JP2004165267A - 半導体発光素子および発光表示装置、ならびにそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】外部電源を必要とせずに又は外部電源を使用する場合でも少ない消費電力で作動させ得る、半導体発光素子および発光表示装置を提供する。
【解決手段】基板1の上に、圧電半導体薄膜結晶の層3を形成し、その層の表面の表面の一部に、多重量子井戸構造を有する発光層4を形成し、発光層4および発光層4が形成されていない圧電半導体薄膜結晶の層3の表面全体にわたって、圧電半導体薄膜結晶の層3をさらに形成して、圧電半導体薄膜結晶3に発光層4が埋め込まれた構成の半導体発光素子10を得る。この発光素子10において、圧電半導体薄膜結晶の層3の表面に厚さ方向に圧力を印加すると、圧電効果により正負のキャリアが発生し、それらが発光層で結合して、発光する。
【選択図】 図1
【解決手段】基板1の上に、圧電半導体薄膜結晶の層3を形成し、その層の表面の表面の一部に、多重量子井戸構造を有する発光層4を形成し、発光層4および発光層4が形成されていない圧電半導体薄膜結晶の層3の表面全体にわたって、圧電半導体薄膜結晶の層3をさらに形成して、圧電半導体薄膜結晶3に発光層4が埋め込まれた構成の半導体発光素子10を得る。この発光素子10において、圧電半導体薄膜結晶の層3の表面に厚さ方向に圧力を印加すると、圧電効果により正負のキャリアが発生し、それらが発光層で結合して、発光する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体発光素子および発光表示装置、ならびにそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、青色〜紫外域の短波長発光材料として、ワイドギャップ半導体であるIII族窒化物および酸化亜鉛系半導体が注目されている。また、これらの半導体の結晶成長に関する技術、およびこれらを用いたデバイスに関する技術は、急速に発展している。
【0003】
なお、以下の説明を含む本明細書において、「III族窒化物半導体」とは、GaN、AlN、InNおよびこれらの混晶を指すものとする。また、「酸化亜鉛系半導体」とは、ZnO、ならびにMg1−xZnxOおよびCd1−xZnxOで表される混晶を指すものとする。
【0004】
一般に、半導体発光素子は、正負のキャリアが再結合する際のエネルギー放出に伴う発光を利用する。そのような半導体発光素子としては、pn接合型発光素子およびMIS型発光素子が挙げられる。
【0005】
pn接合型発光素子では、p型半導体層とn型半導体層を接合させて順方向にバイアス電圧を印加し、接合界面の空乏層で正負キャリアを再結合させて発光を得ている(例えば、非特許文献1参照)。MIS型発光素子は、低抵抗半導体層(S層)上に高抵抗半導体層(I層)および金属電極(M層)をこの順に積層した構成の発光素子である。MIS型発光素子においても、順方向にバイアス電圧を印加し、接合界面で正負キャリアを再結合させることによって、発光を得ている。 ZnOのような単極性半導体を使用する場合、pn接合を形成することが難しいため、このMIS型構造を都合良く採用される(例えば、非特許文献2参照)。
【0006】
これらの半導体発光素子をアレイ状に並べて、発光表示装置を形成することもまた知られている。かかる発光表示装置においては、任意の素子を点灯または消灯させ、それにより所望のパターンを発光させて表示する。
【0007】
【非特許文献1】
米津宏雄 著,「光通信素子工学」,第4版,工学図書株式会社,平成3年5月25日,P.51
【非特許文献2】
J.H.ショーン(J.H.Schoen)、外2名,「発光電界効果トランジスタ(A Light−Emitting Field−Effect Transistor)」,サイエンス(SCIENCE),Vol.290,No.3(2000),p.963−965
【特許文献1】
特開平2−73325号公報
【特許文献2】
特開平7−230177号公報
【特許文献3】
特開平9−87618号公報
【特許文献4】
特開平10−125894号公報
【特許文献5】
特開平10−126210号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の半導体発光素子はいずれも、pn接合面またはS層−I層接合界面へのキャリア注入のために、外部からバイアス電圧を印加する必要がある。特に、MIS型発光素子は、pn接合型発光素子よりも発光に必要な電圧が高いうえ、キャリア注入効率が低いために消費電力が大きいという問題を有する。
【0009】
また、上記のアレイ型発光表示装置においては、画素となる各半導体発光素子に配線を施す必要があるため、製造工程が複雑で、製造歩留りを向上させることが難しい。更に、アレイ型発光表示装置においては、通常、各発光素子のON−OFFにより表示を実施する。そのため、アレイ型発光表示装置の表現力は一般に乏しい。表現力を向上させるには、各素子への電流を制御することによって階調制御を実施する方法が有効であるものの、制御装置駆動のために更に電力を要することとなり、発光表示装置全体が消費する電力が更に大きくなるという問題がある。
【0010】
本発明は従来の半導体発光素子および発光表示装置が有する問題に鑑みてなされたものであり、外部電源から電圧を印加することなく、あるいは少ない消費電力で発光し得る半導体発光素子およびこれを用いた発光表示装置を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、本発明は、圧電効果を利用して半導体中に正負のキャリアを生じさせ、これらを結合させることにより発光させる機構を採用して、半導体発光素子を構成した。この機構によれば、半導体における発光を圧力を印加することのみによって得ることができる。したがって、外部電源を使用することなく、半導体発光素子を発光させることが可能である。また、外部電源を用いて電圧をバイアスする場合でも、従来の半導体発光素子と比較して、少ない消費電力で駆動することが可能である。
【0012】
より具体的には、本発明の第1の要旨に係る半導体発光素子は、圧電効果を有する半導体薄膜結晶(以下、「圧電半導体薄膜結晶」とも呼ぶ)、および当該圧電半導体薄膜結晶で生じた正負のキャリアを結合させる発光層を有するものである。なお、発光層は、当該分野において活性層とも称される。この半導体発光素子によれば、圧電半導体薄膜結晶に圧力を印加することによって、正負のキャリアを高濃度に生じさせ得るため、外部電源によるキャリア注入を行わなくとも発光を得ることができる。また、キャリア注入を促進するために、外部電源によりバイアスした場合でも、従来の発光素子と比較して、低消費電力で駆動できる。
【0013】
本発明の半導体発光素子は、圧電半導体薄膜結晶がウルツ鉱型半導体である場合には、好ましくは、圧力が印加される面(以下、この面を「主面」とも呼ぶ)が{0001}面となるように構成されているものである。この面を主面とすることにより、高い圧電効果を得ることができる。
【0014】
本発明の半導体発光素子は、好ましくは、圧電半導体薄膜結晶がウルツ鉱構造をとるII族酸化物またはIII族窒化物であるものである。そのようなII族酸化物は、例えばZnOであり、III族窒化物は、例えばGaNである。ウルツ鉱構造をとるII族酸化物またはIII族窒化物は、ワイドギャップ半導体であるため、これらを使用することにより、消費電力の低い紫外発光素子を得ることが可能である。
【0015】
あるいは、本発明の半導体発光素子は、圧電半導体薄膜結晶が閃亜鉛鉱型半導体である場合には、好ましくは、主面が{111}面となるように構成されているものである。この面を主面とすることにより、高い圧電効果を得ることができる。
【0016】
本発明の半導体発光素子は、好ましくは、圧電半導体薄膜結晶が閃亜鉛鉱構造をとるII族酸化物またはIII族窒化物であるものである。そのようなII族酸化物は、例えばZnOであり、III族窒化物は、例えばGaNである。これらの化合物は、成長条件によって閃亜鉛鉱型の構造をとる。閃亜鉛鉱型の構造をとるII族酸化物またはIII族窒化物は、ワイドギャップ半導体であるため、これらを使用することにより、消費電力の低い紫外発光素子を得ることが可能である。また、GaAs、InGaAlPおよびInGaAsP等のIII−V族半導体もまた、閃亜鉛鉱型の構造をとる。これらの半導体を使用して本発明の発光素子を構成すれば、消費電力の低い、可視〜赤外領域の発光素子を得ることができる。
【0017】
本発明の半導体発光素子は、その1つの形態において、量子井戸構造を有する発光層の上下に、当該発光層よりバンドギャップの大きい半導体障壁層を配置したダブルヘテロ構造を有するものである。この構造を有することにより、圧電効果によって生じた正負のキャリアが量子井戸層に閉じ込められるので、再結合し易くなると共に、量子効果によって光学利得が向上するため、より発光効率を高くし得る。ここで、「量子井戸構造」いう用語は、多重量子井戸構造を含む意味で使用される。したがって、発光層は、井戸層および障壁層が交互に積層された形態であってよい。あるいは、発光層が井戸層を1つだけ有する場合、発光層の上下に位置する半導体障壁層を、量子井戸構造の障壁層とみなすことができる。
【0018】
上記ダブルへテロ構造を有する本発明の半導体発光素子は、好ましくは、圧電半導体薄膜結晶が半導体障壁層(即ち、クラッド層)を構成する領域を含んで成る構造を有するものである。かかる構造によれば、キャリアを生じる層が半導体障壁層を兼ねるため、半導体発光素子をコンパクトにすることができる。また、半導体障壁層と圧電半導体薄膜結晶が同一の層で構成されていることにより、圧力印加領域から発光領域へのキャリア拡散路に欠陥や粒界が存在しないので、キャリアの捕獲を抑止して注入効率を向上させることができる。
【0019】
本発明の半導体発光素子は、その1つの形態において、基板を含み、基板が圧電半導体薄膜結晶と電気的に絶縁されているものである。半導体発光素子は、一般に、基板を含む。この基板は、エピタキシャル成長における成長層のテンプレートとなり、また、発光素子の機械的支持部の役割を果たす。この基板が、圧電半導体薄膜結晶と電気的に絶縁されることにより、圧電半導体薄膜結晶で生じたキャリアが基板へ移動せず、したがって、発光層へ高い効率で注入されることとなる。
【0020】
本発明の半導体発光素子は、好ましくは、圧電半導体薄膜結晶に圧力を印加する圧力印加領域と、発光層を含む発光領域とが分離されているものである。この半導体発光素子においては、圧力を印加する領域とは異なる領域で、発光が得られる。かかる半導体発光素子によれば、発光領域が圧電効果による分極電界の影響を受けにくいので、発光効率の低下および波長シフトが生じにくい。
【0021】
圧力印加領域と発光領域とが分離されている半導体発光素子は、好ましくは、複数の発光領域が島状に分離されているものである。複数の発光領域が島状に分離されているとは、1つの発光素子において、複数の発光層が互いに独立して存在することを意味する。各発光領域の発光層は、すべて同じ形状および寸法を有していてよく、あるいは異なる形状および寸法を有していてよい。発光領域の発光層は、不規則に分離していてよく、あるいはタイルのように規則的に分離していてよい。かかる形態の半導体発光素子によれば、圧電半導体薄膜結晶がクラッド層として機能する場合、発光層において、横方向にも拡散キャリアが閉じ込められるため再結合しやすく、したがって、発光効率が向上する。また、圧力印加領域を小さくすることが可能であるため、発光素子に印加する力を分散させることができ、機械的な耐久性が向上する。また、圧力印加領域を小さくすることによって、大きな圧力を生み出すことができるため、圧電効果が大きくなり、その結果、多くのキャリアが生じ、発光強度が強くなる。そのため、発光領域が島状に分離されていても、各発光素子からの光がオーバーラップし、したがって発光領域の均一化に優れる。
【0022】
本発明の半導体発光素子は、好ましくは、圧力を印加していないときの圧電半導体薄膜結晶のキャリア濃度が、1×1016cm−3以下のものである。このような半導体発光素子においては、正負のキャリアが同程度に存在するため、圧電効果により生じる正負のキャリアもまた同程度となり、高い再結合確率が得られ、優れた発光効率を達成できる。
【0023】
本発明の半導体発光素子は、好ましくは、1対の電極を更に有する。電極を形成して、外部電源から電圧を印加することにより、発光層へのキャリア注入がより促進されて発光効率がより向上する。
【0024】
