JP2004275945A - スパイラル型流体分離素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】使用時にエンドトキシンの溶出が少ない流体分離素子およびその製造方法を提供する。
【解決手段】スパイラル流体素子を製造するにあたり、集水管の周囲に、供給液流路材、分離膜および透過液流路材を巻囲したスパイラル型流体分離素子の集水管の一方を封止するとともに他方から液体の保存液を透過液側に注入する。
【選択図】図1
【解決手段】スパイラル流体素子を製造するにあたり、集水管の周囲に、供給液流路材、分離膜および透過液流路材を巻囲したスパイラル型流体分離素子の集水管の一方を封止するとともに他方から液体の保存液を透過液側に注入する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、逆浸透装置やナノ濾過装置、さらには限外濾過装置、精密濾過装置等に好適に用いられる流体分離素子およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、医療および食品分野においては膜分離が多用され、たとえば分離膜が透過液流路材と供給液流路材と共に集水管の周りにスパイラル状に巻き付けられた流体分離素子が用いられる。スパイラル型流体分離素子は、図1に示すように、第1の分離膜3および第2の分離膜4の3辺を互いに接着して形成した封筒状膜に間に透過液流路材5を挟み込み、これと供給液流路材6とを1つのユニットとして、単数もしくは複数ユニット用意し、集水管1の周囲にスパイラル状に巻き付けてなる。封筒状膜は集水管1側で開口している。供給液2は、流体分離素子の一方の端面から供給され、第1の分離膜3および第2の分離膜4で処理される。分離膜3、4を透過した透過液8は集水管1から取り出され、分離膜3、4を透過しなかった供給液2は、流体分離素子の他方の端面から濃縮液7として排出される。
【0003】
ところで、医療分野や食品分野では、流体分離素子によって精製される透過液に、生体に発熱作用を及ぼす物質であるパイロジェンの一種であるエンドトキシンが含まれないこと、すなわち、検出限界以下になることが要求されている。
【0004】
しかしながら、流体分離素子は、その構成部材が製造時に空気中にさらされているため、最終製品には少なからず菌が付着している。この菌は、搬送や保管とといった長期にわたる未使用状態において繁殖し、分離膜3、4の機能層を破壊あるいは劣化させ汚染源を発生させたり、またその菌自身が汚染源となってしまう虞がある。
【0005】
このため、上述の流体分離素子に対しては、保存時に菌が繁殖することを防ぐために、集水管の周囲に、供給液流路材、分離膜および透過液流路材を重ね合わせて巻囲し、性能を評価した後に、菌の発生や繁殖を抑制するための液体(保存液)が注入される。保存液の注入方法としては、特許文献1に記載されるように、モジュール内いっぱいに保存液を充填したり、保存液をタレきりにして膜を湿潤状態に保つ方法がある。
【0006】
しかしながら、このような方法では、流体分離素子、特に、スパイラル型流体分離素子に付着している菌を殺菌して、菌の繁殖を防ぐことはできても、菌の死骸によって形成されるエンドトキシンに関しては充分な効果を発揮しない。すなわち、モジュール内に保存液を充填したとしても、実施例に記載されるように原液側から保存液を供給しているので、原液側の菌、汚れ等を透過液側に回り込みやすくしていることになり、汚染を拡大しかねない。また、タレきりにしているだけでは、保存液が十分に行き渡らず、殺菌が不十分となる。保存液が到達しなかった部分においては、菌や菌の死骸等の汚染源が固着してしまう。そして、一旦固着してしまった汚染源は、通常使用開始前に行われる純水洗浄によっては洗い流すことが難しく、実際に使用するときに得られる透過液中に固着した汚染源よりエンドトキシンが溶出、混入するという問題が生じかねない。
【0007】
また、菌の発生や繁殖を抑制するためには、特許文献2に記載されるような熱殺菌による方法もあるが、これも、生菌をなくすことはできるものの、エンドトキシンの前駆体となる菌の死骸を洗い流すことはできず、効果を発揮しない。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−296838号公報
【0009】
【特許文献2】
