JP2004073013A - 麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質の大量発現系 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プロモーターとしてポックスウイルスのA型封入体(ATI)プロモーター及び/又は複数反復するワクシニアウイルス7.5K前期発現プロモーターを用い、そのプロモーターの下流に、麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質の遺伝子を連結し、3´末端にヒスチジン標識配列(His標識)を挿入し、これを弱毒ワクシニアウイルスLC16mO(mO)株に導入することにより、天然の麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質の抗原性を保持する血球凝集素タンパク質を、高発現で発現するとともに、その生産物から該血球凝集素タンパク質を効率的かつ迅速に精製することを可能とした。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質(MVH)としての生物学的活性及び抗原性を保持し、抗麻疹ウイルス抗体との反応性が高い麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質を、大量発現し、分離・精製して取得する方法、そのための遺伝子発現用組換えベクター及び該タンパク質を高発現で発現する遺伝子組換えウイルス、更には該タンパク質を抗原として用いて、抗麻疹ウイルスの抗体価を診断する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
麻疹の病原体である麻疹ウイルス(MV)は、世界中に広く分布しており、このウイルスは極めて伝染力が強いことで知られている。ヒトに飛沫感染すると、主として呼吸器系と細網内皮組織を侵し、急性伝染性疾患を発症する。罹病すると、麻疹ウイルスによる赤い発疹を生じ、高熱、カタルなど全身にわたる症状を呈し、重症例では、高熱、痙攣、循環不全、意識障害から昏睡へと移行する。
この疾患の予防には、麻疹生ワクチンによる能動免疫、ヒト免疫グロブリンによる受動免疫などがある。
【0003】
麻疹ウイルス(MV)は、モノネガウイルス目パラミクソウイルス科モルビリウイルス属に属する。ビリオンは、直径約150nmの略球形を呈し、脂質二重膜からなるエンベロープを有する。そのエンベロープの全面には、H(haemagglutinin;血球凝集素)タンパク質とF(fusion)タンパク質とがスパイク状に突起し、その基底はエンベロープ下面のマトリクス膜タンパク質で支持されている。エンベロープ内側に存在するヌクレオキャプシドは、麻疹ウイルスゲノムである全長約16kbの線状単鎖(−)センスの遺伝子RNAとタンパク質からなる。
従来、麻疹の予防には弱毒麻疹生ワクチン株ウイルスが用いられているが、該弱毒麻疹生ワクチン株ウイルスとしては、CAM−70、Schwarz FF8、AIK−C、AIK−HDC、TD−97、Moraten、Connaughtなどの株が知られている(Vaccines 2, 238−239, 1994)。
【0004】
麻疹ウイルス(MV)のHタンパク質すなわち麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質は、麻疹ウイルス抗原として有用である。このウイルス抗原を用いて、麻疹ウイルスの診断が可能となる。この麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質(MVH)については、近年、いくつかの報告がある。
MVHは、その免疫原性並びに正確な細胞内輸送、ホールディング及びオリゴマー形成などの生物活性を発揮するため、糖鎖修飾(グリコシル化)を含む正しい翻訳後修飾を受けなくてはならないことが報告されている(Arch. Virol. 136, 239−253, 1994、J. Gen. Virol. 75, 1043−1052, 1994)。
【0005】
また、MVHは、宿主細胞表面の受容体分子(例えばCD46、モエシン及びSLAM)に結合するMVエンベロープ糖タンパク質であり(Cell 75, 295−305, 1993、J. Virol. 67, 6025−6032, 1993、Virology 198, 265−274, 1994、Nature 406, 893−897, 2000)、MVHが、RBC上のCD46分子に結合することから、アフリカミドリザル(AGM)の赤血球(RBC)を凝集させるMVの能力は、そうした結合によるものと考えられている(J. Virol. 71, 6144−6154, 1997)。
【0006】
更に、MVHは、他のMVエンベロープ糖タンパク質である融合(F)タンパク質と協同して、ウイルスのエンベロープと宿主細胞膜との融合を促進する(J.Gen. Virol. 72, 439−442, 1991、J. Gen. Virol. 74, 2365−2372, 1993、Virology 200, 11−20, 1994)。また、MVHは、麻疹ウイルス(MV)感染において、体液性及び細胞性免疫を引き起こす主な標的抗原のひとつであり(Prog. Med. Virol. 36, 1−33, 1989、J. Gen. Virol. 72, 2491−2500, 1991、Curr. Top Microbiol. Immunol. 189, 109−121, 1994、Curr. Top Microbiol. Immunol. 189, 151−167, 1994、J. Infect. Dis. 177, 1282−1289, 1998、J. Clin. Invest.102, 1969−1977, 1998)、MVHに対する抗体は、麻疹ウイルス(MV)の中和を促し、MV感染防止に関わっている(J. Gen. Virol. 72, 2491−2500, 1991、J. Infect. Dis. 162, 1036−1042, 1990、Virology 144, 46−58, 1985、J. Clin. Microbiol. 36, 721−726, 1998)。
【0007】
従来、MVHを取得するには、精製麻疹ウイルス(MV)ビリオン(ビリオン:ウイルス粒子)の可溶化と数行程のカラムクロマトグラフィーを組み合わせることにより(J. Gen. Virol. 56, 185−193, 1981、J. Gen. Virol. 69, 2061−2069, 1988、Arch. Virol. 69, 513−516, 1995)、あるいはMVHのモノクローナル抗体を併用したアフィニティークロマトグラフィーカラムにより(Infect. Immun. 32, 1051−1057, 1981、J. Gen. Virol. 75, 355−366, 1984)、精製されてきた。
【0008】
しかし、これらの方法にはいくつかの制限があった。例えば、充分な量の精製ウイルス粒子を入手するのは、集約的で費用のかさむ仕事であり、また、MVH以外のウイルス成分を最終調製物から完全に除去するのは不可能であつた。更に、後者のアプローチでは、溶出段階におけるタンパク質の変性が避けられない場合があり、こうした制限のため、今まで、MVHとしての生物活性と抗原性を保持しつつ、尚且つ、高い回収率と精製度でMVHを取得する方法が開発できずにきた。したがって、MVHを診断薬等として実用化するためには、抗原性の優れたMVHを大量に生産できる方法の開発が強く望まれていた。
