JP2004298899A - 内面溝付管の製造装置及び製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造中の素管の破断を防止でき、伝熱性能が高い内面溝付管を生産性よく製造できる内面溝付管の製造装置及びこの製造装置を使用する内面溝付管の製造方法を提供する。
【解決手段】金属管1の内部に、フローティングプラグ2、連結軸4及び溝付プラグ5を配置する。溝付プラグ5には、外面に溝13が形成された円柱部11と、円柱部11の抽伸方向下流側の端面に結合されたテーパ部12を設ける。また、素管1の外側には1対の鼓形の圧延ロール6を配設する。そして、この1対の圧延ロール6を、圧延ロール6の回転軸を含む平面18が溝付プラグ5の円柱部11とテーパ部12との境界面17よりも上流側で且つ境界面17からの距離Xが3乃至5mmとなるような位置に配置する。
【選択図】 図1
【解決手段】金属管1の内部に、フローティングプラグ2、連結軸4及び溝付プラグ5を配置する。溝付プラグ5には、外面に溝13が形成された円柱部11と、円柱部11の抽伸方向下流側の端面に結合されたテーパ部12を設ける。また、素管1の外側には1対の鼓形の圧延ロール6を配設する。そして、この1対の圧延ロール6を、圧延ロール6の回転軸を含む平面18が溝付プラグ5の円柱部11とテーパ部12との境界面17よりも上流側で且つ境界面17からの距離Xが3乃至5mmとなるような位置に配置する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱交換器に組み込まれる伝熱管として好適なシームレス内面溝付管の製造装置及びこの製造装置を使用する内面溝付管の製造方法に関し、特に、溝付プラグ及び圧延ロールを使用する内面溝付管の製造装置及び製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
内面溝付管は、エアコンディショナ等に使用される空冷式熱交換器に組み込まれる伝熱管として使用されている。内面溝付管には、転造加工により製造されるシームレス内面溝付管及び高周波誘導溶接等により製造される溶接内面溝付管の2種類がある。このうち、生産性において、シームレス内面溝付管は溶接内面溝付管よりも優れている。
【0003】
シームレス内面溝付管の製造方法には、ボール転造による製造方法とロール加工による製造方法とがある。ボール転造による内面溝付管の製造方法(以下、ボール転造法という)を以下に説明する。素材には、光輝焼鈍又はインダクションヒーターによる焼鈍により調質された焼鈍材(O材)からなる素管を使用する。この素管の内部に、外面に溝が形成された溝付プラグを挿入すると共に、前記素管の外面に転接して遊星回転する転造ボールを前記溝付プラグに対応する位置に配置する。転造ボールの遊星回転は磁気浮上式高速モータにより行う。そして、この転造ボールにより前記素管を前記溝付プラグに向けて押圧すると共に、前記素管を抽伸することにより、溝付プラグは管軸を中心に回転し、前記素管の内面全体に前記溝付プラグの溝が転写され、溝が形成される。
【0004】
しかしながら、前述のボール転造法には以下に示すような問題点がある。先ず、ボール転造法においては、転造ボールを高速で回転させるために磁気浮上式高速モータを使用する必要がある。この磁気浮上式高速モータは極めて高価な装置であるため、設備コストが高くつくという問題点がある。
【0005】
また、ボール転造法において、シームレス内面溝付管の生産性を向上させ、製造コストを低減するためには、管の抽伸速度を速くする必要がある。一方、ボール転造法において、管内面の溝成形性に影響を及ぼす因子の一つに加工ピッチ(1個のボールが1公転する間に進む素管の長さ)がある。この加工ピッチを従来と同程度にして溝成形性を維持しながら抽伸速度を速くするためには,転造ボールの公転速度を早くする必要がある。しかし、通常の磁気浮上式高速モータにおいては、回転速度の上限値は約30,000rpmである。このため、管の加工ピッチが1回転当たり2mmである場合、抽伸速度の上限値は約60m/分となる。現有する最高速度の磁気浮上式高速モータにおいても、回転速度は約45,000rpmが限界であり、従って、抽伸速度は約90m/分が限界である。このため、ボール転造法においては、管の抽伸速度をあまり速くすることができず、生産性の向上にも限界がある。
【0006】
このように、ボール転造法によるシームレス内面溝付管の製造は、溶接内面溝付管の製造よりは製造コストを低減できるものの、製造設備に磁気浮上式高速モータを設ける必要があるため設備コストが高くなり、また、管の抽伸速度を速くすることが困難であり、製造コストの低減には限界がある。
【0007】
これらの問題点を解決する手段として、ロール加工によるシームレス内面溝付管の製造方法がある(例えば、特許文献1参照。)。ロール加工によるシームレス内面溝付管の製造方法(以下、ロール転造法という)を以下に説明する。
【0008】
図6は、従来のロール転造法によるシームレス内面溝付伝熱管の製造装置及び製造方法を示す断面図であり、図7は、図6に示す製造装置の転造部を示す拡大断面図であり、図8は、図7に示すA−A線による断面図である。図6に示すように、銅又は銅合金(以下、総称して銅という)からなる素管1の内部に、フローティングプラグ2が挿入されている。フローティングプラグ2の形状は、管供給側(上流側)の外径が素管1の内径よりやや小さく、管引抜き側(下流側)の外径は管供給側の外径よりも小さくなっている。フローティングプラグ2と整合する位置における素管1の外面には、フローティングプラグ2と共に素管1を縮径加工する保持ダイス3が配置されている。また、フローティングプラグ2には連結軸4を介して溝付プラグ15が連結されている。溝付プラグ15の外周面には、素管1の内周面に形成すべき形状の溝が加工されている。溝付プラグ15は連結軸4を軸として自在に回転することができる。また、溝付プラグ15の回転軸方向の長さは5乃至30mm程度である。
【0009】
なお、溝付プラグ15の溝のリード角、即ち、溝付プラグ15の側面における軸方向に平行な直線と溝が延びる方向とのなす角度は0乃至10°である。また、溝の深さは0.05乃至0.15mmである。更に、溝付プラグ15の軸に直交する断面において、溝の底部の曲率半径は0.04乃至0.06mmであり、溝間のフィンの頂部の曲率半径は約0.05mmであり、フィンの山頂角は80乃至120°である。
【0010】
そして、素管1の外側における溝付プラグ15に整合する位置には、1対の圧延ロール6が素管1の外面に転接するように配設されている。各圧延ロール6は自転することができ、その回転軸の方向は素管1の管軸方向に直交している。なお、溝付プラグ15及び圧延ロール6により転造部17が構成されている。また、転造部17の管引抜き方向下流側には、内面に溝が形成された素管1の外径を所定の寸法に縮径加工する整形ダイス8が設けられている。
【0011】
図7に示すように、抽伸方向において、圧延ロール6の回転軸は、溝付プラグ15の長手方向中心付近に位置している。そして、図8に示すように、圧延ロール6の形状はロール中央部の直径がロール両端部の直径よりも小さい鼓形であり、この圧延ロール6の回転軸を含む断面において、側縁の形状が素管1の外面形状に略整合するようになっている。即ち、圧延ロール6の側面の曲率半径は素管1の外面の曲率半径と略等しくなっている。
【0012】
次に、従来の内面溝付管の製造方法について説明する。図6に示すように、先ず、素管1の内部におけるフローティングプラグ2の上流側に抽伸油10を充填する。そして、素管1をフローティングプラグ2及び保持ダイス3により縮径加工する。次に、この縮径加工された素管1の外面を、この外面に転接して自転する圧延ロール6によって押圧することによって縮径すると共に、溝付プラグ15に向けて押圧する。これにより、素管1の内面に溝付プラグ15の溝が転写される。このとき、溝付プラグ15は連結軸4を介してフローティングプラグ2に連結されており、フローティングプラグ2は素管1の引抜きによる摩擦力及び保持ダイス3からの抗力により、保持ダイス3と整合する位置に係止しているため、溝付プラグ15も圧延ロール6と整合する位置に停止している。次に、転造部7を通過した内面に溝が形成された素管1は、整形ダイス8により更に縮径されると共に管軸直交断面の形状が真円形となるように整形され、所定の外径を有する内面溝付管9となる。
【0013】
このように、ロール転造法においては、転造ボールを使用しないため、転造ボールを回転させるための磁気浮上式高速モータが不要である。このため、設備コストを抑えることができる。また、転造ボールを使用しないため、管の抽伸速度が転造ボールの公転速度によって決定されることがない。このため、管の抽伸速度を向上させ、生産性を向上させることができる。
【0014】
【特許文献1】
特公平3−5882号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来の技術には、以下に示すような問題点がある。即ち、図6乃至図8に示す従来の製造装置により内面溝付管9を製造しようとすると、素管1の内面に形成しようとする溝の形状及び抽伸速度等の製造条件によっては、主として圧延ロール6と整形ダイス8との間及び整形ダイス8の出側において素管1が破断することがある。例えば、素管1の内面に形成しようとする溝の深さが0.05mm未満であれば、ほぼ問題なく加工できるが、深さが0.05mm以上の溝を形成しようとすると、破断しやすくなる。また、転造部を2段以上設けてタンデム圧延を施そうとすると、溝形状によらず困難になる。
【0016】
このように、内面溝付管の製造装置において素管が破断すると、その都度製造装置を停止させなくてはならなくなり、内面溝付管の生産性が低下する。また、素管が破断しないように内面溝の形状及び製造条件を調節すると、内面溝付管の伝熱性能が低下したり、抽伸速度を低く抑えることにより内面溝付管の生産性が低下したりしてしまう。
【0017】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、製造中の素管の破断を防止でき、伝熱性能が高い内面溝付管を生産性よく製造できる内面溝付管の製造装置及びこの製造装置を使用する内面溝付管の製造方法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る内面溝付管の製造装置は、金属管の外面に接触する保持ダイスと、前記金属管の内部に配置され前記保持ダイスに係合され前記保持ダイスと共に前記金属管を縮径加工するフローティングプラグと、前記金属管の内部において前記フローティングプラグから見て前記金属管の引抜方向下流側に配置され前記フローティングプラグに対して回転可能に軸支され外面に溝が形成された円柱部及びこの円柱部の下流側の端面に結合され前記円柱部から下流側に遠ざかるにつれてその直径が減少するテーパ部からなる少なくとも1個の溝付プラグと、回転軸が前記金属管の管軸方向に直交するように前記金属管の外面に転接すると共に回転駆動されて前記金属管を前記溝付プラグに向けて押圧して前記金属管の内面に溝を形成する圧延ロールと、この圧延ロールよりも前記金属管の引抜方向下流側に配置され前記金属管の外面に接触して前記金属管にサイジング加工を施す整形ダイスと、を有し、前記圧延ロールは、この圧延ロールの回転軸が前記溝付プラグの円柱部とテーパ部との境界面よりも前記金属管の引抜方向の3乃至5mm上流側となる位置に配置されていることを特徴とする。