特開昭63−248407号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、エンドトキシンの溶出を低減することのできる流体分離素子およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、集水管の周囲に供給液流路材、分離膜および透過液流路材を巻囲したスパイラル型流体分離素子の集水管の一方を封止するとともに、他方から保存液を透過液側に注入するスパイラル流体素子の製造方法を特徴とするものである。
【0012】
このとき、保存液として、重亜硫酸ソーダを0.5〜2.0重量%含む水溶液を用いることが好ましい。
【0013】
そして、上述の方法によって製造されたスパイラル型流体分離素子を収容した流体分離膜モジュールも好ましい態様である。
【0014】
【発明の実施の形態】
説明の便宜上、従来技術の欄で説明した図1を用いて本発明を説明する。
【0015】
本発明の流体分離素子は、図1に示すように、3辺を互いに接着して封筒状に形成した第1の分離膜3および第2の分離膜4の間に透過液流路材5を挟み込み、これと供給液流路材6とを1つのユニットとして、単数もしくは複数ユニットを、集水管1の周囲にスパイラル状に巻き付けてなる。封筒状膜は集水管1側で開口している。供給液2は、流体分離素子の一方の端面から供給され、第1の分離膜3および第2の分離膜4で処理される。分離膜3、4を透過した透過液8は集水管1から取り出され、分離膜3、4を透過しなかった供給液2は、流体分離素子の他方の端面から濃縮液7として排出される。
【0016】
このように組み立てられたスパイラル状の流体分離素子は、評価工程を経て、保存液注入工程に搬送される。
【0017】
評価工程においては、各液体分離素子の目的に適合した溶質、通常は塩類又はアルコール類(主にNaCl、MgSO4、Na2SO4、IPA、ホウ素)を適量調整し、さらに温度、pHを調整した水や海水を使用して、排除率、造水量、TOC濃度、比抵抗値等を測定し、これらの値で評価する。また、別の方法として、集水管の一端を気体が漏れ出ないように封止するとともに他端から気体を導入して、その気体導入口を封鎖し、一定時間経過した後の流体分離素子内の圧力変動値を測定する方法がある。使用する気体は空気または窒素を利用し、流体分離素子が破壊されない圧力で測定する。
【0018】
保存液注入工程においては、集水管1が鉛直方向になるように流体分離素子を起こし、集水管1の一端を保存液が漏れないように封止するとともに、他端から保存液を集水管1内に注入する。保存液は集水管内の保存液液面が下がらなくなるまで注入する。これにより、保存液を、流体分離素子の透過液側全体、すなわち、第1の分離膜3と第2の分離膜4との間の、透過液流路材5が配設されている空間にまで、行き渡らせることができる。その後、集水管の封止側端部を解放し、保存液とともに菌やエンドトキシン等を排出し、梱包する。なお、このとき、長期保存における菌発生や菌増殖を抑制するために、保存液を自然流出させる以上の液切りは行わない。
【0019】
そして、集水管1側から透過液流路側に保存液を行き渡らせると同時に、供給液流路側にも保存液を注入することにより、分離膜機能層の菌発生による性能劣化をさらに防ぐことができる。なお、この場合も流体分離素子を鉛直方向に起こした状態で行い、より汚染度が高い供給液流路材側を通過した保存液が透過液流路側に流れないようにする。
【0020】
保存液としては、重亜硫酸ソーダやホルマリン等の薬液を純水で希釈したものなどを用いることができるが、汚染源の固着を防ぎ透過液にエンドトキシンが含まれないようにするため、保存液そのもののエンドトキシン濃度が0.03EU/ml以下のものを用いることが好ましい。より好ましくは0.001EU/ml未満である。また、保存液そのものをUFフィルターで前処理することにより、エンドトキシン濃度を0.03EU/ml以下、好ましくは0.001EU/ml未満にすることも好ましい。なお、エンドトキシンの測定は、たとえばエンドスペシー法によっておこない、エンドトキシンの濃度が0.001EU/ml未満ということは、検出限界値以下ということである。
【0021】
このように製造された本発明に係るスパイラル型流体分離素子は、たとえ透過液側にエンドトキシンが存在していたとしても、使用開始前の10〜20時間の純水洗浄によりエンドトキシンを容易に洗い流すことができ、使用時の透過液中のエンドトキシンを0.001EU/ml未満にすることが可能である。
【0022】
【実施例】
<実施例1>
図1に示すように、集水管の周囲に、供給液流路材、分離膜、透過液流路材を重ね合わせて巻き付けたスパイラル型流体分離素子を評価し、その評価工程において合格となった流体分離素子について洗浄を行った。
