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JP2003135074A - ドレブリンa発現抑制動物神経細胞及び非ヒトモデル動物 - Google Patents

ドレブリンa発現抑制動物神経細胞及び非ヒトモデル動物

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JP2003135074A
JP2003135074A JP2001339652A JP2001339652A JP2003135074A JP 2003135074 A JP2003135074 A JP 2003135074A JP 2001339652 A JP2001339652 A JP 2001339652A JP 2001339652 A JP2001339652 A JP 2001339652A JP 2003135074 A JP2003135074 A JP 2003135074A
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animal
drebrin
glutamate receptor
expression
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Tomoaki Shirao
智明 白尾
Mari Saji
真理 佐治
Yuko Sekino
祐子 関野
Rika Kobayashi
利佳 小林
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 グルタミン酸受容体の機能を低下させた動物
神経細胞、又は精神分裂病徴を発症する非ヒトモデル動
物を提供すること、及び該動物神経細胞又は非ヒトモデ
ル動物を用いた、予防或いは治療剤のスクリーニング方
法を提供すること。 【解決手段】 アンチセンスオリゴヌクレオチドを用い
て、ドレブリンAの発現を抑制することにより、グルタ
ミン酸受容体の機能を制御した動物神経細胞を作製する
ことができる。また、アンチセンスオリゴヌクレオチド
のようなドレブリンA発現抑制物質を非ヒト動物に投与
することにより、グルタミン酸受容体の機能の低下と共
に、精神分裂病徴を発症する非ヒトモデル動物を作製す
ることができる。これらの動物神経細胞及びモデル動物
は、グルタミン酸受容体機能亢進剤又は精神分裂病予防
或いは治療剤のスクリーニングに有効に利用することが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ドレブリンAの発
現を抑制した動物神経細胞及び非ヒトモデル動物、及び
該組織細胞及び非ヒトモデル動物を用いたグルタミン酸
受容体機能亢進剤又は精神分裂病予防又は治療剤のスク
リーニング方法に関する。更には、被検動物の組織細胞
のドレブリンA遺伝子の異常或いは発現抑制の異常の検
査、又は被検動物の組織細胞のグルタミン酸受容体機能
の測定を行うことからなる精神分裂病の診断方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】グルタミン酸は、高等動物の中枢神経系
における主要な興奮性神経伝達物質であると考えられて
おり、グルタミン酸受容体は中枢における興奮性シナプ
ス伝達に中心的役割を担っている。哺乳類の脳の神経細
胞の興奮性信号はグルタミン酸を神経伝達物質として使
っている。このグルタミン酸は樹状突起スパイン上に配
置されたグルタミン酸受容体を介してシグナルを次の神
経細胞に伝達する。グルタミン酸受容体は、イオンチャ
ネルを内臓して速いシナプス伝達を担うイオンチャネル
型グルタミン酸受容体と、Gタンパク質と共役すること
により間接的にシグナルを伝える代謝調節型グルタミン
酸受容体に大別され、イオンチャネル型受容体は、N−
methyl−D−asparaginic acid
(NMDA)に感受性のNMDA受容体と非感受性のn
on−NMDA受容体に分類される。このnon−NM
DA受容体は、更にカイニン酸、α―amino−3−
hydroxy−5−methyl−4−isoxaz
ole propionicacid(AMPA)に対
する感受性の差により、カイニン酸受容体、AMPA受
容体のサブタイプに分類される。
【0003】このNMDA受容体、AMPA受容体、代
謝調節型グルタミン酸受容体は、ともに脳の高次機能発
現に欠くことのできないシナプス可塑性に重要な機能を
果たすと考えられているが、その分子基盤についてはま
だ完全には解明されていない。神経細胞は、他の体細胞
には見られない非常に複雑な形状を有し、核をもつ細胞
体からは、樹状突起と軸索という2種類の突起が伸びて
いる。樹枝状に伸びる樹状突起はスパイン(spine)と
呼ばれる無数の棘構造を有し、他の細胞からの情報を受
け取る機能をもつシナプス後部を形成している。この神
経細胞特異的形態は、神経特異的なアクチン結合タンパ
クにより決定される。このスパインに上記のグルタミン
酸受容体が配置されているわけであるが、その配置決定
機構として、アクチン細胞骨格との関連が重要だと考え
られている。
【0004】一方、本発明者らは、発生過程の神経細胞
に多量発現するアクチン結合タンパクドレブリン(Dreb
rin)を世界に先駆けて発見し(J. Neurochem. 44, 121
0-1216, 1985、J. Biochem. 117, 231-236, 1995)、こ
のドレブリンがアクチンファイバーの性状を変えること
により神経細胞の形態形成、特に突起形成に関わってい
ること(J. Neurosci. Res. 38: 149-159, 1994、Exp.
