JP2004168150A - 電動式操舵装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】キックバック等の外乱による操舵反力トルクの変動を抑制防止する。
【解決手段】外乱がないときのタイヤ転舵軸トルクTtと基本操舵反力トルクTδとの対応を表す特性線m1と、特性線m1よりもタイヤ転舵軸トルクTtの変動量に対する基本操舵反力トルクTδの変動量が小さく且つ操舵角が大きいときほど基本操舵反力トルクTδが大きくなる特性線m2とを設定する。外乱がなく、タイヤ転舵軸トルクTtが特性線m1とm2との交点以下のときは基本操舵反力トルクTδを特性線m1に基づき設定し、タイヤ転舵軸トルクTtに応じた操舵反力トルクを発生させ、外乱によりタイヤ転舵軸トルクTtが特性線m1とm2との交点よりも大きいときは特性線m2に基づき設定し、タイヤ転舵軸トルクTtに対する基本操舵反力トルクTδの変動量がより小さくなるよう設定し、外乱によるタイヤ転舵軸トルクTt変動に伴う操舵反力トルクの変動を抑制する。
【選択図】 図6
【解決手段】外乱がないときのタイヤ転舵軸トルクTtと基本操舵反力トルクTδとの対応を表す特性線m1と、特性線m1よりもタイヤ転舵軸トルクTtの変動量に対する基本操舵反力トルクTδの変動量が小さく且つ操舵角が大きいときほど基本操舵反力トルクTδが大きくなる特性線m2とを設定する。外乱がなく、タイヤ転舵軸トルクTtが特性線m1とm2との交点以下のときは基本操舵反力トルクTδを特性線m1に基づき設定し、タイヤ転舵軸トルクTtに応じた操舵反力トルクを発生させ、外乱によりタイヤ転舵軸トルクTtが特性線m1とm2との交点よりも大きいときは特性線m2に基づき設定し、タイヤ転舵軸トルクTtに対する基本操舵反力トルクTδの変動量がより小さくなるよう設定し、外乱によるタイヤ転舵軸トルクTt変動に伴う操舵反力トルクの変動を抑制する。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ステアリングホイールの操作量に応じてアクチュエータにより転舵トルクを発生させて転舵を行うと共に、この転舵トルクに応じてアクチュエータによりステアリングホイールに操舵反力トルクを発生させるようにした電動式操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、運転者が操舵するステアリングホイールと転舵輪の転舵機構とが機械的に切り離され、エンコーダ等の検出器によりステアリングホイールの操舵角を検出し、この操舵角検出値に応じて、アクチュエータによりトルクを発生させて転舵輪を転舵する操舵装置として、ステアバイワイヤ式の操舵装置が知られている。
【0003】
この種の操舵装置では、操舵角に応じた転舵トルクを発生させると共に、転舵トルクに応じた操舵反力トルクを、アクチュエータによりステアリングホイールに付与することによって、ステアリングホイールと転舵輪とが機械的に連結された場合と同等の操作環境を運転者に提供するようにしている。
ところで、前記操舵トルクを検出し、これに基づきトルク制御を行う際に、キックバック等の外乱を考慮し、トルク補正を行う方法として、例えば、特開平7−228263号公報に記載されるものや、特開2000−159135号公報に記載される、電動パワーステアリング装置が提案されている。
【0004】
このうち、特開平7−228263号公報に記載される電動パワーステアリング装置は、ステアリングシャフトに発生するトルクを操舵トルクとして検出し、この操舵トルクに応じてアシストトルクを付与するが、単位時間当たりの操舵角変化が少なく、且つ操舵トルクの変化量が大きいときに、路面からのキックバックが発生したと判定し、キックバックによる影響を考慮してアシストトルクを補正する構成としている。また、特開2000−159135号公報に記載される電動パワーステアリング装置は、過去の所定時間内の操舵角情報から目標中立位置を算出して補助操舵トルクを付加し、中立位置の操舵角情報から目標中立位置を算出して補助操舵トルクを付加し、中立位置の操舵反力を偏らせることにより路面カント等による負荷変化に伴う操舵反力トルクを低減する構成としている。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−228263号公報
【特許文献2】
特開2000−159135号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の電動パワーステアリング装置のうち、特開平7−228263号公報に記載されるものでは、単位時間当たりの操舵角変化が少なく、且つ操舵トルクの変化量が大きいときに路面からのキックバックが発生したと判定し、それからアシストトルクを補正する構成となっているため、少なくともキックバック判定までの、操舵トルク変化は抑制防止することができない。また、操舵中は、単位時間当たりの操舵角変化が少なくないので、キックバックが発生しても、これを検出することができず、アシストトルクも補正できない。また、路面カントのように定常的な入力の場合には、操舵トルクの変化量が大きくないためにアシストトルクの補正ができない。また、前記特開2000−159135号公報に記載される電動パワーステアリング装置では、路面カント等による負荷変化に伴う操舵反力トルクは低減できるが、短時間の外乱やキックバックによるハンドル取られまでは改善できない。
【0007】
したがって、ステアバイワイヤ式の転舵装置において、転舵機構に発生する転舵トルクを検出し、これに基づき操舵反力発生用のアクチュエータを駆動させて、ステアリングホイールに対して操舵反力を発生させる際に、上記特許文献1或いは2に記載されたようなキックバック等の外乱に対する処理を行った場合、この場合も上記と同様に、キックバック判定までの操舵反力トルク変化の抑制防止を行うことができず、また短時間の外乱やキックバックによるハンドル取られまでを改善することができないという問題がある。
【0008】
そこで、この発明は、上記従来の未解決の問題に着目してなされたものであり、キックバック等の外乱による操舵反力トルクの変動を適切に抑制防止することの可能な電動式操舵装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る電動式操舵装置は、操舵機構と機械的に分離された転舵機構を、操舵機構の操舵量に応じて駆動制御すると共に、転舵機構の転舵軸トルクに応じた反力トルクを操舵機構に付与する。このとき、転舵軸トルクに対する反力トルクの特性を、操舵角に応じて変える。
【0010】
【発明の効果】
本発明に係る電動式操舵装置によれば、転舵軸トルクに応じた反力トルクを操舵機構に付与するが、転舵軸トルクに対する反力トルクの特性を操舵角に応じて変えるようにしたから、例えば、外乱等によって転舵軸トルク変動が生じた場合でも、この時点における操舵角に応じた反力トルク変動が生じることになる。よって、例えば、操舵角の変化に伴う転舵軸トルク変動に対する反力トルク変動に対し、操舵角一定での転舵軸トルク変動に対する反力トルク変動がより小さくなるような特性に設定すれば、外乱等により転舵軸トルク変動が生じた場合における、反力トルク変動を低減することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明における電動式操舵装置の一例を示す概略構成図である。
図中、1は、運転者が操舵するステアリングホイールであって、このステアリングホイール1の回転中心部には、ステアリングシャフト2が連結されている。このステアリングシャフト2には、操舵角センサ3、操舵トルクセンサ4及び反力発生モータ5が取り付けられている。
【0012】
前記操舵角センサ3は、例えばエンコーダ等から構成され、ステアリングシャフト2の回転角、すなわち操舵角δを検出し、これをコントロールユニット10に出力する。また、操舵トルクセンサ4は、例えば公知のトルクセンサで構成され、ステアリングシャフト2に発生する操舵トルクTsを検出してコントロールユニット10に出力する。前記反力発生モータ5は、コントロールユニット10によって駆動制御され、運転者がステアリングホイール1に加えている操舵力と反対方向に操舵反力を発生する。
【0013】
