JP2004292280A - 四ほう酸リチウム単結晶の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】双晶やクラックの発生を抑制し得る、四ほう酸リチウムの製造方法を提供する。波長変換素子等の光学変換素子や、紫外レーザ光用光学材用途に適した四ほう酸リチウム単結晶中に含まれる結晶欠陥等の品質評価を容易にし得る四ほう酸リチウムの製造方法を提供する。
【解決手段】チョクラルスキー法により四ほう酸リチウム融液表面に種結晶を結晶方位面(001)面で接触させ、融液表面と融液直上10mmの間の温度勾配を30℃/cm〜200℃/cm、それより上部の温度勾配を5℃/cm〜50℃/cmとし、種結晶を0.1mm/時間〜2mm/時間の引上げ速度で引上げることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】チョクラルスキー法により四ほう酸リチウム融液表面に種結晶を結晶方位面(001)面で接触させ、融液表面と融液直上10mmの間の温度勾配を30℃/cm〜200℃/cm、それより上部の温度勾配を5℃/cm〜50℃/cmとし、種結晶を0.1mm/時間〜2mm/時間の引上げ速度で引上げることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、第2高調波や第4高調波、第5高調波等を発生する波長変換素子等の光学変換素子や、紫外領域のレーザ光(以下、紫外レーザ光という。)の光路に設けられる窓材、レンズ材、アッテネータ(attenuator)材、ビームスプリッタ(beam splitters)材、レーザキャビティオプティクス(laser cavity optics)材等の紫外レーザ光用光学材として好適な四ほう酸リチウム単結晶(Li2B407)の製造方法に関する。更に詳しくは<001>方位に引上げる四ほう酸リチウム単結晶の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
短波長レーザ光を用いることで記録媒体の記録密度を大きくできることが知られている。そのため、記録媒体へのデータ書込み、記録媒体からのデータ読出しの光源として、より短波長のレーザ光源が求められている。また短波長レーザ光により微細加工が可能になることから材料加工用光源、医療用光源、超LSIリソグラフィ用光源等でも短波長レーザ光源が望まれている。
【0003】
しかしながら、500nm以下の短波長レーザ光源として適切なものが存在しないのが実状である。例えば、半導体レーザは波長400nm程度までのレーザ光を出射できるものが知られているが、その出力は非常に低いという問題がある。また短波長で大出力のレーザとしてはエキシマレーザが知られている。エキシマレーザは、1970年にソビエト連邦のBasovらによって、液体キセノン(Xe)を電子ビームで励起する方法で初めて実現され、更に1976年に放電励起によって発振することにも成功した。放電励起方式のエキシマレーザは、紫外線のパルス繰返し発振レーザであって、ArF(193nm)、KrF(248nm)、XeCl(308nm)等の化合物が発する紫外光を光共振器により増大させ、レーザ光として取出したものである。エキシマレーザは、高分子材料のアブレーション加工、表面改質、マーキング、薄膜作製、医薬品の製造、同位体分離等に応用が期待されている。短波長レーザにエキシマレーザを用いる場合には、このエキシマレーザで発生する紫外レーザ光を取り出し、使用に供するために、紫外レーザ光を透過可能な窓材、レンズ材等が設けられている。
従来、この種の紫外レーザ光用窓材、レンズ材等は、CaF2、MgF2、合成シリカ等により構成される。
【0004】
しかし、CaF2やMgF2は透過率が良好である反面、熱伝導率が悪く、もろく割れ易い欠点があった。またCaF2やMgF2はカラーセンタが発生し易く、紫外レーザ光用光学材に使用するときには、カラーセンタが発生していない箇所を選別する必要があった。また合成シリカはカラーセンタは発生しにくいものの、曇り易い欠点があった。
【0005】
また、このエキシマレーザは、例えば繰返し数百pps(pulse per second)のパルスレーザの場合、10−2秒毎に10−9秒間のパルス光しか発生せず、インターバルに比べてレーザの発光時間が著しく短いことから、応用分野における加工や成膜過程で問題がある。またエキシマレーザは、媒質ガスの寿命が短い、レーザ装置の小型化が困難である、保守性が悪い、運転コストが高い、有毒ガスを用いているため安全性に難がある等の多くの問題を有している。
【0006】
そのため、第2高調波発生素子(SHG;secondary harmonic−wave generation)等の非線形光学素子を利用する研究が近年活発化している。SHG素子は入射光の波長の1/2の波長の光を発生するため、例えば赤外線領域のレーザ光から紫外線領域の光を発生することができ、各種応用分野への工業的価値は極めて大きい。特に高密度情報記録、再生を行う光情報処理分野、ディスプレイ、光計測、加工、医療、LSI製造等の分野では、小型、軽量、長寿命かつ高安定な可視光又は紫外光が必要とされている。
【0007】
SHG素子のような波長変換素子として用いられている結晶としては、例えば、KTP(KTiOPO4)やBBO(β−BaB2O4)等が知られている。
KTPを用いた波長変換素子は、レーザ入射光の波長に対してKTPの透明領域が0.25μm〜4.5μmと広範囲であるが、1μm以下では位相整合しない性質がある。そのため、KTPを用いた波長変換素子は、入射レーザ光をYAGレーザ光とした場合、その光の周波数の2倍の周波数(1/2の波長)の光しか発生することができない。従って、第2高調波だけでなく、更に高い第4高調波や第5高調波等の光を発生することが望まれていることからその用途が限られてしまう。またKTPは結晶の大型化が難しい上、結晶内部で屈折率が変化する。従って、1個の結晶から切出したKTP素子でも、各素子ごとの屈折率が異なってしまい、位相整合角度も異なることから、高精度の波長変換素子を実現することが難しい。更に、KTPは結晶内にいわゆる「巣」が入りやすいので、高品質のKTPを大量に提供しにくいという問題があった。
【0008】
