JP2004026564A - 高炉樋用不定形耐火物 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温から高温に至るまでの全温度領域にわたって強度が大きく、耐用性に優れた施工体を形成することが可能な高炉樋用不定形耐火物を提供する。
【解決手段】高炉樋用不定形耐火物に、結晶質アルミナ系繊維を0.05〜3重量%の割合で添加する。
結晶質アルミナ系繊維として、直径が1μm以上、長さが10mm以上の要件を満たすものを用いる。
結晶質アルミナ系繊維として、Al2O3を65〜99重量%、SiO2を1〜35重量%の割合で含有するものを用いる。
耐火骨材として、アルミナ−SiC−C系やアルミナ−スピネル−SiC−C系などを用いる。
【選択図】 なし
【解決手段】高炉樋用不定形耐火物に、結晶質アルミナ系繊維を0.05〜3重量%の割合で添加する。
結晶質アルミナ系繊維として、直径が1μm以上、長さが10mm以上の要件を満たすものを用いる。
結晶質アルミナ系繊維として、Al2O3を65〜99重量%、SiO2を1〜35重量%の割合で含有するものを用いる。
耐火骨材として、アルミナ−SiC−C系やアルミナ−スピネル−SiC−C系などを用いる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高炉樋の内張りに使用される不定形耐火物に関し、詳しくは、主樋、溶銑樋、溶滓樋、傾注樋などの内張りに使用される高炉樋用不定形耐火物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
主樋の孔前部、溶銑樋の敷部、壁部、あるいは傾注樋の敷部などにおいては、銑鉄の流れや衝撃による機械的な摩耗が大きいため、これらの部位に使用される不定形耐火物は高強度を持つものであることが望ましい。
ところで、不定形耐火物の強度の向上をさせる方法としては、通常、
(1)金属粉末の添加
(2)ミクロシリカの添加
(3)セメントの増量
(4)ステンレスファイバーのような繊維材料の添加
などの方法が知られている。
【0003】
上記(1)の金属粉末を添加する方法においては、例えばアルミナ−SiC−C系やアルミナ−スピネル−SiC−C系の不定形耐火物に金属シリコンを添加した場合、金属シリコンが1200℃付近で気化し、系中のカーボンと反応してSiCウィスカーを生成することにより、強度の向上を図ることが可能になる。しかし、SiCウィスカーは溶銑に溶けやすく、耐溶銑性に劣るという問題点がある。また、酸化雰囲気では、SiO2を生成し、クリストバライト化による耐食性の低下や表層剥離の原因になるという問題点があり、金属シリコンの使用量には厳しい制約がある。
【0004】
また、上記(2)のミクロシリカを添加する方法の場合、超微粉という特性を有するミクロシリカが焼結を促進し、低温からの強度発現に効果があり、施工体の強度を高めるという特徴を有しているが、高温領域では耐食性の低下や表層剥離を生じるという問題点がある。また、ミクロシリカは、適正量を超えると、過焼結による剥離や亀裂あるいは耐食性の低下などを引き起こすという技術的な問題点がある。
【0005】
また、上記(3)のセメントを増量する方法の場合、セメント中の結晶水が飛んで、高温での焼結が完了するまでの間の中間強度が極端に低く、構造スポーリングが起こりやすいという問題点がある。また、セメントの添加は耐食性を低下させるという問題点がある。
【0006】
また、上記(4)のステンレスファイバーのような繊維材料を添加する方法の場合、ステンレスファイバーが繊維として耐火物微粉をつなぎとめ、亀裂や剥離の防止に有効であるが、1000℃以上の高温ではステンレスファイバー自体の強度低下が著しく、施工体の強度を向上させる効果が失われるという問題点がある。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するものであり、低温から高温に至るまでの全温度領域にわたって強度が大きく、耐用性に優れた施工体を形成することが可能な高炉樋用不定形耐火物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明(請求項1)の高炉樋用不定形耐火物は、