【0019】
本発明においては、圧延ロールが、その回転軸が溝付プラグにおける円柱部とテーパ部との境界面よりも金属管の引抜方向の3乃至5mm上流側となる位置に配置されているため、金属管と溝付プラグとの間の接触面積が小さくなり、金属管と溝付プラグとの間に発生する摩擦力が小さくなる。これにより、金属管に印加する引抜力を低減することができ、金属管が破断することを防止できる。
【0020】
また、前記溝付プラグの外周面においてこの溝付プラグの軸方向に平行な直線と前記溝が延びる方向とのなす角度が0乃至20°であり、前記溝の深さが0.05乃至0.15mmであり、前記溝付プラグの軸直交断面において、前記溝間に形成されるフィンの両側面がなす角度が60乃至120°であり、前記溝の底部の曲率半径が0.04乃至0.06mmであり、前記フィンの頂部の曲率半径が0.04乃至0.10mmであることが好ましい。
【0021】
更に、前記テーパ部の形状が円錐台形状であってもよく、この場合、前記溝付プラグの中心軸を含む断面において、前記円柱部の側縁と前記テーパ部の側縁とのなす角度が30乃至60°であることが好ましい。これにより、金属管の破断をより効果的に防止することができる。
【0022】
又は、前記テーパ部の側面が外側に膨らんだ曲面であってもよく、この場合、前記溝付プラグの中心軸を含む断面において、前記曲面は曲率半径が1乃至2mmの円弧状であることが好ましい。これにより、金属管の破断をより効果的に防止することができる。
【0023】
更に、前記溝付プラグ及び前記圧延ロールからなる転造部が前記金属管の引抜方向に沿って複数段配置されており、前記圧延ロールの回転軸が延びる方向が前記転造部間で相互に異なっていてもよい。これにより、金属管の内面に溝をより均一に形成することができる。また、金属管の内面に複数種類の溝を形成することができる。
【0024】
本発明に係る内面溝付管の製造方法は、金属管を引抜くことにより、この金属管の管外に配置された保持ダイス及び管内に配置され前記保持ダイスに係合させたフローティングプラグにより前記金属管を順次縮径加工する工程と、前記金属管の外面に圧延ロールをその回転軸が前記金属管の管軸方向に直交するように転接させると共に、前記金属管の内部において前記フローティングプラグから見て前記金属管の引抜方向下流側に配置され前記フローティングプラグに対して回転可能に軸支され外面に溝が形成された円柱部及びこの円柱部の前記金属管の引抜方向下流側の端面に結合され前記円柱部から下流側に遠ざかるにつれてその直径が減少するテーパ部からなる少なくとも1個の溝付プラグを前記金属管内における前記円柱部とテーパ部との境界面が前記圧延ロールの回転軸よりも前記金属管の引抜方向の3乃至5mm下流側となる位置に配置し、前記圧延ロールにより前記金属管を前記溝付プラグに押圧することにより前記金属管の内面に溝を形成する工程と、整形ダイスを前記金属管の外面に接触させることにより前記金属管にサイジング加工を施す工程と、を有することを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明者等は、前述の素管破断の原因を究明すべく鋭意実験研究を行い、以下に示す知見を得た。即ち、図8に示すように、ロール転造法において、素管1の内面に均一に溝を形成するためには、圧延ロール6の形状を鼓形とし、圧延ロール6の側面が素管1の外面に可及的に均一に接触するようにする必要がある。これにより、素管1の内面は溝付プラグ15の外面に略均一に線接触する。また、溝付プラグ15の溝に流れ込んだ素管1の材料は、スプリングバックすることなく、溝付プラグ15との間で接触が保たれる。このため、溝付プラグ15と素管1との接触面積が大きくなる。この状態で素管1が抽伸方向に引抜かれると、前記接触面積が大きいため、大きな摩擦力が発生する。従って、素管1を引抜くためには、この大きな摩擦力を上回る大きな引抜力を素管1に印加する必要がある。この結果、転造部17よりも下流側において、素管1に大きな力が加わり、この力が素管1の引張破断強度を超えると、素管1が破断する。なお、ボール転造法においては、転造ボールは素管の外面に点接触するため、素管の内面と溝付プラグとの接触面積は小さく、上述のような問題は発生しにくい。
【0026】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るロール転造法によるシームレス内面溝付伝熱管の製造装置及び製造方法を示す断面図であり、図2は、図1に示す製造装置の転造部を示す拡大断面図であり、図3は、本実施形態における溝付プラグを示す部分断面図である。なお、図1乃至図3に示す構成要素のうち、図6乃至図8に示す従来の装置の構成要素と同じものには同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0027】
図1に示すように、本実施形態に係る内面溝付管の製造装置においては、フローティングプラグ2に、連結軸4を介して溝付プラグ5が連結されている。溝付プラグ5の外周面には、素管1の内周面に形成すべき形状の溝が加工されている。また、溝付プラグ5は連結軸4を軸として自在に回転することができる。
【0028】
また、図2に示すように、溝付プラグ5は、抽伸方向上流側に配置された円柱部11と、この円柱部11の抽伸方向下流側の端面に結合されたテーパ部12とから構成されている。溝付プラグ5の軸方向における全長は例えば5乃至30mmであり、例えば25mmである。また、外径は例えば10mmである。そして、円柱部11の形状は円柱形であり、その側面には螺旋状又は直線状の溝13が形成されている。溝13のリード角θ、即ち、円柱部11の側面における円柱部11の軸方向に平行な直線と溝13が延びる方向とのなす角度は例えば0乃至20°である。リード角θが0°の場合は、溝13が軸方向に平行な直線状の溝である場合である。
【0029】
そして、図3に示すように、溝付プラグ5の円柱部11においては、溝13間がフィン14となっている。溝13の深さhは例えば0.05乃至0.15mmである。なお、溝13の深さhは、フィン14の高さと等しく、中心軸が溝付プラグ5の中心軸と同一であり溝13の底部を結ぶ仮想的な円柱面16aと、中心軸が溝付プラグ5の中心軸と同一でありフィン14の頂部を結ぶ仮想的な円柱面16bとの間の距離である。また、図3に示す断面、即ち、円柱部11の軸に直交する断面において、溝13の底部の曲率半径r1は例えば0.04乃至0.06mmであり、フィン14の頂部の曲率半径r2は例えば0.04乃至0.10mmであり、フィン14の山頂角α、即ち、フィン14の両側面がなす角度は例えば60乃至120°である。なお、溝付プラグ5は例えば超微粒子超硬合金により形成されていることが好ましく、超微粒子超硬合金は直径が0.5μm以下のタングステンカーバイド(WC)の微粒子を含むことがより好ましい。
【0030】
一方、図2に示すように、テーパ部12の形状は側面がテーパ状である円錐台形状であり、円柱部11との境界面17から離れるほど、即ち、抽伸方向下流側にいくほどその直径が小さくなっている。また、テーパ部12の外面には溝は形成されていない。溝付プラグ5の中心軸を含む断面において、円柱部11の側縁とテーパ部12の側縁とのなす角度は、例えば30乃至60°である。
【0031】
素管1の外側における溝付プラグ5に整合する位置には、1対の圧延ロール6が素管1の外面に転接するように配設されている。各圧延ロール6は自転することができ、1対の圧延ロール6の回転軸は相互に平行であり、その回転軸の方向は素管1の管軸方向に直交している。圧延ロール6の形状は両端部が太く中央部が細い鼓形であり、回転軸を含む断面において、その側面の曲率半径は素管1の外面の半径と略等しくなっており、圧延ロール6の側縁形状は素管1の外面形状に略整合し、圧延ロール6は素管1に略均等に線接触している。なお、溝付プラグ5及び圧延ロール6により転造部7が構成されている。
【0032】
そして、抽伸方向において、圧延ロール6の回転軸は、溝付プラグ5における円柱部11とテーパ部12との境界面17よりも3乃至5mm上流側に位置している。即ち、1対の圧延ロール6の回転軸を含む平面18は、素管1の管軸に垂直であり、円柱部11の内部を横断しており、この平面18と境界面17との間の距離Xは3乃至5mmとなっている。
【0033】
更に、転造部17の管引抜き方向下流側には、内面に溝が形成された素管1の外径を所定の寸法にサイジング加工する整形ダイス8が設けられている。本実施形態に係る内面溝付管の製造装置における上記以外の構成は、図6乃至図8に示す従来の製造装置の構成と同様である。
【0034】
以下、本発明の各構成要件における数値限定理由について説明する。
【0035】
圧延ロールの回転軸の位置:円柱部とテーパ部との境界面よりも3乃至5mm上流側
圧延ロールの回転軸を含む平面と前記境界面との間の距離Xが3mm未満であると、圧延ロールのロールセンターが溝付プラグの下流側端部に乗ってしまう。このため、素管における圧延ロールとの接触部分と、溝付プラグとの接触部分との重なりが少なくなり、圧延ロールが素管を押圧する力が素管の内面に溝を形成することに有効に使用されなくなる。このため、溝を形成することが困難になる。また、素管における溝付プラグの円柱部とテーパ部との境界部分に相当する部分に応力が集中するため、素管が破断しやすくなる。一方、前記距離Xが5mmを超えると、素管の内面に形成されたフィンと溝付プラグの溝との接触面積が増加し、素管と溝付プラグとの摩擦力が増加するため、素管が破断しやすくなる。従って、圧延ロールの回転軸の位置は円柱部とテーパ部との境界面よりも3乃至5mm上流側とする。
【0036】
溝付プラグの溝のリード角:0乃至20°
溝付プラグにより素管の内面に溝を形成する際には、溝付プラグの溝と、この溝が素管の内面に転写されて形成された素管内面のフィンとが相互に噛み合った状態となる。溝が螺旋状、即ち、溝のリード角が0°より大きい角度であると、素管が抽伸されることにより、素管が、その内面に形成された溝に沿って溝付プラグを回転させようとする。そして、素管は溝付プラグからの反力を受け、溝付プラグと逆の方向に回転しようとする。一方、圧延ロールは素管との接触面積が大きいため、素管を管周方向に拘束し、回転を妨げる。この結果、素管には管周方向に沿って大きな力が加わり、この力が管軸方向に沿った引抜力に加算される。溝付プラグの溝のリード角が20°を超えると、この力が大きくなり、素管が破断しやすくなる。従って、溝付プラグの溝のリード角は0乃至20°とすることが好ましい。
【0037】
溝付プラグの溝の深さh:0.05乃至0.15mm
溝付プラグの溝の深さhが0.05mm未満であると、この溝が素管の内面に転写されて形成されるフィンの高さが低くなり、内面溝付管の伝熱性能が低下する。一方、溝付プラグの溝の深さが0.15mmを超えると、素管が破断しやすくなり、加工できなくなる。従って、溝付プラグの溝の深さhは0.05乃至0.15mmとすることが好ましい。
