JP2004065636A - 可搬型医療用一酸化窒素発生装置及び可搬型医療用一酸化窒素吸入装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高純度の一酸化窒素ガスを必要なときに必要な量だけ瞬時に空気から生成して供給でき、しかも耐久性のある医療用一酸化窒素発生装置を開発する。
【解決手段】本発明に係る可搬型医療用一酸化窒素発生装置は、入口触媒空間22と出口触媒空間26の間に放電空間24を設け、入口触媒空間22と出口触媒空間26には光触媒Tを充填し、放電空間24にはアーク放電を生起する電極18・20を対向して配置し、入口触媒空間22に供給された空気を放電空間24へと流通させ、放電空間内において電極間のアーク放電により空気から一酸化窒素と二酸化窒素の混合ガスを生成し、この混合ガスを出口触媒空間26へと流通させ、前記アーク放電の放射光により光触媒Tを励起して混合ガスから二酸化窒素を除去することを特徴としている。従って、電撃により光触媒が損傷を受けないから高耐久性を有し、二酸化窒素を極低減できる安全な装置を提供できる。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明に係る可搬型医療用一酸化窒素発生装置は、入口触媒空間22と出口触媒空間26の間に放電空間24を設け、入口触媒空間22と出口触媒空間26には光触媒Tを充填し、放電空間24にはアーク放電を生起する電極18・20を対向して配置し、入口触媒空間22に供給された空気を放電空間24へと流通させ、放電空間内において電極間のアーク放電により空気から一酸化窒素と二酸化窒素の混合ガスを生成し、この混合ガスを出口触媒空間26へと流通させ、前記アーク放電の放射光により光触媒Tを励起して混合ガスから二酸化窒素を除去することを特徴としている。従って、電撃により光触媒が損傷を受けないから高耐久性を有し、二酸化窒素を極低減できる安全な装置を提供できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アーク放電により空気から一酸化窒素と二酸化窒素の混合ガスを生成し、この混合ガスから有害な二酸化窒素を除去して一酸化窒素を供給できる一酸化窒素発生装置に関し、更に詳細には、アーク放電の放射光により光触媒を励起して有害な二酸化窒素を除去し、高純度の一酸化窒素を発生することができる医療用一酸化窒素発生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、一酸化窒素は二酸化窒素などと共に窒素酸化物(NOX)と称され、大気汚染気体の一種として知られている。一酸化窒素(NO)の純ガスは有毒であり、室温で無色無臭の不燃性ガスであり、空気中の酸素で容易に酸化されて二酸化窒素に変化する。他方、二酸化窒素(NO2)は赤褐色で刺激臭のある有毒気体であり、水に溶解して硝酸や亜硝酸を生成する。
【0003】
従来から工業的には、一酸化窒素は、硝酸製造の中間原料や、金属ニトロシルカルボニルの合成やレーヨンの漂白、プロピレンやメチルエーテルの安定剤として用いられている。また、半導体工業では、シリコンの酸窒化被膜の形成に使用されている。
【0004】
1987年になって、一酸化窒素は人体の中でも産生されており、細胞から細胞に直接情報を伝える情報伝達物質として作用し、更に血管を局所的に拡張させる作用を有することが発見された。
【0005】
この発見に基づいて、肺高血圧症、急性呼吸不全、喘息その他呼吸器系疾病に一酸化窒素吸入療法の有用性が知られるようになってきた。例えば、肺高血圧症では、肺の血管が収縮して血液の流れが悪くなっている。このような状態でNOガスを吸入させると、肺胞表面の血管が拡張し、血液中の酸素濃度が上昇し、肺高血圧症を軽減させる。一般の血管拡張作用のある薬物のように、全身の血管を拡張して血圧低下を来たすことがないので安全である。
【0006】
血液中に溶け込んだNOはヘモグロビンと反応してメトヘモグロビンを生成すると考えられ、現在までの段階では、酸素運搬に支障を来たすようなメトヘモグロビンの増加は報告されていない。従って、医療用途において、NOガスは重要な役割を担いつつある。
【0007】
ところが、NOガスを100%の純度で製造できればよいが、有毒なNO2ガスが不純物として混入するために種々の問題が発生する。また、純粋なNOガスが生成できたとしても、NOガスは極めて不安定なガスで、空気中の酸素と反応すると直ちにNO2ガスに変化する。このように、医療用のNOガスに有毒なNO2ガスが混入すると人命に係わる事態となる。そこで、下記のような医療用一酸化窒素の安定化方法や製造方法の開発が行なわれてきた。
【0008】
開発の当初には、吸入用一酸化窒素ガスは高圧ガス容器に保管され、必要時に減圧して希釈ガスと混合し、この混合ガスを患者に吸引させてきた。しかし、一酸化窒素ガスは不安定で、高圧ガス容器に保存されている間に有害な二酸化窒素に変質する危険性があった。
【0009】
この危険性を回避するために、第1従来例である特開平10−36273号の「医療用一酸化窒素混合ガスおよびその製造方法」が開発された。即ち、不安定な一酸化窒素ガスに窒素ガスを混合して安定化し、この混合ガスを高圧ガス容器に安定的に保管しようとするものである。
【0010】
図6は第1従来例を示す医療用一酸化窒素混合ガス装置の概略構成図である。ガスボンベ71には一酸化窒素と窒素の混合ガスが充填され、流量計72により制御されながら混合ガスは下流に供給される。一酸化窒素に窒素を混入して一酸化窒素を安定化させている。
【0011】
ガスボンベ73には酸素50%と窒素50%からなる酸素含有ガスが充填されており、流量計74により制御されながら酸素含有ガスが下流に供給される。この酸素含有ガスは加湿器75により水蒸気が添加され、その後、前記混合ガスと合流して混合される。
【0012】
合流ガスはクーラー76を通過して冷却され、下流の位置で合流ガスから結露水77が採取された後、合流ガスは矢印f方向へと流通される。この結露水77の亜硝酸イオンと硝酸イオンの濃度が測定された結果、この第1従来例ではこれらの濃度は十分低いことが確認された。
【0013】
しかし、ガスボンベ71のような高圧ガス容器内に一酸化窒素ガスを安定的に保存する方法でも、高圧ガス容器が転倒したり、その口金が破損する事故が生起すると、一酸化窒素ガスが高圧ガス容器から大気中に大量に放出されることになる。このとき、放出された一酸化窒素は大気中の酸素と瞬時に結合して大量の有毒な二酸化窒素が発生し、医療現場において重大な事故が生じる危険性を排除しきれない。
【0014】
また、高圧ガス容器は相当の大きさを有するから、緊急を要する場合に運び込むのは大変である。また、一酸化窒素の吸入処置を行なう医療従事者が高圧ガスを取り扱う資格を有する必要もある。このように、高圧ガス容器に一酸化窒素を保存する方法では、重大事故の危険性や取り扱いの困難性などの欠点があった。
【0015】
この解決策として、第2従来例である特開2000−102616の「医療用一酸化窒素吸入装置」が開発された。この方法は高圧ガス容器を全く使用せず、パルス放電によって空気から必要なときに必要なだけの一酸化窒素を発生させる方法である。
【0016】
図7は、第2従来例に示される医療用一酸化窒素吸入装置の概略構成図である。高電圧電源81によりコンデンサ82が充電され、スイッチ83をオンすると、電極84・84の間にパルスアーク放電が生起する。抵抗86により放電電圧が調整される。
【0017】
吸入された空気85が前記パルスアーク放電を受けると、窒素と酸素から一酸化窒素と二酸化窒素の混合ガスが生成される。この混合ガスを加熱されたモリブデン87に流通させると、モリブデン87の触媒作用により二酸化窒素が選択的に除去される。人工呼吸器88とテスト用肺89を接続すると、安全な一酸化窒素がテスト用肺89に供給される。
【0018】
しかし、この方法では、モリブデンを通電加熱などの手段で高温に加熱する必要がある。このため作動初期には予加熱が必要となり、二酸化窒素の除去が開始されるまでには一定の時間を要し、急性呼吸不全などの救急時に即応が困難となる。つまり、十分な精製能力を有していない作動初期段階では、吸引ガスに二酸化窒素が混入する危険性があり、救急医療に際して重大な欠点を有している。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
