図18は,一般的なノートパソコン等における降圧型DC−DC装置の回路図である。図18(A)において,DC−DC制御回路30へ入力されるON信号は,DC−DCの動作の開始・停止を指示するための制御信号であり,ON信号がHigh状態のときDC−DCは動作し,Low状態のとき停止する。
Tr31は,スイッチング用のメイン・トランジスタであり,DC−DC制御回路30によりON/OFFの制御が行われる。L31は,電圧を変換するためのチョークコイルであり,D31は,メイン・トランジスタTr31がOFFである期間にチョークコイルL31に蓄えられたエネルギーを放出するためのフライホィール・ダイオードである。C31は,出力の平滑用コンデンサである。C32は,DC−DCの動作開始時に,入力Viから突入電流が流れるのを防止するソフトスタート制御用のコンデンサである。
図18(B)は,図18(A)に示すPWM制御方式のDC−DC制御回路30の詳細を示す図である。
電源部35は,外部からのON信号に従って,この制御回路全体の電源の供給のON/OFFを制御することで,制御回路全体のON/OFF制御,言い換えれば,DC−DCのON/OFFの制御を行う。
R31/R32は,DC−DCの出力電圧Vo1 を分圧するための電圧分割抵抗であり,Vo1 の電圧が規格値のとき分割結果が基準電圧e1 と同じになるように設定される。抵抗R31/R32により分割された電圧は,誤差増幅器31の反転入力として加えられる。誤差増幅器31は,DC−DCの出力電圧Vo1 と基準電圧e31との差を増幅するための増幅器である。
PWM比較器33は,1つの反転入力と2つの非反転入力を持つ電圧比較器で,誤差増幅器31からの入力電圧に応じて出力パルス幅のON時間を制御する電圧パルス幅変換器である。三角波発振器32からの三角波の電圧を,誤差増幅器31からの出力電圧とSS端子に接続されるコンデンサC32に印加される電圧と比較し,三角波の電圧が前記2つの入力電圧のいずれよりも低い期間のときON状態となり,ドライブ回路34をONさせ,これにより出力用のメイン・トランジスタTr31をONさせる。
ドライブ回路34は,メイン・トランジスタTr31を駆動するための回路であり,PWM比較器33の出力がONである期間,メイン・トランジスタTr31をドライブしてONさせる。
三角波発振器32は,誤差増幅器31の出力電圧をPWM比較器33でパルス幅に変換するための変換用三角波を一定の周波数で発振させるための発振器である。
FET31は,DC−DC停止時にソフトスタート用コンデンサC32の電荷を放電させて,その電位を零ボルト(0V)に設定するためのクイック・スタート用スイッチ回路である。定電流回路i31は,スイッチ回路FET31がOFF時にソフトスタート用コンデンサC32を充電して,一定の時間でコンデンサC32の電位を上昇させるための充電回路である。
図18において,ダイオードD31は,メイン・トランジスタTr31がOFFの間,チョークコイルL31の電流経路を形成している。メイン・トランジスタTr31は出力を一定電圧に保つように周波数によって(PWM制御によって)コントロールされ,スイッチング動作を行っている。メイン・トランジスタTr31がONしている間,スイッチング素子は飽和状態となり,OFFしている間は遮断状態となる。
メイン・トランジスタTr31が導通している間,入力電圧ViはL31/C31回路に供給され,メイン・トランジスタTr31がOFFされると,チョークコイル(インダクタンス)L31に蓄えられたエネルギーは,ダイオードD31を通して負荷に供給される。そして,平滑用コンデンサC31は入力を平滑して出力電圧を供給する。
ここで,メイン・トランジスタTr31がONの時間をTON,OFFの時間をTOFF とすると,出力電圧Vo1 は次式で与えられる。
Vo1 ={TON/(TON+TOFF )}×Vi=(TON/T)×Vi
また,チョークコイルL31に流れる電流は,メイン・トランジスタTr31がONの間は入力より出力に流れ,OFFの間は,ダイオードD31を通して供給される。従って,平均入力電流Iinは,出力電流Io とメイン・トランジスタTr31のデューティとの積に等しく,以下の式であらわされる。
Iin=(TON/T)×Io
上式より,入力電圧の変動はデューティサイクルをコントロールすることにより補償できる。同様に負荷の変動によりVo1 が変動を受けるときは,Vo1 の電圧をセンスしてデューティサイクルをコントロールすれば,Vo1 を一定に補償することが可能である。
図19は,図18(B)に示すDC−DC制御回路30の動作を説明するためのタイムチャートである。
説明を簡単にするために,最初に,図18(B)に示す回路においてソフトスタート用コンデンサC32がないものとして動作を説明する。
抵抗R31,R32により出力電圧Vo1 を測定して,その電圧を誤差増幅器31により増幅し,PWM比較器33へと入力する。PWM比較器33には,三角波発振器32より三角波が加えられており,誤差増幅器31の出力電圧が大きくなるとPWM比較器33の出力パルス幅が大きくなる。一方,誤差増幅器31の出力電圧が小さくなると,PWM比較器33の出力パルス幅も小さくなる。従って,Vo1 の電位が低くなると基準電圧との差が大きくなり誤差増幅器31の出力電圧が高くなるため,PWM比較器33の出力パルス幅が広くなり,TONタイムが長くなる。Vo1 の電位が高くなると基準電圧との差が小さくなり,誤差増幅器31の出力電圧が低くなるためPWM比較器33の出力パルス幅は狭くなり,TONタイムが短くなる。
これにより上式に示す通り,出力電圧が制御される。
このように,PWM制御方式のDC−DC装置では,スイッチング用メイン・トランジスタTr31のON/OFF比(TONとTOFF の比)を制御することにより,出力電圧を制御することが可能となる。
ところで,DC−DC起動時には出力電圧Vo1 は0Vであるため,入力電圧Viと出力電圧Vo1 との差が最大となり,誤差増幅器31の出力電圧も最大となる。誤差増幅器31の出力電圧が最大となるため,PWM比較器33の出力パルス幅も最大となり,メイン・トランジスタTr31のON時間が最大となる。
また,チョークコイルL31に流れる最大電流IPEAKは,チョークコイルL31のインダクタンスと入力電圧Viと出力電圧Vo1 ,および,メイン・スイッチング・トランジスタのON時間TONにより決まり,以下のようになる。
IPEAK={(Vi−Vo1 )/L}×TON
(L:チョークコイルのインダクタンス)
上式より,DC−DC起動時は出力電圧Vo1 が0Vであるため,チョークコイルL31に印加される電圧が最大となると共に,メイン・トランジスタTr31のON時間TONも最大となるため,チョークコイルL31やメイン・トランジスタTr31に過大な突入電流が発生することが判る。
これを防止するには,DC−DC起動時に一時的にTONタイムを短くするような制御方法があり,これをソフトスタートと呼ぶ。