Cell Res. 215:145-153, 1994、J. Biol. Chem. 269:29
928-29933, 1994)や、発生中で移動している神経細胞
では、細胞体と突起全体に存在するが、成熟した神経細
胞では棘構造中に特異的に存在すること(J. Neurosci.
15: 7161-7170, 1996、Dev. Brain Res. 29, 233-244,
1986、Brain Res. 413, 374-378, 1987)を既に証明し
ている。ドレブリンには、胚性型(embryonic type)の
ドレブリンEと成体型(adult type)のドレブリンAと
いう2つのアイソフォームが存在しており(J. Bioche
m.117, 231-236, 1995)、成熟した神経細胞のスパイン
に特異的に見られるドレブリンAは、神経細胞にしか発
現しないという特徴を有している(Dev. Brain Res. 2
9, 233-244, 1986、Brain Res. 413, 374-378, 198
7)。
【0005】ドレブリンAはalternative splicing機構
によりドレブリンEに“ins2”と呼ばれる領域が加
わった配列をしている。すなわち、5′側から956〜
1093baseにgtcgtccgtactgccc
tttcataaaggcatcggacagtggg
ccttcctcctcctcctcttcctcct
cttcccctccacggactccctttcc
ctatatcacctgccaccgcacccca
aacctctcttcctccctcccat(配列
番号1)が挿入されて発現したものである(Mol. Brain
Res. 19, 101-114, 1993、Neuroreport 3, 109-112, 1
992)。
【0006】また最近、本発明者らは、ドレブリンAを
初代培養神経細胞に発現させると自動的に樹状突起スパ
インに集まり、しかもその長さを長くすることを見い出
した。この発見は、ある一つの蛋白合成量を変化させる
ことによってスパインの形態を変化させることができる
ことを発見した世界で最初の報告である(J. Neurosci.
19, 3918-3925, 1999)。その他、ドレブリンの所属す
るタンパクファミリーに関して、ドレブリンがADF Homo
logy Domainをもったアクチン結合タンパクの一種に分
類できる可能性が示唆されている(Mol. Biol. Cell 9,
1951-1959, 1998)。また、ドレブリンのホモローグと
してSH3P7が発見されているが、SH3P7の機能
が明らかになりつつある(Mol. Cell. Biol. 19, 1539-
1546, 1999、Nature Biotech. 14, 741-744, 1996)。
【0007】その他、神経栄養因子BDNF(Brain-de
rived neurotrophic factor)を特異ノックアウトする
アンチセンスオリゴヌクレオチドを作製し、外来性のB
DNFがスパイン密度をインビボ及びインビトロで増加
させるエストラジオールの効果を遮断し、選択的なアン
チセンスオリゴヌクレオチドを用いたBDNFの発現抑
制がエストラジオールに似た効果をもたらし、抗BDN
F抗体によりスパイン密度が増加するなど、スパイン密
度の調節に関与するBDNFの役割が明らかにされてい
る(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95, 11412-11417, 19
98)。また、脆弱X症候群(fragile X syndrome)は、
X染色体にフラジャイル・サイトが存在するため起こる
遺伝性の精神遅滞の原因としては最も頻度の高い病気で
あり、X染色体上の遺伝子FMR1の発現異常、主に発
現欠損により引き起こされ、FMR1の発現異常は脳神
経系の形態異常を伴うが、かかる脆弱X症候群などの脳
神経疾患の治療法は、現在のところ見つかっていない。
【0008】また、NMDA型グルタミン酸受容体が、
その特異的阻害剤によりシナプス活動が抑制されること
によりスパインに集積することが、論文で発表されてい
