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JP2004157478A - ハロゲン化銀カラー写真感光材料及び画像形成方法 - Google Patents

ハロゲン化銀カラー写真感光材料及び画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】広告展示用プリントに好適なハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供する。更に詳しくは、レーザープリンター等のデジタル露光において高い画像濃度を得て、かつ大判広告作製時に接合部の色味変化の少ない広告展示用プリントに好適なハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供する。
【解決手段】透明支持体上にイエロー色画像形成層、マゼンタ色画像形成層、シアン色画像形成層を少なくとも一層ずつ有するハロゲン化銀カラー写真感光材料であって、露光時間10−4秒の面露光を行った際、各層の透過最高濃度がいずれも3.0以上であり、かつ該感光材料に対して露光後5分で発色現像を開始して処理した際に濃度1.0を与える露光量において該感光材料を露光後30分で現像を開始して処理した時に透過濃度が0.95以上1.05以下であることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はハロゲン化銀カラー写真写真感光材料に関するものであり、詳細には、高濃度、高画質であり、更に露光後発色現像処理までの時間変動に対する濃度変化が少ないことで、安定した品質、生産性の向上を実現するハロゲン化銀カラー写真感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、大型のカラー写真プリントやインクジェットプリント等による展示広告が増えている。これらの展示方法として、例えば支持体上に形成された画像を画像側から照射した光によって鑑賞する方法(反射方式)や、画像の裏側から照射する光によって鑑賞する方法(透過方式)があり、室内あるいは夜間の屋外など、特定の条件下においては後者の透過方式の方がより鮮明な画像を提供できることが知られている。このような用途に用いられる透過型画像形成材料/方法としては、印刷方式、インクジェット方式、銀塩方式が存在する。印刷方式は大量生産に有利であるが、多種の画像を比較的少量展示する展示広告の分野では、インクジェット方式あるいは銀塩方式の方が好ましい。インクジェット方式は、その簡便性が増加を促している反面、銀塩方式は、高いコントラストと豊かな階調再現性による高画質性能や画像の優れた安定性等により、銀塩カラー写真プリントは広告業界においていまだに優位性を保っている。
【0003】
一方、近年のコンピューター技術の発達により、スキャナー等で読み込んでデジタル化された画像をコンピューター上で加工(画像処理)することが比較的容易に行なわれるようになった。さらに、そのデジタル画像情報を感光材料に露光する方法として、レーザー光源、LED等による光強度の強い光源で走査露光する画像形成方法が急速に増加してきている。近年のレーザープリンター、デジタルプリントの普及により、この画像形成方法が一般的となり、レーザー露光、デジタル露光に適した特性を有する感光材料の提供が常に要求される。広告展示用プリントは、その用途からより鮮やかな画像を提供する必要があり、より高い画像濃度が要求される。
【0004】
また、展示広告は大判であればあるほど広告効果も大きいため、展示広告用感光材料は大判での利用が求められている。そのため、露光機もかなり大型の物を使用することになるが、感光材料のサイズの制約から大きさにも限界がある。従って、このサイズ制限を超えた大判サイズが必要な場合は、2枚以上の感光材料を接合して展示することになる。一方、透過型感光材料において、より高濃度で、高画質の画像が求められている。ところが、この要求を満たし、かつ前記の感光材料のサイズ制限を超えた大判サイズの広告を作成する際、2枚以上を貼り合わせると、接合部の画像のつながりが悪く、見栄えのよい大判広告が得られないことがわかった。特許文献1では、高濃度化により鮮やかな画像が提供できることが開示されているが、このような接合適性(貼り合わせ部の色味変化)の問題及びその解決方法については何ら触れられていない。
このような貼り合わせによる大判展示広告という独特の使われ方をする透過型感光材料において、高濃度で高画質を維持し、かつ前記のような貼り合わせによる色味変化を少なくすることは、従来の感光材料の性能では不十分であり、改良が求められていた。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−249433公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、上記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。すなわち、
広告展示用プリントに好適なハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供することにある。更に詳しくは、レーザープリンター等のデジタル露光において高い画像濃度を得て、かつ大判広告作製時に接合部の色味変化の少ない広告展示用プリントに好適なハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、同一条件で露光された場合において、露光後の変動要因に対する感光材料の性能の不安定性が、高濃度、特に3.0以上の高濃度の画像を得ようとした場合、従来に増して顕著に反映されることを見出した。近年の大型レーザープリンターでは、ロール状の感光材料を数メートルに渡って連続的に走査露光することが多く、その露光済みの感光材料を再び巻き取ってから、今度は露光終了側を先頭にして発色現像処理が行なわれるため、1回の作業において、露光から現像処理までの時間が、数分から数十分の範囲で変わりうるが、その際の性能変動が、高濃度、特に3.0以上の高濃度の画像を得ようとした場合に大きく、画像接続時のつなぎ目における大きな色味変化として表れることから、本発明に至った。
すなわち、前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
(1)透明支持体上にイエロー色画像形成層、マゼンタ色画像形成層、シアン色画像形成層を少なくとも一層ずつ有するハロゲン化銀カラー写真感光材料であって、露光時間10−4秒の面露光を行った際、各層の透過最高濃度がいずれも3.0以上であり、かつ該感光材料に対して露光後5分で発色現像を開始して処理した際に濃度1.0を与える露光量において該感光材料を露光後30分で現像を開始して処理した時に透過濃度が0.95以上1.05以下であることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
(2)前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料のハロゲン化銀乳剤層の少なくとも一層中に、下記一般式(I)で表される金属錯体から選択される少なくとも一種を含有する塩化銀含有率95モル%以上の塩化銀乳剤粒子を含有することを特徴とする(1)に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
一般式(I)
[MX (6−n)
一般式(I)中、MはCr、Mo、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、PdまたはPtを表し、Xはハロゲンイオンを表し、LはXとは異なる任意の配位子を表す。nは3、4、5または6を表し、mは4−、3−、2−、1−、0または1+を表す。
(3)光ビームによる走査露光後、発色現像処理を行なう画像形成方法であって、該走査露光に用いる装置が、キャリブレーション用画像を出力し、それを濃度測定することによって予め設定した透過最高濃度及びその濃度に至るグレー階調の露光条件をキャリブレーションする機能が付随した装置であり、かつ予め設定した透過最高濃度が2.8以上であることを特徴とする、(1)または(2)に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料を用いた画像形成方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳しく説明する。
まず、露光について説明する。
本発明において、透過最高濃度を求めるための「露光時間10−4秒の面露光」とは、1つの面に対して10−4秒(本明細書では1×10−4秒を10−4秒と称す)の露光時間となるように露光が与えられることを意味する。すなわち、10−4秒の発光時間となるように調整されたキセノンフラッシュ光源を用い、これに光学ウエッジとカラーフィルターを組合わせて、最低濃度から最高濃度を得るのに必要な露光を感光材料に与えることを意味する。この時、後で説明する発色現像処理後に得られる画像が最低濃度から最高濃度の範囲を含み、かつ同じ露光量でイエロー、マゼンタ及びシアンのステータスA透過濃度が1.0になるようにCCフィルター(カラーコレクションフィルター)を必要に応じて使用して調整を行い、グレーの画像を得ることができる。
【0009】
次いで、透過濃度について説明する。
本発明において、透過濃度の求め方は、富士写真フイルム(株)製カラーペーパー用現像処理プロセスCP−45Xを使用し、発色現像時間を110秒に延長して処理する。現像処理機は、ノーリツ社製のCSR24100現像機を使用した。現像処理液の状態は、さまざまな要因で振れるので一定の条件を保つのは難しいが、カラーペーパーである透過ディスプレーフイルムを毎日40〜60m処理するランニング処理状態で、液の補充は、富士写真フイルム(株)のテクニカルインフォーメーションの推奨値に従って行なった状態で処理した。本発明における、透過型カラーディスプレーフイルムの発色現像処理は、下記の条件で行なった。
【0010】
富士カラーペーパー用現像処理プロセスCP−45X
処理工程 処理温度 処理時間 補充量