【0023】
評価工程においては、水を使用せず、集水管の片側を封止し、もう一方から10kPaのエアを導入した後、該エア導入口を封鎖し、30秒後のエア圧の減衰が5%以内であるものを合格とした。
【0024】
保存液注入工程においては、保存液を、集水管が鉛直方向になるように流体分離素子を起こし、集水管の一端を保存液が漏れないように封止した後、他端から集水管内に注入した。なお、保存液は、集水管内部の保存液液面が下がらなくなるまで注入した。保存液としては、重亜硫酸ソーダをエンドトキシン濃度0.001EU/ml未満の純水で希釈した、エンドトキシン濃度が0.014EU/mlの保存液(実施例1−1)とエンドトキシン濃度が0.001EU/ml未満(検出限界値以下)の保存液(実施例1−2)を用いた。
【0025】
このスパイラル型流体分離素子に関し、保存液注入工程の直前および直後、そして、純水による20時間洗浄の直後に、流体分離素子の透過液側におけるエンドトキシン濃度を測定し、結果を表1にまとめた。なお、各条件において、
保存液注入工程の直前および直後でのエンドトキシン濃度の測定は、流体分離素子の集水管の片側を封止し、エンドトキシンが0.001EU/ml未満である純水を、封止した集水管の反対側より注ぎ入れた後、その水をサンプリングしてエンドトキシン濃度を測定した。また、純水による20時間洗浄直後のエンドトキシン濃度の測定は、透過水をサンプリングしてエンドトキシン濃度を測定した。なお、各測定におけるサンプリング数は4とした。
【0026】
この結果、エンドトキシン量は、保存液注入工程直前で0.04〜0.1EU/mlであったにもかかわらず、保存液注入工程直後には0.001EU/ml未満(検出限界値以下)であった。また、20時間純水洗浄後の透過液側のエンドトキシン量も、0.001EU/ml未満(検出限界値以下)であった。透過液側に付着したエンドトキシンを洗い流せていたことが分かる。
<比較例1>
保存液注入工程において、流体分離素子を保存液中に30分程度浸漬しタレきりにした以外は実施例1−2と同様にした。
【0027】
この結果、エンドトキシン量は、保存液注入工程直前で0.04〜0.1EU/ml、保存液注入工程直後で0.001EU/ml〜0.002EU/mlであった。また、20時間純水洗浄後の透過液側のエンドトキシン量は、0.001EU/ml〜0.01EU/mlであり、洗浄後もエンドトキシンが検出された。
【0028】
このように、洗浄後にも透過液側にエンドトキシンが検出されるのは、保存液が透過液側全体へ十分行き渡っておらず、透過液側のエンドトキシンが洗い出されず、また固着化してしまっているためと考えられる。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、集水管の周囲に、供給液流路材、分離膜および透過液流路材を巻囲したスパイラル型流体分離素子の集水管の一方を封止するとともに他方から液体の保存液を透過液側に注入するので、殺菌とともに菌の死骸やエンドトキシンの固着を防ぎ、使用時に行う純水洗浄後の透過液に含まれるエンドトキシンの量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様により製造される流体分離素子の概略一部展開図である。
【符号の説明】
1:集水管
2:供給液
3:第1の分離膜
4:第2の分離膜
5:透過液流路材
6:供給液流路材
7:濃縮液
8:透過液
【発明の属する技術分野】
本発明は、逆浸透装置やナノ濾過装置、さらには限外濾過装置、精密濾過装置等に好適に用いられる流体分離素子およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、医療および食品分野においては膜分離が多用され、たとえば分離膜が透過液流路材と供給液流路材と共に集水管の周りにスパイラル状に巻き付けられた流体分離素子が用いられる。スパイラル型流体分離素子は、図1に示すように、第1の分離膜3および第2の分離膜4の3辺を互いに接着して形成した封筒状膜に間に透過液流路材5を挟み込み、これと供給液流路材6とを1つのユニットとして、単数もしくは複数ユニット用意し、集水管1の周囲にスパイラル状に巻き付けてなる。封筒状膜は集水管1側で開口している。供給液2は、流体分離素子の一方の端面から供給され、第1の分離膜3および第2の分離膜4で処理される。分離膜3、4を透過した透過液8は集水管1から取り出され、分離膜3、4を透過しなかった供給液2は、流体分離素子の他方の端面から濃縮液7として排出される。
【0003】