BBOを用いた波長変換素子は、耐レーザ損傷は上記KTPを用いた波長変換素子よりも大きいが、BBOは水に溶ける潮解性を有するため、その取扱いに難があるだけでなく、大型の結晶作製が困難な問題があった。
【0009】
このような問題を解決する方策として、本出願人は、溶融させた四ほう酸リチウム多結晶を所定の引上げ方位でチョクラルスキー法で引上げて四ほう酸リチウム単結晶を製造する方法において、融液表面と融液直上10mmの間の温度勾配を30℃/cm〜200℃/cmとし、融液直上10mmより上部の温度勾配を5℃/cm〜50℃/cmとして単結晶の直胴部を、0.1mm/時間〜2mm/時間の引上げ速度で引上げ、屈折率変動が10−5/mm以下、及び転位密度が約1×103個/cm2以下の四ほう酸リチウム単結晶を製造することを特徴とする四ほう酸リチウム単結晶の製造方法を提案した(例えば、特許文献1参照。)。四ほう酸リチウム単結晶は、レーザ入射光の波長に対する透明領域が広い、耐レーザ損傷性が大きい、良質の大型結晶の作製が容易である、加工性に優れる、潮解性が小さい、取扱いも容易である等の光学変換素子として優れた多くの性質を有していることから、この単結晶四ほう酸リチウムを光学変換素子として利用することにより、長期的に安定して動作し、長寿命を示し、加工性に富み、小型、軽量、低価格な光学変換素子が提供できる。
【0010】
一方、四ほう酸リチウム単結晶の引上げでは、一般的に結晶内に双晶やクラック、気泡が発生し易いため歩留まりが悪い。クラック発生には顕著な方位依存性があり、特に<001>方位に引上げた場合、最もクラックが発生し難いため引上げ易いが、その反面、双晶が他の方位での引上げに比べて発生し易いことが知られている。この双晶やクラックは波長変換素子や紫外レーザ光用光学材用途において、悪影響を及ぼすため、双晶やクラックをなくすことが大きな課題とされている。
【0011】
このような問題を解決する方策として、るつぼ内の単結晶材料融液表面に種子結晶を接触させ、回転引上げ法により四ほう酸リチウム単結晶を引上げる方法において、融液表面直上方向20mmの雰囲気の平均温度勾配を30〜60℃/cmに設定し、<110>方向±5度以内の方向に長い種子結晶を用いて、この方向に単結晶を引上げることを特徴とする引上げ方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。この引上げ方法により、<110>方向あるいは<110>方向から若干傾けた方向で引上げることで、クラックや気泡がなく、双晶を発生しない単結晶を得ることができる。
【0012】
【特許文献1】
特開2003−34595号公報
【特許文献2】
特公平3−38238号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許公報2に示される引上げ方法では、上記引上げ条件において<110>方位で引上げて双晶の発生しない四ほう酸リチウム単結晶(以下、単に<110>単結晶という。)を得ているが、<001>方位で引上げた四ほう酸リチウム単結晶(以下、単に<001>単結晶という。)については双晶が発生する問題は未だ解決されていない。
【0014】
一方、上記波長変換素子等の光学変換素子用途に適した四ほう酸リチウム単結晶を提供する場合、単結晶内には気泡や転位、亜結晶粒(subgrain)等の結晶欠陥を有していないことが望ましく、得られた単結晶の品質を評価する必要がある。結晶内の気泡は、目視での確認や、He−Neレーザーを結晶内に照射することでその有無を観察することができる。また転位や亜結晶粒はX線トポグラフ像から観察できる。このうち、X線トポグラフを用いた評価方法は以下の問題を有する。先ず、X線トポグラフの測定装置は非常に大掛かりであり、しかも高価である。次に、測定試料に厚みムラや反り等があると、鮮明なトポグラフ像が得られない問題があり、測定試料の作製が非常に厳密であるためその作業が煩雑であった。また、X線トポグラフ像からの観察により欠陥の有無は判別できるが、欠陥自体を定量化することは難しかった。
【0015】
本発明の目的は、双晶やクラックの発生を抑制し得る、四ほう酸リチウムの製造方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、光学変換素子や、紫外レーザ光用光学材として好適な四ほう酸リチウム単結晶中に含まれる結晶欠陥等の品質評価を容易にし得る四ほう酸リチウムの製造方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、チョクラルスキー法により四ほう酸リチウム融液表面に種結晶を結晶方位面(001)面で接触させ、融液表面と融液直上10mmの間の温度勾配を30℃/cm〜200℃/cm、それより上部の温度勾配を5℃/cm〜50℃/cmとし、種結晶を0.1mm/時間〜2mm/時間の引上げ速度で引上げることを特徴とする四ほう酸リチウム単結晶の製造方法である。
請求項1に係る発明では、上記引上げ条件において、単結晶を<001>方位に引上げることで、双晶の発生を抑制した四ほう酸リチウム単結晶を得ることができる。双晶の発生原因としては、温度勾配が小さい条件で引上げている場合、育成中の融液の対流による温度変動が僅かに生じた場合、成長界面が急成長する原因となり、結果として双晶が発生すると考えられる。そのため、本発明の製造方法では、従来の製造法に比べて温度勾配を大きくすることで、融液の対流による温度変動の影響を小さくしているため、結果として双晶の発生を抑制している。
【0017】
また得られた<001>単結晶から光学変換素子を製作するための基準面を形成する際に切り落とす端材単結晶を結晶の品質評価のために利用できる。具体的には、この端材単結晶の表面、即ち(001)面を鏡面加工し、この(001)面を鏡面加工した端材単結晶を、濃度が3重量%〜50重量%で、10℃〜60℃の範囲内に温度を制御した酢酸水溶液に30秒間〜1200秒間浸漬させてエッチングすることにより、エッチングされた結晶の
【0018】
【数1】
面に形成されるエッチピット、具体的には四角形ピットの個数をカウントし結晶欠陥の結晶評価をする。この
【0019】
【数2】
面に形成されるエッチピットは、X線トポグラフ像により観察される欠陥部分に発生するため、このエッチピットの個数をカウントすることで、結晶欠陥の有無の判別だけでなく、結晶欠陥の定量化をすることができる。