流し込み工法により施行される高炉樋用不定形耐火物であって、
結晶質アルミナ系繊維が0.05〜3重量%の割合で添加されていること
を特徴としている。
【0009】
結晶質アルミナ系繊維を0.05〜3重量%の割合で添加することにより、施工体(耐火物)の強度の向上を図ることが可能になるとともに、マトリックスの性能を改善することが可能になる。
一般的には,耐火物に一定の長さ及び量の耐火物繊維を添加することにより、施工体の強度の向上や、マトリックスの性能の改善などを図ることが可能になるが、繊維材料としてステンレスファイバーなどの金属繊維を添加するようにした場合、高温では金属繊維自体の強度の低下が著しく、耐火物の強度向上の効果も失われる。しかし、本発明の高炉樋用不定形耐火物において耐火物繊維として用いられている結晶質アルミナ系繊維は、融点が高く、耐熱温度が1600℃以上と高いことから、高温でも耐火物の強度を高く維持することが可能になる。
【0010】
さらに、結晶質アルミナ系繊維は、高い温度領域では、シリカと反応し、結晶核として、ムライト結晶の成長を助長する性質があることから、シリカの存在下に結晶質アルミナ系繊維を添加した場合に、マトリックスとの接着性が良好で、特に高温での強度の大きい施工体を形成することが可能になり有意義である。
【0011】
なお、本発明において、好ましい耐火骨材としては、アルミナ−SiC−C系耐火骨材、アルミナ−スピネル−SiC−C系耐火骨材などが例示される。これらの耐火骨材を用いることにより、高温での強度の大きい施工体を確実に形成することが可能になる。
【0012】
また、請求項2の高炉樋用不定形耐火物は、前記結晶質アルミナ系繊維として、直径が1μm以上、長さが10mm以上の要件を満たすものが用いられていることを特徴としている。
【0013】
結晶質アルミナ系繊維として、直径が1μm以上、長さが10mm以上の要件を満たすものを用いることにより、結晶質アルミナ系繊維自体の強度や分散性を確保し、かつ、繊維とマトリックスの接着面積を確保して、施工体の強度を補強する効果を向上させることが可能になる。
【0014】
また、請求項3の高炉樋用不定形耐火物は、前記結晶質アルミナ系繊維として、Al2O3を65〜99重量%、SiO2を1〜35重量%の割合で含有するものが用いられていることを特徴としている。
【0015】
結晶質アルミナ系繊維として、Al2O3を65〜99重量%、SiO2を1〜35重量%の割合で含有するものを用いることにより、さらに確実に高温高強度の施工体を形成することが可能になる。
【0016】
【発明の具体的な構成】
本発明は高炉樋用不定形耐火物においては、結晶質アルミナ系繊維が0.05〜3重量%の割合で添加されている。このアルミナ系繊維には結晶質アルミナ系繊維と、非結晶質アルミナ系繊維があり、後者の非結晶質アルミナ系繊維は、使用温度領域が1100〜1300℃であることから、高温領域において強度補強の効果を維持することは困難である。
しかし、結晶質アルミナ系繊維を用いた場合には、高温領域において施工体の強度を高く保つことが可能になる。また、結晶質アルミナ系繊維は結晶核として二次ムライト結晶の成長を助長する。その結果、マトリックスとの接着性が良好となり、高温での強度の大きい施工体を得ることが可能になる。
なお、結晶質アルミナ系繊維の添加量は、0.05〜3重量%とすることが好ましいが、これは、結晶質アルミナ系繊維の添加量が3重量%を超えると流動性が低下し、鋳込み不良などにより均一な施工体が得られなくなり、また、結晶質アルミナ系繊維の添加量が0.05重量%未満になると、結晶質アルミナ系繊維の添加効果が不十分になることによる。
【0017】