【0038】
溝付プラグの溝の底部の曲率半径r 1 :0.04乃至0.06mm
溝の底部の曲率半径r1が0.04mm未満であると、溝の形状が鋭くなりすぎて溝の加工ができなくなる。一方、曲率半径r1が0.06mmを超えると、内面溝付管の内面に形成されるフィンが太くなり、内面溝付管の伝熱性能が低下すると共に、内面溝付管の単重が重くなる。従って、溝付プラグの溝の底部の曲率半径r1は0.04乃至0.06mmとすることが好ましい。
【0039】
溝付プラグの溝間のフィンの頂部の曲率半径r 2 :0.04乃至0.10mm
溝付プラグのフィンの頂部の曲率半径r2が0.04mm未満であると、このフィンの形状が鋭利なくさび状になり、素管がこのフィンの頂部を起点として破断しやすくなる。一方、曲率半径r2が0.10mmを超えると、フィンの形状が太くなり過ぎ、素管を形成する材料のメタルフローが悪くなり、フィンの成形性が劣化する。従って、溝付プラグの溝間のフィンの頂部の曲率半径r2は0.04乃至0.10mmとする。
【0040】
溝付プラグのフィンの山頂角α:60乃至120°
フィンの山頂角αが60°未満であると、高さ、即ち溝の深さが0.05mm以上となるフィンを形成できなくなる。一方、フィンの山頂角αが120°を超えると、素管の内面に形成される溝の幅が広くなり、内面溝付管の伝熱性能が低下する。従って、溝付プラグのフィンの山頂角αは60乃至120°とすることが好ましい。
【0041】
円柱部の側縁とテーパ部の側縁とのなす角度φ:30乃至60°
テーパ部は溝付プラグの抽伸方向下流側の端部と素管との接触部分において、素管に応力集中部が生じて素管が破断することを避けるために設けるものである。円柱部の中心軸を含む断面において、円柱部の側縁とテーパ部の側縁とのなす角度φが30°未満であると、上述のテーパ部の効果を得るためにはテーパ部を長くする必要が生じる。この結果、テーパ部と素管との接触長さが長くなるため、溝付プラグと素管との間に発生する摩擦力が増大し、素管が破断しやすくなる。一方、前記角度φが60°を超えると、溝付プラグの下流側端部の形状が鋭利になり、テーパ部を設けることによる効果が減少し、素管が破断しやすくなる。従って、円柱部の側縁とテーパ部の側縁とのなす角度φは30乃至60°とすることが好ましい。
【0042】
次に、本実施形態に係る内面溝付管の製造装置の使用方法、即ち、本実施形態に係る内面溝付管の製造方法について説明する。図1に示すように、先ず、素管1を準備する。素管1を形成する材料は、管に加工可能な金属であれば何でもよいが、例えば銅又は銅合金であり、例えば、伝熱性及び加工性が良好なJIS H1220に記載されている脱酸銅又はJIS H1101に記載されているOFC(Oxygen Free Copper:無酸素銅)である。また、調質は例えば引張強度が350N/mm2を超える程度のH材とする。次に、素管1の内部におけるフローティングプラグ2の上流側に抽伸油10を充填する。そして、素管1に対して抽伸方向に向かう引抜力を印加し、素管1を抽伸方向に引抜く。このとき、整形ダイス8を通過した後の内面溝付管9の引抜速度を例えば6m/秒とする。
【0043】
これにより、素管1をフローティングプラグ2及び保持ダイス3により縮径加工する。次に、この縮径加工された素管1の外面を、この外面に転接して自転する圧延ロール6によって押圧することによって縮径すると共に、溝付プラグ5に向けて押圧する。これにより、素管1の内面に溝付プラグ5の溝13が転写され、フィンが形成される。即ち、溝付プラグ5の溝13が素管1の内面に転写されてフィンとなり、フィン14が素管1の内面に転写されて溝19となる。
【0044】
このとき、溝付プラグ5は連結軸4を介してフローティングプラグ2に連結されており、フローティングプラグ2は素管1の引抜きによる摩擦力及び保持ダイス3からの抗力により、保持ダイス3と整合する位置に係止しているため、溝付プラグ5も圧延ロール6と整合する位置に停止している。次に、転造部7を通過した内面に溝が形成された素管1は、1対の圧延ロール6により1軸方向に押圧されるため、管軸直交断面の形状が楕円形となっている。そこで、この素管1は整形ダイス8によりサイジング加工を施され、更に縮径されると共に管軸直交断面の形状が真円形となるように整形され、所定の外径を有する内面溝付管9となる。この内面溝付管9は、外径が例えば4乃至10mmであり、内面に螺旋状又は直線状の溝19が形成されたものである。
【0045】
本実施形態においては、1対の圧延ロール6を使用して内面溝付管9を製造している。このため、転造ボールを使用する製造装置と比較して、高価な磁気浮上式高速モータを設ける必要がないため、設備コストが低い。また、転造ボールを使用しないため、管の抽伸速度が転造ボールの公転速度によって決定されることがなく、抽伸速度を高速化することが可能である。このため、内面溝付管の生産性を向上させることができる。
【0046】
また、圧延ロール6の回転軸の位置を、溝付プラグ5の円柱部11とテーパ部12との境界面17よりも3乃至5mm上流側とすることにより、素管1と溝付プラグ5との接触面積が減少し、素管1と溝付プラグ5との間に生じる摩擦力が低減する。これにより、素管1に印加する引抜力を従来よりも小さくすることができ、素管1の破断を防止することができる。
【0047】
更に、溝付プラグ5の溝13が上述の形状を有しているため、内面溝付管の内面に所定の形状の溝19を形成することができる。この結果、この内面溝付管を熱交換器の伝熱管として使用する場合に、伝熱性能が良好な伝熱管を得ることができる。
【0048】
次に、本第1実施形態の変形例について説明する。図4は、本変形例における溝付プラグを示す断面図である。図4に示すように、本変形例に係る内面溝付管の製造装置においては、前述の第1の実施形態と比較して、溝付プラグ5の替わりに溝付プラグ5aが設けられている。本変形例における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0049】
図4に示すように、溝付プラグ5aは、円柱部11と、この円柱部11の抽伸方向下流側の端面に結合されたテーパ部12aとから構成されている。円柱部11の構成は、前述の第1の実施形態における円柱部11と同様である。一方、テーパ部12aは、円柱部11との境界面17から離れるほど、即ち、抽伸方向下流側にいくほどその直径が小さくなっている。そして、テーパ部12aの側面20は、外側に膨らんだ曲面となっており、溝付プラグ5aの中心軸を含む断面において、側面20は円弧状となっている。この側面20がなす円弧の曲率半径Rは、例えば1乃至2mmである。また、本変形例においても、前述の第1の実施形態と同様に、1対の圧延ロール6の回転軸を含む平面18(図2参照)は、円筒部11とテーパ部12aとの境界面17よりも3乃至5mm抽伸方向上流側に位置している。本変形例における動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。以下、前述の数値限定理由を説明する。
【0050】
溝付プラグのテーパ部の側面の曲率半径R:1乃至2mm
前記テーパ部の側面の曲率半径Rが1mm未満であると、溝付プラグの下流側端部の形状が鋭利になり、テーパ部を設けることによる効果が減少し、素管が破断しやすくなる。一方、前記曲率半径Rが2mmを超えると、テーパ部の効果を得るためにはテーパ部を長くする必要が生じる。この結果、テーパ部と素管との接触長さが長くなるため、溝付プラグと素管との間に発生する摩擦力が増大し、素管が破断しやすくなる。従って、溝付プラグのテーパ部の側面の曲率半径Rは1乃至2mmとすることが好ましい。
【0051】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図5は、本実施形態に係るロール転造法によるシームレス内面溝付伝熱管の製造装置及び製造方法を示す断面図である。なお、図5においては、素管の内面に形成された溝は図示を省略している。
【0052】
図5に示すように、本実施形態に係る内面溝付管の製造装置においては、前述の第1の実施形態と比較して、圧延ロールが2段設けられたタンデム圧延方式となっている点が異なっている。即ち、1段目の転造部7と整形ダイス8との間に、溝付プラグ5b及び1対の圧延ロール6bからなる2段目の転造部7bが設けられている。また、1段目の転造部7と2段目の転造部7bとの間に、素管1を整形する中間ダイス21が設けられている。
【0053】
更に、連結軸4は溝付プラグ5を貫通しており、溝付プラグ5は連結軸4に沿って抽伸方向に移動可能に取り付けられている。そして、フローティングプラグ2と溝付プラグ5との間、及び溝付プラグ5と溝付プラグ5bとの間には、環状のワッシャ22が複数個相互に密接するように設けられており、このワッシャ22の開口部を連結軸4が貫通している。これにより、ワッシャ22の数により溝付プラグ5はその抽伸方向における位置が調節され固定されている。
【0054】
2段目の転造部7bにおいては、溝付プラグ5bの直径は1段目の転造部7の溝付プラグ5の直径よりも小さく、素管1の内部に設けられている。また、圧延ロール6bの構成は例えば1段目の転造部7の圧延ロール6と同じであり、素管1の外部における素管1の外面に転接する位置に設けられている。圧延ロール6bの回転軸が延びる方向は、素管1の抽伸方向に直交しており、且つ、圧延ロール6の回転軸が延びる方向にも直交している。転造部7bにおける溝付プラグ5bと圧延ロール6bとの相対的な位置関係は、転造部7における溝付プラグ5と圧延ロール6との相対的な位置関係と同様である。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0055】
次に、本実施形態の動作について説明する。本実施形態においては、整形ダイス8を通過した後の内面溝付管9bの引抜速度を例えば4m/秒とする。素管1はフローティングプラグ2及び保持ダイス3により縮径された後、転造部7において溝付プラグ5及び圧延ロール6により縮径されると共に内面に溝が形成される。その後、素管1は中間ダイス21により管軸直交断面が真円形になるように整形される。次に、転造部7bにおいて、素管1は、溝付プラグ5b及び1対の圧延ロール6bにより縮径されると共に内面に溝が形成され、整形ダイス8により更に縮径されると共に整形され、内面溝付管9bとなる。本実施形態における上記以外の動作は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0056】
本実施形態においては、転造部を2段設けてタンデム圧延としているため、2対の圧延ロールにより素管1を相互に直交する方向から押圧することができる。これにより、素管1の内面により均一に溝を形成することができる。また、2段目の溝付プラグ5bの外面に形成されている溝の形状を、1段目の溝付プラグ5の外面に形成されている溝の形状と異ならせることにより、素管1の内面に2種類の溝を形成することができる。これにより、例えば、相互に異なる方向に沿って延びる2種類の溝が形成された交差溝内面溝付管を製造することができる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0057】
