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JP2004266643A - 圧電発音素子及びその製造方法 - Google Patents

圧電発音素子及びその製造方法 Download PDF

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JP2004266643A
JP2004266643A JP2003056038A JP2003056038A JP2004266643A JP 2004266643 A JP2004266643 A JP 2004266643A JP 2003056038 A JP2003056038 A JP 2003056038A JP 2003056038 A JP2003056038 A JP 2003056038A JP 2004266643 A JP2004266643 A JP 2004266643A
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JP2003056038A
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Hiroto Kawaguchi
裕人 川口
Tomio Ito
富夫 伊藤
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Sony Corp
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Sony Corp
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Abstract

【課題】電圧特性及び音圧特性が改善され低コストである、圧電発音素子及びその製造方法を提供するものである
【解決手段】本発明に係る圧電発音素子は、圧電素子33とこの圧電素子33を貼り付けた振動板32とからなる圧電振動板34を少なくとも有する振動体36を有し、振動板32が、比剛性値(=弾性率/比重)50[GPa・cm/g]以上の材料から成る。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種電子機器に組み込まれる圧電発音素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の小型高性能化、通信技術の進歩により、発音素子自体も小型化・薄型化が進んでいる。圧電発音素子は原理的に構造が簡単で特に薄型化に適しており、各種電子機器に広く使われている。圧電発音素子の代表的な例としては圧電ブザーがある。図27A,Bは圧電ブザーの一例を示す。この圧電ブザー1は、円形の圧電素子2と金属薄板による振動板3とを接着して成る圧電振動板4が設けられ、この圧電振動板4の外周部が、機器の筐体5に形成された突起部6に接着され、圧電素子2の両面、即ち金属の振動板3と圧電素子2の表面の電極間、に信号電圧7を印加する事により音を出すというものである。
【0003】
従来、圧電発音素子は、周波数による発生音圧の変動が著しく大きく、高品位な音を発音することが難しく、電子音(ブザー音)等の用途に限定されていた。一方、圧電素子を用いた高音質な小型スピーカーも検討されてきている。
特許文献1、特許文献2、特許文献3及び特許文献4には、圧電素子を用いた圧電型スピーカーが記載されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−226999号公報
【特許文献2】
特開2002−199493号公報
【特許文献3】
特許第2551813号
【特許文献4】
特願平11−164396号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の圧電発音素子は、一般的に、厚さ数10μm〜100μm程度の薄型の素子を振動板となる厚さ数10μm〜100μm程度の金属板(ステンレス合金、ニッケル鉄合金、銅合金、チタン合金、アルミ合金等)に接着する構造が用いられている。この内、図28Aに示すように金属板8の一方にのみ圧電素子2を接着する構造と、図28Bに示すように金属板8を挟んで2枚の圧電素子を接着する構造とが有る。
【0006】
ところで、圧電発音素子を携帯機器に用いる場合の問題の一つに、低電圧信号に対する感度が低いという事が有る。圧電素子は電圧駆動型素子であり、マグネットスピーカーのような電流駆動型と異なる。つまり音声信号周波数領域において、圧電発音素子は消費電流を少なく抑えられる一方で高い電圧を印加する必要が有る。圧電発音素子は、電力消費量で比べた場合マグネットスピーカーに対して低消費電力化が可能であるが、高い電圧を必要とするという点で扱いが難しい。一般的なリチウムイオンバッテリーの場合、電源電圧は3.7V程度であるが、BTL(Bridged Transless)駆動型アンプを用いる事で圧電発音素子に6Vpp程度の信号を印加できる。しかし、10Vpp程度が必要となった場合、電源電圧が足りずDC−DCコンバーターによる昇圧回路を新たに追加する必要が有る。このように、圧電発音素子から出来るだけ大きな音圧を出す場合は、どうしても高い電圧が必要となる事が問題となっている。
【0007】
圧電発音素子の電圧感度を高める手法としては、積層圧電素子を用いる事が
有効である。この積層圧電素子では、例えば図29に示すように、数10μmの薄い圧電層9と電極10を積層させた構造の圧電素子2を用いている。各圧電層9を挟んで積層された対の電極10は、夫々互いに並列接続されて信号源SGに接続される。積層圧電素子2の製法は、一般的な積層セラミックコンデンサの製法とほぼ同じで、焼成温度や内部電極の材料などが異なっていることが多い。