また、本発明の高炉樋用不定形耐火物においては、結晶質アルミナ系繊維として、直径が1μm以上で、長さが10mm以上のものを用いることが望ましい。これは、結晶質アルミナ系繊維の直径が1μm未満になると、施工体内で均一に分散しにくくなるばかりでなく、繊維自体が切れやすくなって、施工体の強度を補強する効果が不十分になり、また、結晶質アルミナ系繊維の長さが10mm以下になると、繊維とマトリックスの接着面積が小さくなり、施工体の強度を補強する効果が小さくなることによる。なお、結晶質アルミナ系繊維の直径及び長さには上限はないが、通常は、直径が500μm以下、長さが200mm以下のものを用いることが望ましい。これは、直径が500μmを超えると繊維が太くて、単位容積あたりの分散が少なくなり、また、長さが200mmを超えると繊維自体が絡み合い、施工体内で均一に分散しにくくなることによる。
【0018】
また、結晶質アルミナ系繊維としては、Al2O3を65〜99重量%、SiO2を1〜35重量%の割合で含有するものを用いることが望ましい。
これは、Al2O3が65〜99重量%、SiO2が1〜35重量%の範囲外の組成の結晶質アルミナ系繊維を用いた場合(例えば、Al2O3の割合が65重量%未満で、SiO2の割合が35重量%以上のものを用いた場合)、アルミナ系繊維自体の耐火度が低くなり、施工体の強度を補強する効果を十分に発揮する温度領域が低くなることによる。
【0019】
上述の要件を満たす結晶質アルミナ系繊維を0.05〜3重量%の割合で使用した高炉樋用不定形耐火物を用いることにより、中、高温領域における強度が大きく、耐食性に優れた施工体を形成することが可能になる。
【0020】
【実施形態】
以下、本発明の実施の形態を示して、その特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【0021】
[実施形態1]
表1に示すような割合で、アルミナ、スピネル、アルミナ微粉、SiC、アルミナセメント、カーボン、金属シリコン、金属アルミニウム、分散剤、及び結晶質アルミナ系繊維を配合して本発明の実施例にかかる高炉樋用不定形耐火物(実施例1,2,3の試料)を作製した。また、比較のため、結晶質アルミナ系繊維を本発明の範囲外の割合で含む比較例1の試料、結晶質アルミナ系繊維を含まない比較例2の試料、非結晶質アルミナ系繊維を含む比較例3の試料を作製した。
【0022】
【表1】
【0023】
そして、これらの実施例1,2,3及び比較例1,2,3の高炉樋用不定形耐火物(試料)について、流動性の良否を調べるため、各試料に所定量の水を添加して、常温で3分間混練した直後のタッピングフロー値を測定した。
また、実施例1,2,3及び比較例1,2,3の試料について、1400℃で3時間還元焼成後の気孔率、常温曲げ強度、1400℃、N2中の熱間曲げ強度を調べた。
その結果を表1に併せて示す。
【0024】
表1に示すように、比較例1(従来例)のように、結晶質アルミナ系繊維の添加量が3重量%を超えると(結晶質アルミナ系繊維の添加量=5重量%)、混練時に必要な添加水量が多くなるとともに、流動性が著しく低下し、鋳込み不良などにより、均一な施工体を得ることができなくなる。
【0025】
一方、比較例2のように、結晶質アルミナ系繊維を添加しない場合、十分な施工体強度を得ることができない。
【0026】
また、非結晶質アルミナ系繊維(Al2O3:65%、SiO2:35%)を用いた場合、結晶質アルミナ系繊維と同じ量(実施例2と同量の1重量%)を添加した場合にも、熱間曲げ強度は向上しない。
これに対して、結晶質アルミナ系繊維が0.05〜3重量%の割合で添加した実施例1,2,3の試料の場合、気孔率、常温曲げ強度、熱間曲げ強度のいずれについても、良好であるか、実用するのに問題のない特性が得られることがわかる。
【0027】
[実施形態2]
表2に示すように、アルミナ、スピネル、アルミナ微粉、SiC、アルミナセメント、カーボン、金属シリコン、金属アルミニウム、及び分散剤の配合割合を一定とし、
(a)繊維材料として結晶質アルミナ系繊維を用いた試料(表1の実施例2と同じ試料)、
(b)結晶質アルミナ系繊維を添加しない試料(表1の比較例2の試料)、
(c)非結晶質アルミナ系繊維を用いた試料(表1の比較例3の試料)、
(d)アルミナ系繊維を添加せずにステンレスファイバーを添加した比較例4の試料、
(e)アルミナ系繊維を添加せずにアルミナセメントを増量した比較例5の試料、