前述した第1従来例や第2従来例の欠点を改善することが一酸化窒素吸入療法の実用化には不可欠である。図8は、本発明者によってなされた第3従来例である一酸化窒素発生装置の構成図である。この一酸化窒素発生装置は、平成13年度電気関係学会関西支部連合大会講演論文集、G1−11「パルス放電によるNOの作製」(中川吉郎ほか、平成13年11月6日〜7日)に詳細が示されている。
【0020】
本体容器91の両端は端部フランジ92・93を介して入口管94と出口管95に連結されている。本体容器91の内部は容器空間Aになっており、この容器空間Aには開口部96aを有した電極支持部96と開口部97aを有した電極支持部97が配設されている。また、電極支持部96・97には針状の電極98・99が先端を対向して配置されている。容器空間Aにはペレット状の酸化チタンTが隈なく充填されている。
【0021】
空気は矢印a方向に送入され、入口流路94aと開口部96aを介して容器空間Aに流入する。電極98・99の間にパルス高電圧を印加すると、両電極間にパルスアーク放電が生起する。このパルスアーク放電によって空気中の窒素と酸素が反応し、一酸化窒素と二酸化窒素の混合ガスが生成される。
【0022】
パルスアーク放電が生起すると、放電光も同時に放射され、この放電光は酸化チタンTの隙間を通過して光触媒である酸化チタンを励起して活性化する。放電光には紫外線や可視光線が含まれるが、主に紫外線が励起光の役割を相する。この励起状態にある酸化チタンによって有害な二酸化窒素が除去される。
【0023】
除去されずに残留した一酸化窒素が開口部97aと出口流路95aを介して矢印d方向に送出される。送出される一酸化窒素が医療吸引用の一酸化窒素として使用され、患者の救急治療などに利用される。この方法によれば、救急現場において空気から瞬時に高純度の一酸化窒素を生成できる利点がある。
【0024】
しかし、この方法でも次のような欠点があることが分ってきた。容器空間Aに隙間なく充填された酸化チタンが邪魔になるため、放電エネルギーが気体反応に有効に伝達され難い。また、パルス放電が生起するとパルス放電の電撃によって酸化チタン(TiO2)のペレットが損傷して光触媒作用が劣化する。酸化チタンペレットの破損粉末が気流に流されると患者の吸引マスクまで運ばれるから極めて危険である。このように、二酸化チタンの破損粉末などの除去がどうしても必要になるため、長期に安定使用することが困難になる。また、管内に残留する有機物や金属などの不純物が電極近傍のペレット表面に酸化物として付着し、光触媒反応の劣化を引き起こすこともある。従って、この装置が有する瞬時使用の特徴を生かしながら、長期に安定使用できるように装置を改善することが求められている。
【0025】
従って、本発明は、医療現場での重大事故の可能性のある一酸化窒素高圧ガス容器を用いずに、高純度の一酸化窒素ガスを必要なときに必要な量だけ瞬時に空気から生成し、しかも一酸化窒素の生成を長期間安定して持続できる可搬型医療用一酸化窒素発生装置を提供することを目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために為されたものであり、第1の発明は、入口触媒空間と出口触媒空間の間に放電空間を設け、入口触媒空間と出口触媒空間には光触媒を充填し、放電空間にはアーク放電を生起する電極を対向して配置し、入口触媒空間に供給された空気を放電空間へと流通させ、放電空間内において電極間のアーク放電により空気から少なくとも一酸化窒素と二酸化窒素の混合ガスを生成し、この混合ガスを出口触媒空間へと流通させ、前記アーク放電の放射光により光触媒を励起して混合ガスから二酸化窒素を除去する可搬型医療用一酸化窒素発生装置である。電極が対向配置されている放電空間には光触媒が全く充填されないから、アーク放電が生起してもその電撃を受ける光触媒が近傍に存在せず、放電空間の左右に位置する入口触媒空間と出口触媒空間に充填されている光触媒の損傷が極めて小さくなり、装置の耐久性が格段に向上し、装置の長期安定性を実現できる。また、放電空間には光触媒が無いから、アーク放電エネルギーが空気に伝達されやすく、空気から一酸化窒素と二酸化窒素への変換効率が高くなる。しかも、放電光は入口触媒空間と出口触媒空間に浸透して光触媒を活性化するから、二酸化窒素を効率的に除去でき、その結果、高純度の一酸化窒素を長期安定供給することが可能になる。
【0027】
第2の発明は、二つの透孔性部材により内部空間が中央の放電空間とその左右の入口触媒空間及び出口触媒空間に分割された本体容器と、前記透孔性部材により画成された入口触媒空間と出口触媒空間に充填された光触媒と、放電空間内に対向して配置されたアーク放電を生起する電極と、入口触媒空間に空気を送入させる入口管と、出口触媒空間から一酸化窒素を送出する出口管から構成され、電極間のアーク放電により空気から一酸化窒素と二酸化窒素の混合ガスを生成し、アーク放電光により光触媒を励起して混合ガスから二酸化窒素を除去し、出口管から一酸化窒素を送出する可搬型医療用一酸化窒素発生装置である。本体容器を小型化することにより救急現場に簡易に携行できる可搬型の医療用一酸化窒素発生装置を提供できる。光触媒は透孔性部材によって入口触媒空間と出口触媒空間に確実に充填できるから、光触媒の存在しない放電空間を安定して確保でき、しかも透孔性部材の多くの透孔によって気体の流通性とアーク放電光の光触媒表面への浸透性が確保できる。透孔性部材には光触媒粒子のサイズに応じて多孔板や金属メッシュネット等多くの形態がある。
【0028】
第3の発明は、放電空間におけるガスの流れを邪魔しないように、放電空間の周囲を光触媒膜により包囲する可搬型医療用一酸化窒素発生装置である。放電空間を光触媒膜により取巻くと、高密度のアーク放電光が光触媒膜を照射して光触媒膜を活性化し、放電空間で生成された二酸化窒素を効率的に除去できる。光触媒膜としては、本体容器の内面に光触媒を塗着してもよいし、シートに光触媒を塗着して巻回してもよいなど種々の形態がある。
【0029】
第4の発明は、前記光触媒が酸化チタンから構成される可搬型医療用一酸化窒素発生装置である。一般に、酸化チタンは二酸化チタン(TiO2)として表記され、アナターゼやルチルなどの結晶構造が存在するが、光触媒活性を有する酸化チタンが全て本発明に使用できる。また、光触媒の形態には、ペレット状、粉末状、シート状など任意の形状を目的に合わせて使用できる。
【0030】
第5の発明は、本体容器が電気絶縁材料から形成され、透孔性部材が金属メッシュネットから形成され、電極が入口管及び出口管に固定されて電極先端が放電空間内で対向するように構成された可搬型医療用一酸化窒素発生装置である。本体容器がガラスやセラミックス等の電気絶縁材料で形成されるから、アーク放電エネルギーが本体容器に散逸せず、空気から一酸化窒素と二酸化窒素への変換に有効に使用される。金属メッシュネットは丈夫であり、多数の透孔の面積が比較的大きいから、気体の流通性や放電光の浸透性が高くなり、一酸化窒素発生能力が向上する。電極が入口管と出口管に固く結合できるから、放電時の反力によって電極の幾何学的配置に変形が生じ難く、装置全体の耐久性が向上する。
【0031】
第6の発明は、電極間に高圧パルス電圧を印加する高圧パルス発生装置を付加した可搬型医療用一酸化窒素発生装置である。高圧パルス発生装置を小型化することにより、一酸化窒素発生装置の全体構造を小型化でき、救急現場に容易に携行して取り扱いが容易な可搬型医療用一酸化窒素発生装置を提供できる。
【0032】
第7の発明は、生成された一酸化窒素をダストフィルター及び/又は水バブリング装置を介して吸引用マスクに供給する可搬型医療用一酸化窒素発生装置である。一酸化窒素の気流に含まれるダストをダストフィルターで除去し、水バブリング装置で一酸化窒素を適当に加湿し、吸引用マスクから患者に一酸化窒素を供給するから、救急現場で直ちに患者に対し清潔で新鮮な一酸化窒素を供給することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る可搬型医療用一酸化窒素発生装置の実施形態を図面に従って詳細に説明する。
【0034】
図1は、本発明に係る可搬型医療用一酸化窒素発生装置の主要部である一酸化窒素発生カラムの構成図である。一酸化窒素発生カラム2は、両端を端部フランジ6・8で閉鎖された本体容器4と、端部フランジ6に固定された入口管10と、端部フランジ8に固定された出口管12から構成されている。
【0035】