ところで、医療分野や食品分野では、流体分離素子によって精製される透過液に、生体に発熱作用を及ぼす物質であるパイロジェンの一種であるエンドトキシンが含まれないこと、すなわち、検出限界以下になることが要求されている。
【0004】
しかしながら、流体分離素子は、その構成部材が製造時に空気中にさらされているため、最終製品には少なからず菌が付着している。この菌は、搬送や保管とといった長期にわたる未使用状態において繁殖し、分離膜3、4の機能層を破壊あるいは劣化させ汚染源を発生させたり、またその菌自身が汚染源となってしまう虞がある。
【0005】
このため、上述の流体分離素子に対しては、保存時に菌が繁殖することを防ぐために、集水管の周囲に、供給液流路材、分離膜および透過液流路材を重ね合わせて巻囲し、性能を評価した後に、菌の発生や繁殖を抑制するための液体(保存液)が注入される。保存液の注入方法としては、特許文献1に記載されるように、モジュール内いっぱいに保存液を充填したり、保存液をタレきりにして膜を湿潤状態に保つ方法がある。
【0006】
しかしながら、このような方法では、流体分離素子、特に、スパイラル型流体分離素子に付着している菌を殺菌して、菌の繁殖を防ぐことはできても、菌の死骸によって形成されるエンドトキシンに関しては充分な効果を発揮しない。すなわち、モジュール内に保存液を充填したとしても、実施例に記載されるように原液側から保存液を供給しているので、原液側の菌、汚れ等を透過液側に回り込みやすくしていることになり、汚染を拡大しかねない。また、タレきりにしているだけでは、保存液が十分に行き渡らず、殺菌が不十分となる。保存液が到達しなかった部分においては、菌や菌の死骸等の汚染源が固着してしまう。そして、一旦固着してしまった汚染源は、通常使用開始前に行われる純水洗浄によっては洗い流すことが難しく、実際に使用するときに得られる透過液中に固着した汚染源よりエンドトキシンが溶出、混入するという問題が生じかねない。
【0007】
また、菌の発生や繁殖を抑制するためには、特許文献2に記載されるような熱殺菌による方法もあるが、これも、生菌をなくすことはできるものの、エンドトキシンの前駆体となる菌の死骸を洗い流すことはできず、効果を発揮しない。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−296838号公報
【0009】
【特許文献2】
特開昭63−248407号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、エンドトキシンの溶出を低減することのできる流体分離素子およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、集水管の周囲に供給液流路材、分離膜および透過液流路材を巻囲したスパイラル型流体分離素子の集水管の一方を封止するとともに、他方から保存液を透過液側に注入するスパイラル流体素子の製造方法を特徴とするものである。
【0012】
このとき、保存液として、重亜硫酸ソーダを0.5〜2.0重量%含む水溶液を用いることが好ましい。
【0013】
そして、上述の方法によって製造されたスパイラル型流体分離素子を収容した流体分離膜モジュールも好ましい態様である。
【0014】
【発明の実施の形態】
説明の便宜上、従来技術の欄で説明した図1を用いて本発明を説明する。
【0015】
本発明の流体分離素子は、図1に示すように、3辺を互いに接着して封筒状に形成した第1の分離膜3および第2の分離膜4の間に透過液流路材5を挟み込み、これと供給液流路材6とを1つのユニットとして、単数もしくは複数ユニットを、集水管1の周囲にスパイラル状に巻き付けてなる。封筒状膜は集水管1側で開口している。供給液2は、流体分離素子の一方の端面から供給され、第1の分離膜3および第2の分離膜4で処理される。分離膜3、4を透過した透過液8は集水管1から取り出され、分離膜3、4を透過しなかった供給液2は、流体分離素子の他方の端面から濃縮液7として排出される。
【0016】
このように組み立てられたスパイラル状の流体分離素子は、評価工程を経て、保存液注入工程に搬送される。
【0017】
評価工程においては、各液体分離素子の目的に適合した溶質、通常は塩類又はアルコール類(主にNaCl、MgSO4、Na2SO4、IPA、ホウ素)を適量調整し、さらに温度、pHを調整した水や海水を使用して、排除率、造水量、TOC濃度、比抵抗値等を測定し、これらの値で評価する。また、別の方法として、集水管の一端を気体が漏れ出ないように封止するとともに他端から気体を導入して、その気体導入口を封鎖し、一定時間経過した後の流体分離素子内の圧力変動値を測定する方法がある。使用する気体は空気または窒素を利用し、流体分離素子が破壊されない圧力で測定する。