る。論文には、その機構としてcAMP(cyclic aden
osine3',5'−mono−phosphate)依存性蛋白リン酸化
酵素が重要であることが示されている。その中で、阻害
剤投与により集積するグルタミン酸受容体が正常の機能
を持っていることが報告されている(J.Neurosci. 21,
5079-5088, 2001)。更に、NMDA型グルタミン酸遮
断薬が,分裂病様の陽性症状と抗精神病薬抵抗性の陰性
症状の双方を発現させることなどから、分裂病において
は、特に脳内ドーパミン伝達の亢進やグルタミン酸伝達
の低下の可能性が注目されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、グル
タミン酸受容体の機能を低下させた動物神経細胞、又は
グルタミン酸受容体の機能を低下させた及び/又は精神
分裂病徴を発症する非ヒトモデル動物を提供すること、
及び該動物神経細胞又は非ヒトモデル動物を用いたグル
タミン酸受容体機能亢進剤又は精神分裂病予防或いは治
療剤のスクリーニング方法を提供すること、更には、被
検動物の組織細胞の遺伝子の異常或いは遺伝子の発現制
御の異常の検査、又は被検動物の組織細胞の機能の低下
の測定を行うことからなる精神分裂病の診断方法を提供
することからなる。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、樹状突起ス
パインのアクチン細胞骨格の調節因子の一つであるドレ
ブリンAの発現量を、アンチセンスオリゴヌクレオチド
のようなドレブリンA発現抑制物質を用いて、減少さ
せ、この操作により起こるNMDA型受容体の配置の変
化を培養神経細胞を用いて解析し、ドレブリンAの発現
を抑制することにより、グルタミン酸受容体の機能を低
下させることができることを見い出した。即ち、培養神
経細胞を用いた解析により、ドレブリンタンパク質ファ
ミリーおよびその結合蛋白の発現を調節することにより
グルタミン酸受容体の機能を制御することが可能であ
り、グルタミン酸受容体の機能を制御した神経細胞のよ
うな動物神経細胞を作製できることを見い出し、本発明
をなした。
【0011】また、本発明においては、ドレブリンA発
現抑制物質をラット脳室内に投与したところ、脳内のド
レブリンAの発現量を減少させることに成功した。そこ
で、ドレブリンAの発現を抑制したラットの行動を解析
したところ、グルタミン酸受容体の機能の低下と共に、
空間記憶形成能力を障害すること無しに、自発運動量の
増加や驚愕反応に対するプレパルスインヒビションの衰
弱が起きることを確認した。このような行動変化は精神
分裂病患者に特有なものであることから、ドレブリンA
の発現を抑制すれば、精神分裂病徴発症モデルの作製が
可能であることを見い出した。このことより、本発明で
は、グルタミン酸受容体の機能を低下させ、且つ精神分
裂病徴を発症する非ヒトモデル動物を作製した。更に、
本発明は、該ドレブリンAの発現を抑制し、グルタミン
酸受容体の機能を低下した動物神経細胞及び精神分裂病
微発症モデル動物を用いて、グルタミン酸受容体機能亢
進物質又は精神分裂病予防或いは治療効果を有する物質
を検索し、グルタミン酸受容体機能亢進剤又は精神分裂
病予防或いは治療剤のスクリーニングを行うことよりな
る。また、本発明においては、ドレブリンAの遺伝子の
異常或いは発現制御の異常と精神分裂病徴の発症との関
連、又はグルタミン酸受容体の機能の低下と精神分裂病
徴の発症との関連が確認されたことから、被検動物の組
織細胞のドレブリンAの遺伝子の異常或いは発現制御の
異常の検査、又は被検動物の組織細胞のグルタミン酸受
容体機能の低下の測定を行うことにより精神分裂病の診
断を行うことを可能とした。
【0012】すなわち本発明は、ドレブリンAの発現を
抑制することによりグルタミン酸受容体の機能を低下さ
せたことを特徴とする動物神経細胞(請求項1)や、ド
レブリンAの発現抑制が、動物神経細胞にドレブリンA
発現抑制作用を有するアンチセンスオリゴヌクレオチド
を導入することにより行われたことを特徴とする請求項
1記載の動物神経細胞(請求項2)や、アンチセンスオ