(f)アルミナ系繊維を添加せずにミクロシリカを添加した比較例6の試料
を用意した。
【0028】
【表2】
【0029】
そして、これらの実施例2及び比較例2,3,4,5,6の各試料について、高周波内張浸食法により溶損指数(耐食性)を調べた。その結果を表2に併せて示す。なお、溶損指数は、高周波誘導炉を用い、侵食剤として高炉スラグを使用して、1580℃で5.0時間の耐食性試験を行って測定したものであり、その値は、実施例2の試料の溶損量を100とした場合の相対値である。
【0030】
また、これらの実施例2及び比較例2,3,4,5,6の各試料に、所定量の水を添加して、混練した後、加熱昇温して、施工体の曲げ強度と温度との関係を調べた。その結果を図1に示す。
【0031】
表2より、比較例2及び3では、実施例2よりもわずかではあるが、溶損指数が大きくなっており、実施例2よりも耐食性がいくらか劣っていることがわかる。また、比較例4,5,6については、実施例2に比べて溶損指数が大きく、耐食性が大幅に劣っていることがわかる。
【0032】
また、図1より、特に繊維材料やセメントなどの添加剤を添加していない比較例2の試料の場合、低温から高温まで、施工体の強度が他の条件のものと比べて低いことがわかる。
【0033】
また、非結晶質アルミナ系繊維を用いた比較例3の試料、ステンレスファイバーを添加した比較例4の試料については、1200℃程度までは強度が向上したが、温度がそれ以上に上昇すると、強度向上の効果が低下する傾向が認められた。
【0034】
一方、アルミナセメントを増量した比較例5の試料、ミクロシリカを添加した比較例6の試料については、1400℃での強度は大きいが、溶損指数が実施例2の試料に比べて約2割程度大きくなっており、耐食性が劣ることから好ましくないことがわかる。また、アルミナセメントを増量した比較例5の試料の場合、高温での焼結が完了するまでの間の中間強度が低くなっていることがわかる。
【0035】
上記の結果より、本発明の範囲内で結晶質アルミナ系繊維を添加した高炉樋用不定形耐火物を用いることにより、耐食性を維持しつつ、高温における施工体の強度を向上させることが可能になることがわかる。
【0036】
なお、本発明の高炉樋用不定形耐火物において、耐火物原料の種類は上記実施形態に限定されるものではなく、耐火物原料として一般に高炉樋用不定形耐火物に用いられる、アルミナ、スピネル、アルミナ微粉、SiC、アルミナセメント、カーボン、金属シリコン、金属アルミニウム、分散剤などを適宜配合して用いることが可能である。
【0037】
本発明は、さらにその他の点において上記実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0038】
【発明の効果】
上述のように、本発明の高炉樋用不定形耐火物は、結晶質アルミナ系繊維を0.05〜3重量%の割合で添加しているので、耐食性を維持しつつ、高温における施工体の強度を向上させることができる。その結果、高炉樋の寿命を向上させて通銑量を増大させることが可能になり、樋原単価の低減を図ることができる。
【0039】
また、請求項2の高炉樋用不定形耐火物のように、結晶質アルミナ系繊維として、直径が1μm以上、長さが10mm以上の要件を満たすものを用いることにより、結晶質アルミナ系繊維自体の強度や分散性を確保し、かつ、繊維とマトリックスの接着面積を十分に確保して、施工体の強度補強の効果を向上させることが可能になる。
【0040】
また、請求項3の高炉樋用不定形耐火物のように、結晶質アルミナ系繊維として、Al2O3を65〜99重量%、SiO2を1〜35重量%の割合で含有するものを用いた場合、さらに確実に、耐食性を維持しつつ、高温における施工体の強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例及び比較例にかかる高炉樋用不定形耐火物(試料)の施工体について調べた曲げ強度と温度との関係を示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、高炉樋の内張りに使用される不定形耐火物に関し、詳しくは、主樋、溶銑樋、溶滓樋、傾注樋などの内張りに使用される高炉樋用不定形耐火物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