【0009】
一方で、MVHのような糖鎖を含有するタンパク質を製造するためには、従来より、タンパク質をコードする遺伝子を用いて、遺伝子工学技術により製造する方法が行われてきた。
今日までに、真核生物の膜糖タンパク質を効率的に発現させるための、数多くのウイルス発現系が開発されてきた(J. Gen. Virol. 64, 255−266, 1983、Adv.Virus Res. 35, 177−192, 1988)。そのなかでも、ワクシニアウイルス(VV)発現ベクター(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79, 4927−4931, 1982、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79, 7415−7419, 1982)は、発現効率が高く、宿主が広範囲にわたること、及び外来遺伝子に対する収容性が非常に大きなこと(少なくとも35kb)から、特に有用な手段として知られている(J. Gen. Virol. 67, 2067−2082, 1986、Science 252, 1662−1667, 1991)。そのうえ、それらが適切な宿主細胞に感染すると、タンパク質産物に対する正しい翻訳後修飾が確実に行われるようになる。
【0010】
しかし、ワクシニアウイルス(VV)系でひとつ不利な点は、場合によってはワクシニアウイルス(VV)がヒトに対して病原性をもつことである。この問題を克服するため、数種の弱毒ワクシニアウイルス(VV)株が開発された。そのなかには、リスター株由来のLC16mO(mO)株とLC16m8株も含まれる。これらは高度弱毒ワクチン株で、その神経毒性及び動物の皮膚中での増殖程度は、元のウイルスよりもかなり低いものである。ワクチン接種を受けていないヒトに対してこれらの株が安全に使用できることは、幼児を対象とした臨床試験により証明されている(Elsevier, Amsterdam,87−100, 1985)。
【0011】
ワクシニアウイルス(VV)ベクター系は、自らのプロモーターの制御下で外来遺伝子を発現する。牛痘ウイルスA型封入体(ATI)後期プロモーターと、修飾p7.5−kDaプロモーターの縦列型反復配列からなる、2つの高効率合成プロモーター、PSFJ1−10及びPSFJ2−16が開発されている(Arch. Virol. 138, 315−330, 1994)。これらのプロモーターの効率は、PSFJ2−16プロモーターの制御下でクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼが発現したとき、その産物が全細胞タンパク質に占める割合が18%だったという観察結果によって明らかになっている。そうした発現レベルの高さは、VV−T7 RNAポリメラーゼハイブリッド系よりも高く、バキュロウイルスベクターについて報告されているものに近い(Arch. Virol. 138, 315−330, 1994、Curr. Opin. Biotechnol. 8, 573−577, 1997、Mol. Cell. Biol.7 2538−2544,1987)。
【0012】
真核生物の膜糖タンパク質を効率的に発現させるための、ウイルス発現系として、バキュロウイルスを用いたタンパク質発現系が知られている。この発現系はバキュロウイルスの一種である核多角体病ウイルス(NPV)のゲノムDNAの一部を外来遺伝子と組換え、NPVのもつ強力プロモーターを利用して外来遺伝子産物を大量発現する系である。バキュロウイルスで発現したタンパク質は、糖鎖、脂肪酸の付加、リン酸化などの翻訳後修飾が本来のものと同じように行われ、その結果、高次構造や生物学的活性においては、ほぼ本来のものと同様であることが多いと報告されている。しかし、グリコシル化は不完全な場合が多い。
【0013】
以前の報告に、バキュロウイルス発現系によるMVHの発現が記載されている(J. Virol. 64, 37−50, 1990、Virus Res. 26, 167−175, 1992)が、その産物には大量(全産生量のおよそ半分)の非グリコシル化血球凝集素タンパク質分子が含まれていることが報告されている(J. Virol. 64, 37−50, 1990)。血球凝集素タンパク質の機能的完全性及び抗原性には正しい翻訳後グリコシル化が不可欠であるため(Arch. Virol. 136, 239−253, 1994、J. Gen. Virol. 75, 1043−1052, 1994)、変性した非グリコシル化分子によってそのように広範囲に汚染されるのは、重大な問題となる場合がある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、麻疹ウイルス(MV)血球凝集素タンパク質としての抗原性を保持し、抗麻疹ウイルス抗体との反応性が高い麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質を提供すること、及び該タンパク質を高発現で発現する遺伝子組換えウイルス、該ウイルスを用いた麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質の大量発現及び発現したタンパク質を迅速に精製する方法を提供すること、更には該タンパク質を抗原として用いて、抗麻疹ウイルスの抗体価を診断する方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究の結果、プロモーターとしてPSFJ1−10とPSFJ2−16(ポックスウイルスのA型封入体(ATI)プロモーターより成る合成プロモーターと複数反復するワクシニアウイルス7.5K前期発現プロモーターより成る合成プロモーター)を用い、そのプロモーターの下流に麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質の遺伝子を連結し、更に、3´末端にNi2+・イミノ−アセト酢酸(Ni2+IDA)カラムによる精製が可能なヒスチジン標識配列(His標識)を挿入し、これを弱毒ワクシニアウイルスLC16mO株に導入した。この方法により、麻疹ウイルス(MV)血球凝集素タンパク質としての抗原性を保持し、抗麻疹ウイルス抗体との反応性が高い麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質を高発現する遺伝子組換えウイルスを構築することができた。しかもその生産物から一行程のアフィニティークロマトグラフィーで、血球凝集素タンパク質を精製することが可能な麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質の大量取得方法を見い出し本発明を完成するに至った。
【0016】
本発明は、該方法における遺伝子発現用ベクタープラスミド、該プラスミドを弱毒ワクシニアウイルスに導入した組換えワクシニアウイルスを含み、更に、該方法により取得した麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質を、抗麻疹ウイルスの抗体価の診断への利用を含むものである。
【0017】