発色現像 35±0.3℃ 110秒 370mL/m
漂白定着 33〜37℃ 110秒 494mL/m
水洗 24〜34℃ 220秒 3〜10L/m
乾燥 50〜70℃ 3分
【0011】
処理した試料のイエロー、マゼンタ、シアンの各々のステータスA透過濃度を測定して求めることができる。測定はX−rite社製のX−rite310を用いて行なった。
光学ウエッジを通して露光、現像処理して得られた画像は、最低濃度から最高濃度の範囲を有するように予め条件を設定する必要がある。この結果、露光量に対する透過濃度を示した特性曲線は最低濃度から最高濃度までを含んだものとすることができる。その際の最高到達濃度が本発明における透過最高濃度(最大透過濃度ともいう)である。
【0012】
感光材料に対して、光学ウエッジを通してキセノンフラッシュ光源にて、露光時間10−4秒のグレー面露光を行なった際、本発明においては各層の最大透過濃度はいずれも3.0以上である。各層の最大透過濃度は3.0〜4.0の範囲が好ましく、3.2〜4.0の範囲がより好ましく、3.3〜3.8の範囲が更に好ましい。3.0より低いと黒の締りなどの点で満足できる画質が得られない。一方、4.0より高くしても更なる画質改良効果が小さい反面、高濃度を得るために乳剤や色素形成カプラーの塗布量をかなり増やさなければならなくなり、下層の現像遅れ、処理でのムラ等の問題を起し好ましくない。
【0013】
本発明の感光材料は、更に、露光後5分で発色現像処理を開始した際に、透過濃度1.0を与える露光量で、該感光材料を露光後30分で発色現像を開始して現像処理した透過濃度が、0.95〜1.05の範囲である。好ましくは0.97〜1.03の範囲であり、更に好ましくは0.99〜1.01の範囲である。
これにより、高濃度の感光材料を貼り合わせて大判広告を作製する場合、つなぎ目の違和感を感じないものとすることができる。
【0014】
光ビームによる走査露光は、通常光ビームによる線上露光(ラスター露光:主走査)と、この線上露光方向に対して垂直方向への感光材料の相対的な移動(副走査)の組合せで行なわれることが一般的である。ここで言う光ビームによる走査露光とは、レーザー、LED等を光源として露光することを意味する。例えば、円筒状のドラムの外周あるいは内周に感光材料を固定し、光ビームを照射しながらドラムを回転させることで主走査を行なうと同時に、光源をドラムの回転方向に対して垂直に移動させることで副走査を行なう方式(ドラム方式)や、回転させたポリゴンミラーに光ビームを照射させることで反射ビームをポリゴンミラーの回転方向と水平に走査(主走査)するとともに、感光材料をポリゴンの回転方向に対して垂直に搬送することで副走査を行なう方式(ポリゴン方式)等が多く用いられている。また、露光する感光材料の幅以上に複数の光源をアレイ状に並べた露光装置を用いる場合には、主走査に相当する部分をアレイ状光源で代用したと捉えることができ、本発明の走査露光に含めて考えることができる。
【0015】
次に、キャリブレーションについて説明する。
本発明におけるキャリブレーションとは、走査露光装置において、ユーザーが目標濃度を設定し、その目標濃度に従って装置が露光条件を決める機能及び決めるための作業を意味する。キャリブレーション用画像とは、キャリブレーションに必要な情報を得るために濃度の異なるグレーパッチが含まれる画像のことである。
【0016】
本発明者等は、最高濃度を求めるための露光時間10−4秒の面露光を行い、更にその後に発色現像処理を行なうことにより得られた画像の特性値は、光ビームを用いて走査露光を行い露光後に現像処理して得られる画像の特性に近く、光ビームにより走査露光を行なって作成した画質の特性とよい相関関係を示すことを見出した。
【0017】
次に、本発明で好ましく使用される下記一般式(I)で表される金属錯体について説明する。
一般式(I)
[MX (6−n)
一般式(I)中、MはCr、Mo、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、PdまたはPtを表し、Xはハロゲンイオンを表し、LはXとは異なる任意の配位子を表す。nは3、4、5または6を表し、mは4−、3−、2−、1−、0または1+を表す。
はフッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオンまたはヨウ化物イオンであり、中でも塩化物イオンおよび臭化物イオンであることが好ましい。
は無機化合物であっても有機化合物であってもよく、電荷を持っていても無電荷でもよいが、無電荷の無機化合物であることが好ましい。Lとして好ましくはHO、OH、O、NOまたはNSであり、更に好ましくはHO、NOまたはNSである。
【0018】
一般式(I)で表される金属錯体の中でも、下記一般式(IA)で表される金属錯体が好ましい。
【0019】
一般式(IA)
[MIAIA IA (6−n)
一般式(IA)中、MIAはRe、Ru、OsまたはRhを表し、XIAはハロゲンイオンを表し、LIAはMIAがRe、RuまたはOsの場合、NOまたはNSを表し、MIAがRhの場合、HO、OHまたはOを表す。nは3、4、5または6を表し、mは4−、3−、2−、1−、0または1+を表す。XIAは一般式(I)のXと同義であり、好ましい範囲も同じである。
【0020】
以下に、一般式(I)で表される金属錯体の好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0021】
[ReCl2−
[ReCl(NO)]2−
[RuCl2−
[RuCl3−
[RuCl(NO)]2−
[RuCl(NS)]2−
[RuBr(NS)]2−
[OsCl3−
[OsCl(NO)]2−
[OsBr(NS)]2−
[RhCl2−
[RhCl(HO)]2−
[RhCl(HO)
[RhBr3−
[RhBr(HO)]2−
[RhBr(HO)
[PdCl2−
[PtCl2−
【0022】
以上に挙げた金属錯体は陰イオンであり、陽イオンと塩を形成した時にはその対陽イオンとして水に溶解しやすいものが好ましい。具体的には、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオンおよびリチウムイオン等のアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオンが好ましい。これらの金属錯体は、水の他に水と混合し得る適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類等)との混合溶媒に溶かして使うことができる。一般式(I)で表される金属錯体は、粒子形成中に銀1モル当たり1×10−11モルから1×10−6モル添加することが好ましく、1×10−9モルから1×10−7モル添加することが最も好ましい。
【0023】
上記の金属錯体は、ハロゲン化銀粒子形成時に反応溶液中に直接添加するか、ハロゲン化銀粒子を形成するためのハロゲン化物水溶液中、あるいはそれ以外の溶液中に添加し、粒子形成反応溶液に添加することにより、ハロゲン化銀粒子内に組み込むのが好ましい。また、予め金属錯体を粒子内に組み込んだ微粒子で物理熟成してハロゲン化銀粒子に組み込むことも好ましい。さらにこれらの方法を組合わせてハロゲン化銀粒子内へ含有させることもできる。
【0024】
これらの金属錯体をハロゲン化銀粒子に組み込む場合、粒子内部に均一に存在させることも行なわれるが、特開平4−208936号、特開平2−125245号、特開平3−188437号の各公報に記載されている様に、粒子表面層のみに存在させることも好ましく、粒子内部のみに金属錯体を存在させる粒子表面には金属錯体を含有しない層を付加することも好ましい。また米国特許第5,252,451号および同第5,256,530号明細書に記載されているように、金属錯体を粒子内部に組み込んだ微粒子で物理熟成して粒子表面相を改質することも好ましい。さらに、これらの方法を組合わせて用いることもでき、複数種の金属錯体を1つのハロゲン化銀粒子内に組み込んでもよい。
【0025】
以下に本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料を詳細に説明する。
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料におけるハロゲン化銀の使用量(例えば塗設量)は0.40〜2.0g/mが好ましく、さらに好ましくは0.60〜1.7g/mである。
【0026】
本発明において写真構成層中の親水性バインダー量に対する油溶分量の比率は任意に設定できる。保護層以外の写真構成層における好ましい比率は質量比で0.05〜1.50、さらに好ましくは0.10〜1.40、最も好ましくは0.20〜1.30である。各層の比率を最適化することで膜強度や耐傷性、カール特性を調節することができる。
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料は、総塗布ゼラチン量が規定されていることが好ましく、総ゼラチン塗設量は、5.0〜25g/m、好ましくは8.0〜18g/mである。
【0027】
本発明に係わるハロゲン化銀カラー写真感光材料には親水性バインダーとしてゼラチンを用いるが、必要に応じて他のゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子のグラフトポリマー、ゼラチン以外の蛋白質、糖誘導体、セルロース誘導体、単一あるいは共重合体のごとき合成親水性高分子物質等の親水性コロイドもゼラチンと併せて用いることができる。本発明に係わるハロゲン化銀カラー写真感光材料に用いられるゼラチンは、石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチンのいずれでもよく、また牛骨、牛皮、豚皮などのいずれを原料として製造されたゼラチンでもよいが、好ましくは牛骨、豚皮を原料とした石灰処理ゼラチンである。
【0028】