【実施例】
以下、本発明の効果について、その特許請求の範囲から外れる比較例と比較して具体的に説明する。
【0058】
試験例1
本試験例1においては、前述の第1の実施形態において示したシングル圧延方式の製造装置(図1参照)により、長さが2000mの内面溝付管を製造し、このとき、素管に破断が生じたか否かを評価した。サイジング後の内面溝付管の外径は7mmとした。また、溝付プラグの形状は、フィンの高さ(溝の深さ)hを0.08mmとし、フィンの山頂角αを90°とし、溝数を80とした。更に、溝付プラグのテーパ部の形状は側面がテーパ状である円錐台形状とし、中心軸を含む断面における円柱部の側縁とテーパ部の側縁とのなす角度φを45°とし、テーパ部の長さを1.5mmとした。なお、溝付プラグの全長は25mmとした。整形ダイスの下流側における抽伸速度、1対の圧延ロールの回転軸を含む平面と溝付プラグにおける円柱部とテーパ部との境界面との間の距離X、溝付プラグの溝のリード角θ、内面溝付管の内面に形成された溝のリード角、及び加工性を表1に示す。なお、表1に示す「加工性」とは、長さが2000mの内面溝付管を製造したときの素管の破断の有無を示し、破断が生じた場合を「×」、生じなかった場合を「○」と表記した。
【0059】
【表1】
【0060】
表1に示すNo.3、4、6、7、8は本発明の実施例である。実施例No.3、4、6、7、8は、1対の圧延ロールの回転軸を含む平面が溝付プラグの円柱部とテーパ部との境界面よりも抽伸方向上流側にあり、前記平面と境界面との間の距離Xが3乃至5mmであるため、長さが2000mの内面溝付管を製造しても途中で素管が破断せず、加工性が良好であった。特に、実施例No.6は、抽伸速度が6m/秒と高速で加工することができた。また、実施例No.3、4、6、7、8は、溝付プラグの溝の形状が本発明の範囲を満たしているため、製造した内面溝付管の伝熱性能が良好である。なお、実施例No.8において、サイジング後(整形ダイス通過後)の内面溝付管のフィンの高さを測定したところ、0.10mmであった。
【0061】
これに対して、表1に示すNo.1、2、5は比較例である。比較例No.1及び2は距離Xが5mmを超えていたため、溝付プラグと素管との間に発生する摩擦力が大きくなり、製造途中で素管が破断した。また、比較例No.5は、距離Xが3mm未満であったため、溝付プラグの下流側端部で素管が破断した。
【0062】
試験例2
本試験例2においては、前述の第2の実施形態において示したタンデム圧延方式の製造装置(図5参照)により、長さが2000mの内面溝付管を製造し、このとき、素管に破断が生じたか否かを評価した。サイジング後の内面溝付管の外径を7mmとし、フィンの高さを0.10mmとし、フィンの山頂角を95°とした。また、1段目及び2段目共に、溝付プラグの溝数を75とし、溝付プラグのテーパ部の側面形状は円弧状とし、その曲率半径Rを1.5mmとし、溝付プラグの全長を25mmとした。整形ダイスの下流側における抽伸速度、1段目及び2段目の転造部における1対の圧延ロールの回転軸を含む平面と溝付プラグにおける円柱部とテーパ部との境界面との間の距離X、溝付プラグの溝のリード角θ、内面溝付管の内面に形成された溝のリード角、及び加工性を表2に示す。加工性の判断基準及び表記は、前述の試験例1と同様である。
【0063】
以下、前記距離Xの測定方法について説明する。図5に示すように、素管1を圧延している状態において素管の引抜きを停止し、加工部の素管並びにフローティングプラグ2、連結軸4、溝付プラグ5及び溝付プラグ5bからなるサンプルを作製した。そして、フローティングプラグ2の側面に生じた光沢が他の領域と異なる環状領域を検出した。この環状領域が保持ダイス3の押圧による素管1との摺動部である。次に、この環状の摺動部の抽伸方向下流側の端Bと、素管1における保持ダイス3の出側に相当する部分、即ち、保持ダイス3による縮径加工の終了端との位置を合わせた。このとき、素管1の外面における圧延ロール6による圧痕の下流側端縁が圧延ロール6のロールセンターに相当する。従って、この圧痕の下流側端縁と溝付プラグ5における円柱部11とテーパ部12との境界面との間の距離を測定することにより、前記距離Xを求めることができた。また、2段目の転造部7bにおいても同様に距離Xを求めることができた。そして、フローティングプラグ2と溝付プラグ5との間及び溝付プラグ5と溝付プラグ5bとの間に任意の数のワッシャ22を挟むことにより、距離Xを所望の値に調整した。
【0064】
【表2】
【0065】
表2に示すNo.11、12、14、15は本発明の実施例である。実施例No.11、12、14、15は、1段目の転造部及び2段目の転造部の双方において、1対の圧延ロールの回転軸を含む平面が溝付プラグの円柱部とテーパ部との境界面よりも抽伸方向上流側にあり、前記平面と境界面との間の距離Xが3乃至5mmであるため、長さが2000mの内面溝付管を製造しても途中で素管が破断せず、加工性が良好であった。また、実施例No.11、12、14、15は、溝付プラグの溝の形状が本発明の範囲を満たしているため、製造した内面溝付管の伝熱性能が良好である。特に、実施例No.14においては、抽伸速度が2.0m/秒と高速で加工することができた。また、実施例No.15においては、抽伸速度を1.0m/秒と高速にでき、且つ、管の内面にリード角が14°と大きい溝を形成することができた。このため、実施例No.15の内面溝付管は、伝熱性能が特に良好である。
【0066】
これに対して、表2に示すNo.9、10、13は比較例である。比較例No.9及び10は距離Xが5mmを超えていたため、溝付プラグと素管との間に発生する摩擦力が大きくなり、製造途中で素管が破断した。また、比較例No.13は、1段目の転造部において距離Xが3mm未満であったため、素管が破断した。
【0067】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、圧延ロールを、その回転軸を含む平面が溝付プラグにおける円柱部とテーパ部との境界面よりも金属管の引抜方向上流側であり前記平面と前記境界面との間の距離が3乃至5mmとなる位置に配置することにより、金属管と溝付プラグとの間の接触面積を小さくし、金属管が破断することを防止することができる。これにより、伝熱性能が高い内面溝付管を生産性よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るロール転造法によるシームレス内面溝付伝熱管の製造装置及び製造方法を示す断面図である。
【図2】図1に示す製造装置の転造部を示す拡大断面図である。
【図3】本実施形態における溝付プラグを示す部分断面図である。
【図4】本実施形態の変形例における溝付プラグを示す断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るロール転造法によるシームレス内面溝付伝熱管の製造装置及び製造方法を示す断面図である。
【図6】従来のロール転造法によるシームレス内面溝付伝熱管の製造装置及び製造方法を示す断面図である。
【図7】図6に示す製造装置の転造部を示す拡大断面図である。
【図8】図7に示すA−A線による断面図である。
【符号の説明】
1;素管
2;フローティングプラグ
3;保持ダイス
4;連結軸
5、5a、5b、15;溝付プラグ
6、6b;圧延ロール
7、7b、17;転造部
8;整形ダイス
9、9b;内面溝付管
10;抽伸油
11;円柱部
12、12a;テーパ部
13;溝
14;フィン
16a、16b;仮想的な円柱面
17;円柱部11とテーパ部12との境界面
18;1対の圧延ロール6の回転軸を含む平面
19;溝
20;溝付プラグ5aの側面
21;中間ダイス
22;ワッシャ
r1;溝13の底部の曲率半径
r2;フィン14の頂部の曲率半径
R;側面20の曲率半径
X;平面18と境界面17との間の距離
α;フィン14の山頂角
θ;溝13のリード角
φ;円柱部11の側縁とテーパ部11の側縁とのなす角度
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱交換器に組み込まれる伝熱管として好適なシームレス内面溝付管の製造装置及びこの製造装置を使用する内面溝付管の製造方法に関し、特に、溝付プラグ及び圧延ロールを使用する内面溝付管の製造装置及び製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
内面溝付管は、エアコンディショナ等に使用される空冷式熱交換器に組み込まれる伝熱管として使用されている。内面溝付管には、転造加工により製造されるシームレス内面溝付管及び高周波誘導溶接等により製造される溶接内面溝付管の2種類がある。このうち、生産性において、シームレス内面溝付管は溶接内面溝付管よりも優れている。
【0003】
シームレス内面溝付管の製造方法には、ボール転造による製造方法とロール加工による製造方法とがある。ボール転造による内面溝付管の製造方法(以下、ボール転造法という)を以下に説明する。素材には、光輝焼鈍又はインダクションヒーターによる焼鈍により調質された焼鈍材(O材)からなる素管を使用する。この素管の内部に、外面に溝が形成された溝付プラグを挿入すると共に、前記素管の外面に転接して遊星回転する転造ボールを前記溝付プラグに対応する位置に配置する。転造ボールの遊星回転は磁気浮上式高速モータにより行う。そして、この転造ボールにより前記素管を前記溝付プラグに向けて押圧すると共に、前記素管を抽伸することにより、溝付プラグは管軸を中心に回転し、前記素管の内面全体に前記溝付プラグの溝が転写され、溝が形成される。
【0004】
しかしながら、前述のボール転造法には以下に示すような問題点がある。先ず、ボール転造法においては、転造ボールを高速で回転させるために磁気浮上式高速モータを使用する必要がある。この磁気浮上式高速モータは極めて高価な装置であるため、設備コストが高くつくという問題点がある。
【0005】
また、ボール転造法において、シームレス内面溝付管の生産性を向上させ、製造コストを低減するためには、管の抽伸速度を速くする必要がある。一方、ボール転造法において、管内面の溝成形性に影響を及ぼす因子の一つに加工ピッチ(1個のボールが1公転する間に進む素管の長さ)がある。この加工ピッチを従来と同程度にして溝成形性を維持しながら抽伸速度を速くするためには,転造ボールの公転速度を早くする必要がある。しかし、通常の磁気浮上式高速モータにおいては、回転速度の上限値は約30,000rpmである。このため、管の加工ピッチが1回転当たり2mmである場合、抽伸速度の上限値は約60m/分となる。現有する最高速度の磁気浮上式高速モータにおいても、回転速度は約45,000rpmが限界であり、従って、抽伸速度は約90m/分が限界である。このため、ボール転造法においては、管の抽伸速度をあまり速くすることができず、生産性の向上にも限界がある。
【0006】