また、図1中、11はラック軸、12はラック軸11のラックギアと噛合するピニオンギアであって、ラック軸11とピニオンギア12とでラック・ピニオン機構を構成している。前記ピニオンギア12には、ピニオンシャフト13が設けられている。このピニオンシャフト13には、第1転舵モータ14が設けられ、第1転舵モータ14の回転運動が、ピニオンシャフト13を介してピニオンギア12に伝達され、ラック軸11の往復運動に変換されるようになっている。また、前記ラック軸11には、第2転舵モータ15が設けられ、第1転舵モータ14及び第2転舵モータ15を駆動することにより、ラック軸11を往復運動させるようになっている。そして、このラック軸11の往復直線運動は、タイロッド16と図示しないナックルアームとにより転舵輪20の転舵運動に変換され、これによって、転舵輪20の転舵が行われるようになっている。なお、前記第1及び第2転舵モータ14及び15は、コントロールユニット10によって駆動制御される。また、反力発生モータ5、第1転舵モータ14及び第2転舵モータ15は、例えばデューティ比制御により駆動制御され、何れかの方向に正逆転制御されるようになっている。
【0014】
前記タイロッド16には、転舵軸トルクTtを検出するための軸力センサ21及び、ラック軸11の移動量を検出するためのポテンショメータ等の変位センサ22が設けられている。
また、車両には自車両の車速を検出する車速センサ23が搭載され、これら各種センサの検出信号は、コントロールユニット10に供給される。
【0015】
このコントロールユニット10では、前記第1及び第2の転舵モータ14、15を駆動し転舵輪20を転舵させる転舵制御処理と、前記反力発生モータ5を駆動し操舵反力を発生させる反力発生処理とを実行する。
図2は、コントロールユニット10の構成を表す制御ブロック図である。
図中、31は前記反力発生処理を行う反力発生処理部、32は前記転舵制御処理を行う転舵制御処理部である。
【0016】
反力発生処理部31では、カウンタ判定部31aにおいて、操舵角センサ3で検出された操舵角δに基づきカウンタステア状態であるかどうかを判断し、このカウンタ判定部31aでの判断結果と、車速センサ23で検出された車速V、軸力センサ21で検出されたタイヤ転舵軸トルクTt及び操舵角センサ4で検出された操舵角δに基づき、目標操舵反力演算部31bにおいて目標操舵反力トルクTδ* を算出する。そして、演算部31cにおいて、操舵トルクセンサ4で検出された操舵トルクTsと目標操舵反力トルクTδ* との差分値に基づいて、操舵トルクTsと目標操舵反力トルクTδ* とが一致するような駆動制御信号を生成し、この駆動制御信号に基づきモータドライバ31dが反力発生モータ5を駆動制御することにより、目標操舵反力トルクTδ* を発生させる。
【0017】
また、転舵制御処理部32では、目標タイヤ転舵角演算部32aにおいて、操舵角センサ3で検出した操舵角δに基づいて、公知の手順で、転舵輪20の目標転舵角δt* を算出する。そして、演算部32bにおいて、目標転舵角δt* と変位センサ22で検出された変位Xsとに基づいて、タイロッド16に付与すべき目標転舵トルクを演算して第1及び第2の転舵モータの駆動制御信号を生成し、この駆動制御信号に基づきモータドライバ32cが第1及び第2転舵モータ14、15を駆動し、変位センサ22の変位Xsを、ステアリングホイール1の操舵角δに追従させる。
【0018】
図3は、コントロールユニット10の反力発生処理部31で実行される反力発生処理の処理手順の一例を示すフローチャートであって、コントロールユニット10では、所定のサンプリング時間、例えば10msec.毎に、図3の演算処理を行うようになっている。なお、この演算処理では、特に通信のためのステップを設けていないが、算出された情報は随時記憶装置に更新記憶されると共に、記憶装置に記憶されている情報は随時演算処理装置に読み込まれる。
【0019】
この演算処理では、まず、ステップS1で、車速センサ23で検出された車速V、軸力センサ21で検出されたタイヤ転舵軸トルクTt、操舵角センサ3で検出された操舵角δ、操舵トルクセンサ4で検出された操舵トルクTsを読み込む。
次いで、ステップS2に移行し、前記ステップS1で読み込んだ操舵角δの時間微分値、すなわち、操舵角速度δ′を算出する。
【0020】
次いで、ステップS3に移行し、図4の制御マップにしたがって、ステップS1で読み込んだ車速Vに基づいて、操舵角係数Ksを算出する。前記図4の制御マップにおいて、横軸は車速V、縦軸は操舵角係数Ksであって、例えば、車速が所定車速v1 以下では、操舵角係数Ksは“0”となり、所定車速v1 よりも大きい車速v2 以上の領域では、操舵角係数Ksは“1”に設定され、車速v1 からv2 の間では、車速Vの増加に比例して操舵角係数Ksは“0”から“1”に増加する。
【0021】
なお、前記所定車速v1 は、例えば、停止時の据え切りや、タイヤセルフアライニングトルクが十分に発生されない車速域、例えば20km/h程度に設定される。この領域はタイヤ転舵負荷が高いことが知られている。
次いで、ステップS4に移行し、カウンタステア状態であるかどうかを判定するための、例えば図5に示す公知のカウンタ判定処理を行う。
【0022】
このカウンタ判定処理では、図5に示すように、まず、ステップS21で、操舵角δの絶対値を、カウンタステア中であるか否かの判断を行うためのカウンタ判断値δsと比較する。このカウンタ判断値δsは、中立点付近の例えば±10°程度の値に設定される。これは、目標操舵反力トルクTδ* は、操舵角に応じて設定されるので、目標操舵反力トルクTδ* がごく小さい範囲、すなわち、操舵角の絶対値|δ|が零に近いある範囲で切り替える必要があるからである。
【0023】
このステップS21の処理で、操舵角δの絶対値|δ|とカウンタ判断値δsとが等しい場合には、ステップS22に移行し、前回処理実行時に所定の記憶領域に格納した操舵角δ及び操舵角速度δ′を、前回値として所定の記憶領域に更新記憶すると共に、今回処理実行時における操舵角δ及び操舵角速度δ′を今回値として所定の記憶領域に格納する。
【0024】
次に、ステップS23に移行し、操舵角|δ|がカウンタ判断値δsであるときの、操舵角δ及び操舵角速度δ′それぞれの前回値及び今回値について符号を比較する。
ここで、中立点付近からの急転舵時には、操舵角と前輪の横滑り角との関係が保たれているので、操舵反力の抑制制御の停止は不要である。そのため、カウンタステア操舵と中立点付近からの急転舵との区別を行う必要がある。この区別を行うために、操舵角δ及び操舵角速度δ′の前回値及び今回値の符号の比較を行う。カウンタステア操舵時には、操舵の方向、すなわち、操舵角の符号が今回値δnと前回値δn−1とで互いに異なる。また、操舵角の今回値δnと操舵角速度の今回値δ′nと操舵角速度の前回値δ′n−1との符号が一致する。
【0025】
したがって、これらの条件からカウンタステア操舵と中立点付近からの急転舵とを区別することができる。
そして、ステップS23の処理で、操舵角及び操舵角速度の前回値及び今回値が、カウンタステア操舵とみなすことの可能な符号条件を満足している場合には、ステップS24に移行し、次に、今回の操舵角速度δ′と、操舵角速度δ′のしきい値δTH′とを比較する。
【0026】
ここで、カウンタステア操舵時の操舵角速度は、通常操舵時に比較して早くなるので、予め設定した操舵角速度δ′のしきい値δTH′と操舵角速度の今回値δ′とを比較し、今回値δ′が、しきい値δTH′以上であるとき、ステップS25に移行して、カウンタステア状態であるとし、カウンタ補正係数KcをKc=Kcmax に設定する。
【0027】
一方、前記ステップS23の処理で、符号条件を満足しないとき、また、ステップS24の処理で操舵角速度δ′が、しきい値δTH′を下回るときには、カウンタステア状態ではないと判断しそのまま処理を終了する。
また、前記ステップS21で、操舵角δの絶対値|δ|とカウンタ判断値δsとが等しくない場合にはステップS26に移行し、操舵角δがδ=0になったことを検出したならば、ステップS27に移行して、カウンタ補正係数KcをKc=1にセットする。そして、カウンタ判定処理を終了する。また、前記ステップS26で、操舵角δがδ=0になったことを検出しない場合には、そのまま処理を終了する。