図18(B)に示すように,コンデンサC32を追加することによりDC−DCの起動時には,PWM比較器33に入力される複数の非反転入力のうち,1個の入力電圧を下げることで強制的にTONタイムを短くして突入電流を防止する。
PWM比較器33は,三角波発振器32の出力電圧値と,誤差増幅器31の出力電圧値と,ソフトスタート用コンデンサC32の両端の電圧とを比較し,三角波発振器32の出力電圧値が,誤差増幅器31の出力電圧値とソフトスタート用コンデンサC32の両端の電圧値のいずれよりも低いときのみ,パルスを出力してスイッチング用のメイン・トランジスタTr31をONさせる。DC−DC起動時,誤差増幅器31の出力電圧値は最大であるが,ソフトスタート用コンデンサC32の両端の電圧値は概ね0Vに近いため,PWM比較器33の出力パルス幅は,ソフトスタート用コンデンサC32の両端の電圧値で制御され,誤差増幅器31の出力電圧値に制御されない。その結果,PWM比較器33の出力パルス幅は,非常に短くなる。
上式で示したように,DC−DCの出力電圧が低くても,メイン・トランジスタTr31のON時間TONタイムが短くなることで,チョークコイルL31に流入する電流値を制限することができる。ソフトスタート用コンデンサC32の両端の電圧は,定電流回路i31により充電されるため,PWM比較器33の出力パルス幅はソフトスタート用コンデンサC32の両端の電圧値の上昇に従って徐々に広がるが,DC−DCの出力電圧も徐々に上昇しているため,チョークコイルL31に流入する電流値が大きくなることはない。
そして,一定時間後にソフトスタート用コンデンサC32の両端の電圧値が誤差増幅器31の出力電圧以上になると,以後は誤差増幅器31の出力電圧により決まるパルス幅でDC−DCは制御される。
このように,コンデンサC32の充電時定数に合わせて徐々にTONタイムを長くしていくことで,突入電流を制御することができる。図19は,以上の各回路の出力波形の例を示している。
以上述べたように,PWM比較器33の入力として,誤差増幅器31以外にもう一つの電圧を入力して,PWM比較器33の出力であるパルスの幅を強制的に狭くすることで,DC−DC起動時の突入電流を防止することができる。
次に,DC−DC起動時の出力電圧の立ち上がり特性と負荷の関係について説明する。
前述したように,メイン・トランジスタTr31のON時間TONは,PWM比較器33に入力される2つの非反転入力である誤差増幅器31の出力電圧とソフトスタート用コンデンサC32の電圧のうち,電圧の低い方の入力により決まる。
図20は,PWM比較器33の入力波形の例を示す図であり,この図における(A),(B)は,誤差増幅器31の出力電圧,ソフトスタート用コンデンサC32の電圧,三角波発振器32の出力電圧との負荷に応じたタイミング関係を示している。
DC−DC装置を起動した瞬間t0 は,誤差増幅器31の出力電圧は最大であるのに対し,ソフトスタート用コンデンサC32の電圧は0Vであるため,ソフトスタート用コンデンサC32の電圧値によってのみ,メイン・トランジスタTr31のON時間TONが決まる。
しかし,時間の経過と共にソフトスタート用コンデンサC32の電圧値は,コンデンサC32の容量値で決まる傾きで徐々に上昇していく。一方,誤差増幅器31の出力電圧もDC−DCの動作に伴ってDC−DCの出力電圧値が上昇するため,徐々に低下していく。このため,ある時間経過後にはソフトスタート用コンデンサC32の電圧値が誤差増幅器31の出力電圧値を越える。
ソフトスタート用コンデンサC32の電圧値が誤差増幅器31の出力電圧値を越えた時間以降,メイン・トランジスタTr31のON時間TONは誤差増幅器31の出力電圧によって制御されることとなる。
前述したように,DC−DCの出力電圧は,
Vo1 ={TON/(TON+TOFF )}×Vi=(TON/T)×Vi
で制御されるため,ソフトスタート用コンデンサC32の電圧値と誤差増幅器31の出力電圧値がクロスした時間が,DC−DCの出力電圧が定格値に達した時間となる。
このクロス・ポイントの時刻以前には,DC−DCの出力電圧に関係なくソフトスタート用コンデンサC32の電圧値のみで,スイッチング用メイン・トランジスタTr31のON時間が制御されるため,DC−DCの出力側に供給される電流値は略一定である。従って,DC−DCの負荷が軽いときは,DC−DCの出力電圧値Vo1 は短時間t1 で上昇しようとするが,DC−DCの負荷が重いときには,DC−DCの出力電圧値Vo1 が上昇するのにt1 より遅い時刻のt2 まで時間がかかる。誤差増幅器31の出力電圧は基準電圧値e1 とDC−DCの出力電圧値の差を増幅しているため,クロス・ポイント時刻以前の時間におけるある時間tx での誤差増幅器31の電圧値を比較すると,DC−DCの負荷が軽いほど誤差増幅器31の出力電圧値は低いところにあり,DC−DCの負荷が重いほど誤差増幅器31の出力電圧値は高いところにある。
言い換えれば,DC−DCの負荷が軽いほどクロス・ポイントの時間が早く,DC−DCの負荷が重いほどクロス・ポイントの時間が遅くなる。これは,クロス・ポイントの時間がDC−DCの出力電圧が定格値に達する時間であるため,DC−DCの立ち上がり特性は,DC−DCの負荷の軽重によって異なり,負荷が軽いほど早く,負荷が重いほど遅くなることを意味している。
以上のことを図21に従って説明すると,時間T0 にON信号がHighになるとDC−DCの電源が投入される。ここで,DC−DCの負荷が軽いと仮定すると,DC−DCの出力電圧が徐々に上昇し,時間T1 に規定の電圧値Vo1 に達する。
しかし,DC−DCの負荷が重いと仮定すると,DC−DCの出力電圧が徐々に上昇するが,負荷が重いため時間T1 にはまだ規定の電圧値Vo1 に達せず,DC−DCの出力電圧が規定の出力電圧Vo1 に達するのに時間T2 までかかることになる。
次に,DC−DCを停止させたときの出力電圧の状況について,図22に従って説明する。
DC−DCを停止させたときの出力電圧の状況は,DC−DCの負荷容量である平滑コンデンサC31に蓄えられた電荷が負荷によって放電される時間により決まる。この様子を図22で説明すると,時間T0 にON信号がHighからLowになると,DC−DCの電源が切断される。ここで,DC−DCの負荷が重いと仮定すると,DC−DCの出力電圧が徐々に低下し,時間T1 に全ての電荷が放電され0Vに達する。
しかし,DC−DCの負荷が軽いと仮定すると,DC−DCの出力電圧が徐々に低下するが,負荷が軽いため時間T1 にはまだ全ての電荷が放電されない。このため出力電圧は0Vに達せず,DC−DCの出力電圧が0Vに達するのにT1 より遅いT2 の時間までかかることになる。