本発明の半導体発光素子は、1対の電極を有する場合、好ましくは電極が発光層からの光に対して透過性を有するものである。即ち、電極は発光層からの光の透過率が高い材料で形成されていることが好ましい。そのような電極においては、光吸収および散乱が生じにくい。したがって、そのような電極を用いた半導体発光素子は、より優れた発光効率を示す。
【0025】
本発明の半導体発光素子は、その1つの形態において、1対の光反射共振器およびその間に導波路が位置した構成を有するものである。この形態においては、前記発光層の両側に光ガイド層を有していてもよく、そのような半導体発光素子は、いわゆる分離閉じ込め型半導体レーザ素子に相当する。かかる半導体レーザ素子においても、キャリアの生成に圧電効果を利用することによって、外部電源を要することなく、または従来のものと比較してより低い消費電力でレーザを発振させることが可能となる。
【0026】
上記半導体レーザ素子は、好ましくは、導波路が電流狭窄機構を含むものである。電流狭窄機構を設けることにより、より優れた光閉じ込めとキャリア閉じ込めが達成され、信頼性をより高めることができる。また、電流が導波路に閉じ込められるため、消費電力をより低下させることができる。
【0027】
本発明はまた、上記本発明の第1の要旨に係る発光素子で採用した発光機構を発光表示装置において利用することにより、簡単な構造でより優れた表現力を発揮し得る発光表示装置を提供する。この発光表示装置もまた、圧力を印加するだけで所定のパターンに発光するものである。
【0028】
より具体的には、本発明の第2の要旨に係る発光表示装置は、突起状の圧力子が配置された圧力子パネルと、圧電半導体薄膜結晶および圧電半導体薄膜結晶で生じた正負のキャリアを結合させる発光層を有する発光パネルと、圧力子と発光パネルとの間で圧力を生じさせる手段とを含み、圧力子と発光パネルとの間に圧力を生じさせることによって、当該発光パネルを所定のパターンに発光させるものである。圧力子パネルの圧力子は、圧力子の集合が全体として、表示すべきパターン(例えば文字または図形)を形成するように配置されている。発光パネルは、具体的には、パネル基板上に、圧電半導体薄膜結晶の層−発光層−圧電半導体薄膜結晶の層がこの順に形成されて成るものである。あるいは、発光パネルは、上記本発明の第1の要旨に係る半導体発光素子を複数個、パネル基板の上に配列して形成したものであってよい。発光素子は例えばアレイ状に配列してよい。
【0029】
この発光表示パネルによれば、圧力子パネルを押圧手段を用いて発光パネルに押し付けるだけで、発光パネルを発光させて圧力子に対応するパターンを表示させることが可能である。したがって、この発光表示装置は、外部電源を使用することなく、発光による表示が可能である。また、この発光表示装置は、圧力子パネル、発光パネル、および2つのパネルの間で圧力を生じさせる機構を必要とするだけであり、従来の発光表示装置のように各半導体発光素子に配線を施す必要がない。したがって、従来のアレイ型の発光表示装置よりも、簡便に製造でき、製造歩留りが高い。また、本発明の発光表示装置は、外部電源を用いて電圧をバイアスする場合でも、従来の発光表示装置と比較して、少ない消費電力で駆動することが可能である。
【0030】
本発明の発光表示装置は、その1つの形態において、前記圧力子がそれぞれ異なるものである。圧力子がそれぞれ異なる高さを有するとは、各圧力子が発光パネルとの間で生じさせようとする力に応じて、所定の高さを有することを意味する。したがって、この形態には、全ての圧力子が異なる形態のほか、一部の圧力子が同じ高さh1を有し、その他の圧力子がそれとは異なる同じ高さh2を有する形態等も含む。1つの圧力子パネルにおいて、圧力子の高さがそれぞれ異なると、その高さに応じて圧力子と発光パネルとの間で生じる圧力が異なり、ひいては圧電半導体薄膜で生じる正負のキャリア量が異なり、その結果、パネルの各位置の発光強度も異なることとなる。それにより、発光強度による階調制御を行うことが可能となる。即ち、本発明の発光表示装置においては、高さの異なる圧力子を使用するという簡易な手法によって、表現力を容易により向上させることができる。
【0031】
本発明の発光表示装置は、圧力子がそれぞれ異なる高さを有する場合、発光パネルの表面にRGBより成る画素パネルを配置することによって、フルカラー表示が可能となるものである。前述のように、本発明の発光表示装置においては、圧力子の高さに応じて発光強度を異なるようにし得るために、発光強度の相違を利用して、RGBより成る画素パネルを介して所望の色を表示できる。
【0032】
本発明の発光表示装置は、1つの形態において、前記圧力子パネルの圧力子と接触する圧力印加領域と、前記発光層を有する発光領域とが分離されており、複数の発光領域が島状に分離されているものである。「発光領域が島状に分離されている」の意味は先に半導体発光素子に関連して説明したとおりである。かかる形態の発光表示装置においては、発光領域が圧電効果による分極電界の影響を受けにくいので、発光効率の低下や波長シフトが生じにくく、また、圧電効果によって生じた正負のキャリアが、発光領域に閉じ込められるために再結合しやすくなる。そのため、この形態の発光表示装置は、発光効率および認識率が高くなるという利点を有する。さらに、この形態において、発光領域の発光層が量子井戸構造を有する場合には、量子効果によって光学利得が向上するため、発光パネルの発光効率がより高くなり、好都合である。
【0033】
本発明はまた、上記本発明の発光素子および発光表示装置を製造する方法を提供する。当該製造方法においては、圧電半導体薄膜結晶として、発光層よりもバンドギャップの大きい材料を選択する。これは、発光層を圧電半導体薄膜結晶の層で挟むことによって、ダブルへテロ構造を得るためである。また、当該製造方法においては、圧電半導体薄膜結晶の層および発光層をそれぞれレーザ分子線エピタキシー法により形成する。レーザ分子線エピタキシー法は、当該分野で常套的に採用されている結晶成長方法であり、この手法によれば薄い層を制御性よく形成できる。当該製造方法において、各層を形成する手順は次のとおりである。まず、基板上に圧電半導体薄膜結晶の層を形成した後、遮蔽マスクを使用して、量子井戸構造を有する発光層を選択的に形成する。次に、発光層および発光層が形成されていない圧電半導体薄膜結晶の層の上に、即ち全面に、圧電半導体薄膜結晶の層を形成する。この手順によれば、バンドギャップの大きい圧電半導体薄膜結晶に発光層が埋め込まれたタブルへテロ構造を有し、且つ圧力印加領域と発光領域とが分離された構成が得られる。
【0034】
上記本発明の製造方法によれば、複数の層を常套の結晶成長方法を利用して形成するだけで、発光素子または発光表示装置が得られ、複雑な配線工程等を要しない。また、遮蔽マスクを利用することによって、それぞれ独立した発光領域を任意の位置に形成できるので、高機能で信頼性の高い発光素子または発光表示装置を容易に製造できる。また、遮蔽マスクを適宜選択することにより、発光領域を所望の位置に容易に形成できるので、この製造方法によれば、種々多様な発光素子または発光表示装置の製造に対応できる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1として、III族窒化物半導体であるGaNおよびInGaNを用いた発光ダイオード素子(LED素子とも呼ぶ)を説明する。図1は、本発明の実施の形態1の発光ダイオード素子10の断面図である。この形態において、半導体LED素子10は、サファイア基板1の{0001}面上に、GaNバッファ層2およびノンドープGaN層3が積層され、GaN層3の一部に、GaN障壁層とInGaN井戸層とから成る多重量子井戸発光層4が形成されて成る。この形態においては、GaN層3は圧電半導体薄膜結晶であるとともに、半導体障壁層としても作用し、したがって、発光層4とともにダブルへテロ構造を構成している。また、サファイア基板1の上に形成された各層は、いずれもウルツ鉱構造をとっている。そこで、この発光素子においては、その{0001}面を主面とした。
【0036】
図1に示す発光ダイオード素子10は、有機金属気相成長(MOCVD)法を用いて形成される。以下に、発光ダイオード素子10の製造方法を、図2を参照して説明する。
【0037】
まず、洗浄処理したサファイア基板1をMOCVD装置(図示せず)に導入し、水素ガスを流しながら温度1100℃で10分間加熱し清浄化した。次に基板温度を500℃に降温し、水素、アンモニアおよびトリメチルガリウム(TMG)を流してGaNバッファ層2を500Å形成した(図2(a))。
【0038】
次に、基板温度を再び1100℃に昇温し、GaNバッファ層2の表面に、GaNバッファ層2と同様にしてノンドープGaN層3aを1μm形成した(図2(b))。次に、基板温度を800℃に降温し、水素、アンモニアおよびTMGを流すとともに、トリメチルインジウム(TMI)を流量を変化させながら流して、多重量子井戸発光層4を成長した。多重量子井戸発光層4は、GaN障壁層を100Å、In0.08Ga0.92N井戸層を80Åとして10周期積層して構成した(図2(c))。
【0039】
サファイア基板1をMOCVD装置から取り出し、フォトリソグラフとリアクティブイオンエッチングで、多重量子井戸発光層4をエッチングした(図2(d))。その後、サファイア基板1を再びMOCVD装置に導入して、基板温度を1100℃に昇温し、ノンドープGaN層3aと同様にしてノンドープGaN層3bを1μm形成した(図2(e))。その結果、ノンドープGaN層3中に、発光層4が埋め込まれた構造のLED素子10であって、波長410nmの青色の光を発光する素子を得ることができた。
【0040】
次に、図1に示すLED素子において、発光を得る手順とその機構を、図3を参照して説明する。
図3に示すように、発光層4は素子の二次元方向において一部を占めており、LED素子10の積層方向において発光層4が存在する領域と存在しない領域とに区分される。発光層4が存在する領域は発光領域として機能し、発光層が存在しない領域は圧力印加領域として機能する。
【0041】
圧力印加領域においては、素子の主面に対してほぼ垂直な方向に、圧力子5で圧力を印加する。圧力子5直下では圧電効果によってピエゾ分極電界が発生し、この電界によって半導体中に存在する励起子などの電子・正孔対、および禁制帯内の準位に捕獲されたキャリアが分離され、圧力印加領域の上下界面に局在する。生成されるキャリア濃度は、印加する圧力が大きくなるほど増加する。圧力と発生するピエゾ分極電界およびシートキャリア濃度との関係を図4に示す。
【0042】
圧力印加領域内では、これらの正負キャリアは、ピエゾ電界によって分離されているため、それらの再結合確率は低い。圧力印加領域で正負キャリアが高濃度に生成されると、圧力印加領域と発光領域との間でキャリアの濃度勾配が生じるために、正負キャリアは発光領域に拡散する。発光領域に拡散したキャリアは、障壁の低い多重量子井戸発光層4に閉じ込められ、再結合して発光する。これが、発光ダイオード素子1における発光機構である。
【0043】
圧電半導体薄膜結晶において高濃度のキャリアを得るためには、圧電効果による自発分極電界が最も強い方向に圧力を印加することが好ましい。実施の形態1で使用したIII族窒化物、ならびにII族酸化物であるZnO、MgZnOおよびCdZnO等はウルツ鉱構造が安定相であるので、これらで半導体発光素子を構成する場合には、{0001}面に対して垂直な方向に圧力が加えられるようにすると、本発明の効果を最大限に得ることができる。
【0044】
図5(a)〜(c)は、圧力印加領域51と発光領域52とが分離しているLED素子の例をそれぞれ示すとともに、各LED素子で使用され得る圧力子を示している。図5(a)の素子は、ストライプ形状の発光領域52を有する。圧力子5は、圧力印加領域51を押す面が矩形に形成されたものである。図5(b)の素子はそれぞれ同じ形状および寸法を有する略正方形の発光領域52が、規則的に整列させられたものである。圧力印加領域51は、発光領域52を囲む格子の交差部である。図5(c)の素子は、圧力印加領域51と発光領域52とが同心に配置されたものである。この素子において、圧力印加領域51は発光領域52の内部に位置する。圧力子5は、その先端形状が圧力印加領域51に収まるような形状および寸法を有する。圧力子5は、半導体基板等を常套の微細加工技術を用いて、剣山のような形状に加工することによって形成できる。その場合には、例えば、先端の直径が数十μm程度の圧力子5を形成できる。圧力子5は、圧力子が基板上に規則的に形成されたパネルの形態で提供されてよい。