本発明において写真構成層の好ましい膜厚は22.0μm以下3.0μm以上、好ましくは20.0μm以下4.0μ以上、最も好ましくは18.0μm以下8.0μm以上である。本発明において写真構成層の膜厚とは、支持体よりも上層の写真構成層の未処理時の厚さを表す。具体的には以下のいずれかの方法により求めることができる。第一には、ハロゲン化銀カラー写真感光材料を支持体に対して垂直に切断し、その切断面を電子顕微鏡で観察することで求められる。第二の方法としては、写真構成層中の各成分の塗設量(g/m)と比重とから膜厚を算出する方法である。比重は写真用に使用される代表的なゼラチンが1.34g/ml、塩化銀粒子が5.59g/mlであり、その他の親油的添加剤についても測定可能であり、第二の方法で膜厚を算出することができる。
【0029】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料についてさらに説明する。
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料(以下、単に「感光材料」という場合がある)は、イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層以外にも、所望により後述する親水性コロイド層、アンチハレーション層、中間層及び着色層を有していてもよい。
【0030】
本発明に好ましく用いられるハロゲン化銀乳剤に関して以下に詳細に述べる。
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤中のハロゲン化銀粒子は、好ましくは実質的に{100}面を持つ立方体または14面体の結晶粒子(これらは粒子頂点が丸みを帯び、さらに高次の面を有していてもよい)または8面体の結晶粒子、または全投影面積の50%以上が{100}面または{111}面からなるアスペクト比2以上の平板状粒子が好ましい。アスペクト比とは、投影面積に相当する円の直径を粒子の厚さで割った値である。本発明では、立方体または{100}面を主平面とする平板状粒子または{111}面を主平面とする平板状粒子が好ましく適用される。
【0031】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤としては、塩化銀、臭化銀、沃臭化銀、塩(沃)臭化銀乳剤等が用いられるが、本発明においては、少なくとも一層のハロゲン化銀乳剤層が、塩化銀含有率95モル%以上のハロゲン化銀乳剤を含有するものである。本発明においては、全てのハロゲン化銀乳剤層が塩化銀含有率95モル%以上のハロゲン化銀乳剤である場合が好ましい。本発明において使用されるハロゲン化銀乳剤は、塩化銀含有率が95モル%以上の塩化銀、塩臭化銀、塩沃化銀、または塩臭沃化銀乳剤が好ましく、更に塩化銀含有率が98モル%以上の塩化銀、塩臭化銀、塩沃化銀、または塩臭沃化銀乳剤が好ましい。このようなハロゲン化銀乳剤の中でも、ハロゲン化銀粒子のシェル部分に、全銀モルあたり0.01〜0.50モル%、より好ましくは0.05〜0.40モル%の沃塩化銀相を有するものも高感度が得られ、高照度露光適性に優れるため好ましい。また、ハロゲン化銀粒子の表面に全銀モルあたり0.2〜5モル%、より好ましくは0.5〜3モル%の臭化銀局在相を有するものが、高感度が得られ、しかも写真性能の安定化が図れることから特に好ましい。
【0032】
本発明の乳剤は、沃化銀を含有することが好ましい。沃化物イオンの導入は、沃化物塩の溶液を単独で添加させるか、或いは銀塩溶液と高塩化物塩溶液の添加と併せて沃化物塩溶液を添加しても良い。後者の場合は、沃化物塩溶液と高塩化物塩溶液を別々に、またはヨウ化物塩と高塩化物塩の混合溶液として添加しても良い。沃化物塩は、アルカリもしくはアルカリ土類沃化物塩のような溶解性塩の形で添加する。或いは米国特許第5,389,508号明細書に記載される有機分子から沃化物イオンを開裂させることで沃化物を導入することもできる。また別の沃化物イオン源として、微小沃化銀粒子を用いることもできる。
【0033】
沃化物塩溶液の添加は、粒子形成の一時期に集中して行っても良く、またある一定期間かけて行っても良い。高塩化物乳剤への沃化物イオンの導入位置は、高感度で低被りな乳剤を得る上で制限される。沃化物イオンの導入は、乳剤粒子のより内部に行うほど感度の増加が小さい。故に沃化物塩溶液の添加は、粒子体積の50%より外側が好ましく、より好ましくは70%より外側から、最も好ましくは80%より外側から行うのが良い。また沃化物塩溶液の添加は、好ましくは粒子体積の98%より内側で、最も好ましくは96%より内側で終了するのが良い。沃化物塩溶液の添加は、粒子表面から少し内側で終了することで、より高感度で低被りな乳剤を得ることができる。
【0034】
粒子内の深さ方向への沃化物イオン濃度の分布は、エッチング/TOF−SIMS(Time of Flight − Secondary Ion Mass Spectrometry)法により、例えばPhi Evans社製TRIFTII型TOF−SIMSを用いて測定できる。TOF−SIMS法については、具体的には日本表面科学会編「表面分析技術選書 二次イオン質量分析法」丸善株式会社(1999年発行)に記載されている。エッチング/TOF−SIMS法で乳剤粒子を解析すると、沃化物塩溶液の添加を粒子の内側で終了しても、粒子表面に向けて沃化物イオンがしみ出していることが分析できる。本発明の乳剤が沃化銀を含有する場合、エッチング/TOF−SIMS法による分析で、沃化物イオンは粒子表面で濃度極大を有し、内側に向けて沃化物イオン濃度が減衰していることが好ましい。
【0035】
本発明の感光材料中の乳剤は、臭化銀局在層を有することが好ましい。
本発明の乳剤が臭化銀局在相を含有する場合、臭化銀含有率が少なくとも10モル%以上の臭化銀局在相を粒子表面にエピタキシャル成長させてつくることが好ましい。また、表層近傍に臭化銀含有率1モル%以上の最外層シェル部を有することが好ましい。
臭化銀局在相の臭化銀含有率は、1〜80モル%の範囲が好ましく、5〜70モル%の範囲が最も好ましい。臭化銀局在相は、本発明におけるハロゲン化銀粒子を構成する全銀量の0.1〜30モル%の銀から構成されていることが好ましく、0.3〜20モル%の銀から構成されていることが更に好ましい。臭化銀局在相中には、イリジウムイオン等のVIII族金属錯イオンを含有させることが好ましい。これらの化合物の添加量は目的に応じて広範囲にわたるが、ハロゲン化銀1モルに対して10−9〜10−2モルが好ましい。
【0036】
本発明においては、ハロゲン化銀粒子を形成及び/または成長させる過程で遷移金属イオンを添加し、ハロゲン化銀粒子の内部及び/または表面に金属イオンを組み込むことが好ましい。用いる金属イオンとしては遷移金属イオンが好ましく、なかでも、鉄、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、鉛、カドミウム、または、亜鉛であることが好ましい。さらにこれらの金属イオンは配位子を伴い6配位八面体型錯体として用いることがより好ましい。無機化合物を配位子として用いる場合には、シアン化物イオン、ハロゲン化物イオン、チオシアン、水酸化物イオン、過酸化物イオン、アジ化物イオン、亜硝酸イオン、水、アンモニア、ニトロシルイオン、または、チオニトロシルイオンを用いることが好ましく、上記の鉄、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、鉛、カドミウム、または、亜鉛のいずれの金属イオンに配位させて用いることも好ましく、複数種の配位子を1つの錯体分子中に用いることも好ましい。
【0037】
この中で本発明のハロゲン化銀乳剤には、高照度相反則不軌改良の目的で、少なくとも一つの有機配位子を持つイリジウムイオンを持つことが特に好ましい。
配位子として有機化合物を用いる場合、他の遷移金属の場合にも共通であるが、好ましい有機化合物としては主鎖の炭素数が5以下の鎖状化合物および/または5員環あるいは6員環の複素環化合物を挙げることが出来る。さらに好ましい有機化合物は分子内に窒素原子、リン原子、酸素原子、または、硫黄原子を金属への配位原子として有する化合物であり、最も好ましくはフラン、チオフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、フラザン、ピラン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジンであり、さらにこれらの化合物を基本骨格としそれらに置換基を導入した化合物もまた好ましい。
特にこれらの中で、イリジウムイオンに好ましい配位子は、チアゾール配位子の中でも5メチルチアゾールが特に好ましく用いられる。
【0038】
金属イオンと配位子の組み合わせとして好ましくは、鉄イオン及びルテニウムイオンとシアン化物イオンの組み合わせが挙げられる。これらの化合物においてシアン化物イオンは中心金属である鉄またはルテニウムへの配位数のうち過半数を占めることが好ましく、残りの配位部位はチオシアン、アンモニア、水、ニトロシルイオン、ジメチルスルホキシド、ピリジン、ピラジン、または、4,4’−ビピリジンで占められることが好ましい。最も好ましくは中心金属の6つの配位部位が全てシアン化物イオンで占められ、ヘキサシアノ鉄錯体またはヘキサシアノルテニウム錯体を形成することである。これらシアン化物イオンを配位子とする錯体は粒子形成中に銀1モル当たり1×10−8モルから1×10−2モル添加することが好ましく、1×10−6モルから5×10−4モル添加することが最も好ましい。
【0039】
またイリジウムイオンは、有機配位子だけでなく、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、中でも塩化物イオンまたは臭化物イオンを用いることが好ましい。イリジウム錯体としては、前述の有機配位子をもつもの以外に、以下の具体的化合物を用いることができる。
[IrCl3−、[IrCl2−、[IrCl(HO)]2−、[IrCl(HO)]、[IrCl(HO)、[IrCl(HO)、[IrCl(HO)、[IrCl(HO)、[IrBr3−、[IrBr2−、[IrBr(HO)]2−、[IrBr(HO)]、[IrBr(HO)、[IrBr(HO)、[IrBr(HO)および[IrBr(HO)である。
【0040】