すなわち本発明は、ポックスウイルスのA型封入体(ATI)プロモーター及び/又は複数反復するワクシニアウイルス7.5K前期発現プロモーターの下流に、麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質の遺伝子を連結したことを特徴とする麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質の遺伝子発現用ベクタープラスミド(請求項1)や、麻疹H遺伝子の3´末端に、ヒスチジン標識配列を挿入したことを特徴とする請求項1記載の麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質の遺伝子発現用ベクタープラスミド(請求項2)や、請求項1又は2記載の麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質の遺伝子発現用ベクタープラスミドを、弱毒ワクシニアウイルス株に導入したことを特徴とする麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質の大量発現用組換えワクシニアウイルス(請求項3)や、ワクシニアウイルス株が、弱毒ワクシニアウイルスLC16mO株であることを特徴とする請求項3記載の麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質の大量発現用組換えワクシニアウイルス(請求項4)や、請求項3又は4のいずれか記載の組換えワクシニアウイルスを動物細胞に感染させ、培養することを特徴とする麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質の大量発現方法(請求項5)や、動物細胞が、ウサギ腎臓細胞RK13又はシリアンハムスター腎臓細胞BHK−21であることを特徴とする請求項5記載の麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質の大量発現方法(請求項6)や、請求項5又は6記載の方法で発現した麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質を採取し、アフィニティークロマトグラフィーで精製することを特徴とする麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質の大量取得方法(請求項7)からなる。
【0018】
また本発明は、請求項7の方法により、分離精製した麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質(請求項8)や、請求項8記載の麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質からなる抗麻疹ウイルス抗体検出用抗原(請求項9)や、請求項9記載の抗麻疹ウイルス抗体検出用抗原を用いることを特徴とする抗麻疹ウイルス抗体価の診断方法(請求項10)からなる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明は、麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質の遺伝子高発現用ベクタープラスミドを構築するために、PSFJ1−10とPSFJ2−16(ポックスウイルスのA型封入体(ATI)プロモーターより成る合成プロモーターと複数反復するワクシニアウイルス7.5K前期発現プロモーターより成る合成プロモーター)の下流に、麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質の遺伝子を連結することよりなる。該プロモーターは、ワクシニアウイルス(VV)ベクター系用のプロモーターとして開発されたもので、ポックスウイルス(牛痘ウイルス)A型封入体(ATI)後期プロモーター、及び複数反復するワクシニアウイルス7.5K前期発現プロモーターとを連結した高効率合成プロモーター(PSFJ2−16)として開発されている(Arch. Virol. 138, 315−330, 1994;特開平6−237773号公報)。
【0020】
本発明において、麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質の遺伝子を調製するには、公知の弱毒麻疹ワクチン株ウイルス(Vaccines 2, 238−239, 1994)を、適宜、動物細胞中で増殖させた後、該細胞中から全RNAを単離し、逆転写酵素を用いてcDNAを合成することによって調製することができる。例えば、公知の弱毒麻疹ワクチン株ウイルスTD97株を、Vero細胞中で増殖させた後、該細胞から全RNAを抽出単離し、逆転写酵素を用いてcDNAを取得することができる。
【0021】
本発明においては、本発明のベクターを用いて生産した、麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質を容易にカラムクロマトグラフィーにより精製するために、麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質遺伝子の3´末端にヒスチジン標識配列(His−tag)をインフレームで挿入した、麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質の遺伝子高発現用ベクタープラスミドを構築する。ヒスチジン標識配列の挿入は、六量体のヒスチジン配列を含むプライマーによるPCRにより行うことができる。この標識により、ワクシニアウイルスに感染させた細胞の溶解液から、アフィニティクロマトグラフィーの一回の精製行程で、高い精製度を有する麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質を得ることができ、該タンパク質の効率的で、迅速な精製が可能となる。
【0022】
本発明で構築した麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質の遺伝子高発現用ベクタープラスミドを、弱毒ワクシニアウイルス株に導入することによって、麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質の大量発現用組換えワクシニアウイルスを構築することができる。該ワクシニアウイルス株としては、特に弱毒ワクシニアウイルスLC16mO株が好ましい(千葉県血清研究所が以前より保有;臨床とウイルス 3, 229−235, 1975)。組換えワクシニアウイルスの作製には、構築した高発現用ベクタープラスミドを常用のトランスフェクション法により弱毒ワクシニアウイルス株に導入して行うことができる。該トランスフェクションは、常用のエレクトロポーレーションにより実施することができる。
【0023】
本発明において、麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質の大量発現用組換えワクシニアウイルスを用いて、麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質を高発現するには、該発現用組換えワクシニアウイルスを適宜の動物細胞に感染させ、培養することによって、行うことができる。動物細胞としては、BHK−21細胞、RK13細胞、CV−1細胞、Vero細胞及びHeLa細胞等公知のものを挙げることができるが、特に好ましい動物細胞として、BHK−21細胞及びRK13細胞を挙げることができる。
【0024】