以上説明したように,従来方式ではDC−DCの負荷が重いときは,PWM比較器31に接続されるソフトスタート用コンデンサC32にチャージされる電圧に比例して,DC−DCの出力電圧が上昇していくため,このコンデンサC32の容量で決まる時定数に依存した立ち上がり特性となるが,DC−DCの負荷が軽い場合にはソフトスタート用コンデンサC32で決まる時定数より短い時間でDC−DCの出力電圧が上昇していくこととなる。
従って,従来のソフトスタート制御用の回路は,DC−DCへの突入電流を防止するための回路であり,DC−DC出力電圧の立ち上がり特性を制御する機能は持っていなかったと言える。
ところで,電子機器内の電源として複数の電源を使用している場合,各電源の投入,切断のシーケンスを考慮しないと,半導体デバイスがラッチアップを起こして焼損することがある。前述したように,電源投入時のDC−DCの出力電圧の立ち上がり特性はDC−DCの負荷に依存しており,ソフトスタート制御用のコンデンサの容量等で立ち上がり特性を制御することは不可能であることを示した。
従って,複数の電源間で投入シーケンスを制御するには,シーケンス制御のための論理回路を必要とする。
図23は,2個の電源,DC/DC−10とDC/DC−20との間で投入シーケンスを制御する場合の回路例を示した図である。また,図24は,図23の回路構成における出力電圧の立ち上がり特性を説明する図である。
ここで,DC/DC−10およびDC/DC−20は,図18で説明したものと同じものであるので,この部分についての説明は省略し,DC/DC−10およびDC/DC−20の電源投入シーケンスを制御している部分についてのみ説明する。
図23において,IC311 はDC/DC−10の出力電圧Vo1 と基準電圧e311 を比較するための電圧比較器であり,DC/DC−10の出力電圧Vo1 が基準電圧e311 よりも高いときHighレベルを出力し,そうでないときはLowレベルを出力する。同様にIC312 もDC/DC−20の出力電圧Vo2 と基準電圧e312 を比較するための電圧比較器であり,DC/DC−20の出力電圧Vo2 が基準電圧e312 よりも高いときHighレベルを出力し,そうでないときはLowレベルを出力する。
OR11はDC−DCのON/OFFを制御するON信号と電圧比較器IC312 のいずれかの信号がHighであるとき,DC/DC−10にHigh信号を送出してDC/DC−10の動作を開始させるためのオア回路である。AND12はDC−DCのON信号とIC311 の両方の信号がHighであるとき,DC/DC−20にHigh信号を送出してDC/DC−20の動作を開始させるためのアンド回路である。
DC−DCのON信号がLow状態のとき,DC/DC−10およびDC/DC−20の両方は停止しているため,電圧比較器IC311 およびIC312 はLowを出力している。
DC−DCのON信号がHigh状態となりDC−DCの電源投入が指示されると,オア回路OR11は,電圧比較器IC312 の出力レベルに依存せずにDC/DC−10に対してHigh信号を送出し,DC/DC−10の動作を開始させる。一方,アンド回路AND12は電圧比較器IC311 の出力がLowレベルのため,DC/DC−20に対してLowレベルを出力し続ける。そのため,DC/DC−20は停止状態のままにいる。この結果,DC/DC−10のほうだけに電源が投入されることとなる。
DC/DC−10の電源投入シーケンスが終了して,Vo1 が基準電圧e311 の電圧値以上の値となると,電圧比較器IC311 はHighレベルを出力する。電圧比較器IC311 の出力がHighレベルとなると,アンド回路AND12の出力もHighレベルを出力することとなり,DC/DC−20の動作を開始させる。
DC/DC−20の電源投入シーケンスが終了して,Vo2 が基準電圧e312 の電圧値以上の値となると,電圧比較器IC312 はHighレベルを出力する。オア回路OR11はDC−DCのON信号と電圧比較器IC312 のいずれかの信号がHighレベルのとき,DC/DC−10に対してHigh信号を送出するため,引続きHighレベル信号を出力し続ける。従って,以後DC−DCのON信号がHigh状態のとき,DC/DC−10およびDC/DC−20の両方は動作を継続する。このため,電圧比較器IC311 およびIC312 はHighを出力し続ける。
次に,上記状態においてDC−DCのON信号がLow状態となり,DC−DCの電源切断が指示されると,アンド回路AND12は,DC/DC−20に対してLow信号を出力することとなり,DC/DC−20に対して停止を指示する。一方,オア回路OR11は,DC−DCのON信号がLow状態となっても,電圧比較器IC312 の信号がHighレベルを送出している間はDC/DC−10に対してHigh信号を出力し続けることとなり,DC/DC−10を動作状態に維持する。その結果,DC/DC−20のほうだけ電源が切断されることとなる。
DC/DC−20の電源切断シーケンスが終了して,Vo2 が基準電圧e312 の電圧値以下の値となると,電圧比較器IC312 はLowレベルを出力する。電圧比較器IC312 の出力がLowレベルになると,オア回路OR11も初めてLowレベルを出力することとなり,DC/DC−10の動作を停止させる。DC/DC−10の電源切断シーケンスが終了して,Vo1 が基準電圧e311 の電圧値以下の値となると,電圧比較器IC311 はLowレベルを出力する。アンド回路AND12は,DC−DCのON信号と電圧比較器IC312 のいずれかの信号がLowレベルのときDC/DC−20に対してLow信号を送出するため,引続きLowレベル信号を出力し続ける。従って,以後DC−DCのON信号がLow状態のとき,DC/DC−10およびDC/DC−20の両方は停止している。このため,電圧比較器IC311 およびIC312 の出力は,Low状態のままとなる。
以上のことを図24を参照して説明すると,時間T0 にON信号がHighになると,DC/DC−10の電源が投入され出力電圧が徐々に上昇し,時間T1 に規定の電圧値Vo1 に達する。DC/DC−10の出力電圧が規定値に達するまでは,アンド回路AND12によりDC/DC−20の電源の投入は抑止される。
DC/DC−10の電圧が時間T1 に規定の電圧値Vo1 に達すると,アンド回路AND12によりDC/DC−20の電源投入が許可され,DC/DC−20の出力電圧が徐々に上昇し,時間T2 に規定の電圧値Vo2 に達する。これにより,DC/DC−10とDC/DC−20の電源投入時の出力電圧の順序制御が行われる。
電源停止時には,時間T3 にON信号がLowになるとアンド回路AND12によりDC/DC−20の電源切断が指示され,出力電圧が徐々に下降し,時間T4 に0Vになる。この間,DC/DC−10の電源切断は,DC/DC−20の出力電圧が0Vになるまでは,オア回路OR11により抑止される。
DC/DC−20の電圧が時間T4 に0Vになると,オア回路OR11によりDC/DC−10の電源切断が許可され,出力電圧が徐々に下降して時間T5 に0Vになる。これにより,DC/DC−10とDC/DC−20の電源切断時の順序制御が行われる。