【0045】
これらの3つの形態のLED素子を、トータルの発光領域の面積が同じになるように作製して、1つの素子に印加される平均圧力を同一にして、発光強度を測定した。その結果、図5(b)および(c)に示す形態のものは、図5(a)に示す形態のものに比べて、30%発光強度が高かった。このことは、圧力印加領域と発光領域とを分離することが、発光効率の向上に有効に寄与することを示している。また、図5(b)および(c)においては、圧力子5と圧力印加領域51との接触面積が図5(a)のそれよりも小さいために、小さい力で大きな圧力を生み出すことができ、発光強度が強くなって発光素子全体での発光が均一化する。また、圧力が小さい領域に分散していることで、機械的な耐久性が向上する。
図5(a)〜(c)はいずれも、圧力印加領域と発光領域とが分離された形態の素子を例示するものにすぎず、他の形態としてもよいことはいうまでもない。発光領域の寸法は、素子の種類および用途等に応じて選択される。例えば、図5(b)に示すような発光素子を得る場合には、面積が100μm2〜1mm2程度の発光領域52を、1cm2あたり20〜1000個設け、格子の幅を10μm〜1mm程度にして、1つの発光素子を構成してよい。図5(c)に示すような発光素子を得る場合には、外径20μm〜2mm、内径が10μm〜1mmの発光領域52を設けて、1つの発光素子を構成してよい。
【0046】
実施の形態1においては、圧電半導体薄膜結晶をノンドープ層とした。これは、不純物ドープおよび結晶欠陥等によってキャリアが生成されると、圧力印加によって生じる正負のキャリア量に差が生じ、その結果、再結合効率が悪くなることによる。これに対し、発光層を構成する障壁層および井戸層には、ドーピングを行ってもよい。
【0047】
前述のように、圧力印加領域のキャリア濃度は1×1016cm−3以下であることが好ましい。キャリア濃度は、より好ましくは5×1015cm−3以下であり、さらにより好ましくは1×1015cm−3以下である。
【0048】
本発明の半導体発光素子は、外部電源により駆動させなくとも発光し得る。実施の形態1の1つの変形例においては、発光領域を挟むようにノンドープGaN層3の上下に電極を配置し、電圧を印加することによって、発光層4へのキャリア注入を促進することもできる。その場合、従来のpn接合型LED素子の消費電力よりも少ない消費電力で、より高い発光効率を達成できる。このように、本発明によれば、省電力の点において優れ、且つ発光効率が高い発光素子を提供できる。
【0049】
図示した実施の形態1においては、半導体層の結晶成長手法としてMOCVD法を用いている。これに代えて、分子線エピタキシー(MBE)法を採用して各層を形成しても、同等の効果を発揮する素子が得られる。また、圧電半導体薄膜結晶はノンドープGaN層に限定されず、例えば、バンドギャップのより大きいノンドープAlGaNを使用してよい。さらにまた、発光層4の井戸層の混晶比等も、ここで例示したものに限定されない。発光層4の量子井戸数(周期数)および井戸幅等も、材料および用途等に応じて任意に選択される。
また、本発明の半導体発光素子は、圧力子を含む形態、または圧力子および圧力子を圧電半導体薄膜結晶に押し付ける部材を含む形態で提供されてよい。
【0050】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2として、II族酸化物半導体であるZnOおよびMgZnOを用いた半導体レーザ素子を説明する。図6は、本発明の実施の形態2の半導体レーザ素子20の断面図である。この半導体レーザ素子は、1対の光反射共振器およびその間に導波路が位置する構成を有する。
【0051】
図示した半導体レーザ素子20は、ScAlMgO4基板(以下、SCAM基板と呼ぶ)21の{0001}面上に、ZnOバッファ層22、MgZnO下側クラッド層23、MgZnO下側光ガイド層24、多重量子井戸発光層25、MgZnO上側光ガイド層26、MgZnO上側クラッド層27がこの順に積層されている。多重量子井戸発光層25は、MgZnO障壁層とZnO井戸層で構成されている。多重量子井戸発光層25はリッジストライプ状にエッチング加工され、両側面にはLiGaO2より成る電流ブロック層28が形成されている。電流ブロック層28は、電流狭窄機構として作用する。この半導体レーザ素子20は、上側および下側クラッド層27および23によって、発光層25にキャリアを閉じ込め、上側および下側光ガイド層26および24によって、発光層25に光を閉じこめる、分離閉じ込め型半導体レーザである。また、ScAlMgO4基板の上に形成された各層は、いずれもウルツ鉱型の構造をとっている。そこで、この半導体レーザ素子においては、その{0001面}を主面とした。
【0052】
図示した半導体レーザ素子において、導波路はストライプ状であり、導波路に垂直なレーザ素子両側面は、平行かつ鏡面(即ち、ミラー)になっていて、いわゆるファブリ−ペロー共振器を形成する。また、この半導体レーザ素子20の光共振器が形成されている面には、光反射を制御するために多層反射膜29が形成されている。
【0053】
図2に示す半導体レーザ素子20は、図7に示すような、遮蔽マスクを用いるコンビナトリアルレーザ分子線エピタキシー(以下CLMBEと称する)装置で形成される。以下に、半導体レーザ素子20の製造方法を図7および図8を参照して説明する。
【0054】
図7に示す装置は、遮蔽マスクを用いるCLMBE装置100である。この装置においては、超高真空に排気可能な成長室101の上部に基板ホルダー102が配置され、基板ホルダー102に基板103が固定される。基板ホルダー102上部に配置されたヒーター104により、基板ホルダー102の裏面が加熱され、その熱伝導により基板103が加熱される。基板ホルダー102直下には所定の距離を置いてターゲットテーブル105が配置され、ターゲットテーブル105上には原料ターゲット106が複数配置される。ターゲット106の表面は成長室101の側面に設けられたビューポート107を通じて照射されるパルスレーザ光108によりアブレーションされ、瞬時に蒸発したターゲット106の原料がプルーム(111)となって、基板103上に堆積することにより薄膜が成長する。
【0055】
ターゲットテーブル105は回転機構を有し、パルスレーザ光108の照射シーケンスに同期して回転を制御することにより、異なるターゲット原料を薄膜上に積層することが可能となる。基板103とターゲット106との間には移動可能な遮蔽マスク109が設置され、基板の所定領域は、この遮蔽マスク109によって覆うことができる。また、成長室101には複数のガスを導入できるように、ガス導入管110が複数設けられている。
【0056】
次に、図7に示す装置を使用して、半導体レーザ素子20を製造する方法を、図8を参照して説明する。
【0057】
まず、洗浄処理したSCAM基板21をCLMBE装置100に導入し、酸素ガスを流しながら基板温度を700℃にして30分間加熱し清浄化した。次に、基板温度を550℃に降温し、ノンドープZnO単結晶を原料ターゲットとして、アブレーションを行い、ZnOバッファ層22を1000Å成長させた(図8(a))。
【0058】
次に、ノンドープZnO単結晶およびノンドープMgO燒結体を原料ターゲットとして、Mg0.3Zn0.7O下側クラッド層23を2000Å成長させた(図8(b))。Mg組成は、ノンドープZnO単結晶およびノンドープMgO燒結体を、一定の比で交互にアブレーションすることにより制御した。
【0059】
次に、同様の方法で、Mg0.2Zn0.8O下側光ガイド層24を300Å成長させた(図8(c))。このとき、遮蔽マスク109aを用いて基板の一部を覆い、下側光ガイド層24を幅100μmのストライプ状に選択成長させた。
【0060】
次いで、同様の方法で、ZnO/MgZnO多重量子井戸発光層25を成長させた。多重量子井戸発光層25の構成は、Mg0.2Zn0.8O障壁層を50Å、ZnO井戸層を80Åとして3周期積層した(図8(d))。多重量子井戸発光25の形成に際しては遮蔽マスク109bを用いて基板の一部を覆い、多重量子井戸発光層25を、光ガイド層24のストライプの中央の部分に幅10μmで選択成長させた。
【0061】
次に、LiGaO2単結晶を原料ターゲットとして、電流ブロック層28を390Å成長させた(8(e))。LiGaO2はZnOと相互にエピタキシャル成長が可能な絶縁体酸化物である。電流ブロック層28の形成に際しては、遮蔽マスク109cを用いて基板の一部を覆い、電流ブロック層28を、ストライプ状の多重量子井戸発光層25の両側面にのみ選択成長させた。
【0062】
次いで、下側光ガイド層26と同様の方法で、Mg0.2Zn0.8O上側光ガイド層26を300Å選択成長させた(図8(f))。さらに、下側クラッド層23と同様にして、Mg0.3Zn0.7O上側クラッド層27を1000Å成長させた(図8(g))。その後、SCAM基板21をCLMBE装置100から取り出した。
【0063】
CLMBE装置100から取り出した基板21に、ドライエッチングによって垂直なミラー面を300μmの間隔で形成し、エッチング溝でSCAM基板をスクライブして、バー状に分離した。最後に、多層反射膜29を、保護膜として、両端のミラー面に真空蒸着した。それから、光ガイド層24および26ならびに多重量子井戸発光層25を含む発光領域と、クラッド層23および27のみを含む圧力印加領域を各々含むように、素子を300μm幅に分離した。
【0064】
圧力子を用いて、素子上面の圧力印加領域に、素子表面に対してほぼ垂直に圧力を加えたところ、ミラーを形成した端面から波長380nmの誘導放出光が得られた。誘導放出光の出力は、素子に加える圧力の大きさに応じて変化した。このように、本発明によれば、圧電効果を利用して正負キャリアを生じさせ、これらを発光層で結合させる構造とすることにより、外部電源を使用せずに発振可能な分離閉じ込め型半導体レーザ素子を作製できる。
【0065】
上記においては、電流ブロック層として、ZnOに格子整合する絶縁体酸化物LiGaO2を用いる形態を示した。電流ブロック層を構成する材料はこれに限定されず、例えば、ZnOよりも屈折率が小さくバンドギャップの大きいMgZnOを用いてもよい。尤も、電流ブロック層は、高い電流閉じ込め効率を得るためには、絶縁体酸化物を用いて形成することが好ましい。
【0066】
上記の形態においては、基板として、絶縁体酸化物から成るSCAM基板を用いた。別の形態においては、ZnO単結晶基板等の導電性基板を用いてもよい。その場合、分極電界によって分離したキャリアが基板下面に局在するので、発光領域に効率良く注入できなくなる。この不都合を回避するには、圧電半導体薄膜結晶と基板との間を電気的に絶縁させて、分離したキャリアが圧電半導体薄膜結晶層−光ガイド層−発光層−光ガイド層−圧電半導体薄膜結晶層の積層構造内に留まるようにすることが好ましい。圧電半導体薄膜結晶と基板との間の電気的な絶縁は、両者の間に絶縁体層を設けることにより達成される。絶縁体層は、例えばLiGaO2バッファ層である。
【0067】
上記の形態の本発明の半導体レーザ素子は、固体金属とガスソースとを使用する分子線エピタキシー法と公知のエッチング手法との組合せによっても製造できる。しかしながら、図示したようなCLMBE装置によれば、遮蔽マスクを用いた選択成長が可能であり、複雑なデバイスプロセスを必要とすることなく、1度の結晶成長で所望の構造を形成できる。したがって、高い生産効率で、信頼性の高い素子を得るためには、CLMBE装置を使用して本発明の半導体レーザ素子を製造することが好ましい。
【0068】
CLMBE装置は、半導体レーザ素子だけでなく、LED素子または後述の発光表示装置の製造においても好ましく用いられる。その場合、LED素子または発光表示装置は、半導体レーザ素子の製造と同様の手法により、その構成に応じてターゲットおよびマスク等を適宜選択して製造される。
本発明の半導体レーザ素子は、図示した形態のものに限定されない。例えば、半導体レーザ素子は、分布帰還型(DFB)、分布フラッグ反射型(DFR)のものであってよい。さらに、本発明は、面発光型レーザ等にも適用できる。また、圧電半導体薄膜結晶は、閃亜鉛鉱型の半導体であってよい。
【0069】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3として、II族酸化物半導体であるZnOおよびCdZnOを発光パネルに用いた発光表示装置を説明する。図9および10はそれぞれ、本発明の実施の形態3の発光表示装置200の構成を表す断面図および分解斜視図である。