本発明において、麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質を取得するには、麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質の発現用組換えワクシニアウイルスを感染させて培養した動物細胞を溶解し、該溶解液をアフィニティクロマトグラフィーにかけて精製することにより行うことができる。本発明においては、麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質の遺伝子発現ベクターにヒスチジン標識配列を挿入して、生成タンパク質にHis標識を付与したことによって、該タンパク質をアフィニティクロマトグラフィーを用いて精製するに際して、効率的で迅速な精製を可能とした。
【0025】
本発明の方法で取得した麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質は、麻疹ウイルス(MV)血球凝集素タンパク質としての抗原性を保持し、抗麻疹ウイルス抗体との反応性が高いという優れた特性を有することから、麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質の抗原として、抗麻疹ウイルスの抗体価の診断に用いることができる。本発明により、麻疹ウイルスの抗原タンパク質の大量取得が可能となったことと相俟って、本発明の麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質抗原は、麻疹ウイルスの実用的な診断薬としての利用を可能とするものである。本発明の麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質抗原を用いて、麻疹ウイルスの診断を実施するには、この分野の常法により実施することができる。また、かかる麻疹ウイルスの診断に際しては、本発明の麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質抗原をセットした麻疹ウイルス診断用のキットとして、製品化しておくことも可能である。
【0026】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
[発現ベクタープラスミドの構築及び発現用組換えワクシニアウイルスの作製](細胞及びウイルス)
5〜10%のウシ胎児血清(FCS)を添加したMinimal Eagle’s Medium (MEM)中で、BHK−21細胞、CV−1細胞、RK13細胞、Vero細胞及びHeLa細胞を培養した。麻疹ウイルス(MV)ワクチン株TD97(J. Med. Virol. 32, 194−201, 1990)を、Vero細胞に接種し、32℃で培養した。弱毒ワクシニアウイルスLC16mO(medium pock size clone original;mO)株及びその組換え体を常法で増殖させ、34又は35℃で培養を行った。TD97株を文献(J. Med. Virol. 32, 194−201, 1990)記載のとおり精製した。
【0027】
(麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質(MVH)遺伝子及びF遺伝子cDNAの調製)
酸性フェノール−グアニジンチオシアネート−クロロホルム抽出(acid phenolguanidium thiocyanate−chloroform extraction;APTC法)(NIPPON GENE社製)により、TD97株を感染させたVero細胞から全RNAを単離した。ランダム六量体プライマーとMMTV逆転写酵素(Amerciam Pharmacia Biosystem社製)を用いて、ウイルスcDNAを合成した。MVH遺伝子及びF遺伝子のcDNA(ヌクレオチド領域はそれぞれ7154nt〜9738nt(図1C1)及び5424nt〜7186nt(図1C2)であり、各遺伝子のオープンリーディングフレームをすべて含んでいる)をPCRで増幅した。その際に、7154nt〜9738nt領域のセンスプライマーとして5’−TTCGTCATCAAGCAACCACC−3’(配列番号1)、アンチセンスプライマーとして5’−AAACAGAAAGGGCTCAAACCA−3’(配列番号2)、並びに5424nt〜7186nt領域のセンスプライマーとして5’−GAATCCCAGAATCAAGACTCATCC−3’(配列番号3)、アンチセンスプライマーとして5’−TGATGCTGGGTGCGGTGGTTGCTT−3’(配列番号4)のプライマー対を使用した。
【0028】
(トランスファーベクタープラスミドのpSFTDH/HisX1、pSFTDH/HisC2、及びpSFTDF1の作製)
増幅した麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質(MVH)遺伝子cDNAをまずPac Iで切断し、平滑化し、その後EcoR Iで切断し、トランスファーベクターpSFJ1−10(図1A)のSma I部位とEcoR I部位との間に挿入し、プラスミドをpSFTDH1とした。pSFTDH1の3’末端(MVH遺伝子の終止コドンより9コドン上流)に位置するXma I部位に、六量体のヒスチジン(His6)をコードする合成DNAを、インフレームで挿入することで、pSFTDH/HisX1を作製した(図1D2)。鋳型DNAとしてpSFTDH1を使用し、センスプライマーとして5’−ACAATGTCACCACAACGAGACCGGATAAATGCCTTC−3’(配列番号5)、アンチセンスプライマーとして5’−CTAATGATGATGATGATGATGTCTGCGATTGGTTCCATCT−3’(配列番号6)を用いたPCRにより、MVH遺伝子の3’末端にHis標識配列をインフレームで追加した(図1D3)。
【0029】
増幅したDNAをpCRIIプラスミド(Invitorogen社製)に直接クローニングした。His標識MVH遺伝子の配列をDNAシークエンスで確認した後、キメラpCRIIプラスミドを分断し、pSFJ2−16のマルチクローニング部位におけるEcoR I部位に、MVH遺伝子を挿入し(図1B)、pSFTDH/HisC2を作製した。F遺伝子cDNAをpCRIIプラスミドに直接クローニングし、Tfi Iで消化後、平滑化した。その後、EcoR Iで切断し、トランスファーベクターであるpSFJ1−10のSma I部位とEcoR I部位との間に挿入し、pSFTDF1を作製した。
【0030】
(エレクトロポレーション法によるプラスミドDNAのトランスフェクション)トリプシン処理を行った後、無血清MEMで1度洗浄し、1×HeBS溶液(20mMのHepes、137mMのNaCl、5mMのKCl、0.7mMのNa2HPO4、6mMのスクロース、pH7.05)で2度洗浄したワクシニアウイルスLC16mO株感染細胞へ、10μgのプラスミドDNAをエレクトロポレーター(BTX社製)を用いてエレクトロポレーションを行った。細胞を10分間室温で放置した後、10%のFCSを添加し、事前に温めておいたMEMに穏やかに再懸濁させ、5%のCO2下において35℃で培養した。
【0031】
(間接免疫蛍光分析法)
カバーガラス上で単層化したウイルス感染細胞を、5%のパラホルムアルデヒドで固定し、ウサギ抗MVHポリクローナル抗体(NIHのT. Kohama博士より供与されたもの)又は抗His6モノクローナル抗体(R & D Systems社製)と反応させた。その後、FITC標識ヤギ抗ウサギIgG抗体(MBL社製)又は抗マウスIgG抗体(MBL社製)を、二次抗体として使用した。
【0032】
(組換えワクシニアウイルス(VV)の作製)