【0028】
このようにして、ステップS4の処理でカウンタ判定処理を行ったならば、次いでステップS5に移行し、ステップS3で算出した操舵角係数Ksと、前記ステップS1で読み込んだ操舵角δの絶対値と、カウンタ補正係数Kcとを乗算し、操舵角影響度eδを算出する。
次いで、ステップS6に移行し、図6の制御マップにしたがって、前記ステップS5で算出された操舵角影響度eδ及びステップS1で読み込まれた軸力センサ21で検出されたタイヤ転舵軸トルクTtをもとに、タイヤ転舵軸トルクTtに応じた基本操舵反力トルクTδを算出する。
【0029】
図6の制御マップにおいて、横軸はタイヤ転舵軸トルクTt、縦軸は基本操舵反力トルクTδである。図6中、実線で示された曲線からなる特性線m1は、操舵角δと車速Vとから推測される、外乱が加わらないときの操舵反力トルクの発生範囲であって、タイヤ転舵軸トルクTtが大きいほど基本操舵反力トルクTδが増加するように設定され、且つ、タイヤ転舵軸トルクTtが小さいほど、タイヤ転舵軸トルクTtの変化量に対する基本操舵反力トルクTδの変化量が大きく、タイヤ転舵軸トルクTtが大きくなるほど、タイヤ転舵軸トルクTtの変化量に対する基本操舵反力トルクTδの変化量が小さくなるように設定される。
【0030】
また、図6中、破線で示された直線からなる特性線m2は、傾きが一定であり、且つ特性線m2よりも基本操舵反力トルクTδが小さくなるように設定され、特性線m2の縦軸との切片は、前記操舵角影響度eδに応じて変化し、操舵角影響度eδが最小値であるとき、切片は最小値となり、操舵角影響度eδがしきい値eδTH以上であるとき、特性線m2に基づく基本操舵反力トルクTδの最大値が、特性線m1における基本操舵反力トルクTδの最大値に限りなく接近するようになっている。
【0031】
そして、基本操舵反力トルクTδは、図6に曲線で示す特性線m1と、直線で示す特性線m2とに応じて設定され、タイヤ転舵軸トルクTtが、特性線m1と操舵角影響度eδに応じた特性線m2との交点におけるタイヤ転舵軸トルク以下であるときには、基本操舵反力トルクTδは特性線m1に基づいて設定され、タイヤ転舵軸トルクTtが特性線m1及びm2の交点におけるタイヤ転舵軸トルクを超えるときには特性線m2に基づいて設定される。
【0032】
つまり、操舵角係数Ksを一定、非カウンタステア操舵状態であると考えると、操舵角|δ|が小さいほど特性線m1と特性線m2との交点は、タイヤ転舵軸トルクTtが小さい方に移動する。そして、基本操舵反力トルクTδは、特性線m1とm2とで構成されるマップに従い、両者の交点よりもタイヤ転舵軸トルクTtが小さい領域では、特性線m1に応じて基本操舵反力トルクTδが設定され、両者の交点よりもタイヤ転舵軸トルクTtが大きい領域では、特性線m2にしたがって、基本操舵反力トルクTδが設定される。したがって、操舵角δの増加に応じてタイヤ転舵軸トルクが増加するとこれに伴って特性線m1に沿って、基本操舵反力トルクTδが増加するから、キックバック等の外乱がない状態では、タイヤ転舵軸トルクTtの増加に伴ってこれに応じた基本操舵反力トルクTδが設定されると共に、例えば、カント走行中のような小操舵角或いは操舵中に、短時間の外乱やキックバック等によってタイヤ転舵軸トルクTtが大きくなると、操舵角が一定であることから前記特性線m1から特性線m2に切り替わりこの特性線m2にしたがって、特性線m1に応じた基本操舵反力トルクTδよりもより小さな基本操舵反力トルクTδが設定される。よって、ハンドル取られ等を伴う操舵反力トルクの変動を抑制防止することが可能となる。
【0033】
また、車速Vが比較的小さい領域では、操舵角係数が“0”に設定されることから、切片が最小である特性線m2に応じて基本操舵反力トルクTδが設定されることになる。つまり、据え切りや微低速時には、タイヤ転舵軸トルクは走行時に比較して大きいため、操舵角に応じて特性線m2を変化させた場合、操舵角の増加に応じてタイヤ転舵軸トルクが増加するとこれに応じて基本操舵反力トルクTδも増加することになるが、車速Vが所定車速v2 よりも小さい場合には、操舵角係数が“0”又は“1”よりも小さい値に設定されることから、操舵角影響度eδが小さい値に制限され、操舵角の増加に伴う、基本操舵反力トルクTδの増加が抑制される。したがって、据え切りや微定速時での、操舵角の増加に伴う基本操舵反力トルクTδの増加が防止される。
【0034】
また、カウンタステア操舵状態である場合には、操舵角影響度eδに関わらず、特性線m1に沿って基本操舵反力トルクTδが設定される。つまり、前記カウンタ補正係数Kcmax は、操舵角δ及び操舵角係数Ksの値に関わらず、操舵角影響度eδ(=Ks・|δ|・Kcmax )がそのしきい値eδTH以上となる値に設定され、カウンタステア操舵状態である場合には、カウンタ補正係数KcがKc=Kcmax に設定されることから、操舵角影響度eδがしきい値eδTH以上となり、特性線m2が、特性線1に近づくことから、操舵角影響度eδに関わらず、特性線m1に沿って基本操舵反力トルクTδが設定されるようになっている。
【0035】
このようにして、ステップS6で基本操舵反力トルクTδが算出されたならば、ステップS7に移行し、図7の制御マップにしたがって、ステップS1で読み込んだ車速Vに応じた車速係数Kvを算出する。この図7の制御マップでは、車速Vが小さな領域では、車速係数Kvは比較的大きな一定値に設定され、車速Vが大きな領域では速度係数Kvは比較的小さな一定値に設定され、二つの領域の間では、車速Vの増加に伴って車速係数Kvがリニアに減少するように設定されている。
【0036】
次に、ステップS8に移行し、図8の制御マップにしたがって、ステップS2で算出された操舵角速度δ′をもとに、ダンピングトルクTdを算出する。このダンピングトルクTdは、ステアリングホイール1に意図的に与える重み或いは減衰力のようなものである。したがって、図8の制御マップは、操舵角速度δ′が大きいほど、ダンピングトルクTdがリニアに大きくなるように設定されている。
【0037】
次いで、ステップS9に移行し、前記ステップS6で算出された基本操舵反力トルクTδから、ステップS8で算出したダンピングトルクTdを減算し、これを目標操舵反力トルクTδ* とする。
次いで、ステップS10に移行し、ステップS9で算出した目標操舵反力トルクTδ* からステップS1で読み込んだ操舵トルクTsを減算し、これに基づいて、反力発生モータ5で発生すべきトルクに応じた駆動制御信号を生成し、これをモータドライバ31dに出力する。
【0038】
これによって、モータドライバ31dが反力発生モータ5を駆動制御し、目標操舵反力トルクTδ* が発生される。
次に、上記実施の形態の動作を説明する。
今、車速Vが所定値v2 よりも大きい状態であるとすると、操舵角係数KsはKs=1に設定される。
【0039】
外乱が発生していない場合、操舵が行われこれに伴ってタイヤ転舵軸トルクTtが増加すると、非カウンタステア状態であるから、カウンタ補正係数KcはKc=Kcmax に設定される。そして、タイヤ転舵軸トルクTtが比較的小さい領域では、操舵角の増加に伴って特性線m2の切片が上昇し、図6の制御マップに示す特性線m1に沿うように基本操舵反力トルクTδが設定される。このとき、図6の特性線m1は、予め外乱のない状況において、タイヤ転舵軸トルクTtが発生したときに、操舵角、車速に応じて発生すると予測される基本操舵反力トルクTδにしたがって設定されているから、操舵に伴って違和感を与えることのない操舵反力トルクがステアリングホイール1に作用する。また、操舵角が大きくなるにしたがって、特性線m1と特性線m2とが交わるときの基本操舵反力トルクTδが大きくなるように設定しているから、操舵角の増加に応じて特性線m2の切片が増加し、タイヤ転舵軸トルクTtが増加に伴って特性線m1に沿って基本操舵反力トルクTδが設定されることになり、外乱のない旋回走行時には、操舵に応じた適度な基本操舵反力トルクTδを設定することができる。
【0040】
そして、操舵角一定で旋回している状態で、キックバック、或いはカント走行等により外乱が発生すると、操舵角一定の状態で、タイヤ転舵軸トルクTtが変動することから、この時点における操舵角影響度eδに応じて特定される特性線m2に基づいて基本操舵反力トルクTδが設定されることになる。