このように、切り落とす端材単結晶を利用して結晶の評価ができるため無駄がなく、X線トポグラフに比べて結晶欠陥の品質評価を容易にすることができる。
【0020】
また、従来よりチョクラルスキー法により引上げられる四ほう酸リチウム単結晶は上記特許文献2にも示される通り<110>単結晶が双晶やクラックの発生がないため一般的に引上げられているが、<110>単結晶を本発明に用いる評価方法を行う場合、図4に示すように、先ず、引上げた<110>単結晶1から端材単結晶2を切り落とし、次いで、評価用単結晶3を切断する。この評価用単結晶3の表面は(110)面であるため、引上げ方向と平行に更に切断して(001)面を表出させた切断片4とした後に、この評価用単結晶の切断片4(001)面を鏡面加工し、エッチングを施してエッチピットを形成させなければならず、評価作業が繁雑となる。
【0021】
更に、評価用単結晶はウェーハ並みの薄さに切断してしまうと、(001)面にエッチピットを形成し、このエッチピットを観察するのに十分な厚さが得られないため、ある一定幅の厚さに切断しなければならず、歩留まりが悪い問題があるが、本発明の製造方法では、得られる単結晶が<001>単結晶であるため、引上げ方向に垂直に切断するだけで(001)面が表出したウェーハが得られるため結晶の品質評価が容易である。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の四ほう酸リチウム単結晶は、図1に示すようにチョクラルスキー法(CZ法)により製造される。即ち、四ほう酸リチウム単結晶の育成装置10は、四ほう酸リチウム多結晶が融解されている白金るつぼ11を有する。四ほう酸リチウムは酸化物の中では低融点であるため、白金るつぼで育成することができる。白金るつぼ11の周囲には断熱材12、13を介してるつぼ11内の四ほう酸リチウム多結晶を融解させるための抵抗加熱ヒータのような加熱装置14が設けられる。加熱装置には抵抗加熱ヒータの代わりに高周波誘導加熱装置を用いてもよい。るつぼ11内の融液11aの温度は熱電対19により検出される。るつぼ11の上部には断熱壁15、16が二重に設けられており、種結晶が取付けられる引上げ軸17が断熱壁15、16を貫通している。
【0023】
この育成装置10を用いた四ほう酸リチウム単結晶の育成方法の一実施の形態を述べる。
所定のモル比の四ほう酸リチウム多結晶を白金るつぼ11内に充填し、加熱装置14で融解した後、<001>の引上げ方位で四ほう酸リチウム単結晶18を引上げる。具体的には、融液に接触する結晶方位面が(001)面の種結晶を用い、この種結晶の(001)面を融液に接触させて後述する引上げ条件により四ほう酸リチウム単結晶を<001>方位に引上げる。このとき融液表面と融液直上10mmの間の第1温度勾配を30〜200℃/cm、好ましくは50〜150℃/cmにし、それより上部の第2温度勾配を第1温度勾配より小さい5〜50℃/cm、好ましくは10〜40℃/cmにする。四ほう酸リチウム単結晶18の直胴部を引上げる際の引上げ速度を0.1〜2mm/時間、好ましくは0.3〜1mm/時間にする。
【0024】
融液表面と融液直上10mmの間の第1温度勾配が50℃/cm未満であると、育成される四ほう酸リチウム単結晶が多結晶化し易くなる。この温度勾配が150℃/cmを越えると、熱歪みによって育成される四ほう酸リチウム単結晶中に転位が生じ易くなる。また融液直上10mmより上部の第2温度勾配を融液表面と融液直上10mmの間の第1温度勾配より小さくすることにより、育成後期の熱膨張差によるクラックを抑制することができる。更に引上げ速度が0.1mm/時間未満では生産性に劣り、2mm/時間を越えると、単結晶中に亜結晶粒(subgrain)が生じたり、或いは結晶内部に気泡が発生して単結晶が白く濁り易くなる。本発明の製造方法により得られた四ほう酸リチウム単結晶は、上記引上げ条件において<001>方位で引上げられるため、<110>方位で引上げられた単結晶に比べて結晶内の品質評価が容易である。
【0025】
本発明の製造方法により、直径1インチ〜4インチ程度の四ほう酸リチウム単結晶18を育成し、その後この単結晶を波長変換素子や、紫外レーザ光用の窓材、レンズ材、アッテネータ材、ビームスプリッタ材、レーザキャビティオプティクス材及びビームシェイピングオプティクス材等の光学材に応じた形状に加工する。
【0026】
図3に示すように、四ほう酸リチウム単結晶からなる窓材31が紫外レーザ光の光路30に設けられ、四ほう酸リチウム単結晶からなるレンズ材32が紫外レーザ光の光路30に設けられる。また図示しないが、四ほう酸リチウム単結晶からなるアッテネータ材が紫外レーザ光の光路に設けられ、四ほう酸リチウム単結晶からなるビームスプリッタ材が紫外レーザ光の光路に設けられる。また四ほう酸リチウム単結晶からなるレーザキャビティオプティクス材が紫外レーザ光の光路に設けられ、更に四ほう酸リチウム単結晶からなるビームシェイピングオプティクス材が紫外レーザ光の光路に設けられる。
四ほう酸リチウム単結晶は、レーザ入射光の波長に対する透明領域が広く、光損傷しきい値が高く、良質の大型結晶の作成が容易で、加工性に優れるため、紫外レーザ光用の窓材、レンズ材、アッテネータ材、ビームスプリッタ材、レーザキャビティオプティクス材及びビームシェイピングオプティクス材等の光学材として最適である。
ここでレンズはレーザビームの集光又は拡大に使用される。アッテネータは光強度が強すぎる場合に所望の強度まで減衰させるために、またビームスプリッタはレーザビームを分割するためにそれぞれ使用される。レーザキャビティオプティクスは光共振器を構成するレンズ、ミラーを含む光学部品である。更にビームシェイピングオプティクスはレーザビーム幅を調整するための光学部品である。
【0027】
次に本発明の評価方法を説明する。
先ず、得られた<001>単結晶を引上げ方向の垂直に切断することにより、結晶方位が(001)面のウェーハを切出す。次いで、(001)面に鏡面加工を施し、(001)面を3重量%〜50重量%の酢酸水溶液によりエッチングする。
【0028】