1細胞あたり0.02pfuのmO株に感染させたRK13細胞に、前記トランスファーベクタープラスミドをトランスフェクションした。48時間培養した後、ウイルスを回収し、AGMのRBCを血球吸着するプラーク(HAD+)から、麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質(MVH)を発現している組換えワクシニアウイルス(VV)を回収した。AGMのRBCには、MVHにより特異的な血球凝集が生じる。Fタンパク質を発現している組換えウイルスを、ニワトリRBCを使用したときにHAD−だったプラークから回収した。外来遺伝子をワクシニアウイルス(VV)血球凝集素遺伝子に挿入すると、血球凝集しなくなる。HAD表現型の検査をして、MVHを発現する組換えウイルス及びFを発現する組換えウイルスをさらに3回プラーク精製した。pSFTDH/HisX1、pSFTDH/HisC2又はpSFTDF1を使用して作製した組換えウイルスを、それぞれmOTDH/HisX1、mOTDH/HisC2又はmOTDF1と表示した。
【0033】
[麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質(MVH)の精製]
(His標識MVHの精製)
ローラーボトル(roller bottle)(85cm2、Corning Incorporated社製)で培養したRK13又はBHK−21の単層細胞を、1細胞あたり0.1pfuの前記組換えウイルスを感染させた。培養開始から48〜72時間後、ボトルを振盪して細胞を遊離させ、3500×gで30分間の遠心分離を行って、細胞を回収した。1ボトルあたり10mLの溶解緩衝液(50mMのリン酸緩衝液、500mMのNaCl、50mMのイミダゾール、1%のTriton X−100、pH7.4)を添加して、細胞溶解液を調製した。超音波処理を軽く施し、10000×gで30分間遠心分離を行い上澄液を得た。10mLの洗浄緩衝液(50mMのリン酸緩衝液、500mMのNaCl、50mMのイミダゾール、0.1%のTriton X−100、pH7.4)で平衡させておいたNi2+IDAアガロース樹脂カラム(カラム容量=1mL、Amerciam Pharmacia Biosystem社製)に、上澄液を加えた。
【0034】
10mLの洗浄緩衝液で洗浄した後、His標識MVHを50−500mMのイミダゾール濃度勾配で溶出させた。SDS−PAGEにより、各画分(fraction)を還元条件下(reduced condition)で分析した。温度を6℃に維持したクロマトグラフィーチャンバーに備え付けたオートマティッククロマトグラフィーシステム(Amerciam Pharmacia Biosystem社製)で、精製におけるすべての段階を制御した。ピーク画分を0.1%のTriton X−100を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS);pH7.4中で透析して、限外濾過膜(カットオフ=50kDa、Pall Filtration Corporation社製)で濃縮した。ウシ血清アルブミン(BSA)を標準タンパク質として使用したビシンコニン酸(BCA)タンパク質分析(Pierce Chemical Company社製)により、タンパク質濃度を定量した。
【0035】
[生成した麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質(組換えMVH)の同定]
(組換えMVHを使用したELISA)
96ウェルプレート(Nalge Nunc International社製)の各ウェルに対して、100μLの精製組換えMVH(TDH/HisX1については11μg/mL、TDH/HisC2については6μg/mL)、又はTD97株由来の精製ウイルス粒子(5μg/mL)でのコーティングをPBS中で行い、プレートを4℃に一晩放置した。洗浄とブロッキングの後、0.05%のTween 20を含むPBS(PBS−T)で2倍段階希釈した血清サンプルを、100μL/ウェルでウェルに添加し、37℃で1時間保温した。その後の行程を、市販のELISAキットの指示(Dade Behring Marburg GmbH社製)にしたがって行った。450nmにおける各ウェルの吸光度を、ELISAリーダー(Nalge Nunc International社製)で測定した。標準血清(中和試験力価=27/25μL)について、抗MV ELISA価を平行線定量法(parallel line assay method)で計算した。
【0036】
(中和試験(NT))
およそ60〜80pfuを含むMV溶液(50μL)を、4倍段階希釈した50μLの血清サンプルと混合した。37℃で2時間保温した後、かかる混合物50μL/ウェルを24ウェルマルチプレート中のVero細胞の単層上に接種し、5%のCO2下において、35℃で1時間吸収させた。その後、5%のFCS及び0.8%の寒天を含む1mL/ウェルのMEM(寒天培地)を添加し、細胞を34℃で7日間培養した。ニュートラルレッド染色後、各ウェルのプラークを計数した。プラークの数をウイルスコントロールの50%に削減した血清希釈倍数をNT抗体価とした。
【0037】
[生成した麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質(組換えMVH)の同定の結果](His標識MVHの一時的発現)
PSFJ1−10又はPSFJ2−16プロモーターのいずれかのもとで合成されたHis標識MVHの抗原性及び細胞内局在を調べるため、弱毒ワクシニアウイルスLC16mOを感染させたCV−1細胞にpSFTDH/HisX1及びpSFTDH/HisC2をトランスフェクションし、間接免疫蛍光染色によりMVHの細胞内局在を解析した。免疫蛍光染色において異なる2つの抗体、すなわち、組換えMVHの抗原性を調べるためにウサギ抗MVH血清と、抗His6モノクローナル抗体を使用した。後者の抗体を使用して、C末端が外部環境にさらされているII型膜タンパク質である、MVHの外部領域にHisタグ配列が存在するかどうかを確認した。抗MVH抗体を用いると、pSFTDH/HisX1及びpSFTDH/HisC2プラスミドをトランスフェクションした細胞の表面全体に、強い特異的な蛍光が観察された。野生型MVH遺伝子(pSFTDH1)をトランスフェクションした細胞についても、同様のパターンが現れた。
【0038】
抗His6抗体を使用すると、Hisタグ特異的蛍光は、pSFTDH/HisX1及びpSFTDH/HisC2をトランスフェクションした細胞にのみ認められ、pSFTDH1をトランスフェクションした細胞には認められなかった(データは図示せず)。これらの結果から、組換えMVHが正しく配置されていることが確認された。
一時的に発現したHis標識MVHの生物活性を調べるため、mO株に感染させたVero細胞にトランスファーベクタープラスミドをトランスフェクションした。その後、AGMのRBCを用いた血球吸着(HAD)分析で、これらの細胞の試験を行った。宿主細胞に導入した野生型MVH遺伝子(pSFTDH1)により、宿主細胞はAGMのRBCを血球吸着する能力を得た(データは図示せず)。TDH/HisX1又はTDH/HisC2を発現する細胞はすべて、野生型MVHを発現する細胞と同じように、細胞表面上でAGMのRBCを吸着した(データは図示せず)。
【0039】
(組換えワクシニアウイルス(VV)により発現するMVH及びFタンパク質の性質)