本体容器4の内部には容器空間Aが形成され、この容器空間Aは透孔性部材28・30により、中央の放電空間24と、その左右にある入口触媒空間22と出口触媒空間26に3分割されている。容器本体4は放電電流が流れないようにガラスやセラミックス等の電気絶縁材料で形成されることが好ましく、この実施形態では本体容器4は内部を透視しやすいように透明なガラスチューブから構成されている。電気絶縁材料で形成すると、放電エネルギーが一酸化窒素と二酸化窒素を生成する気体反応に有効に使用される。
【0036】
入口触媒空間22の中には、開口部14aを有した電極支持部14が入口管10の先端に固定され、電極18が電極支持部14から突設されている。入口管10の入口流路10aは開口部14aに連通している。
【0037】
入口触媒空間22にはペレット状の光触媒Tが充填され、その端面は透孔性部材28によって閉鎖されてペレット状の光触媒Tを不動状態に保持している。電極先端18aは透孔性部材28の孔を挿通して放電空間24に到達するように配置されている。
【0038】
また、出口触媒空間26の中には、開口部16aを形成した電極支持部16が出口管12の先端に設けられ、電極20が電極支持部16から突設されている。出口管12の出口流路12aは開口部16aに連通している。
【0039】
出口触媒空間26にもペレット状の光触媒Tが充填されており、その端面は透孔性部材30によって閉鎖されてペレット状の光触媒Tを不動状態に保持している。電極先端20aは透孔性部材30の孔を挿通して放電空間24に到達するように配置されている。
【0040】
透孔性部材28・30は多数の透孔を有した薄板であればよく、導電性でも電気絶縁性を有しても構わない。例えば、金属メッシュネットや多数の透孔を形成したセラミック薄板でもよい。導電性の金属メッシュネットは耐久性が高いだけでなく透孔面積が大きいから、気体の流通性や放電光の透過性がよい。絶縁性材料の場合には、電極間の放電電流が透孔性部材に流れないから、放電エネルギーの損耗が少なく、放電エネルギーを気体反応に有効に転換できる利点がある。
【0041】
放電空間24では、電極18・20の電極先端18a・20aが所定間隔だけ離間して対向配置されている。また、放電空間24を取り巻く本体容器4の内周面には光触媒膜29が形成されている。その内周面に光触媒を膜状に塗着してもよいし、光触媒をシート状に形成してこの光触媒シートを巻回して内周面に貼りつけてもよい。
【0042】
ペレット状の光触媒Tと光触媒膜29を形成する光触媒としては、光照射によって電子・正孔対が形成される金属酸化物半導体が利用でき、例えば、WO3、CdO3、In2O3、Ag2O、MnO2、Cu2O3、Fe2O3、V2O5、TiO2、ZrO2、RuO2、Cr2O3、CoO3、NiO、SnO2、CeO2、Nb2O3、KTaO3、SrTiO3、K4NbO17 等が利用できる。
【0043】
この中でも、生成される電子・正孔密度や、活性酸素(O2 −)やヒドロキシラジカル(OH・)の生成密度、更には耐食性や安全性の観点からTiO2、SrTiO3、K4NbO17 が好ましく、特に光触媒としての実績から酸化チタン(TiO2)が最も好ましい。
【0044】
酸化チタンには、その結晶構造の違いから、アナターゼ、ルチル、ブルッカイトなどがあり、この中でも紫外線感受性の高いアナターゼや紫外線・青色可視光に感受性を有するルチルが有効である。また、近年では種々の不純物を添加して可視光応答性を高めた酸化チタンが開発されつつあり、これらの可視光応答型酸化チタンも本発明の酸化チタンに含まれることは云うまでもない。アーク放電による放射光に最も感受性の高い光触媒が選択されることが望ましい。
【0045】
次に、この一酸化窒素発生カラムの動作を説明する。矢印a方向に空気を送入すると、入口流路10aを流通して開口部14aから矢印b方向に、空気は入口触媒空間22へと流入する。ペレット状の光触媒Tの間を通過して、空気は放電空間24に到達する。
【0046】
電極18・20の間にパルス高電圧を印加すると、電極先端18a・20aの間にパルスアーク放電が生起し、この放電エネルギーにより空気を構成する窒素と酸素が化学反応を生起し、少なくとも一酸化窒素と二酸化窒素の混合ガスが放電空間24の中で主に生成される。しかし、放電エネルギーは入口触媒空間22と出口触媒空間24の内部にも到達するから、充填された光触媒Tの隙間空間でも一酸化窒素と二酸化窒素の混合ガスが生成される。
【0047】
放電空間24内で生成された一酸化窒素と二酸化窒素の混合ガスは入口触媒空間22と出口触媒空間26へと拡散してゆくが、気流は出口管12の方に流れるから、混合ガスの多くは出口触媒領域26へと流入すると考えられる。しかし、空気や混合ガスの流通速度よりも、アーク放電による気体反応速度や放電光による光触媒反応速度の方が格段に速いから、これらの反応による二酸化窒素の除去は放電空間24と入口触媒空間22と出口触媒空間26において同時的に進行すると考えられる。
【0048】
パルスアーク放電が生起すると、放電火花から放電光が周囲に放射され、この放電光は放電空間24の中に充満する。更に、放電光は透孔性部材28・30の多数の透孔から入口触媒空間22と出口触媒空間26へと入射され、光触媒Tの表面で乱反射しながら内部に浸透してゆく。
【0049】
更に具体的に説明すると、放電空間24では、放電光によって光触媒膜29が励起され、この活性化した光触媒膜29との接触反応によって二酸化窒素は除去される。更に、入口触媒空間22及び出口触媒空間26においては、瞬時に浸透した放電光により光触媒Tが励起され、活性化した光触媒Tとの接触反応によって二酸化窒素は除去される。混合ガスの内、殆んどの二酸化窒素は光触媒により除去される。
【0050】
従って、極微小濃度の二酸化窒素と残留した一酸化窒素及び未反応の空気が、開口部16aへと矢印c方向に流入し、出口流路12aから矢印d方向に送出されてゆく。有毒な二酸化窒素の濃度は人体に無害な程度にまで減少されるから、送出される気体は救急医療に使用される吸引用一酸化窒素として利用することが可能になる。
【0051】
図2は、本実施形態に使用される光触媒(酸化チタン)による一酸化窒素発生のメカニズムの説明図である。酸化チタン(TiO2)の表面に放電光である紫外光(UV)が照射されると、電子が励起されて伝導帯に遷移し、伝導帯に励起電子(e−)、価電子帯に正孔(h+)が生成される。励起電子は空気中の酸素(O2)と反応して活性酸素(O2 −、O−)を生成し、正孔は表面吸着水と反応してヒドロキシラジカル(OH・)を生成する。活性酸素とヒドロキシラジカルは強力な酸化剤として作用する。
【0052】
一方、パルスアーク放電によって空気からNOとNO2が生成される。NOとNO2はTiO2の表面でO2 −とOH・によって酸化される。この酸化過程で、NOはNO2になり、NO2はHNO3(硝酸)に変化する。この反応過程において、NO2からHNO3になる反応速度が速いため、NO2の濃度は急速に低下し、最終的に高濃度のNOと未反応の低濃度のNO2が残留する。
【0053】
有毒なNO2の濃度は極めて小さくなり、その濃度は人体の健康に影響を与えない程度にまで低下している。従って、高濃度のNOと極低濃度のNO2が未反応の空気と一緒に外部に送出されることになる。
【0054】
図3は、本発明に係る可搬型医療用一酸化窒素発生装置を用いた一酸化窒素吸入療法の説明図である。可搬型医療用一酸化窒素発生装置40は一酸化窒素発生カラム2に高圧パルス発生装置42を組み込んで構成される。また、可搬型医療用一酸化窒素吸入装置59は、前記可搬型医療用一酸化窒素発生装置40にダストフィルタ51、水バブリング装置53及び吸引用マスク57を加えて構成される。
【0055】
高圧パルス発生装置42は、高圧直流電源44と抵抗46とコンデンサ48とスイッチ50から構成されている。この例では、高圧直流電源44の負極がアース49に接続されている。この高圧パルス発生装置42を電極18・20に接続して、電極18・20の間に高圧パルス電圧を印加する。
【0056】
スイッチ50をオンすると、コンデンサ48の高電圧が電極18・20に印加され、その蓄積電荷が電極18・20間に急激に放電電流として放出される。コンデンサ48の電圧が低下するとアーク放電は停止し、高圧直流電源44によりコンデンサ48の充電が開始され、一定電圧以上になると再び電極18・20の間にアーク放電が始まる。この様に、回路構成により決った周期でパルス電圧が印加され、電極間のアーク放電はパルスアーク放電になる。
【0057】
このパルスアーク放電によって一酸化窒素発生カラム2から一酸化窒素が供給される。供給される一酸化窒素の気流からダストフィルタ51により不要なダストが除去され、ダストを除去された一酸化窒素はバブリング管52を介して水バブリング装置53に送られる。