主樋の孔前部、溶銑樋の敷部、壁部、あるいは傾注樋の敷部などにおいては、銑鉄の流れや衝撃による機械的な摩耗が大きいため、これらの部位に使用される不定形耐火物は高強度を持つものであることが望ましい。
ところで、不定形耐火物の強度の向上をさせる方法としては、通常、
(1)金属粉末の添加
(2)ミクロシリカの添加
(3)セメントの増量
(4)ステンレスファイバーのような繊維材料の添加
などの方法が知られている。
【0003】
上記(1)の金属粉末を添加する方法においては、例えばアルミナ−SiC−C系やアルミナ−スピネル−SiC−C系の不定形耐火物に金属シリコンを添加した場合、金属シリコンが1200℃付近で気化し、系中のカーボンと反応してSiCウィスカーを生成することにより、強度の向上を図ることが可能になる。しかし、SiCウィスカーは溶銑に溶けやすく、耐溶銑性に劣るという問題点がある。また、酸化雰囲気では、SiO2を生成し、クリストバライト化による耐食性の低下や表層剥離の原因になるという問題点があり、金属シリコンの使用量には厳しい制約がある。
【0004】
また、上記(2)のミクロシリカを添加する方法の場合、超微粉という特性を有するミクロシリカが焼結を促進し、低温からの強度発現に効果があり、施工体の強度を高めるという特徴を有しているが、高温領域では耐食性の低下や表層剥離を生じるという問題点がある。また、ミクロシリカは、適正量を超えると、過焼結による剥離や亀裂あるいは耐食性の低下などを引き起こすという技術的な問題点がある。
【0005】
また、上記(3)のセメントを増量する方法の場合、セメント中の結晶水が飛んで、高温での焼結が完了するまでの間の中間強度が極端に低く、構造スポーリングが起こりやすいという問題点がある。また、セメントの添加は耐食性を低下させるという問題点がある。
【0006】
また、上記(4)のステンレスファイバーのような繊維材料を添加する方法の場合、ステンレスファイバーが繊維として耐火物微粉をつなぎとめ、亀裂や剥離の防止に有効であるが、1000℃以上の高温ではステンレスファイバー自体の強度低下が著しく、施工体の強度を向上させる効果が失われるという問題点がある。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するものであり、低温から高温に至るまでの全温度領域にわたって強度が大きく、耐用性に優れた施工体を形成することが可能な高炉樋用不定形耐火物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明(請求項1)の高炉樋用不定形耐火物は、
流し込み工法により施行される高炉樋用不定形耐火物であって、
結晶質アルミナ系繊維が0.05〜3重量%の割合で添加されていること
を特徴としている。
【0009】
結晶質アルミナ系繊維を0.05〜3重量%の割合で添加することにより、施工体(耐火物)の強度の向上を図ることが可能になるとともに、マトリックスの性能を改善することが可能になる。
一般的には,耐火物に一定の長さ及び量の耐火物繊維を添加することにより、施工体の強度の向上や、マトリックスの性能の改善などを図ることが可能になるが、繊維材料としてステンレスファイバーなどの金属繊維を添加するようにした場合、高温では金属繊維自体の強度の低下が著しく、耐火物の強度向上の効果も失われる。しかし、本発明の高炉樋用不定形耐火物において耐火物繊維として用いられている結晶質アルミナ系繊維は、融点が高く、耐熱温度が1600℃以上と高いことから、高温でも耐火物の強度を高く維持することが可能になる。
【0010】
さらに、結晶質アルミナ系繊維は、高い温度領域では、シリカと反応し、結晶核として、ムライト結晶の成長を助長する性質があることから、シリカの存在下に結晶質アルミナ系繊維を添加した場合に、マトリックスとの接着性が良好で、特に高温での強度の大きい施工体を形成することが可能になり有意義である。