【0070】
図示した発光表示装置は、支持基板201上に、圧電半導体薄膜結晶であるノンドープZnO層202a、ZnO/CdZnO多重量子井戸発光層203、および圧電半導体薄膜結晶であるノンドープ層202bがこの順に積層されて成る発光パネル204と、支持基板205上に所定のパターンに並べられた突起状の圧力子206を有する圧力子パネル207とが、全体にわたって均一な圧力で接触するように固定具208によって四隅を固定されて成る。図示した態様において、圧力子206は、走っている人物を形成するパターンに並べられている。各圧力子206は、発光パネルとの接触面積が0.01〜1mm2程度であり、長さが0.2〜1mm程度のロッドである。
【0071】
支持基板201は、好ましくは、多重量子井戸発光層203からの発光に対して透過性を有する材料で形成され、より好ましくは多重量子井戸発光層203からの発光を実質的にすべて透過させる材料で形成される。したがって、支持基板201を構成する材料は、ガラス、透明樹脂、サファイア、またはシリコンカーバイド等であることが好ましい。支持基板201の圧電半導体薄膜結晶が形成される側の表面には、ZnO、GaN、LiGaO2、またはSCAM等でバッファ層を形成してもよい。
【0072】
支持基板201上に積層される半導体層はいずれも、多結晶または単結晶のいずれでもよい。発光効率の点からは、単結晶であることが好ましい。この形態において、ZnO/CdZnO多重量子井戸発光層203は、ZnO障壁層を50Å、Cd0.04Zn0.96O井戸層を100Åとして3周期積層して構成した。また、多重量子井戸発光層203は発光パネル204の全面に形成した。図示していないが、発光パネル204は、均一な圧力を得るために、強度補強用の架台等に取り付けてもよい。
【0073】
この発光表示装置においては、固定具208を、圧力子206と発光パネル204との間で圧力を生じさせる手段として用い、これを締めることによって、圧力子パネル207の圧力子206と発光パネル204との間で圧力を生じさせ、それにより所定のパターンを表示させる。この形態において、圧電効果によるピエゾ分極電界は、圧力子206の直下の発光パネルで発生し、この電界によって圧電半導体薄膜結晶であるノンドープ層202a、202bに存在する電子・正孔対が分離され、それらが再結合することにより、波長400nmの青紫色に発光するパターンが表示された。
【0074】
このように、本発明の発光表示装置は、外部電源によるキャリア注入を必要とすることなく発光表示する。また、外部電源によって電圧をバイアスした場合でも、従来の発光表示装置より低消費電力で駆動できる。
【0075】
図示していない別の形態の発光表示装置は、先に図1〜図5を参照して説明した本発明の発光ダイオード素子を複数個、支持基板に配置して、発光パネルを形成したものである。その場合、発光ダイオード素子は、例えばアレイ状に配置してよい。通常、液晶ディスプレイ等の発光表示装置は、品質を維持して表示面積を大型化することが難しく製造歩留りが低下する。しかし、この形態の発光表示装置は、品質に優れた発光素子を集積化して大面積の表示装置を製造できるので、簡便なデバイス工程で、高い歩留まりで製造される。
【0076】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4として、輝度が諧調制御されるとともに、表示がフルカラー化された発光表示装置を説明する。図11は、本発明の実施の形態4の発光表示装置の分解斜視図である。
【0077】
実施の形態4の発光表示装置は、▲1▼各圧力子206がパターンの各位置において得ようとする輝度および色に応じた高さを有する点、▲2▼多重量子井戸発光層203が、Mg0.2Zn0.8O障壁層50ÅとZnO井戸層80Åを3周期積層したものである点、および▲3▼発光パネルの表面に赤(R)、緑(G)および青(B)色蛍光体より成る画素パネル209が設けられている点を除いては、図9および図10に示す発光表示装置と同様の構成を有する。この発光表示装置においては、発光層203から、波長370nmの紫外発光が得られる。画素パネル209は、1つの画素が、1つの圧力子と発光パネルとの間で圧力が生じたときに発光する発光領域の面積と同じ寸法となるように形成される。また、画素パネル209は、各画素が各発光領域と重なるように配置される。
【0078】
この形態の発光表示装置においては、固定具208を締めたときに、圧力子206の高さに応じて、圧力子206と発光パネルとの間で生じる圧力がそれぞれ異なり、ひいては、発光強度がパターンの各位置でそれぞれ異なる。この発光強度の違いにより、輝度が諧調制御されるとともに、蛍光体画素パネルを介してパターンがフルカラー表示される。このように、本発明の発光表示装置によれば、従来のアレイ型の発光表示装置よりも簡便な機構で、発光強度に依る階調制御および表示のフルカラー化が可能となる。
【0079】
図示した形態においては、フルカラー化のために、紫外発光と蛍光体画素を用いた。別の形態においては、白色発光とカラーフィルタ画素とを組み合わせて用いることができ、その場合でも同等の効果が得られる。
【0080】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5として、圧力印加領域と発光領域とが分離された発光表示装置を説明する。図12は、本発明の実施の形態5の発光表示装置の断面図および発光表示装置を構成する発光パネルの平面図を含む。
【0081】
この発光表示装置は、複数の多重量子井戸発光層203を島状に分離して形成されている点を除いては、実施の形態3の発光表示装置と同様の構成を有する。また、圧力子パネル207の圧力子206は、多重量子井戸発光層203が形成されていない主面上に接触するように配置した。この発光表示装置を、実施の形態3の発光表示装置と同じ条件で駆動させたところ、表示輝度は実施の形態3の発光表示装置と比較して50%高かった。これは、発光領域が分離された構造では、発光層において、横方向にも拡散キャリアが閉じ込められるために再結合しやすいことによる。また、発光領域が圧力の印加によって生じる分極電界の影響を受けないので、発光強度低下や波長シフトが生じない。さらに、この形態の発光表示装置においては、圧力子206の接触面積を小さくすることができ、したがって、発光表示装置全体での発光が均一化するとともに、圧力が分散して機械的な耐久性が向上するという利点を有する。したがって、この形態の発光表示装置によれば、発光効率および認識率をより高くし得る。
【0082】
本発明の発光表示装置は図示した形態のものに限定されない。例えば、本発明の発光表示装置の別の形態において、圧力子と発光パネルとの間で圧力を生じさせる手段は、圧力子パネルの一部または全体と接触して、圧力子パネルを発光パネルに押し付ける板状部材を含むものであってよい。あるいは、圧力子と発光パネルとの間で圧力を生じさせる手段として、発光パネルの側から圧力を印加するように設けられた、前記固定具または板状部材を使用してよい。
【0083】
上記実施の形態3〜5の発光表示装置は、複数の圧力子を共通の押圧機構(即ち、固定具)で発光パネルに押し付けるものである。別の形態においては、各圧力子を独立して発光パネルに押し付ける機構を設け、圧力子と発光パネルとの間で生じる圧力を圧力子ごとに制御するようにしてよい。それにより、圧力子を予め所定のパターンに配置しなくとも、所定の圧力子だけを発光パネルに押し付けることによって、任意のパターンを表示できる。また、各圧力子を発光パネルに押し付ける力を制御することによって、発光強度を制御でき、上記実施の形態4と同様の階調制御およびフルカラー表示が可能となる。
【0084】
【発明の効果】
以上において説明したように、本発明の半導体発光素子は、圧電半導体薄膜結晶を使用し、圧電効果によって生じる正負のキャリアをエネルギー障壁の小さい発光層で結合させて発光するものである。即ち、本発明の半導体発光素子は、外部電源によるキャリア注入を必要とすることなく、或いはこれを補助的に利用するだけで、発光する。したがって、本発明の半導体発光素子は、省エネルギーの観点から有用なものである。この半導体発光素子は、発光ダイオード素子または半導体レーザ素子として、種々の分野で使用される。
【0085】
また、本発明の発光表示装置は、上記本発明の半導体発光素子と同様の機構で発光させるものであり、上記半導体発光素子と同じ効果を奏する。更に、本発明の発光表示装置は発光に外部電源を要しないことから、その製造に際して、外部電源と発光パネルを電気的に接続する配線工程を要しない。したがって、本発明の発光表示装置は、簡便に且つ高い歩留まりで製造できるという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発光ダイオード素子の一例の断面図である。
【図2】図1に示す発光ダイオード素子の製造工程図である。
【図3】本発明の発光ダイオード素子において発光を得る手順、および発光機構を説明する模式図である。
【図4】本発明の発光ダイオード素子について圧力と発生するピエゾ分極電界およびシートキャリア濃度との関係を表すグラフである。
【図5】(a)〜(c)はそれぞれ、本発明の発光ダイオード素子の一例を示す斜視図である。
【図6】本発明の半導体レーザ素子の一例の断面図である。
【図7】図6に示す半導体レーザ素子の製造に使用する、コンビナトリアルレーザ分子線エピタキシー装置の概略図である。
【図8】図6に示す半導体レーザ素子の製造工程図である。
【図9】本発明の発光表示装置の一例の断面図である。
【図10】図9に示す発光表示装置の分解斜視図である。
【図11】本発明の発光表示装置の別の一例の分解斜視図である。
【図12】本発明の発光表示装置の別の一例の断面図およびこれを構成する発光パネルの平面図である。
【符号の説明】
1 サファイア基板
2 GaNバッファ層
3、3a、3b ノンドープGaN層
4 多重量子井戸発光層
5 圧力子
51 圧力印加領域
52 発光領域
10 発光ダイオード素子
20 半導体レーザ素子
21 ScAlMgO4基板
22 ZnOバッファ層
23 MgZnO下側クラッド層
24 MgZnO下側光ガイド層
25 多重量子井戸発光層
26 MgZnO上側光ガイド層
27 MgZnO上側クラッド層
28 LiGaO2電流ブロック層
29 多層反射膜
100 コンビナトリアルレーザMBE装置
101 成長室
102 基板ホルダー
103 基板
104 ヒーター
105 ターゲットテーブル
106 原料ターゲット
107 ビューポート
108 パルスレーザ光(エキシマレーザ)
109、109a、109b、109c 遮蔽マスク
110 ガス導入管
111 プルーム(放出粒子)
200 発光表示装置
201、205 支持基板
202a、202b ノンドープZnO層
203 多重量子井戸発光層
204 発光パネル
206 圧力子
207 圧力子パネル
208 固定具
209 画素パネル
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体発光素子および発光表示装置、ならびにそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、青色〜紫外域の短波長発光材料として、ワイドギャップ半導体であるIII族窒化物および酸化亜鉛系半導体が注目されている。また、これらの半導体の結晶成長に関する技術、およびこれらを用いたデバイスに関する技術は、急速に発展している。
【0003】
なお、以下の説明を含む本明細書において、「III族窒化物半導体」とは、GaN、AlN、InNおよびこれらの混晶を指すものとする。また、「酸化亜鉛系半導体」とは、ZnO、ならびにMg1−xZnxOおよびCd1−xZnxOで表される混晶を指すものとする。
【0004】
一般に、半導体発光素子は、正負のキャリアが再結合する際のエネルギー放出に伴う発光を利用する。そのような半導体発光素子としては、pn接合型発光素子およびMIS型発光素子が挙げられる。
【0005】
pn接合型発光素子では、p型半導体層とn型半導体層を接合させて順方向にバイアス電圧を印加し、接合界面の空乏層で正負キャリアを再結合させて発光を得ている(例えば、非特許文献1参照)。MIS型発光素子は、低抵抗半導体層(S層)上に高抵抗半導体層(I層)および金属電極(M層)をこの順に積層した構成の発光素子である。MIS型発光素子においても、順方向にバイアス電圧を印加し、接合界面で正負キャリアを再結合させることによって、発光を得ている。 ZnOのような単極性半導体を使用する場合、pn接合を形成することが難しいため、このMIS型構造を都合良く採用される(例えば、非特許文献2参照)。
