JP2004262811A - 光学活性なラクトールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光学活性なラクトールの製造方法に関し、より詳しくは、メソ−ジオールを分子状酸素で酸化して光学活性なラクトールを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光学活性なラクトール類は、医農薬品等の合成用の重要なビルディングブロックの一つであり、また、多くの天然物において、そのサブユニットとして生じる。該光学活性なラクトール類を合成する種々の方法の中でも、メソ−ジオール類の不斉非対称化(エナンチオ場選択的酸化)が、該メソ−ジオール類の入手が容易なため、合成上の見地から魅力的である。
【0003】
生物学的な手法として、馬肝臓アルコール脱水素酵素が、メソ−ジオール類の不斉非対称化を高選択的に進行させることが知られているが、得られる生成物はラクトールではなくラクトンである。
【0004】
また、化学的な手法として、メソ−ジオール類の電解酸化が知られているが、この方法においても、生成物はラクトンである。
【0005】
従って、メソ−ジオール類のキラルなラクトール類への変換のためには、触媒がエナンチオ場選択性及び官能基選択性の両方を示す必要がある。
【0006】
これに対し、本発明者らは、ジアミユニットとしてテトラメチルエチレンジアミンを生ずる(ニトロシル)Ru(サレン)錯体が、光照射下で官能基選択的に1,n−ジオールの酸化反応を触媒し、ラクトールを生成することを報告した(非特許文献1及び2参照)。
【0007】
更に、上記(ニトロシル)Ru(サレン)錯体のサレン配位子を修飾することで、反応のエナンチオ選択性を向上させ得ることを報告した(非特許文献3参照)。
【0008】
【非特許文献1】
宮田,村上,入江,香月,テトラヒドロン・レター(Tetrahedron Letter),2001年,42巻,p.7067
【非特許文献2】
宮田,古川,入江,香月,テトラヒドロン・レター(Tetrahedron Letter),2002年,43巻,p.3481
【非特許文献3】
清水,中田,香月,ケミストリー・レターズ(Chemistry Letters),2002年,p.1080
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記非特許文献1〜3に記載の(ニトロシル)Ru(サレン)錯体は、メソ−ジオールから光学活性なラクトールを化学的に製造するための画期的な触媒であるが、軸配位子がCl以外のものは未だ開発されておらず、その機能も確かではない。
【0010】
そこで、本発明の目的は、メソ−ジオールから光学活性なラクトールを化学的に製造するための新規触媒の開発し、該触媒を用いた光学活性なラクトールの新規製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、従来、触媒として用いられていた(ニトロシル)Ru(サレン)錯体において、軸配位子をヒドロキシル基にした場合も良好なエナンチオ選択性でメソ−ジオールのラクトールへの酸化反応が進行し、基質によっては、生成物の光学純度を更に向上させることができるのを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
即ち、本発明の光学活性なラクトールの製造方法は、溶媒中で、下記式(I)又は式(II)で表される(ニトロシル)Ru(サレン)錯体を触媒として使用し、光照射下で、下記式(III)又は式(IV)で表されるメソ−ジオールを分子状酸素で酸化することを特徴とする。
【化13】
(式中、Ar1は、それぞれ独立して炭素数6〜18のアリール基である。)
【化14】
(式中、Ar2は、それぞれ独立して炭素数6〜18のアリール基である。)
【化15】
(式中、Aは炭素数1〜20のアルキレン基を示す。)
【化16】
(式中、Bは炭素数1〜5のアルキレン基を示す。)
【0013】
本発明の光学活性なラクトールの製造方法の好適例においては、前記式(I)で表される(ニトロシル)Ru(サレン)錯体において、Ar1が、フェニル基又は4−ビフェニリル基である。
【0014】
本発明の光学活性なラクトールの製造方法の他の好適例においては、前記式(II)で表される(ニトロシル)Ru(サレン)錯体において、Ar2が、フェニル基又は4−ビフェニリル基である。
【0015】
本発明の光学活性なラクトールの製造方法の他の好適例においては、前記式(III)で表されるメソ−ジオールが、メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロブタン、メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロペンタン、メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサン又はメソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘプタンである。
【0016】
本発明の光学活性なラクトールの製造方法の他の好適例においては、前記式(IV)で表されるメソ−ジオールがメソ−4,5−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘキセンである。
【0017】
本発明の光学活性なラクトールの製造方法の他の好適例においては、前記光学活性なラクトールが下記式(V)又は式(VI)で表される。
【化17】
(式中、Aは上記と同義である。)
【化18】
(式中、Bは上記と同義である。)
【0018】
ここで、前記(ニトロシル)Ru(サレン)錯体が式(I)で表される場合、前記ラクトールは、下記式(V−1)又は式(VI−1)で表される。
【化19】
(式中、Aは上記と同義である。)
【化20】
(式中、Bは上記と同義である。)
【0019】
一方、前記(ニトロシル)Ru(サレン)錯体が式(II)で表される場合、前記ラクトールは、下記式(V−2)又は式(VI−2)で表される。
【化21】
(式中、Aは上記と同義である。)
【化22】
(式中、Bは上記と同義である。)
【0020】
本発明の光学活性なラクトールの製造方法の他の好適例においては、前記光照射が、可視光照射である。
【0021】
本発明の光学活性なラクトールの製造方法の他の好適例においては、前記光照射をハロゲンランプで行う。
【0022】
本発明の光学活性なラクトールの製造方法の他の好適例においては、前記メソ−ジオールを空気で酸化する。
【0023】
本発明の光学活性なラクトールの製造方法の他の好適例においては、前記溶媒がハロゲン化炭化水素である。ここで、該ハロゲン化炭化水素は、クロロホルムであるのが更に好ましい。
【0024】
また、本発明の(ニトロシル)Ru(サレン)錯体は、下記式(I)又は式(II)で表される。
【化23】
(式中、Ar1は、それぞれ独立して炭素数6〜18のアリール基である。)
【化24】
(式中、Ar2は、それぞれ独立して炭素数6〜18のアリール基である。)
【0025】
本発明の錯体の好適例においては、前記式(I)において、Ar1がフェニル基又は4−ビフェニリル基である。
【0026】
本発明の錯体の他の好適例においては、前記式(II)において、Ar2がフェニル基又は4−ビフェニリル基である。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明で触媒として使用する(ニトロシル)Ru(サレン)錯体は、上記式(I)又は式(II)で表される光活性化型の触媒である。該式(I)及び式(II)の錯体は、軸配位子がClである対応する錯体をシリカゲルにさらすことで得られる。本発明の式(I)又は式(II)で表される錯体は、OH基が配位しており、該OH基はアルコール類と容易に置換できる。
【0028】
式(I)において、Ar1は、それぞれ独立して炭素数6〜18のアリール基であり、ここで、炭素数6〜18のアリール基としては、フェニル基、4−ビフェニリル基、4−(t−ブチルジメチルシリル)フェニル基、3,5−ジメチルフェニル基等が挙げられる。これらの中でも、Ar1としては、エナンチオ選択性の観点から、フェニル基及び4−ビフェニリル基が好ましい。
【0029】
一方、式(II)において、Ar2は、それぞれ独立して炭素数6〜18のアリール基であり、ここで、炭素数6〜18のアリール基としては、上記式(I)のAr1で述べたのと同様の基が挙げられる。これらの中でも、Ar2としては、エナンチオ選択性の観点から、フェニル基及び4−ビフェニリル基が好ましい。
【0030】
上記サレン錯体は、エチレンジアミン部が2つのアキシアルメチル基と1つのテトラメチレン基を有する。式(I)の(ニトロシル)Ru(サレン)錯体は、(R)−ビナフチルユニットと(R,R)−ジメチルシクロヘキサンユニットとを有し、この組み合わせを有することがメソ−ジオールの不斉非対称化に寄与するものと考えられる。一方、式(II)の(ニトロシル)Ru(サレン)錯体は、(S)−ビナフチルユニットと(S,S)−ジメチルシクロヘキサンユニットとを有し、この組み合わせを有することがメソ−ジオールの不斉非対称化に寄与するものと考えられる。
【0031】
また、本発明の反応メカニズムは次の様であると考えられる。本発明の(ニトロシル)Ru(サレン)錯体は2価のRu錯体であるが、該錯体から光照射によりニトロシル(NO)が解離し、Ru(III)(サレン)錯体が生成する。生成したRu(III)(サレン)錯体は酸素への1電子移動により酸化され、Ru(IV)(サレン)錯体となり、該Ru(IV)(サレン)錯体にメソ−ジオールが配位する。ここで、メソ−ジオールは、式(I)の錯体を用いた場合、(R)−ビナフチルユニット及び(R,R)−ジメチルシクロヘキサンユニットに対する立体障害が最も低くなるように式(I)のRu(IV)(サレン)錯体に配位し、続いて酸化される。一方、式(II)の錯体を用いた場合、(S)−ビナフチルユニット及び(S,S)−ジメチルシクロヘキサンユニットに対する立体障害が最も低くなるように式(II)のRu(IV)(サレン)錯体に配位し、続いて酸化される。こうして本発明の重要な効果の一つであるエナンチオ場選択性が発現したものと考えられる。本発明での触媒の使用量は、後述する基質のメソ−ジオールのモル量に対し、0.1〜20mol%、好ましくは1〜5mol%の範囲である。