これらのイリジウム錯体は粒子形成中に銀1モル当たり1×10−10モルから1×10−3モル添加することが好ましく、1×10−8モルから1×10−5モル添加することが最も好ましい。ルテニウムおよびオスミウムを中心金属とした場合にはニトロシルイオン、チオニトロシルイオン、または水分子と塩化物イオンを配位子として共に用いることも好ましい。より好ましくはペンタクロロニトロシル錯体、ペンタクロロチオニトロシル錯体、または、ペンタクロロアクア錯体を形成することであり、ヘキサクロロ錯体を形成することも好ましい。これらの錯体は粒子形成中に銀1モル当たり1×10−10モルから1×10−6モル添加することが好ましく、より好ましくは1×10−9モルから1×10−6モル添加することである。
【0041】
本発明において上記の錯体は、ハロゲン化銀粒子形成時に反応溶液中に直接添加するか、ハロゲン化銀粒子を形成するためのハロゲン化物水溶液中、あるいはそれ以外の溶液中に添加し、粒子形成反応溶液に添加することにより、ハロゲン化銀粒子内に組み込むが好ましい。さらにこれらの方法を組み合わせてハロゲン化銀粒子内へ含有させることも好ましい。
【0042】
これらの錯体をハロゲン化銀粒子に組み込む場合、粒子内部に均一に存在させることも好ましいが、特開平4−208936号、特開平2−125245号、特開平3−188437号各公報に開示されている様に、粒子表面層のみに存在させることも好ましく、粒子内部のみに錯体を存在させ粒子表面には錯体を含有しない層を付加することも好ましい。また、米国特許第5,252,451号および5,256,530号明細書に開示されているように、錯体を粒子内に組み込んだ微粒子で物理熟成して粒子表面相を改質することも好ましい。さらに、これらの方法を組み合わせて用いることも出来、複数種の錯体を1つのハロゲン化銀粒子内に組み込んでもよい。上記の錯体を含有させる位置のハロゲン組成には特に制限はなく、塩化銀層、塩臭化銀層、臭化銀層、沃塩化銀層、沃臭化銀層に何れに錯体を含有させることも好ましい。
【0043】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤に含まれるハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズ(粒子の投影面積と等価な円の直径を以て粒子サイズとし、その数平均をとったもの)は、0.01μm〜2μmが好ましい。
また、それらの粒子サイズ分布は変動係数(粒子サイズ分布の標準偏差を平均粒子サイズで除したもの)20%以下、望ましくは15%以下、更に好ましくは10%以下の所謂単分散なものが好ましい。このとき、広いラチチュードを得る目的で上記の単分散乳剤を同一層にブレンドして使用することや、重層塗布することも好ましく行われる。
【0044】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤には、感光材料の製造工程、保存中あるいは写真処理中のかぶりを防止する、あるいは写真性能を安定化させる目的で種々の化合物あるいはそれ等の前駆体を添加することができる。これらの化合物の具体例は前出の特開昭62−215272号公報明細書の第39頁〜第72頁に記載のものが好ましく用いられる。更にEP0447647号に記載された5−アリールアミノ−1,2,3,4−チアトリアゾール化合物(該アリール残基には少なくとも一つの電子吸引性基を持つ)も好ましく用いられる。
【0045】
また、本発明において、ハロゲン化銀乳剤の保存性を高めるため、特開平11−109576号に記載のヒドロキサム酸誘導体、特開平11−327094号に記載のカルボニル基に隣接して、両端がアミノ基もしくはヒドロキシル基が置換した二重結合を有す環状ケトン類(特に一般式(S1)で表されるもので、段落番号0036〜0071は本願の明細書に取り込むことができる。)、特開平11−143011号に記載のスルホ置換のカテコールやハイドロキノン類(例えば、4,5−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸、2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゼンジスルホン酸、3,4−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,3−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、3,4,5−トリヒドロキシベンゼンスルホン酸およびこれらの塩など)、特開平11−102045号の一般式(I)〜(III)で表される水溶性還元剤は本発明においても好ましく使用される。
【0046】
分光増感は、本発明の感光材料における各層の乳剤に対して所望の光波長域に分光感度を付与する目的で行われる。
本発明の感光材料において、青、緑、赤領域の分光増感に用いられる分光増感色素としては例えば、F.M.Harmer著 Heterocyclic compounds−Cyanine dyes and related compounds(John Wiley & Sons [New York,London]社刊1964年)に記載されているものを挙げることができる。具体的な化合物の例ならびに分光増感法は、前出の特開昭62−215272号公報の第22頁右上欄〜第38頁に記載のものが好ましく用いられる。また、特に塩化銀含有率の高いハロゲン化銀乳剤粒子の赤感光性分光増感色素としては特開平3−123340号に記載された分光増感色素が安定性、吸着の強さ、露光の温度依存性等の観点から非常に好ましい。
【0047】
これらの分光増感色素の添加量は場合に応じて広範囲にわたり、ハロゲン化銀1モルあたり0.5×10−6モル〜1.0×10−2モルの範囲が好ましい。更に好ましくは、1.0×10−6モル〜5.0×10−3モルの範囲である。
【0048】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤は、通常化学増感を施される。化学増感法については、不安定硫黄化合物の添加に代表される硫黄増感、金増感に代表される貴金属増感、あるいは還元増感等を単独もしくは併用して用いることができる。化学増感に用いられる化合物については、特開昭62−215272号の第18頁右下欄から第22頁右上欄に記載のものが好ましく用いられる。このうち、特に、金増感を施したものであることが好ましい。金増感を施すことにより、レーザー光等によって走査露光したときの写真性能の変動を更に小さくすることができるからである。
【0049】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤に金増感を施すには、種々の無機金化合物や無機配位子を有する金(I)錯体及び有機配位子を有する金(I)化合物を利用することができる。無機金化合物としては、例えば塩化金酸もしくはその塩、無機配位子を有する金(I)錯体としては、例えばジチオシアン酸金(I)カリウム等のジチオシアン酸金化合物やジチオ硫酸金(I)3ナトリウム等のジチオ硫酸金化合物等の化合物を用いることが好ましい。
【0050】
有機配位子を有する金(I)化合物としては、特開平4−267249号に記載のビス金(I)メソイオン複素環類、例えば四フッ化硼酸金(I)ビス(1,4,5−トリメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオラート)、特開平11−218870号に記載の有機メルカプト金(I)錯体、例えばカリウム ビス(1−[3−(2−スルホナートベンズアミド)フェニル]−5−メルカプトテトラゾールカリウム塩)オーレート(I)5水和物、特開平4−268550号に記載の窒素化合物アニオンが配位した金(I)化合物、例えば、ビス(1−メチルヒダントイナート)金(I)ナトリウム塩四水和物、を用いることができる。また、米国特許第3、503、749号に記載されている金(I)チオレート化合物、特開平8−69074号、特開平8−69075号、特開平9−269554号に記載の金化合物、米国特許第5,620,841号、同第5,912,112号、同第5,620,841号、同第5,939,245号、同第5,912,111号に記載の化合物も用いることができる。
これらの化合物の添加量は場合に応じて広範囲に変わり得るがハロゲン化銀1モルあたり5×10−7〜5×10−3モル、好ましくは5×10−6〜5×10−4モルである。
【0051】
また、コロイド状硫化金を用いることも可能であり、その製造方法はリサーチ・ディスクロージャー(Reserch Disclosure,37154)、ソリッド ステート イオニクス(Solid State Ionics)第79巻、60〜66頁、1995年刊、Compt.Rend.Hebt.Seances Acad.Sci.Sect.B 第263巻、1328頁、1966年刊等に記載されている。コロイド状硫化金としてさまざまなサイズのものを利用でき、粒径50nm以下のものも用いることができる。添加量は場合に応じて広範囲に変わり得るがハロゲン化銀1モルあたり金原子として5×10−7〜5×10−3モル、好ましくは5×10−6〜5×10−4モルである。
本発明においては、金増感を更に他の増感法、例えば硫黄増感、セレン増感、テルル増感、還元増感あるいは金化合物以外を用いた貴金属増感等と組み合わせてもよい。
【0052】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料は、イエロー発色性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色性ハロゲン化銀乳剤層及びシアン発色性ハロゲン化銀乳剤層をそれぞれ少なくとも1層ずつ有してなるが、一般には、これらのハロゲン化銀乳剤層は支持体から近い順にイエロー発色性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色性ハロゲン化銀乳剤層、シアン発色性ハロゲン化銀乳剤層である。
しかしながら、これとは異なった層構成を取っても構わない。
【0053】