リゴヌクレオチドが、配列表の配列番号1に示される塩
基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズ
し、かつドレブリンA発現抑制作用を有することを特徴
とする請求項2記載の動物神経細胞(請求項3)や、ア
ンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列表の配列番号2
に示される塩基配列を有することを特徴とする請求項2
又は3記載の動物神経細胞(請求項4)や、動物神経細
胞が、中枢神経細胞、抹消神経細胞、又は株化神経細胞
であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の
動物神経細胞(請求項5)や、神経細胞が、ラット大脳
皮質由来であることを特徴とする請求項5記載の動物神
経細胞(請求項6)からなる。
【0013】また本発明は、請求項1〜6のいずれか記
載の動物神経細胞を被検物質に接触させ、グルタミン酸
受容体機能を測定することを特徴とするグルタミン酸受
容体機能亢進物質のスクリーニング方法(請求項7)
や、請求項7により得られたグルタミン酸受容体機能亢
進物質を有効成分として含有することを特徴とするグル
タミン酸受容体機能亢進剤(請求項8)や、ドレブリン
Aの発現を抑制したことを特徴とするグルタミン酸受容
体の機能の低下及び/又は精神分裂病徴発症非ヒトモデ
ル動物(請求項9)や、ドレブリンAの発現抑制が、動
物にドレブリンA発現抑制作用を有するアンチセンスオ
リゴヌクレオチドを導入することにより行われることを
特徴とする請求項9記載のグルタミン酸受容体の機能の
低下及び/又は精神分裂病徴発症非ヒトモデル動物(請
求項10)や、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、配
列表の配列番号1に示される塩基配列とストリンジェン
トな条件下でハイブリダイズし、かつドレブリンA発現
抑制作用を有することを特徴とする請求項10記載のグ
ルタミン酸受容体の機能の低下及び/又は精神分裂病徴
発症非ヒトモデル動物(請求項11)や、アンチセンス
オリゴヌクレオチドが、配列表の配列番号2に示される
塩基配列を有することを特徴とする請求項10又は11
記載のグルタミン酸受容体の機能の低下及び/又は精神
分裂病徴発症非ヒトモデル動物(請求項12)や、アン
チセンスオリゴヌクレオチドを、動物の脳室内に導入し
たことを特徴とする請求項10〜12のいずれか記載の
グルタミン酸受容体の機能の低下及び/又は精神分裂病
徴発症非ヒトモデル動物(請求項13)や、非ヒトモデ
ル動物が、ラットであることを特徴とする請求項9〜1
3のいずれか記載のグルタミン酸受容体の機能の低下及
び/又は精神分裂病徴発症非ヒトモデル動物(請求項1
4)や、請求項9〜14のいずれか記載のグルタミン酸
受容体の機能の低下及び/又は精神分裂病徴発症非ヒト
モデル動物に、被検物質を投与し、グルタミン酸受容体
機能を測定するか又は非ヒトモデル動物の精神分裂病徴
の発症の状況を評価することを特徴とするグルタミン酸
受容体の機能亢進及び/又は精神分裂病の予防又は治療
効果を有する物質のスクリーニング方法(請求項15)
や、請求項15により得られたグルタミン酸受容体の機
能亢進及び/又は精神分裂病の予防又は治療効果を有す
る物質を有効成分として含有することを特徴とするグル
タミン酸受容体の機能亢進剤及び/又は精神分裂病予防
又は治療剤(請求項16)や、被検動物の組織細胞のド
レブリンAの遺伝子の異常又はドレブリンAの遺伝子の
発現制御の異常を検査することを特徴とする精神分裂病
の診断方法(請求項17)や、被検動物の組織細胞のグ
ルタミン酸受容体機能の低下を測定することを特徴とす
る精神分裂病の診断方法(請求項18)からなる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明は、神経特異的アクチン結
合タンパクであるドレブリンAの発現を抑制して、グル
タミン酸受容体の機能を低下させた動物神経細胞を構築
することよりなる。ドレブリンAの発現抑制は、動物神
経細胞にドレブリンA発現抑制作用を有するアンチセン