組換えVVが産生した麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質(MVH)が、Fタンパク質と協同して細胞融合を仲介する能力を保有しているかどうかを調べるため、F組換え体及び/又はMVH組換え体をHeLa細胞に共感染させた(図2)。多核細胞の形成程度を観察し、膜融合活性を観察した。mOTDH/HisX1(図2D)又はmOTDH/HisC2のみ(図2E)を感染させた細胞では、低いレベルの合胞体形成が認められたが、これは、細胞にmOTDF1(図2F及び2G)と共感染させた場合に比べてかなり低いものであった。非感染細胞(図2A)、mO株感染細胞(図2B)、又はmOTDF1のみ感染させた細胞(図2C)では細胞融合はまったく認められなかった。このように、mOTDH/HisX1及びmOTDH/HisC2により発現したMVHは、細胞表面への輸送が可能であり、Fタンパク質とともに生物活性ヘテロオリゴマーを形成することができる。
【0040】
(組換えMVHの精製度)
各組換えMVHウイルスを感染させたRK13細胞の細胞抽出物をSDS−PAGEで分析すると、組換えMVHは、細胞の全タンパク質のうち、もっとも顕著なバンドで構成されていた(図3Aパネル1)。それらの同一性を、抗MVHウサギ血清を用いたウェスタンブロットで確認した(図3Aパネル2)。予想したとおり、それらの分子量は互いに等しく(およそ76kDa)、野生型MVHの分子量(74.5kDa)よりもやや大きいものであった。
【0041】
各組換えMVHのワクシニアウイルス(VV)を感染させた細胞の溶解液を、Ni2+IDAアガロース樹脂カラムに入れ、50−500mMのイミダゾール濃度勾配で組換えMVHを溶出した。TDH/HisX1及びTDH/HisC2の溶出ピークは、イミダゾールがそれぞれおよそ130mMのときと210mMのときに生じた。SDS−PAGEでは、還元条件下にもかかわらず、精製組換えMVHが二量体及びさらに大型のオリゴマーとして存在することが多かったが、その範囲は一定していなかった(図3Bパネル1、Cパネル1)。それらの相同性をウェスタンブロットで分析した(図3Bパネル2、Cパネル2)。蛍光色素で染色したゲルの蛍光イメージ分析で定量したところ、TDH/HisX1又はTDH/HisC2のピーク画分の精製度は、それぞれ94%(図3Bパネル1)又は98%(図3Cパネル1)を越えていた。精製TDH/HisX1タンパク質及びTDH/HisC2タンパク質の回収率は、BCA分析で測定したところ、それぞれ0.5mg/108細胞(7.5mg/L)と2.8mg/108細胞(42mg/L)だった。
【0042】
(精製したHis標識MVHの生物学的特徴)
精製した組換え麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質(組換えMVH)の生物活性が、野生型タンパク質のものと類似しているかどうかを評価するため、His標識MVHの血球凝集(HA)活性を、濃度40μg/mLで、市販HAのものと比較した(図4)。TDH/HisX1と、とりわけTDH/HisC2のHA活性は、市販のHA抗原(それぞれ32、2048、16HAU/μgのMVH)のものよりも高かった。クロマトグラフィーのピーク画分中のTDH/HisC2も、リン脂質リポソームへの組み込みなどの処理をまったく行わずに、非常に高いHA活性(4062HAU/μg)を示していることに注目すべきである。TDH/HisC2のHA活性は、これまでに報告されたものよりも高い(J. Gen. Virol. 69, 2061−2069、J. Virol. 69, 513−516, 1995、Infect. Immun. 32, 1051−1057, 1981)。
【0043】
精製麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質(精製MVH)が野生型タンパク質と同様の抗原性を持つかどうかを調べるため、麻疹患者及びワクチン被接種者の血清を用いてELISAで調べた。同一血清サンプルの中和抗体価は、それらのプラーク減少法(NT法)に基づいて、平行して調べた。コントロールとして、精製MVウイルス粒子抗原をELISAに用いた。TDH/HisC2を抗原として用いた場合、ELISAに基づく抗体価(ELISA/C2)は、NT法のものと相関性が最も高かった(R2=0.84、P<0.05)(図5C)。この相関係数は、ウイルス粒子使用時(R2=0.69、P<0.05)(図5A)よりも高い。しかし、TDH/HisX1を用いた分析での相関係数(図5B)は、3つの抗原のうちでもっとも低かった(R2=0.49、P<0.05)。これらの結果は、組換えMVH、特にTDH/HisC2が、MVHとしての抗原性を保持していることを示唆している。
【0044】
[本発明の方法及び生成物の評価]
本発明により、精製度の高いMVHを大量に精製する簡単な方法を提供した。この方法は、His標識MVHを発現し、高度弱毒ワクシニアウイルスLC16mO株に由来する組換えワクシニアウイルス(VV)の作製に関するものである。本発明においては、HisタグとVVプロモーターが異なる、2つの別個の組換え体を作製した。どちらの組換え体についても、TDH/HisX1及びTDH/HisC2と名づけた精製度の高いHis標識MVHを感染細胞の溶解液から大量に調製するために、Ni2+IDAカラムを用いたアフニティークロマトグラフィーを1回だけ行えば充分であるというすぐれた効果が確認された。しかも、上記2つの組換え体に由来するHis標識MVHはともに、野生型タンパク質の生物活性をすべて保有しているという、該タンパク質を抗原として利用する場合の優れた特性を備えており、また、そのなかには血球凝集(HA)活性及びFタンパク質と呼応して膜融合を促進する能力も含まれていた。更に、ELISAで測定した抗MV抗血清の抗体価と、NT法で測定した同抗血清の抗体価との間の相関関係に示されたとおり、本発明の手順によって、抗原性が損なわれることはなかった。
【0045】
過去に、GerlierらがMVHの高速精製法(J. Gen. Virol. 69, 2061−2069, 1988)について報告しているが、該従来の方法は、精製ビリオンをMVHの原材料として利用しているものであった(J. Gen. Virol. 69, 2061−2069, 1988、J.Gen. Virol. 56, 185−193, 1981、Arch. Virol. 69, 2061−2069, 1988、J. Virol. 69, 516−513, 1995)。本発明者の推定によると、同量のMVHを得るには、精製TDH/HisC2を作製する本発明者らのシステムに対し、少なくとも400倍のウイルス培養物が必要となる。従来の手順に伴うもうひとつの制限は、他のウイルス成分の汚染を完全には回避できないことである(Arch. Virol. 69,
2061−2069, 1988、J. Gen. Virol. 69, 2061−2069, 1988)。本発明の方法は、いかなる前処理も必要とせず、標的とするタンパク質を、たった1行程の操作で、高精製度(>98%)と高効率(2.8mg/108個又は42mg/L)にて精製できる。
【0046】