酢酸は、酢酸の濃度が99重量%近くになると、16.6℃で氷結する。また沸点118.5℃、引火点39℃という性質がある。このような酢酸の性質から酢酸水溶液の濃度を3重量%〜50重量%に、酢酸水溶液によるエッチングの時間を30秒間〜1200秒間に、酢酸水溶液によるエッチング温度を10℃〜60℃にそれぞれ規定する。酢酸水溶液の濃度を3重量%〜50重量%に規定したのは、3重量%未満であるとエッチングレートが低下するためエッチングに時間がかかり、50重量%を越えるとエッチングレートが増加するためエッチングの時間制御が難しくなるためである。5重量%〜10重量%の濃度が好ましい。また、酢酸水溶液によるエッチングの時間を30秒間〜1200秒間に規定したのは、30秒間未満であると四角形ピットが十分に形成されないため観察が不十分となり、1200秒間を越えてもその効果は変わらないためである。エッチングの時間は300秒間〜900秒間が好ましい。酢酸水溶液によるエッチング温度を10℃〜60℃に規定したのは、10℃未満ではエッチングレートが低下しすぎるためエッチングに時間がかかり、60℃を越えるとエッチングレートが増加し、エッチングの時間制御が難しくなるためである。常温でのエッチングがより好ましい。
次に、エッチングされた結晶の
【0029】
【数3】
面に形成されるエッチピットの個数をカウントし結晶欠陥の結晶評価をする。この
【0030】
【数4】
面に形成されるエッチピットは、四角形ピットであり、この四角形ピットは、X線トポグラフ像により観察される欠陥部分に発生するため、このエッチピットの個数をカウントすることで、結晶欠陥の有無の判別だけでなく、結晶欠陥の定量化をすることができる。
【0031】
【実施例】
次の本発明の実施例を比較例とともに説明する。
<実施例1>
先ず、図1に示した育成装置10を用いて<001>単結晶18を育成した。所定のモル比の純度99.99%の四ほう酸リチウム多結晶原料粉末を白金るつぼ11に充填した後、このるつぼ11を抵抗加熱ヒータ14で加熱して原料粉末を融解した。種結晶は<001>の結晶方位のものを用い、この(001)面を融液に接触させて次の引上げ条件により引上げた。融液表面と融液直上10mmの間の温度勾配(降温勾配)を100℃/cmにし、それより上部の降温勾配を30℃/cmにした。更に単結晶の直胴部育成時には0.5mm/時間の速度で単結晶を引上げ直径2インチの<001>単結晶18を育成した。次いで図2に示すように、得られた<001>単結晶18の端部を引上げ方向と垂直に切断して端材単結晶21を得た。この端材単結晶21はウェーハを製作するための基準面を形成するために切断されるものであり、切断面は(001)面であり、この(001)面を鏡面加工して評価用単結晶22とした。
【0032】
次いで、濃度が5重量%の酢酸水溶液を調製し、この酢酸水溶液を水槽に常温で貯留した。鏡面加工した評価用単結晶22を水槽中の酢酸水溶液に浸漬させて30秒間保持し、評価用単結晶22の(001)面をエッチングした。得られたエッチング面を光学顕微鏡により観察したところ、(001)面には1種類のピットが、
【0033】
【数5】
面には四角形ピットが発生していることを確認した。
【0034】
<比較例1>
先ず、種結晶に<110>の結晶方位のものを用い、実施例1と同様の引上げ条件で<110>単結晶を育成した。図4に示すように、得られた<110>単結晶1の端部から所定の間隔を開けて引上げ方向と垂直に切断して端材単結晶2を得た。次いで端材単結晶2を切り離した単結晶本体1の端部から所定の間隔を開けて引上げ方向と垂直に切断して評価用単結晶3を得た。評価用単結晶3の切断面は(110)面であるため、引上げ方向に平行に更に切断して(001)面を表出させた切断片4とし、この切断片4の(001)面を鏡面加工した。
【0035】
次いで、濃度が5重量%の酢酸水溶液を調製し、この酢酸水溶液を水槽に常温で貯留した。鏡面加工した評価用単結晶の切断片4を水槽中の酢酸水溶液に浸漬させて、30秒間保持し、切断片4の(001)面をエッチングした。得られたエッチング面を光学顕微鏡により観察したところ、(001)面には1種類のピットが、
【0036】
【数6】
面には四角形ピットが発生していることを確認した。
【0037】
<比較例2>
実施例1で得られた端材単結晶21を用い、X線トポグラフ用測定試料を作製した。得られた測定試料をX線トポグラフにより測定した。
【0038】
<比較及び評価1>
実施例1の
【0039】
【数7】
面で観察された四角形ピットと、比較例2で観察されたX線トポグラフ像からわかる欠陥部分とを比較したところ、この四角形ピットはX線トポグラフ像で見える欠陥に合致していることがわかった。比較例1では<110>単結晶を育成し、この<110>単結晶から評価用単結晶の切断片を得ているため、実施例1に比べてその作業が繁雑であった。また実施例1では端材単結晶を評価用単結晶として無駄なく利用できるのに対して、比較例1では評価用単結晶を得るために、端材単結晶を切り離した後に、所定の間隔を開けて更に評価用単結晶を切出さなければならず、効率が悪いことがわかる。
【0040】
<比較例3>
引上げ条件を種結晶を融液に接触させた後、0.7mm/時間の引上げ速度で引上げ、融液表面直上20mm迄の平均温度勾配を45℃/cmに設定した以外は実施例1と同様にして<001>単結晶を育成した。
【0041】
<比較及び評価2>
実施例1及び比較例3の育成条件において、<001>単結晶をそれぞれ各20本ずつ引上げて双晶の発生を調べた。次の表1にその結果を示す。
【0042】
【表1】
表1より明らかなように、比較例3の引上げ条件では20本中8本に双晶が発生したが、実施例1の引上げ条件では全く双晶は発生しなかった。
【0043】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の方法によれば、波長変換素子等の光学変換素子用途に適した四ほう酸リチウム単結晶中に含まれる結晶欠陥等の品質評価を容易にすることができる。また、上記製造方法により双晶やクラックの発生を抑制した四ほう酸リチウム単結晶が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の<001>四ほう酸リチウム単結晶の育成装置の構成図。
【図2】本発明の製造方法により得られる<001>四ほう酸リチウム単結晶から評価用単結晶を得るまでを示す工程図。