イエロ−カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層は支持体上のいずれの位置に配置されてもかまわないが、発色現像促進、脱銀促進、増感色素による残色の低減の観点からは、イエロ−カプラー含有ハロゲン化銀乳剤層は他のハロゲン化銀乳剤層より、支持体から最も離れた位置に塗設されていることが好ましい。更に、Blix退色の低減の観点からはシアンカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層は他のハロゲン化銀乳剤層の中央の層が好ましく、光退色の低減の観点からはシアンカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層は最下層が好ましい。また、イエロー、マゼンタ及びシアンのそれぞれの発色性層は2層又は3層からなってもよい。例えば、特開平4−75055号、同9−114035号、同10−246940号、米国特許第5,576,159号等に記載のように、ハロゲン化銀乳剤を含有しないカプラー層をハロゲン化銀乳剤層に隣接して設け、発色層とすることも好ましい。
【0054】
本発明において適用されるハロゲン化銀乳剤やその他の素材(添加剤など)及び写真構成層(層配置など)、並びにこの感光材料を処理するために適用される処理法や処理用添加剤としては、特開昭62−215272号、特開平2−33144号、欧州特許EP0,355,660A2号に記載されているもの、特に欧州特許EP0,355,660A2号に記載されているものが好ましく用いられる。更には、特開平5−34889号、同4−359249号、同4−313753号、同4−270344号、同5−66527号、同4−34548号、同4−145433号、同2−854号、同1−158431号、同2−90145号、同3−194539号、同2−93641号、欧州特許公開第0520457A2号等に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料やその処理方法も好ましい。
【0055】
特に、本発明においては、ハロゲン化銀乳剤、更にはハロゲン化銀粒子中にドープされる異種金属イオン種、ハロゲン化銀乳剤の保存安定剤又はカブリ防止剤、化学増感法(増感剤)、分光増感法(分光増感剤)、シアン、マゼンタ、イエローカプラー及びその乳化分散法、色像保存性改良剤(ステイン防止剤や褪色防止剤)、染料(着色層)、ゼラチン種、感光材料の層構成や感光材料の被膜pHなどについては、下記表に示す特許の各箇所に記載のものが特に好ましく適用できる。
【0056】
【表1】
Figure 2004157478
【0057】
本発明において用いられるシアン、マゼンタ及びイエローカプラーとしては、その他、特開昭62−215272号の第91頁右上欄4行目〜121頁左上欄6行目、特開平2−33144号の第3頁右上欄14行目〜18頁左上欄末行目と第30頁右上欄6行目〜35頁右下欄11行目やEP0355,660A2号の第4頁15行目〜27行目、5頁30行目〜28頁末行目、45頁29行目〜31行目、47頁23行目〜63頁50行目に記載のカプラーも有用である。
また、本発明はWO98/33760号の一般式(II)及び(III)、特開平10−221825号の一般式(D)で表される化合物を添加してもよく、好ましい。
【0058】
本発明に使用可能なシアン色素形成カプラー(単に、「シアンカプラー」という場合がある)としては、ピロロトリアゾール系カプラーが好ましく用いられ、特開平5−313324号の一般式(I)又は(II)で表されるカプラー及び特開平6−347960号の一般式(I)で表されるカプラー並びにこれらの特許に記載されている例示カプラーが特に好ましい。また、フェノール系、ナフトール系のシアンカプラーも好ましく、例えば、特開平10−333297号に記載の一般式(ADF)で表されるシアンカプラーが好ましい。上記以外のシアンカプラーとしては、欧州特許EP0488248号明細書及びEP0491197A1号明細書に記載のピロロアゾール型シアンカプラー、米国特許第5,888,716号に記載の2,5−ジアシルアミノフェノールカプラー、米国特許第4,873,183号、同第4,916,051号に記載の6位に電子吸引性基、水素結合基を有するピラゾロアゾール型シアンカプラー、特に、特開平8−171185号、同8−311360号、同8−339060号に記載の6位にカルバモイル基を有するピラゾロアゾール型シアンカプラーも好ましい。
【0059】
また、特開平2−33144号公報に記載のジフェニルイミダゾール系シアンカプラーの他に、欧州特許EP0333185A2号明細書に記載の3−ヒドロキシピリジン系シアンカプラー(なかでも具体例として列挙されたカプラー(42)の4当量カプラーに塩素離脱基をもたせて2当量化したものや、カプラー(6)や(9)が特に好ましい)や特開昭64−32260号公報に記載された環状活性メチレン系シアンカプラー(なかでも具体例として列挙されたカプラー例3、8、34が特に好ましい)、欧州特許EP0456226A1号明細書に記載のピロロピラゾール型シアンカプラー、欧州特許EP0484909号に記載のピロロイミダゾール型シアンカプラーを使用することもできる。
【0060】
尚、これらのシアンカプラーのうち、特開平11−282138号公報に記載の一般式(I)で表されるピロロアゾール系シアンカプラーが特に好ましく、該特許の段落番号0012〜0059の記載は例示シアンカプラー(1)〜(47)を含め、本願にそのまま適用され、本願の明細書の一部として好ましく取り込まれる。
【0061】
本発明に用いられるマゼンタ色素形成カプラー(単に、「マゼンタカプラー」という場合がある)としては、前記の表の公知文献に記載されたような5−ピラゾロン系マゼンタカプラーやピラゾロアゾール系マゼンタカプラーが用いられるが、中でも色相や画像安定性発色性等の点で特開昭61−65245号に記載されたような2級又は3級アルキル基がピラゾロトリアゾール環の2、3又は6位に直結したピラゾロトリアゾールカプラー、特開昭61−65246号に記載されたような分子内にスルホンアミド基を含んだピラゾロアゾールカプラー、特開昭61−147254号に記載されたようなアルコキシフェニルスルホンアミドバラスト基を持つピラゾロアゾールカプラーや欧州特許第226,849A号や同第294,785A号に記載されたような6位にアルコキシ基やアリールオキシ基をもつピラゾロアゾールカプラーの使用が好ましい。特に、マゼンタカプラーとしては特開平8−122984号に記載の一般式(M−I)で表されるピラゾロアゾールカプラーが好ましく、該特許の段落番号0009〜0026はそのまま本願に適用され、本願の明細書の一部として取り込まれる。これに加えて、欧州特許第854384号、同第884640号に記載の3位と6位の両方に立体障害基を有するピラゾロアゾールカプラーも好ましく用いられる。
【0062】
また、イエロー色素形成カプラー(本明細書において、単に「イエローカプラー」という場合がある)としては、欧州特許EP0447969A1号明細書に記載のアシル基に3〜5員の環状構造を有するアシルアセトアミド型イエローカプラー、欧州特許EP0482552A1号明細書に記載の環状構造を有するマロンジアニリド型イエローカプラー、欧州公開特許第953870A1号、同第953871A1号、同第953872A1号、同第953873A1号、同第953874A1号、同第953875A1号等に記載のピロール−2又は3−イルもしくはインドール−2又は3−イルカルボニル酢酸アニリド系カプラー、米国特許第5,118,599号明細書に記載されたジオキサン構造を有するアシルアセトアミド型イエローカプラーが好ましく用いられる。その中では、アシル基が1−アルキルシクロプロパン−1−カルボニル基であるアシルアセトアミド型イエローカプラー、アニリドの一方がインドリン環を構成するマロンジアニリド型イエローカプラーの使用が好ましい。これらのカプラーは、単独あるいは併用することができる。
【0063】
本発明に使用するカプラーは、前出表中記載の高沸点有機溶媒の存在下で(又は不存在下で)ローダブルラテックスポリマー(例えば米国特許第4,203,716号)に含浸させて、又は水不溶性かつ有機溶媒可溶性のポリマーとともに溶かして親水性コロイド水溶液に乳化分散させることが好ましい。好ましく用いることのできる水不溶性かつ有機溶媒可溶性のポリマーは、米国特許第4,857,449号明細書の第7欄〜15欄及び国際公開WO88/00723号明細書の第12頁〜30頁に記載の単独重合体又は共重合体が挙げられる。より好ましくはメタクリレート系あるいはアクリルアミド系ポリマー、特にアクリルアミド系ポリマーの使用が色像安定性等の上で好ましい。
【0064】
本発明においては公知の混色防止剤を用いることができるが、その中でも以下に挙げる特許に記載のものが好ましい。
例えば、特開平5−333501号に記載の高分子量のレドックス化合物、WO98/33760号、米国特許第4,923,787号等に記載のフェニドンやヒドラジン系化合物、特開平5−249637号、特開平10−282615号及び独国特許第19629142A1号等に記載のホワイトカプラーを用いることができる。また、特に現像液のpHを上げ、現像の迅速化を行う場合には独国特許第19618786A1号、欧州特許第839623A1号、欧州特許第842975A1号、独国特許19806846A1号及び仏国特許第2760460A1号等に記載のレドックス化合物を用いることも好ましい。
【0065】
本発明においては紫外線吸収剤としてモル吸光係数の高いトリアジン骨核を有する化合物を用いることが好ましく、例えば、以下の特許に記載の化合物を用いることができる。これらは、感光性層又は/及び非感光性に好ましく添加される。例えば、特開昭46−3335号、同55−152776号、特開平5−197074号、同5−232630号、同5−307232号、同6−211813号、同8−53427号、同8−234364号、同8−239368号、同9−31067号、同10−115898号、同10−147577号、同10−182621号、独国特許第19739797A号、欧州特許第711804A号及び特表平8−501291号等に記載されている化合物を使用できる。
【0066】