【0032】
本発明にかかわるメソ−ジオールは、上記式(III)又は式(IV)で表される。式(III)のAとしての炭素数1〜20のアルキレンとしては、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン等が挙げられる。式(III)で表されるメソ−ジオールの中でも、入手し易さの点から、メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロブタン、メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロペンタン、メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサン又はメソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘプタンが好ましい。
【0033】
一方、式(IV)のBとしての炭素数1〜5のアルキレンとしては、メチレン、エチレン等が挙げられる。式(IV)で表されるメソ−ジオールの中でも、合成のし易さの点から、メソ−4,5−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘキセンが好ましい。
【0034】
本発明の製造方法において、基質としてメソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロブタン、メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサン、及びメソ−4,5−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘキセンを用いた場合、従来の軸配位子がClの(ON)Ru(サレン)錯体を触媒として用いた製造方法よりも、高いエナンチオ選択性でメソ−ジオールからラクトールへの酸化反応を進行させることができる。
【0035】
本発明の製造方法で得られる光学活性なラクトールは、上記式(III)又は式(IV)で表されるメソ−ジオールに対応するものであり、上記式(V)又は式(VI)で表される。式(V)中のAは、前述の式(III)におけるAと同じであり、式(VI)中のBは、前述の式(IV)におけるBと同じである。また、式(V)及び(VI)において、水酸基が結合している炭素における立体配置は問わない。
【0036】
本発明の製造方法において、触媒として前記式(I)の錯体を用いた場合、生成物は、上記式(V−1)及び(VI−1)で表される(1R,nS)体が主となる。一方、式(II)の錯体を用いた場合、生成物は、上記式(V−2)及び(VI−2)で表される(1S,nR)体が主となる。従って、本発明の方法においては、触媒を適宜選択することにより、(1R,nS)体又は(1S,nR)体を主生成物とすることができる。
【0037】
本発明では分子状酸素(O2)を酸化剤として用いる。分子状酸素は最も経済的な酸化剤であり、本発明はこの安価な酸化剤を用いる点で経済的であるとともに、環境に悪影響を及ぼすような物質を副生しない点で環境への負荷が小さい環境調和型反応である。分子状酸素は、空気から分離した純酸素でもよいが、空気をそのまま用いるのがより経済的で好ましい。
【0038】
本発明では、光照射下でメソ−ジオールを酸化する。本発明の触媒である(ニトロシル)Ru(サレン)錯体は、光照射によりニトロシル(NO)基が脱離して活性化する。光照射としては可視光照射が適当であり、460nm付近の光が望ましい。具体的には、ハロゲンランプ、白熱灯等の利用によって十分に反応を進行させることができ、その中でもハロゲンランプが好ましい。また、これらを光源として赤外線フィルターを通して実施することもできる。本発明は、完全な暗室では進行しないが、自然光照射でも反応は進行し、従って、通常の実験室の操作でも、反応はある程度進行する。
【0039】
本発明の方法によれば、メソ−ジオールを酸化してラクトールを製造できる。メソ−ジオールを酸化すると、ラクトールを経由してラクトンまで酸化される可能性があるが、本発明の方法ではラクトールで反応を選択的に止めることができる。従って、複雑な構造をもつ天然有機化合物の合成過程で、ラクトールを選択的に生成させる必要がある場合に、本発明は非常に有用である。
【0040】
本発明の方法は、メディエーターを必要としないといった特徴がある。これまでのアルコール性水酸基を有する化合物の触媒的酸素酸化反応は、触媒と酸素の他にメディエーターを必要とするものが多く、例えば、ハイドロキノンとベンゾキノンの酸化還元サイクルの助けを借りていた。本発明は、メディエーターを必要としない点で反応系が簡略化されており、経済的にも利点がある。
【0041】
本発明の方法は、溶媒中で実施される。溶媒は特に限定されず、例えば、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル、アセトン等のケトン、酢酸エチル等のエステル、トルエン等の炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン及び1,1,2,2−テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素等が例示できる。これらの中でも、鏡像体過剰率を向上させる観点から、ハロゲン化炭化水素が好ましく、クロロホルムが更に好ましい。溶媒の使用量は、基質のメソ−ジオール1mmolに対し、2〜20mL、好ましくは5〜10mLの範囲である。
【0042】
本発明において、生成物の鏡像体過剰率は、生成したラクトールをラクトンに転換した後、光学活性カラムを用いたガス液体クロマトグラフィー(GLC)により測定することができる。ここで、ラクトンへの変換に用いる酸化剤としては、二クロム酸ピリジニウム等を用いることができる。
【0043】
本発明の方法は、光照射下、室温で行うことができる。温度は特に限定されず、0〜40℃の範囲で実施できるが、室温で好適に実施できるため、温度調節にかかるコストが省け経済的にも有利である。
【0044】
本発明では、空気又は酸素下において、基質のメソ−ジオールと前記(ニトロシル)Ru(サレン)錯体とを溶媒中で光照射の下に撹拌することによって、メソ−ジオールを酸化する。反応操作は光照射と撹拌のみでもよいが、空気又は酸素をバブリングしてもよく、バブリングにより分子状酸素を基質のメソ−ジオールと前記(ニトロシル)Ru(サレン)錯体とに効率よく接触させることができる。反応時間は、基質に応じて適宜選択され、酸化され易い基質の場合は短く、酸化され難い基質の場合は長くするのが好ましい。
【0045】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。
【0046】
(錯体合成例1)
(1R,2R)−1,2−ジメチル−1,2−シクロヘキサンジアミン・二(S)−マンデル酸塩[W. Zhang and E. N. Jacobsen, Tetrahedron Lett., 32, 1711(1991)に記載の方法にて合成](350mg, 0.78mmol)をエタノール(10mL)に溶解させ、1M−水酸化カリウムエタノール溶液(1.6mL)を加える。この溶液に(R)−3−フォルミル−2−ヒドロキシ−2’−フェニル−1,1’−ビナフチル[H. Sakaki, R. Irie, T. Hamada, K. Suzuki, and T.Katsuki, Tetrahedron, 50(41), 11827−11838(1994)等に記載の方法にて合成](580mg, 1.57mmol)を加えて室温下12時間撹拌する。反応完結後、生じた無機塩をセライト上にてろ去し、ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮(以後、減圧濃縮と記す)する。窒素雰囲気下にて残渣を無水テトラヒドロフラン(10mL)に溶解させた後、水素化ナトリウム(油性、約60%)[キシダ化学株式会社](67mg, 1.65mmol)を加え、60℃にて1時間撹拌する。その後、テトラヒドロフランを減圧下にて留去し、無水トルエン(20mL)を加える。続いて、トリクロロニトロシルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)[R. E. Townsend and K. J. Coskran, Inorganic Chemistry, 10(8), 1661に記載の方法にて調製](888mg, 1.12mmol)を加えて20時間加熱還流する。反応終了後トルエンを減圧濃縮し、残渣をフロリジル(100−200mesh)フラッシュカラムクロマトグラフ(流出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=9/1から7/3)によって精製する。得られた粗結晶をジクロロメタンより再結晶して、上記式(I)において、Ar1がフェニル基であり、OHの代わりにClが配位した(ニトロシル)Ru(サレン)錯体A(370mg, 収率47%)を得る。
【0047】
上記の方法で得られた錯体Aの元素分析の結果は、H 4.82%、C 71.83%、N 3.93%であり、C63H50ClN3O3Ru・1/4CH2Cl2の理論値(H 4.70%、C 71.83%、N 4.04%)と非常に良く一致していた。
【0048】
(錯体合成例2)
上記錯体合成例1で得られた(ニトロシル)Ru(サレン)錯体Aを、12時間シリカゲル[富士シリシア(株)製, FL100B]にさらし、上記式(I)で表され且つAr1がフェニル基である(ニトロシル)Ru(サレン)錯体Bを合成した。
【0049】
上記方法で得られた錯体BのIR測定(KBr法)の結果は、3539, 3049, 2947, 1813, 1612, 1576, 1489, 1423, 1379, 1319, 1188, 1117, 949, 743, 696cm−1であった。