【図3】本発明の紫外レーザ光用窓材及びレンズ材を含むエキシマレーザ装置の構成図。
【図4】従来の製造方法により得られる<110>四ほう酸リチウム単結晶から評価用切断片を得るまでを示す工程図。
【符号の説明】
10 四ほう酸リチウム単結晶の育成装置
11 白金るつぼ
12,13 断熱材
14 加熱装置
15,16 断熱壁
17 引上げ軸
18 四ほう酸リチウム単結晶
19 熱電対
【発明の属する技術分野】
本発明は、第2高調波や第4高調波、第5高調波等を発生する波長変換素子等の光学変換素子や、紫外領域のレーザ光(以下、紫外レーザ光という。)の光路に設けられる窓材、レンズ材、アッテネータ(attenuator)材、ビームスプリッタ(beam splitters)材、レーザキャビティオプティクス(laser cavity optics)材等の紫外レーザ光用光学材として好適な四ほう酸リチウム単結晶(Li2B407)の製造方法に関する。更に詳しくは<001>方位に引上げる四ほう酸リチウム単結晶の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
短波長レーザ光を用いることで記録媒体の記録密度を大きくできることが知られている。そのため、記録媒体へのデータ書込み、記録媒体からのデータ読出しの光源として、より短波長のレーザ光源が求められている。また短波長レーザ光により微細加工が可能になることから材料加工用光源、医療用光源、超LSIリソグラフィ用光源等でも短波長レーザ光源が望まれている。
【0003】
しかしながら、500nm以下の短波長レーザ光源として適切なものが存在しないのが実状である。例えば、半導体レーザは波長400nm程度までのレーザ光を出射できるものが知られているが、その出力は非常に低いという問題がある。また短波長で大出力のレーザとしてはエキシマレーザが知られている。エキシマレーザは、1970年にソビエト連邦のBasovらによって、液体キセノン(Xe)を電子ビームで励起する方法で初めて実現され、更に1976年に放電励起によって発振することにも成功した。放電励起方式のエキシマレーザは、紫外線のパルス繰返し発振レーザであって、ArF(193nm)、KrF(248nm)、XeCl(308nm)等の化合物が発する紫外光を光共振器により増大させ、レーザ光として取出したものである。エキシマレーザは、高分子材料のアブレーション加工、表面改質、マーキング、薄膜作製、医薬品の製造、同位体分離等に応用が期待されている。短波長レーザにエキシマレーザを用いる場合には、このエキシマレーザで発生する紫外レーザ光を取り出し、使用に供するために、紫外レーザ光を透過可能な窓材、レンズ材等が設けられている。
従来、この種の紫外レーザ光用窓材、レンズ材等は、CaF2、MgF2、合成シリカ等により構成される。
【0004】
しかし、CaF2やMgF2は透過率が良好である反面、熱伝導率が悪く、もろく割れ易い欠点があった。またCaF2やMgF2はカラーセンタが発生し易く、紫外レーザ光用光学材に使用するときには、カラーセンタが発生していない箇所を選別する必要があった。また合成シリカはカラーセンタは発生しにくいものの、曇り易い欠点があった。
【0005】
また、このエキシマレーザは、例えば繰返し数百pps(pulse per second)のパルスレーザの場合、10−2秒毎に10−9秒間のパルス光しか発生せず、インターバルに比べてレーザの発光時間が著しく短いことから、応用分野における加工や成膜過程で問題がある。またエキシマレーザは、媒質ガスの寿命が短い、レーザ装置の小型化が困難である、保守性が悪い、運転コストが高い、有毒ガスを用いているため安全性に難がある等の多くの問題を有している。
【0006】
そのため、第2高調波発生素子(SHG;secondary harmonic−wave generation)等の非線形光学素子を利用する研究が近年活発化している。SHG素子は入射光の波長の1/2の波長の光を発生するため、例えば赤外線領域のレーザ光から紫外線領域の光を発生することができ、各種応用分野への工業的価値は極めて大きい。特に高密度情報記録、再生を行う光情報処理分野、ディスプレイ、光計測、加工、医療、LSI製造等の分野では、小型、軽量、長寿命かつ高安定な可視光又は紫外光が必要とされている。
【0007】
SHG素子のような波長変換素子として用いられている結晶としては、例えば、KTP(KTiOPO4)やBBO(β−BaB2O4)等が知られている。
KTPを用いた波長変換素子は、レーザ入射光の波長に対してKTPの透明領域が0.25μm〜4.5μmと広範囲であるが、1μm以下では位相整合しない性質がある。そのため、KTPを用いた波長変換素子は、入射レーザ光をYAGレーザ光とした場合、その光の周波数の2倍の周波数(1/2の波長)の光しか発生することができない。従って、第2高調波だけでなく、更に高い第4高調波や第5高調波等の光を発生することが望まれていることからその用途が限られてしまう。またKTPは結晶の大型化が難しい上、結晶内部で屈折率が変化する。従って、1個の結晶から切出したKTP素子でも、各素子ごとの屈折率が異なってしまい、位相整合角度も異なることから、高精度の波長変換素子を実現することが難しい。更に、KTPは結晶内にいわゆる「巣」が入りやすいので、高品質のKTPを大量に提供しにくいという問題があった。
【0008】
BBOを用いた波長変換素子は、耐レーザ損傷は上記KTPを用いた波長変換素子よりも大きいが、BBOは水に溶ける潮解性を有するため、その取扱いに難があるだけでなく、大型の結晶作製が困難な問題があった。
【0009】
このような問題を解決する方策として、本出願人は、溶融させた四ほう酸リチウム多結晶を所定の引上げ方位でチョクラルスキー法で引上げて四ほう酸リチウム単結晶を製造する方法において、融液表面と融液直上10mmの間の温度勾配を30℃/cm〜200℃/cmとし、融液直上10mmより上部の温度勾配を5℃/cm〜50℃/cmとして単結晶の直胴部を、0.1mm/時間〜2mm/時間の引上げ速度で引上げ、屈折率変動が10−5/mm以下、及び転位密度が約1×103個/cm2以下の四ほう酸リチウム単結晶を製造することを特徴とする四ほう酸リチウム単結晶の製造方法を提案した(例えば、特許文献1参照。)。四ほう酸リチウム単結晶は、レーザ入射光の波長に対する透明領域が広い、耐レーザ損傷性が大きい、良質の大型結晶の作製が容易である、加工性に優れる、潮解性が小さい、取扱いも容易である等の光学変換素子として優れた多くの性質を有していることから、この単結晶四ほう酸リチウムを光学変換素子として利用することにより、長期的に安定して動作し、長寿命を示し、加工性に富み、小型、軽量、低価格な光学変換素子が提供できる。