【0011】
なお、本発明において、好ましい耐火骨材としては、アルミナ−SiC−C系耐火骨材、アルミナ−スピネル−SiC−C系耐火骨材などが例示される。これらの耐火骨材を用いることにより、高温での強度の大きい施工体を確実に形成することが可能になる。
【0012】
また、請求項2の高炉樋用不定形耐火物は、前記結晶質アルミナ系繊維として、直径が1μm以上、長さが10mm以上の要件を満たすものが用いられていることを特徴としている。
【0013】
結晶質アルミナ系繊維として、直径が1μm以上、長さが10mm以上の要件を満たすものを用いることにより、結晶質アルミナ系繊維自体の強度や分散性を確保し、かつ、繊維とマトリックスの接着面積を確保して、施工体の強度を補強する効果を向上させることが可能になる。
【0014】
また、請求項3の高炉樋用不定形耐火物は、前記結晶質アルミナ系繊維として、Al2O3を65〜99重量%、SiO2を1〜35重量%の割合で含有するものが用いられていることを特徴としている。
【0015】
結晶質アルミナ系繊維として、Al2O3を65〜99重量%、SiO2を1〜35重量%の割合で含有するものを用いることにより、さらに確実に高温高強度の施工体を形成することが可能になる。
【0016】
【発明の具体的な構成】
本発明は高炉樋用不定形耐火物においては、結晶質アルミナ系繊維が0.05〜3重量%の割合で添加されている。このアルミナ系繊維には結晶質アルミナ系繊維と、非結晶質アルミナ系繊維があり、後者の非結晶質アルミナ系繊維は、使用温度領域が1100〜1300℃であることから、高温領域において強度補強の効果を維持することは困難である。
しかし、結晶質アルミナ系繊維を用いた場合には、高温領域において施工体の強度を高く保つことが可能になる。また、結晶質アルミナ系繊維は結晶核として二次ムライト結晶の成長を助長する。その結果、マトリックスとの接着性が良好となり、高温での強度の大きい施工体を得ることが可能になる。
なお、結晶質アルミナ系繊維の添加量は、0.05〜3重量%とすることが好ましいが、これは、結晶質アルミナ系繊維の添加量が3重量%を超えると流動性が低下し、鋳込み不良などにより均一な施工体が得られなくなり、また、結晶質アルミナ系繊維の添加量が0.05重量%未満になると、結晶質アルミナ系繊維の添加効果が不十分になることによる。
【0017】
また、本発明の高炉樋用不定形耐火物においては、結晶質アルミナ系繊維として、直径が1μm以上で、長さが10mm以上のものを用いることが望ましい。これは、結晶質アルミナ系繊維の直径が1μm未満になると、施工体内で均一に分散しにくくなるばかりでなく、繊維自体が切れやすくなって、施工体の強度を補強する効果が不十分になり、また、結晶質アルミナ系繊維の長さが10mm以下になると、繊維とマトリックスの接着面積が小さくなり、施工体の強度を補強する効果が小さくなることによる。なお、結晶質アルミナ系繊維の直径及び長さには上限はないが、通常は、直径が500μm以下、長さが200mm以下のものを用いることが望ましい。これは、直径が500μmを超えると繊維が太くて、単位容積あたりの分散が少なくなり、また、長さが200mmを超えると繊維自体が絡み合い、施工体内で均一に分散しにくくなることによる。
【0018】
また、結晶質アルミナ系繊維としては、Al2O3を65〜99重量%、SiO2を1〜35重量%の割合で含有するものを用いることが望ましい。
これは、Al2O3が65〜99重量%、SiO2が1〜35重量%の範囲外の組成の結晶質アルミナ系繊維を用いた場合(例えば、Al2O3の割合が65重量%未満で、SiO2の割合が35重量%以上のものを用いた場合)、アルミナ系繊維自体の耐火度が低くなり、施工体の強度を補強する効果を十分に発揮する温度領域が低くなることによる。
【0019】
上述の要件を満たす結晶質アルミナ系繊維を0.05〜3重量%の割合で使用した高炉樋用不定形耐火物を用いることにより、中、高温領域における強度が大きく、耐食性に優れた施工体を形成することが可能になる。
【0020】
【実施形態】