スオリゴヌクレオチドを導入することにより行わる。ア
ンチセンスオリゴヌクレオチドとしては、配列表の配列
番号2に示される塩基配列やその他配列番号1に示され
る塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイ
ズし、かつドレブリンA発現抑制作用を有する塩基配列
を使用することができる。本発明において使用できるア
ンチセンスオリゴヌクレオチド、及びその導入方法につ
いては、後に詳述する。
【0015】本発明における動物神経細胞としては、例
えばラット大脳皮質のような神経細胞が好ましい例とし
て使用できるが、その他の動物神経細胞例としては、大
脳皮質以外の中枢神経細胞、末梢神経細胞、及び株化神
経細胞などが挙げられる。本発明において、ドレブリン
Aの発現を抑制した動物神経細胞のグルタミン酸受容体
の機能の低下を確認する方法としては、ドレブリンAの
発現を抑制した動物神経細胞のグルタミン酸受容体機能
を電気生理学的に解析したり、あるいは、グルタミン酸
を投与し、投与後のグルタミン酸受容体の消失或いはα
−アクチニンの消失を検知する方法などがある。
【0016】次に、本発明は、ドレブリンAの発現を抑
制して、グルタミン酸受容体の機能の低下及び/又は精
神分裂病徴を発症する非ヒトモデル動物を構築すること
よりなる。ドレブリンAの発現の抑制には、動物にドレ
ブリンA発現抑制作用を有するアンチセンスオリゴヌク
レオチドを導入することにより行われる。アンチセンス
オリゴヌクレオチドとしては、配列表の配列番号2に示
される塩基配列やその他配列番号1に示される塩基配列
とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ
ドレブリンA発現抑制作用を有する塩基配列を使用する
ことができる。本発明において使用できるアンチセンス
オリゴヌクレオチド、及びその導入方法については、後
に詳述する。本発明において、ドレブリンAの発現を抑
制するためのアンチセンスオリゴヌクレオチドの非ヒト
モデル動物への導入は、例えば、ラットのような動物の
脳室内に導入することにより行われる。
【0017】本発明において、ドレブリンAの発現を抑
制し、グルタミン酸受容体の機能を低下した動物神経細
胞及び精神分裂病徴発症モデル動物を用いて、グルタミ
ン酸受容体機能亢進物質又は精神分裂病予防或いは治療
効果を有する物質を検索し、グルタミン酸受容体機能亢
進剤又は精神分裂病予防或いは治療剤のスクリーニング
を行うには、被検物質を該動物神経細胞に接触させるか
或いは該精神分裂病徴発症モデル動物に投与して、グル
タミン酸受容体の機能の上昇の測定あるいは精神分裂病
徴の軽快の観察を行うことにより実施できる。
【0018】また、本発明においては、ドレブリンの遺
伝子の異常或いは発現制御の異常と精神分裂病徴の発症
との関連、又はグルタミン酸受容体の機能の低下と精神
分裂病徴の発症との関連が確認されたことから、被検動
物の組織細胞のドレブリンの遺伝子の異常或いは発現制
御の異常の検査、又はグルタミン酸受容体機能の低下の
測定を行うことにより精神分裂病の診断を行うことがで
きる。以下に、本発明の実施の形態について更に詳述す
る。
【0019】(使用するアンチセンスオリゴヌクレオチ
ド)本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドとして
は、配列番号2に示される塩基配列(5′−AGGAA
GGCCCACTGTCCGATGCCT−3′)から
なるDNAや、配列番号1に示される塩基配列とストリ
ンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつドレブリ
ンA発現抑制作用を有するアンチセンスオリゴヌクレオ
チド(アンチセンスDNA又はアンチセンスRNA)で
あれば特に制限されるものではないが、生体に投与した
際の安定性がより高いという理由でアンチセンスDNA
の方が好ましい。
【0020】また、上記ストリンジェントな条件下での
ハイブリダイゼーションの条件としては、例えば、42
℃でのハイブリダイゼーション、及び1×SSC、0.