ここで、図6に示すように、直線からなる特性線m2は、曲線からなる特性線m1よりも基本操舵反力トルクTδが小さくなるように設定されている。したがって、タイヤ転舵軸トルクTtの変動に対し、特性線m1に基づく基本操舵反力トルクTδの変動よりも特性線m2に基づく基本操舵反力トルクTδの変動の方が小さい。よって、外乱により操舵反力トルクが変動することに起因して、ハンドル取られが発生することを防止することができる。また、このとき、タイヤ転舵軸トルクTtと操舵角影響度eδとで特定される特性線m2に基づいて基本操舵反力トルクTtを検出するようにしている。したがって、外乱に伴うタイヤ転舵軸トルクTtの変動に追従して基本操舵反力トルクTδを抑制することができ、キックバック初期であっても操舵反力トルクの変動を低減することができ、外乱に対する操舵反力トルクの変動を速やかに低減することができる。
【0041】
また、カントのない路面からカント路に進入した場合、同じ操舵角であってもタイヤ転舵軸トルクTtが変動することになるが、タイヤ転舵軸トルクTtが変動すると、タイヤ転舵軸トルクTtと操舵角影響度eδに応じた特性線m2とに基づいて基本操舵反力トルクTδが特定されることになる。このとき、特性線m2に基づく基本操舵反力トルクTδの変動量は、特性線m1に基づく基本操舵反力トルクTδの変動量に比較して小さいから、カント路走行に進入したことに伴う操舵反力トルクの変動を低減することができる。
【0042】
また、旋回走行中に、運転者がカウンタステア操舵を行った場合、これがカウンタ判定処理によって検出され、カウンタ補正係数KcはKc=Kcmax に設定される。したがって、操舵角影響度eδがしきい値eδTH以上となり、特性線m2が、特性線1に近づくことから、操舵角影響度eδに関わらず、特性線m1に沿って基本操舵反力トルクTδが設定されることになる。したがって、カウンタステア操舵を行ったときには、基本操舵反力トルクTδは、タイヤ転舵軸トルクTtに応じた値に設定される。よって、カウンタステア操舵時には、タイヤ転舵軸トルクTtの変動に対する基本操舵反力トルクTδの変動の小さい特性線m2ではなく、特性線m1に基づいて基本操舵反力トルクTδが設定されるから、カウンタステア操舵に伴うタイヤ転舵軸トルクTtの変動に応じた操舵反力トルク変動が生じることになり、カウンタステア操舵時においても操舵反力トルクが軽くなり過ぎることを防止することができ、カウンタステア操舵時に操舵反力トルクを低減することに起因して運転者に違和感を与えることを回避することができる。
【0043】
一方、据え切りを行った場合には、操舵角係数Ksは“0”に設定されるから、操舵角影響度eδは、零となり特性線m2は、タイヤ転舵軸トルクTtに対応する基本操舵反力トルクTδが最小となる特性線に設定される。このとき、特性線m2が最小値である場合でもタイヤ転舵軸トルクTtが比較的小さい領域では、特性線m1に沿って基本操舵反力トルクTδが設定される。したがって、操舵を開始しタイヤ転舵軸トルクTtが小さい状態では、特性線m1に沿って基本操舵反力トルクTδが設定されるから、タイヤ転舵軸トルクTtの変動に応じた操舵反力が発生されるから、据え切り開始時にはある程度の操舵反力トルクが発生されることになり、タイヤ転舵軸トルクTtがさらに大きくなると、特性線m1に替えて特性線m2に基づいて基本操舵反力トルクTδが設定され、特性線m1に比較してタイヤ転舵軸トルクTtの変動に対する基本操舵反力トルクTδの変動は小さい。ここで、車速Vに応じた操舵角係数Ksを考慮せず、操舵角の増加に応じて特性線m2を変動させた場合、据え切り時に、操舵量が増加するに伴って操舵反力トルクが大きくなることになる。しかしながら、車速Vに応じた操舵角係数Ksに応じて特性線m2を特定するようにしているから、据え切り時に操舵量の増加に伴って操舵反力トルクが大きく増加することはなく、これに伴う違和感を運転者に与えることを防止することができる。
【0044】
また、車速Vがv1 からv2 の間である場合には、操舵角係数が“0”から“1”の値に設定される。このため、操舵角影響度eδは車速Vがv2 よりも大きい場合に比較してより小さい値に設定される。したがって、車速が比較的小さい領域また、上述の据え切り時等のようにセルフアライニングトルクが十分に発生されない車速域でありタイヤ転舵負荷が高い領域では、特性線m1に沿って基本操舵反力トルクTδを設定して、ある程度のタイヤ転舵軸トルクTtまではタイヤ転舵軸トルクTtの増加に応じた操舵反力トルクを発生させ、その後は、特性線m2に沿って基本操舵反力トルクTδを設定してタイヤ転舵軸トルクTtの増加量に伴う基本操舵反力トルクTδの変動を低減することにより、操舵量の増加に応じて操舵反力トルクTδが増加することを回避することができる。
【0045】
したがって、全車速域に渡って、適度な操舵反力トルクを発生させることができ、運転者に対し、良好な操舵フィーリングを与えることができる。
なお、上記実施の形態においては、コントロールユニットをマイクロコンピュータで構築する場合について説明したが、これに限らず、同等の演算回路や論理回路で構築するようにしてもよい。
【0046】
ここで、上記実施の形態において、ステアリングホイール1及びステアリングシャフト2が操舵機構に対応し、ラック軸11、タイロッド16及び転舵輪20が転舵機構に対応し、操舵角センサ3が操舵角検出手段に対応し、軸力センサ21が転舵軸トルク検出手段に対応し、反力発生モータ5及び図3の反力発生処理が反力トルク付与手段に対応し、車速センサ23が車速検出手段に対応し、図5のカウンタ判定処理がカウンタステア操作検出手段に対応し、図6の特性線m1が第1の特性に対応し、特性線m2が第2の特性に対応している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電動式操舵装置の位置実施形態を示す全体概略構成図である。
【図2】図1のコントロールユニット10の構成を示す制御ブロック図である。
【図3】図1のコントロールユニット10で実行される反力発生処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】車速と操舵角係数との対応を表す制御マップである。
【図5】図3のカウンタ判定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】タイヤ転舵軸トルクTtと基本操舵反力トルクTsとの対応を表す制御マップである。
【図7】車速Vと車速係数Kvとの対応を表す制御マップである。
【図8】操舵角速度δ′とダンピングトルクTdとの対応を表す制御マップである。
【符号の説明】
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト
3 操舵角センサ
4 操舵トルクセンサ
5 反力発生モータ
10 コントロールユニット
14 第1転舵モータ
15 第2転舵モータ
21 軸力センサ
22 変位センサ
23 車速センサ
【発明の属する技術分野】
この発明は、ステアリングホイールの操作量に応じてアクチュエータにより転舵トルクを発生させて転舵を行うと共に、この転舵トルクに応じてアクチュエータによりステアリングホイールに操舵反力トルクを発生させるようにした電動式操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、運転者が操舵するステアリングホイールと転舵輪の転舵機構とが機械的に切り離され、エンコーダ等の検出器によりステアリングホイールの操舵角を検出し、この操舵角検出値に応じて、アクチュエータによりトルクを発生させて転舵輪を転舵する操舵装置として、ステアバイワイヤ式の操舵装置が知られている。
【0003】
この種の操舵装置では、操舵角に応じた転舵トルクを発生させると共に、転舵トルクに応じた操舵反力トルクを、アクチュエータによりステアリングホイールに付与することによって、ステアリングホイールと転舵輪とが機械的に連結された場合と同等の操作環境を運転者に提供するようにしている。
ところで、前記操舵トルクを検出し、これに基づきトルク制御を行う際に、キックバック等の外乱を考慮し、トルク補正を行う方法として、例えば、特開平7−228263号公報に記載されるものや、特開2000−159135号公報に記載される、電動パワーステアリング装置が提案されている。