【0008】
図30は一般的な圧電素子2と積層圧電素子2の比較を示している。積層圧電素子2の各層の電界Eは、印加電圧V,層厚dとした場合、E=V/dで与えられる。すなわち、電界Eは電圧に比例し、層厚dに反比例する。図30Aに示す一般的な圧電素子、即ち非積層の圧電素子2の電界は、E=V/2dとなる。一方、図30Bに示す積層圧電素子2の電界では、E”=V/dとなる。非積層圧電素子2と積層圧電素子2の電界の関係は、E”=2Eとなり、つまり積層圧電素子2の電界は、非積層圧電素子2の電界の2倍となる。圧電素子の歪み量は電界に比例するので、この例によれば、同じ電圧印加に対して発生歪みが2倍になる。このように、電圧に対して発生歪み(発音素子の場合、最終的には音圧)を大きくする為には、積層圧電素子2を用いるのが有効であるが、その一方で、積層圧電素子2を用いることによるコストアップを生じる。また、圧電素子部分の信頼性の確保等の問題を含んでいる。以上のように、低価格を維持しながら圧電発音素子の電圧感度を改善する事は難しい。
【0009】
本発明は、上述の点に鑑み、電圧特性及び音圧特性が改善され低コストである、圧電発音素子及びその製造方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る圧電発音素子は、圧電素子とこの圧電素子を貼り付けた振動板とからなる圧電振動板を少なくとも有する振動体を有し、振動板を比剛性値(=弾性率/比重)が50[ GPa・cm/g] 以上の材料で形成した構成とする。
【0011】
本発明に係る圧電発音素子によれば、振動板を比剛性値が50[GPa・cm/g] 以上の軽くて強い材料で形成されるので、金属振動板に比べて出力を上げることが可能になり、音圧及び電圧の性能を改善することが出来る。
【0012】
本発明に係る圧電発音素子の製造方法は、少なくとも圧電素子と比剛性値が
50〜200〔GPa・cm/g〕の範囲を満たす材料からなる振動板とを突合わせ加圧して仮接合を行う工程と、仮接合された仮接合体を、所要の加熱・加圧条件下で前記振動板の自己融着作用により、前記圧電素子と前記振動板との接合を行い圧電振動板を形成する工程とを有する。
【0013】
本発明に係る圧電発音素子の製造方法によれば、圧電素子と振動板を突合わせ加圧して仮接合し、この仮接合体を所要の加熱・加圧を加えることで振動板の自己融着作用により、圧電素子と振動板とが接合一体化されて圧電振動板が形成される。これによって、振動領域が拡大され音響特性の改善され、音圧特性及び電圧特性に優れた圧電発音素子の製造が可能になる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の圧電発音素子は、圧電素子を接着する振動板を従来の金属板から繊維強化プラスティック材等の比剛性の高い材料に変更して構成する。繊維強化型プラスティックは、一般的な金属材料に比べて弾性率/比重=比剛性が高い特徴を持っている。すなわち「軽くて強い」材料である。この材料を振動板に用いることにより、金属振動板比で5dB程度出力を上げる事が可能である事を確認した。繊維強化プラスティックには幾つかの種類があるが、例えばカーボン繊維と熱硬化型樹脂を組み合わせた複合材を用いることがきる。このカーボン繊維と熱硬化性樹脂とによる複合材料は所定の温度(例えば100℃〜140℃程度、熱硬化型樹脂の硬化条件による温度)を加えることにより硬化し、またこのとき所定の圧力で他部材を押しつければ強固に接着する事も可能である。この特徴を生かせば、圧電素子と振動板の接着を繊維強化型プラスティックの接着機能により行う事も可能で、従来の金属板との接着のように新たな接着剤の塗布も必要無い。このように、繊維強化型プラスティック振動板を用いるときは、圧電発音素子の音圧及び電圧の性能を改善することが可能になる。これは非積層圧電素子は勿論、積層圧電素子を用いた場合にも有効である。
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
図1は、本発明に係る圧電発音素子の一実施の形態を示す。本実施の形態に係る圧電発音素子31は、弾性率/比重=比剛性値で定義される比剛性値の高い材料、例えば繊維強化型プラスティック材を振動板32として用い、この振動板32の一方の面あるいは両面、本例では両面に2枚の圧電素子33〔33A,33B〕を接合して一体化した圧電振動板34を設け、この圧電振動板34の面、本例では両面を柔軟な樹脂シート35〔35A,35B〕で被覆して振動体36を形成し、さらにこの振動体36の外周部の一面に振動体36の振動に追従して変形するフレーム部材37を固着して構成される。振動板32の面積は、圧電素子33の面積より大きく形成される。柔軟な樹脂シート35は、圧電振動板34より大きな面積を有し、フレーム部材37の外形と略等しい大きさである。樹脂シート35は、フレーム部材37の一方の粘着面に貼り付けられる。また、圧電振動板34の外形は、フレーム部材37の内形寸法よりも小さくなっており、圧電振動板34の外周部には2枚の柔軟な樹脂シート35〔35A,35B〕のみの領域(いわゆる柔軟部)が形成されている。この圧電発音素子31は、圧電素子33を含む振動体36が、樹脂シート35のみの柔軟部を経て弾力性を有したフレーム部材37により直接、固定部例えば機器の放音孔27を有する筐体26に支持される。
【0017】
圧電発音素子31では、圧電素子33を含む振動発生部位と、両面が柔軟な樹脂シート35で被覆された部位、柔軟な樹脂シート35のみの部位、さらに弾力性を有したフレーム部材37の部位というように、振動発生部位から振動体36の筐体26への支持部へと剛性が段階的に低くなるような構造となり、振動体の振動領域を柔軟に支持するように構成される。
【0018】