【0006】
これらの半導体発光素子をアレイ状に並べて、発光表示装置を形成することもまた知られている。かかる発光表示装置においては、任意の素子を点灯または消灯させ、それにより所望のパターンを発光させて表示する。
【0007】
【非特許文献1】
米津宏雄 著,「光通信素子工学」,第4版,工学図書株式会社,平成3年5月25日,P.51
【非特許文献2】
J.H.ショーン(J.H.Schoen)、外2名,「発光電界効果トランジスタ(A Light−Emitting Field−Effect Transistor)」,サイエンス(SCIENCE),Vol.290,No.3(2000),p.963−965
【特許文献1】
特開平2−73325号公報
【特許文献2】
特開平7−230177号公報
【特許文献3】
特開平9−87618号公報
【特許文献4】
特開平10−125894号公報
【特許文献5】
特開平10−126210号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の半導体発光素子はいずれも、pn接合面またはS層−I層接合界面へのキャリア注入のために、外部からバイアス電圧を印加する必要がある。特に、MIS型発光素子は、pn接合型発光素子よりも発光に必要な電圧が高いうえ、キャリア注入効率が低いために消費電力が大きいという問題を有する。
【0009】
また、上記のアレイ型発光表示装置においては、画素となる各半導体発光素子に配線を施す必要があるため、製造工程が複雑で、製造歩留りを向上させることが難しい。更に、アレイ型発光表示装置においては、通常、各発光素子のON−OFFにより表示を実施する。そのため、アレイ型発光表示装置の表現力は一般に乏しい。表現力を向上させるには、各素子への電流を制御することによって階調制御を実施する方法が有効であるものの、制御装置駆動のために更に電力を要することとなり、発光表示装置全体が消費する電力が更に大きくなるという問題がある。
【0010】
本発明は従来の半導体発光素子および発光表示装置が有する問題に鑑みてなされたものであり、外部電源から電圧を印加することなく、あるいは少ない消費電力で発光し得る半導体発光素子およびこれを用いた発光表示装置を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、本発明は、圧電効果を利用して半導体中に正負のキャリアを生じさせ、これらを結合させることにより発光させる機構を採用して、半導体発光素子を構成した。この機構によれば、半導体における発光を圧力を印加することのみによって得ることができる。したがって、外部電源を使用することなく、半導体発光素子を発光させることが可能である。また、外部電源を用いて電圧をバイアスする場合でも、従来の半導体発光素子と比較して、少ない消費電力で駆動することが可能である。
【0012】
より具体的には、本発明の第1の要旨に係る半導体発光素子は、圧電効果を有する半導体薄膜結晶(以下、「圧電半導体薄膜結晶」とも呼ぶ)、および当該圧電半導体薄膜結晶で生じた正負のキャリアを結合させる発光層を有するものである。なお、発光層は、当該分野において活性層とも称される。この半導体発光素子によれば、圧電半導体薄膜結晶に圧力を印加することによって、正負のキャリアを高濃度に生じさせ得るため、外部電源によるキャリア注入を行わなくとも発光を得ることができる。また、キャリア注入を促進するために、外部電源によりバイアスした場合でも、従来の発光素子と比較して、低消費電力で駆動できる。
【0013】
本発明の半導体発光素子は、圧電半導体薄膜結晶がウルツ鉱型半導体である場合には、好ましくは、圧力が印加される面(以下、この面を「主面」とも呼ぶ)が{0001}面となるように構成されているものである。この面を主面とすることにより、高い圧電効果を得ることができる。
【0014】
本発明の半導体発光素子は、好ましくは、圧電半導体薄膜結晶がウルツ鉱構造をとるII族酸化物またはIII族窒化物であるものである。そのようなII族酸化物は、例えばZnOであり、III族窒化物は、例えばGaNである。ウルツ鉱構造をとるII族酸化物またはIII族窒化物は、ワイドギャップ半導体であるため、これらを使用することにより、消費電力の低い紫外発光素子を得ることが可能である。
【0015】
あるいは、本発明の半導体発光素子は、圧電半導体薄膜結晶が閃亜鉛鉱型半導体である場合には、好ましくは、主面が{111}面となるように構成されているものである。この面を主面とすることにより、高い圧電効果を得ることができる。
【0016】
本発明の半導体発光素子は、好ましくは、圧電半導体薄膜結晶が閃亜鉛鉱構造をとるII族酸化物またはIII族窒化物であるものである。そのようなII族酸化物は、例えばZnOであり、III族窒化物は、例えばGaNである。これらの化合物は、成長条件によって閃亜鉛鉱型の構造をとる。閃亜鉛鉱型の構造をとるII族酸化物またはIII族窒化物は、ワイドギャップ半導体であるため、これらを使用することにより、消費電力の低い紫外発光素子を得ることが可能である。また、GaAs、InGaAlPおよびInGaAsP等のIII−V族半導体もまた、閃亜鉛鉱型の構造をとる。これらの半導体を使用して本発明の発光素子を構成すれば、消費電力の低い、可視〜赤外領域の発光素子を得ることができる。
【0017】
本発明の半導体発光素子は、その1つの形態において、量子井戸構造を有する発光層の上下に、当該発光層よりバンドギャップの大きい半導体障壁層を配置したダブルヘテロ構造を有するものである。この構造を有することにより、圧電効果によって生じた正負のキャリアが量子井戸層に閉じ込められるので、再結合し易くなると共に、量子効果によって光学利得が向上するため、より発光効率を高くし得る。ここで、「量子井戸構造」いう用語は、多重量子井戸構造を含む意味で使用される。したがって、発光層は、井戸層および障壁層が交互に積層された形態であってよい。あるいは、発光層が井戸層を1つだけ有する場合、発光層の上下に位置する半導体障壁層を、量子井戸構造の障壁層とみなすことができる。
【0018】
上記ダブルへテロ構造を有する本発明の半導体発光素子は、好ましくは、圧電半導体薄膜結晶が半導体障壁層(即ち、クラッド層)を構成する領域を含んで成る構造を有するものである。かかる構造によれば、キャリアを生じる層が半導体障壁層を兼ねるため、半導体発光素子をコンパクトにすることができる。また、半導体障壁層と圧電半導体薄膜結晶が同一の層で構成されていることにより、圧力印加領域から発光領域へのキャリア拡散路に欠陥や粒界が存在しないので、キャリアの捕獲を抑止して注入効率を向上させることができる。
【0019】
本発明の半導体発光素子は、その1つの形態において、基板を含み、基板が圧電半導体薄膜結晶と電気的に絶縁されているものである。半導体発光素子は、一般に、基板を含む。この基板は、エピタキシャル成長における成長層のテンプレートとなり、また、発光素子の機械的支持部の役割を果たす。この基板が、圧電半導体薄膜結晶と電気的に絶縁されることにより、圧電半導体薄膜結晶で生じたキャリアが基板へ移動せず、したがって、発光層へ高い効率で注入されることとなる。
【0020】
本発明の半導体発光素子は、好ましくは、圧電半導体薄膜結晶に圧力を印加する圧力印加領域と、発光層を含む発光領域とが分離されているものである。この半導体発光素子においては、圧力を印加する領域とは異なる領域で、発光が得られる。かかる半導体発光素子によれば、発光領域が圧電効果による分極電界の影響を受けにくいので、発光効率の低下および波長シフトが生じにくい。
【0021】
圧力印加領域と発光領域とが分離されている半導体発光素子は、好ましくは、複数の発光領域が島状に分離されているものである。複数の発光領域が島状に分離されているとは、1つの発光素子において、複数の発光層が互いに独立して存在することを意味する。各発光領域の発光層は、すべて同じ形状および寸法を有していてよく、あるいは異なる形状および寸法を有していてよい。発光領域の発光層は、不規則に分離していてよく、あるいはタイルのように規則的に分離していてよい。かかる形態の半導体発光素子によれば、圧電半導体薄膜結晶がクラッド層として機能する場合、発光層において、横方向にも拡散キャリアが閉じ込められるため再結合しやすく、したがって、発光効率が向上する。また、圧力印加領域を小さくすることが可能であるため、発光素子に印加する力を分散させることができ、機械的な耐久性が向上する。また、圧力印加領域を小さくすることによって、大きな圧力を生み出すことができるため、圧電効果が大きくなり、その結果、多くのキャリアが生じ、発光強度が強くなる。そのため、発光領域が島状に分離されていても、各発光素子からの光がオーバーラップし、したがって発光領域の均一化に優れる。
【0022】
本発明の半導体発光素子は、好ましくは、圧力を印加していないときの圧電半導体薄膜結晶のキャリア濃度が、1×1016cm−3以下のものである。このような半導体発光素子においては、正負のキャリアが同程度に存在するため、圧電効果により生じる正負のキャリアもまた同程度となり、高い再結合確率が得られ、優れた発光効率を達成できる。
【0023】
本発明の半導体発光素子は、好ましくは、1対の電極を更に有する。電極を形成して、外部電源から電圧を印加することにより、発光層へのキャリア注入がより促進されて発光効率がより向上する。
【0024】
本発明の半導体発光素子は、1対の電極を有する場合、好ましくは電極が発光層からの光に対して透過性を有するものである。即ち、電極は発光層からの光の透過率が高い材料で形成されていることが好ましい。そのような電極においては、光吸収および散乱が生じにくい。したがって、そのような電極を用いた半導体発光素子は、より優れた発光効率を示す。
【0025】
本発明の半導体発光素子は、その1つの形態において、1対の光反射共振器およびその間に導波路が位置した構成を有するものである。この形態においては、前記発光層の両側に光ガイド層を有していてもよく、そのような半導体発光素子は、いわゆる分離閉じ込め型半導体レーザ素子に相当する。かかる半導体レーザ素子においても、キャリアの生成に圧電効果を利用することによって、外部電源を要することなく、または従来のものと比較してより低い消費電力でレーザを発振させることが可能となる。
【0026】
上記半導体レーザ素子は、好ましくは、導波路が電流狭窄機構を含むものである。電流狭窄機構を設けることにより、より優れた光閉じ込めとキャリア閉じ込めが達成され、信頼性をより高めることができる。また、電流が導波路に閉じ込められるため、消費電力をより低下させることができる。
【0027】
本発明はまた、上記本発明の第1の要旨に係る発光素子で採用した発光機構を発光表示装置において利用することにより、簡単な構造でより優れた表現力を発揮し得る発光表示装置を提供する。この発光表示装置もまた、圧力を印加するだけで所定のパターンに発光するものである。
【0028】
より具体的には、本発明の第2の要旨に係る発光表示装置は、突起状の圧力子が配置された圧力子パネルと、圧電半導体薄膜結晶および圧電半導体薄膜結晶で生じた正負のキャリアを結合させる発光層を有する発光パネルと、圧力子と発光パネルとの間で圧力を生じさせる手段とを含み、圧力子と発光パネルとの間に圧力を生じさせることによって、当該発光パネルを所定のパターンに発光させるものである。圧力子パネルの圧力子は、圧力子の集合が全体として、表示すべきパターン(例えば文字または図形)を形成するように配置されている。発光パネルは、具体的には、パネル基板上に、圧電半導体薄膜結晶の層−発光層−圧電半導体薄膜結晶の層がこの順に形成されて成るものである。あるいは、発光パネルは、上記本発明の第1の要旨に係る半導体発光素子を複数個、パネル基板の上に配列して形成したものであってよい。発光素子は例えばアレイ状に配列してよい。
【0029】
この発光表示パネルによれば、圧力子パネルを押圧手段を用いて発光パネルに押し付けるだけで、発光パネルを発光させて圧力子に対応するパターンを表示させることが可能である。したがって、この発光表示装置は、外部電源を使用することなく、発光による表示が可能である。また、この発光表示装置は、圧力子パネル、発光パネル、および2つのパネルの間で圧力を生じさせる機構を必要とするだけであり、従来の発光表示装置のように各半導体発光素子に配線を施す必要がない。したがって、従来のアレイ型の発光表示装置よりも、簡便に製造でき、製造歩留りが高い。また、本発明の発光表示装置は、外部電源を用いて電圧をバイアスする場合でも、従来の発光表示装置と比較して、少ない消費電力で駆動することが可能である。