【0010】
一方、四ほう酸リチウム単結晶の引上げでは、一般的に結晶内に双晶やクラック、気泡が発生し易いため歩留まりが悪い。クラック発生には顕著な方位依存性があり、特に<001>方位に引上げた場合、最もクラックが発生し難いため引上げ易いが、その反面、双晶が他の方位での引上げに比べて発生し易いことが知られている。この双晶やクラックは波長変換素子や紫外レーザ光用光学材用途において、悪影響を及ぼすため、双晶やクラックをなくすことが大きな課題とされている。
【0011】
このような問題を解決する方策として、るつぼ内の単結晶材料融液表面に種子結晶を接触させ、回転引上げ法により四ほう酸リチウム単結晶を引上げる方法において、融液表面直上方向20mmの雰囲気の平均温度勾配を30〜60℃/cmに設定し、<110>方向±5度以内の方向に長い種子結晶を用いて、この方向に単結晶を引上げることを特徴とする引上げ方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。この引上げ方法により、<110>方向あるいは<110>方向から若干傾けた方向で引上げることで、クラックや気泡がなく、双晶を発生しない単結晶を得ることができる。
【0012】
【特許文献1】
特開2003−34595号公報
【特許文献2】
特公平3−38238号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許公報2に示される引上げ方法では、上記引上げ条件において<110>方位で引上げて双晶の発生しない四ほう酸リチウム単結晶(以下、単に<110>単結晶という。)を得ているが、<001>方位で引上げた四ほう酸リチウム単結晶(以下、単に<001>単結晶という。)については双晶が発生する問題は未だ解決されていない。
【0014】
一方、上記波長変換素子等の光学変換素子用途に適した四ほう酸リチウム単結晶を提供する場合、単結晶内には気泡や転位、亜結晶粒(subgrain)等の結晶欠陥を有していないことが望ましく、得られた単結晶の品質を評価する必要がある。結晶内の気泡は、目視での確認や、He−Neレーザーを結晶内に照射することでその有無を観察することができる。また転位や亜結晶粒はX線トポグラフ像から観察できる。このうち、X線トポグラフを用いた評価方法は以下の問題を有する。先ず、X線トポグラフの測定装置は非常に大掛かりであり、しかも高価である。次に、測定試料に厚みムラや反り等があると、鮮明なトポグラフ像が得られない問題があり、測定試料の作製が非常に厳密であるためその作業が煩雑であった。また、X線トポグラフ像からの観察により欠陥の有無は判別できるが、欠陥自体を定量化することは難しかった。
【0015】
本発明の目的は、双晶やクラックの発生を抑制し得る、四ほう酸リチウムの製造方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、光学変換素子や、紫外レーザ光用光学材として好適な四ほう酸リチウム単結晶中に含まれる結晶欠陥等の品質評価を容易にし得る四ほう酸リチウムの製造方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、チョクラルスキー法により四ほう酸リチウム融液表面に種結晶を結晶方位面(001)面で接触させ、融液表面と融液直上10mmの間の温度勾配を30℃/cm〜200℃/cm、それより上部の温度勾配を5℃/cm〜50℃/cmとし、種結晶を0.1mm/時間〜2mm/時間の引上げ速度で引上げることを特徴とする四ほう酸リチウム単結晶の製造方法である。
請求項1に係る発明では、上記引上げ条件において、単結晶を<001>方位に引上げることで、双晶の発生を抑制した四ほう酸リチウム単結晶を得ることができる。双晶の発生原因としては、温度勾配が小さい条件で引上げている場合、育成中の融液の対流による温度変動が僅かに生じた場合、成長界面が急成長する原因となり、結果として双晶が発生すると考えられる。そのため、本発明の製造方法では、従来の製造法に比べて温度勾配を大きくすることで、融液の対流による温度変動の影響を小さくしているため、結果として双晶の発生を抑制している。
【0017】
また得られた<001>単結晶から光学変換素子を製作するための基準面を形成する際に切り落とす端材単結晶を結晶の品質評価のために利用できる。具体的には、この端材単結晶の表面、即ち(001)面を鏡面加工し、この(001)面を鏡面加工した端材単結晶を、濃度が3重量%〜50重量%で、10℃〜60℃の範囲内に温度を制御した酢酸水溶液に30秒間〜1200秒間浸漬させてエッチングすることにより、エッチングされた結晶の
【0018】
【数1】
面に形成されるエッチピット、具体的には四角形ピットの個数をカウントし結晶欠陥の結晶評価をする。この
【0019】
【数2】
面に形成されるエッチピットは、X線トポグラフ像により観察される欠陥部分に発生するため、このエッチピットの個数をカウントすることで、結晶欠陥の有無の判別だけでなく、結晶欠陥の定量化をすることができる。
このように、切り落とす端材単結晶を利用して結晶の評価ができるため無駄がなく、X線トポグラフに比べて結晶欠陥の品質評価を容易にすることができる。
【0020】
また、従来よりチョクラルスキー法により引上げられる四ほう酸リチウム単結晶は上記特許文献2にも示される通り<110>単結晶が双晶やクラックの発生がないため一般的に引上げられているが、<110>単結晶を本発明に用いる評価方法を行う場合、図4に示すように、先ず、引上げた<110>単結晶1から端材単結晶2を切り落とし、次いで、評価用単結晶3を切断する。この評価用単結晶3の表面は(110)面であるため、引上げ方向と平行に更に切断して(001)面を表出させた切断片4とした後に、この評価用単結晶の切断片4(001)面を鏡面加工し、エッチングを施してエッチピットを形成させなければならず、評価作業が繁雑となる。
【0021】