【0018】
保存液注入工程においては、集水管1が鉛直方向になるように流体分離素子を起こし、集水管1の一端を保存液が漏れないように封止するとともに、他端から保存液を集水管1内に注入する。保存液は集水管内の保存液液面が下がらなくなるまで注入する。これにより、保存液を、流体分離素子の透過液側全体、すなわち、第1の分離膜3と第2の分離膜4との間の、透過液流路材5が配設されている空間にまで、行き渡らせることができる。その後、集水管の封止側端部を解放し、保存液とともに菌やエンドトキシン等を排出し、梱包する。なお、このとき、長期保存における菌発生や菌増殖を抑制するために、保存液を自然流出させる以上の液切りは行わない。
【0019】
そして、集水管1側から透過液流路側に保存液を行き渡らせると同時に、供給液流路側にも保存液を注入することにより、分離膜機能層の菌発生による性能劣化をさらに防ぐことができる。なお、この場合も流体分離素子を鉛直方向に起こした状態で行い、より汚染度が高い供給液流路材側を通過した保存液が透過液流路側に流れないようにする。
【0020】
保存液としては、重亜硫酸ソーダやホルマリン等の薬液を純水で希釈したものなどを用いることができるが、汚染源の固着を防ぎ透過液にエンドトキシンが含まれないようにするため、保存液そのもののエンドトキシン濃度が0.03EU/ml以下のものを用いることが好ましい。より好ましくは0.001EU/ml未満である。また、保存液そのものをUFフィルターで前処理することにより、エンドトキシン濃度を0.03EU/ml以下、好ましくは0.001EU/ml未満にすることも好ましい。なお、エンドトキシンの測定は、たとえばエンドスペシー法によっておこない、エンドトキシンの濃度が0.001EU/ml未満ということは、検出限界値以下ということである。
【0021】
このように製造された本発明に係るスパイラル型流体分離素子は、たとえ透過液側にエンドトキシンが存在していたとしても、使用開始前の10〜20時間の純水洗浄によりエンドトキシンを容易に洗い流すことができ、使用時の透過液中のエンドトキシンを0.001EU/ml未満にすることが可能である。
【0022】
【実施例】
<実施例1>
図1に示すように、集水管の周囲に、供給液流路材、分離膜、透過液流路材を重ね合わせて巻き付けたスパイラル型流体分離素子を評価し、その評価工程において合格となった流体分離素子について洗浄を行った。
【0023】
評価工程においては、水を使用せず、集水管の片側を封止し、もう一方から10kPaのエアを導入した後、該エア導入口を封鎖し、30秒後のエア圧の減衰が5%以内であるものを合格とした。
【0024】
保存液注入工程においては、保存液を、集水管が鉛直方向になるように流体分離素子を起こし、集水管の一端を保存液が漏れないように封止した後、他端から集水管内に注入した。なお、保存液は、集水管内部の保存液液面が下がらなくなるまで注入した。保存液としては、重亜硫酸ソーダをエンドトキシン濃度0.001EU/ml未満の純水で希釈した、エンドトキシン濃度が0.014EU/mlの保存液(実施例1−1)とエンドトキシン濃度が0.001EU/ml未満(検出限界値以下)の保存液(実施例1−2)を用いた。
【0025】
このスパイラル型流体分離素子に関し、保存液注入工程の直前および直後、そして、純水による20時間洗浄の直後に、流体分離素子の透過液側におけるエンドトキシン濃度を測定し、結果を表1にまとめた。なお、各条件において、
保存液注入工程の直前および直後でのエンドトキシン濃度の測定は、流体分離素子の集水管の片側を封止し、エンドトキシンが0.001EU/ml未満である純水を、封止した集水管の反対側より注ぎ入れた後、その水をサンプリングしてエンドトキシン濃度を測定した。また、純水による20時間洗浄直後のエンドトキシン濃度の測定は、透過水をサンプリングしてエンドトキシン濃度を測定した。なお、各測定におけるサンプリング数は4とした。
【0026】
この結果、エンドトキシン量は、保存液注入工程直前で0.04〜0.1EU/mlであったにもかかわらず、保存液注入工程直後には0.001EU/ml未満(検出限界値以下)であった。また、20時間純水洗浄後の透過液側のエンドトキシン量も、0.001EU/ml未満(検出限界値以下)であった。透過液側に付着したエンドトキシンを洗い流せていたことが分かる。
<比較例1>