繊維強化型樹脂(プラスティック)は、用いる繊維材料や樹脂の組み合わせにより性能が変わる。繊維材としては、炭素繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、ボリアリレート繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、ガラス繊維等が有る。一方この繊維材と組み合わせる樹脂は、熱硬化型樹脂や熱可塑性樹脂が用いられる。材料の性能(弾性率や比重)は、これら構成材料の特性や、繊維と樹脂の配合率や繊維の配向性などによってコントロールする事が出来る。図3A,B(三面図)は、繊維強化型プラスティックの構成例を示す。図3Aは、互いに直交する2方向X,Yに夫々配向された繊維42と、樹脂41とが組み合わされた構造である。図3Bは、一方向、例えばX方向にのみ配向された繊維42と、樹脂41とが組み合わされた構造である。これら繊維強化型プラスティックは、特に高い比剛性が要求される分野、例えば航空機や車、建築物などの分野に広く使われている。本実施の形態では、この比剛性が高い繊維強化型プラスティックを振動板に積極的に用いる。
【0019】
本実施の形態で用いる繊維強化型プラスティックは、その比剛性値が50〔GPa/cm/g〕以上の材料であり、好ましくは50〜200〔GPa・cm/g〕の範囲を満たす材料である。比剛性値は高いほど良い。50〔GPa・cm/g〕より小さいと金属の比剛性値に近づくので音圧、電圧特性を向上する効果が小さくなる。200〔GPa・cm/g〕とした理由は、200〔GPa・cm/g〕を越える材料が入手困難なこと、高価なことあり、非現実的であることによる。表1は、本実施の形態に適用し得る代表的な繊維強化型プラスティックと比較のための金属について、引張り弾性率と比重、及び比剛性=引張り弾性率/比重の値を示したものである。
【0020】
【表1】
Figure 2004266643
【0021】
比剛性が大きいほど、軽くて強い材料であると言える。表1から分かる様に、一般的な金属の比剛性は25前後である。それに対して、繊維強化型プラスティックの比剛性は60〜200[GPa・cm/g]程度となり、金属に対して2倍〜8倍程度と非常に大きい事が分かる。比剛性が高いことは圧電スピーカーの振動板に対して非常に有効である。それは以下の理由による。
【0022】
一般的に、スピーカーの効率は、振動系の質量M0が大きくなるほど低下する。この為、振動系の質量M0は低い事が望ましい。振動系のM0は、圧電素子の重量、振動板の重量、その他ラミネートフィルムの重量等の合計でほぼ決まるが、振動板の重量を減らし、かつ必要な強度を確保する上で、比剛性の高い材料を用いるのが有効である。従って、比剛性の高い繊維強化型プラスティックを振動板に用いる事で、スピーカーの効率を上げることが可能になる。
【0023】
比剛性については、繊維材料や含有比率、等によって異なるが、表1より勘案して、50〜200[GPa・cm/g]程度の比剛性の材料を用いる事が出来る。また、実際には、圧電スピーカーの大きさなどによって適宜に組み合わせて使う事が望ましい。
比剛性が小さい場合は、振動系の質量M0が増える為に、効率が下がる。つまり、重いものを動かす為にはその分力を増やす必要が有るためである。
基本的には比剛性が大きいほど望ましい。使用にあたっては、必要な板厚や、部品材料費などを考慮して選定することが望ましい。また、一般的に繊維強化形プラスティックは、金属に比べ振動減衰が早いという特徴を持っており、これはスピーカー材料に適している。
【0024】
圧電素子33は、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電材料で形成され、出来るだけ厚さの薄いものが望ましい。圧電素子33の厚みは、素子面積にもよるが、100μm以下のものを用いることが良い。圧電素子33の両面に形成する電極38は、例えばAg,Ni,Au等のメタライズ電極膜、例えば導電性ペーストによる電極膜で形成することができる(図2参照)。圧電素子33は各種の形状のものを用いることができる。例えば、図4A,Bに示すような円形素子33、正方形素子33、図5A,B,C及びDに示すような楕円形素子33、長方形素子33、円形の2ヵ所をその直径に対して平行かつ線対称となる直線でカットした小判形素子33、同様に円形を2分割するように直線でカットした半円形素子33等を用いることができる。好ましくは、図4A〜Dの縦横比が1でない形状がよい。
【0025】
柔軟な樹脂シート35〔35A,35B〕は、一般的なプラスティックフィルムである、ポリプロピレン樹脂フィルムやポリエチレン樹脂フィルム、ポリエステル樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、その他熱可塑性樹脂フィルム等などを選択して用いることができる。本例では、フィルムの材質や厚みにより特に音質が変化する為、選定には注意が必要である。例えば50m厚のポリエステル樹脂シートを用いることができる。樹脂シート35Aと35Bに同じ樹脂シートを用いてもよく、あるいは樹脂シート35Aと35Bとに互いに異なる樹脂シートを用いてもよい。
【0026】
フレーム部材37としては、ある必要な厚みを有する事と弾力性を有する事が望ましく、かつ両面粘着性を持つ事が必要である。このフレーム部材37は、いわゆるスポンジ両面接着テープを用いることができる。例えば、日東電工社製の特殊発泡ポリエチレン両面粘着テープ(No5713:厚み0.33mm)等がフレーム部材37として適している。その他、住友3M社製のポリエチレンフォーム材等も適している。フレーム部材37の選定は、必要厚み、耐熱性その他により選定する事が必要となる。
【0027】