更に、評価用単結晶はウェーハ並みの薄さに切断してしまうと、(001)面にエッチピットを形成し、このエッチピットを観察するのに十分な厚さが得られないため、ある一定幅の厚さに切断しなければならず、歩留まりが悪い問題があるが、本発明の製造方法では、得られる単結晶が<001>単結晶であるため、引上げ方向に垂直に切断するだけで(001)面が表出したウェーハが得られるため結晶の品質評価が容易である。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の四ほう酸リチウム単結晶は、図1に示すようにチョクラルスキー法(CZ法)により製造される。即ち、四ほう酸リチウム単結晶の育成装置10は、四ほう酸リチウム多結晶が融解されている白金るつぼ11を有する。四ほう酸リチウムは酸化物の中では低融点であるため、白金るつぼで育成することができる。白金るつぼ11の周囲には断熱材12、13を介してるつぼ11内の四ほう酸リチウム多結晶を融解させるための抵抗加熱ヒータのような加熱装置14が設けられる。加熱装置には抵抗加熱ヒータの代わりに高周波誘導加熱装置を用いてもよい。るつぼ11内の融液11aの温度は熱電対19により検出される。るつぼ11の上部には断熱壁15、16が二重に設けられており、種結晶が取付けられる引上げ軸17が断熱壁15、16を貫通している。
【0023】
この育成装置10を用いた四ほう酸リチウム単結晶の育成方法の一実施の形態を述べる。
所定のモル比の四ほう酸リチウム多結晶を白金るつぼ11内に充填し、加熱装置14で融解した後、<001>の引上げ方位で四ほう酸リチウム単結晶18を引上げる。具体的には、融液に接触する結晶方位面が(001)面の種結晶を用い、この種結晶の(001)面を融液に接触させて後述する引上げ条件により四ほう酸リチウム単結晶を<001>方位に引上げる。このとき融液表面と融液直上10mmの間の第1温度勾配を30〜200℃/cm、好ましくは50〜150℃/cmにし、それより上部の第2温度勾配を第1温度勾配より小さい5〜50℃/cm、好ましくは10〜40℃/cmにする。四ほう酸リチウム単結晶18の直胴部を引上げる際の引上げ速度を0.1〜2mm/時間、好ましくは0.3〜1mm/時間にする。
【0024】
融液表面と融液直上10mmの間の第1温度勾配が50℃/cm未満であると、育成される四ほう酸リチウム単結晶が多結晶化し易くなる。この温度勾配が150℃/cmを越えると、熱歪みによって育成される四ほう酸リチウム単結晶中に転位が生じ易くなる。また融液直上10mmより上部の第2温度勾配を融液表面と融液直上10mmの間の第1温度勾配より小さくすることにより、育成後期の熱膨張差によるクラックを抑制することができる。更に引上げ速度が0.1mm/時間未満では生産性に劣り、2mm/時間を越えると、単結晶中に亜結晶粒(subgrain)が生じたり、或いは結晶内部に気泡が発生して単結晶が白く濁り易くなる。本発明の製造方法により得られた四ほう酸リチウム単結晶は、上記引上げ条件において<001>方位で引上げられるため、<110>方位で引上げられた単結晶に比べて結晶内の品質評価が容易である。
【0025】
本発明の製造方法により、直径1インチ〜4インチ程度の四ほう酸リチウム単結晶18を育成し、その後この単結晶を波長変換素子や、紫外レーザ光用の窓材、レンズ材、アッテネータ材、ビームスプリッタ材、レーザキャビティオプティクス材及びビームシェイピングオプティクス材等の光学材に応じた形状に加工する。
【0026】
図3に示すように、四ほう酸リチウム単結晶からなる窓材31が紫外レーザ光の光路30に設けられ、四ほう酸リチウム単結晶からなるレンズ材32が紫外レーザ光の光路30に設けられる。また図示しないが、四ほう酸リチウム単結晶からなるアッテネータ材が紫外レーザ光の光路に設けられ、四ほう酸リチウム単結晶からなるビームスプリッタ材が紫外レーザ光の光路に設けられる。また四ほう酸リチウム単結晶からなるレーザキャビティオプティクス材が紫外レーザ光の光路に設けられ、更に四ほう酸リチウム単結晶からなるビームシェイピングオプティクス材が紫外レーザ光の光路に設けられる。
四ほう酸リチウム単結晶は、レーザ入射光の波長に対する透明領域が広く、光損傷しきい値が高く、良質の大型結晶の作成が容易で、加工性に優れるため、紫外レーザ光用の窓材、レンズ材、アッテネータ材、ビームスプリッタ材、レーザキャビティオプティクス材及びビームシェイピングオプティクス材等の光学材として最適である。
ここでレンズはレーザビームの集光又は拡大に使用される。アッテネータは光強度が強すぎる場合に所望の強度まで減衰させるために、またビームスプリッタはレーザビームを分割するためにそれぞれ使用される。レーザキャビティオプティクスは光共振器を構成するレンズ、ミラーを含む光学部品である。更にビームシェイピングオプティクスはレーザビーム幅を調整するための光学部品である。
【0027】
次に本発明の評価方法を説明する。
先ず、得られた<001>単結晶を引上げ方向の垂直に切断することにより、結晶方位が(001)面のウェーハを切出す。次いで、(001)面に鏡面加工を施し、(001)面を3重量%〜50重量%の酢酸水溶液によりエッチングする。
【0028】
酢酸は、酢酸の濃度が99重量%近くになると、16.6℃で氷結する。また沸点118.5℃、引火点39℃という性質がある。このような酢酸の性質から酢酸水溶液の濃度を3重量%〜50重量%に、酢酸水溶液によるエッチングの時間を30秒間〜1200秒間に、酢酸水溶液によるエッチング温度を10℃〜60℃にそれぞれ規定する。酢酸水溶液の濃度を3重量%〜50重量%に規定したのは、3重量%未満であるとエッチングレートが低下するためエッチングに時間がかかり、50重量%を越えるとエッチングレートが増加するためエッチングの時間制御が難しくなるためである。5重量%〜10重量%の濃度が好ましい。また、酢酸水溶液によるエッチングの時間を30秒間〜1200秒間に規定したのは、30秒間未満であると四角形ピットが十分に形成されないため観察が不十分となり、1200秒間を越えてもその効果は変わらないためである。エッチングの時間は300秒間〜900秒間が好ましい。酢酸水溶液によるエッチング温度を10℃〜60℃に規定したのは、10℃未満ではエッチングレートが低下しすぎるためエッチングに時間がかかり、60℃を越えるとエッチングレートが増加し、エッチングの時間制御が難しくなるためである。常温でのエッチングがより好ましい。