【0030】
本発明の発光表示装置は、その1つの形態において、前記圧力子がそれぞれ異なるものである。圧力子がそれぞれ異なる高さを有するとは、各圧力子が発光パネルとの間で生じさせようとする力に応じて、所定の高さを有することを意味する。したがって、この形態には、全ての圧力子が異なる形態のほか、一部の圧力子が同じ高さh1を有し、その他の圧力子がそれとは異なる同じ高さh2を有する形態等も含む。1つの圧力子パネルにおいて、圧力子の高さがそれぞれ異なると、その高さに応じて圧力子と発光パネルとの間で生じる圧力が異なり、ひいては圧電半導体薄膜で生じる正負のキャリア量が異なり、その結果、パネルの各位置の発光強度も異なることとなる。それにより、発光強度による階調制御を行うことが可能となる。即ち、本発明の発光表示装置においては、高さの異なる圧力子を使用するという簡易な手法によって、表現力を容易により向上させることができる。
【0031】
本発明の発光表示装置は、圧力子がそれぞれ異なる高さを有する場合、発光パネルの表面にRGBより成る画素パネルを配置することによって、フルカラー表示が可能となるものである。前述のように、本発明の発光表示装置においては、圧力子の高さに応じて発光強度を異なるようにし得るために、発光強度の相違を利用して、RGBより成る画素パネルを介して所望の色を表示できる。
【0032】
本発明の発光表示装置は、1つの形態において、前記圧力子パネルの圧力子と接触する圧力印加領域と、前記発光層を有する発光領域とが分離されており、複数の発光領域が島状に分離されているものである。「発光領域が島状に分離されている」の意味は先に半導体発光素子に関連して説明したとおりである。かかる形態の発光表示装置においては、発光領域が圧電効果による分極電界の影響を受けにくいので、発光効率の低下や波長シフトが生じにくく、また、圧電効果によって生じた正負のキャリアが、発光領域に閉じ込められるために再結合しやすくなる。そのため、この形態の発光表示装置は、発光効率および認識率が高くなるという利点を有する。さらに、この形態において、発光領域の発光層が量子井戸構造を有する場合には、量子効果によって光学利得が向上するため、発光パネルの発光効率がより高くなり、好都合である。
【0033】
本発明はまた、上記本発明の発光素子および発光表示装置を製造する方法を提供する。当該製造方法においては、圧電半導体薄膜結晶として、発光層よりもバンドギャップの大きい材料を選択する。これは、発光層を圧電半導体薄膜結晶の層で挟むことによって、ダブルへテロ構造を得るためである。また、当該製造方法においては、圧電半導体薄膜結晶の層および発光層をそれぞれレーザ分子線エピタキシー法により形成する。レーザ分子線エピタキシー法は、当該分野で常套的に採用されている結晶成長方法であり、この手法によれば薄い層を制御性よく形成できる。当該製造方法において、各層を形成する手順は次のとおりである。まず、基板上に圧電半導体薄膜結晶の層を形成した後、遮蔽マスクを使用して、量子井戸構造を有する発光層を選択的に形成する。次に、発光層および発光層が形成されていない圧電半導体薄膜結晶の層の上に、即ち全面に、圧電半導体薄膜結晶の層を形成する。この手順によれば、バンドギャップの大きい圧電半導体薄膜結晶に発光層が埋め込まれたタブルへテロ構造を有し、且つ圧力印加領域と発光領域とが分離された構成が得られる。
【0034】
上記本発明の製造方法によれば、複数の層を常套の結晶成長方法を利用して形成するだけで、発光素子または発光表示装置が得られ、複雑な配線工程等を要しない。また、遮蔽マスクを利用することによって、それぞれ独立した発光領域を任意の位置に形成できるので、高機能で信頼性の高い発光素子または発光表示装置を容易に製造できる。また、遮蔽マスクを適宜選択することにより、発光領域を所望の位置に容易に形成できるので、この製造方法によれば、種々多様な発光素子または発光表示装置の製造に対応できる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1として、III族窒化物半導体であるGaNおよびInGaNを用いた発光ダイオード素子(LED素子とも呼ぶ)を説明する。図1は、本発明の実施の形態1の発光ダイオード素子10の断面図である。この形態において、半導体LED素子10は、サファイア基板1の{0001}面上に、GaNバッファ層2およびノンドープGaN層3が積層され、GaN層3の一部に、GaN障壁層とInGaN井戸層とから成る多重量子井戸発光層4が形成されて成る。この形態においては、GaN層3は圧電半導体薄膜結晶であるとともに、半導体障壁層としても作用し、したがって、発光層4とともにダブルへテロ構造を構成している。また、サファイア基板1の上に形成された各層は、いずれもウルツ鉱構造をとっている。そこで、この発光素子においては、その{0001}面を主面とした。
【0036】
図1に示す発光ダイオード素子10は、有機金属気相成長(MOCVD)法を用いて形成される。以下に、発光ダイオード素子10の製造方法を、図2を参照して説明する。
【0037】
まず、洗浄処理したサファイア基板1をMOCVD装置(図示せず)に導入し、水素ガスを流しながら温度1100℃で10分間加熱し清浄化した。次に基板温度を500℃に降温し、水素、アンモニアおよびトリメチルガリウム(TMG)を流してGaNバッファ層2を500Å形成した(図2(a))。
【0038】
次に、基板温度を再び1100℃に昇温し、GaNバッファ層2の表面に、GaNバッファ層2と同様にしてノンドープGaN層3aを1μm形成した(図2(b))。次に、基板温度を800℃に降温し、水素、アンモニアおよびTMGを流すとともに、トリメチルインジウム(TMI)を流量を変化させながら流して、多重量子井戸発光層4を成長した。多重量子井戸発光層4は、GaN障壁層を100Å、In0.08Ga0.92N井戸層を80Åとして10周期積層して構成した(図2(c))。
【0039】
サファイア基板1をMOCVD装置から取り出し、フォトリソグラフとリアクティブイオンエッチングで、多重量子井戸発光層4をエッチングした(図2(d))。その後、サファイア基板1を再びMOCVD装置に導入して、基板温度を1100℃に昇温し、ノンドープGaN層3aと同様にしてノンドープGaN層3bを1μm形成した(図2(e))。その結果、ノンドープGaN層3中に、発光層4が埋め込まれた構造のLED素子10であって、波長410nmの青色の光を発光する素子を得ることができた。
【0040】
次に、図1に示すLED素子において、発光を得る手順とその機構を、図3を参照して説明する。
図3に示すように、発光層4は素子の二次元方向において一部を占めており、LED素子10の積層方向において発光層4が存在する領域と存在しない領域とに区分される。発光層4が存在する領域は発光領域として機能し、発光層が存在しない領域は圧力印加領域として機能する。
【0041】
圧力印加領域においては、素子の主面に対してほぼ垂直な方向に、圧力子5で圧力を印加する。圧力子5直下では圧電効果によってピエゾ分極電界が発生し、この電界によって半導体中に存在する励起子などの電子・正孔対、および禁制帯内の準位に捕獲されたキャリアが分離され、圧力印加領域の上下界面に局在する。生成されるキャリア濃度は、印加する圧力が大きくなるほど増加する。圧力と発生するピエゾ分極電界およびシートキャリア濃度との関係を図4に示す。
【0042】
圧力印加領域内では、これらの正負キャリアは、ピエゾ電界によって分離されているため、それらの再結合確率は低い。圧力印加領域で正負キャリアが高濃度に生成されると、圧力印加領域と発光領域との間でキャリアの濃度勾配が生じるために、正負キャリアは発光領域に拡散する。発光領域に拡散したキャリアは、障壁の低い多重量子井戸発光層4に閉じ込められ、再結合して発光する。これが、発光ダイオード素子1における発光機構である。
【0043】
圧電半導体薄膜結晶において高濃度のキャリアを得るためには、圧電効果による自発分極電界が最も強い方向に圧力を印加することが好ましい。実施の形態1で使用したIII族窒化物、ならびにII族酸化物であるZnO、MgZnOおよびCdZnO等はウルツ鉱構造が安定相であるので、これらで半導体発光素子を構成する場合には、{0001}面に対して垂直な方向に圧力が加えられるようにすると、本発明の効果を最大限に得ることができる。
【0044】
図5(a)〜(c)は、圧力印加領域51と発光領域52とが分離しているLED素子の例をそれぞれ示すとともに、各LED素子で使用され得る圧力子を示している。図5(a)の素子は、ストライプ形状の発光領域52を有する。圧力子5は、圧力印加領域51を押す面が矩形に形成されたものである。図5(b)の素子はそれぞれ同じ形状および寸法を有する略正方形の発光領域52が、規則的に整列させられたものである。圧力印加領域51は、発光領域52を囲む格子の交差部である。図5(c)の素子は、圧力印加領域51と発光領域52とが同心に配置されたものである。この素子において、圧力印加領域51は発光領域52の内部に位置する。圧力子5は、その先端形状が圧力印加領域51に収まるような形状および寸法を有する。圧力子5は、半導体基板等を常套の微細加工技術を用いて、剣山のような形状に加工することによって形成できる。その場合には、例えば、先端の直径が数十μm程度の圧力子5を形成できる。圧力子5は、圧力子が基板上に規則的に形成されたパネルの形態で提供されてよい。
【0045】
これらの3つの形態のLED素子を、トータルの発光領域の面積が同じになるように作製して、1つの素子に印加される平均圧力を同一にして、発光強度を測定した。その結果、図5(b)および(c)に示す形態のものは、図5(a)に示す形態のものに比べて、30%発光強度が高かった。このことは、圧力印加領域と発光領域とを分離することが、発光効率の向上に有効に寄与することを示している。また、図5(b)および(c)においては、圧力子5と圧力印加領域51との接触面積が図5(a)のそれよりも小さいために、小さい力で大きな圧力を生み出すことができ、発光強度が強くなって発光素子全体での発光が均一化する。また、圧力が小さい領域に分散していることで、機械的な耐久性が向上する。
図5(a)〜(c)はいずれも、圧力印加領域と発光領域とが分離された形態の素子を例示するものにすぎず、他の形態としてもよいことはいうまでもない。発光領域の寸法は、素子の種類および用途等に応じて選択される。例えば、図5(b)に示すような発光素子を得る場合には、面積が100μm2〜1mm2程度の発光領域52を、1cm2あたり20〜1000個設け、格子の幅を10μm〜1mm程度にして、1つの発光素子を構成してよい。図5(c)に示すような発光素子を得る場合には、外径20μm〜2mm、内径が10μm〜1mmの発光領域52を設けて、1つの発光素子を構成してよい。
【0046】
実施の形態1においては、圧電半導体薄膜結晶をノンドープ層とした。これは、不純物ドープおよび結晶欠陥等によってキャリアが生成されると、圧力印加によって生じる正負のキャリア量に差が生じ、その結果、再結合効率が悪くなることによる。これに対し、発光層を構成する障壁層および井戸層には、ドーピングを行ってもよい。
【0047】
前述のように、圧力印加領域のキャリア濃度は1×1016cm−3以下であることが好ましい。キャリア濃度は、より好ましくは5×1015cm−3以下であり、さらにより好ましくは1×1015cm−3以下である。
【0048】
本発明の半導体発光素子は、外部電源により駆動させなくとも発光し得る。実施の形態1の1つの変形例においては、発光領域を挟むようにノンドープGaN層3の上下に電極を配置し、電圧を印加することによって、発光層4へのキャリア注入を促進することもできる。その場合、従来のpn接合型LED素子の消費電力よりも少ない消費電力で、より高い発光効率を達成できる。このように、本発明によれば、省電力の点において優れ、且つ発光効率が高い発光素子を提供できる。
【0049】
図示した実施の形態1においては、半導体層の結晶成長手法としてMOCVD法を用いている。これに代えて、分子線エピタキシー(MBE)法を採用して各層を形成しても、同等の効果を発揮する素子が得られる。また、圧電半導体薄膜結晶はノンドープGaN層に限定されず、例えば、バンドギャップのより大きいノンドープAlGaNを使用してよい。さらにまた、発光層4の井戸層の混晶比等も、ここで例示したものに限定されない。発光層4の量子井戸数(周期数)および井戸幅等も、材料および用途等に応じて任意に選択される。