【0050】
(錯体合成例3)
(1S,2S)−1,2−ジメチル−1,2−シクロヘキサンジアミン・二(R)−マンデル酸塩[W. Zhang and E. N. Jacobsen, Tetrahedron Lett., 32, 1711(1991)に記載の方法にて合成](100mg, 0.22mmol)をエタノール(3mL)に溶解させ、1M−水酸化カリウムエタノール溶液(0.47mL)を加える。この溶液に(S)−3−フォルミル−2−ヒドロキシ−2’−(p−ビフェニル)−1,1’−ビナフチル[H. Sakaki, R. Irie, T. Hamada, K. Suzuki, and T.Katsuki, Tetrahedron, 50(41), 11827(1994)に記載の方法を基に合成](196mg, 0.44mmol)を加えて室温下19時間撹拌する。反応完結後、生じた無機塩をセライト上にてろ去し、ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮(以後、減圧濃縮と記す)する。窒素雰囲気下にて残渣を無水テトラヒドロフラン(3mL)に溶解させた後、水素化ナトリウム(油性、約60%)[キシダ化学株式会社](16mg, 0.40mmol)を加え、60℃にて1時間撹拌する。その後、テトラヒドロフランを減圧下にて留去し、無水トルエン(3mL)を加える。続いて、トリクロロニトロシルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)[R. E. Townsend and K. J. Coskran, Inorganic Chemistry, 10(8), 1661に記載の方法にて調製](205mg, 0.27mmol)を加えて16時間加熱還流する。反応終了後トルエンを減圧濃縮し、残渣をフロリジル(100−200mesh)フラッシュカラムクロマトグラフ(流出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=9/1から7/3)によって精製する。得られた粗結晶をジクロロメタンより再結晶して、上記式(II)において、Ar2が4−ビフェニリル基であり、OHの代わりにClが配位した(ニトロシル)Ru(サレン)錯体C(36mg, 収率17%)を得る。また、同時に上記式(II)で表され且つAr2が4−ビフェニリル基である(ニトロシル)Ru(サレン)錯体D(59mg, 収率28%)も得られる。
【0051】
上記方法で得られた錯体CのIR測定(KBr法)の結果は、3049, 2934, 1832, 1609, 1576, 1317, 1113, 949, 741, 694cm−1であった。また、錯体Dの元素分析の結果は、H 4.89%、C 72.53%、N 3.35%であり、C74H57N3O4Ru・CH2Cl2の理論値(H 4.80%、C 72.75%、N 3.39%)と非常に良く一致していた。
【0052】
(実施例1)
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物[Aldrich Chem. Co.]を水素化リチウムアルミニウム[関東化学株式会社]で還元して、メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサンを得る。該メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサン(14.4mg, 0.1mmol)及び上記錯体合成例2で合成した(ニトロシル)Ru(サレン)錯体B(2.0mg, 2μmol)を無水クロロホルム(0.5mL)に溶解させる。該溶液に、室温で2.5日間、ハロゲンランプ(15V, 150W)で光照射を行った。反応終了後、反応混合物をヘキサン/酢酸エチル(=1/1)混合液を溶出液としてシリカゲルでクロマトグラフ分離し、(1R,6S,9RS)−9−ヒドロキシ−8−オキサビシクロ[4.3.0]ノナン(4.0mg, 収率28%)を得た。
【0053】
次に、得られた生成物(ラクトール)とモレキュラーシーブ4A(120mg)とを無水ジクロロメタン(0.5mL)に懸濁させ、更に二クロム酸ピリジニウム(PDC)(60mg, 0.16mmol)を加える。該混合物を室温で6時間撹拌の後、ヘキサン/酢酸エチル混合液(=4/1)で希釈し、シリカゲルパッドを通してろ過した。濾液を減圧下で濃縮し、得られたラクトンを、光学活性カラム(SUPELCO BETA−DEX−225)を用いてガス液体クロマトグラフィー(GLC)で分析したところ、(1R,6S)体が主で、鏡像体過剰率は70%eeであった。なお、絶対配置は、I. J. Jakovac, H. B. Goodbrand, K. P. Lok及びJ. B. Jones, J. Am. Chem. Soc., 104, 4659(1982).を参照し、対応するラクトンの比旋光度と比較して決定した。
【0054】
上記ラクトールの1H−NMR(CDCl3)測定の結果は、δ5.17(s, 1H);4.05(t, J=8.0Hz, 1H);3.72(t, J=8.0Hz, 1H);2.63(d, J=3.2Hz, 1H);2.60−2.50(m, 1H);2.08−2.01(m, 1H);1.70−1.52(m, 4H);1.46−1.38(m, 2H);1.36−1.24(m, 2H)であった。
【0055】
上記実施例1に対応する反応式を下記に示す。
【化25】
【0056】
(実施例2)
シス−シクロブタン−1,2−ジカルボン酸[Fluka Chemie]を硫酸存在下メタノール中でエステル化し、引き続いて水素化リチウムアルミニウム[関東化学株式会社]で還元して、メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロブタンを得る。該メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロブタン(11.6mg, 0.1mmol)及び上記錯体合成例2で合成した(ニトロシル)Ru(サレン)錯体B(2.0mg, 2μmol)を無水クロロホルム(0.5mL)に溶解させる。該溶液に、室温で3日間、ハロゲンランプ(15V, 150W)で光照射を行った。反応終了後、反応混合物をヘキサン/酢酸エチル(=1/1)混合液を溶出液としてシリカゲルでクロマトグラフ分離し、(1R,4S,7RS)−7−ヒドロキシ−6−オキサビシクロ[3.2.0]ヘプタン(3.7mg, 収率32%)を得た。
【0057】
次に、得られた生成物(ラクトール)を実施例1と同様にしてラクトンに変換し、光学活性カラム(SUPELCO BETA−DEX−225)を用いてガス液体クロマトグラフィー(GLC)で分析したところ、(1R,4S)体が主で、鏡像体過剰率は66%eeであった。なお、絶対配置は、I. J. Jakovac, G. Ng, K. P. Lok及びJ. B. Jones, J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1980, 515.を参照し、対応するラクトンの比旋光度と比較して決定した。
【0058】
上記ラクトールの1H−NMR(CDCl3)測定の結果は、δ5.35(s, 1H);4.04(dd, J=9.0, 5.6Hz, 1H);3.84(d, J=9.0Hz, 1H);3.02−2.95(m, 1H);2.92−2.86(m, 1H);2.55(br s, 1H);2.24−2.06(m, 2H);1.74−1.64(m, 2H)であった。
【0059】
上記実施例2に対応する反応式を下記に示す。
【化26】
【0060】
(実施例3)
トランス−DL−1,2−シクロペンタンジカルボン酸[Aldrich Chem. Co.]を200℃にて加熱し、シス−1,2−シクロペンタンジカルボン酸無水物を得る。この酸無水物を水素化リチウムアルミニウム[関東化学株式会社]で還元して、メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロペンタンを得る。該メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロペンタン(13.0mg, 0.1mmol)及び上記錯体合成例2で合成した(ニトロシル)Ru(サレン)錯体B(2.0mg, 2μmol)を無水クロロホルム(0.5mL)に溶解させる。該溶液に、室温で3日間、ハロゲンランプ(15V, 150W)で光照射を行った。反応終了後、反応混合物をヘキサン/酢酸エチル(=1/1)混合液を溶出液としてシリカゲルでクロマトグラフ分離し、(1R,5S,8RS)−8−ヒドロキシ−7−オキサビシクロ[3.3.0]オクタン(4.3mg, 収率34%)を得た。
【0061】
次に、得られた生成物(ラクトール)を実施例1と同様にしてラクトンに変換し、光学活性カラム(SUPELCO BETA−DEX−225)を用いてガス液体クロマトグラフィー(GLC)で分析したところ、(1R,5S)体が主で、鏡像体過剰率は64%eeであった。なお、絶対配置は、I. J. Jakovac, G. Ng, K. P. Lok及びJ. B. Jones, J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1980, 515.を参照し、対応するラクトンの比旋光度と比較して決定した。
【0062】
上記ラクトールの1H−NMR(CDCl3)測定の結果は、δ5.22(s, 1H);4.19(dd, J=8.8, 7.3Hz, 1H);3.64(dd, J=8.8, 2.5Hz, 1H);2.82−2.74(m, 1H);2.59(dt, 8.8, 4.9Hz, 1H);2.46(d, J=2.2Hz, 1H);1.84−1.76(m, 2H);1.65−1.40(m, 4H)であった。
【0063】
上記実施例3に対応する反応式を下記に示す。
【化27】
【0064】
(実施例4)