【0058】
水バブリング装置53では一酸化窒素気流に適度の加湿が行なわれる。この一酸化窒素はNOX分析装置55により安全性が確認される。一酸化窒素の安全性が確認された後、供給管54から吸引用マスク57に一酸化窒素が供給され、必要な患者58に対し一酸化窒素吸入療法が実行される。
【0059】
図4は、本実施形態で使用される高圧パルス発生装置の一例を示す具体的構成図である。この高圧パルス発生装置42は、2本の同軸ケーブル61を1段として、3段のブルームライン線路から構成されている。絶縁用抵抗60及び放電電圧測定用の抵抗分圧器62を組み込み、ギャップスイッチをスイッチ50として使用している。
【0060】
この高圧パルス発生装置42の具体的特性は、特性インピーダンスが312Ω、出力電圧が約60kV、パルス幅が200ns、充電電圧が15kVのとき放電エネルギーは1.4J/pulseであった。勿論、本発明に使用される高圧パルス発生装置42としては、公知の全ての高圧回路が利用できることは云うまでもない。
【0061】
図5は、図4に示す高圧パルス発生装置の放電電圧と放電電流の波形図である。アーク放電開始までに放電電圧(Voltage)は約100nsの高電圧パルス電圧を示しており、アーク放電が始まると電圧は低下し、放電電流は約700nsの周期で最大電流は約100Aに達していることが分かる。
【0062】
【実施例】
図3に示される可搬型医療用一酸化窒素発生装置を用いて空気から一酸化窒素を発生させる実験を行なった。光触媒Tは二酸化チタンペレットからなり、電極18・20は銅針から形成された。空気流量は約1L/minで、放電回数は200shots/minであった。
【0063】
まず、第1回目の実験では、生成されたNOは54.3ppm、NO2は0.43ppmであった。NO2/NOx=0.0079±0.0061となり、二酸化窒素は殆んど除去されており、一酸化窒素吸入療法に使用できることが分った。
【0064】
更に、第2回目の実験では、生成されたNOは24.8ppm、NO2は0.40ppmであった。NO2/NOx=0.016±0.015となった。従って、この装置を用いれば、二酸化窒素は殆んど除去されており、実際の一酸化窒素吸入療法に使用できる性能を有することが分った。
【0065】
本発明は上記実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々の変形例・設計変更等をその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
【0066】
【発明の効果】
第1の発明によれば、高圧ガス容器を全く使用しないので安全性が極めて高く、高温モリブデンのような触媒加熱時間が不要であるから瞬時に高純度の一酸化窒素ガスを提供でき、救急性を要求される医療現場に最適の一酸化窒素発生装置を実現できる。また、放電空間には光触媒が全く充填されていないから、アーク放電の電撃を受ける光触媒が近傍に存在せず、光触媒が破損して粉末化することはない。左右に配置された入口触媒空間と出口触媒空間には光触媒が充填されているが、電極から一定距離だけ離間しており、光触媒が損傷を受けることはなく、装置全体の耐久性が格段に向上し、装置の長期安定性を実現できる。更に、放電空間には光触媒が無いから、放電エネルギーが空気に伝達されやすく、一酸化窒素と二酸化窒素の生成効率が高くなる。しかも、放電光は入口触媒空間と出口触媒空間に浸透して光触媒を活性化するから、二酸化窒素を効率的に除去でき、高純度の一酸化窒素を長期安定供給することが可能になる。
【0067】
第2の発明によれば、本体容器を小型化することにより、過密な医療現場に設置したり、最も緊急を要する救急車への搭載が可能となり、救急現場に迅速簡易に携行できる可搬型医療用一酸化窒素発生装置を実現できる。透孔性部材によって入口触媒空間と出口触媒空間に光触媒を限定的に充填できるから、光触媒の存在しない放電空間を安定して確保でき、しかも透孔性部材の多くの透孔によって気体の流通性とアーク放電光の光触媒表面への浸透性を確保できる。透孔性部材には光触媒粒子のサイズに応じて多孔板や金属メッシュネット等多くの形態を利用でき、長期安定性を有し、安全且つ軽量コンパクトな医療用一酸化窒素発生装置を提供できる。
【0068】
第3の発明によれば、放電空間が光触媒膜により取巻かれているから、高密度のアーク放電光の直射により光触媒膜が活性化され、放電空間内でも二酸化窒素が効率的に除去できる。光触媒膜の具体的形態としては、本体容器の内面に光触媒を塗着してもよいし、シートに光触媒を塗着して内面に沿って巻回してもよいなど多様な形態を採用できる。
【0069】
第4の発明によれば、光触媒として酸化チタンが利用され、アナターゼやルチルなどの結晶構造が存在するが、光触媒活性を有する酸化チタンの全てが本発明に使用できる。また、光触媒の形態には、ペレット状、粉末状、シート状など任意の形状を目的に合わせて使用できる。
【0070】
第5の発明によれば、本体容器がガラスやセラミックス等の電気絶縁材料で形成されるから、アーク放電エネルギーが本体容器に散逸せず、一酸化窒素と二酸化窒素が効率的に生成される。透孔性部材として用いられる金属メッシュネットは丈夫であり、多数の透孔の面積が比較的大きいから、気体の流通性や放電光の浸透性が高くなり、一酸化窒素発生能力が向上する。また、電極が入口管と出口管に固く結合できるから、放電時の反力が作用しても電極の幾何学的配置に変形が生じ難く、装置全体の耐久性が向上する。
【0071】
第6の発明によれば、高圧パルス発生装置を小型化することにより、一酸化窒素発生装置の全体構造を小型化でき、救急現場に容易に携行して取り扱いが容易な可搬型医療用一酸化窒素発生装置を提供できる。
【0072】
第7の発明によれば、生成された一酸化窒素をダストフィルタ及び/又は水バブリング装置を介して吸引用マスクに供給する可搬型医療用一酸化窒素吸入装置が提供される。一酸化窒素の気流に含まれるダストをダストフィルタで除去し、水バブリング装置で一酸化窒素を適当に加湿し、吸引用マスクから患者に一酸化窒素を供給できるから、この装置一式を救急車に搭載すれば、救急現場で直ちに患者に対し清潔で新鮮な一酸化窒素を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る可搬型医療用一酸化窒素発生装置の主要部である一酸化窒素発生カラムの構成図である。
【図2】本実施形態に使用される光触媒(酸化チタン)による一酸化窒素発生のメカニズムの説明図である。
【図3】本発明に係る可搬型医療用一酸化窒素発生装置を用いた一酸化窒素吸入療法の説明図である。
【図4】本実施形態で使用される高圧パルス発生装置の一例を示す具体的構成図である。
【図5】図4に示す高圧パルス発生装置の放電電圧と放電電流の波形図である。
【図6】第1従来例を示す医療用一酸化窒素混合ガス装置の概略構成図である。
【図7】第2従来例を示す医療用一酸化窒素吸入装置の概略構成図である。
【図8】第3従来例を示す一酸化窒素発生装置の構成図である。
【符号の説明】
2は一酸化窒素発生カラム、4は本体容器、6・8は端部フランジ、10は入口管、10aは入口流路、12は出口管、12aは出口流路、14・16は電極支持部、14a・16aは開口部、18・20は電極、18a・20aは電極先端、22は入口触媒空間、24は放電空間、26は出口触媒空間、28は透孔性部材、29は光触媒膜、30は透孔性部材、40は可搬型医療用一酸化窒素発生装置、42は高圧パルス発生装置、44は高圧直流電源、46は抵抗、48はコンデンサ、49はアース、50はスイッチ、51はダストフィルタ、52はバブリング管、53は水バブリング装置、54は供給管、55はNOX分析器、57は吸入用マスク、58は患者、59は可搬型医療用一酸化窒素吸入装置、60は絶縁用抵抗、61は同軸ケーブル、62は抵抗分圧器、71はガスボンベ、72は流量計、73はガスボンベ、74は流量計、75は加湿器、76はクーラー、77は結露水、81は高電圧電源、82はコンデンサ、83はスイッチ、84は電極、85は空気、86は抵抗、87はモリブデン、88は人工呼吸器、89はテスト用肺、90は一酸化窒素発生カラム、91は本体容器、92・93は端部フランジ、94は入口管、94aは入口流路、95は出口管、95aは出口流路、96・97は電極支持部、96a・97aは開口部、98・99は電極、Tは光触媒。
【発明の属する技術分野】