また、本発明の半導体発光素子は、圧力子を含む形態、または圧力子および圧力子を圧電半導体薄膜結晶に押し付ける部材を含む形態で提供されてよい。
【0050】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2として、II族酸化物半導体であるZnOおよびMgZnOを用いた半導体レーザ素子を説明する。図6は、本発明の実施の形態2の半導体レーザ素子20の断面図である。この半導体レーザ素子は、1対の光反射共振器およびその間に導波路が位置する構成を有する。
【0051】
図示した半導体レーザ素子20は、ScAlMgO4基板(以下、SCAM基板と呼ぶ)21の{0001}面上に、ZnOバッファ層22、MgZnO下側クラッド層23、MgZnO下側光ガイド層24、多重量子井戸発光層25、MgZnO上側光ガイド層26、MgZnO上側クラッド層27がこの順に積層されている。多重量子井戸発光層25は、MgZnO障壁層とZnO井戸層で構成されている。多重量子井戸発光層25はリッジストライプ状にエッチング加工され、両側面にはLiGaO2より成る電流ブロック層28が形成されている。電流ブロック層28は、電流狭窄機構として作用する。この半導体レーザ素子20は、上側および下側クラッド層27および23によって、発光層25にキャリアを閉じ込め、上側および下側光ガイド層26および24によって、発光層25に光を閉じこめる、分離閉じ込め型半導体レーザである。また、ScAlMgO4基板の上に形成された各層は、いずれもウルツ鉱型の構造をとっている。そこで、この半導体レーザ素子においては、その{0001面}を主面とした。
【0052】
図示した半導体レーザ素子において、導波路はストライプ状であり、導波路に垂直なレーザ素子両側面は、平行かつ鏡面(即ち、ミラー)になっていて、いわゆるファブリ−ペロー共振器を形成する。また、この半導体レーザ素子20の光共振器が形成されている面には、光反射を制御するために多層反射膜29が形成されている。
【0053】
図2に示す半導体レーザ素子20は、図7に示すような、遮蔽マスクを用いるコンビナトリアルレーザ分子線エピタキシー(以下CLMBEと称する)装置で形成される。以下に、半導体レーザ素子20の製造方法を図7および図8を参照して説明する。
【0054】
図7に示す装置は、遮蔽マスクを用いるCLMBE装置100である。この装置においては、超高真空に排気可能な成長室101の上部に基板ホルダー102が配置され、基板ホルダー102に基板103が固定される。基板ホルダー102上部に配置されたヒーター104により、基板ホルダー102の裏面が加熱され、その熱伝導により基板103が加熱される。基板ホルダー102直下には所定の距離を置いてターゲットテーブル105が配置され、ターゲットテーブル105上には原料ターゲット106が複数配置される。ターゲット106の表面は成長室101の側面に設けられたビューポート107を通じて照射されるパルスレーザ光108によりアブレーションされ、瞬時に蒸発したターゲット106の原料がプルーム(111)となって、基板103上に堆積することにより薄膜が成長する。
【0055】
ターゲットテーブル105は回転機構を有し、パルスレーザ光108の照射シーケンスに同期して回転を制御することにより、異なるターゲット原料を薄膜上に積層することが可能となる。基板103とターゲット106との間には移動可能な遮蔽マスク109が設置され、基板の所定領域は、この遮蔽マスク109によって覆うことができる。また、成長室101には複数のガスを導入できるように、ガス導入管110が複数設けられている。
【0056】
次に、図7に示す装置を使用して、半導体レーザ素子20を製造する方法を、図8を参照して説明する。
【0057】
まず、洗浄処理したSCAM基板21をCLMBE装置100に導入し、酸素ガスを流しながら基板温度を700℃にして30分間加熱し清浄化した。次に、基板温度を550℃に降温し、ノンドープZnO単結晶を原料ターゲットとして、アブレーションを行い、ZnOバッファ層22を1000Å成長させた(図8(a))。
【0058】
次に、ノンドープZnO単結晶およびノンドープMgO燒結体を原料ターゲットとして、Mg0.3Zn0.7O下側クラッド層23を2000Å成長させた(図8(b))。Mg組成は、ノンドープZnO単結晶およびノンドープMgO燒結体を、一定の比で交互にアブレーションすることにより制御した。
【0059】
次に、同様の方法で、Mg0.2Zn0.8O下側光ガイド層24を300Å成長させた(図8(c))。このとき、遮蔽マスク109aを用いて基板の一部を覆い、下側光ガイド層24を幅100μmのストライプ状に選択成長させた。
【0060】
次いで、同様の方法で、ZnO/MgZnO多重量子井戸発光層25を成長させた。多重量子井戸発光層25の構成は、Mg0.2Zn0.8O障壁層を50Å、ZnO井戸層を80Åとして3周期積層した(図8(d))。多重量子井戸発光25の形成に際しては遮蔽マスク109bを用いて基板の一部を覆い、多重量子井戸発光層25を、光ガイド層24のストライプの中央の部分に幅10μmで選択成長させた。
【0061】
次に、LiGaO2単結晶を原料ターゲットとして、電流ブロック層28を390Å成長させた(8(e))。LiGaO2はZnOと相互にエピタキシャル成長が可能な絶縁体酸化物である。電流ブロック層28の形成に際しては、遮蔽マスク109cを用いて基板の一部を覆い、電流ブロック層28を、ストライプ状の多重量子井戸発光層25の両側面にのみ選択成長させた。
【0062】
次いで、下側光ガイド層26と同様の方法で、Mg0.2Zn0.8O上側光ガイド層26を300Å選択成長させた(図8(f))。さらに、下側クラッド層23と同様にして、Mg0.3Zn0.7O上側クラッド層27を1000Å成長させた(図8(g))。その後、SCAM基板21をCLMBE装置100から取り出した。
【0063】
CLMBE装置100から取り出した基板21に、ドライエッチングによって垂直なミラー面を300μmの間隔で形成し、エッチング溝でSCAM基板をスクライブして、バー状に分離した。最後に、多層反射膜29を、保護膜として、両端のミラー面に真空蒸着した。それから、光ガイド層24および26ならびに多重量子井戸発光層25を含む発光領域と、クラッド層23および27のみを含む圧力印加領域を各々含むように、素子を300μm幅に分離した。
【0064】
圧力子を用いて、素子上面の圧力印加領域に、素子表面に対してほぼ垂直に圧力を加えたところ、ミラーを形成した端面から波長380nmの誘導放出光が得られた。誘導放出光の出力は、素子に加える圧力の大きさに応じて変化した。このように、本発明によれば、圧電効果を利用して正負キャリアを生じさせ、これらを発光層で結合させる構造とすることにより、外部電源を使用せずに発振可能な分離閉じ込め型半導体レーザ素子を作製できる。
【0065】
上記においては、電流ブロック層として、ZnOに格子整合する絶縁体酸化物LiGaO2を用いる形態を示した。電流ブロック層を構成する材料はこれに限定されず、例えば、ZnOよりも屈折率が小さくバンドギャップの大きいMgZnOを用いてもよい。尤も、電流ブロック層は、高い電流閉じ込め効率を得るためには、絶縁体酸化物を用いて形成することが好ましい。
【0066】
上記の形態においては、基板として、絶縁体酸化物から成るSCAM基板を用いた。別の形態においては、ZnO単結晶基板等の導電性基板を用いてもよい。その場合、分極電界によって分離したキャリアが基板下面に局在するので、発光領域に効率良く注入できなくなる。この不都合を回避するには、圧電半導体薄膜結晶と基板との間を電気的に絶縁させて、分離したキャリアが圧電半導体薄膜結晶層−光ガイド層−発光層−光ガイド層−圧電半導体薄膜結晶層の積層構造内に留まるようにすることが好ましい。圧電半導体薄膜結晶と基板との間の電気的な絶縁は、両者の間に絶縁体層を設けることにより達成される。絶縁体層は、例えばLiGaO2バッファ層である。
【0067】
上記の形態の本発明の半導体レーザ素子は、固体金属とガスソースとを使用する分子線エピタキシー法と公知のエッチング手法との組合せによっても製造できる。しかしながら、図示したようなCLMBE装置によれば、遮蔽マスクを用いた選択成長が可能であり、複雑なデバイスプロセスを必要とすることなく、1度の結晶成長で所望の構造を形成できる。したがって、高い生産効率で、信頼性の高い素子を得るためには、CLMBE装置を使用して本発明の半導体レーザ素子を製造することが好ましい。
【0068】
CLMBE装置は、半導体レーザ素子だけでなく、LED素子または後述の発光表示装置の製造においても好ましく用いられる。その場合、LED素子または発光表示装置は、半導体レーザ素子の製造と同様の手法により、その構成に応じてターゲットおよびマスク等を適宜選択して製造される。
本発明の半導体レーザ素子は、図示した形態のものに限定されない。例えば、半導体レーザ素子は、分布帰還型(DFB)、分布フラッグ反射型(DFR)のものであってよい。さらに、本発明は、面発光型レーザ等にも適用できる。また、圧電半導体薄膜結晶は、閃亜鉛鉱型の半導体であってよい。
【0069】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3として、II族酸化物半導体であるZnOおよびCdZnOを発光パネルに用いた発光表示装置を説明する。図9および10はそれぞれ、本発明の実施の形態3の発光表示装置200の構成を表す断面図および分解斜視図である。
【0070】
図示した発光表示装置は、支持基板201上に、圧電半導体薄膜結晶であるノンドープZnO層202a、ZnO/CdZnO多重量子井戸発光層203、および圧電半導体薄膜結晶であるノンドープ層202bがこの順に積層されて成る発光パネル204と、支持基板205上に所定のパターンに並べられた突起状の圧力子206を有する圧力子パネル207とが、全体にわたって均一な圧力で接触するように固定具208によって四隅を固定されて成る。図示した態様において、圧力子206は、走っている人物を形成するパターンに並べられている。各圧力子206は、発光パネルとの接触面積が0.01〜1mm2程度であり、長さが0.2〜1mm程度のロッドである。
【0071】
支持基板201は、好ましくは、多重量子井戸発光層203からの発光に対して透過性を有する材料で形成され、より好ましくは多重量子井戸発光層203からの発光を実質的にすべて透過させる材料で形成される。したがって、支持基板201を構成する材料は、ガラス、透明樹脂、サファイア、またはシリコンカーバイド等であることが好ましい。支持基板201の圧電半導体薄膜結晶が形成される側の表面には、ZnO、GaN、LiGaO2、またはSCAM等でバッファ層を形成してもよい。
【0072】
支持基板201上に積層される半導体層はいずれも、多結晶または単結晶のいずれでもよい。発光効率の点からは、単結晶であることが好ましい。この形態において、ZnO/CdZnO多重量子井戸発光層203は、ZnO障壁層を50Å、Cd0.04Zn0.96O井戸層を100Åとして3周期積層して構成した。また、多重量子井戸発光層203は発光パネル204の全面に形成した。図示していないが、発光パネル204は、均一な圧力を得るために、強度補強用の架台等に取り付けてもよい。
【0073】
この発光表示装置においては、固定具208を、圧力子206と発光パネル204との間で圧力を生じさせる手段として用い、これを締めることによって、圧力子パネル207の圧力子206と発光パネル204との間で圧力を生じさせ、それにより所定のパターンを表示させる。この形態において、圧電効果によるピエゾ分極電界は、圧力子206の直下の発光パネルで発生し、この電界によって圧電半導体薄膜結晶であるノンドープ層202a、202bに存在する電子・正孔対が分離され、それらが再結合することにより、波長400nmの青紫色に発光するパターンが表示された。
【0074】
このように、本発明の発光表示装置は、外部電源によるキャリア注入を必要とすることなく発光表示する。また、外部電源によって電圧をバイアスした場合でも、従来の発光表示装置より低消費電力で駆動できる。
【0075】
図示していない別の形態の発光表示装置は、先に図1〜図5を参照して説明した本発明の発光ダイオード素子を複数個、支持基板に配置して、発光パネルを形成したものである。その場合、発光ダイオード素子は、例えばアレイ状に配置してよい。通常、液晶ディスプレイ等の発光表示装置は、品質を維持して表示面積を大型化することが難しく製造歩留りが低下する。しかし、この形態の発光表示装置は、品質に優れた発光素子を集積化して大面積の表示装置を製造できるので、簡便なデバイス工程で、高い歩留まりで製造される。