シス−シクロヘプタンジカルボン酸無水物[Sicher, J., Sipos, F.及びJones, J., Colln Czech. Chem. Commun., 26(1961), 262.に記載の方法にて合成]を水素化リチウムアルミニウム[関東化学株式会社]で還元して、メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘプタンを得る。該メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘプタン(15.8mg, 0.1mmol)及び前記上記錯体合成例2で合成した(ニトロシル)Ru(サレン)錯体B(2.0mg, 2μmol)を無水クロロホルム(0.5mL)に溶解させる。該溶液に、室温で3日間、ハロゲンランプ(15V, 150W)で光照射を行った。反応終了後、反応混合物をヘキサン/酢酸エチル(=1/1)混合液を溶出液としてシリカゲルでクロマトグラフ分離し、(1R,7S,10RS)−10−ヒドロキシ−9−オキサビシクロ[5.3.0]デカン(4.7mg, 収率30%)を得た。
【0065】
次に、得られた生成物(ラクトール)を実施例1と同様にしてラクトンに変換し、光学活性カラム(SUPELCO BETA−DEX−225)を用いてガス液体クロマトグラフィー(GLC)で分析したところ、鏡像体過剰率は62%eeであった。
【0066】
上記ラクトールの1H−NMR(CDCl3)測定の結果は、δ5.10(t, J=2.9Hz, 1H);4.22(t, J=8.4Hz, 1H);3.52(dd, J=8.4, 5.9Hz, 1H);2.66(d, J=2.9Hz, 1H);2.63−2.53(m, 1H);2.19(ddt, J=12, 9.0, 2.9Hz, 1H);1.94−1.70(m, 5H);1.60−1.18(m, 5H)であった。
【0067】
上記実施例4に対応する反応式を下記に示す。
【化28】
【0068】
(実施例5)
シス−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物[Aldrich Chem. Co.]を水素化リチウムアルミニウム[関東化学株式会社]で還元して、メソ−4,5−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘキセンを得る。該メソ−4,5−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘキセン(14.2mg, 0.1mmol)及び上記錯体合成例2で合成した(ニトロシル)Ru(サレン)錯体B(2.0mg, 2μmol)を無水クロロホルム(0.5mL)に溶解させる。該溶液に、室温で3日間、ハロゲンランプ(15V, 150W)で光照射を行った。反応終了後、反応混合物をヘキサン/酢酸エチル(=1/1)混合液を溶出液としてシリカゲルでクロマトグラフ分離し、(1R,6S,9RS)−9−ヒドロキシ−8−オキサビシクロ[4.3.0]ノナ−3−エン(3.5mg, 収率25%)を得た。
【0069】
次に、得られた生成物(ラクトール)を実施例1と同様にしてラクトンに変換し、光学活性カラム(SUPELCO BETA−DEX−225)を用いてガス液体クロマトグラフィー(GLC)で分析したところ、(1R,6S)体が主で、鏡像体過剰率は71%eeであった。なお、絶対配置は、H. J. Gais, K. L. Lukas, W. A. Ball, S. Braum及びH. J. Lindner, Liebigs Ann. Chem., 1986, 687.を参照し、対応するラクトンの比旋光度と比較して決定した。
【0070】
上記ラクトールの1H−NMR(CDCl3)測定の結果は、δ5.68(m, 2H);5.17(s, 1H);4.13(t, J=8.0Hz, 1H);3.59(t, J=8.0Hz, 1H);2.98(d, J=3.2Hz, 1H);2.69(m, 1H);2.36−2.18(m, 3H);1.98−1.86(m, 2H)であった。
【0071】
上記実施例5に対応する反応式を下記に示す。
【化29】
【0072】
(比較例1〜5)
上記実施例1〜5において、錯体Bの代わりに、上記錯体合成例1で合成した(ニトロシル)Ru(サレン)錯体Aを触媒として用いる以外は同様にして行った。結果を表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
表1より、式(I)で表される錯体も高いエナンチオ選択性でメソ−ジオールからラクトールへの酸化反応を触媒できることが分かる。なお、基質がメソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロペンタン、メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘプタンの場合、OHが配位した錯体BとClが配位した錯体Aのエナンチオ選択性は同等であるが、基質がメソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロブタン、メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサン、及びメソ−4,5−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘキセンを用いた場合は、錯体Aよりも錯体Bの方が、エナンチオ選択性の点で優れていることが分かる。
【0075】
(比較例6)
上記実施例1において、錯体Bの代わりに、上記錯体合成例3で合成した(ニトロシル)Ru(サレン)錯体C(2μmol)を触媒として用いる以外は同様にして行った。結果を表2に示す。
【0076】
(実施例6)
上記実施例1において、錯体Bの代わりに、上記錯体合成例3で合成した(ニトロシル)Ru(サレン)錯体D(2μmol)を触媒として用いる以外は同様にして行った。結果を表2に示す。
【0077】
(実施例7)
反応時間を7日間とし、錯体Dの使用量を4μmol(4.6mg)とする以外は実施例6と同様にして行った。結果を表2に示す。
【0078】
【表2】
【0079】
実施例6及び7に対応する反応式を下記に示す。
【化30】
【0080】
表2より、OHが配位した錯体Dを触媒として用いた方が、Clが配位した錯体Cを触媒として用いた場合よりも、反応のエナンチオ選択性が高く、また、錯体Dの使用量を増やし、反応時間を長くすることで、生成物の光学純度を低下させることなく、収率を向上させ得ることが分かる。
【0081】
(実施例8〜11)
メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサン(0.1mmol)に代えて、実施例8ではメソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロブタン(0.1mmol)、実施例9ではメソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロペンタン(0.1mmol)、実施例10ではメソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘプタン(0.1mmol)、実施例11ではメソ−4,5−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘキセン(0.1mmol)を用いた以外は、実施例7と同様にして行い、実施例2〜5に記載の方法で分析した。結果を表3に示す。
【0082】
【表3】
【0083】
実施例8〜11に対応する反応式を下記に示す。
【化31】
【0084】
実施例8〜11より、式(II)で表される錯体も高いエナンチオ選択性でメソ−ジオールからラクトールへの酸化反応を触媒できることが分かる。なお、基質がメソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロペンタン、メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘプタンの場合、錯体Bと同様に錯体Aと同等のエナンチオ選択性を示したが、基質がメソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロブタン及びメソ−4,5−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘキセンの場合は、錯体Bよりも錯体Dの方が、エナンチオ選択性の点で更に優れていることが分かる。
【0085】
【発明の効果】
本発明の錯体を触媒として用いれば、メソ−ジオールから光学活性なラクトールを得ることができる。また、該錯体を用いた本発明の光学活性なラクトールの製造方法は、安価で環境に対して安全な分子状酸素を用いるため、経済的であるとともに環境に調和した製造方法でもある。上述した本発明の製造方法及び錯体は、特に医農薬品の合成において非常に有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は光学活性なラクトールの製造方法に関し、より詳しくは、メソ−ジオールを分子状酸素で酸化して光学活性なラクトールを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光学活性なラクトール類は、医農薬品等の合成用の重要なビルディングブロックの一つであり、また、多くの天然物において、そのサブユニットとして生じる。該光学活性なラクトール類を合成する種々の方法の中でも、メソ−ジオール類の不斉非対称化(エナンチオ場選択的酸化)が、該メソ−ジオール類の入手が容易なため、合成上の見地から魅力的である。
【0003】
生物学的な手法として、馬肝臓アルコール脱水素酵素が、メソ−ジオール類の不斉非対称化を高選択的に進行させることが知られているが、得られる生成物はラクトールではなくラクトンである。
【0004】
また、化学的な手法として、メソ−ジオール類の電解酸化が知られているが、この方法においても、生成物はラクトンである。
【0005】
