造方法 | |
| JPWO2011099505A1 (ja) | 屋外設置用デバイスおよび屋外設置用デバイス用反射防止層 | |
| JP2006245458A (ja) | 絶縁膜付基板の製造方法 | |
| JP2012170858A (ja) | 機能性塗膜 |
Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060404 |