以上説明したように,DC/DC−10とDC/DC−20のON/OFF制御回路部に,図23に示すような外部論理回路を接続することで,電源投入時には,最初にDC/DC−10,次にDC/DC−20の順で電源を投入し,電源切断時には,最初にDC/DC−20,次にDC/DC−10の順で切断することができる。
しかし,図23に示す回路のように電源投入シーケンスを制御するための専用のロジック回路として,AND12/OR11/IC311 /IC312 /e311 /e312 を必要とし,また,ここには図示してないがこれらのロジック回路用の別の電源を必要とし,DC/DC−10とDC/DC−20だけでは相互の電源投入シーケンスを制御することが不可能な構成になっている。
図25は,2個の電源,DC/DC−30とDC/DC−40の両方を同時に投入する場合の回路例を示した図である。図26は,図25の回路構成における出力電圧の立ち上がり特性を説明する図である。
ここでDC/DC−30およびDC/DC−40は,図18で説明したものと同じものであるので,この部分についての説明は省略する。
図25では,DC/DC−30とDC/DC−40の両方の電源を同時に投入するために,DC−DCのON/OFFを制御するON信号がDC/DC−30とDC/DC−40の両方に共通に接続される。
DC−DCのON/OFFを制御するON信号がLow状態のとき,DC/DC−30とDC/DC−40の両方は停止状態である。DC−DCのON信号がLow状態からHigh状態に変化すると,DC/DC−30およびDC/DC−40は,同時に電源投入シーケンスに入る。しかし,既に図18ないし図20で説明したように,DC/DC−30の出力電圧Vo1 およびDC/DC−40の出力電圧Vo2 の立ち上がり特性は,各々の負荷に依存しており,同時に立ち上がる保証はない。
上記のことを図26で説明する。時間T0 にON信号がHighになるとDC/DC−30およびDC/DC−40の両方の電源が投入される。ここで,DC/DC−30側の負荷が重く,DC/DC−40側の負荷が軽いと仮定すると,DC/DC−40の出力電圧が徐々に上昇し,時間T1 に規定の電圧値Vo2 に達する。しかし,DC/DC−40側の負荷は重いため時間T1 にはまだ規定の電圧値Vo1 に達せず,DC/DC−30が規定の出力電圧Vo1 に達するのは時間T2 である。
以上説明したように,複数のDC−DCを同時に電源投入する場合,従来方式では,各々のDC−DCの出力電圧の立ち上がり特性は,各々のDC−DCに接続されている負荷の軽重に依存する。このため,その立ち上がり特性を制御することが不可能であり,複数電源で動作するシステムにおいては,半導体デバイスのラッチアップによる焼損の危険性があった。また,DC−DC停止時にも同様の危険性があった。
以下,図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
図3は,本発明によるPMW制御方式の直流−直流変換装置の例を示す図である。
図3(A)に示す装置全体の構成は,図18(A)で説明した従来方式によるPWM制御方式のDC−DCと同じであり,特に異なるところはなく,従来方式と違うのは直流−直流変換(DC−DC)制御回路100の部分である。
従って,図3(A)の構成についてはここでは説明を省略し,図3(B)に示す直流−直流変換(DC−DC)制御回路100の部分について詳細に説明する。
図3(B)において,電源部19は外部からのON信号に従って,制御回路全体に対する電源の供給のON/OFFを制御することで,制御回路全体のON/OFF制御(言い換えれば,DC−DCのON/OFF制御)を行う部分である。誤差増幅器11は,DC−DCの出力電圧と複数の基準電圧との差を増幅するための増幅器である。三角波発振器12は,誤差増幅器11の出力電圧をPWM比較器13でパルス幅に変換するための変換用三角波を一定の周波数で発振させるための発振器である。
PWM比較器13は,誤差増幅器11の出力と三角波発振器12の出力を比較する電圧比較器であって,入力電圧に応じて出力パルス幅のON時間を制御する電圧パルス幅変換器である。三角波発振器12からの三角波の電圧を誤差増幅器11からの出力電圧と比較し,三角波の電圧が誤差増幅器11の出力電圧より低いときPWM比較器13の出力がONとなり,ドライブ回路14を介してスイッチング用メイン・トランジスタTr11をONさせる。
ドライブ回路14は,スイッチング用メイン・トランジスタTr11を駆動するための駆動回路(Driver)であり,PWM比較器13の出力がONである期間,メイン・トランジスタTr11をドライブしてONさせる。
FET1 はDC−DC停止時にソフトスタート用コンデンサ(C12)15の電荷を放電させてその電位を0Vに設定するためのクイック・スタート用スイッチ回路である。定電流回路i1 は,スイッチ回路FET1 がOFF時にソフトスタート用コンデンサC12を充電して,一定の時間でソフトスタート用コンデンサC12の電位を上昇させるための充電回路である。
図18(B)の従来方式の制御回路と図3(B)に示す本方式による制御回路とは,ほとんど同じ構成である。異なるのはソフトスタート用コンデンサC12/C32が,図18(B)の従来方式ではPWM比較器33の非反転入力に接続されているのに対し,図3(B)の本方式では電圧制御用誤差増幅器11の非反転入力に基準電圧e1 と同様に接続されていることである。
図3(B)において,誤差増幅器11は,抵抗R1 /R2 によって分圧された電圧(DC−DCの出力電圧Vo1 =FB)と,基準電圧e1 とソフトスタート用コンデンサC12の電圧のうちの低い方の電圧値との差を増幅して,その出力をPWM比較器13へと出力する。
DC−DCのON/OFFを制御するON信号がLow状態であるとき,電源部19は,制御回路全体を停止状態にすると共に,スイッチ回路FET1 をONとして,ソフトスタート用コンデンサC12の電圧を0V状態にする。DC−DCのON信号がHigh状態となり,DC−DCの電源投入が指示されると,制御回路内の電源がON状態となり,制御回路全体を動作させると共にスイッチ回路FET1 をOFFとする。制御回路が動作を開始すると,定電流回路i1 によりソフトスタート用コンデンサC12の充電が開始され,ソフトスタート用コンデンサC12の電位が0Vから徐々に上昇し,ソフトスタート用コンデンサC12の容量値と定電流回路i1 による充電電流値との時定数で決まる時間後に,ソフトスタート用コンデンサC12の電位が誤差増幅器11の基準電圧e1 と同じ電位に達する。