従って、メソ−ジオール類のキラルなラクトール類への変換のためには、触媒がエナンチオ場選択性及び官能基選択性の両方を示す必要がある。
【0006】
これに対し、本発明者らは、ジアミユニットとしてテトラメチルエチレンジアミンを生ずる(ニトロシル)Ru(サレン)錯体が、光照射下で官能基選択的に1,n−ジオールの酸化反応を触媒し、ラクトールを生成することを報告した(非特許文献1及び2参照)。
【0007】
更に、上記(ニトロシル)Ru(サレン)錯体のサレン配位子を修飾することで、反応のエナンチオ選択性を向上させ得ることを報告した(非特許文献3参照)。
【0008】
【非特許文献1】
宮田,村上,入江,香月,テトラヒドロン・レター(Tetrahedron Letter),2001年,42巻,p.7067
【非特許文献2】
宮田,古川,入江,香月,テトラヒドロン・レター(Tetrahedron Letter),2002年,43巻,p.3481
【非特許文献3】
清水,中田,香月,ケミストリー・レターズ(Chemistry Letters),2002年,p.1080
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記非特許文献1〜3に記載の(ニトロシル)Ru(サレン)錯体は、メソ−ジオールから光学活性なラクトールを化学的に製造するための画期的な触媒であるが、軸配位子がCl以外のものは未だ開発されておらず、その機能も確かではない。
【0010】
そこで、本発明の目的は、メソ−ジオールから光学活性なラクトールを化学的に製造するための新規触媒の開発し、該触媒を用いた光学活性なラクトールの新規製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、従来、触媒として用いられていた(ニトロシル)Ru(サレン)錯体において、軸配位子をヒドロキシル基にした場合も良好なエナンチオ選択性でメソ−ジオールのラクトールへの酸化反応が進行し、基質によっては、生成物の光学純度を更に向上させることができるのを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
即ち、本発明の光学活性なラクトールの製造方法は、溶媒中で、下記式(I)又は式(II)で表される(ニトロシル)Ru(サレン)錯体を触媒として使用し、光照射下で、下記式(III)又は式(IV)で表されるメソ−ジオールを分子状酸素で酸化することを特徴とする。
【化13】
(式中、Ar1は、それぞれ独立して炭素数6〜18のアリール基である。)
【化14】
(式中、Ar2は、それぞれ独立して炭素数6〜18のアリール基である。)
【化15】
(式中、Aは炭素数1〜20のアルキレン基を示す。)
【化16】
(式中、Bは炭素数1〜5のアルキレン基を示す。)
【0013】
本発明の光学活性なラクトールの製造方法の好適例においては、前記式(I)で表される(ニトロシル)Ru(サレン)錯体において、Ar1が、フェニル基又は4−ビフェニリル基である。
【0014】
本発明の光学活性なラクトールの製造方法の他の好適例においては、前記式(II)で表される(ニトロシル)Ru(サレン)錯体において、Ar2が、フェニル基又は4−ビフェニリル基である。
【0015】
本発明の光学活性なラクトールの製造方法の他の好適例においては、前記式(III)で表されるメソ−ジオールが、メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロブタン、メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロペンタン、メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサン又はメソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘプタンである。
【0016】
本発明の光学活性なラクトールの製造方法の他の好適例においては、前記式(IV)で表されるメソ−ジオールがメソ−4,5−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘキセンである。
【0017】
本発明の光学活性なラクトールの製造方法の他の好適例においては、前記光学活性なラクトールが下記式(V)又は式(VI)で表される。
【化17】
(式中、Aは上記と同義である。)
【化18】
(式中、Bは上記と同義である。)
【0018】
ここで、前記(ニトロシル)Ru(サレン)錯体が式(I)で表される場合、前記ラクトールは、下記式(V−1)又は式(VI−1)で表される。
【化19】
(式中、Aは上記と同義である。)
【化20】
(式中、Bは上記と同義である。)
【0019】
一方、前記(ニトロシル)Ru(サレン)錯体が式(II)で表される場合、前記ラクトールは、下記式(V−2)又は式(VI−2)で表される。
【化21】
(式中、Aは上記と同義である。)
【化22】
(式中、Bは上記と同義である。)
【0020】
本発明の光学活性なラクトールの製造方法の他の好適例においては、前記光照射が、可視光照射である。
【0021】
本発明の光学活性なラクトールの製造方法の他の好適例においては、前記光照射をハロゲンランプで行う。
【0022】
本発明の光学活性なラクトールの製造方法の他の好適例においては、前記メソ−ジオールを空気で酸化する。
【0023】
本発明の光学活性なラクトールの製造方法の他の好適例においては、前記溶媒がハロゲン化炭化水素である。ここで、該ハロゲン化炭化水素は、クロロホルムであるのが更に好ましい。
【0024】
また、本発明の(ニトロシル)Ru(サレン)錯体は、下記式(I)又は式(II)で表される。
【化23】
(式中、Ar1は、それぞれ独立して炭素数6〜18のアリール基である。)
【化24】
(式中、Ar2は、それぞれ独立して炭素数6〜18のアリール基である。)
【0025】
本発明の錯体の好適例においては、前記式(I)において、Ar1がフェニル基又は4−ビフェニリル基である。
【0026】
本発明の錯体の他の好適例においては、前記式(II)において、Ar2がフェニル基又は4−ビフェニリル基である。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明で触媒として使用する(ニトロシル)Ru(サレン)錯体は、上記式(I)又は式(II)で表される光活性化型の触媒である。該式(I)及び式(II)の錯体は、軸配位子がClである対応する錯体をシリカゲルにさらすことで得られる。本発明の式(I)又は式(II)で表される錯体は、OH基が配位しており、該OH基はアルコール類と容易に置換できる。
【0028】
式(I)において、Ar1は、それぞれ独立して炭素数6〜18のアリール基であり、ここで、炭素数6〜18のアリール基としては、フェニル基、4−ビフェニリル基、4−(t−ブチルジメチルシリル)フェニル基、3,5−ジメチルフェニル基等が挙げられる。これらの中でも、Ar1としては、エナンチオ選択性の観点から、フェニル基及び4−ビフェニリル基が好ましい。
【0029】
一方、式(II)において、Ar2は、それぞれ独立して炭素数6〜18のアリール基であり、ここで、炭素数6〜18のアリール基としては、上記式(I)のAr1で述べたのと同様の基が挙げられる。これらの中でも、Ar2としては、エナンチオ選択性の観点から、フェニル基及び4−ビフェニリル基が好ましい。
【0030】
上記サレン錯体は、エチレンジアミン部が2つのアキシアルメチル基と1つのテトラメチレン基を有する。式(I)の(ニトロシル)Ru(サレン)錯体は、(R)−ビナフチルユニットと(R,R)−ジメチルシクロヘキサンユニットとを有し、この組み合わせを有することがメソ−ジオールの不斉非対称化に寄与するものと考えられる。一方、式(II)の(ニトロシル)Ru(サレン)錯体は、(S)−ビナフチルユニットと(S,S)−ジメチルシクロヘキサンユニットとを有し、この組み合わせを有することがメソ−ジオールの不斉非対称化に寄与するものと考えられる。
【0031】
また、本発明の反応メカニズムは次の様であると考えられる。本発明の(ニトロシル)Ru(サレン)錯体は2価のRu錯体であるが、該錯体から光照射によりニトロシル(NO)が解離し、Ru(III)(サレン)錯体が生成する。生成したRu(III)(サレン)錯体は酸素への1電子移動により酸化され、Ru(IV)(サレン)錯体となり、該Ru(IV)(サレン)錯体にメソ−ジオールが配位する。ここで、メソ−ジオールは、式(I)の錯体を用いた場合、(R)−ビナフチルユニット及び(R,R)−ジメチルシクロヘキサンユニットに対する立体障害が最も低くなるように式(I)のRu(IV)(サレン)錯体に配位し、続いて酸化される。一方、式(II)の錯体を用いた場合、(S)−ビナフチルユニット及び(S,S)−ジメチルシクロヘキサンユニットに対する立体障害が最も低くなるように式(II)のRu(IV)(サレン)錯体に配位し、続いて酸化される。こうして本発明の重要な効果の一つであるエナンチオ場選択性が発現したものと考えられる。本発明での触媒の使用量は、後述する基質のメソ−ジオールのモル量に対し、0.1〜20mol%、好ましくは1〜5mol%の範囲である。
【0032】
本発明にかかわるメソ−ジオールは、上記式(III)又は式(IV)で表される。式(III)のAとしての炭素数1〜20のアルキレンとしては、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン等が挙げられる。式(III)で表されるメソ−ジオールの中でも、入手し易さの点から、メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロブタン、メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロペンタン、メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサン又はメソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘプタンが好ましい。