次に、エッチングされた結晶の
【0029】
【数3】
面に形成されるエッチピットの個数をカウントし結晶欠陥の結晶評価をする。この
【0030】
【数4】
面に形成されるエッチピットは、四角形ピットであり、この四角形ピットは、X線トポグラフ像により観察される欠陥部分に発生するため、このエッチピットの個数をカウントすることで、結晶欠陥の有無の判別だけでなく、結晶欠陥の定量化をすることができる。
【0031】
【実施例】
次の本発明の実施例を比較例とともに説明する。
<実施例1>
先ず、図1に示した育成装置10を用いて<001>単結晶18を育成した。所定のモル比の純度99.99%の四ほう酸リチウム多結晶原料粉末を白金るつぼ11に充填した後、このるつぼ11を抵抗加熱ヒータ14で加熱して原料粉末を融解した。種結晶は<001>の結晶方位のものを用い、この(001)面を融液に接触させて次の引上げ条件により引上げた。融液表面と融液直上10mmの間の温度勾配(降温勾配)を100℃/cmにし、それより上部の降温勾配を30℃/cmにした。更に単結晶の直胴部育成時には0.5mm/時間の速度で単結晶を引上げ直径2インチの<001>単結晶18を育成した。次いで図2に示すように、得られた<001>単結晶18の端部を引上げ方向と垂直に切断して端材単結晶21を得た。この端材単結晶21はウェーハを製作するための基準面を形成するために切断されるものであり、切断面は(001)面であり、この(001)面を鏡面加工して評価用単結晶22とした。
【0032】
次いで、濃度が5重量%の酢酸水溶液を調製し、この酢酸水溶液を水槽に常温で貯留した。鏡面加工した評価用単結晶22を水槽中の酢酸水溶液に浸漬させて30秒間保持し、評価用単結晶22の(001)面をエッチングした。得られたエッチング面を光学顕微鏡により観察したところ、(001)面には1種類のピットが、
【0033】
【数5】
面には四角形ピットが発生していることを確認した。
【0034】
<比較例1>
先ず、種結晶に<110>の結晶方位のものを用い、実施例1と同様の引上げ条件で<110>単結晶を育成した。図4に示すように、得られた<110>単結晶1の端部から所定の間隔を開けて引上げ方向と垂直に切断して端材単結晶2を得た。次いで端材単結晶2を切り離した単結晶本体1の端部から所定の間隔を開けて引上げ方向と垂直に切断して評価用単結晶3を得た。評価用単結晶3の切断面は(110)面であるため、引上げ方向に平行に更に切断して(001)面を表出させた切断片4とし、この切断片4の(001)面を鏡面加工した。
【0035】
次いで、濃度が5重量%の酢酸水溶液を調製し、この酢酸水溶液を水槽に常温で貯留した。鏡面加工した評価用単結晶の切断片4を水槽中の酢酸水溶液に浸漬させて、30秒間保持し、切断片4の(001)面をエッチングした。得られたエッチング面を光学顕微鏡により観察したところ、(001)面には1種類のピットが、
【0036】
【数6】
面には四角形ピットが発生していることを確認した。
【0037】
<比較例2>
実施例1で得られた端材単結晶21を用い、X線トポグラフ用測定試料を作製した。得られた測定試料をX線トポグラフにより測定した。
【0038】
<比較及び評価1>
実施例1の
【0039】
【数7】
面で観察された四角形ピットと、比較例2で観察されたX線トポグラフ像からわかる欠陥部分とを比較したところ、この四角形ピットはX線トポグラフ像で見える欠陥に合致していることがわかった。比較例1では<110>単結晶を育成し、この<110>単結晶から評価用単結晶の切断片を得ているため、実施例1に比べてその作業が繁雑であった。また実施例1では端材単結晶を評価用単結晶として無駄なく利用できるのに対して、比較例1では評価用単結晶を得るために、端材単結晶を切り離した後に、所定の間隔を開けて更に評価用単結晶を切出さなければならず、効率が悪いことがわかる。
【0040】
<比較例3>
引上げ条件を種結晶を融液に接触させた後、0.7mm/時間の引上げ速度で引上げ、融液表面直上20mm迄の平均温度勾配を45℃/cmに設定した以外は実施例1と同様にして<001>単結晶を育成した。
【0041】
<比較及び評価2>
実施例1及び比較例3の育成条件において、<001>単結晶をそれぞれ各20本ずつ引上げて双晶の発生を調べた。次の表1にその結果を示す。
【0042】
【表1】
表1より明らかなように、比較例3の引上げ条件では20本中8本に双晶が発生したが、実施例1の引上げ条件では全く双晶は発生しなかった。
【0043】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の方法によれば、波長変換素子等の光学変換素子用途に適した四ほう酸リチウム単結晶中に含まれる結晶欠陥等の品質評価を容易にすることができる。また、上記製造方法により双晶やクラックの発生を抑制した四ほう酸リチウム単結晶が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の<001>四ほう酸リチウム単結晶の育成装置の構成図。
【図2】本発明の製造方法により得られる<001>四ほう酸リチウム単結晶から評価用単結晶を得るまでを示す工程図。
【図3】本発明の紫外レーザ光用窓材及びレンズ材を含むエキシマレーザ装置の構成図。
【図4】従来の製造方法により得られる<110>四ほう酸リチウム単結晶から評価用切断片を得るまでを示す工程図。
【符号の説明】
10 四ほう酸リチウム単結晶の育成装置
11 白金るつぼ
12,13 断熱材
14 加熱装置
15,16 断熱壁
17 引上げ軸
18 四ほう酸リチウム単結晶
19 熱電対
Claims (1)
- チョクラルスキー法により四ほう酸リチウム融液表面に種結晶を結晶方位面(001)面で接触させ、前記融液表面と前記融液直上10mmの間の温度勾配を30℃/cm〜200℃/cm、それより上部の温度勾配を5℃/cm〜50℃/cmとし、前記種結晶を0.1mm/時間〜2mm/時間の引上げ速度で引上げることを特徴とする四ほう酸リチウム単結晶の製造方法。
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