次に、本実施の形態の圧電発音素子31の音圧ー周波数特性について、参考例と比較して説明する。なお、圧電スピーカについて評価した。
【0028】
圧電素子としては、直径φ25mm、厚さ50μmの圧電素子を用いるが、小型化と低コスト化を達成する為に、焼成後の円形圧電素子33(図6A参照)を2分割して半円形状とした圧電素子33とする(図6B参照)。この半円形圧電素子33を振動板32′を挟んで2枚接着することにより、1枚の円形圧電素子33から、2枚の半円形状のバイモルフ圧電振動板34′を作る(図6C参照)。この圧電振動板34′をポリエステル樹脂シートにて被覆し、外周に両面接着テープによるフレーム部材37を接着し、圧電発音素子の試料とする。
【0029】
図7は、上記半円形圧電素子33を有するバイモルフ圧電振動板34′を用いた比較例1に係る圧電発音素子312を示す。この圧電発音素子312では、半円形圧電素子33に相似の半円形状で厚さ50μmの42アロイ材(NiFe合金)からなる金属振動板322′を用いている。圧電発音素子312の振動領域(音圧発生部)は略半円形状になっており、圧電発音素子外形は略長方形状になる。このときの圧電発音素子312の音圧ー周波数特性を図8に示す。この圧電発音素子312は、800Hz以上の帯域について非常に周波数平坦性が優れており、800Hz以上で70dB以上の音圧を確保している。
【0030】
図9は、半円形圧電素子33を用いてさらに低音側の音圧を改善した比較例2に係る圧電発音素子313を示す。この圧電発音素子313は、金属振動板の形状のみを拡大した場合である。圧電発音素子313は、半円形圧電素子33を略長方形状の金属振動板(42アロイ材)323′の両面に接着して構成される。略長方形状の金属振動板323′は、図7の金属振動板322′と比べて外形が大きくなっている。このときの圧電発音素子313の音圧−周波数特性を図10に示す。この圧電発音素子313では、低音側の音圧が改善されている。
【0031】
図11は、比較例1(図8)と比較例2(図10)の2つの音圧ー周波数特性を重ねたグラフを示す。曲線aは比較例1、曲線bは比較例2を示す。このグラフから分かるように、金属振動板サイズを増やすことにより出力帯域を低域側にずらすことが可能である。一方で、700Hz〜1kHz近傍では逆に出力が下がっている。そして、1kHz以上の帯域ではやはり70dB以上を確保するに留まっている。このように、金属振動板を用いた場合は、振動板サイズの拡大による低域シフトはある程度可能であるが、全体的な出力の底上げを図るのは非常に難しいことが判る。
【0032】
これに対し、図12及び図13は本実施の形態に係る圧電発音素子311の構成及びその音圧ー周波数特性を示す。本実施の形態の圧電発音素子311は、半円形圧電素子33を用いると共に、振動板として繊維強化型プラスティック振動板321′を用い且つ振動板321′のサイズを比較例2の振動板323′と同じサイズの略長方形にして構成した。このときの圧電発音素子311の音圧−周波数特性は、図13に示すように低域側及び高域側にわたり音圧が高くなっている。
図14は、本実施の形態(図13)と比較例1(図8)と比較例2(図10)の3つの音圧ー周波数特性を重ねて比較したグラフを示す。曲線Cは本実施の形態を示す。特に図9の比較例2の圧電発音素子313と図12の本実施の形態の圧電発音素子311は外形寸法がほぼ等しい。しかし、振動板323′に金属板を用いた比較例2に対して、振動板321′に繊維強化型プラスティックを用いた本実施の形態(曲線C参照)は、殆ど全ての帯域で出力が大きくなっていることが分かる。その改善量は周波数によって異なるが5dB〜15dB程度と大きい。
【0033】
図13の音圧ー周波数特性に示すように、本実施の形態に係る圧電発音素子
311は、大凡600Hz以上で75dB以上を確保している。このように、全く同じ圧電素子33を用いた場合に、振動板を金属から繊維強化型プラスティックに変更することにより、音圧出力の底上げが可能となり、音圧及び電圧の特性を改善することができる。すなわち、同じ駆動電圧であれば音圧特性を改善し、同じ音圧にすれば駆動電圧を下げることができる。
【0034】
次に、前述の図1に示す本実施の形態の圧電発音素子31の製造方法の一実施の形態を説明する。
繊維強化型プラスティック材として、本例では炭素繊維を配向した繊維強化型プラスティック材を用いる。この繊維強化型プラスティックは、例えば前述の図3Bに示すように、一方向にのみ炭素繊維が配向され、樹脂含有率が大凡50%程度のもので、130℃で加熱硬化するタイプ材を用いる。なお、繊維強化型プラスティック材の厚みは、所定熱圧着条件下で120μmとなるタイプを用いている。繊維強化型プラスティック材の加熱硬化前の状態(以下プリプレグという)では、樹脂が柔らかく且つタック性(粘着性)を有しており、通常、両面に剥離紙が付いている。
【0035】
先ず図15に示すように、この両面に剥離紙51が被着した繊維強化型プラスティック材のプリプレグ32′を振動板となる所定の大きさ、本例では19mm×26mmの長方形状にカットする。このカット方法は、例えばロータリーカッターや切断機を用いても良いし、ビク型による打ち抜きも可能である。
【0036】
次に、図16に示すように、カットされたプリプレグ32′の一方の剥離紙51を剥がし、プリプレグ32′の露出した一方の面上の所定の位置に一方の半円形状の圧電素子33A(両面には対の電極38が形成されている)を乗せ軽く加圧を加える。これにより、プリプレグ32′のタック性(粘着性)により圧電素子33Aは半接着、いわゆる仮接着の状態となる(図16A参照)。次に反対側の剥離紙51を剥がしてプリプレグ32′の露出した他方の面上の所定の位置に同じように他方の半円形状の圧電素子33B(両面には対の電極38が形成されている)を乗せて軽く加圧し、圧電素子33Bをプリプレグ32′に仮接合する(図16B参照)。プリプレグ32′の面積は、圧電素子33〔33A,33B〕の面積より大きい。