【0033】
一方、式(IV)のBとしての炭素数1〜5のアルキレンとしては、メチレン、エチレン等が挙げられる。式(IV)で表されるメソ−ジオールの中でも、合成のし易さの点から、メソ−4,5−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘキセンが好ましい。
【0034】
本発明の製造方法において、基質としてメソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロブタン、メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサン、及びメソ−4,5−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘキセンを用いた場合、従来の軸配位子がClの(ON)Ru(サレン)錯体を触媒として用いた製造方法よりも、高いエナンチオ選択性でメソ−ジオールからラクトールへの酸化反応を進行させることができる。
【0035】
本発明の製造方法で得られる光学活性なラクトールは、上記式(III)又は式(IV)で表されるメソ−ジオールに対応するものであり、上記式(V)又は式(VI)で表される。式(V)中のAは、前述の式(III)におけるAと同じであり、式(VI)中のBは、前述の式(IV)におけるBと同じである。また、式(V)及び(VI)において、水酸基が結合している炭素における立体配置は問わない。
【0036】
本発明の製造方法において、触媒として前記式(I)の錯体を用いた場合、生成物は、上記式(V−1)及び(VI−1)で表される(1R,nS)体が主となる。一方、式(II)の錯体を用いた場合、生成物は、上記式(V−2)及び(VI−2)で表される(1S,nR)体が主となる。従って、本発明の方法においては、触媒を適宜選択することにより、(1R,nS)体又は(1S,nR)体を主生成物とすることができる。
【0037】
本発明では分子状酸素(O2)を酸化剤として用いる。分子状酸素は最も経済的な酸化剤であり、本発明はこの安価な酸化剤を用いる点で経済的であるとともに、環境に悪影響を及ぼすような物質を副生しない点で環境への負荷が小さい環境調和型反応である。分子状酸素は、空気から分離した純酸素でもよいが、空気をそのまま用いるのがより経済的で好ましい。
【0038】
本発明では、光照射下でメソ−ジオールを酸化する。本発明の触媒である(ニトロシル)Ru(サレン)錯体は、光照射によりニトロシル(NO)基が脱離して活性化する。光照射としては可視光照射が適当であり、460nm付近の光が望ましい。具体的には、ハロゲンランプ、白熱灯等の利用によって十分に反応を進行させることができ、その中でもハロゲンランプが好ましい。また、これらを光源として赤外線フィルターを通して実施することもできる。本発明は、完全な暗室では進行しないが、自然光照射でも反応は進行し、従って、通常の実験室の操作でも、反応はある程度進行する。
【0039】
本発明の方法によれば、メソ−ジオールを酸化してラクトールを製造できる。メソ−ジオールを酸化すると、ラクトールを経由してラクトンまで酸化される可能性があるが、本発明の方法ではラクトールで反応を選択的に止めることができる。従って、複雑な構造をもつ天然有機化合物の合成過程で、ラクトールを選択的に生成させる必要がある場合に、本発明は非常に有用である。
【0040】
本発明の方法は、メディエーターを必要としないといった特徴がある。これまでのアルコール性水酸基を有する化合物の触媒的酸素酸化反応は、触媒と酸素の他にメディエーターを必要とするものが多く、例えば、ハイドロキノンとベンゾキノンの酸化還元サイクルの助けを借りていた。本発明は、メディエーターを必要としない点で反応系が簡略化されており、経済的にも利点がある。
【0041】
本発明の方法は、溶媒中で実施される。溶媒は特に限定されず、例えば、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル、アセトン等のケトン、酢酸エチル等のエステル、トルエン等の炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン及び1,1,2,2−テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素等が例示できる。これらの中でも、鏡像体過剰率を向上させる観点から、ハロゲン化炭化水素が好ましく、クロロホルムが更に好ましい。溶媒の使用量は、基質のメソ−ジオール1mmolに対し、2〜20mL、好ましくは5〜10mLの範囲である。
【0042】
本発明において、生成物の鏡像体過剰率は、生成したラクトールをラクトンに転換した後、光学活性カラムを用いたガス液体クロマトグラフィー(GLC)により測定することができる。ここで、ラクトンへの変換に用いる酸化剤としては、二クロム酸ピリジニウム等を用いることができる。
【0043】
本発明の方法は、光照射下、室温で行うことができる。温度は特に限定されず、0〜40℃の範囲で実施できるが、室温で好適に実施できるため、温度調節にかかるコストが省け経済的にも有利である。
【0044】
本発明では、空気又は酸素下において、基質のメソ−ジオールと前記(ニトロシル)Ru(サレン)錯体とを溶媒中で光照射の下に撹拌することによって、メソ−ジオールを酸化する。反応操作は光照射と撹拌のみでもよいが、空気又は酸素をバブリングしてもよく、バブリングにより分子状酸素を基質のメソ−ジオールと前記(ニトロシル)Ru(サレン)錯体とに効率よく接触させることができる。反応時間は、基質に応じて適宜選択され、酸化され易い基質の場合は短く、酸化され難い基質の場合は長くするのが好ましい。
【0045】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。
【0046】
(錯体合成例1)
(1R,2R)−1,2−ジメチル−1,2−シクロヘキサンジアミン・二(S)−マンデル酸塩[W. Zhang and E. N. Jacobsen, Tetrahedron Lett., 32, 1711(1991)に記載の方法にて合成](350mg, 0.78mmol)をエタノール(10mL)に溶解させ、1M−水酸化カリウムエタノール溶液(1.6mL)を加える。この溶液に(R)−3−フォルミル−2−ヒドロキシ−2’−フェニル−1,1’−ビナフチル[H. Sakaki, R. Irie, T. Hamada, K. Suzuki, and T.Katsuki, Tetrahedron, 50(41), 11827−11838(1994)等に記載の方法にて合成](580mg, 1.57mmol)を加えて室温下12時間撹拌する。反応完結後、生じた無機塩をセライト上にてろ去し、ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮(以後、減圧濃縮と記す)する。窒素雰囲気下にて残渣を無水テトラヒドロフラン(10mL)に溶解させた後、水素化ナトリウム(油性、約60%)[キシダ化学株式会社](67mg, 1.65mmol)を加え、60℃にて1時間撹拌する。その後、テトラヒドロフランを減圧下にて留去し、無水トルエン(20mL)を加える。続いて、トリクロロニトロシルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)[R. E. Townsend and K. J. Coskran, Inorganic Chemistry, 10(8), 1661に記載の方法にて調製](888mg, 1.12mmol)を加えて20時間加熱還流する。反応終了後トルエンを減圧濃縮し、残渣をフロリジル(100−200mesh)フラッシュカラムクロマトグラフ(流出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=9/1から7/3)によって精製する。得られた粗結晶をジクロロメタンより再結晶して、上記式(I)において、Ar1がフェニル基であり、OHの代わりにClが配位した(ニトロシル)Ru(サレン)錯体A(370mg, 収率47%)を得る。
【0047】
上記の方法で得られた錯体Aの元素分析の結果は、H 4.82%、C 71.83%、N 3.93%であり、C63H50ClN3O3Ru・1/4CH2Cl2の理論値(H 4.70%、C 71.83%、N 4.04%)と非常に良く一致していた。
【0048】
(錯体合成例2)
上記錯体合成例1で得られた(ニトロシル)Ru(サレン)錯体Aを、12時間シリカゲル[富士シリシア(株)製, FL100B]にさらし、上記式(I)で表され且つAr1がフェニル基である(ニトロシル)Ru(サレン)錯体Bを合成した。
【0049】
上記方法で得られた錯体BのIR測定(KBr法)の結果は、3539, 3049, 2947, 1813, 1612, 1576, 1489, 1423, 1379, 1319, 1188, 1117, 949, 743, 696cm−1であった。
【0050】
(錯体合成例3)