【0004】
このうち、特開平7−228263号公報に記載される電動パワーステアリング装置は、ステアリングシャフトに発生するトルクを操舵トルクとして検出し、この操舵トルクに応じてアシストトルクを付与するが、単位時間当たりの操舵角変化が少なく、且つ操舵トルクの変化量が大きいときに、路面からのキックバックが発生したと判定し、キックバックによる影響を考慮してアシストトルクを補正する構成としている。また、特開2000−159135号公報に記載される電動パワーステアリング装置は、過去の所定時間内の操舵角情報から目標中立位置を算出して補助操舵トルクを付加し、中立位置の操舵角情報から目標中立位置を算出して補助操舵トルクを付加し、中立位置の操舵反力を偏らせることにより路面カント等による負荷変化に伴う操舵反力トルクを低減する構成としている。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−228263号公報
【特許文献2】
特開2000−159135号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の電動パワーステアリング装置のうち、特開平7−228263号公報に記載されるものでは、単位時間当たりの操舵角変化が少なく、且つ操舵トルクの変化量が大きいときに路面からのキックバックが発生したと判定し、それからアシストトルクを補正する構成となっているため、少なくともキックバック判定までの、操舵トルク変化は抑制防止することができない。また、操舵中は、単位時間当たりの操舵角変化が少なくないので、キックバックが発生しても、これを検出することができず、アシストトルクも補正できない。また、路面カントのように定常的な入力の場合には、操舵トルクの変化量が大きくないためにアシストトルクの補正ができない。また、前記特開2000−159135号公報に記載される電動パワーステアリング装置では、路面カント等による負荷変化に伴う操舵反力トルクは低減できるが、短時間の外乱やキックバックによるハンドル取られまでは改善できない。
【0007】
したがって、ステアバイワイヤ式の転舵装置において、転舵機構に発生する転舵トルクを検出し、これに基づき操舵反力発生用のアクチュエータを駆動させて、ステアリングホイールに対して操舵反力を発生させる際に、上記特許文献1或いは2に記載されたようなキックバック等の外乱に対する処理を行った場合、この場合も上記と同様に、キックバック判定までの操舵反力トルク変化の抑制防止を行うことができず、また短時間の外乱やキックバックによるハンドル取られまでを改善することができないという問題がある。
【0008】
そこで、この発明は、上記従来の未解決の問題に着目してなされたものであり、キックバック等の外乱による操舵反力トルクの変動を適切に抑制防止することの可能な電動式操舵装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る電動式操舵装置は、操舵機構と機械的に分離された転舵機構を、操舵機構の操舵量に応じて駆動制御すると共に、転舵機構の転舵軸トルクに応じた反力トルクを操舵機構に付与する。このとき、転舵軸トルクに対する反力トルクの特性を、操舵角に応じて変える。
【0010】
【発明の効果】
本発明に係る電動式操舵装置によれば、転舵軸トルクに応じた反力トルクを操舵機構に付与するが、転舵軸トルクに対する反力トルクの特性を操舵角に応じて変えるようにしたから、例えば、外乱等によって転舵軸トルク変動が生じた場合でも、この時点における操舵角に応じた反力トルク変動が生じることになる。よって、例えば、操舵角の変化に伴う転舵軸トルク変動に対する反力トルク変動に対し、操舵角一定での転舵軸トルク変動に対する反力トルク変動がより小さくなるような特性に設定すれば、外乱等により転舵軸トルク変動が生じた場合における、反力トルク変動を低減することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明における電動式操舵装置の一例を示す概略構成図である。
図中、1は、運転者が操舵するステアリングホイールであって、このステアリングホイール1の回転中心部には、ステアリングシャフト2が連結されている。このステアリングシャフト2には、操舵角センサ3、操舵トルクセンサ4及び反力発生モータ5が取り付けられている。
【0012】
前記操舵角センサ3は、例えばエンコーダ等から構成され、ステアリングシャフト2の回転角、すなわち操舵角δを検出し、これをコントロールユニット10に出力する。また、操舵トルクセンサ4は、例えば公知のトルクセンサで構成され、ステアリングシャフト2に発生する操舵トルクTsを検出してコントロールユニット10に出力する。前記反力発生モータ5は、コントロールユニット10によって駆動制御され、運転者がステアリングホイール1に加えている操舵力と反対方向に操舵反力を発生する。
【0013】
また、図1中、11はラック軸、12はラック軸11のラックギアと噛合するピニオンギアであって、ラック軸11とピニオンギア12とでラック・ピニオン機構を構成している。前記ピニオンギア12には、ピニオンシャフト13が設けられている。このピニオンシャフト13には、第1転舵モータ14が設けられ、第1転舵モータ14の回転運動が、ピニオンシャフト13を介してピニオンギア12に伝達され、ラック軸11の往復運動に変換されるようになっている。また、前記ラック軸11には、第2転舵モータ15が設けられ、第1転舵モータ14及び第2転舵モータ15を駆動することにより、ラック軸11を往復運動させるようになっている。そして、このラック軸11の往復直線運動は、タイロッド16と図示しないナックルアームとにより転舵輪20の転舵運動に変換され、これによって、転舵輪20の転舵が行われるようになっている。なお、前記第1及び第2転舵モータ14及び15は、コントロールユニット10によって駆動制御される。また、反力発生モータ5、第1転舵モータ14及び第2転舵モータ15は、例えばデューティ比制御により駆動制御され、何れかの方向に正逆転制御されるようになっている。
【0014】
前記タイロッド16には、転舵軸トルクTtを検出するための軸力センサ21及び、ラック軸11の移動量を検出するためのポテンショメータ等の変位センサ22が設けられている。
また、車両には自車両の車速を検出する車速センサ23が搭載され、これら各種センサの検出信号は、コントロールユニット10に供給される。
【0015】
このコントロールユニット10では、前記第1及び第2の転舵モータ14、15を駆動し転舵輪20を転舵させる転舵制御処理と、前記反力発生モータ5を駆動し操舵反力を発生させる反力発生処理とを実行する。
図2は、コントロールユニット10の構成を表す制御ブロック図である。
図中、31は前記反力発生処理を行う反力発生処理部、32は前記転舵制御処理を行う転舵制御処理部である。
【0016】
反力発生処理部31では、カウンタ判定部31aにおいて、操舵角センサ3で検出された操舵角δに基づきカウンタステア状態であるかどうかを判断し、このカウンタ判定部31aでの判断結果と、車速センサ23で検出された車速V、軸力センサ21で検出されたタイヤ転舵軸トルクTt及び操舵角センサ4で検出された操舵角δに基づき、目標操舵反力演算部31bにおいて目標操舵反力トルクTδ* を算出する。そして、演算部31cにおいて、操舵トルクセンサ4で検出された操舵トルクTsと目標操舵反力トルクTδ* との差分値に基づいて、操舵トルクTsと目標操舵反力トルクTδ* とが一致するような駆動制御信号を生成し、この駆動制御信号に基づきモータドライバ31dが反力発生モータ5を駆動制御することにより、目標操舵反力トルクTδ* を発生させる。
【0017】
また、転舵制御処理部32では、目標タイヤ転舵角演算部32aにおいて、操舵角センサ3で検出した操舵角δに基づいて、公知の手順で、転舵輪20の目標転舵角δt* を算出する。そして、演算部32bにおいて、目標転舵角δt* と変位センサ22で検出された変位Xsとに基づいて、タイロッド16に付与すべき目標転舵トルクを演算して第1及び第2の転舵モータの駆動制御信号を生成し、この駆動制御信号に基づきモータドライバ32cが第1及び第2転舵モータ14、15を駆動し、変位センサ22の変位Xsを、ステアリングホイール1の操舵角δに追従させる。