このように、ボール転造法によるシームレス内面溝付管の製造は、溶接内面溝付管の製造よりは製造コストを低減できるものの、製造設備に磁気浮上式高速モータを設ける必要があるため設備コストが高くなり、また、管の抽伸速度を速くすることが困難であり、製造コストの低減には限界がある。
【0007】
これらの問題点を解決する手段として、ロール加工によるシームレス内面溝付管の製造方法がある(例えば、特許文献1参照。)。ロール加工によるシームレス内面溝付管の製造方法(以下、ロール転造法という)を以下に説明する。
【0008】
図6は、従来のロール転造法によるシームレス内面溝付伝熱管の製造装置及び製造方法を示す断面図であり、図7は、図6に示す製造装置の転造部を示す拡大断面図であり、図8は、図7に示すA−A線による断面図である。図6に示すように、銅又は銅合金(以下、総称して銅という)からなる素管1の内部に、フローティングプラグ2が挿入されている。フローティングプラグ2の形状は、管供給側(上流側)の外径が素管1の内径よりやや小さく、管引抜き側(下流側)の外径は管供給側の外径よりも小さくなっている。フローティングプラグ2と整合する位置における素管1の外面には、フローティングプラグ2と共に素管1を縮径加工する保持ダイス3が配置されている。また、フローティングプラグ2には連結軸4を介して溝付プラグ15が連結されている。溝付プラグ15の外周面には、素管1の内周面に形成すべき形状の溝が加工されている。溝付プラグ15は連結軸4を軸として自在に回転することができる。また、溝付プラグ15の回転軸方向の長さは5乃至30mm程度である。
【0009】
なお、溝付プラグ15の溝のリード角、即ち、溝付プラグ15の側面における軸方向に平行な直線と溝が延びる方向とのなす角度は0乃至10°である。また、溝の深さは0.05乃至0.15mmである。更に、溝付プラグ15の軸に直交する断面において、溝の底部の曲率半径は0.04乃至0.06mmであり、溝間のフィンの頂部の曲率半径は約0.05mmであり、フィンの山頂角は80乃至120°である。
【0010】
そして、素管1の外側における溝付プラグ15に整合する位置には、1対の圧延ロール6が素管1の外面に転接するように配設されている。各圧延ロール6は自転することができ、その回転軸の方向は素管1の管軸方向に直交している。なお、溝付プラグ15及び圧延ロール6により転造部17が構成されている。また、転造部17の管引抜き方向下流側には、内面に溝が形成された素管1の外径を所定の寸法に縮径加工する整形ダイス8が設けられている。
【0011】
図7に示すように、抽伸方向において、圧延ロール6の回転軸は、溝付プラグ15の長手方向中心付近に位置している。そして、図8に示すように、圧延ロール6の形状はロール中央部の直径がロール両端部の直径よりも小さい鼓形であり、この圧延ロール6の回転軸を含む断面において、側縁の形状が素管1の外面形状に略整合するようになっている。即ち、圧延ロール6の側面の曲率半径は素管1の外面の曲率半径と略等しくなっている。
【0012】
次に、従来の内面溝付管の製造方法について説明する。図6に示すように、先ず、素管1の内部におけるフローティングプラグ2の上流側に抽伸油10を充填する。そして、素管1をフローティングプラグ2及び保持ダイス3により縮径加工する。次に、この縮径加工された素管1の外面を、この外面に転接して自転する圧延ロール6によって押圧することによって縮径すると共に、溝付プラグ15に向けて押圧する。これにより、素管1の内面に溝付プラグ15の溝が転写される。このとき、溝付プラグ15は連結軸4を介してフローティングプラグ2に連結されており、フローティングプラグ2は素管1の引抜きによる摩擦力及び保持ダイス3からの抗力により、保持ダイス3と整合する位置に係止しているため、溝付プラグ15も圧延ロール6と整合する位置に停止している。次に、転造部7を通過した内面に溝が形成された素管1は、整形ダイス8により更に縮径されると共に管軸直交断面の形状が真円形となるように整形され、所定の外径を有する内面溝付管9となる。
【0013】
このように、ロール転造法においては、転造ボールを使用しないため、転造ボールを回転させるための磁気浮上式高速モータが不要である。このため、設備コストを抑えることができる。また、転造ボールを使用しないため、管の抽伸速度が転造ボールの公転速度によって決定されることがない。このため、管の抽伸速度を向上させ、生産性を向上させることができる。
【0014】
【特許文献1】
特公平3−5882号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来の技術には、以下に示すような問題点がある。即ち、図6乃至図8に示す従来の製造装置により内面溝付管9を製造しようとすると、素管1の内面に形成しようとする溝の形状及び抽伸速度等の製造条件によっては、主として圧延ロール6と整形ダイス8との間及び整形ダイス8の出側において素管1が破断することがある。例えば、素管1の内面に形成しようとする溝の深さが0.05mm未満であれば、ほぼ問題なく加工できるが、深さが0.05mm以上の溝を形成しようとすると、破断しやすくなる。また、転造部を2段以上設けてタンデム圧延を施そうとすると、溝形状によらず困難になる。
【0016】
このように、内面溝付管の製造装置において素管が破断すると、その都度製造装置を停止させなくてはならなくなり、内面溝付管の生産性が低下する。また、素管が破断しないように内面溝の形状及び製造条件を調節すると、内面溝付管の伝熱性能が低下したり、抽伸速度を低く抑えることにより内面溝付管の生産性が低下したりしてしまう。
【0017】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、製造中の素管の破断を防止でき、伝熱性能が高い内面溝付管を生産性よく製造できる内面溝付管の製造装置及びこの製造装置を使用する内面溝付管の製造方法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る内面溝付管の製造装置は、金属管の外面に接触する保持ダイスと、前記金属管の内部に配置され前記保持ダイスに係合され前記保持ダイスと共に前記金属管を縮径加工するフローティングプラグと、前記金属管の内部において前記フローティングプラグから見て前記金属管の引抜方向下流側に配置され前記フローティングプラグに対して回転可能に軸支され外面に溝が形成された円柱部及びこの円柱部の下流側の端面に結合され前記円柱部から下流側に遠ざかるにつれてその直径が減少するテーパ部からなる少なくとも1個の溝付プラグと、回転軸が前記金属管の管軸方向に直交するように前記金属管の外面に転接すると共に回転駆動されて前記金属管を前記溝付プラグに向けて押圧して前記金属管の内面に溝を形成する圧延ロールと、この圧延ロールよりも前記金属管の引抜方向下流側に配置され前記金属管の外面に接触して前記金属管にサイジング加工を施す整形ダイスと、を有し、前記圧延ロールは、この圧延ロールの回転軸が前記溝付プラグの円柱部とテーパ部との境界面よりも前記金属管の引抜方向の3乃至5mm上流側となる位置に配置されていることを特徴とする。
【0019】
本発明においては、圧延ロールが、その回転軸が溝付プラグにおける円柱部とテーパ部との境界面よりも金属管の引抜方向の3乃至5mm上流側となる位置に配置されているため、金属管と溝付プラグとの間の接触面積が小さくなり、金属管と溝付プラグとの間に発生する摩擦力が小さくなる。これにより、金属管に印加する引抜力を低減することができ、金属管が破断することを防止できる。
【0020】
また、前記溝付プラグの外周面においてこの溝付プラグの軸方向に平行な直線と前記溝が延びる方向とのなす角度が0乃至20°であり、前記溝の深さが0.05乃至0.15mmであり、前記溝付プラグの軸直交断面において、前記溝間に形成されるフィンの両側面がなす角度が60乃至120°であり、前記溝の底部の曲率半径が0.04乃至0.06mmであり、前記フィンの頂部の曲率半径が0.04乃至0.10mmであることが好ましい。
【0021】
更に、前記テーパ部の形状が円錐台形状であってもよく、この場合、前記溝付プラグの中心軸を含む断面において、前記円柱部の側縁と前記テーパ部の側縁とのなす角度が30乃至60°であることが好ましい。これにより、金属管の破断をより効果的に防止することができる。
【0022】
又は、前記テーパ部の側面が外側に膨らんだ曲面であってもよく、この場合、前記溝付プラグの中心軸を含む断面において、前記曲面は曲率半径が1乃至2mmの円弧状であることが好ましい。これにより、金属管の破断をより効果的に防止することができる。
【0023】
更に、前記溝付プラグ及び前記圧延ロールからなる転造部が前記金属管の引抜方向に沿って複数段配置されており、前記圧延ロールの回転軸が延びる方向が前記転造部間で相互に異なっていてもよい。これにより、金属管の内面に溝をより均一に形成することができる。また、金属管の内面に複数種類の溝を形成することができる。
【0024】
本発明に係る内面溝付管の製造方法は、金属管を引抜くことにより、この金属管の管外に配置された保持ダイス及び管内に配置され前記保持ダイスに係合させたフローティングプラグにより前記金属管を順次縮径加工する工程と、前記金属管の外面に圧延ロールをその回転軸が前記金属管の管軸方向に直交するように転接させると共に、前記金属管の内部において前記フローティングプラグから見て前記金属管の引抜方向下流側に配置され前記フローティングプラグに対して回転可能に軸支され外面に溝が形成された円柱部及びこの円柱部の前記金属管の引抜方向下流側の端面に結合され前記円柱部から下流側に遠ざかるにつれてその直径が減少するテーパ部からなる少なくとも1個の溝付プラグを前記金属管内における前記円柱部とテーパ部との境界面が前記圧延ロールの回転軸よりも前記金属管の引抜方向の3乃至5mm下流側となる位置に配置し、前記圧延ロールにより前記金属管を前記溝付プラグに押圧することにより前記金属管の内面に溝を形成する工程と、整形ダイスを前記金属管の外面に接触させることにより前記金属管にサイジング加工を施す工程と、を有することを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明者等は、前述の素管破断の原因を究明すべく鋭意実験研究を行い、以下に示す知見を得た。即ち、図8に示すように、ロール転造法において、素管1の内面に均一に溝を形成するためには、圧延ロール6の形状を鼓形とし、圧延ロール6の側面が素管1の外面に可及的に均一に接触するようにする必要がある。これにより、素管1の内面は溝付プラグ15の外面に略均一に線接触する。また、溝付プラグ15の溝に流れ込んだ素管1の材料は、スプリングバックすることなく、溝付プラグ15との間で接触が保たれる。このため、溝付プラグ15と素管1との接触面積が大きくなる。この状態で素管1が抽伸方向に引抜かれると、前記接触面積が大きいため、大きな摩擦力が発生する。従って、素管1を引抜くためには、この大きな摩擦力を上回る大きな引抜力を素管1に印加する必要がある。この結果、転造部17よりも下流側において、素管1に大きな力が加わり、この力が素管1の引張破断強度を超えると、素管1が破断する。なお、ボール転造法においては、転造ボールは素管の外面に点接触するため、素管の内面と溝付プラグとの接触面積は小さく、上述のような問題は発生しにくい。