(1S,2S)−1,2−ジメチル−1,2−シクロヘキサンジアミン・二(R)−マンデル酸塩[W. Zhang and E. N. Jacobsen, Tetrahedron Lett., 32, 1711(1991)に記載の方法にて合成](100mg, 0.22mmol)をエタノール(3mL)に溶解させ、1M−水酸化カリウムエタノール溶液(0.47mL)を加える。この溶液に(S)−3−フォルミル−2−ヒドロキシ−2’−(p−ビフェニル)−1,1’−ビナフチル[H. Sakaki, R. Irie, T. Hamada, K. Suzuki, and T.Katsuki, Tetrahedron, 50(41), 11827(1994)に記載の方法を基に合成](196mg, 0.44mmol)を加えて室温下19時間撹拌する。反応完結後、生じた無機塩をセライト上にてろ去し、ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮(以後、減圧濃縮と記す)する。窒素雰囲気下にて残渣を無水テトラヒドロフラン(3mL)に溶解させた後、水素化ナトリウム(油性、約60%)[キシダ化学株式会社](16mg, 0.40mmol)を加え、60℃にて1時間撹拌する。その後、テトラヒドロフランを減圧下にて留去し、無水トルエン(3mL)を加える。続いて、トリクロロニトロシルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)[R. E. Townsend and K. J. Coskran, Inorganic Chemistry, 10(8), 1661に記載の方法にて調製](205mg, 0.27mmol)を加えて16時間加熱還流する。反応終了後トルエンを減圧濃縮し、残渣をフロリジル(100−200mesh)フラッシュカラムクロマトグラフ(流出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=9/1から7/3)によって精製する。得られた粗結晶をジクロロメタンより再結晶して、上記式(II)において、Ar2が4−ビフェニリル基であり、OHの代わりにClが配位した(ニトロシル)Ru(サレン)錯体C(36mg, 収率17%)を得る。また、同時に上記式(II)で表され且つAr2が4−ビフェニリル基である(ニトロシル)Ru(サレン)錯体D(59mg, 収率28%)も得られる。
【0051】
上記方法で得られた錯体CのIR測定(KBr法)の結果は、3049, 2934, 1832, 1609, 1576, 1317, 1113, 949, 741, 694cm−1であった。また、錯体Dの元素分析の結果は、H 4.89%、C 72.53%、N 3.35%であり、C74H57N3O4Ru・CH2Cl2の理論値(H 4.80%、C 72.75%、N 3.39%)と非常に良く一致していた。
【0052】
(実施例1)
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物[Aldrich Chem. Co.]を水素化リチウムアルミニウム[関東化学株式会社]で還元して、メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサンを得る。該メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサン(14.4mg, 0.1mmol)及び上記錯体合成例2で合成した(ニトロシル)Ru(サレン)錯体B(2.0mg, 2μmol)を無水クロロホルム(0.5mL)に溶解させる。該溶液に、室温で2.5日間、ハロゲンランプ(15V, 150W)で光照射を行った。反応終了後、反応混合物をヘキサン/酢酸エチル(=1/1)混合液を溶出液としてシリカゲルでクロマトグラフ分離し、(1R,6S,9RS)−9−ヒドロキシ−8−オキサビシクロ[4.3.0]ノナン(4.0mg, 収率28%)を得た。
【0053】
次に、得られた生成物(ラクトール)とモレキュラーシーブ4A(120mg)とを無水ジクロロメタン(0.5mL)に懸濁させ、更に二クロム酸ピリジニウム(PDC)(60mg, 0.16mmol)を加える。該混合物を室温で6時間撹拌の後、ヘキサン/酢酸エチル混合液(=4/1)で希釈し、シリカゲルパッドを通してろ過した。濾液を減圧下で濃縮し、得られたラクトンを、光学活性カラム(SUPELCO BETA−DEX−225)を用いてガス液体クロマトグラフィー(GLC)で分析したところ、(1R,6S)体が主で、鏡像体過剰率は70%eeであった。なお、絶対配置は、I. J. Jakovac, H. B. Goodbrand, K. P. Lok及びJ. B. Jones, J. Am. Chem. Soc., 104, 4659(1982).を参照し、対応するラクトンの比旋光度と比較して決定した。
【0054】
上記ラクトールの1H−NMR(CDCl3)測定の結果は、δ5.17(s, 1H);4.05(t, J=8.0Hz, 1H);3.72(t, J=8.0Hz, 1H);2.63(d, J=3.2Hz, 1H);2.60−2.50(m, 1H);2.08−2.01(m, 1H);1.70−1.52(m, 4H);1.46−1.38(m, 2H);1.36−1.24(m, 2H)であった。
【0055】
上記実施例1に対応する反応式を下記に示す。
【化25】
【0056】
(実施例2)
シス−シクロブタン−1,2−ジカルボン酸[Fluka Chemie]を硫酸存在下メタノール中でエステル化し、引き続いて水素化リチウムアルミニウム[関東化学株式会社]で還元して、メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロブタンを得る。該メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロブタン(11.6mg, 0.1mmol)及び上記錯体合成例2で合成した(ニトロシル)Ru(サレン)錯体B(2.0mg, 2μmol)を無水クロロホルム(0.5mL)に溶解させる。該溶液に、室温で3日間、ハロゲンランプ(15V, 150W)で光照射を行った。反応終了後、反応混合物をヘキサン/酢酸エチル(=1/1)混合液を溶出液としてシリカゲルでクロマトグラフ分離し、(1R,4S,7RS)−7−ヒドロキシ−6−オキサビシクロ[3.2.0]ヘプタン(3.7mg, 収率32%)を得た。
【0057】
次に、得られた生成物(ラクトール)を実施例1と同様にしてラクトンに変換し、光学活性カラム(SUPELCO BETA−DEX−225)を用いてガス液体クロマトグラフィー(GLC)で分析したところ、(1R,4S)体が主で、鏡像体過剰率は66%eeであった。なお、絶対配置は、I. J. Jakovac, G. Ng, K. P. Lok及びJ. B. Jones, J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1980, 515.を参照し、対応するラクトンの比旋光度と比較して決定した。
【0058】
上記ラクトールの1H−NMR(CDCl3)測定の結果は、δ5.35(s, 1H);4.04(dd, J=9.0, 5.6Hz, 1H);3.84(d, J=9.0Hz, 1H);3.02−2.95(m, 1H);2.92−2.86(m, 1H);2.55(br s, 1H);2.24−2.06(m, 2H);1.74−1.64(m, 2H)であった。
【0059】
上記実施例2に対応する反応式を下記に示す。
【化26】
【0060】
(実施例3)
トランス−DL−1,2−シクロペンタンジカルボン酸[Aldrich Chem. Co.]を200℃にて加熱し、シス−1,2−シクロペンタンジカルボン酸無水物を得る。この酸無水物を水素化リチウムアルミニウム[関東化学株式会社]で還元して、メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロペンタンを得る。該メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロペンタン(13.0mg, 0.1mmol)及び上記錯体合成例2で合成した(ニトロシル)Ru(サレン)錯体B(2.0mg, 2μmol)を無水クロロホルム(0.5mL)に溶解させる。該溶液に、室温で3日間、ハロゲンランプ(15V, 150W)で光照射を行った。反応終了後、反応混合物をヘキサン/酢酸エチル(=1/1)混合液を溶出液としてシリカゲルでクロマトグラフ分離し、(1R,5S,8RS)−8−ヒドロキシ−7−オキサビシクロ[3.3.0]オクタン(4.3mg, 収率34%)を得た。
【0061】
次に、得られた生成物(ラクトール)を実施例1と同様にしてラクトンに変換し、光学活性カラム(SUPELCO BETA−DEX−225)を用いてガス液体クロマトグラフィー(GLC)で分析したところ、(1R,5S)体が主で、鏡像体過剰率は64%eeであった。なお、絶対配置は、I. J. Jakovac, G. Ng, K. P. Lok及びJ. B. Jones, J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1980, 515.を参照し、対応するラクトンの比旋光度と比較して決定した。
【0062】
上記ラクトールの1H−NMR(CDCl3)測定の結果は、δ5.22(s, 1H);4.19(dd, J=8.8, 7.3Hz, 1H);3.64(dd, J=8.8, 2.5Hz, 1H);2.82−2.74(m, 1H);2.59(dt, 8.8, 4.9Hz, 1H);2.46(d, J=2.2Hz, 1H);1.84−1.76(m, 2H);1.65−1.40(m, 4H)であった。
【0063】
上記実施例3に対応する反応式を下記に示す。
【化27】
【0064】
(実施例4)
シス−シクロヘプタンジカルボン酸無水物[Sicher, J., Sipos, F.及びJones, J., Colln Czech. Chem. Commun., 26(1961), 262.に記載の方法にて合成]を水素化リチウムアルミニウム[関東化学株式会社]で還元して、メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘプタンを得る。該メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘプタン(15.8mg, 0.1mmol)及び前記上記錯体合成例2で合成した(ニトロシル)Ru(サレン)錯体B(2.0mg, 2μmol)を無水クロロホルム(0.5mL)に溶解させる。該溶液に、室温で3日間、ハロゲンランプ(15V, 150W)で光照射を行った。反応終了後、反応混合物をヘキサン/酢酸エチル(=1/1)混合液を溶出液としてシリカゲルでクロマトグラフ分離し、(1R,7S,10RS)−10−ヒドロキシ−9−オキサビシクロ[5.3.0]デカン(4.7mg, 収率30%)を得た。
【0065】