1%のSDSを含む緩衝液による42℃での洗浄処理
や、65℃でのハイブリダイゼーション、及び0.1×
SSC,0.1%のSDSを含む緩衝液による65℃で
の洗浄処理を挙げることができる。なお、ハイブリダイ
ゼーションのストリンジェンシーに影響を与える要素と
しては、上記温度条件以外に種々の要素があり、当業者
であれば、種々の要素を適宜組み合わせて、上記例示し
たハイブリダイゼーションのストリンジェンシーと同等
のストリンジェンシーを実現することが可能である。こ
のようにして得られるアンチセンスオリゴヌクレオチド
は、12塩基以上39塩基以下、特に15塩基以上25
塩基以下のアンチセンスDNA又はアンチセンスRNA
が好ましい。
【0021】(動物神経細胞又はモデル動物へのアンチ
センスオリゴヌクレオチドの導入)動物神経細胞又はモ
デル動物へのアンチセンスオリゴヌクレオチドの導入
は、この分野で通常用いられる方法を用いることができ
る。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドを、本発
明における大脳皮質のような動物神経細胞又はモデル動
物の脳室内へ直接投与することができる。また必要に応
じて薬学的に許容される細胞内導入試薬、例えば、リポ
フェクチン試薬、リポフェクトアミン試薬、DOTAP
試薬、Tfx試薬、人工合成脂質ベジクル、リポソー
ム、膜融合試薬、高分子ミセル化試薬、高分子坦体、ま
たはその他の細胞内導入試薬とともに投与することがで
きる。この場合、発明のアンチセンスオリゴヌクレオチ
ドは、単独でも投与可能であるが、薬学的に許容される
通常の担体、結合剤、安定化剤、賦形剤、希釈剤、pH
緩衝剤、崩壊剤、可溶化剤、溶解補助剤、等張剤などの
各種調剤用配合成分を添加することができる。アンチセ
ンスオリゴヌクレオチドを投与する場合には、注射剤の
ような形で投与することができる。注射剤とする場合に
は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを水、生
理食塩水またはブドウ糖溶液等に溶解させて調製するこ
とができ、必要に応じて緩衝剤、保存剤あるいは安定化
剤等を含有させてもよい。
【0022】また、細胞への取り込みの促進や標的とす
る細胞への指向性を高める目的で、本発明のアンチセン
スオリゴヌクレオチド配列を発現させるようにデザイン
されたプラスミドやウイルスベクターを遺伝子治療用の
ベクターとして用いることもできる。このようなベクタ
ーとしては、ヘルペスウイルス(HSV)ベクター、ア
デノウイルスベクター、ヒト免疫不全ウイルス(HI
V)ベクター等のウイルスベクターを好適に挙げること
ができるが、これらウイルスベクターの中でもHSVベ
クターが好ましい。HSVベクターは、神経親和性が高
く、HSVが細胞の染色体DNAに組み込まれないため
安全であり、また、導入遺伝子の発現期間を調節するこ
とが可能である。また、ウイルスベクターを用いる場
合、リコンビナーゼが認識する逆方向反復配列、例えば
大腸菌P1ファージ由来のloxP配列又は酵母サッカ
ロミセス・セレビッシェ由来の野生型FRT配列を利用
すると、所望の時期に本発明のアンチセンスオリゴヌク
レオチドを発現させることができる。
【0023】
【実施例】以下に、実施例を挙げてこの発明を更に具体
的に説明するが、この発明の範囲はこれらの例示に限定
されるものではない。 実施例1(神経細胞の調製、培養) 妊娠20日のSprague-Dawleyラットをエーテル麻酔し、