【0037】
このとき、図17に示すように、プリプレグ32′の両面に夫々電極接続用の金属箔39を貼りつけても良い。炭素繊維を配向した繊維強化型プラスティック材は、導電性を有しているも金属のように半田付け等による電極接続を行うことができない。従って、プリプレグ32′の一部に銅テープのような金属箔39を貼り、後述するプリプレグ32′の硬化時に金属箔39とプリプレグ32′を接着すれば、圧電素子33A,33Bの夫々の一方の電極38の引き出しをこの銅テープによる金属箔39の部分で行うことができる。
【0038】
次に、図18Aに示すように、圧電素子33と金属箔39がプリプレグ32′に仮接合された仮接合体52を圧着治具53にセットし、この仮接合体52の状態で熱圧着を行い加熱硬化させる。この場合、プリプレグ32′の硬化・接着条件に合わせた温度・圧力を加えるようにするが、圧着冶具53とプリプレグ32′の固着(いわゆる加熱硬化時の冶具への貼り付き)を防ぐ為に、所定の厚みのシリコンゴムシートやテフロンシート等の固着阻止シート54でプリプレグ32′を挟むようにすることが望ましい。
【0039】
図18Bは、圧着冶具装置55を示す。実際は、圧着冶具装置55に上記の仮接合体52を多数個を並べ、且つ圧着用金属板56を介して多数層に積層してセットする。このように加圧した状態で所要の硬化条件温度で熱硬化させる。これにより、プリプレグ32′の樹脂部分が硬化すると同時に圧電素子33[33A,33B]と強固に接着される。同時に金属箔39も接着される。このようにして、圧電素子33〔33A,33B〕が本接合されプリプレグ32′が硬化されて圧電振動板34が形成される(図19参照)。
【0040】
図19は、圧着後の圧電素子33と振動板32が一体化された圧電振動板34を示す。硬化後の圧電振動板34の状態は加圧に用いるシリコンゴムの厚みや硬度によって異なるが、硬化後の圧電振動板34の状態は大凡図19のようになる。加圧前の状態では、圧電素子33が接着されている部分は他のプリプレグ32′のみの部分に対して厚く、加圧時にはその分だけ加圧量も大きくなる。このため、圧電素子33の接着部分のプリプレグ32′が薄くなり、プリプレグ32′のみの外周部分が厚くなる。換言すれば、圧電素子33の接着部分のプリプレグ32′の厚みが、本来のプリプレグ硬化後の厚みAに近くなる。プリプレグ32′全面に対して必要加圧を加えると、硬化時に樹脂がはみ出すが、本実施の形態では、圧電素子33の接着部以外の加圧量を小さくして、はみ出しを抑えるようにしている。従って、圧電素子33部からはみ出す樹脂はプリプレグ32′のみの外周部分に残留することになる。これら残留樹脂と元々持っている樹脂により、プリプレグ32′のみの外周部分は厚みBのように厚くなる。プリプレグ32′の厚みBについては、絶縁性の確保の観点から、圧電素子33の厚みをdとした場合、B<2d+Aの範囲になるようにする。
【0041】
圧電発音素子として、例えば、圧電素子33の厚みdを50μm、プリプレグ硬化後厚みAを120μmとするときは、プリプレグのみの部分の厚みBは50×2+120=220μm以下にしなくてはならない。本例の場合は大凡150μm前後となるようにしている。
【0042】
次に、図20に示すように、各圧電素子33A,33Bにおいて、夫々金属箔39と圧電素子の一方の電極38に対をなす被覆リード線56及び57を半田等により電気的に接続する。これにより、圧電素子33の一方の電極38はリード線56を通して導出され、他方の電極38は、炭素繊維が配向された導電性を有する繊維強化型プラスティック振動板32から金属箔39を通して導出される。
【0043】
次に、図21に示すように、圧電振動板34を圧電振動板34より面積の大きい樹脂シート、例えばポリエステル樹脂テープ35〔35A,35B〕でラミネートし、振動体36を形成する。
【0044】
次に、図22に示すように、所定の厚みを有して枠状に打ち抜かれたフレーム部材、本例ではスポンジ両面接着テープ37を、振動体36の圧電振動板34を被覆した一方のポリエステル樹脂テープ35Bの外周部(つまりポリエステル樹脂テープのみの部分)に合わせて接合する。このようにして、目的の圧電発音素子31を製造する。
【0045】
この圧電発音素子31は、フレーム部材であるスポンジ両面接着テープ37の他方の面の剥離紙51を剥がすことで、図1に示すように、筐体26等の部材に貼りつけることが可能になる。これにより、圧電発音素子31の動作時に筐体26側の放音孔27より音圧を発生させることができる。
【0046】
上例では、半円形状の圧電素子33を用いたが、この形状に限定されるものでなく、例えば前述した図4及び図5の各形状の圧電素子33〜33等を用いることができる。基本的に振動板に繊維強化型プラスティック材を用いることにより、出力向上効果を得ることができる。但し、これは圧電発音素子のサイズ、必要再生周波数帯域等によって選択すべきである。
【0047】
なお、上例では、フレーム部材37を設けた構成としたが、フレーム部材37を設けず、樹脂シート35の外周部を直接に筐体26等の支持部に取り付けるように構成することもできる。また、樹脂シート35を用いずに、圧電振動板34の外周部に直接フレーム部材37を設けて筐体26等の支持部に取り付けるように構成することもできる。
【0048】