誤差増幅器11は,第1の入力部111からの反転入力の電圧と,第2および第3の入力部からの複数の非反転入力の電圧のうち,最も低い電圧との差を増幅し,その結果をPWM比較器13へ出力する。従って,誤差増幅器11は,ソフトスタート用コンデンサC12の電位が基準電圧e1 より低いときは,DC−DCの出力電圧Vo1 とソフトスタート用コンデンサC12の電圧差を増幅してPWM比較器13の入力とするが,ソフトスタート用コンデンサC12の電位が基準電圧e1 より高いときは,DC−DCの出力電圧Vo1 と基準電圧e1 の電圧差を増幅してPWM比較器13の入力とする。
図4は,図3に示す誤差増幅器11の構成例を示す。
比較器114は,第2および第3の入力部112,113からの入力A,Bを比較し,低いほうの電圧をそのままQとして出力する。例えば,A=5V,B=3Vであった場合には,Qには3Vが出力される。差動増幅器115は,第1の入力部111からの反転入力の電圧Rと,比較器114の出力電圧Qとを入力し,(Q−R)×X倍の電圧をZに出力する。この出力Zが誤差増幅器11の出力となり,図3に示すPWM比較器13の入力となる。
本方式では,DC−DCの出力電圧を決める基準電圧値を徐々に上昇させ,一定時間後に正規の電圧値を出力するように制御するため,DC−DCの出力電圧はDC−DCの負荷に依存せず,ソフトスタート用コンデンサC12の容量で決まる時定数により制御されることとなる。言い換えれば,ソフトスタート用コンデンサC12の容量値を小さくすればDC−DCの出力電圧立ち上がり時間が早くなり,容量値を大きくすればDC−DCの出力電圧立ち上がり時間を遅くできるため,ソフトスタート用コンデンサC12の容量値により自由にDC−DCの出力電圧立ち上がり特性を制御することが可能となる。
また,従来方式では,DC−DC制御回路の誤差増幅器は起動開始直後から出力電圧Vo1 を基準電圧値まで上昇させるように動作する結果,誤差増幅器の出力電圧として大きな値を出力するためにPWM比較器の出力パルス幅は最大となり突入電流の発生の原因となる。
さらに,出力電圧を0Vから定格電圧まで急激に立ち上げるため,出力電圧オーバー・シュートが発生し易い。
しかし,本方式によるDC−DC制御回路100では,DC−DCの起動直後の誤差増幅器11は出力電圧として0Vを要求しているため,誤差増幅器11の出力電圧は最低値となり,スイッチング用メイン・トランジスタTr11のONタイムは最小となり入力からの電流の突入を防止する。その後,時間と共に徐々に出力電圧を上昇させ,一定時間をかけて基準電圧値まで上昇させていくため,突入電流が発生することがなく,出力電圧の急激な立ち上がりが存在しないため出力電圧のオーバー・シュート発生も抑制される。
上記のことを図5で説明すると,時間T0 にON信号がHighになるとDC−DCの動作が開始し,ソフトスタート用コンデンサC12の両端の電圧が0Vから徐々に上昇し,時間T1 に基準電圧e1 の値になる。
それにつれてDC−DCの出力電圧も0Vから徐々に上昇していき,時間T1 に規定電圧Vo1 になる。このとき,DC−DCの出力電圧値が時間T0 に0Vが指示され,時間T1 にVo1 になるように指示される。すなわち,誤差増幅器11は,時間T0 から時間T1 までは,ソフトスタート用コンデンサC12の電圧とDC−DCの出力電圧を分圧した値(FBの分割電圧)との差を増幅して,PWM比較器13に出力し,時間T1 以降は,基準電圧e1 とFBの分割電圧との差を増幅して,PWM比較器13に出力する。
図6は,PWM比較器13の動作を説明する図である。
PWM比較器13は,図6に示すように,誤差増幅器11の出力が三角波発振器12の出力より大きいときにHighを出力し,誤差増幅器11の出力が三角波発振器12の出力より小さいときにLowを出力する。誤差増幅器11の出力は,上述のようにDC−DCの出力電圧値がVo1 になるまで,ソフトスタート用コンデンサC12の電圧を基準電圧として誤差出力を行うので,DC−DCの出力電圧は,DC−DCの負荷の軽重に依存せずに時間T0 に0Vを出力し,時間経過と共に徐々に上昇し,時間T1 に規定電圧Vo1 に達する。
図7は,DC/DC−1とDC/DC−2との間で,電源の投入シーケンスを制御したい場合の本方式を用いた接続例を示す。
図7において,DC/DC−1およびDC/DC−2は,図3(A)に示すDC−DC装置と同じものである。DC/DC−1の出力電圧立ち上がり特性は負荷の軽重に依存することなく,前述したようにソフトスタート用コンデンサC121 の容量値によって決まる。同様にDC/DC−2の出力電圧立ち上がり特性も負荷の軽重に依存することなく,前述したようにソフトスタート用コンデンサC122 の容量値によって決まる。
従って,DC/DC−1を先に立ち上げ,DC/DC−2を後から立ち上げる場合には,DC−DC−1とDC/DC−2との間で,先に立ち上げるDC/DC−1のソフトスタート用コンデンサC121 の容量値をDC/DC−2のソフトスタート用コンデンサC122 の容量値よりも小さく設定することで実現が可能となる。
この様子を図8に示す。
DC/DC−1とDC/DC−2の両方の電源を同時に投入するために,DC−DCのON/OFFを制御するON信号がDC/DC−1とDC/DC−2の両方に共通に接続される。DC/DC−1のソフトスタート用コンデンサC121 の値は,DC/DC−1の出力電圧がT1 時間で立ち上がるような値に設定される。一方,DC/DC−2のソフトスタート用コンデンサC122 の値は,DC/DC−2の出力電圧がT2 時間で立ち上がるような値に設定される。
DC−DCのON/OFFを制御するON信号がLow状態のとき,DC/DC−1とDC/DC−2の両方は停止状態である。DC−DCのON/OFFを制御するON信号が時間T0 においてLow状態からHigh状態に変化すると,DC/DC−1およびDC/DC−2は同時に電源投入シーケンスに入る。DC/DC−1は,ソフトスタート用コンデンサC121 の値に従って時間T1 に定格出力電圧Vo1 に達する。同様に,DC/DC−2もソフトスタート用コンデンサC122 の値に従って時間T2 に定格出力電圧Vo2 に達する。
このため,各々のDC−DCの出力電圧立ち上がり特性をソフトスタート用コンデンサの値だけで制御できることとなる。
図9は,DC/DC−1とDC/DC−2の間で,電源を同時に投入して立ち上げる場合のソフトスタート用コンデンサの接続例を示す図である。
図9において,DC/DC−3とDC/DC−4の両方の電源を同時に投入するために,DC−DCのON/OFFを制御するON信号がDC/DC−3とDC/DC−4の両方に共通に接続される。
DC−DCのON/OFFを制御するON信号がLow状態のとき,DC/DC−3とDC/DC−4の両方は停止状態である。DC−DCのON信号がLow状態からHigh状態に変化すると,DC/DC−3およびDC/DC−4は同時に電源投入シーケンスに入る。このときソフトスタート用コンデンサC123 は,DC/DC−3とDC/DC−4の両方に共通接続されているため,DC/DC−3の基準電圧とDC/DC−4の基準電圧は同時に0Vからスタートし,徐々に上昇しながら同時に基準電圧e1 の値に達する。従って,DC/DC−3およびDC/DC−4の出力電圧が基準電圧Vo3 またはVo4 に達するのも同時刻となる。