本発明は、アーク放電により空気から一酸化窒素と二酸化窒素の混合ガスを生成し、この混合ガスから有害な二酸化窒素を除去して一酸化窒素を供給できる一酸化窒素発生装置に関し、更に詳細には、アーク放電の放射光により光触媒を励起して有害な二酸化窒素を除去し、高純度の一酸化窒素を発生することができる医療用一酸化窒素発生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、一酸化窒素は二酸化窒素などと共に窒素酸化物(NOX)と称され、大気汚染気体の一種として知られている。一酸化窒素(NO)の純ガスは有毒であり、室温で無色無臭の不燃性ガスであり、空気中の酸素で容易に酸化されて二酸化窒素に変化する。他方、二酸化窒素(NO2)は赤褐色で刺激臭のある有毒気体であり、水に溶解して硝酸や亜硝酸を生成する。
【0003】
従来から工業的には、一酸化窒素は、硝酸製造の中間原料や、金属ニトロシルカルボニルの合成やレーヨンの漂白、プロピレンやメチルエーテルの安定剤として用いられている。また、半導体工業では、シリコンの酸窒化被膜の形成に使用されている。
【0004】
1987年になって、一酸化窒素は人体の中でも産生されており、細胞から細胞に直接情報を伝える情報伝達物質として作用し、更に血管を局所的に拡張させる作用を有することが発見された。
【0005】
この発見に基づいて、肺高血圧症、急性呼吸不全、喘息その他呼吸器系疾病に一酸化窒素吸入療法の有用性が知られるようになってきた。例えば、肺高血圧症では、肺の血管が収縮して血液の流れが悪くなっている。このような状態でNOガスを吸入させると、肺胞表面の血管が拡張し、血液中の酸素濃度が上昇し、肺高血圧症を軽減させる。一般の血管拡張作用のある薬物のように、全身の血管を拡張して血圧低下を来たすことがないので安全である。
【0006】
血液中に溶け込んだNOはヘモグロビンと反応してメトヘモグロビンを生成すると考えられ、現在までの段階では、酸素運搬に支障を来たすようなメトヘモグロビンの増加は報告されていない。従って、医療用途において、NOガスは重要な役割を担いつつある。
【0007】
ところが、NOガスを100%の純度で製造できればよいが、有毒なNO2ガスが不純物として混入するために種々の問題が発生する。また、純粋なNOガスが生成できたとしても、NOガスは極めて不安定なガスで、空気中の酸素と反応すると直ちにNO2ガスに変化する。このように、医療用のNOガスに有毒なNO2ガスが混入すると人命に係わる事態となる。そこで、下記のような医療用一酸化窒素の安定化方法や製造方法の開発が行なわれてきた。
【0008】
開発の当初には、吸入用一酸化窒素ガスは高圧ガス容器に保管され、必要時に減圧して希釈ガスと混合し、この混合ガスを患者に吸引させてきた。しかし、一酸化窒素ガスは不安定で、高圧ガス容器に保存されている間に有害な二酸化窒素に変質する危険性があった。
【0009】
この危険性を回避するために、第1従来例である特開平10−36273号の「医療用一酸化窒素混合ガスおよびその製造方法」が開発された。即ち、不安定な一酸化窒素ガスに窒素ガスを混合して安定化し、この混合ガスを高圧ガス容器に安定的に保管しようとするものである。
【0010】
図6は第1従来例を示す医療用一酸化窒素混合ガス装置の概略構成図である。ガスボンベ71には一酸化窒素と窒素の混合ガスが充填され、流量計72により制御されながら混合ガスは下流に供給される。一酸化窒素に窒素を混入して一酸化窒素を安定化させている。
【0011】
ガスボンベ73には酸素50%と窒素50%からなる酸素含有ガスが充填されており、流量計74により制御されながら酸素含有ガスが下流に供給される。この酸素含有ガスは加湿器75により水蒸気が添加され、その後、前記混合ガスと合流して混合される。
【0012】
合流ガスはクーラー76を通過して冷却され、下流の位置で合流ガスから結露水77が採取された後、合流ガスは矢印f方向へと流通される。この結露水77の亜硝酸イオンと硝酸イオンの濃度が測定された結果、この第1従来例ではこれらの濃度は十分低いことが確認された。
【0013】
しかし、ガスボンベ71のような高圧ガス容器内に一酸化窒素ガスを安定的に保存する方法でも、高圧ガス容器が転倒したり、その口金が破損する事故が生起すると、一酸化窒素ガスが高圧ガス容器から大気中に大量に放出されることになる。このとき、放出された一酸化窒素は大気中の酸素と瞬時に結合して大量の有毒な二酸化窒素が発生し、医療現場において重大な事故が生じる危険性を排除しきれない。
【0014】
また、高圧ガス容器は相当の大きさを有するから、緊急を要する場合に運び込むのは大変である。また、一酸化窒素の吸入処置を行なう医療従事者が高圧ガスを取り扱う資格を有する必要もある。このように、高圧ガス容器に一酸化窒素を保存する方法では、重大事故の危険性や取り扱いの困難性などの欠点があった。
【0015】
この解決策として、第2従来例である特開2000−102616の「医療用一酸化窒素吸入装置」が開発された。この方法は高圧ガス容器を全く使用せず、パルス放電によって空気から必要なときに必要なだけの一酸化窒素を発生させる方法である。
【0016】
図7は、第2従来例に示される医療用一酸化窒素吸入装置の概略構成図である。高電圧電源81によりコンデンサ82が充電され、スイッチ83をオンすると、電極84・84の間にパルスアーク放電が生起する。抵抗86により放電電圧が調整される。
【0017】
吸入された空気85が前記パルスアーク放電を受けると、窒素と酸素から一酸化窒素と二酸化窒素の混合ガスが生成される。この混合ガスを加熱されたモリブデン87に流通させると、モリブデン87の触媒作用により二酸化窒素が選択的に除去される。人工呼吸器88とテスト用肺89を接続すると、安全な一酸化窒素がテスト用肺89に供給される。
【0018】
しかし、この方法では、モリブデンを通電加熱などの手段で高温に加熱する必要がある。このため作動初期には予加熱が必要となり、二酸化窒素の除去が開始されるまでには一定の時間を要し、急性呼吸不全などの救急時に即応が困難となる。つまり、十分な精製能力を有していない作動初期段階では、吸引ガスに二酸化窒素が混入する危険性があり、救急医療に際して重大な欠点を有している。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
前述した第1従来例や第2従来例の欠点を改善することが一酸化窒素吸入療法の実用化には不可欠である。図8は、本発明者によってなされた第3従来例である一酸化窒素発生装置の構成図である。この一酸化窒素発生装置は、平成13年度電気関係学会関西支部連合大会講演論文集、G1−11「パルス放電によるNOの作製」(中川吉郎ほか、平成13年11月6日〜7日)に詳細が示されている。
【0020】
本体容器91の両端は端部フランジ92・93を介して入口管94と出口管95に連結されている。本体容器91の内部は容器空間Aになっており、この容器空間Aには開口部96aを有した電極支持部96と開口部97aを有した電極支持部97が配設されている。また、電極支持部96・97には針状の電極98・99が先端を対向して配置されている。容器空間Aにはペレット状の酸化チタンTが隈なく充填されている。
【0021】
空気は矢印a方向に送入され、入口流路94aと開口部96aを介して容器空間Aに流入する。電極98・99の間にパルス高電圧を印加すると、両電極間にパルスアーク放電が生起する。このパルスアーク放電によって空気中の窒素と酸素が反応し、一酸化窒素と二酸化窒素の混合ガスが生成される。
【0022】
パルスアーク放電が生起すると、放電光も同時に放射され、この放電光は酸化チタンTの隙間を通過して光触媒である酸化チタンを励起して活性化する。放電光には紫外線や可視光線が含まれるが、主に紫外線が励起光の役割を相する。この励起状態にある酸化チタンによって有害な二酸化窒素が除去される。
【0023】
除去されずに残留した一酸化窒素が開口部97aと出口流路95aを介して矢印d方向に送出される。送出される一酸化窒素が医療吸引用の一酸化窒素として使用され、患者の救急治療などに利用される。この方法によれば、救急現場において空気から瞬時に高純度の一酸化窒素を生成できる利点がある。
【0024】