圧電振動板34の両面を被覆する樹脂シート35のうち、一方の樹脂シート35Aにポリプロピレン粘着シートを使用し、他方の樹脂シート35Bに熱可塑性樹脂シートを使用することもできる。この場合ポリプロピレン粘着シート35Aは、ポリプロピレン樹脂シートをベースとし、圧電素子33側の面に粘着層を有した粘着テープで形成される。厚みに関しては、ベースとなるポリプロピレン樹脂シートの厚さが例えば20〜40μm程度で、粘着層を含む総厚は例えば60〜80μm程度である。ポリプロピレンは汎用的なテープとしては、材料固有の機械的共振鋭度(Q値)が低く、音響材料に適している。このポリプロピレン粘着シート35Aを圧電振動板34の一方の面に貼り付け、音響特性の改善と、電極38の絶縁性及び圧電素子33の保護を確保している。熱可塑性樹脂シート35Bは、厚みが50μm〜100μm程度であり、振動板12の他方の面に熱圧着により貼り付けられる。熱可塑性樹脂シート35B自体のヤング率が小さく、前述のポリプロピレン樹脂シート35Aとの組み合わせにより、樹脂シート部に適度な強度を持たせることが可能である。
【0049】
上述した本実施の形態に係る圧電発音素子31によれば、振動板32として繊維強化型プラスティック材を用いることにより、同じ大きさの金属振動板を用いた圧電発音素子に比べて、殆ど全ての帯域で出力を大きくすることができる。従って、駆動電圧を同じにすれば出力を向上することができる。また同じ音圧特性とすれば駆動電圧小さくすることができる。
振動板32が圧電素子3より大きくするときは、圧電振動板34の外周部では繊維強化型プラスティック材のみの領域が存在するので、低域での音圧レベルを高くすることができる。
【0050】
圧電振動板34を樹脂シート35で被覆し、圧電発音素子を樹脂シート35の最外周部に対応する部分において機器の筐体に支持する構成とすることにより、次のような効果を奏する。
(1) 圧電振動板を構成する金属材料やプラスティック材料の持つ材料固有の減衰比に対して、樹脂シート35そのものの減衰比は大きく、この樹脂シート35の減衰効果によって、圧電振動板そのものの減衰効果を高めることが可能になる。この効果により、共振点近傍の山・谷の音圧差を抑制することができる。これにより、音圧周波数特性のより平坦性が得られる。
(2) 圧電振動板の全ての電極面が樹脂シート35で被覆することにより、端子部以外の全ての電極面が樹脂シート35で絶縁被覆され、電極面の絶縁性を確保できる。同時に外力による圧電素子部分の割れやひびの発生を抑制する効果も有る。
(3) フレーム部材37を有しない場合に、樹脂シート35の接着機能を利用して樹脂シート35の外周部分を指示部材、例えば機器の筐体内の支持部に直接に実装することができる。
(4) 樹脂シート35は、圧電振動板を支えるエッジも兼ね備えており、ある程度の強度を持っている必要がある。例えば何らかの外力により樹脂部に亀裂が入ったりすると振動前後の機密性が確保出来なくなり、音響特性の劣化が生じる。本実施の形態では、熱可塑性樹脂シート、ポリプロピレン粘着テープ、ポリエチレン粘着テープ等、ある程度の強度を持った樹脂シートを組み合わせることにより、樹脂部の強度を確保し、圧電発音素子の信頼性を確保することができる。圧電振動板を支える部分が樹脂シートであり、適度の柔軟性を有するので、大振動にも対応でき低音再生が改善される。
【0051】
圧電発音素子31では、所要の弾力性を有するフレーム部材37を一体に有し、このフレーム部材37を直接に機器の固定部に接合する構成であるので、寸法などの最適化により、小型且つ高音質化することができる。例えば機器内への実装前の状態において、フレーム部材37の取付け面に剥離紙51を被着して置くことにより、この剥離紙51によりフレーム部材37の取付け面は保護された状態になる。圧電発音素子31を機器内に実装する場合は、この剥離紙51を剥がして、所定の場所に貼り付け、僅かな加圧を加えることで実装することができる。フレーム部材37自体がビビリ音防止の機能を有しており、従来良く行われているようなビビリ音防止の為のクッション材を用いる必要もない。基本的に−40℃〜+85℃の熱衝撃に対して耐久性を有している。また、その他の落下衝撃等の試験についても、重量250gダミー機実装で、1m程度の落下試験で破壊することは無かった。圧電発音素子31の重量は、0.7g程度と軽量である。
【0052】
図23A,Bは、従来の支持方式による圧電発音素子、即ち振動体14を支持部17に直接取り付けた圧電発音素子11と、本発明のフレーム部材37を介した支持方式による圧電発音素子31との圧電振動板の変形時の比較を示す。従来構造では、振動体14の変形領域が、図23Aに示すように支持部17の内側間の距離Sとなる。一方、本発明の構造の場合、図23Bに示すように、弾力性を有するフレーム部材37が容易に変形し易いために、振動体36の変形領域はS’となる。本発明によれば、振動領域S’を発音素子外形Hに近づける事が可能であり、従来構造に対して、同形状であれば、音圧の改善が可能となる。また、本発明では、同音圧を得る為には形状を小さくする事が可能である。また、フレーム部材37は他部材への固着の働きも有しており、接着剤やネジ止めなどの手段を用いなくても、容易に他部材に固着する事が可能である。フレーム部材37の粘着面は柔らかいので、取り付け面の凹凸にもなじみ易く、仮に僅かな隙間が生じてもビビリ音の発生が殆ど生じない。また、フレーム部材25は、衝撃吸収の機能もあり、圧電発音素子21の耐衝撃信頼性の改善も可能である。同時に熱変化などの歪みに対してもフレーム部材25が歪みを吸収する為に、熱衝撃などに対する信頼性の改善も可能となる。
圧電スピーカーは、圧電素子の面内の伸縮歪みを面に対して垂直な方向の曲げに変換し、この面の曲げ振動によって音波を発生させるものである。一般的な音響信号は20Hz〜20kHz程度の帯域であるが、圧電発音素子の振動モードは、この帯域内でいくつもの面共振モードが発生する。この面共振の影響により、信号周波数の違いによる音圧の著しい差が生じると、音質が著しく劣化する。よって、高音質を達成する為には、周波数による音圧の変化を出来るだけ少なくする必要が有る。