以下、本発明の実施の形態を示して、その特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【0021】
[実施形態1]
表1に示すような割合で、アルミナ、スピネル、アルミナ微粉、SiC、アルミナセメント、カーボン、金属シリコン、金属アルミニウム、分散剤、及び結晶質アルミナ系繊維を配合して本発明の実施例にかかる高炉樋用不定形耐火物(実施例1,2,3の試料)を作製した。また、比較のため、結晶質アルミナ系繊維を本発明の範囲外の割合で含む比較例1の試料、結晶質アルミナ系繊維を含まない比較例2の試料、非結晶質アルミナ系繊維を含む比較例3の試料を作製した。
【0022】
【表1】
【0023】
そして、これらの実施例1,2,3及び比較例1,2,3の高炉樋用不定形耐火物(試料)について、流動性の良否を調べるため、各試料に所定量の水を添加して、常温で3分間混練した直後のタッピングフロー値を測定した。
また、実施例1,2,3及び比較例1,2,3の試料について、1400℃で3時間還元焼成後の気孔率、常温曲げ強度、1400℃、N2中の熱間曲げ強度を調べた。
その結果を表1に併せて示す。
【0024】
表1に示すように、比較例1(従来例)のように、結晶質アルミナ系繊維の添加量が3重量%を超えると(結晶質アルミナ系繊維の添加量=5重量%)、混練時に必要な添加水量が多くなるとともに、流動性が著しく低下し、鋳込み不良などにより、均一な施工体を得ることができなくなる。
【0025】
一方、比較例2のように、結晶質アルミナ系繊維を添加しない場合、十分な施工体強度を得ることができない。
【0026】
また、非結晶質アルミナ系繊維(Al2O3:65%、SiO2:35%)を用いた場合、結晶質アルミナ系繊維と同じ量(実施例2と同量の1重量%)を添加した場合にも、熱間曲げ強度は向上しない。
これに対して、結晶質アルミナ系繊維が0.05〜3重量%の割合で添加した実施例1,2,3の試料の場合、気孔率、常温曲げ強度、熱間曲げ強度のいずれについても、良好であるか、実用するのに問題のない特性が得られることがわかる。
【0027】
[実施形態2]
表2に示すように、アルミナ、スピネル、アルミナ微粉、SiC、アルミナセメント、カーボン、金属シリコン、金属アルミニウム、及び分散剤の配合割合を一定とし、
(a)繊維材料として結晶質アルミナ系繊維を用いた試料(表1の実施例2と同じ試料)、
(b)結晶質アルミナ系繊維を添加しない試料(表1の比較例2の試料)、
(c)非結晶質アルミナ系繊維を用いた試料(表1の比較例3の試料)、
(d)アルミナ系繊維を添加せずにステンレスファイバーを添加した比較例4の試料、
(e)アルミナ系繊維を添加せずにアルミナセメントを増量した比較例5の試料、
(f)アルミナ系繊維を添加せずにミクロシリカを添加した比較例6の試料
を用意した。
【0028】
【表2】
【0029】
そして、これらの実施例2及び比較例2,3,4,5,6の各試料について、高周波内張浸食法により溶損指数(耐食性)を調べた。その結果を表2に併せて示す。なお、溶損指数は、高周波誘導炉を用い、侵食剤として高炉スラグを使用して、1580℃で5.0時間の耐食性試験を行って測定したものであり、その値は、実施例2の試料の溶損量を100とした場合の相対値である。
【0030】
また、これらの実施例2及び比較例2,3,4,5,6の各試料に、所定量の水を添加して、混練した後、加熱昇温して、施工体の曲げ強度と温度との関係を調べた。その結果を図1に示す。
【0031】
表2より、比較例2及び3では、実施例2よりもわずかではあるが、溶損指数が大きくなっており、実施例2よりも耐食性がいくらか劣っていることがわかる。また、比較例4,5,6については、実施例2に比べて溶損指数が大きく、耐食性が大幅に劣っていることがわかる。
【0032】
また、図1より、特に繊維材料やセメントなどの添加剤を添加していない比較例2の試料の場合、低温から高温まで、施工体の強度が他の条件のものと比べて低いことがわかる。
【0033】
また、非結晶質アルミナ系繊維を用いた比較例3の試料、ステンレスファイバーを添加した比較例4の試料については、1200℃程度までは強度が向上したが、温度がそれ以上に上昇すると、強度向上の効果が低下する傾向が認められた。