【0018】
図3は、コントロールユニット10の反力発生処理部31で実行される反力発生処理の処理手順の一例を示すフローチャートであって、コントロールユニット10では、所定のサンプリング時間、例えば10msec.毎に、図3の演算処理を行うようになっている。なお、この演算処理では、特に通信のためのステップを設けていないが、算出された情報は随時記憶装置に更新記憶されると共に、記憶装置に記憶されている情報は随時演算処理装置に読み込まれる。
【0019】
この演算処理では、まず、ステップS1で、車速センサ23で検出された車速V、軸力センサ21で検出されたタイヤ転舵軸トルクTt、操舵角センサ3で検出された操舵角δ、操舵トルクセンサ4で検出された操舵トルクTsを読み込む。
次いで、ステップS2に移行し、前記ステップS1で読み込んだ操舵角δの時間微分値、すなわち、操舵角速度δ′を算出する。
【0020】
次いで、ステップS3に移行し、図4の制御マップにしたがって、ステップS1で読み込んだ車速Vに基づいて、操舵角係数Ksを算出する。前記図4の制御マップにおいて、横軸は車速V、縦軸は操舵角係数Ksであって、例えば、車速が所定車速v1 以下では、操舵角係数Ksは“0”となり、所定車速v1 よりも大きい車速v2 以上の領域では、操舵角係数Ksは“1”に設定され、車速v1 からv2 の間では、車速Vの増加に比例して操舵角係数Ksは“0”から“1”に増加する。
【0021】
なお、前記所定車速v1 は、例えば、停止時の据え切りや、タイヤセルフアライニングトルクが十分に発生されない車速域、例えば20km/h程度に設定される。この領域はタイヤ転舵負荷が高いことが知られている。
次いで、ステップS4に移行し、カウンタステア状態であるかどうかを判定するための、例えば図5に示す公知のカウンタ判定処理を行う。
【0022】
このカウンタ判定処理では、図5に示すように、まず、ステップS21で、操舵角δの絶対値を、カウンタステア中であるか否かの判断を行うためのカウンタ判断値δsと比較する。このカウンタ判断値δsは、中立点付近の例えば±10°程度の値に設定される。これは、目標操舵反力トルクTδ* は、操舵角に応じて設定されるので、目標操舵反力トルクTδ* がごく小さい範囲、すなわち、操舵角の絶対値|δ|が零に近いある範囲で切り替える必要があるからである。
【0023】
このステップS21の処理で、操舵角δの絶対値|δ|とカウンタ判断値δsとが等しい場合には、ステップS22に移行し、前回処理実行時に所定の記憶領域に格納した操舵角δ及び操舵角速度δ′を、前回値として所定の記憶領域に更新記憶すると共に、今回処理実行時における操舵角δ及び操舵角速度δ′を今回値として所定の記憶領域に格納する。
【0024】
次に、ステップS23に移行し、操舵角|δ|がカウンタ判断値δsであるときの、操舵角δ及び操舵角速度δ′それぞれの前回値及び今回値について符号を比較する。
ここで、中立点付近からの急転舵時には、操舵角と前輪の横滑り角との関係が保たれているので、操舵反力の抑制制御の停止は不要である。そのため、カウンタステア操舵と中立点付近からの急転舵との区別を行う必要がある。この区別を行うために、操舵角δ及び操舵角速度δ′の前回値及び今回値の符号の比較を行う。カウンタステア操舵時には、操舵の方向、すなわち、操舵角の符号が今回値δnと前回値δn−1とで互いに異なる。また、操舵角の今回値δnと操舵角速度の今回値δ′nと操舵角速度の前回値δ′n−1との符号が一致する。
【0025】
したがって、これらの条件からカウンタステア操舵と中立点付近からの急転舵とを区別することができる。
そして、ステップS23の処理で、操舵角及び操舵角速度の前回値及び今回値が、カウンタステア操舵とみなすことの可能な符号条件を満足している場合には、ステップS24に移行し、次に、今回の操舵角速度δ′と、操舵角速度δ′のしきい値δTH′とを比較する。
【0026】
ここで、カウンタステア操舵時の操舵角速度は、通常操舵時に比較して早くなるので、予め設定した操舵角速度δ′のしきい値δTH′と操舵角速度の今回値δ′とを比較し、今回値δ′が、しきい値δTH′以上であるとき、ステップS25に移行して、カウンタステア状態であるとし、カウンタ補正係数KcをKc=Kcmax に設定する。
【0027】
一方、前記ステップS23の処理で、符号条件を満足しないとき、また、ステップS24の処理で操舵角速度δ′が、しきい値δTH′を下回るときには、カウンタステア状態ではないと判断しそのまま処理を終了する。
また、前記ステップS21で、操舵角δの絶対値|δ|とカウンタ判断値δsとが等しくない場合にはステップS26に移行し、操舵角δがδ=0になったことを検出したならば、ステップS27に移行して、カウンタ補正係数KcをKc=1にセットする。そして、カウンタ判定処理を終了する。また、前記ステップS26で、操舵角δがδ=0になったことを検出しない場合には、そのまま処理を終了する。
【0028】
このようにして、ステップS4の処理でカウンタ判定処理を行ったならば、次いでステップS5に移行し、ステップS3で算出した操舵角係数Ksと、前記ステップS1で読み込んだ操舵角δの絶対値と、カウンタ補正係数Kcとを乗算し、操舵角影響度eδを算出する。
次いで、ステップS6に移行し、図6の制御マップにしたがって、前記ステップS5で算出された操舵角影響度eδ及びステップS1で読み込まれた軸力センサ21で検出されたタイヤ転舵軸トルクTtをもとに、タイヤ転舵軸トルクTtに応じた基本操舵反力トルクTδを算出する。
【0029】
図6の制御マップにおいて、横軸はタイヤ転舵軸トルクTt、縦軸は基本操舵反力トルクTδである。図6中、実線で示された曲線からなる特性線m1は、操舵角δと車速Vとから推測される、外乱が加わらないときの操舵反力トルクの発生範囲であって、タイヤ転舵軸トルクTtが大きいほど基本操舵反力トルクTδが増加するように設定され、且つ、タイヤ転舵軸トルクTtが小さいほど、タイヤ転舵軸トルクTtの変化量に対する基本操舵反力トルクTδの変化量が大きく、タイヤ転舵軸トルクTtが大きくなるほど、タイヤ転舵軸トルクTtの変化量に対する基本操舵反力トルクTδの変化量が小さくなるように設定される。
【0030】
また、図6中、破線で示された直線からなる特性線m2は、傾きが一定であり、且つ特性線m2よりも基本操舵反力トルクTδが小さくなるように設定され、特性線m2の縦軸との切片は、前記操舵角影響度eδに応じて変化し、操舵角影響度eδが最小値であるとき、切片は最小値となり、操舵角影響度eδがしきい値eδTH以上であるとき、特性線m2に基づく基本操舵反力トルクTδの最大値が、特性線m1における基本操舵反力トルクTδの最大値に限りなく接近するようになっている。
【0031】
そして、基本操舵反力トルクTδは、図6に曲線で示す特性線m1と、直線で示す特性線m2とに応じて設定され、タイヤ転舵軸トルクTtが、特性線m1と操舵角影響度eδに応じた特性線m2との交点におけるタイヤ転舵軸トルク以下であるときには、基本操舵反力トルクTδは特性線m1に基づいて設定され、タイヤ転舵軸トルクTtが特性線m1及びm2の交点におけるタイヤ転舵軸トルクを超えるときには特性線m2に基づいて設定される。
【0032】
つまり、操舵角係数Ksを一定、非カウンタステア操舵状態であると考えると、操舵角|δ|が小さいほど特性線m1と特性線m2との交点は、タイヤ転舵軸トルクTtが小さい方に移動する。そして、基本操舵反力トルクTδは、特性線m1とm2とで構成されるマップに従い、両者の交点よりもタイヤ転舵軸トルクTtが小さい領域では、特性線m1に応じて基本操舵反力トルクTδが設定され、両者の交点よりもタイヤ転舵軸トルクTtが大きい領域では、特性線m2にしたがって、基本操舵反力トルクTδが設定される。したがって、操舵角δの増加に応じてタイヤ転舵軸トルクが増加するとこれに伴って特性線m1に沿って、基本操舵反力トルクTδが増加するから、キックバック等の外乱がない状態では、タイヤ転舵軸トルクTtの増加に伴ってこれに応じた基本操舵反力トルクTδが設定されると共に、例えば、カント走行中のような小操舵角或いは操舵中に、短時間の外乱やキックバック等によってタイヤ転舵軸トルクTtが大きくなると、操舵角が一定であることから前記特性線m1から特性線m2に切り替わりこの特性線m2にしたがって、特性線m1に応じた基本操舵反力トルクTδよりもより小さな基本操舵反力トルクTδが設定される。よって、ハンドル取られ等を伴う操舵反力トルクの変動を抑制防止することが可能となる。