【0053】
圧電発音素子において、圧電素子33を例えば図4A及びBに示すように、円形や正方形のような形状の素子33,33にすると、周波数による音圧最大点と音圧最小点の差が大きくなる。これは縦横の寸法が等しい為に特定の周波数での共振が起き易くなっている為である。
これを防ぐ為に、圧電素子33を、図5A,B及びCに示すように楕円形、長方形、或いは小判形の形状の素子33,33,33にすると縦横の寸法の違いにより共振モードを分散する事が出来るため、音質が改善する。
【0054】
圧電振動板を樹脂シートで被覆して振動体とし、且つ振動体に振動に追従して変形する部材を設けるときには、さらに音響特性の改善と、音圧周波数特性の平坦化とを併せて図ることができる。
【0055】
図24〜図26は、本発明の圧電発音素子の他の実施の形態を示す。
図24に示す圧電発音素子42は、繊維強化型プラスティック材による振動版32の片面に圧電素子33を接着し、圧電素子33の表面に電極38を設けた圧電振動板551を形成し、この圧電振動板551を樹脂シート35[35A,35B]で被覆し、樹脂シート35の外周部にフレーム部材37を固着して構成される。この圧電発音素子はモノモルフ型である。
【0056】
図25に示す圧電発音素子43は、繊維強化型プラスティック材による振動板32の両面に圧電素子33A,33Bを接着し、圧電素子33A,33Bの表面に電極38を形成したバイモルフ型の圧電振動板34を用い、圧電振動板34の一方の面に圧電振動板34より一回り大きい樹脂シート35Aを被覆し、圧電振動板34の他方の面に圧電振動板34と同じ大きさの樹脂シート35Bを被覆し、樹脂シート35Aの外周部にフレーム部材37を固着して構成される。
【0057】
図26に示す圧電発音素子44は、繊維強化型プラスティック材による振動板32の両面に圧電素子33A,33Bを接着し、圧電素子33A,33Bの表面に電極38を形成したバイモルフ型の圧電振動板34を用い、圧電振動板34の一方の面に圧電振動板34より一回り大きい樹脂シート35Aを被覆し、樹脂シート35Aの外周部にフレーム部材37を固着して構成される。その他に、図示せざるも圧電振動板を樹脂シートで被覆せず、直接振動板の外周部にフレーム部材37を固着した構成とすることもできる。
これらの圧電発音素子42〜44においても、上述した実施の形態と同様の効果を奏する。
【0058】
本発明に係る圧電発音素子は、振動板の片面に圧電素子を接着した構造(通常モノモルフ型)、振動板の両面に圧電素子を接着した構造(通常バイモルフ型という)に適用することができる。
本発明の圧電発音素子は、スピーカー、レシーバー、その他の発音素子等に適用される。
【0059】
【発明の効果】
本発明の圧電発音素子によれば、繊維強化型プラスティック振動板を用いることにより、全帯域にわたり音圧レベルが向上し音圧及び電圧の性能を改善する事が出来る。すなわち、駆動電圧を同じにすれば音圧特性を向上し、音圧特性を同じにすれば駆動電圧を小さくできる。
振動板を比剛性値が50〔GPa/cm/g〕以上、実用上は50〜200〔GPa/cm/g〕の範囲を満たす繊維強化型プラスティック材料で形成することにより、金属振動板を用いた圧電発音素子に比べて音圧及び電圧特性に優れた圧電発音素子を提供することができる。
振動板が圧電素子より大きくするときは、圧電振動板の外周部では繊維強化型プラスティック材のみの領域が存在するので、低域での音圧レベルを高くすることができる。
【0060】
圧電素子を円形の一部を直線でカットした形状にするときは、共振モードが分散し音質を改善することができる。
【0061】
振動体に、振動板の振動に追従して変形する部材を介して固定部に接合するときは、振動体の振動領域を圧電発音素子の外形に近づけることができ、振動体の振動領域が拡大し音響特性を改善することができる。同じ音響特性を得るのであれば形状を小型化することができる。振動に追従して変形する部材は、衝撃吸収の機能もあり、圧電発音素子の耐衝撃信頼性を改善することもできる。熱変化等の歪みに対しても上記変形する部材が歪みを吸収するため、熱衝撃等に対する信頼性を改善することができる。変形する部材を両面接着テープで形成するときは、取付け面の凹凸にもなじみ易く、仮に僅かな隙間が生じてもビビリ音の発生が殆どない。圧電発音素子と固定部との取付けを、音響特性を損なうことなく容易に行える。変形する部材のみが振動体と固定部間に介在するので、上記効果を達成することができる。
【0062】
圧電振動板を、圧電振動板より大きい面積の樹脂シートで被覆して振動体を形成するときは、圧電振動板の外周部に樹脂シートのみの領域が形成され、共振点近傍の山・谷の音圧差を抑制し、音圧周波数特性を平坦化することができる。
圧電振動板を樹脂シートで被覆して振動体とし、且つ振動体に振動に追従して変形する部材を設けるときには、さらに音響特性の改善と、音圧周波数特性の平坦化とを併せて図ることができる。
【0063】
繊維強化型プラスティックの振動板に、電極接続用の金属箔を貼り付けるときは、圧電素子の一方の電極が繊維強化型プラスティックの振動板を介して金属箔に電気的に接続され、圧電素子の電極の外部導出を容易にすることができる。
【0064】
本発明の圧電発音素子の製造方法によれば、上述した音圧及び電圧特性に優れた圧電発音素子を精度良く且つ容易に製造することができる。
振動板の両面に圧電素子を接合する工程を有するときは、いわゆるバイモルフ型圧電発音素子を製造することはできる。
振動板に圧電素子と電極接続用の金属箔を同時に接合するときは、圧電素子の電極の外部導出を容易にしたこの種の圧電発音素子を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る圧電発音素子の一実施の形態を示す構成図である。