保存液注入工程において、流体分離素子を保存液中に30分程度浸漬しタレきりにした以外は実施例1−2と同様にした。
【0027】
この結果、エンドトキシン量は、保存液注入工程直前で0.04〜0.1EU/ml、保存液注入工程直後で0.001EU/ml〜0.002EU/mlであった。また、20時間純水洗浄後の透過液側のエンドトキシン量は、0.001EU/ml〜0.01EU/mlであり、洗浄後もエンドトキシンが検出された。
【0028】
このように、洗浄後にも透過液側にエンドトキシンが検出されるのは、保存液が透過液側全体へ十分行き渡っておらず、透過液側のエンドトキシンが洗い出されず、また固着化してしまっているためと考えられる。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、集水管の周囲に、供給液流路材、分離膜および透過液流路材を巻囲したスパイラル型流体分離素子の集水管の一方を封止するとともに他方から液体の保存液を透過液側に注入するので、殺菌とともに菌の死骸やエンドトキシンの固着を防ぎ、使用時に行う純水洗浄後の透過液に含まれるエンドトキシンの量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様により製造される流体分離素子の概略一部展開図である。
【符号の説明】
1:集水管
2:供給液
3:第1の分離膜
4:第2の分離膜
5:透過液流路材
6:供給液流路材
7:濃縮液
8:透過液
Claims (3)
- 集水管の周囲に供給液流路材、分離膜および透過液流路材を巻囲したスパイラル型流体分離素子の集水管の一方を封止するとともに、他方から保存液を透過液側に注入することを特徴とするスパイラル流体素子の製造方法。
- 保存液として、重亜硫酸ソーダまたはホルマリンを含む水溶液を用いる、請求項1に記載のスパイラル流体素子の製造方法。
- 請求項1または2の方法によって製造されたスパイラル型流体分離素子を収容した流体分離膜モジュール。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2003073264A JP2004275945A (ja) | 2003-03-18 | 2003-03-18 | スパイラル型流体分離素子の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2003073264A JP2004275945A (ja) | 2003-03-18 | 2003-03-18 | スパイラル型流体分離素子の製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2004275945A true JP2004275945A (ja) | 2004-10-07 |
Family
ID=33289203
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| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2003073264A Pending JP2004275945A (ja) | 2003-03-18 | 2003-03-18 | スパイラル型流体分離素子の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2004275945A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2005123233A1 (ja) * | 2004-06-22 | 2005-12-29 | Toyo Boseki Kabushiki Kaisha | 流体分離装置および/または膜エレメントの保存液、流体分離装置および膜エレメント、およびその保存方法 |
-
2003
- 2003-03-18 JP JP2003073264A patent/JP2004275945A/ja active Pending
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| WO2005123233A1 (ja) * | 2004-06-22 | 2005-12-29 | Toyo Boseki Kabushiki Kaisha | 流体分離装置および/または膜エレメントの保存液、流体分離装置および膜エレメント、およびその保存方法 |
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