断頭後、胎仔を取り出した。大脳皮質を摘出して髄膜を
剥がし、パパイン添加CGBD溶液に入れて、37℃恒
温槽で15分間放置した。上清を吸引除去し、MEM培
地5mlで洗浄し、再度上清を吸引除去した後、MEM
培地3mlと馬血清2mlを加えてピペッティングし、
神経細胞含有溶液をフィルター濾過してから遠心し、上
清を捨て、5%牛血清、5%馬血清を含むMEM培地で
攪拌し、直径3.5cmのディッシュ内に3.0×10
6/2ml(ウェスタンブロット用)、又は2.0×1
6/2ml(免疫染色用)の濃度で2mlずつそれぞ
れ注入した。これらディッシュ内の神経細胞をCO2
ンキュベーター内で37℃で培養した。5日目以降、A
raC5μM入りグリアコンディション培地を用い、週
に2回、培地を半量ずつ交換して培養を継続した。
【0024】実施例2(神経細胞へのアンチセンスオリ
ゴヌクレオチドの投与) 培養開始12日目に、調製したドレブリンA発現抑制物
質であるアンチセンスオリゴヌクレオチド5′−AGG
AAGGCCCACTGTCCGATGCCT−3′
(配列番号2)を最終濃度が10μMになるように、該
アンチセンスオリゴヌクレオチド単独、或いはアンチセ
ンスオリゴヌクレオチド(10μM)とグルタミン酸
(100μM)を培地内に投与し、その2日後に神経細
胞を回収し、免疫染色とウェスタンブロット分析を行っ
た。
【0025】実施例3(ウエスタンブロット分析) アンチセンス鎖投与2日後における神経細胞内のドレブ
リンAタンパクの発現量を調べるために、ウエスタンブ
ロット分析を行った。神経細胞の抽出液をSDS−ポリ
アクリルアミド電気泳動法により分離し、分離したタン
パク質をメンブレンフィルター(MILIPORE社製「Immobi
lon transfer membranes」)にブロッティングした。こ
のブロッティングした膜を、5%スキムミルクを含むT
BSで5倍希釈した抗ドレブリンA抗血清(Exp. Cell
Res. 215, 145-153 (1994);抗ドレブリンAポリクロー
ナル抗体)含有溶液中、室温で60分間インキュベーシ
ョンした。0.05%のツイーン20を含むTBSで洗
浄後、5%スキムミルクを含むTBSで希釈したHRP
標識化抗ラビットIgG抗体のF(ab′)2フラグメン
ト(カッペル社製)溶液に上記インキュベーションした
膜を浸した。抗原特異的HRP反応により生じた化学ル
ミネッセンスをKodak Scientific Imaging Film(X-OMA
T AR, Kodak)とECL detection kit(Amersham Pharmac
ia Biotech)により視覚化した。その結果、ドレブリン
Aの発現量を低下させることに有効であることがわかっ
た(図1)。
【0026】実施例4(免疫染色) アンチセンス鎖5′−AGGAAGGCCCACTGT
CCGATGCCT−3′(配列番号2)投与2日後に
おける神経細胞を、3.5%のパラホルムアルデヒドを
添加したPBSにより4℃で15分間振盪固定した後、
TBS中で室温にて5分間洗浄し、3%のBSAを含む
PBS中で室温にて10分間ブロッキングし、更抗ドレ
ブリンA抗血清(Exp. Cell Res. 215, 145-153 (199
4);抗ドレブリンAポリクローナル抗体)を3%のBS
Aを含むPBSで希釈して調製した溶液を用いて、室温
で60分間反応させた。これら反応させた標本をPBS
中で室温にて5分間×3回振盪して洗浄した後、3%の
BSAを含むPBSで100倍希釈したFITC標識化