【図2】図1の振動板の拡大断面図である。
【図3】A,B 夫々本発明に係る圧電発音素子の振動板に用いる繊維強化プラスティックの例を示す三面図である。
【図4】A、B 圧電素子の実施の形態を示す平面図である。
【図5】A〜D 圧電素子の実施の形態を示す平面図である。
【図6】A 本発明に適用される圧電素子の製造最初の状態を示す平面図である。
B 本発明に適用される完成された圧電素子の例を示す平面図である。
C 図6Aの圧電素子の断面図である。
【図7】特性測定に用いた比較例1に係る圧電発音素子の構成図である。
【図8】
比較例1に係る圧電発音素子の音圧ー周波数特性図である。
【図9】特性測定に用いた比較例2に係る圧電発音素子の構成図である。
【図10】比較例2に係る圧電発音素子の音圧ー周波数特性図である。
【図11】比較例1と比較例2の音圧ー周波数特性を重ねたグラフである。
【図12】特性測定に用いた本実施の形態に係る圧電発音素子の構成図である。
【図13】図12の本実施の形態に係る圧電発音素子の音圧ー周波数特性図である。
【図14】比較例1と比較例2と本実施の形態の音圧ー周波数特性を重ねたグラフである。
【図15】本発明の圧電発音素子の製造方法の一実施の形態を示す製造工程図(その1)である。
【図16】A,B 本発明の圧電発音素子の製造方法の一実施の形態を示す製造工程図(その2)である。
【図17】本発明の圧電発音素子の製造方法の一実施の形態を示す製造工程図(その3)である。
【図18】A,B 本発明の圧電発音素子の製造方法の一実施の形態を示す製造工程図(その4)である。
【図19】本発明の圧電発音素子の製造方法の一実施の形態を示す製造工程図(その5)である。
【図20】本発明の圧電発音素子の製造方法の一実施の形態を示す製造工程図(その6)である。
【図21】本発明の圧電発音素子の製造方法の一実施の形態を示す製造工程図(その7)である。
【図22】本発明の圧電発音素子の製造方法の一実施の形態を示す製造工程図(その8)である。
【図23】A,B 本発明に係る弾性を有するフレーム部材を有する圧電発音素子と従来の圧電発音素子の動作の説明に供する説明図である。
【図24】本発明に係る圧電発音素子の他の実施の形態を示す断面図である。
【図25】本発明に係る圧電発音素子の他の実施の形態を示す断面図である。
【図26】本発明に係る圧電発音素子の他の実施の形態を示す断面図である。
【図27】A,B 従来の圧電ブザーの構成図である。
【図28】A,B 従来の圧電素子の断面図である。
【図29】従来の積層圧電素子の構成図である。
【図30】A 非積層圧電素子の断面図である。
B 積層圧電素子の断面図である。
【符号の説明】
31・・圧電発音素子、32・・振動板、33〔33A,33B〕、33、33、33、33、33・・圧電素子、34・・圧電振動板、37・・フレーム部材、26・・筐体、27・・放音孔、34・・・圧電振動板、35〔35A,35B〕・・樹脂シート、36・・振動体、37・・・フレーム部材、38・・電極

Claims (13)

  1. 圧電素子と該圧電素子を貼り付けた振動板とからなる圧電振動板を少なくとも有する振動体を有し、
    前記振動板は、比剛性値が50[ GPa・cm/g] 以上の材料から成る
    ことを特徴とする圧電発音素子。
  2. 前記振動板は、比剛性値が50〜200[ GPa・cm/g] の範囲を満たす材料から成る
    ことを特徴とする請求項1記載の圧電発音素子。
  3. 前記振動板が、繊維強化型プラスティックの材料から成る
    ことを特徴とする請求項1記載の圧電発音素子。
  4. 前記圧電素子が円形の一部を直線でカットした形状である
    ことを特徴とする請求項1記載の圧電発音素子。
  5. 前記振動体が、振動体の振動に追従して変形する部材を介して固定部に接合されるようにして成る
    ことを特徴とする請求項1記載の圧電発音素子。
  6. 前記圧電振動板の少なくとも一方の面の全面が、該圧電振動板より大きい面積の樹脂シートで被覆されて成る
    ことを特徴とする請求項1記載の圧電発音素子。
  7. 前記圧電振動板の少なくとも一方の面の全面が、該圧電振動板より大きい面積の樹脂シートで被覆されて、前記振動体が構成され、
    前記樹脂シートに振動体の振動に追従して変形する部材が固着されて成る
    ことを特徴とする請求項1記載の圧電発音素子。
  8. 前記振動板の両面に前記圧電素子を貼り付けて成る
    ことを特徴とする請求項1記載の圧電発音素子。
  9. 前記振動板が前記圧電素子より大きく形成されて成る
    ことを特徴とする請求項1記載の圧電発音素子。
  10. 前記振動板に電極接続用の金属箔を貼り付けて成る
    ことを特徴とする請求項1記載の圧電発音素子。
  11. 少なくとも圧電素子と比剛性値が50〜200〔GPa・cm/g〕の範囲を満たす材料からなる振動板とを突合わせ加圧して仮接合を行う工程と、
    前記仮接合された仮接合体を、所要の加熱・加圧条件下で前記振動板の自己融着作用により、前記圧電素子と前記振動板との接合を行い圧電振動板を形成する工程とを有する
    ことを特徴とする圧電発音素子の製造方法。
  12. 前記振動板の両面に夫々前記圧電素子を仮接合する工程を有し、前記振動板の両面に圧電素子を接合した圧電振動板を形成する
    ことを特徴とする請求項11記載の圧電発音素子の製造方法。
  13. 前記振動板に前記圧電素子と電極接続用の金属箔とを仮接合する工程を有し、前記振動板に前記圧電素子と前記金属箔を接合した圧電振動板を形成する
    ことを特徴とする請求項11記載の圧電発音素子の製造方法。
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