また、以前の報告に、バキュロウイルス系によるMVHの発現が記載されていた(J. Virol. 64, 37−50, 1990、Virus Res. 26, 167−175, 1992)が、その産物には大量(全産生量のおよそ半分)の非グリコシル化MVH分子が含まれている(J. Virol. 64, 37−50, 1990)。MVHの機能的完全性及び抗原性には正しい翻訳後グリコシル化が不可欠であるため(Arch. Virol. 136, 239−253, 1994、J. Gen. Virol. 75, 1043−1052, 1994)、変性した非グリコシル化分子によってそのように広範囲に汚染されるのは、重大な問題となる場合がある。SDS−PAGEやウェスタンブロット実験を行うと、本発明により精製取得した組換えMVHにはそのような非グリコシル化分子が含まれていないことがわかる(図3)。
【0047】
MVH調製物が抗原性を保持していることは、精製組換えMVHを用いたELISAで測定した抗血清の価と同抗血清の中和価が相関することにより、示すことができる。TDH/HisC2の相関係数R2は、麻疹ウイルス(MV)ウイルス粒子のもの(図5A)と比べてかなり高く(図5C)、これまで報告されたもののうちで、最高であった(J. Clin. Microbiol. 36, 721−726, 1998)。MVH特異的抗体は麻疹ウイルス(MV)を中和し、ヒトを麻疹ウイルス(MV)感染から防御する免疫に有意に寄与しているため、MVH特異的IgG抗体の測定は、麻疹に対する機能免疫を推定する一助となる(J. Clin. Microbiol. 36, 721−726, 1998)。全麻疹ウイルス粒子(MV)抗原に基づくELISAは、この目的のために日常的に使用されているが、広範囲にわたる抗体を、その機能的活性に関係なく検出してしまう(J. Clin. Microbiol. 19, 376−379, 1984、J. Clin. Microbiol. 30, 564−569, 1992)。結果として、NTのような機能分析法が、麻疹に対する免疫の評価にはより適切だとされている。しかし、NTは、時間を要する診断法である。短期間で多くのサンプルを診断するにはELISAのほうがNTよりも便利なため、精製TDH/HisC2のすぐれた抗原性は、抗MV抗体価の定量を目的とする診断的なELISAにおいて、非常に有用であることが示唆される。
【0048】
本発明においては、2種類のHis標識MVH、TDH/HisX1及びTDH/HisC2を作製した。これら組換え分子は、別個の性質を示した。TDH/HisX1はTDH/HisC2よりも血球凝集活性及び抗MV抗体との反応性が低かった。MVHのカルボキシル末端にある18個のアミノ酸が、血球吸着には不可欠と言われているため(Biochem. Biophys. Res. Commun. 214, 1232−1238, 1995)、TDH/HisX1のXma I部位に導入されたHisタグ配列が、その生物学的機能に影響を及ぼすこともありうる。なぜTDH/HisX1に対するMV特異的抗体の反応性が低いのかは、明らかではないが、こうした観察結果は、標的遺伝子に導入されたHisタグの位置が、移植したタンパク質の生物学的機能に影響を及ぼせることを示唆している。
【0049】
ベクターウイルスの安全性、とりわけそれが物質の大量生産に使用されるときの安全性は重要である。Sutter et al.は、以前、非複製(nonreplicating)ワクシニアウイルス(VV)株MVAに基づく、安全性が高くかつ効率的な発現ベクターを報告している(Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 89, 10847−10851, 1992)。もうひとつの高度弱毒株は、ワクシニアウイルスLC16mO株で、本発明における発現系で使用したベクターウイルスである。このウイルスは、大半の哺乳類細胞中でもその複製能力を維持している一方、動物モデルを使用した実験や実地調査で、その安全性が証明されている(Elsevier, Amsterdam,87−100, 1985)。更に、動物の皮膚その他の組織中におけるその複製能力は、外来遺伝子をゲノムに導入すると低下する(J. Virol. 62, 4474−4480, 1988)。
【0050】
この株の毒性の低下にもかかわらず、ワクシニアウイルスLC16mO株を起源とする組換え体は、細胞株の親ウイルスと同じ効率で増殖することができる。このように、低い感染多重度(例えば、0.1pfu/細胞)で組換えウイルスを感染させた細胞から、充分な量のタンパク質産物を入手することができる。非複製ベクターと比較して、ワクシニアウイルスLC16mO株の使用により、必要とされる接種ウイルス量が100分の1程度に減少すると思われ、これは、タンパク質の大量生産における優位点である。本発明におけるワクシニアウイルス(VV)系の優位点を表1にまとめて示す。
【0051】
【表1】
【0052】
このように、高効率プロモーターのPSFJ2−16、高度に弱毒化されているものの複製を行うワクシニアウイルスのLC16mO株、及びHisタグとアフィニティークロマトグラフィーを用いた高速精製手順を組み合わせた本発明のシステムは、適切な翻訳後修飾が機能に必要とされる真核生物の膜糖タンパク質などの大量調製という点で有力である。
【0053】
[図の説明]
図1.pSFTDH1、pSFTDH/HisX1、pSFTDH/HisC2及びpSFTDF1の作製。ハイブリッドプロモーターPSFJ1−10及びPSFJ2−16をそれぞれ有するトランスファーベクタープラスミドpSFJ1−10(A)及びpSFJ2−16(B)の構造。PSFJ1−10及びPSFJ2−16は、ATIプロモーター(牛痘ウイルスATI遺伝子の後期プロモーター)、及びP7.5E×10及びP7.5×16(つまり10個又は16個のVV P7.5−kDa遺伝子の縦列型反復修飾初期プロモーター配列;tandemly repeated modified early promoter elements)で、それぞれ構成されている(Arch. Virol. 138, 315−330, 1994)。Oriは細菌性複製起点(bacterial origin of replication)、APrはアンピシリン耐性遺伝子、vvHA(L)及びvvHA(R)は、VV血球凝集素遺伝子の左側又は右側部分を示す。各ベクタープラスミドのプロモーター領域とVV血球凝集素遺伝子の方向に注目のこと。(C)MVH遺伝子cDNA(C1)及びF遺伝子cDNA(C2)の概略図。PCRで増幅し、MVゲノム上のヌクレオチド番号、オープンリーディングフレーム(黒色部)、膜貫通領域(斜線部)及び制限酵素部位を示している。(D)野生型(D1、pSFTDH1)及びHis標識MVH(D2、pSFTDH/HisX1;D3、pSFTDH/HisC2)のカルボキシル末端のDNA及び推定アミノ酸配列。太字は導入したHisタグ配列を示す。
【0054】
図2.HeLa細胞中でFタンパク質と共発現したHis標識MVHの膜融合活性。ウイルス非感染HeLa細胞(A)、及び単独感染の場合は感染の多重度(MOI)20pfuで、共感染の場合は個々のウイルスの感染多重度(MOI)は10pfuで、mO(B)、mOTDF1(C)、mOTDH/HisX1(D)、mOTDH/HisC2(E)、mOTDF1とmOTDH/HisX1(F)、mOTDF1とmOTDH/HisC2(G)をそれぞれ感染させたHeLa細胞を作製した。35℃で20時間培養した後、細胞の形態を対物双眼顕微鏡で観察した。
【0055】