本発明に係わる感光材料に用いることのできる結合剤又は保護コロイドとしては、ゼラチンを用いることが有利であるが、それ以外の親水性コロイドを単独であるいはゼラチンとともに用いることができる。好ましいゼラチンとしては、鉄、銅、亜鉛、マンガン等の不純物として含有される重金属は、好ましくは5ppm以下、更に好ましくは3ppm以下である。また、感光材料中に含まれるカルシウム量は、好ましくは20mg/m以下、更に好ましくは10mg/m以下、最も好ましくは5mg/m以下である。
【0067】
本発明においては、親水性コロイド層中に繁殖して画像を劣化させる各種の黴や細菌を防ぐために、特開昭63−271247号公報に記載のような防菌・防黴剤を添加するのが好ましい。さらに、感光材料の被膜pHは4.0〜7.0が好ましく、より好ましくは4.0〜6.5である。
【0068】
本発明においては、感光材料の塗布安定性向上、静電気発生防止、帯電量調節等の点から界面活性剤を感光材料に添加することができる。界面活性剤としてはアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ベタイン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤があり、例えば特開平5−333492号に記載のものが挙げられる。本発明に用いる界面活性剤としてはフッ素原子含有の界面活性剤が好ましい。特に、フッ素原子含有界面活性剤を好ましく用いることができる。これらのフッ素原子含有界面活性剤は単独で用いても、従来公知の他の界面活性剤と併用してもかまわないが、好ましくは従来公知の他の界面活性剤との併用である。これらの界面活性剤の感光材料への添加量は特に限定されるものではないが、一般的には、1×10−5〜1g/m、好ましくは1×10−4〜1×10−1g/m、更に好ましくは1×10−3〜1×10−2g/mである。
【0069】
本発明の感光材料は、ガスレーザー、発光ダイオード、半導体レーザー、半導体レーザーあるいは半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発光光源(SHG)等の単色高密度光を用いたデジタル走査露光方式が好ましく使用される。システムをコンパクトで、安価なものにするために半導体レーザー、半導体レーザーあるいは固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発生光源(SHG)を使用することが好ましい。特にコンパクトで、安価、更に寿命が長く安定性が高い装置を設計するためには半導体レーザーの使用が好ましく、露光光源の少なくとも一つは半導体レーザーを使用することが好ましい。
【0070】
このような走査露光光源を使用する場合、本発明の感光材料の分光感度極大波長は、使用する走査露光用光源の波長により任意に設定することができる。半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーあるいは半導体レーザーと非線形光学結晶を組合わせて得られるSHG光源では、レーザーの発振波長を半分にできるので、青色光、緑色光が得られる。従って、感光材料の分光感度極大は通常の青、緑、赤の3つの波長領域に持たせることが可能である。
【0071】
本発明に使用される透過支持体としては、実質的に透明な支持体であればいずれでも構わないが、例えばセルロースナイトレートフィルムやポリエチレンテレフタレートフイルム、ポリカーボネートフイルム、ポリスチレンフイルム、ポリプロピレンフイルムなどの透明な基体が用いられる。このうち、好ましくはポリエチレンテレフタレートフィルムである。
【0072】
透過支持体の厚みについては、特に制限がないが、好ましくは150〜250μm、更に好ましくは160μm〜200μmである。
なお、透過支持体とは、光の透過率が90%以上である支持体である。透過率に関しては、米国特許第6,248,483B1号に詳細に記載されている。
【0073】
本発明における支持体は乳剤層および/または裏面にアンチハレーション層を塗設してもよい。このアンチハレーション層に含有して用いられる光吸収物質としては、各種の無機物質、染料がある。無機物質としては、例えばコロイド状の金属を用いることができ、好ましくはコロイド銀、コロイドマンガンなどであり、更に好ましくはコロイド銀である。染料としては、その使用目的に応じた良好な分光吸収特性を有すること、写真処理液中で完全に脱色されること、写真乳剤に対してカブリ、減感などの悪影響を与えないことなどの諸条件を満足しなければならない。この様な染料には、オキソノール染料、ヘミオキソノール染料、スチリル染料、メロシアニン染料、シアニン染料およびアゾ染料があげられるが、なかでもオキソノール染料、ヘミオキソノール染料およびメロシアニン染料が有用である。
【0074】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料には、画像のシャープネス等を向上させる目的で親水性コロイド層に、欧州特許EP0,337,490A2号の第27〜76頁に記載の、処理により脱色可能な染料(なかでもオキソノール系染料)を含有させるのが好ましい。
【0075】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料には、イラジエーションやハレーションを防止したり、セーフライト安全性等を向上させる目的で親水性コロイド層に、欧州特許EP0337490A2号明細書の第27〜76頁に記載の、処理により脱色可能な染料(中でもオキソノール染料、シアニン染料)を添加することが好ましい。さらに、欧州特許EP0819977号明細書に記載の染料も本発明に好ましく添加される。これらの水溶性染料の中には使用量を増やすと色分離やセーフライト安全性を悪化するものもある。色分離を悪化させないで使用できる染料としては、特開平5−127324号、同5−127325号、同5−216185号に記載された水溶性染料が好ましい。
【0076】
本発明の感光材料の処理には、特開平2−207250号の第26頁右下欄1行目〜34頁右上欄9行目、及び特開平4−97355号の第5頁左上欄17行目〜18頁右下欄20行目に記載の処理素材や処理方法が好ましく適用できる。また、この現像液に使用する保恒剤としては、前記の表に掲示した特許に記載の化合物が好ましく用いられる。
【0077】
処理剤のケミカルとしては、富士写真フイルム社製CP45X、CP47L、CP48Sイーストマンコダック社製RA−100、RA−4等が適用できる。
【0078】
発色現像液には公知もしくは市販のジアミノスチルベン系蛍光増白剤を用いることができる。公知のビストリアジニルジアミノスチルベンジスルホン酸化合物としては例えば特開平6−329936、特開平7−140625号または特開平10−104809号に記載の化合物が好ましい。市販の化合物は、例えば「染色ノート」第19版(色染社)P.165〜P.168に記載されており、ここに記載されている製品のなかでも Blankophor UWliq、Blankophor REUまたはHakkol BRK が好ましい。また次に示す化合物も好ましく用いることができる。
【0079】
【化1】
Figure 2004157478
【0080】
本発明においては、特に漂白定着液にBrやIなどハロゲン化物イオンを含有することが、現像液から漂白定着液に入る際に生じる画像ムラを防止し、定着能に優れ未発色部の白地の硫化銀等による汚染を防止する点から好ましい。本発明の漂白定着液においては残存銀による着色汚染を防止し本発明の目的を達成する目的から、臭化物イオン濃度が0〜1.0モル/L、より好ましくは0.01〜0.3モル/Lであることが好ましい。また同様の目的から沃化物イオン濃度を含有してもよく、好ましい沃化物イオン濃度は0〜0.1モル/Lであり、より好ましくは0.001〜0.01モル/Lである。
【0081】
本発明の感光材料を露光後、現像する方法としては、従来のアルカリ剤と現像主薬を含む現像液で現像する方法、現像主薬を感光材料に内蔵し、現像主薬を含まないアルカリ液などのアクチベーター液で現像する方法などの湿式方式のほか、処理液を用いない熱現像方式などを用いることができる。特に、アクチベーター方法は、現像主薬を処理液に含まないため、処理液の管理や取扱いが容易であり、また廃液処理時の負荷が少なく環境保全上の点からも好ましい方法である。
アクチベーター方法において、感光材料中に内蔵される現像主薬又はその前駆体としては、例えば、特開平8−234388号、同9−152686号、同9−152693号、同9−211814号、同9−160193号に記載されたヒドラジン型化合物が好ましい。
【0082】
また、感光材料の塗布銀量を低減し、過酸化水素を用いた画像増幅処理(補力処理)する現像方法も好ましく用いられる。特に、この方法をアクチベーター方法に用いることは好ましい。具体的には、特開平8−297354号、同9−152695号に記載された過酸化水素を含むアクチベーター液を用いた画像形成方法が好ましく用いられる。前記アクチベーター方法において、アクチベーター液で処理後、通常脱銀処理されるが、低銀量の感光材料を用いた画像増幅処理方法では、脱銀処理を省略し、水洗又は安定化処理といった簡易な方法を行うことができる。また、感光材料から画像情報をスキャナー等で読み取る方式では、撮影用感光材料などの様に高銀量の感光材料を用いた場合でも、脱銀処理を不要とする処理形態を採用することができる。
【0083】
本発明で用いられるアクチベーター液、脱銀液(漂白/定着液)、水洗及び安定化液の処理素材や処理方法は公知のものを用いることができる。好ましくは、リサーチ・ディスクロージャーItem 36544(1994年9月)第536頁〜第541頁、特開平8−234388号に記載されたものを用いることができる。
【0084】
【実施例】
以下に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0085】
[実施例1]
(本発明の青感層乳剤A−1、2の調整)