しかし、この方法でも次のような欠点があることが分ってきた。容器空間Aに隙間なく充填された酸化チタンが邪魔になるため、放電エネルギーが気体反応に有効に伝達され難い。また、パルス放電が生起するとパルス放電の電撃によって酸化チタン(TiO2)のペレットが損傷して光触媒作用が劣化する。酸化チタンペレットの破損粉末が気流に流されると患者の吸引マスクまで運ばれるから極めて危険である。このように、二酸化チタンの破損粉末などの除去がどうしても必要になるため、長期に安定使用することが困難になる。また、管内に残留する有機物や金属などの不純物が電極近傍のペレット表面に酸化物として付着し、光触媒反応の劣化を引き起こすこともある。従って、この装置が有する瞬時使用の特徴を生かしながら、長期に安定使用できるように装置を改善することが求められている。
【0025】
従って、本発明は、医療現場での重大事故の可能性のある一酸化窒素高圧ガス容器を用いずに、高純度の一酸化窒素ガスを必要なときに必要な量だけ瞬時に空気から生成し、しかも一酸化窒素の生成を長期間安定して持続できる可搬型医療用一酸化窒素発生装置を提供することを目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために為されたものであり、第1の発明は、入口触媒空間と出口触媒空間の間に放電空間を設け、入口触媒空間と出口触媒空間には光触媒を充填し、放電空間にはアーク放電を生起する電極を対向して配置し、入口触媒空間に供給された空気を放電空間へと流通させ、放電空間内において電極間のアーク放電により空気から少なくとも一酸化窒素と二酸化窒素の混合ガスを生成し、この混合ガスを出口触媒空間へと流通させ、前記アーク放電の放射光により光触媒を励起して混合ガスから二酸化窒素を除去する可搬型医療用一酸化窒素発生装置である。電極が対向配置されている放電空間には光触媒が全く充填されないから、アーク放電が生起してもその電撃を受ける光触媒が近傍に存在せず、放電空間の左右に位置する入口触媒空間と出口触媒空間に充填されている光触媒の損傷が極めて小さくなり、装置の耐久性が格段に向上し、装置の長期安定性を実現できる。また、放電空間には光触媒が無いから、アーク放電エネルギーが空気に伝達されやすく、空気から一酸化窒素と二酸化窒素への変換効率が高くなる。しかも、放電光は入口触媒空間と出口触媒空間に浸透して光触媒を活性化するから、二酸化窒素を効率的に除去でき、その結果、高純度の一酸化窒素を長期安定供給することが可能になる。
【0027】
第2の発明は、二つの透孔性部材により内部空間が中央の放電空間とその左右の入口触媒空間及び出口触媒空間に分割された本体容器と、前記透孔性部材により画成された入口触媒空間と出口触媒空間に充填された光触媒と、放電空間内に対向して配置されたアーク放電を生起する電極と、入口触媒空間に空気を送入させる入口管と、出口触媒空間から一酸化窒素を送出する出口管から構成され、電極間のアーク放電により空気から一酸化窒素と二酸化窒素の混合ガスを生成し、アーク放電光により光触媒を励起して混合ガスから二酸化窒素を除去し、出口管から一酸化窒素を送出する可搬型医療用一酸化窒素発生装置である。本体容器を小型化することにより救急現場に簡易に携行できる可搬型の医療用一酸化窒素発生装置を提供できる。光触媒は透孔性部材によって入口触媒空間と出口触媒空間に確実に充填できるから、光触媒の存在しない放電空間を安定して確保でき、しかも透孔性部材の多くの透孔によって気体の流通性とアーク放電光の光触媒表面への浸透性が確保できる。透孔性部材には光触媒粒子のサイズに応じて多孔板や金属メッシュネット等多くの形態がある。
【0028】
第3の発明は、放電空間におけるガスの流れを邪魔しないように、放電空間の周囲を光触媒膜により包囲する可搬型医療用一酸化窒素発生装置である。放電空間を光触媒膜により取巻くと、高密度のアーク放電光が光触媒膜を照射して光触媒膜を活性化し、放電空間で生成された二酸化窒素を効率的に除去できる。光触媒膜としては、本体容器の内面に光触媒を塗着してもよいし、シートに光触媒を塗着して巻回してもよいなど種々の形態がある。
【0029】
第4の発明は、前記光触媒が酸化チタンから構成される可搬型医療用一酸化窒素発生装置である。一般に、酸化チタンは二酸化チタン(TiO2)として表記され、アナターゼやルチルなどの結晶構造が存在するが、光触媒活性を有する酸化チタンが全て本発明に使用できる。また、光触媒の形態には、ペレット状、粉末状、シート状など任意の形状を目的に合わせて使用できる。
【0030】
第5の発明は、本体容器が電気絶縁材料から形成され、透孔性部材が金属メッシュネットから形成され、電極が入口管及び出口管に固定されて電極先端が放電空間内で対向するように構成された可搬型医療用一酸化窒素発生装置である。本体容器がガラスやセラミックス等の電気絶縁材料で形成されるから、アーク放電エネルギーが本体容器に散逸せず、空気から一酸化窒素と二酸化窒素への変換に有効に使用される。金属メッシュネットは丈夫であり、多数の透孔の面積が比較的大きいから、気体の流通性や放電光の浸透性が高くなり、一酸化窒素発生能力が向上する。電極が入口管と出口管に固く結合できるから、放電時の反力によって電極の幾何学的配置に変形が生じ難く、装置全体の耐久性が向上する。
【0031】
第6の発明は、電極間に高圧パルス電圧を印加する高圧パルス発生装置を付加した可搬型医療用一酸化窒素発生装置である。高圧パルス発生装置を小型化することにより、一酸化窒素発生装置の全体構造を小型化でき、救急現場に容易に携行して取り扱いが容易な可搬型医療用一酸化窒素発生装置を提供できる。
【0032】
第7の発明は、生成された一酸化窒素をダストフィルター及び/又は水バブリング装置を介して吸引用マスクに供給する可搬型医療用一酸化窒素発生装置である。一酸化窒素の気流に含まれるダストをダストフィルターで除去し、水バブリング装置で一酸化窒素を適当に加湿し、吸引用マスクから患者に一酸化窒素を供給するから、救急現場で直ちに患者に対し清潔で新鮮な一酸化窒素を供給することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る可搬型医療用一酸化窒素発生装置の実施形態を図面に従って詳細に説明する。
【0034】
図1は、本発明に係る可搬型医療用一酸化窒素発生装置の主要部である一酸化窒素発生カラムの構成図である。一酸化窒素発生カラム2は、両端を端部フランジ6・8で閉鎖された本体容器4と、端部フランジ6に固定された入口管10と、端部フランジ8に固定された出口管12から構成されている。
【0035】
本体容器4の内部には容器空間Aが形成され、この容器空間Aは透孔性部材28・30により、中央の放電空間24と、その左右にある入口触媒空間22と出口触媒空間26に3分割されている。容器本体4は放電電流が流れないようにガラスやセラミックス等の電気絶縁材料で形成されることが好ましく、この実施形態では本体容器4は内部を透視しやすいように透明なガラスチューブから構成されている。電気絶縁材料で形成すると、放電エネルギーが一酸化窒素と二酸化窒素を生成する気体反応に有効に使用される。
【0036】
入口触媒空間22の中には、開口部14aを有した電極支持部14が入口管10の先端に固定され、電極18が電極支持部14から突設されている。入口管10の入口流路10aは開口部14aに連通している。
【0037】
入口触媒空間22にはペレット状の光触媒Tが充填され、その端面は透孔性部材28によって閉鎖されてペレット状の光触媒Tを不動状態に保持している。電極先端18aは透孔性部材28の孔を挿通して放電空間24に到達するように配置されている。
【0038】
また、出口触媒空間26の中には、開口部16aを形成した電極支持部16が出口管12の先端に設けられ、電極20が電極支持部16から突設されている。出口管12の出口流路12aは開口部16aに連通している。
【0039】
出口触媒空間26にもペレット状の光触媒Tが充填されており、その端面は透孔性部材30によって閉鎖されてペレット状の光触媒Tを不動状態に保持している。電極先端20aは透孔性部材30の孔を挿通して放電空間24に到達するように配置されている。
【0040】
透孔性部材28・30は多数の透孔を有した薄板であればよく、導電性でも電気絶縁性を有しても構わない。例えば、金属メッシュネットや多数の透孔を形成したセラミック薄板でもよい。導電性の金属メッシュネットは耐久性が高いだけでなく透孔面積が大きいから、気体の流通性や放電光の透過性がよい。絶縁性材料の場合には、電極間の放電電流が透孔性部材に流れないから、放電エネルギーの損耗が少なく、放電エネルギーを気体反応に有効に転換できる利点がある。
【0041】
放電空間24では、電極18・20の電極先端18a・20aが所定間隔だけ離間して対向配置されている。また、放電空間24を取り巻く本体容器4の内周面には光触媒膜29が形成されている。その内周面に光触媒を膜状に塗着してもよいし、光触媒をシート状に形成してこの光触媒シートを巻回して内周面に貼りつけてもよい。