【0076】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4として、輝度が諧調制御されるとともに、表示がフルカラー化された発光表示装置を説明する。図11は、本発明の実施の形態4の発光表示装置の分解斜視図である。
【0077】
実施の形態4の発光表示装置は、▲1▼各圧力子206がパターンの各位置において得ようとする輝度および色に応じた高さを有する点、▲2▼多重量子井戸発光層203が、Mg0.2Zn0.8O障壁層50ÅとZnO井戸層80Åを3周期積層したものである点、および▲3▼発光パネルの表面に赤(R)、緑(G)および青(B)色蛍光体より成る画素パネル209が設けられている点を除いては、図9および図10に示す発光表示装置と同様の構成を有する。この発光表示装置においては、発光層203から、波長370nmの紫外発光が得られる。画素パネル209は、1つの画素が、1つの圧力子と発光パネルとの間で圧力が生じたときに発光する発光領域の面積と同じ寸法となるように形成される。また、画素パネル209は、各画素が各発光領域と重なるように配置される。
【0078】
この形態の発光表示装置においては、固定具208を締めたときに、圧力子206の高さに応じて、圧力子206と発光パネルとの間で生じる圧力がそれぞれ異なり、ひいては、発光強度がパターンの各位置でそれぞれ異なる。この発光強度の違いにより、輝度が諧調制御されるとともに、蛍光体画素パネルを介してパターンがフルカラー表示される。このように、本発明の発光表示装置によれば、従来のアレイ型の発光表示装置よりも簡便な機構で、発光強度に依る階調制御および表示のフルカラー化が可能となる。
【0079】
図示した形態においては、フルカラー化のために、紫外発光と蛍光体画素を用いた。別の形態においては、白色発光とカラーフィルタ画素とを組み合わせて用いることができ、その場合でも同等の効果が得られる。
【0080】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5として、圧力印加領域と発光領域とが分離された発光表示装置を説明する。図12は、本発明の実施の形態5の発光表示装置の断面図および発光表示装置を構成する発光パネルの平面図を含む。
【0081】
この発光表示装置は、複数の多重量子井戸発光層203を島状に分離して形成されている点を除いては、実施の形態3の発光表示装置と同様の構成を有する。また、圧力子パネル207の圧力子206は、多重量子井戸発光層203が形成されていない主面上に接触するように配置した。この発光表示装置を、実施の形態3の発光表示装置と同じ条件で駆動させたところ、表示輝度は実施の形態3の発光表示装置と比較して50%高かった。これは、発光領域が分離された構造では、発光層において、横方向にも拡散キャリアが閉じ込められるために再結合しやすいことによる。また、発光領域が圧力の印加によって生じる分極電界の影響を受けないので、発光強度低下や波長シフトが生じない。さらに、この形態の発光表示装置においては、圧力子206の接触面積を小さくすることができ、したがって、発光表示装置全体での発光が均一化するとともに、圧力が分散して機械的な耐久性が向上するという利点を有する。したがって、この形態の発光表示装置によれば、発光効率および認識率をより高くし得る。
【0082】
本発明の発光表示装置は図示した形態のものに限定されない。例えば、本発明の発光表示装置の別の形態において、圧力子と発光パネルとの間で圧力を生じさせる手段は、圧力子パネルの一部または全体と接触して、圧力子パネルを発光パネルに押し付ける板状部材を含むものであってよい。あるいは、圧力子と発光パネルとの間で圧力を生じさせる手段として、発光パネルの側から圧力を印加するように設けられた、前記固定具または板状部材を使用してよい。
【0083】
上記実施の形態3〜5の発光表示装置は、複数の圧力子を共通の押圧機構(即ち、固定具)で発光パネルに押し付けるものである。別の形態においては、各圧力子を独立して発光パネルに押し付ける機構を設け、圧力子と発光パネルとの間で生じる圧力を圧力子ごとに制御するようにしてよい。それにより、圧力子を予め所定のパターンに配置しなくとも、所定の圧力子だけを発光パネルに押し付けることによって、任意のパターンを表示できる。また、各圧力子を発光パネルに押し付ける力を制御することによって、発光強度を制御でき、上記実施の形態4と同様の階調制御およびフルカラー表示が可能となる。
【0084】
【発明の効果】
以上において説明したように、本発明の半導体発光素子は、圧電半導体薄膜結晶を使用し、圧電効果によって生じる正負のキャリアをエネルギー障壁の小さい発光層で結合させて発光するものである。即ち、本発明の半導体発光素子は、外部電源によるキャリア注入を必要とすることなく、或いはこれを補助的に利用するだけで、発光する。したがって、本発明の半導体発光素子は、省エネルギーの観点から有用なものである。この半導体発光素子は、発光ダイオード素子または半導体レーザ素子として、種々の分野で使用される。
【0085】
また、本発明の発光表示装置は、上記本発明の半導体発光素子と同様の機構で発光させるものであり、上記半導体発光素子と同じ効果を奏する。更に、本発明の発光表示装置は発光に外部電源を要しないことから、その製造に際して、外部電源と発光パネルを電気的に接続する配線工程を要しない。したがって、本発明の発光表示装置は、簡便に且つ高い歩留まりで製造できるという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発光ダイオード素子の一例の断面図である。
【図2】図1に示す発光ダイオード素子の製造工程図である。
【図3】本発明の発光ダイオード素子において発光を得る手順、および発光機構を説明する模式図である。
【図4】本発明の発光ダイオード素子について圧力と発生するピエゾ分極電界およびシートキャリア濃度との関係を表すグラフである。
【図5】(a)〜(c)はそれぞれ、本発明の発光ダイオード素子の一例を示す斜視図である。
【図6】本発明の半導体レーザ素子の一例の断面図である。
【図7】図6に示す半導体レーザ素子の製造に使用する、コンビナトリアルレーザ分子線エピタキシー装置の概略図である。
【図8】図6に示す半導体レーザ素子の製造工程図である。
【図9】本発明の発光表示装置の一例の断面図である。
【図10】図9に示す発光表示装置の分解斜視図である。
【図11】本発明の発光表示装置の別の一例の分解斜視図である。
【図12】本発明の発光表示装置の別の一例の断面図およびこれを構成する発光パネルの平面図である。
【符号の説明】
1 サファイア基板
2 GaNバッファ層
3、3a、3b ノンドープGaN層
4 多重量子井戸発光層
5 圧力子
51 圧力印加領域
52 発光領域
10 発光ダイオード素子
20 半導体レーザ素子
21 ScAlMgO4基板
22 ZnOバッファ層
23 MgZnO下側クラッド層
24 MgZnO下側光ガイド層
25 多重量子井戸発光層
26 MgZnO上側光ガイド層
27 MgZnO上側クラッド層
28 LiGaO2電流ブロック層
29 多層反射膜
100 コンビナトリアルレーザMBE装置
101 成長室
102 基板ホルダー
103 基板
104 ヒーター
105 ターゲットテーブル
106 原料ターゲット
107 ビューポート
108 パルスレーザ光(エキシマレーザ)
109、109a、109b、109c 遮蔽マスク
110 ガス導入管
111 プルーム(放出粒子)
200 発光表示装置
201、205 支持基板
202a、202b ノンドープZnO層
203 多重量子井戸発光層
204 発光パネル
206 圧力子
207 圧力子パネル
208 固定具
209 画素パネル
Claims (22)
- 圧電効果を有する半導体薄膜結晶、および当該圧電効果を有する半導体薄膜結晶で生じた正負のキャリアを結合させる発光層を有する半導体発光素子。
- 前記圧電効果を有する半導体薄膜結晶がウルツ鉱型半導体であり、圧力が当該ウルツ鉱型半導体の{0001}面に加えられるようになっている請求項1に記載の半導体発光素子。
- 前記ウルツ鉱型半導体が、II族酸化物またはIII族窒化物である請求項2に記載の半導体発光素子。
- 前記圧電効果を有する半導体薄膜結晶が閃亜鉛鉱型半導体であり、圧力が当該閃亜鉱型半導体の{111}面に加えられるようになっている請求項1に記載の半導体発光素子。
- 前記閃亜鉛鉱型半導体が、II族酸化物、III族窒化物またはIII−V族半導体である請求項4に記載の半導体発光素子。
- 量子井戸構造を有する発光層の上下に、当該発光層よりバンドギャップの大きい半導体障壁層を配置したダブルヘテロ構造を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
- 前記圧電効果を有する半導体薄膜結晶が、前記半導体障壁層を構成する領域を含む請求項6に記載の半導体発光素子。
- 基板を含み、当該基板が前記圧電効果を有する半導体薄膜結晶と電気的に絶縁されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
- 前記圧電効果を有する半導体薄膜結晶に圧力を印加する圧力印加領域と、前記発光層を含む発光領域とが分離されている請求項1〜8のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
- 前記発光領域を複数有し、それらが島状に分離されている請求項9に記載の半導体発光素子。
- 前記圧電効果を有する半導体薄膜結晶のキャリア濃度が1×1016cm−3以下である請求項1〜10のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
- 1対の電極を更に有する請求項1〜11のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
- 前記電極が発光層からの光に対して透過性を有する請求項12に記載の半導体発光素子。
- 1対の光反射共振器およびその間に導波路が位置する構成を有する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
- 前記導波路が電流狭窄機構を含む請求項14に記載の半導体発光素子。
- 突起状の圧力子が所定のパターンに配置された圧力子パネルと、圧電効果を有する半導体薄膜結晶および当該圧電効果を有する半導体薄膜結晶で生じた正負のキャリアを結合させる発光層を有する発光パネルと、圧力子と発光パネルとの間で圧力を生じさせる手段とを含み、
当該圧力子と当該発光パネルとの間に圧力を生じさせて、当該圧電効果を有する半導体薄膜結晶で正負のキャリアを生じさせ、これを発光層で結合させることによって、当該発光パネルを当該所定のパターンに発光させる発光表示装置。 - 前記発光パネルが、請求項1〜13のいずれか1項に記載の半導体発光素子をパネル基板に複数個配列して形成されたものである、請求項16に記載の発光表示装置。
- 前記圧力子がそれぞれ異なる高さを有する、請求項16または17に記載の発光表示装置。
- 前記発光パネルの表面に、RGBより成る画素パネルが配置されている、請求項16〜18のいずれか1項に記載の発光表示装置。
- 前記発光パネルにおいて、前記圧力子パネルの圧力子と接触する圧力印加領域と、前記発光層を含む発光領域とが分離されており、複数の発光領域が島状に分離されている、請求項16〜19のいずれか1項に記載の発光表示装置。
- 基板、圧電効果を有する半導体薄膜結晶、および当該圧電効果を有する半導体薄膜結晶で生じた正負のキャリアを結合させる発光層を有する半導体発光素子または発光表示装置を製造する方法であって、
圧電効果を有する半導体薄膜結晶として、発光層よりもバンドギャップの大きい材料を選択すること、および
圧電効果を有する半導体薄膜結晶の層および発光層をそれぞれレーザ分子線エピタキシー法により形成することを含み、
基板上に圧電効果を有する半導体薄膜結晶の層を形成した後、遮蔽マスクを使用して、発光層を選択的に形成し、発光層および発光層が形成されていない圧電効果を有する半導体薄膜結晶の層の上に、圧電効果を有する半導体薄膜結晶の層を形成して発光層が埋め込まれた構成を得る
半導体発光素子または発光表示装置の製造方法。 - 前記発光層を、多重量子井戸構造に形成する請求項21に記載の製造方法。
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