【0026】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るロール転造法によるシームレス内面溝付伝熱管の製造装置及び製造方法を示す断面図であり、図2は、図1に示す製造装置の転造部を示す拡大断面図であり、図3は、本実施形態における溝付プラグを示す部分断面図である。なお、図1乃至図3に示す構成要素のうち、図6乃至図8に示す従来の装置の構成要素と同じものには同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0027】
図1に示すように、本実施形態に係る内面溝付管の製造装置においては、フローティングプラグ2に、連結軸4を介して溝付プラグ5が連結されている。溝付プラグ5の外周面には、素管1の内周面に形成すべき形状の溝が加工されている。また、溝付プラグ5は連結軸4を軸として自在に回転することができる。
【0028】
また、図2に示すように、溝付プラグ5は、抽伸方向上流側に配置された円柱部11と、この円柱部11の抽伸方向下流側の端面に結合されたテーパ部12とから構成されている。溝付プラグ5の軸方向における全長は例えば5乃至30mmであり、例えば25mmである。また、外径は例えば10mmである。そして、円柱部11の形状は円柱形であり、その側面には螺旋状又は直線状の溝13が形成されている。溝13のリード角θ、即ち、円柱部11の側面における円柱部11の軸方向に平行な直線と溝13が延びる方向とのなす角度は例えば0乃至20°である。リード角θが0°の場合は、溝13が軸方向に平行な直線状の溝である場合である。
【0029】
そして、図3に示すように、溝付プラグ5の円柱部11においては、溝13間がフィン14となっている。溝13の深さhは例えば0.05乃至0.15mmである。なお、溝13の深さhは、フィン14の高さと等しく、中心軸が溝付プラグ5の中心軸と同一であり溝13の底部を結ぶ仮想的な円柱面16aと、中心軸が溝付プラグ5の中心軸と同一でありフィン14の頂部を結ぶ仮想的な円柱面16bとの間の距離である。また、図3に示す断面、即ち、円柱部11の軸に直交する断面において、溝13の底部の曲率半径r1は例えば0.04乃至0.06mmであり、フィン14の頂部の曲率半径r2は例えば0.04乃至0.10mmであり、フィン14の山頂角α、即ち、フィン14の両側面がなす角度は例えば60乃至120°である。なお、溝付プラグ5は例えば超微粒子超硬合金により形成されていることが好ましく、超微粒子超硬合金は直径が0.5μm以下のタングステンカーバイド(WC)の微粒子を含むことがより好ましい。
【0030】
一方、図2に示すように、テーパ部12の形状は側面がテーパ状である円錐台形状であり、円柱部11との境界面17から離れるほど、即ち、抽伸方向下流側にいくほどその直径が小さくなっている。また、テーパ部12の外面には溝は形成されていない。溝付プラグ5の中心軸を含む断面において、円柱部11の側縁とテーパ部12の側縁とのなす角度は、例えば30乃至60°である。
【0031】
素管1の外側における溝付プラグ5に整合する位置には、1対の圧延ロール6が素管1の外面に転接するように配設されている。各圧延ロール6は自転することができ、1対の圧延ロール6の回転軸は相互に平行であり、その回転軸の方向は素管1の管軸方向に直交している。圧延ロール6の形状は両端部が太く中央部が細い鼓形であり、回転軸を含む断面において、その側面の曲率半径は素管1の外面の半径と略等しくなっており、圧延ロール6の側縁形状は素管1の外面形状に略整合し、圧延ロール6は素管1に略均等に線接触している。なお、溝付プラグ5及び圧延ロール6により転造部7が構成されている。
【0032】
そして、抽伸方向において、圧延ロール6の回転軸は、溝付プラグ5における円柱部11とテーパ部12との境界面17よりも3乃至5mm上流側に位置している。即ち、1対の圧延ロール6の回転軸を含む平面18は、素管1の管軸に垂直であり、円柱部11の内部を横断しており、この平面18と境界面17との間の距離Xは3乃至5mmとなっている。
【0033】
更に、転造部17の管引抜き方向下流側には、内面に溝が形成された素管1の外径を所定の寸法にサイジング加工する整形ダイス8が設けられている。本実施形態に係る内面溝付管の製造装置における上記以外の構成は、図6乃至図8に示す従来の製造装置の構成と同様である。
【0034】
以下、本発明の各構成要件における数値限定理由について説明する。
【0035】
圧延ロールの回転軸の位置:円柱部とテーパ部との境界面よりも3乃至5mm上流側
圧延ロールの回転軸を含む平面と前記境界面との間の距離Xが3mm未満であると、圧延ロールのロールセンターが溝付プラグの下流側端部に乗ってしまう。このため、素管における圧延ロールとの接触部分と、溝付プラグとの接触部分との重なりが少なくなり、圧延ロールが素管を押圧する力が素管の内面に溝を形成することに有効に使用されなくなる。このため、溝を形成することが困難になる。また、素管における溝付プラグの円柱部とテーパ部との境界部分に相当する部分に応力が集中するため、素管が破断しやすくなる。一方、前記距離Xが5mmを超えると、素管の内面に形成されたフィンと溝付プラグの溝との接触面積が増加し、素管と溝付プラグとの摩擦力が増加するため、素管が破断しやすくなる。従って、圧延ロールの回転軸の位置は円柱部とテーパ部との境界面よりも3乃至5mm上流側とする。
【0036】
溝付プラグの溝のリード角:0乃至20°
溝付プラグにより素管の内面に溝を形成する際には、溝付プラグの溝と、この溝が素管の内面に転写されて形成された素管内面のフィンとが相互に噛み合った状態となる。溝が螺旋状、即ち、溝のリード角が0°より大きい角度であると、素管が抽伸されることにより、素管が、その内面に形成された溝に沿って溝付プラグを回転させようとする。そして、素管は溝付プラグからの反力を受け、溝付プラグと逆の方向に回転しようとする。一方、圧延ロールは素管との接触面積が大きいため、素管を管周方向に拘束し、回転を妨げる。この結果、素管には管周方向に沿って大きな力が加わり、この力が管軸方向に沿った引抜力に加算される。溝付プラグの溝のリード角が20°を超えると、この力が大きくなり、素管が破断しやすくなる。従って、溝付プラグの溝のリード角は0乃至20°とすることが好ましい。
【0037】
溝付プラグの溝の深さh:0.05乃至0.15mm
溝付プラグの溝の深さhが0.05mm未満であると、この溝が素管の内面に転写されて形成されるフィンの高さが低くなり、内面溝付管の伝熱性能が低下する。一方、溝付プラグの溝の深さが0.15mmを超えると、素管が破断しやすくなり、加工できなくなる。従って、溝付プラグの溝の深さhは0.05乃至0.15mmとすることが好ましい。
【0038】
溝付プラグの溝の底部の曲率半径r 1 :0.04乃至0.06mm
溝の底部の曲率半径r1が0.04mm未満であると、溝の形状が鋭くなりすぎて溝の加工ができなくなる。一方、曲率半径r1が0.06mmを超えると、内面溝付管の内面に形成されるフィンが太くなり、内面溝付管の伝熱性能が低下すると共に、内面溝付管の単重が重くなる。従って、溝付プラグの溝の底部の曲率半径r1は0.04乃至0.06mmとすることが好ましい。
【0039】
溝付プラグの溝間のフィンの頂部の曲率半径r 2 :0.04乃至0.10mm
溝付プラグのフィンの頂部の曲率半径r2が0.04mm未満であると、このフィンの形状が鋭利なくさび状になり、素管がこのフィンの頂部を起点として破断しやすくなる。一方、曲率半径r2が0.10mmを超えると、フィンの形状が太くなり過ぎ、素管を形成する材料のメタルフローが悪くなり、フィンの成形性が劣化する。従って、溝付プラグの溝間のフィンの頂部の曲率半径r2は0.04乃至0.10mmとする。
【0040】
溝付プラグのフィンの山頂角α:60乃至120°
フィンの山頂角αが60°未満であると、高さ、即ち溝の深さが0.05mm以上となるフィンを形成できなくなる。一方、フィンの山頂角αが120°を超えると、素管の内面に形成される溝の幅が広くなり、内面溝付管の伝熱性能が低下する。従って、溝付プラグのフィンの山頂角αは60乃至120°とすることが好ましい。
【0041】
円柱部の側縁とテーパ部の側縁とのなす角度φ:30乃至60°
テーパ部は溝付プラグの抽伸方向下流側の端部と素管との接触部分において、素管に応力集中部が生じて素管が破断することを避けるために設けるものである。円柱部の中心軸を含む断面において、円柱部の側縁とテーパ部の側縁とのなす角度φが30°未満であると、上述のテーパ部の効果を得るためにはテーパ部を長くする必要が生じる。この結果、テーパ部と素管との接触長さが長くなるため、溝付プラグと素管との間に発生する摩擦力が増大し、素管が破断しやすくなる。一方、前記角度φが60°を超えると、溝付プラグの下流側端部の形状が鋭利になり、テーパ部を設けることによる効果が減少し、素管が破断しやすくなる。従って、円柱部の側縁とテーパ部の側縁とのなす角度φは30乃至60°とすることが好ましい。
【0042】
次に、本実施形態に係る内面溝付管の製造装置の使用方法、即ち、本実施形態に係る内面溝付管の製造方法について説明する。図1に示すように、先ず、素管1を準備する。素管1を形成する材料は、管に加工可能な金属であれば何でもよいが、例えば銅又は銅合金であり、例えば、伝熱性及び加工性が良好なJIS H1220に記載されている脱酸銅又はJIS H1101に記載されているOFC(Oxygen Free Copper:無酸素銅)である。また、調質は例えば引張強度が350N/mm2を超える程度のH材とする。次に、素管1の内部におけるフローティングプラグ2の上流側に抽伸油10を充填する。そして、素管1に対して抽伸方向に向かう引抜力を印加し、素管1を抽伸方向に引抜く。このとき、整形ダイス8を通過した後の内面溝付管9の引抜速度を例えば6m/秒とする。
【0043】
これにより、素管1をフローティングプラグ2及び保持ダイス3により縮径加工する。次に、この縮径加工された素管1の外面を、この外面に転接して自転する圧延ロール6によって押圧することによって縮径すると共に、溝付プラグ5に向けて押圧する。これにより、素管1の内面に溝付プラグ5の溝13が転写され、フィンが形成される。即ち、溝付プラグ5の溝13が素管1の内面に転写されてフィンとなり、フィン14が素管1の内面に転写されて溝19となる。
【0044】
このとき、溝付プラグ5は連結軸4を介してフローティングプラグ2に連結されており、フローティングプラグ2は素管1の引抜きによる摩擦力及び保持ダイス3からの抗力により、保持ダイス3と整合する位置に係止しているため、溝付プラグ5も圧延ロール6と整合する位置に停止している。次に、転造部7を通過した内面に溝が形成された素管1は、1対の圧延ロール6により1軸方向に押圧されるため、管軸直交断面の形状が楕円形となっている。そこで、この素管1は整形ダイス8によりサイジング加工を施され、更に縮径されると共に管軸直交断面の形状が真円形となるように整形され、所定の外径を有する内面溝付管9となる。この内面溝付管9は、外径が例えば4乃至10mmであり、内面に螺旋状又は直線状の溝19が形成されたものである。