上記のことを図10で説明する。時間T0 にON信号がHighになるとDC/DC−3およびDC/DC−4の両方の動作が開始し,ソフトスタート用コンデンサC123 の両端の電圧が0Vから徐々に上昇し,時間T1 に基準電圧e1 の値になる。
それにつれてDC/DC−3の出力電圧も0Vから徐々に上昇していき,時間T1 に規定電圧Vo3 になる。同様に,DC/DC−4の出力電圧も0Vから徐々に上昇していき,時間T1 に規定電圧Vo4 になる。
このとき,DC/DC−3の出力電圧値が時間T0 に0Vが指示され,時間T1 にVo3 になるように指示される。従って,DC/DC−3の出力電圧は,DC−DCの負荷の軽重に依存せずに時間T0 に0Vを出力し,時間経過と共に徐々に上昇し時間T1 に規定電圧Vo3 に達する。同じく,DC/DC−4の出力電圧値が時間T0 に0Vが指示され,時間T1 にVo4 になるように指示される。従って,DC/DC−4の出力電圧はDC−DCの負荷の軽重に依存せずに時間T0 に0Vを出力し,時間経過と共に徐々に上昇し時間T1 に規定電圧Vo4 に達する。
以上説明したように,本方式によれば複数の電源間で投入シーケンスを考慮する必要がある場合には,図7に示すように先に立ち上がるべきDC−DCのソフトスタート用コンデンサC121 の容量値を,遅く立ち上がるべきDC−DCのソフトスタート用コンデンサC122 の容量値より小さくすることで,自由に投入シーケンスを制御することができる。このため,従来方式で必要としていた電源投入シーケンス制御用の外部回路が不要となる。
さらに,複数の電源間の投入シーケンスを同一にしたい場合,従来方式では,個々のDC−DCの出力電圧の立ち上がり特性がDC−DCの負荷の軽重に依存して一定しないため,同時立上は不可能であったが,本方式によれば,複数の電源間で各々の負荷の軽重が異なっても,図9に示すようにDC−DC間でソフトスタート用コンデンサC123 を共通接続することで,同一立ち上がり特性を実現することができるようになる。
以上,電源投入時の複数の電源間での電源投入シーケンスの制御方式について説明した。次に,電源切断時のシーケンスについて,本方式による実現例を説明する。
図11は,本方式による電源切断シーケンスを制御するDC−DC装置の実現例を示す図である。
図11(A)に示すDC−DC制御回路105の周辺回路部分は,DC−DC制御回路105に負荷容量放電の有効/無効を制御するDSCHG信号が入力されるようになっていること以外は,前述した図3(A)と同様である。
DC−DC制御回路105の内部は,図11(B)に示すようになっており,内部に負荷容量放電回路18が設けられている。負荷容量放電回路18の他の部分は,図3(B)に示すDC−DC制御回路100と同様であるので,その部分の説明については省略する。
図11(B)に示すNOT1 は,DC−DCのON信号がHighレベルのときLowレベルを出力し,DC−DCのON信号がLowレベルのときHighレベルを出力するノット回路である。AND1 は,ノット回路NOT1 の出力と負荷容量放電の有効/無効を制御するDSCHG信号の両方がHighレベルを出力しているとき,Highレベルを出力するアンド回路である。FET2 は,アンド回路AND1 の出力がHighレベルを出力しているときON状態となり,DC−DCの出力とグランド間を短絡して,DC−DCの出力負荷容量を強制的に放電する負荷容量放電用スイッチ回路である。
DC−DCのON/OFFを制御するON信号がHighの場合,または負荷容量放電の有効/無効を制御するDSCHG信号がLow(無効)の場合,アンド回路AND1 の出力はLowとなり,スイッチ回路FET2 は切断状態となる。したがって,この場合のDC−DC制御回路105の動作は,負荷容量放電回路18がない場合と同じである。
一方,負荷容量放電の有効/無効を制御するDSCHG信号がHigh(有効)であり,電源の切断時にON/OFFを制御するON信号がLowとなると,アンド回路AND1 の出力が直ちにHighになるため,スイッチ回路FET2 は導通状態となる。したがって,DC−DCの出力(FB)がスイッチ回路FET2 を通して放電し,DC−DCの負荷に依存することなく,急速に0Vになる。
図12は,図11に示すDC−DCの立ち上がり立ち下がり特性を示す図である。
上記について図12で説明すると,時間T0 にDC−DCのON/OFFを制御するON信号がHighになるとDC−DCの動作が開始し,ソフトスタート用コンデンサC125 の両端の電圧が0Vから徐々に上昇し,時間T1 に基準電圧e1 の値になる。それにつれてDC−DCの出力電圧も0Vから徐々に上昇していき,時間T1 に規定電圧Vo1 になる。
次に,時間T2 にDC−DCON/OFFを制御するON信号がLowになると,DC−DCの動作が停止すると同時に,スイッチ回路FET2 によってDC−DCの出力側をグランド電位に短絡することで,DC−DCの負荷側の容量を強制的に放電する。このため,時間T3 に0V状態になる。
これに対し,従来方式の場合には,負荷容量放電回路18がないため,図12に点線で示すように,DC−DCの軽負荷時と重負荷時とで,DC−DCの出力電圧が0VになるまでのOFFタイムが変わってくることになる。本方式によれば,OFFタイムはDC−DCの負荷に関係なく一定であり,複数の電源間でOFFタイムが異なる問題が解決される。
同期整流方式のDC−DC装置においては,同期整流用トランジスタに図11(B)に示すスイッチ回路FET2 と同等な機能を持たせることができる。
図13は,その同期整流方式の降圧型DC−DC装置による実現例を示す。
図13(A)において,Tr21はスイッチング用メイン・トランジスタ(FET)であり,DC−DC制御回路200によりON/OFFの制御が行われる。L21は電圧変換用のチョーク・コイルである。D21はスイッチング用メイン・トランジスタTr21がOFFである期間に,チョークコイルL21に蓄積されたエネルギーを出力側に放出するためのフライホィール・ダイオードである。
Tr22もダイオードD21と同様にスイッチング用メイン・トランジスタTr21がOFFである期間に,チョークコイルL21に蓄積されたエネルギーを出力側に放出するためのフライホィール用のスイッチ回路であり,ダイオードD21に印加される電圧が順方向のときON状態となり,逆方向のときOFF状態となることで,ダイオードD21の順方向電圧降下(Vf)を低減させる同期整流用のFETであり,DC−DC制御回路200によりON/OFFの制御が行われる。
抵抗R21は本DC−DC装置から負荷に供給される電流を測定するためのセンス抵抗であり,C21は平滑用コンデンサである。