【0042】
ペレット状の光触媒Tと光触媒膜29を形成する光触媒としては、光照射によって電子・正孔対が形成される金属酸化物半導体が利用でき、例えば、WO3、CdO3、In2O3、Ag2O、MnO2、Cu2O3、Fe2O3、V2O5、TiO2、ZrO2、RuO2、Cr2O3、CoO3、NiO、SnO2、CeO2、Nb2O3、KTaO3、SrTiO3、K4NbO17 等が利用できる。
【0043】
この中でも、生成される電子・正孔密度や、活性酸素(O2 −)やヒドロキシラジカル(OH・)の生成密度、更には耐食性や安全性の観点からTiO2、SrTiO3、K4NbO17 が好ましく、特に光触媒としての実績から酸化チタン(TiO2)が最も好ましい。
【0044】
酸化チタンには、その結晶構造の違いから、アナターゼ、ルチル、ブルッカイトなどがあり、この中でも紫外線感受性の高いアナターゼや紫外線・青色可視光に感受性を有するルチルが有効である。また、近年では種々の不純物を添加して可視光応答性を高めた酸化チタンが開発されつつあり、これらの可視光応答型酸化チタンも本発明の酸化チタンに含まれることは云うまでもない。アーク放電による放射光に最も感受性の高い光触媒が選択されることが望ましい。
【0045】
次に、この一酸化窒素発生カラムの動作を説明する。矢印a方向に空気を送入すると、入口流路10aを流通して開口部14aから矢印b方向に、空気は入口触媒空間22へと流入する。ペレット状の光触媒Tの間を通過して、空気は放電空間24に到達する。
【0046】
電極18・20の間にパルス高電圧を印加すると、電極先端18a・20aの間にパルスアーク放電が生起し、この放電エネルギーにより空気を構成する窒素と酸素が化学反応を生起し、少なくとも一酸化窒素と二酸化窒素の混合ガスが放電空間24の中で主に生成される。しかし、放電エネルギーは入口触媒空間22と出口触媒空間24の内部にも到達するから、充填された光触媒Tの隙間空間でも一酸化窒素と二酸化窒素の混合ガスが生成される。
【0047】
放電空間24内で生成された一酸化窒素と二酸化窒素の混合ガスは入口触媒空間22と出口触媒空間26へと拡散してゆくが、気流は出口管12の方に流れるから、混合ガスの多くは出口触媒領域26へと流入すると考えられる。しかし、空気や混合ガスの流通速度よりも、アーク放電による気体反応速度や放電光による光触媒反応速度の方が格段に速いから、これらの反応による二酸化窒素の除去は放電空間24と入口触媒空間22と出口触媒空間26において同時的に進行すると考えられる。
【0048】
パルスアーク放電が生起すると、放電火花から放電光が周囲に放射され、この放電光は放電空間24の中に充満する。更に、放電光は透孔性部材28・30の多数の透孔から入口触媒空間22と出口触媒空間26へと入射され、光触媒Tの表面で乱反射しながら内部に浸透してゆく。
【0049】
更に具体的に説明すると、放電空間24では、放電光によって光触媒膜29が励起され、この活性化した光触媒膜29との接触反応によって二酸化窒素は除去される。更に、入口触媒空間22及び出口触媒空間26においては、瞬時に浸透した放電光により光触媒Tが励起され、活性化した光触媒Tとの接触反応によって二酸化窒素は除去される。混合ガスの内、殆んどの二酸化窒素は光触媒により除去される。
【0050】
従って、極微小濃度の二酸化窒素と残留した一酸化窒素及び未反応の空気が、開口部16aへと矢印c方向に流入し、出口流路12aから矢印d方向に送出されてゆく。有毒な二酸化窒素の濃度は人体に無害な程度にまで減少されるから、送出される気体は救急医療に使用される吸引用一酸化窒素として利用することが可能になる。
【0051】
図2は、本実施形態に使用される光触媒(酸化チタン)による一酸化窒素発生のメカニズムの説明図である。酸化チタン(TiO2)の表面に放電光である紫外光(UV)が照射されると、電子が励起されて伝導帯に遷移し、伝導帯に励起電子(e−)、価電子帯に正孔(h+)が生成される。励起電子は空気中の酸素(O2)と反応して活性酸素(O2 −、O−)を生成し、正孔は表面吸着水と反応してヒドロキシラジカル(OH・)を生成する。活性酸素とヒドロキシラジカルは強力な酸化剤として作用する。
【0052】
一方、パルスアーク放電によって空気からNOとNO2が生成される。NOとNO2はTiO2の表面でO2 −とOH・によって酸化される。この酸化過程で、NOはNO2になり、NO2はHNO3(硝酸)に変化する。この反応過程において、NO2からHNO3になる反応速度が速いため、NO2の濃度は急速に低下し、最終的に高濃度のNOと未反応の低濃度のNO2が残留する。
【0053】
有毒なNO2の濃度は極めて小さくなり、その濃度は人体の健康に影響を与えない程度にまで低下している。従って、高濃度のNOと極低濃度のNO2が未反応の空気と一緒に外部に送出されることになる。
【0054】
図3は、本発明に係る可搬型医療用一酸化窒素発生装置を用いた一酸化窒素吸入療法の説明図である。可搬型医療用一酸化窒素発生装置40は一酸化窒素発生カラム2に高圧パルス発生装置42を組み込んで構成される。また、可搬型医療用一酸化窒素吸入装置59は、前記可搬型医療用一酸化窒素発生装置40にダストフィルタ51、水バブリング装置53及び吸引用マスク57を加えて構成される。
【0055】
高圧パルス発生装置42は、高圧直流電源44と抵抗46とコンデンサ48とスイッチ50から構成されている。この例では、高圧直流電源44の負極がアース49に接続されている。この高圧パルス発生装置42を電極18・20に接続して、電極18・20の間に高圧パルス電圧を印加する。
【0056】
スイッチ50をオンすると、コンデンサ48の高電圧が電極18・20に印加され、その蓄積電荷が電極18・20間に急激に放電電流として放出される。コンデンサ48の電圧が低下するとアーク放電は停止し、高圧直流電源44によりコンデンサ48の充電が開始され、一定電圧以上になると再び電極18・20の間にアーク放電が始まる。この様に、回路構成により決った周期でパルス電圧が印加され、電極間のアーク放電はパルスアーク放電になる。
【0057】
このパルスアーク放電によって一酸化窒素発生カラム2から一酸化窒素が供給される。供給される一酸化窒素の気流からダストフィルタ51により不要なダストが除去され、ダストを除去された一酸化窒素はバブリング管52を介して水バブリング装置53に送られる。
【0058】
水バブリング装置53では一酸化窒素気流に適度の加湿が行なわれる。この一酸化窒素はNOX分析装置55により安全性が確認される。一酸化窒素の安全性が確認された後、供給管54から吸引用マスク57に一酸化窒素が供給され、必要な患者58に対し一酸化窒素吸入療法が実行される。
【0059】
図4は、本実施形態で使用される高圧パルス発生装置の一例を示す具体的構成図である。この高圧パルス発生装置42は、2本の同軸ケーブル61を1段として、3段のブルームライン線路から構成されている。絶縁用抵抗60及び放電電圧測定用の抵抗分圧器62を組み込み、ギャップスイッチをスイッチ50として使用している。
【0060】
この高圧パルス発生装置42の具体的特性は、特性インピーダンスが312Ω、出力電圧が約60kV、パルス幅が200ns、充電電圧が15kVのとき放電エネルギーは1.4J/pulseであった。勿論、本発明に使用される高圧パルス発生装置42としては、公知の全ての高圧回路が利用できることは云うまでもない。
【0061】
図5は、図4に示す高圧パルス発生装置の放電電圧と放電電流の波形図である。アーク放電開始までに放電電圧(Voltage)は約100nsの高電圧パルス電圧を示しており、アーク放電が始まると電圧は低下し、放電電流は約700nsの周期で最大電流は約100Aに達していることが分かる。
【0062】
【実施例】
図3に示される可搬型医療用一酸化窒素発生装置を用いて空気から一酸化窒素を発生させる実験を行なった。光触媒Tは二酸化チタンペレットからなり、電極18・20は銅針から形成された。空気流量は約1L/minで、放電回数は200shots/minであった。
【0063】
まず、第1回目の実験では、生成されたNOは54.3ppm、NO2は0.43ppmであった。NO2/NOx=0.0079±0.0061となり、二酸化窒素は殆んど除去されており、一酸化窒素吸入療法に使用できることが分った。
【0064】