図3.組換えウイルスにより発現したHis標識MVHの検出及び精製。(A)組換えウイルスにより発現する組換えMVHを同定するため、1細胞あたり10pfuで同ウイルスを感染させて20時間培養したRK13細胞を、SDS−PAGE(パネル1)及びウェスタンブロット(パネル2)で分析した。10%のゲル上でタンパク質を分離させ、蛍光染色で可視化した。ウサギ抗MVH血清を使用して、ウェスタンブロットでMVHを同定した。レーン:1、未感染(mock);2、mO感染;3、mOTDH/HisX1感染;4、mOTDH/HisC2感染;5、精製全MV(TD97株)ウイルス粒子。(B及びC)His標識MVHを精製するため、mOTDH/X1(B)又はmOTDH/HisC2(C)を感染させたRK13細胞の溶解液について、Ni2+IDAカラム上でアフィニティークロマトグラフィーを実施した。それらの画分を、SDS−PAGE(パネル1)及びウェスタンブロット(パネル2)により分析した。(B)レーン:1、分画前試料;2、非吸着画分;3、分画3;4、分画5;5、分画7;6、分画9;7、分画11;M1、分子量マーカー。(C)レーン:1、分画前試料;2、非吸着画分;3、分画4;4、分画6;5、分画8;6、分画10;M2、分子量マーカー。
【0056】
図4.精製組換えMVHの血球凝集(HA)能力。0.2%のBSA及び0.01%のゼラチンを含むPBSに0.5%のRBCを懸濁した液50μLを、連続希釈された50μLの市販のMV HA抗原(Denka Seiken社製)又は精製組換えMVHとともに、丸底96ウェルプレートで37℃で30分間保温し、その後4℃で1時間保温した。血球凝集を誘導した最終希釈倍数をHA価として算出した。各サンプル中のMVH濃度を40μg/mLに調節した。23から214の範囲内で、サンプルの2倍段階希釈を行った。A、TDH/HisX1;B、TDH/HisC2;C、市販のHA抗原。
【0057】
図5.抗MV血清の中和抗体価と、組換えMVHを用いたELISA価との相関。捕獲抗原として、精製MVウイルス粒子(ELISA/WV)(A)、精製TDH/HisX1(ELISA/X1)(B)、又は精製TDH/HisC2(ELISA/C2)(C)を用いてELISAを行った。プラークの数をウイルスのコントロールの50%に減少させた血清最終希釈倍数をNT法の抗体価とした。
【0058】
【発明の効果】
本発明の方法により、高度弱毒ワクシニアウイルス株であるLC16mOの強力なプロモーター(PSFJ1−10及びPSFJ2−16)の制御下で、麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質(MVH)の大量発現を可能とした。更に、本発明においては、麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質にHis−tagを付与することにより、組換えワクシニアウイルスに感染させた細胞の溶解液から、一行程のアフィニティークロマトグラフィーで、組換え血球凝集素タンパク質を精製することができ、該タンパク質の効率的で迅速な精製を可能とした。また、本発明の方法は、回収率及び精製率が非常に高い(収率は108個の細胞につき2.8mg、精製率は98%)。これは、本発明の方法が、従来使用されている血球凝集素の調製法よりもおよそ400倍も効率的であることを示している。
【0059】
本発明により取得された血球凝集素は、細胞膜へ輸送され、血球吸着活性をもち、また、組換え血球凝集素タンパク質は麻疹ウイルス融合タンパク質と協同して細胞融合活性を引き出す。更に、麻疹ウイルスに対する抗体価は、精製した血球凝集素を抗原として用いた酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)で測定したように、中和抗体価(R2=0.84、P<0.05)と高い相関を示している。このことは、抗原性が保持されていることを示唆している。そうした組換え血球凝集素調製物は、機能的な抗麻疹免疫性を測定する診断のために実用化しうるものであり、更に、血球凝集素の生物学的機能と構造の研究においても有用なものである。
【0060】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例におけるMVH遺伝子cDNA、F遺伝子cDNA、トランスファーベクタープラスミドpSFJ1−10、pSFJ2−16、野性型及びHis標識MVHの構造を示す図である。
【図2】HeLa細胞中でFタンパク質と共発現したHis標識MVHの膜融合活性を示す図である。
【図3】組換えウイルスにより発現したHis標識MVHの検出及び精製結果を示す図である。
【図4】精製組換えMVHの血球凝集(HA)能を解析した結果を示す図である。
【図5】抗MV血清の中和能力と、組換えMVHを用いたELISA価との相関関係を示す図である。
Claims (10)
- ポックスウイルスのA型封入体(ATI)プロモーター及び/又は複数反復するワクシニアウイルス7.5K前期発現プロモーターの下流に、麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質の遺伝子を連結したことを特徴とする麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質の遺伝子発現用ベクタープラスミド。
- 麻疹H遺伝子の3´末端に、ヒスチジン標識配列を挿入したことを特徴とする請求項1記載の麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質の遺伝子発現用ベクタープラスミド。
- 請求項1又は2記載の麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質の遺伝子発現用ベクタープラスミドを、弱毒ワクシニアウイルス株に導入したことを特徴とする麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質の大量発現用組換えワクシニアウイルス。
- ワクシニアウイルス株が、弱毒ワクシニアウイルスLC16mO株であることを特徴とする請求項3記載の麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質の大量発現用組換えワクシニアウイルス。
- 請求項3又は4のいずれか記載の組換えワクシニアウイルスを動物細胞に感染させ、培養することを特徴とする麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質の大量発現方法。
- 動物細胞が、ウサギ腎臓細胞RK13又はシリアンハムスター腎臓細胞BHK−21であることを特徴とする請求項5記載の麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質の大量発現方法。
- 請求項5又は6記載の方法で発現した麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質を採取し、アフィニティークロマトグラフィーで精製することを特徴とする麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質の大量取得方法。
- 請求項7の方法により、分離精製した麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質。
- 請求項8記載の麻疹ウイルス血球凝集素タンパク質からなる抗麻疹ウイルス抗体検出用抗原。
- 請求項9記載の抗麻疹ウイルス抗体検出用抗原を用いることを特徴とする抗麻疹ウイルス抗体価の診断方法。
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