DC−DC制御回路200は,PWM制御方式DC−DCの制御部であり,DC−DC装置の出力電圧を検出してスイッチング用メイン・トランジスタTr21および同期整流用トランジスタTr22のON/OFF比の制御を行う。
図13(B)は,図13(A)に示すDC−DC制御回路200の詳細図である。
図13(B)において,電源部29は,DC−DC制御回路200全体の動作のON/OFFをするための電源であり,外部からのON/OFFを制御するON信号により動作の開始停止を行う。R3 /R4 は,DC−DCの出力電圧をセンスするための分割抵抗であり,e2 はDC−DCの出力電圧を比較するための基準電圧である。誤差増幅器21は,分割抵抗R3 /R4 により得られるDC−DCの出力電圧と複数の基準電圧との差を増幅する増幅器である。
PWM比較器23は,反転入力と非反転入力を持つ電圧比較器であって,入力電圧に応じて出力パルスのON時間を制御する電圧パルス幅変換器である。三角波発振器22からの三角波が誤差増幅器21の出力電圧よりも低い期間にドライブ回路24をONさせることにより,スイッチング用メイン・トランジスタTr21をONさせる。三角波発振器22は,電圧をパルス幅に変換するための変換用三角波を一定の周波数で発振させるための発振器である。
ERA2 は,電流センス抵抗R21の電圧を測定するための誤差増幅器である。同期整流制御回路25は,同期整流を行うための制御回路であり,PWM比較器23の出力がOFF状態であることと,誤差増幅器ERA2 の出力が一定値以下であることを検出して,Highレベルを出力することで,チョーク・コイルL21に蓄積されたエネルギーがフライホィール・ダイオードD21を介して出力側に放出されている期間,同期整流用トランジスタTr22をONにする。
チャージポンプ回路28は,スイッチング用メイン・トランジスタTr21および同期整流用トランジスタTr22をONさせるのに必要な電圧を,ドライブ回路24/ドライブ回路26に与えるための電源回路である。
ドライブ回路24は,スイッチング用メイン・トランジスタTr21を駆動するための駆動回路であり,PWM比較器23の出力がONである期間,メイン・トランジスタTr21をドライブしてONさせる。
ドライブ回路26は,同期整流用トランジスタTr22を駆動するための駆動回路であり,スイッチング用メイン・トランジスタTr21がOFFである期間に,チョークコイルL21に蓄積されたエネルギーがフライホィール・ダイオードD21を介して出力側に放出されている期間,同期整流用トランジスタTr22をドライブしてONさせる。
FET3 は,DC−DCの停止時にソフトスタート用コンデンサC22の電荷を放電させて,その両端の電位を0Vに設定するためのクイック・スタート用スイッチ回路である。定電流回路i2 は,スイッチ回路FET3 がOFF時にソフトスタート用コンデンサC22を充電して,一定の時間でコンデンサC22の電位を上昇させるための充電回路である。
同期整流型DC−DCの制御については,ごく一般的なPWM制御方式のDC−DCであるため,DC−DCの動作そのものについての詳細な説明は省略し,ここでは,本方式の目的であるDC−DC切断時のシーケンス制御に関する部分についてのみ説明する。また,誤差増幅器21に接続されるソフトスタート用コンデンサC22と定電流回路i2 およびスイッチ回路FET3 については,図3等で既に説明した本発明の構成に関する部分と同様であるため,詳細な説明は省略する。
ここでは,本方式の特徴であるノット回路NOT2 ,アンド回路AND2 およびオア回路OR1 から構成される負荷容量放電制御回路の部分についてのみ説明する。
図13(B)において,DC−DC制御回路200に入力されるON信号は,この制御回路全体の動作のON/OFFを外部から制御するための制御信号であり,この信号がHighレベルであるときDC−DC制御回路200は動作し,LowレベルのときDC−DC制御回路200は停止する。
また,同様にDC−DC制御回路200に入力されるDSCHG信号は,DC−DCの停止時にDC−DCの出力電圧を強制的に零ボルト(0V)にして負荷容量を放電させる回路の有効/無効を指示するための外部制御信号であり,この信号がHighレベルであるとき負荷容量放電機能は有効であり,Lowレベルのとき負荷容量放電機能が無効であることを指示する。
ノット回路NOT2 は,DC−DCのON信号がHighレベルのときLowレベルを出力し,DC−DCのON信号がLowレベルのときHighレベルを出力する回路である。アンド回路AND2 は,ノット回路NOT2 の出力とDSCHG信号の両方がHighレベルを出力しているときHighレベルを出力する回路である。オア回路OR1 は,アンド回路AND2 の出力と同期整流制御回路25の出力のいずれかがHighレベルを出力しているときHighレベルを出力する回路である。
DC−DCのON/OFFを制御するON信号がHighレベルを出力しているとき,ノット回路NOT2 はLowレベルを出力するため,アンド回路AND2 もLowレベルを出力する。従って,オア回路OR1 は同期制御回路25の出力をそのままドライブ回路26に出力する。このため,回路全体の動作に影響を与えない。
また,DC−DCのON/OFFを制御するON信号が,Lowレベルを出力しているとき,ノット回路NOT2 はHighレベルを出力するが,DSCHG信号がLowレベルを出力しているときは,アンド回路AND2 はLowレベルを出力するため,オア回路OR1 は同期制御回路25の出力をそのままドライブ回路26に出力することとなり,回路全体の動作に影響を与えない。
一方,DC−DCのON/OFFを制御するON信号がLowレベルを出力し,かつDSCHG信号がHighレベルを出力しているときは,アンド回路AND2 もHighレベルを出力するため,オア回路OR1 は常にHighレベルを出力し,ドライブ回路26を介して同期整流用トランジスタTr22を常にON状態とする。その結果,DC−DCの出力回路は同期整流用トランジスタTr22によってグランド側に短絡されるため,0Vを出力することとなる。
従って,DC−DCのON信号がHighで,かつDSCHG信号がLowレベルを出力しているときは,アンド回路AND2 は常にLowレベルを出力しているため,DC−DCの動作は従来と変わらない。DSCHG信号をHighレベルにしておくと,DC−DCのON信号がHighのときは,従来通りのDC−DC動作を行うが,DC−DCのON信号をLowにすると,従来はDC−DCが停止するだけであるが,本方式ではDC−DCが停止すると同時に同期整流用トランジスタTr22によってDC−DCの出力側をグランド電位に短絡することで,DC−DCの負荷側の容量を強制的に放電する。このため,DC−DCに接続される負荷の軽重によらず,概ね一定の時間でDC−DCの出力電圧を0Vに設定することが可能となる。
このDC−DCの立ち上がり立ち下がり特性は,前述した図12に示す特性と同様である。