更に、第2回目の実験では、生成されたNOは24.8ppm、NO2は0.40ppmであった。NO2/NOx=0.016±0.015となった。従って、この装置を用いれば、二酸化窒素は殆んど除去されており、実際の一酸化窒素吸入療法に使用できる性能を有することが分った。
【0065】
本発明は上記実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々の変形例・設計変更等をその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
【0066】
【発明の効果】
第1の発明によれば、高圧ガス容器を全く使用しないので安全性が極めて高く、高温モリブデンのような触媒加熱時間が不要であるから瞬時に高純度の一酸化窒素ガスを提供でき、救急性を要求される医療現場に最適の一酸化窒素発生装置を実現できる。また、放電空間には光触媒が全く充填されていないから、アーク放電の電撃を受ける光触媒が近傍に存在せず、光触媒が破損して粉末化することはない。左右に配置された入口触媒空間と出口触媒空間には光触媒が充填されているが、電極から一定距離だけ離間しており、光触媒が損傷を受けることはなく、装置全体の耐久性が格段に向上し、装置の長期安定性を実現できる。更に、放電空間には光触媒が無いから、放電エネルギーが空気に伝達されやすく、一酸化窒素と二酸化窒素の生成効率が高くなる。しかも、放電光は入口触媒空間と出口触媒空間に浸透して光触媒を活性化するから、二酸化窒素を効率的に除去でき、高純度の一酸化窒素を長期安定供給することが可能になる。
【0067】
第2の発明によれば、本体容器を小型化することにより、過密な医療現場に設置したり、最も緊急を要する救急車への搭載が可能となり、救急現場に迅速簡易に携行できる可搬型医療用一酸化窒素発生装置を実現できる。透孔性部材によって入口触媒空間と出口触媒空間に光触媒を限定的に充填できるから、光触媒の存在しない放電空間を安定して確保でき、しかも透孔性部材の多くの透孔によって気体の流通性とアーク放電光の光触媒表面への浸透性を確保できる。透孔性部材には光触媒粒子のサイズに応じて多孔板や金属メッシュネット等多くの形態を利用でき、長期安定性を有し、安全且つ軽量コンパクトな医療用一酸化窒素発生装置を提供できる。
【0068】
第3の発明によれば、放電空間が光触媒膜により取巻かれているから、高密度のアーク放電光の直射により光触媒膜が活性化され、放電空間内でも二酸化窒素が効率的に除去できる。光触媒膜の具体的形態としては、本体容器の内面に光触媒を塗着してもよいし、シートに光触媒を塗着して内面に沿って巻回してもよいなど多様な形態を採用できる。
【0069】
第4の発明によれば、光触媒として酸化チタンが利用され、アナターゼやルチルなどの結晶構造が存在するが、光触媒活性を有する酸化チタンの全てが本発明に使用できる。また、光触媒の形態には、ペレット状、粉末状、シート状など任意の形状を目的に合わせて使用できる。
【0070】
第5の発明によれば、本体容器がガラスやセラミックス等の電気絶縁材料で形成されるから、アーク放電エネルギーが本体容器に散逸せず、一酸化窒素と二酸化窒素が効率的に生成される。透孔性部材として用いられる金属メッシュネットは丈夫であり、多数の透孔の面積が比較的大きいから、気体の流通性や放電光の浸透性が高くなり、一酸化窒素発生能力が向上する。また、電極が入口管と出口管に固く結合できるから、放電時の反力が作用しても電極の幾何学的配置に変形が生じ難く、装置全体の耐久性が向上する。
【0071】
第6の発明によれば、高圧パルス発生装置を小型化することにより、一酸化窒素発生装置の全体構造を小型化でき、救急現場に容易に携行して取り扱いが容易な可搬型医療用一酸化窒素発生装置を提供できる。
【0072】
第7の発明によれば、生成された一酸化窒素をダストフィルタ及び/又は水バブリング装置を介して吸引用マスクに供給する可搬型医療用一酸化窒素吸入装置が提供される。一酸化窒素の気流に含まれるダストをダストフィルタで除去し、水バブリング装置で一酸化窒素を適当に加湿し、吸引用マスクから患者に一酸化窒素を供給できるから、この装置一式を救急車に搭載すれば、救急現場で直ちに患者に対し清潔で新鮮な一酸化窒素を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る可搬型医療用一酸化窒素発生装置の主要部である一酸化窒素発生カラムの構成図である。
【図2】本実施形態に使用される光触媒(酸化チタン)による一酸化窒素発生のメカニズムの説明図である。
【図3】本発明に係る可搬型医療用一酸化窒素発生装置を用いた一酸化窒素吸入療法の説明図である。
【図4】本実施形態で使用される高圧パルス発生装置の一例を示す具体的構成図である。
【図5】図4に示す高圧パルス発生装置の放電電圧と放電電流の波形図である。
【図6】第1従来例を示す医療用一酸化窒素混合ガス装置の概略構成図である。
【図7】第2従来例を示す医療用一酸化窒素吸入装置の概略構成図である。
【図8】第3従来例を示す一酸化窒素発生装置の構成図である。
【符号の説明】
2は一酸化窒素発生カラム、4は本体容器、6・8は端部フランジ、10は入口管、10aは入口流路、12は出口管、12aは出口流路、14・16は電極支持部、14a・16aは開口部、18・20は電極、18a・20aは電極先端、22は入口触媒空間、24は放電空間、26は出口触媒空間、28は透孔性部材、29は光触媒膜、30は透孔性部材、40は可搬型医療用一酸化窒素発生装置、42は高圧パルス発生装置、44は高圧直流電源、46は抵抗、48はコンデンサ、49はアース、50はスイッチ、51はダストフィルタ、52はバブリング管、53は水バブリング装置、54は供給管、55はNOX分析器、57は吸入用マスク、58は患者、59は可搬型医療用一酸化窒素吸入装置、60は絶縁用抵抗、61は同軸ケーブル、62は抵抗分圧器、71はガスボンベ、72は流量計、73はガスボンベ、74は流量計、75は加湿器、76はクーラー、77は結露水、81は高電圧電源、82はコンデンサ、83はスイッチ、84は電極、85は空気、86は抵抗、87はモリブデン、88は人工呼吸器、89はテスト用肺、90は一酸化窒素発生カラム、91は本体容器、92・93は端部フランジ、94は入口管、94aは入口流路、95は出口管、95aは出口流路、96・97は電極支持部、96a・97aは開口部、98・99は電極、Tは光触媒。
Claims (7)
- 入口触媒空間と出口触媒空間の間に放電空間を設け、入口触媒空間と出口触媒空間には光触媒を充填し、放電空間にはアーク放電を生起する電極を対向して配置し、入口触媒空間に供給された空気を放電空間へと流通させ、放電空間内において電極間のアーク放電により空気から少なくとも一酸化窒素と二酸化窒素の混合ガスを生成し、この混合ガスを出口触媒空間へと流通させ、前記アーク放電の放射光により光触媒を励起して混合ガスから二酸化窒素を除去することを特徴とする可搬型医療用一酸化窒素発生装置。
- 二つの透孔性部材により内部空間が中央の放電空間とその左右の入口触媒空間及び出口触媒空間に分割された本体容器と、前記透孔性部材により画成された入口触媒空間と出口触媒空間に充填された光触媒と、放電空間内に対向して配置されたアーク放電を生起する電極と、入口触媒空間に空気を送入させる入口管と、出口触媒空間から一酸化窒素を送出する出口管から構成され、電極間のアーク放電により空気から少なくとも一酸化窒素と二酸化窒素の混合ガスを生成し、アーク放電光により光触媒を励起して混合ガスから二酸化窒素を除去し、出口管から一酸化窒素を送出することを特徴とする可搬型医療用一酸化窒素発生装置。
- 放電空間におけるガスの流れを邪魔しないように、前記放電空間の周囲を光触媒膜により包囲する請求項1又は2に記載の可搬型医療用一酸化窒素発生装置。
- 前記光触媒が酸化チタンから構成される請求項3に記載の可搬型医療用一酸化窒素発生装置。
- 前記放電容器が電気絶縁材料から形成され、前記透孔性部材が金属メッシュネットから形成され、前記電極が入口管及び出口管に固定されて電極先端が放電空間内で対向するように構成された請求項4に記載の可搬型医療用一酸化窒素発生装置。
- 前記電極間に高圧パルス電圧を印加する高圧パルス発生装置を付加した請求項1、2、3、4又は5に記載の可搬型医療用一酸化窒素発生装置。
- 請求項6に記載の可搬型医療用一酸化窒素発生装置にダストフィルタ及び/又は水バブリング装置を介して吸引用マスクを接続することを特徴とする可搬型医療用一酸化窒素吸入装置。
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