次に、得られた生成物(ラクトール)を実施例1と同様にしてラクトンに変換し、光学活性カラム(SUPELCO BETA−DEX−225)を用いてガス液体クロマトグラフィー(GLC)で分析したところ、鏡像体過剰率は62%eeであった。
【0066】
上記ラクトールの1H−NMR(CDCl3)測定の結果は、δ5.10(t, J=2.9Hz, 1H);4.22(t, J=8.4Hz, 1H);3.52(dd, J=8.4, 5.9Hz, 1H);2.66(d, J=2.9Hz, 1H);2.63−2.53(m, 1H);2.19(ddt, J=12, 9.0, 2.9Hz, 1H);1.94−1.70(m, 5H);1.60−1.18(m, 5H)であった。
【0067】
上記実施例4に対応する反応式を下記に示す。
【化28】
【0068】
(実施例5)
シス−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物[Aldrich Chem. Co.]を水素化リチウムアルミニウム[関東化学株式会社]で還元して、メソ−4,5−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘキセンを得る。該メソ−4,5−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘキセン(14.2mg, 0.1mmol)及び上記錯体合成例2で合成した(ニトロシル)Ru(サレン)錯体B(2.0mg, 2μmol)を無水クロロホルム(0.5mL)に溶解させる。該溶液に、室温で3日間、ハロゲンランプ(15V, 150W)で光照射を行った。反応終了後、反応混合物をヘキサン/酢酸エチル(=1/1)混合液を溶出液としてシリカゲルでクロマトグラフ分離し、(1R,6S,9RS)−9−ヒドロキシ−8−オキサビシクロ[4.3.0]ノナ−3−エン(3.5mg, 収率25%)を得た。
【0069】
次に、得られた生成物(ラクトール)を実施例1と同様にしてラクトンに変換し、光学活性カラム(SUPELCO BETA−DEX−225)を用いてガス液体クロマトグラフィー(GLC)で分析したところ、(1R,6S)体が主で、鏡像体過剰率は71%eeであった。なお、絶対配置は、H. J. Gais, K. L. Lukas, W. A. Ball, S. Braum及びH. J. Lindner, Liebigs Ann. Chem., 1986, 687.を参照し、対応するラクトンの比旋光度と比較して決定した。
【0070】
上記ラクトールの1H−NMR(CDCl3)測定の結果は、δ5.68(m, 2H);5.17(s, 1H);4.13(t, J=8.0Hz, 1H);3.59(t, J=8.0Hz, 1H);2.98(d, J=3.2Hz, 1H);2.69(m, 1H);2.36−2.18(m, 3H);1.98−1.86(m, 2H)であった。
【0071】
上記実施例5に対応する反応式を下記に示す。
【化29】
【0072】
(比較例1〜5)
上記実施例1〜5において、錯体Bの代わりに、上記錯体合成例1で合成した(ニトロシル)Ru(サレン)錯体Aを触媒として用いる以外は同様にして行った。結果を表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
表1より、式(I)で表される錯体も高いエナンチオ選択性でメソ−ジオールからラクトールへの酸化反応を触媒できることが分かる。なお、基質がメソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロペンタン、メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘプタンの場合、OHが配位した錯体BとClが配位した錯体Aのエナンチオ選択性は同等であるが、基質がメソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロブタン、メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサン、及びメソ−4,5−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘキセンを用いた場合は、錯体Aよりも錯体Bの方が、エナンチオ選択性の点で優れていることが分かる。
【0075】
(比較例6)
上記実施例1において、錯体Bの代わりに、上記錯体合成例3で合成した(ニトロシル)Ru(サレン)錯体C(2μmol)を触媒として用いる以外は同様にして行った。結果を表2に示す。
【0076】
(実施例6)
上記実施例1において、錯体Bの代わりに、上記錯体合成例3で合成した(ニトロシル)Ru(サレン)錯体D(2μmol)を触媒として用いる以外は同様にして行った。結果を表2に示す。
【0077】
(実施例7)
反応時間を7日間とし、錯体Dの使用量を4μmol(4.6mg)とする以外は実施例6と同様にして行った。結果を表2に示す。
【0078】
【表2】
【0079】
実施例6及び7に対応する反応式を下記に示す。
【化30】
【0080】
表2より、OHが配位した錯体Dを触媒として用いた方が、Clが配位した錯体Cを触媒として用いた場合よりも、反応のエナンチオ選択性が高く、また、錯体Dの使用量を増やし、反応時間を長くすることで、生成物の光学純度を低下させることなく、収率を向上させ得ることが分かる。
【0081】
(実施例8〜11)
メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサン(0.1mmol)に代えて、実施例8ではメソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロブタン(0.1mmol)、実施例9ではメソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロペンタン(0.1mmol)、実施例10ではメソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘプタン(0.1mmol)、実施例11ではメソ−4,5−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘキセン(0.1mmol)を用いた以外は、実施例7と同様にして行い、実施例2〜5に記載の方法で分析した。結果を表3に示す。
【0082】
【表3】
【0083】
実施例8〜11に対応する反応式を下記に示す。
【化31】
【0084】
実施例8〜11より、式(II)で表される錯体も高いエナンチオ選択性でメソ−ジオールからラクトールへの酸化反応を触媒できることが分かる。なお、基質がメソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロペンタン、メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘプタンの場合、錯体Bと同様に錯体Aと同等のエナンチオ選択性を示したが、基質がメソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロブタン及びメソ−4,5−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘキセンの場合は、錯体Bよりも錯体Dの方が、エナンチオ選択性の点で更に優れていることが分かる。
【0085】
【発明の効果】
本発明の錯体を触媒として用いれば、メソ−ジオールから光学活性なラクトールを得ることができる。また、該錯体を用いた本発明の光学活性なラクトールの製造方法は、安価で環境に対して安全な分子状酸素を用いるため、経済的であるとともに環境に調和した製造方法でもある。上述した本発明の製造方法及び錯体は、特に医農薬品の合成において非常に有用である。
Claims (16)
- 前記式(I)で表される(ニトロシル)Ru(サレン)錯体において、Ar1が、フェニル基又は4−ビフェニリル基であることを特徴とする請求項1に記載の光学活性なラクトールの製造方法。
- 前記式(II)で表される(ニトロシル)Ru(サレン)錯体において、Ar2が、フェニル基又は4−ビフェニリル基であることを特徴とする請求項1に記載の光学活性なラクトールの製造方法。
- 前記式(III)で表されるメソ−ジオールが、メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロブタン、メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロペンタン、メソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサン又はメソ−1,2−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘプタンであることを特徴とする請求項1に記載の光学活性なラクトールの製造方法。
- 前記式(IV)で表されるメソ−ジオールが、メソ−4,5−ジ(ヒドロキシメチル)−シクロヘキセンであることを特徴とする請求項1に記載の光学活性なラクトールの製造方法。
- 前記光照射が、可視光照射であることを特徴とする請求項1に記載の光学活性なラクトールの製造方法。
- 前記光照射を、ハロゲンランプで行うことを特徴とする請求項1に記載の光学活性なラクトールの製造方法。
- 前記メソ−ジオールを空気で酸化することを特徴とする請求項1に記載の光学活性なラクトールの製造方法。
- 前記溶媒がハロゲン化炭化水素であることを特徴とする請求項1に記載の光学活性なラクトールの製造方法。
- 前記ハロゲン化炭化水素がクロロホルムであることを特徴とする請求項12に記載の光学活性なラクトールの製造方法。
- 前記式(I)において、Ar1がフェニル基又は4−ビフェニリル基であることを特徴とする請求項14に記載の(ニトロシル)Ru(サレン)錯体。
- 前記式(II)において、Ar2がフェニル基又は4−ビフェニリル基であることを特徴とする請求項14に記載の(ニトロシル)Ru(サレン)錯体。
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