以上説明したように,従来方式では,DC−DCを停止させた直後のDC−DCの出力電圧の状態は,負荷容量と負荷の軽重により出力電圧が0Vになるまでには時間差があり,このときも電源のシーケンスが守られていないと半導体デバイスがラッチアップを起こしてしまうという問題点があったが,本方式によれば,DC−DC停止時に同期整流用トランジスタTr22(FET)を強制的にON状態として負荷容量を放電させるので,複数の電源間でOFFタイムが異なる問題を回避することが可能となる。
図14は,DC/DC−1とDC/DC−2の間で,電源の投入・切断シーケンスを制御したい場合の本方式による実現例を示す。
図14においてDC/DC−1およびDC/DC−2は,図13に示すDC−DCと同じものである。電源投入時のシーケンス制御については,図7で既に説明した通り,DC/DC−1の出力電圧立ち上がり特性は負荷の軽重に依存することなくソフトスタート用コンデンサC221 の容量値によって決まる。同様に,DC/DC−2の出力電圧立ち上がり特性も負荷の軽重に依存することなく,ソフトスタート用コンデンサC222 の容量値によって決まる。従って,DC/DC−1を先に立ち上げ,DC/DC−2を後から立ち上げる場合には,先に立ち上げるDC/DC−1のソフトスタート用コンデンサC221 の容量値を,後から立ち上げるDC/DC−2のソフトスタート用コンデンサC222 の容量値よりも小さく設定することで実現が可能となる。
また,DC/DC−1およびDC/DC−2の停止直後の動作についても,図13で既に説明した通りである。
この様子を図15に示す。
図15において,DC/DC−1とDC/DC−2の両方の電源を同時に投入するために,DC−DCのON/OFFを制御するON信号がDC/DC−1とDC/DC−2の両方に共通に接続される。また,DC−DC出力容量放電機能を有効にするためのDSCHG信号も,DC/DC−1とDC/DC−2の両方に共通に接続され,Highレベル信号が印加される。
DC/DC−1のソフトスタート用コンデンサC221 の値は,DC/DC−1の出力電圧がT1 時間で立ち上がるような値に設定される。同様にDC/DC−2のソフトスタート用コンデンサC222 の値もDC/DC−2の出力電圧がT2 時間で立ち上がるような値に設定される。
DC−DCのON/OFFを制御するON信号がLow状態のとき,DC/DC−1とDC/DC−2の両方は停止状態である。DC−DCのON信号が時間T0 においてLow状態からHigh状態に変化すると,DC/DC−1およびDC/DC−2は同時に電源投入シーケンスに入る。
DC/DC−1はソフトスタート用コンデンサC221 の値に従って,時間T1 に定格出力電圧Vo1 に達する。同様に,DC/DC−2もソフトスタート用コンデンサC222 の値に従って,時間T2 に定格出力電圧Vo2 に達する。
次に,時間T3 にDC−DCのON/OFFを制御するON信号がHigh状態からLow状態に変化すると,DC/DC−1は動作を停止するが,DSCHG信号にHighレベルが印加されているために,DC/DC−1は同期整流用トランジスタTr221 をONとして強制的に負荷容量を放電し,時間T4 にDC/DC−1の出力電圧は0Vに達する。同様に,DC/DC−2は動作を停止するが,DSCHG信号にHighレベルが印加されているために,DC/DC−1は同期整流用トランジスタTr221 をONとして強制的に負荷容量を放電し,時間T4 にDC/DC−2の出力電圧も0Vに達する。
従って,各々のDC−DCの出力電圧立ち下がり時間を概ね同時刻とすることができる。
図16は,DC/DC−3とDC/DC−4の間で,電源を同時に投入・切断する場合のソフトスタート用コンデンサの接続例を示す図である。
図16において,DC/DC−3とDC/DC−4の両方の電源を同時に投入するために,DC−DCのON/OFFを制御するON信号がDC/DC−3とDC/DC−4の両方に共通に接続される。また,DC−DC出力容量放電機能を有効にするためのDSCHG信号も,DC/DC−3とDC/DC−4の両方に共通に接続され,Highレベル信号が印加される。
DC−DCのON/OFFを制御するON信号がLow状態のとき,DC/DC−3とDC/DC−4の両方は停止状態である。DC−DCのON信号がLow状態からHigh状態に変化すると,DC/DC−3およびDC/DC−4は同時に電源投入シーケンスに入る。このとき,ソフトスタート用コンデンサC223 はDC/DC−3とDC/DC−4の両方に共通接続されているため,DC/DC−3の基準電圧とDC/DC−4の基準電圧は同時に0Vからスタートし,徐々に上昇しながら同時に基準電圧e2 の値に達する。
上記のことを図17で説明すると,時間T0 にON信号がHighになると,DC/DC−3およびDC/DC−4の両方の動作が開始し,ソフトスタート用コンデンサC223 の両端の電圧が0Vから徐々に上昇して,時間T1 に基準電圧e2 の値になる。
それにつれて,DC/DC−3の出力電圧も0Vから徐々に上昇していき,時間T1 に規定電圧Vo3 になる。同様に,DC/DC−4の出力電圧も0Vから徐々に上昇していき,時間T1 に規定電圧Vo4 になる。このとき,DC/DC−3の出力電圧値が時間T0 に0Vが指示され,時間T1 にVo3 になるように指示される。従って,DC/DC−3の出力電圧はDC−DCの負荷の軽重に依存せずに時間T0 に0Vを出力し,時間経過と共に徐々に上昇し時間T1 に規定電圧Vo3 に達する。
同じく,DC/DC−4の出力電圧値が時間T0 に0Vが指示され,時間T1 にVo4 になるように指示される。従って,DC/DC−4の出力電圧はDC−DCの負荷の軽重に依存せずに時間T0 に0Vを出力し,時間経過と共に徐々に上昇し時間T1 に規定電圧Vo4 に達する。
次に,時間T2 にDC−DCのON/OFFを制御するON信号がHigh状態からLow状態に変化すると,DC/DC−3は動作を停止する。このとき,DSCHG信号にHighレベルが印加されているために,DC/DC−3は同期整流用トランジスタTr223 をONとして強制的に負荷容量を放電し,時間T3 にDC/DC−3の出力電圧は0Vに達する。同様に,DC/DC−4は動作を停止するが,DSCHG信号にHighレベルが印加されているために,DC/DC−4は同期整流用トランジスタTr224 をONとして強制的に負荷容量を放電し,時間T3 にDC/DC−4の出力電圧も0Vに達する。
従って,各々のDC−DCの出力電圧立ち下がり時間を概ね同時刻とすることができる。
以上のように同期整流方式の降圧型DC−DCにおいて,DC−DC停止時に同期整流用トランジスタ(FET)を強制的に導通状態に制御する回路を設け,DC−DC出力負荷容量を強制放電させるようにしたことで,DC−DC停止時に出力電圧が0Vに達するまでの遷移時間を制御することが可能となった。