【0033】
また、車速Vが比較的小さい領域では、操舵角係数が“0”に設定されることから、切片が最小である特性線m2に応じて基本操舵反力トルクTδが設定されることになる。つまり、据え切りや微低速時には、タイヤ転舵軸トルクは走行時に比較して大きいため、操舵角に応じて特性線m2を変化させた場合、操舵角の増加に応じてタイヤ転舵軸トルクが増加するとこれに応じて基本操舵反力トルクTδも増加することになるが、車速Vが所定車速v2 よりも小さい場合には、操舵角係数が“0”又は“1”よりも小さい値に設定されることから、操舵角影響度eδが小さい値に制限され、操舵角の増加に伴う、基本操舵反力トルクTδの増加が抑制される。したがって、据え切りや微定速時での、操舵角の増加に伴う基本操舵反力トルクTδの増加が防止される。
【0034】
また、カウンタステア操舵状態である場合には、操舵角影響度eδに関わらず、特性線m1に沿って基本操舵反力トルクTδが設定される。つまり、前記カウンタ補正係数Kcmax は、操舵角δ及び操舵角係数Ksの値に関わらず、操舵角影響度eδ(=Ks・|δ|・Kcmax )がそのしきい値eδTH以上となる値に設定され、カウンタステア操舵状態である場合には、カウンタ補正係数KcがKc=Kcmax に設定されることから、操舵角影響度eδがしきい値eδTH以上となり、特性線m2が、特性線1に近づくことから、操舵角影響度eδに関わらず、特性線m1に沿って基本操舵反力トルクTδが設定されるようになっている。
【0035】
このようにして、ステップS6で基本操舵反力トルクTδが算出されたならば、ステップS7に移行し、図7の制御マップにしたがって、ステップS1で読み込んだ車速Vに応じた車速係数Kvを算出する。この図7の制御マップでは、車速Vが小さな領域では、車速係数Kvは比較的大きな一定値に設定され、車速Vが大きな領域では速度係数Kvは比較的小さな一定値に設定され、二つの領域の間では、車速Vの増加に伴って車速係数Kvがリニアに減少するように設定されている。
【0036】
次に、ステップS8に移行し、図8の制御マップにしたがって、ステップS2で算出された操舵角速度δ′をもとに、ダンピングトルクTdを算出する。このダンピングトルクTdは、ステアリングホイール1に意図的に与える重み或いは減衰力のようなものである。したがって、図8の制御マップは、操舵角速度δ′が大きいほど、ダンピングトルクTdがリニアに大きくなるように設定されている。
【0037】
次いで、ステップS9に移行し、前記ステップS6で算出された基本操舵反力トルクTδから、ステップS8で算出したダンピングトルクTdを減算し、これを目標操舵反力トルクTδ* とする。
次いで、ステップS10に移行し、ステップS9で算出した目標操舵反力トルクTδ* からステップS1で読み込んだ操舵トルクTsを減算し、これに基づいて、反力発生モータ5で発生すべきトルクに応じた駆動制御信号を生成し、これをモータドライバ31dに出力する。
【0038】
これによって、モータドライバ31dが反力発生モータ5を駆動制御し、目標操舵反力トルクTδ* が発生される。
次に、上記実施の形態の動作を説明する。
今、車速Vが所定値v2 よりも大きい状態であるとすると、操舵角係数KsはKs=1に設定される。
【0039】
外乱が発生していない場合、操舵が行われこれに伴ってタイヤ転舵軸トルクTtが増加すると、非カウンタステア状態であるから、カウンタ補正係数KcはKc=Kcmax に設定される。そして、タイヤ転舵軸トルクTtが比較的小さい領域では、操舵角の増加に伴って特性線m2の切片が上昇し、図6の制御マップに示す特性線m1に沿うように基本操舵反力トルクTδが設定される。このとき、図6の特性線m1は、予め外乱のない状況において、タイヤ転舵軸トルクTtが発生したときに、操舵角、車速に応じて発生すると予測される基本操舵反力トルクTδにしたがって設定されているから、操舵に伴って違和感を与えることのない操舵反力トルクがステアリングホイール1に作用する。また、操舵角が大きくなるにしたがって、特性線m1と特性線m2とが交わるときの基本操舵反力トルクTδが大きくなるように設定しているから、操舵角の増加に応じて特性線m2の切片が増加し、タイヤ転舵軸トルクTtが増加に伴って特性線m1に沿って基本操舵反力トルクTδが設定されることになり、外乱のない旋回走行時には、操舵に応じた適度な基本操舵反力トルクTδを設定することができる。
【0040】
そして、操舵角一定で旋回している状態で、キックバック、或いはカント走行等により外乱が発生すると、操舵角一定の状態で、タイヤ転舵軸トルクTtが変動することから、この時点における操舵角影響度eδに応じて特定される特性線m2に基づいて基本操舵反力トルクTδが設定されることになる。
ここで、図6に示すように、直線からなる特性線m2は、曲線からなる特性線m1よりも基本操舵反力トルクTδが小さくなるように設定されている。したがって、タイヤ転舵軸トルクTtの変動に対し、特性線m1に基づく基本操舵反力トルクTδの変動よりも特性線m2に基づく基本操舵反力トルクTδの変動の方が小さい。よって、外乱により操舵反力トルクが変動することに起因して、ハンドル取られが発生することを防止することができる。また、このとき、タイヤ転舵軸トルクTtと操舵角影響度eδとで特定される特性線m2に基づいて基本操舵反力トルクTtを検出するようにしている。したがって、外乱に伴うタイヤ転舵軸トルクTtの変動に追従して基本操舵反力トルクTδを抑制することができ、キックバック初期であっても操舵反力トルクの変動を低減することができ、外乱に対する操舵反力トルクの変動を速やかに低減することができる。
【0041】
また、カントのない路面からカント路に進入した場合、同じ操舵角であってもタイヤ転舵軸トルクTtが変動することになるが、タイヤ転舵軸トルクTtが変動すると、タイヤ転舵軸トルクTtと操舵角影響度eδに応じた特性線m2とに基づいて基本操舵反力トルクTδが特定されることになる。このとき、特性線m2に基づく基本操舵反力トルクTδの変動量は、特性線m1に基づく基本操舵反力トルクTδの変動量に比較して小さいから、カント路走行に進入したことに伴う操舵反力トルクの変動を低減することができる。
【0042】
また、旋回走行中に、運転者がカウンタステア操舵を行った場合、これがカウンタ判定処理によって検出され、カウンタ補正係数KcはKc=Kcmax に設定される。したがって、操舵角影響度eδがしきい値eδTH以上となり、特性線m2が、特性線1に近づくことから、操舵角影響度eδに関わらず、特性線m1に沿って基本操舵反力トルクTδが設定されることになる。したがって、カウンタステア操舵を行ったときには、基本操舵反力トルクTδは、タイヤ転舵軸トルクTtに応じた値に設定される。よって、カウンタステア操舵時には、タイヤ転舵軸トルクTtの変動に対する基本操舵反力トルクTδの変動の小さい特性線m2ではなく、特性線m1に基づいて基本操舵反力トルクTδが設定されるから、カウンタステア操舵に伴うタイヤ転舵軸トルクTtの変動に応じた操舵反力トルク変動が生じることになり、カウンタステア操舵時においても操舵反力トルクが軽くなり過ぎることを防止することができ、カウンタステア操舵時に操舵反力トルクを低減することに起因して運転者に違和感を与えることを回避することができる。
【0043】