5.7質量%の脱イオンゼラチンを含む脱イオン蒸留水1.06リットルにNaClの10%溶液を46.3mlを加え、さらにHSO(1N)を46.4mlを添加し、さらに下記化合物(X)で示される化合物を0.012g添加した後に60℃にを液温度を調整したところで、高速攪拌を行いながら、直ちに硝酸銀0.1モルとNaCl0.1モルを10分間かけて反応容器中に添加した。引き続き、1.5モルの硝酸銀とNaCl溶液を60分間かけて初期添加速度に対し最終添加速度が、4倍になるように流量加速法で添加した。次に、0.2モル%の硝酸銀とNaCl溶液を一定添加速度で、6分間かけて添加した。このとき、NaCl溶液には、KIrCl(HO)を全銀量に対して5×10−7モルになる量添加して、アコ化イリジウムを粒子中にドープした。
さらに0.2モルの硝酸銀と0.18モルのNaCl並びに0.02モルのKBr溶液を6分間かけて添加した。このときハロゲン水溶液中に、全銀量に対して0.5×10−5モルに相当するKRu(CN)とKFe(CN)を各々溶解してハロゲン化銀粒子に添加した。
また、この最終段の粒子成長中に、全銀量に対し、0.001モルに相当するKI水溶液を反応容器中に1分間かけて添加した。添加開始の位置は、全粒子形成の93%が終了した時点から開始した。
その後40℃にて下記化合物(Y)の沈降剤を加え、pHを3.5付近に調整して脱塩、水洗を行った。
【0086】
【化2】
Figure 2004157478
【0087】
脱塩水洗後の乳剤に、脱イオンゼラチンとNaCl水溶液、並びにNaOH水溶液を加え、50℃に昇温してpAg7.6、pH5.6に調整した。
このようにして、塩化銀98.9モル% 臭化銀1モル% 沃化銀0.1モル%のハロゲン組成からなる、平均辺長0.70μm、辺長の変動係数8%のハロゲン化銀立方体粒子を含むゼラチン得た。
【0088】
上記乳剤粒子を60℃に維持して、分光増感色素−1および2をそれぞれ2.5×10−4モル/Agモルと2.0×10−4モル/Agモル添加した。さらに、チオスルフォン酸化合物−1を1×10−5モル/Agモル添加し、平均粒子径0.05μmの臭化銀90モル% 塩化銀10モル%で六塩化イリジウムをドープした微粒子乳剤を添加して、10分間熟成した。さらに平均粒子径0.05μmの臭化銀40モル% 塩化銀60モル%の微粒子を添加し10分間熟成した。微粒子は溶解し、これによりホストの立方体粒子の臭化銀含有率は、1.3モルに増加した。また六塩化イリジウムは、1×10−7モル/Agモルドープされた。
【0089】
引き続き、チオ硫酸ナトリウム 1×10−5モル/Agモルと金増感剤−1を2×10−5モルを添加した。そして直ちに、60℃に昇温し、引き続き40分間熟成し、その後50℃に降温した。降温後直ちに、メルカプト化合物−1、2をそれぞれ6×10−4モル/Agモルになるように添加した。この後10分間の熟成後、KBr水溶液を銀に対して、0.008モルになるように添加し、10分間の熟成後、降温して収納した。
この様にして、青感層用高感側乳剤A−1を作成した。
上記乳剤調整方法と粒子形成中の温度以外は、全く同様にして、平均辺長0.55μm、辺長の変動係数9%の立方体粒子を形成した。粒子形成中の温度は55℃であった。
分光増感ならびに化学増感は、比表面積を合わせる補正(辺長比0.7/0.55=1.27倍)を行なった量で実施し、青感層用低感側乳剤A―2を作成した。
【0090】
【化3】
Figure 2004157478
【0091】
(比較用青感層乳剤B−1、2の調整)
乳剤A−1と調整条件を下記のごとく変更した以外は、乳剤B−1、2の調整条件と同様にして比較青感層用高感側乳剤B−1、比較青感層用低感側乳剤B−2を作製した。
乳剤A−1の乳剤調整条件の中で、粒子形成時の温度を68℃とすることで、粒子サイズを平均辺長0.85μmにした。辺長の変動係数は12%であった。また、粒子形成最終段階のヨウドイオン導入を止めClイオンに置き換えた。従って粒子形成時終了時のハロゲン組成は、塩化銀99モル% 臭化銀1モル%である。分光増感色素−1および分光増感色素−2の添加量は、乳剤A−1の調整時の1.25倍にした。チオスルフォン酸−1は等量使用した。
【0092】
さらに化学増感は、以下のように変更した。平均粒子径0.05μmの臭化銀90モル% 塩化銀10モル%で六塩化イリジウムをドープした微粒子乳剤を添加して、10分間熟成した。さらに平均粒子径0.05μmの臭化銀40モル%塩化銀60モル%の微粒子を添加し、10分間熟成した。微粒子は溶解し、これによりホストの立方体粒子の臭化銀含有率は、2.0モル%に増加した。また六塩化イリジウムは、2×10−7モル/Agモルドープされた。
【0093】
引き続き、チオ硫酸ナトリウム1×10−5モル/Agモルを添加した。そして直ちに、55℃に昇温し、引き続き70分間熟成し、その後50℃に降温した。金増感剤は添加しなかった。降温後直ちに、メルカプト化合物−1、2をそれぞれ4×10−4モル/Agモルになるように添加した。この後、10分間の熟成後、KBr水溶液を銀に対して0.010モルになるように添加し、10分間の熟成後、降温して収納した。
このようにして、比較青感層用高感側乳剤B−1を作製した。
【0094】
乳剤B−1と同様にして、ただし、粒子形成時の温度を下げることで、平均辺長0.68μm、辺長の変動係数12%の粒子を形成した。分光増感、化学増感剤は、表面積の比率を考慮して乳剤B−1に対し、1.25倍とし、比較青感層用低感側乳剤B―2を作成した。
【0095】
(本発明の緑感層用乳剤C−1、2の調整)
乳剤A−1と粒子形成時の温度を下げ並びに増感色素の種類を下記のごとく変更する以外は、乳剤A−1、2の調整条件と同様にして緑感層乳剤用高感側乳剤C−1、緑感層用低感側乳剤C−2を作成した。
粒子サイズは高感側乳剤C−1が平均辺長0.40μm、低感側乳剤C−2が平均辺長0.30μmであり、その変動係数は、いずれも8%であった。
【0096】
【化4】
Figure 2004157478
【0097】
増感色素Dをハロゲン化銀1モル当り、大サイズ乳剤(高感側乳剤C−1)に対しては3.0×10−4モル、小サイズ乳剤(低感側乳剤C−2)に対しては3.6×10−4モル、また、増感色素Eをハロゲン化銀1モル当り、大サイズ乳剤に対しては4.0×10−5モル、小サイズ乳剤に対しては7.0×10−5モル添加した。
【0098】
(比較緑感層用乳剤D−1、2の調整)
乳剤B−1と粒子形成時の温度を下げ、並びに増感色素の種類を変更した以外は、乳剤B−1、2の調整条件と同様にして比較緑感層用高感側乳剤D−1、比較緑感層用低感側乳剤D−2を作製した。
粒子サイズは高感側乳剤D−1が平均辺長0.50μm、低感側乳剤D−2が平均辺長0.40μmであり、その変動係数はいずれも10%であった。
また、増感色素Dをハロゲン化銀1モル当り、大サイズ乳剤(高感側乳剤D−1)に対しては4.0×10−4モル、小サイズ乳剤(低感側乳剤D−2)に対しては4.5×10−4モル、また、増感色素Eをハロゲン化銀1モル当り、大サイズ乳剤に対しては5.0×10−5モル、小サイズ乳剤に対しては8.8×10−5モル添加した。
【0099】
(本発明の赤感層用乳剤E−1、2の調整)
乳剤A−1と粒子形成時の温度を下げ並びに増感色素の種類を下記のごとく変える以外は、乳剤A−1、2の調整条件と同様にして赤感層用高感側乳剤E−1、赤感層用低感側乳剤E−2を作成した。
粒子サイズは高感側乳剤E−1が、平均辺長0.38μm、低感側乳剤E−2が、平均辺長0.32μmであり、辺長の変動係数は、各々9%と10%であった。
【0100】
【化5】
Figure 2004157478
【0101】
増感色素GおよびHをそれぞれ、ハロゲン化銀1モル当り、大サイズ乳剤(高感側乳剤E−1)に対しては8.0×10−5モル、小サイズ乳剤(低感側乳剤E−2)に対しては10.7×10−5モル添加した。
さらに、以下の化合物Iを赤感性乳剤層にハロゲン化銀1モル当たり3.0×10−3モル添加した。
【0102】
【化6】
Figure 2004157478
【0103】
(比較赤感層用乳剤F−1、2の調整)
乳剤B−1と粒子形成時の温度を下げ、並びに増感色素の種類を変更した以外は、乳剤B−1、2の調整条件と同様にして比較赤感層用高感側乳剤F−1、比較赤感層用低感側乳剤F−2を作製した。
粒子サイズは高感側乳剤F−1が、平均辺長0.57μm、低感側乳剤F−2が、平均辺長0.43μmであり、辺長の変動係数は、各々9%と10%であった。
また、増感色素GおよびHをそれぞれ、ハロゲン化銀1モル当り、大サイズ乳剤(高感側乳剤F−1)に対しては1.0×10−4モル、小サイズ乳剤(低感側乳剤F−2)に対しては1.34×10−4モル添加した。さらに、化合物Iを赤感性乳剤層にハロゲン化銀1モル当たり3.0×10−3モル添加した。
【0104】
(本発明の青感層用乳剤G−1、2の調整)
乳剤A−1、2とは、それぞれ硝酸銀の添加が60%の時点から80%の時点にかけて、KRhBrの水溶液を出来上がりのハロゲン化銀1モル当たりRh量が2.7×10−9になる量を添加したことのみ異なる乳剤を調整し、これらをそれぞれ青感層用高感側乳剤G−1、青感層用低感側乳剤G−2とした。粒子の平均辺長および辺長の変動係数は対応する乳剤A−1、2と同じであった。
【0105】
(本発明の緑感層用乳剤H−1、2の調整)
乳剤C−1、2とは、それぞれ硝酸銀の添加が60%の時点から80%の時点にかけて、KRhBrの水溶液を出来上がりのハロゲン化銀1モル当たりRh量が4.7×10−9になる量を添加したことのみ異なる乳剤を調整し、これらをそれぞれ緑感層用高感側乳剤H−1、緑感層用低感側乳剤H−2とした。粒子の平均辺長および辺長の変動係数は対応する乳剤C−1、2と同じであった。
【0106】
(本発明の赤感層用乳剤I−1、2の調整)
乳剤E−1、2とは、それぞれ硝酸銀の添加が60%の時点から80%の時点にかけて、KRhBrの水溶液を出来上がりのハロゲン化銀1モル当たりRh量が6.7×10−9になる量を添加したことのみ異なる乳剤を調整し、これらをそれぞれ赤感層用高感側乳剤I−1、赤感層用低感側乳剤I−2とした。粒子の平均辺長および辺長の変動係数は対応する乳剤E−1、2と同じであった。
【0107】
第一層塗布液調製