【0045】
本実施形態においては、1対の圧延ロール6を使用して内面溝付管9を製造している。このため、転造ボールを使用する製造装置と比較して、高価な磁気浮上式高速モータを設ける必要がないため、設備コストが低い。また、転造ボールを使用しないため、管の抽伸速度が転造ボールの公転速度によって決定されることがなく、抽伸速度を高速化することが可能である。このため、内面溝付管の生産性を向上させることができる。
【0046】
また、圧延ロール6の回転軸の位置を、溝付プラグ5の円柱部11とテーパ部12との境界面17よりも3乃至5mm上流側とすることにより、素管1と溝付プラグ5との接触面積が減少し、素管1と溝付プラグ5との間に生じる摩擦力が低減する。これにより、素管1に印加する引抜力を従来よりも小さくすることができ、素管1の破断を防止することができる。
【0047】
更に、溝付プラグ5の溝13が上述の形状を有しているため、内面溝付管の内面に所定の形状の溝19を形成することができる。この結果、この内面溝付管を熱交換器の伝熱管として使用する場合に、伝熱性能が良好な伝熱管を得ることができる。
【0048】
次に、本第1実施形態の変形例について説明する。図4は、本変形例における溝付プラグを示す断面図である。図4に示すように、本変形例に係る内面溝付管の製造装置においては、前述の第1の実施形態と比較して、溝付プラグ5の替わりに溝付プラグ5aが設けられている。本変形例における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0049】
図4に示すように、溝付プラグ5aは、円柱部11と、この円柱部11の抽伸方向下流側の端面に結合されたテーパ部12aとから構成されている。円柱部11の構成は、前述の第1の実施形態における円柱部11と同様である。一方、テーパ部12aは、円柱部11との境界面17から離れるほど、即ち、抽伸方向下流側にいくほどその直径が小さくなっている。そして、テーパ部12aの側面20は、外側に膨らんだ曲面となっており、溝付プラグ5aの中心軸を含む断面において、側面20は円弧状となっている。この側面20がなす円弧の曲率半径Rは、例えば1乃至2mmである。また、本変形例においても、前述の第1の実施形態と同様に、1対の圧延ロール6の回転軸を含む平面18(図2参照)は、円筒部11とテーパ部12aとの境界面17よりも3乃至5mm抽伸方向上流側に位置している。本変形例における動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。以下、前述の数値限定理由を説明する。
【0050】
溝付プラグのテーパ部の側面の曲率半径R:1乃至2mm
前記テーパ部の側面の曲率半径Rが1mm未満であると、溝付プラグの下流側端部の形状が鋭利になり、テーパ部を設けることによる効果が減少し、素管が破断しやすくなる。一方、前記曲率半径Rが2mmを超えると、テーパ部の効果を得るためにはテーパ部を長くする必要が生じる。この結果、テーパ部と素管との接触長さが長くなるため、溝付プラグと素管との間に発生する摩擦力が増大し、素管が破断しやすくなる。従って、溝付プラグのテーパ部の側面の曲率半径Rは1乃至2mmとすることが好ましい。
【0051】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図5は、本実施形態に係るロール転造法によるシームレス内面溝付伝熱管の製造装置及び製造方法を示す断面図である。なお、図5においては、素管の内面に形成された溝は図示を省略している。
【0052】
図5に示すように、本実施形態に係る内面溝付管の製造装置においては、前述の第1の実施形態と比較して、圧延ロールが2段設けられたタンデム圧延方式となっている点が異なっている。即ち、1段目の転造部7と整形ダイス8との間に、溝付プラグ5b及び1対の圧延ロール6bからなる2段目の転造部7bが設けられている。また、1段目の転造部7と2段目の転造部7bとの間に、素管1を整形する中間ダイス21が設けられている。
【0053】
更に、連結軸4は溝付プラグ5を貫通しており、溝付プラグ5は連結軸4に沿って抽伸方向に移動可能に取り付けられている。そして、フローティングプラグ2と溝付プラグ5との間、及び溝付プラグ5と溝付プラグ5bとの間には、環状のワッシャ22が複数個相互に密接するように設けられており、このワッシャ22の開口部を連結軸4が貫通している。これにより、ワッシャ22の数により溝付プラグ5はその抽伸方向における位置が調節され固定されている。
【0054】
2段目の転造部7bにおいては、溝付プラグ5bの直径は1段目の転造部7の溝付プラグ5の直径よりも小さく、素管1の内部に設けられている。また、圧延ロール6bの構成は例えば1段目の転造部7の圧延ロール6と同じであり、素管1の外部における素管1の外面に転接する位置に設けられている。圧延ロール6bの回転軸が延びる方向は、素管1の抽伸方向に直交しており、且つ、圧延ロール6の回転軸が延びる方向にも直交している。転造部7bにおける溝付プラグ5bと圧延ロール6bとの相対的な位置関係は、転造部7における溝付プラグ5と圧延ロール6との相対的な位置関係と同様である。本実施形態における上記以外の構成は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0055】
次に、本実施形態の動作について説明する。本実施形態においては、整形ダイス8を通過した後の内面溝付管9bの引抜速度を例えば4m/秒とする。素管1はフローティングプラグ2及び保持ダイス3により縮径された後、転造部7において溝付プラグ5及び圧延ロール6により縮径されると共に内面に溝が形成される。その後、素管1は中間ダイス21により管軸直交断面が真円形になるように整形される。次に、転造部7bにおいて、素管1は、溝付プラグ5b及び1対の圧延ロール6bにより縮径されると共に内面に溝が形成され、整形ダイス8により更に縮径されると共に整形され、内面溝付管9bとなる。本実施形態における上記以外の動作は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0056】
本実施形態においては、転造部を2段設けてタンデム圧延としているため、2対の圧延ロールにより素管1を相互に直交する方向から押圧することができる。これにより、素管1の内面により均一に溝を形成することができる。また、2段目の溝付プラグ5bの外面に形成されている溝の形状を、1段目の溝付プラグ5の外面に形成されている溝の形状と異ならせることにより、素管1の内面に2種類の溝を形成することができる。これにより、例えば、相互に異なる方向に沿って延びる2種類の溝が形成された交差溝内面溝付管を製造することができる。本実施形態における上記以外の効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
【0057】
【実施例】
以下、本発明の効果について、その特許請求の範囲から外れる比較例と比較して具体的に説明する。
【0058】
試験例1
本試験例1においては、前述の第1の実施形態において示したシングル圧延方式の製造装置(図1参照)により、長さが2000mの内面溝付管を製造し、このとき、素管に破断が生じたか否かを評価した。サイジング後の内面溝付管の外径は7mmとした。また、溝付プラグの形状は、フィンの高さ(溝の深さ)hを0.08mmとし、フィンの山頂角αを90°とし、溝数を80とした。更に、溝付プラグのテーパ部の形状は側面がテーパ状である円錐台形状とし、中心軸を含む断面における円柱部の側縁とテーパ部の側縁とのなす角度φを45°とし、テーパ部の長さを1.5mmとした。なお、溝付プラグの全長は25mmとした。整形ダイスの下流側における抽伸速度、1対の圧延ロールの回転軸を含む平面と溝付プラグにおける円柱部とテーパ部との境界面との間の距離X、溝付プラグの溝のリード角θ、内面溝付管の内面に形成された溝のリード角、及び加工性を表1に示す。なお、表1に示す「加工性」とは、長さが2000mの内面溝付管を製造したときの素管の破断の有無を示し、破断が生じた場合を「×」、生じなかった場合を「○」と表記した。
【0059】
【表1】
【0060】
表1に示すNo.3、4、6、7、8は本発明の実施例である。実施例No.3、4、6、7、8は、1対の圧延ロールの回転軸を含む平面が溝付プラグの円柱部とテーパ部との境界面よりも抽伸方向上流側にあり、前記平面と境界面との間の距離Xが3乃至5mmであるため、長さが2000mの内面溝付管を製造しても途中で素管が破断せず、加工性が良好であった。特に、実施例No.6は、抽伸速度が6m/秒と高速で加工することができた。また、実施例No.3、4、6、7、8は、溝付プラグの溝の形状が本発明の範囲を満たしているため、製造した内面溝付管の伝熱性能が良好である。なお、実施例No.8において、サイジング後(整形ダイス通過後)の内面溝付管のフィンの高さを測定したところ、0.10mmであった。
【0061】
これに対して、表1に示すNo.1、2、5は比較例である。比較例No.1及び2は距離Xが5mmを超えていたため、溝付プラグと素管との間に発生する摩擦力が大きくなり、製造途中で素管が破断した。また、比較例No.5は、距離Xが3mm未満であったため、溝付プラグの下流側端部で素管が破断した。
【0062】
試験例2
本試験例2においては、前述の第2の実施形態において示したタンデム圧延方式の製造装置(図5参照)により、長さが2000mの内面溝付管を製造し、このとき、素管に破断が生じたか否かを評価した。サイジング後の内面溝付管の外径を7mmとし、フィンの高さを0.10mmとし、フィンの山頂角を95°とした。また、1段目及び2段目共に、溝付プラグの溝数を75とし、溝付プラグのテーパ部の側面形状は円弧状とし、その曲率半径Rを1.5mmとし、溝付プラグの全長を25mmとした。整形ダイスの下流側における抽伸速度、1段目及び2段目の転造部における1対の圧延ロールの回転軸を含む平面と溝付プラグにおける円柱部とテーパ部との境界面との間の距離X、溝付プラグの溝のリード角θ、内面溝付管の内面に形成された溝のリード角、及び加工性を表2に示す。加工性の判断基準及び表記は、前述の試験例1と同様である。
【0063】
以下、前記距離Xの測定方法について説明する。図5に示すように、素管1を圧延している状態において素管の引抜きを停止し、加工部の素管並びにフローティングプラグ2、連結軸4、溝付プラグ5及び溝付プラグ5bからなるサンプルを作製した。そして、フローティングプラグ2の側面に生じた光沢が他の領域と異なる環状領域を検出した。この環状領域が保持ダイス3の押圧による素管1との摺動部である。次に、この環状の摺動部の抽伸方向下流側の端Bと、素管1における保持ダイス3の出側に相当する部分、即ち、保持ダイス3による縮径加工の終了端との位置を合わせた。このとき、素管1の外面における圧延ロール6による圧痕の下流側端縁が圧延ロール6のロールセンターに相当する。従って、この圧痕の下流側端縁と溝付プラグ5における円柱部11とテーパ部12との境界面との間の距離を測定することにより、前記距離Xを求めることができた。また、2段目の転造部7bにおいても同様に距離Xを求めることができた。そして、フローティングプラグ2と溝付プラグ5との間及び溝付プラグ5と溝付プラグ5bとの間に任意の数のワッシャ22を挟むことにより、距離Xを所望の値に調整した。