一方、据え切りを行った場合には、操舵角係数Ksは“0”に設定されるから、操舵角影響度eδは、零となり特性線m2は、タイヤ転舵軸トルクTtに対応する基本操舵反力トルクTδが最小となる特性線に設定される。このとき、特性線m2が最小値である場合でもタイヤ転舵軸トルクTtが比較的小さい領域では、特性線m1に沿って基本操舵反力トルクTδが設定される。したがって、操舵を開始しタイヤ転舵軸トルクTtが小さい状態では、特性線m1に沿って基本操舵反力トルクTδが設定されるから、タイヤ転舵軸トルクTtの変動に応じた操舵反力が発生されるから、据え切り開始時にはある程度の操舵反力トルクが発生されることになり、タイヤ転舵軸トルクTtがさらに大きくなると、特性線m1に替えて特性線m2に基づいて基本操舵反力トルクTδが設定され、特性線m1に比較してタイヤ転舵軸トルクTtの変動に対する基本操舵反力トルクTδの変動は小さい。ここで、車速Vに応じた操舵角係数Ksを考慮せず、操舵角の増加に応じて特性線m2を変動させた場合、据え切り時に、操舵量が増加するに伴って操舵反力トルクが大きくなることになる。しかしながら、車速Vに応じた操舵角係数Ksに応じて特性線m2を特定するようにしているから、据え切り時に操舵量の増加に伴って操舵反力トルクが大きく増加することはなく、これに伴う違和感を運転者に与えることを防止することができる。
【0044】
また、車速Vがv1 からv2 の間である場合には、操舵角係数が“0”から“1”の値に設定される。このため、操舵角影響度eδは車速Vがv2 よりも大きい場合に比較してより小さい値に設定される。したがって、車速が比較的小さい領域また、上述の据え切り時等のようにセルフアライニングトルクが十分に発生されない車速域でありタイヤ転舵負荷が高い領域では、特性線m1に沿って基本操舵反力トルクTδを設定して、ある程度のタイヤ転舵軸トルクTtまではタイヤ転舵軸トルクTtの増加に応じた操舵反力トルクを発生させ、その後は、特性線m2に沿って基本操舵反力トルクTδを設定してタイヤ転舵軸トルクTtの増加量に伴う基本操舵反力トルクTδの変動を低減することにより、操舵量の増加に応じて操舵反力トルクTδが増加することを回避することができる。
【0045】
したがって、全車速域に渡って、適度な操舵反力トルクを発生させることができ、運転者に対し、良好な操舵フィーリングを与えることができる。
なお、上記実施の形態においては、コントロールユニットをマイクロコンピュータで構築する場合について説明したが、これに限らず、同等の演算回路や論理回路で構築するようにしてもよい。
【0046】
ここで、上記実施の形態において、ステアリングホイール1及びステアリングシャフト2が操舵機構に対応し、ラック軸11、タイロッド16及び転舵輪20が転舵機構に対応し、操舵角センサ3が操舵角検出手段に対応し、軸力センサ21が転舵軸トルク検出手段に対応し、反力発生モータ5及び図3の反力発生処理が反力トルク付与手段に対応し、車速センサ23が車速検出手段に対応し、図5のカウンタ判定処理がカウンタステア操作検出手段に対応し、図6の特性線m1が第1の特性に対応し、特性線m2が第2の特性に対応している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電動式操舵装置の位置実施形態を示す全体概略構成図である。
【図2】図1のコントロールユニット10の構成を示す制御ブロック図である。
【図3】図1のコントロールユニット10で実行される反力発生処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】車速と操舵角係数との対応を表す制御マップである。
【図5】図3のカウンタ判定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】タイヤ転舵軸トルクTtと基本操舵反力トルクTsとの対応を表す制御マップである。
【図7】車速Vと車速係数Kvとの対応を表す制御マップである。
【図8】操舵角速度δ′とダンピングトルクTdとの対応を表す制御マップである。
【符号の説明】
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト
3 操舵角センサ
4 操舵トルクセンサ
5 反力発生モータ
10 コントロールユニット
14 第1転舵モータ
15 第2転舵モータ
21 軸力センサ
22 変位センサ
23 車速センサ
Claims (9)
- 操舵機構と機械的に分離された転舵機構を、前記操舵機構の操舵量に応じて駆動制御すると共に、前記転舵機構の転舵に伴う反力トルクを前記操舵機構に付与するようにした電動式操舵装置において、
操舵角を検出する操舵角検出手段を備え、前記転舵機構の転舵軸トルクに応じた反力トルクを前記操舵機構に付与し且つ前記転舵軸トルクに対する反力トルクの特性を、前記操舵角検出手段で検出された操舵角に応じて変えるようになっていることを特徴とする電動式操舵装置。 - 操舵機構と機械的に分離された転舵機構を、前記操舵機構の操舵量に応じて駆動制御すると共に、前記転舵機構の転舵に伴う反力トルクを前記操舵機構に付与するようにした電動式操舵装置において、
操舵角を検出する操舵角検出手段と、
前記転舵機構の転舵軸トルクを検出する転舵軸トルク検出手段と、
当該転舵軸トルク検出手段で検出された転舵軸トルクに応じた反力トルクを前記操舵機構に付与する反力トルク付与手段と、を備え、
当該反力トルク付与手段は、前記操舵角検出手段で検出された操舵角に応じて前記転舵軸トルクに対する反力トルクの特性を変えるようになっていることを特徴とする電動式操舵装置。 - 前記反力トルク付与手段は、前記特性を、前記操舵角が小さいときほど、前記転舵軸トルクに対する反力トルクが小さくなるように変えることを特徴とする請求項2記載の電動式操舵装置。
- 車速を検出する車速検出手段を備え、
前記反力トルク付与手段は、前記特性を、前記車速が小さいときほど、前記転舵軸トルクに対する反力トルクが小さくなるように変えることを特徴とする請求項2又は3記載の電動式操舵装置。 - カウンタステア操作を行っているかどうかを判断するカウンタステア操作検出手段を備え、
前記反力トルク付与手段は、車両に外乱が作用していないときの転舵軸トルクに相当する反力トルクに応じて設定される特性を基準とし、当該基準となる特性において特性の変更を行い、
前記カウンタステア操作検出手段でカウンタステア操作を検出した場合には、前記特性の変更を行わないようになっていることを特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載の電動式操舵装置。 - 前記反力トルク付与手段は、前記転舵軸トルクがしきい値以下のときには、第1の特性に基づいて前記反力トルクを決定し、前記転舵軸トルクがしきい値よりも大きいときには、前記第1の特性よりも、前記転舵軸トルクの変動量に対する前記反力トルクの変動量がより小さい第2の特性に基づいて前記反力トルクを決定し、前記操舵角検出手段で検出される操舵角が大きいときほど前記しきい値をより大きな値に設定するようになっていることを特徴とする請求項2記載の電動式操舵装置。
- 車速を検出する車速検出手段を備え、
前記反力トルク付与手段は、前記車速が大きいときほど、前記しきい値をより大きな値に設定するようになっていることを特徴とする請求項6記載の電動式操舵装置。 - 前記第1の特性は、車両に外乱が作用していないときの転舵軸トルクに相当する反力トルクに応じて設定されることを特徴とする請求項6又は7に記載の電動式操舵装置。
- カウンタステア操作を行っているかどうかを判断するカウンタステア操作検出手段を備え、
当該カウンタステア操作検出手段でカウンタステア操作を検出した場合には、前記転舵軸トルクの大きさに関わらず前記第1の特性に基づいて前記反力トルクを設定することを特徴とする請求項6乃至8の何れかに記載の電動式操舵装置。
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| JP2002335256A JP2004168150A (ja) | 2002-11-19 | 2002-11-19 | 電動式操舵装置 |
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| JP2002335256A Pending JP2004168150A (ja) | 2002-11-19 | 2002-11-19 | 電動式操舵装置 |
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-
2002
- 2002-11-19 JP JP2002335256A patent/JP2004168150A/ja active Pending
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