【0034】
一方、アルミナセメントを増量した比較例5の試料、ミクロシリカを添加した比較例6の試料については、1400℃での強度は大きいが、溶損指数が実施例2の試料に比べて約2割程度大きくなっており、耐食性が劣ることから好ましくないことがわかる。また、アルミナセメントを増量した比較例5の試料の場合、高温での焼結が完了するまでの間の中間強度が低くなっていることがわかる。
【0035】
上記の結果より、本発明の範囲内で結晶質アルミナ系繊維を添加した高炉樋用不定形耐火物を用いることにより、耐食性を維持しつつ、高温における施工体の強度を向上させることが可能になることがわかる。
【0036】
なお、本発明の高炉樋用不定形耐火物において、耐火物原料の種類は上記実施形態に限定されるものではなく、耐火物原料として一般に高炉樋用不定形耐火物に用いられる、アルミナ、スピネル、アルミナ微粉、SiC、アルミナセメント、カーボン、金属シリコン、金属アルミニウム、分散剤などを適宜配合して用いることが可能である。
【0037】
本発明は、さらにその他の点において上記実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0038】
【発明の効果】
上述のように、本発明の高炉樋用不定形耐火物は、結晶質アルミナ系繊維を0.05〜3重量%の割合で添加しているので、耐食性を維持しつつ、高温における施工体の強度を向上させることができる。その結果、高炉樋の寿命を向上させて通銑量を増大させることが可能になり、樋原単価の低減を図ることができる。
【0039】
また、請求項2の高炉樋用不定形耐火物のように、結晶質アルミナ系繊維として、直径が1μm以上、長さが10mm以上の要件を満たすものを用いることにより、結晶質アルミナ系繊維自体の強度や分散性を確保し、かつ、繊維とマトリックスの接着面積を十分に確保して、施工体の強度補強の効果を向上させることが可能になる。
【0040】
また、請求項3の高炉樋用不定形耐火物のように、結晶質アルミナ系繊維として、Al2O3を65〜99重量%、SiO2を1〜35重量%の割合で含有するものを用いた場合、さらに確実に、耐食性を維持しつつ、高温における施工体の強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例及び比較例にかかる高炉樋用不定形耐火物(試料)の施工体について調べた曲げ強度と温度との関係を示す図である。
Claims (3)
- 流し込み工法により施行される高炉樋用不定形耐火物であって、
結晶質アルミナ系繊維が0.05〜3重量%の割合で添加されていること
を特徴とする高炉樋用不定形耐火物。 - 前記結晶質アルミナ系繊維として、直径が1μm以上、長さが10mm以上の要件を満たすものが用いられていることを特徴とする請求項1記載の高炉樋用不定形耐火物。
- 前記結晶質アルミナ系繊維として、Al2O3を65〜99重量%、SiO2を1〜35重量%の割合で含有するものが用いられていることを特徴とする請求項1又は2記載の高炉樋用不定形耐火物。
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| JP2002184680A JP2004026564A (ja) | 2002-06-25 | 2002-06-25 | 高炉樋用不定形耐火物 |
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|---|---|---|---|---|
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| CN110997596A (zh) * | 2017-10-04 | 2020-04-10 | 里弗雷克特里知识产权两合公司 | 用于制造耐火产品的批料、制造耐火产品的方法、耐火产品以及合成原材料的用途 |
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