【0064】
【表2】
【0065】
表2に示すNo.11、12、14、15は本発明の実施例である。実施例No.11、12、14、15は、1段目の転造部及び2段目の転造部の双方において、1対の圧延ロールの回転軸を含む平面が溝付プラグの円柱部とテーパ部との境界面よりも抽伸方向上流側にあり、前記平面と境界面との間の距離Xが3乃至5mmであるため、長さが2000mの内面溝付管を製造しても途中で素管が破断せず、加工性が良好であった。また、実施例No.11、12、14、15は、溝付プラグの溝の形状が本発明の範囲を満たしているため、製造した内面溝付管の伝熱性能が良好である。特に、実施例No.14においては、抽伸速度が2.0m/秒と高速で加工することができた。また、実施例No.15においては、抽伸速度を1.0m/秒と高速にでき、且つ、管の内面にリード角が14°と大きい溝を形成することができた。このため、実施例No.15の内面溝付管は、伝熱性能が特に良好である。
【0066】
これに対して、表2に示すNo.9、10、13は比較例である。比較例No.9及び10は距離Xが5mmを超えていたため、溝付プラグと素管との間に発生する摩擦力が大きくなり、製造途中で素管が破断した。また、比較例No.13は、1段目の転造部において距離Xが3mm未満であったため、素管が破断した。
【0067】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、圧延ロールを、その回転軸を含む平面が溝付プラグにおける円柱部とテーパ部との境界面よりも金属管の引抜方向上流側であり前記平面と前記境界面との間の距離が3乃至5mmとなる位置に配置することにより、金属管と溝付プラグとの間の接触面積を小さくし、金属管が破断することを防止することができる。これにより、伝熱性能が高い内面溝付管を生産性よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るロール転造法によるシームレス内面溝付伝熱管の製造装置及び製造方法を示す断面図である。
【図2】図1に示す製造装置の転造部を示す拡大断面図である。
【図3】本実施形態における溝付プラグを示す部分断面図である。
【図4】本実施形態の変形例における溝付プラグを示す断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るロール転造法によるシームレス内面溝付伝熱管の製造装置及び製造方法を示す断面図である。
【図6】従来のロール転造法によるシームレス内面溝付伝熱管の製造装置及び製造方法を示す断面図である。
【図7】図6に示す製造装置の転造部を示す拡大断面図である。
【図8】図7に示すA−A線による断面図である。
【符号の説明】
1;素管
2;フローティングプラグ
3;保持ダイス
4;連結軸
5、5a、5b、15;溝付プラグ
6、6b;圧延ロール
7、7b、17;転造部
8;整形ダイス
9、9b;内面溝付管
10;抽伸油
11;円柱部
12、12a;テーパ部
13;溝
14;フィン
16a、16b;仮想的な円柱面
17;円柱部11とテーパ部12との境界面
18;1対の圧延ロール6の回転軸を含む平面
19;溝
20;溝付プラグ5aの側面
21;中間ダイス
22;ワッシャ
r1;溝13の底部の曲率半径
r2;フィン14の頂部の曲率半径
R;側面20の曲率半径
X;平面18と境界面17との間の距離
α;フィン14の山頂角
θ;溝13のリード角
φ;円柱部11の側縁とテーパ部11の側縁とのなす角度
Claims (10)
- 金属管の外面に接触する保持ダイスと、前記金属管の内部に配置され前記保持ダイスに係合され前記保持ダイスと共に前記金属管を縮径加工するフローティングプラグと、前記金属管の内部において前記フローティングプラグから見て前記金属管の引抜方向下流側に配置され前記フローティングプラグに対して回転可能に軸支され外面に溝が形成された円柱部及びこの円柱部の下流側の端面に結合され前記円柱部から下流側に遠ざかるにつれてその直径が減少するテーパ部からなる少なくとも1個の溝付プラグと、回転軸が前記金属管の管軸方向に直交するように前記金属管の外面に転接すると共に回転駆動されて前記金属管を前記溝付プラグに向けて押圧して前記金属管の内面に溝を形成する圧延ロールと、この圧延ロールよりも前記金属管の引抜方向下流側に配置され前記金属管の外面に接触して前記金属管にサイジング加工を施す整形ダイスと、を有し、前記圧延ロールは、この圧延ロールの回転軸が前記溝付プラグの円柱部とテーパ部との境界面よりも前記金属管の引抜方向の3乃至5mm上流側となる位置に配置されていることを特徴とする内面溝付管の製造装置。
- 前記溝付プラグの外周面においてこの溝付プラグの軸方向に平行な直線と前記溝が延びる方向とのなす角度が0乃至20°であり、前記溝の深さが0.05乃至0.15mmであり、前記溝付プラグの軸直交断面において、前記溝間に形成されるフィンの両側面がなす角度が60乃至120°であり、前記溝の底部の曲率半径が0.04乃至0.06mmであり、前記フィンの頂部の曲率半径が0.04乃至0.10mmであり、前記テーパ部の形状が円錐台形状であり、前記溝付プラグの中心軸を含む断面において、前記円柱部の側縁と前記テーパ部の側縁とのなす角度が30乃至60°であることを特徴とする請求項1に記載の内面溝付管の製造装置。
- 前記溝付プラグの外周面においてこの溝付プラグの軸方向に平行な直線と前記溝が延びる方向とのなす角度が0乃至20°であり、前記溝の深さが0.05乃至0.15mmであり、前記溝付プラグの軸直交断面において、前記溝間に形成されるフィンの両側面がなす角度が60乃至120°であり、前記溝の底部の曲率半径が0.04乃至0.06mmであり、前記フィンの頂部の曲率半径が0.04乃至0.10mmであり、前記テーパ部の側面が外側に膨らんだ曲面であり、前記溝付プラグの中心軸を含む断面において、前記曲面は曲率半径が1乃至2mmの円弧状であることを特徴とする請求項1に記載の内面溝付管の製造装置。
- 前記圧延ロールが2本設けられており、この2本の圧延ロールの回転軸が相互に平行であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の内面溝付管の製造装置。
- 前記溝付プラグ及び前記複数の圧延ロールからなる転造部が前記金属管の引抜方向に沿って複数段配置されており、前記圧延ロールの回転軸が延びる方向が前記転造部間で相互に異なることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の内面溝付管の製造装置。
- 金属管を引抜くことにより、この金属管の管外に配置された保持ダイス及び管内に配置され前記保持ダイスに係合させたフローティングプラグにより前記金属管を順次縮径加工する工程と、前記金属管の外面に圧延ロールをその回転軸が前記金属管の管軸方向に直交するように転接させると共に、前記金属管の内部において前記フローティングプラグから見て前記金属管の引抜方向下流側に配置され前記フローティングプラグに対して回転可能に軸支され外面に溝が形成された円柱部及びこの円柱部の前記金属管の引抜方向下流側の端面に結合され前記円柱部から下流側に遠ざかるにつれてその直径が減少するテーパ部からなる少なくとも1個の溝付プラグを前記金属管内における前記円柱部とテーパ部との境界面が前記圧延ロールの回転軸よりも前記金属管の引抜方向の3乃至5mm下流側となる位置に配置し、前記圧延ロールにより前記金属管を前記溝付プラグに押圧することにより前記金属管の内面に溝を形成する工程と、整形ダイスを前記金属管の外面に接触させることにより前記金属管にサイジング加工を施す工程と、を有することを特徴とする内面溝付管の製造方法。
- 前記溝付プラグの外周面においてこの溝付プラグの軸方向に平行な直線と前記溝が延びる方向とのなす角度を0乃至20°とし、前記溝の深さを0.05乃至0.15mmとし、前記溝付プラグの軸直交断面において、前記溝間に形成されるフィンの両側面がなす角度を60乃至120°とし、前記溝の底部の曲率半径を0.04乃至0.06mmとし、前記フィンの頂部の曲率半径を0.04乃至0.10mmとし、前記テーパ部の形状を円錐台形状とし、前記溝付プラグの中心軸を含む断面において、前記円柱部の側縁と前記テーパ部の側縁とのなす角度を30乃至60°とすることを特徴とする請求項6に記載の内面溝付管の製造方法。
- 前記溝付プラグの外周面においてこの溝付プラグの軸方向に平行な直線と前記溝が延びる方向とのなす角度を0乃至20°とし、前記溝の深さを0.05乃至0.15mmとし、前記溝付プラグの軸直交断面において、前記溝間に形成されるフィンの両側面がなす角度を60乃至120°とし、前記溝の底部の曲率半径を0.04乃至0.06mmとし、前記フィンの頂部の曲率半径を0.04乃至0.10mmとし、前記テーパ部の側面を外側に膨らんだ曲面とし、前記溝付プラグの中心軸を含む断面において、前記曲面を曲率半径が1乃至2mmの円弧状とすることを特徴とする請求項6に記載の内面溝付管の製造方法。
- 前記圧延ロールを2本設け、この2本の圧延ロールの回転軸を相互に平行にすることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の内面溝付管の製造方法。
- 前記金属管の内面に溝を形成する工程を複数回繰り返し、前記圧延ロールの回転軸が延びる方向を前記工程間で相互に異ならせることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載の内面溝付管の製造方法。
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| JP2003092636A JP2004298899A (ja) | 2003-03-28 | 2003-03-28 | 内面溝付管の製造装置及び製造方法 |
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR100932330B1 (ko) | 2009-04-23 | 2009-12-16 | 이석민 | 듀플렉스 튜브의 제조방법과 제조장치 |
| CN107000009A (zh) * | 2014-11-25 | 2017-08-01 | 新日铁住金株式会社 | 内螺纹管的制造方法 |
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2003
- 2003-03-28 JP JP2003092636A patent/JP2004298899A/ja active Pending
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