イエローカプラー(ExY)61.9g、色像安定剤(Cpd−1)7g、色像安定剤(Cpd−2)4g、色像安定剤(Cpd−3)7g、色像安定剤(Cpd−8)2gを溶媒(Solv−1)21g及び酢酸エチル80mlに溶解し、この液を4gのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含む23.5質量%ゼラチン水溶液294g中に高速攪拌乳化機(ディゾルバー)で乳化分散し、水を加えて900gの乳化分散物Aを調製した。
一方、上記乳化分散物Aと前記乳剤A−1、A−2を混合溶解し、後記組成となるように第一層塗布液を調製した。乳剤塗布量は、銀量換算塗布量を示す。
【0108】
第二層〜第七層用の塗布液も第一層塗布液と同様の方法で調製した。各層のゼラチン硬化剤としては、1−オキシ−3,5−ジクロロ−s−トリアジンナトリウム塩(H−1)、(H−2)、(H−3)を用いた。また、各層にAb−1、Ab−2、Ab−3及びAb−4をそれぞれ全量が15.0mg/m、60.0mg/m、5.0mg/m及び10.0mg/mとなるように添加した。
【0109】
【化7】
Figure 2004157478
【0110】
【化8】
Figure 2004157478
【0111】
また、1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを、第二層、第四層、第六層および第七層に、それぞれ0.2mg/m、0.2mg/m、0.6mg/m、0.1mg/mとなるように添加した。
また、青感性乳剤層および緑感性乳剤層に対し、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンを、それぞれハロゲン化銀1モル当たり、1×10−4モル、2×10−4モル添加した。
また、赤感性乳剤層にメタクリル酸とアクリル酸ブチルの共重合体ラテックス(質量比1:1、平均分子量200000〜400000)を0.05g/mを添加した。
また第二層、第四層および第六層にカテコール−3,5−ジスルホン酸二ナトリウムをそれぞれ6mg/m、6mg/m、18mg/mとなるように添加した。
また、イラジエーション防止のために、以下の染料(カッコ内は塗布量を表す)を添加した。
【0112】
【化9】
Figure 2004157478
【0113】
(層構成)
以下に、各層の構成を示す。数字は塗布量(g/m)を表す。ハロゲン化銀乳剤は、銀換算塗布量を表す。
支持体
支持体として、厚さ180μmの透明なポリエチレンテレフタレートの乳剤と反対側に、ゼラチン6.2g/m、下記染料−1、染料−2および染料−3をそれぞれ0.07g/m、0.04g/m、0.095g/mおよび紫外線吸収剤(UV−B)を0.31g/m、界面活性剤(Cpd−13)を0.03g/m塗設したものを用いた。
【0114】
【化10】
Figure 2004157478
【0115】
Figure 2004157478
【0116】
Figure 2004157478
【0117】
Figure 2004157478
【0118】
Figure 2004157478
【0119】
Figure 2004157478
【0120】
Figure 2004157478
【0121】
【化11】
Figure 2004157478
【0122】
【化12】
Figure 2004157478
【0123】
【化13】
Figure 2004157478
【0124】
【化14】
Figure 2004157478
【0125】
【化15】
Figure 2004157478
【0126】
【化16】
Figure 2004157478
【0127】
【化17】
Figure 2004157478
【0128】
【化18】
Figure 2004157478
【0129】
【化19】
Figure 2004157478
【0130】
【化20】
Figure 2004157478
【0131】
現像処理工程は、富士写真フイルム(株)製カラーペーパー用現像処理プロセスCP−45Xを使用し、下記の条件で行なった。
富士カラーペーパー用現像処理プロセスCP−45X
処理工程 処理温度 処理時間 補充量
発色現像 35±0.3℃ 110秒 370mL/m
漂白定着 33〜37℃ 110秒 494mL/m
水洗 24〜34℃ 220秒 3〜10L/m
乾燥 50〜70℃ 3分
【0132】
以上のようにして試料1011を作成した。続いて、試料1011に対して、乳剤および乳剤含有層の塗布量を表2のように変更した各試料を作成した。
【0133】
【表2】
Figure 2004157478
【0134】
露光
このようにして作成した試料をキセノンフラッシュ光源(発光時間10−4秒に調整)により露光した後、露光後5分で前記発色現像処理を行なった。露光時には得られる画像が最低濃度から最高濃度の範囲を含むように濃度補正フィルター(CCフィルター)を必要に応じて使用した。また、同じ露光量でイエロー、マゼンタ及びシアンのステータスA透過濃度が1.0になるようにCCフィルターを必要に応じて使用して調整した。
次に、上記条件と同じ露光条件で露光した試料を露光後30分で発色現像処理を行なった。これらの試料を、同じ露光量の位置が隣り合わせになるように貼り合わせ、高濃度部の黒の締りと貼り合わせ部のつながりの良さについて10名の官能評価を行い、5段階(5:良、1:悪、とした5段階で、4以上が許容内)の評価を行なった。この結果を表3に示す。
【0135】
【表3】
Figure 2004157478
【0136】
表3より明らかなように、本発明の試料は比較試料と比較し、いずれも黒の締り及び接合適性で顕著に優れ、これらの両方の特性を満足させることができることが明らかである。
【0137】
[実施例2]
実施例で使用した試料1001、1011、1021に対し、下記の露光を行なった。
Durst社製のレーザー露光機Lambda76を用いて走査露光を行なった。ユーザーが予め設定する最大透過濃度を表4のように設定し、21段のグレーパッチを含むキャリブレーション用画像を用いてキャリブレーションを行なった。表4に示した回数のキャリブレーションを繰返すことにより、21段の各々のグレーパッチにおいて露光装置が示す目標濃度に収束した。キャリブレーションを行なう際は、露光後5分で発色現像処理を開始するように条件を揃えた。
【0138】
【表4】
Figure 2004157478
【0139】
キャリブレーションが終了した後、その露光条件で最高濃度と最低濃度を含む画像評価用画像を露光後、5分で発色現像処理を開始した試料の最高濃度を測定し、さらに高濃度部を用いた画像の黒の締りに関して、10名の官能評価を行い、5段階(5:良、1:悪、とした5段階で、4以上が許容内)の評価を行なった。また、同じ露光条件で露光後30分で発色現像を開始した試料を作成し、それと上記露光後5分で処理した試料とを、同じ露光量のグレーパッチ同士が隣り合わせになるように貼り合わせ、貼り合わせ部のつながりの良さについても同様に10名の官能評価を行い、5段階(5:良、1:悪、とした5段階で、4以上が許容内)の評価を行なった。この結果を表5に示す。
【0140】
【表5】
Figure 2004157478
【0141】
表5より明らかなように、本発明の感光材料1011、1021を使用した試料2004〜2007は、いずれも黒の締り及び接合適性で顕著に優れていることがわかる。これに対し、比較感光材料1001を使用した試料2001〜2003においては、いずれも接合適性に不十分であり、特に試料2001、2002においては、予め透過最高濃度を2.80以上に設定してキャリブレーションを行なっても、接合適性に不十分であることがわかる。
【0142】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、広告展示用プリントに好適なハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供することができる。特に高い画像濃度による鮮やかな画像が得られ、かつ広告展示用プリントに重要な画像の貼り合わせにおいて優れた品質のハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供することができる。

Claims (3)

  1. 透明支持体上にイエロー色画像形成層、マゼンタ色画像形成層、シアン色画像形成層を少なくとも一層ずつ有するハロゲン化銀カラー写真感光材料であって、露光時間10−4秒の面露光を行った際、各層の透過最高濃度がいずれも3.0以上であり、かつ該感光材料に対して露光後5分で発色現像を開始して処理した際に濃度1.0を与える露光量において該感光材料を露光後30分で現像を開始して処理した時に透過濃度が0.95以上1.05以下であることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
  2. 前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料のハロゲン化銀乳剤層の少なくとも一層中に、下記一般式(I)で表される金属錯体から選択される少なくとも一種を含有する塩化銀含有率95モル%以上の塩化銀乳剤粒子を含有することを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
    一般式(I)
    [MX (6−n)
    一般式(I)中、MはCr、Mo、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、PdまたはPtを表し、Xはハロゲンイオンを表し、LはXとは異なる任意の配位子を表す。nは3、4、5または6を表し、mは4−、3−、2−、1−、0または1+を表す。
  3. 光ビームによる走査露光後、発色現像処理を行なう画像形成方法であって、該走査露光に用いる装置が、キャリブレーション用画像を出力し、それを濃度測定することによって予め設定した透過最高濃度及びその濃度に至るグレー階調の露光条件をキャリブレーションする機能が付随した装置であり、かつ予め設定した透過最高濃度が2.8以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料を用いた画像形成方法。
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