抗マウスIgG抗体(カッペル社製)を用いて室温にて
30分間染色した。これら染色物を遮光したままPBS
中で室温にて5分間×3回振盪して洗浄した後、パーマ
フロー(シャンドン社製)で封入し、蛍光顕微鏡で観察
した。この結果を図2に示す。
【0027】実施例5(グルタミン酸受容体機能の測
定) 上記のように調製したドレブリンAの発現を抑制したラ
ット神経細胞について、グルタミン酸受容体の機能につ
いての測定を行った。ドレブリンAの発現を抑制した動
物神経細胞のグルタミン酸受容体の機能の低下を確認す
る方法としては、ドレブリンAの発現を抑制した動物神
経細胞に、グルタミン酸を投与し、投与後のグルタミン
酸受容体の消失或いはα−アクチニンの消失を、特異抗
体を用いた間接蛍光抗体染色法を行って、顕微鏡下で観
察した。グルタミン酸受容体の機能が阻害された場合
は、グルタミン酸受容体の消失およびアルファーアクチ
ニンの消失が起こらなくなるので、この方法によりグル
タミン酸受容体の機能を間接的に試験することができ
る。 (実験結果)上記試験から、次のような結果が得られ、
このことよりドレブリンAの発現を抑制することによっ
て、グルタミン酸受容体の機能の低下が起こっているこ
とが確認された。 (1)ドレブリンAの発現を抑制した結果、グルタミン
酸投与後のグルタミン酸受容体の消失が起こらなくなっ
た(図3)。 (2)ドレブリンAの発現を抑制した結果、グルタミン
酸投与後のα−アクチニンの消失が起こらなくなった
(図4)。
【0028】実施例6(ドレブリンAの発現を抑制した
非ヒトモデル動物の構築) 樹状突起スパインの形態形成を制御しているタンパク質
であるドレブリンAのアンチセンスオリゴヌクレオチド
5′−AGGAAGGCCCACTGTCCGATGC
CT−3′(配列番号2)を、以下に示す方法によりH
VJ−リポソーム遺伝子導入法を用いて、脳室内投与を
行うことにより、ラット全脳に導入した。即ち、ドレブ
リンAのアンチセンスオリゴヌクレオチド(アンチセン
ス)を封入したリポソーム(リン脂質小胞)を作製し、
次いでこのリポソームに細胞融合能をもつ不活性化セン
ダイウィルス(HVJ)を融合させて、アンチセンス含
有HVJ−リポソーム複合体を作製した。このHVJ−
リポソーム複合体は細胞融合能をもち、アンチセンスを
はじめとする遺伝子を高効率で細胞に導入するベクター
として働く(HVJ−リポソーム遺伝子導入法)。HV
J−リポソーム遺伝子導入の際には、アンチセンス含有
HVJ−リポソーム複合体のサスペンジョン30μl
(1.2〜3.6μgオリゴヌクレオチド)を麻酔下
で、ラットの脳室にマイクロシリンジ又はガラスミクロ
ピペットを用いて圧注入することにより行った。HVJ
−リポソームベクターにより脳細胞に導入されたアンチ
センスオリゴヌクレオチドは、約2週間に亘って持続的
に作用し続けるため、アンチセンス脳内導入ラットの長
期に亘る行動実験が可能である。
【0029】実施例7(ドレブリンAの発現を抑制した
非ヒトモデル動物の行動解析) 上記のようにして構築した非ヒトモデル動物について、
アンチセンスオリゴヌクレオチド注入後4日目に、いく
つかの行動課題を行った。 1.オープンフィールド解析 オープンフィールド解析は以下に示す方法により行っ
た。即ち、ラットにとって新規な環境である白色円形ボ
ックス(直径1.5m、高さ0.5m)の中央に、BS
S注入コントロールラット(bss)又はドレブリンアン
チセンス注入ラット(dre)を置き、その行動を30分
間に亘ってビデオカメラにより記録した。この行動記録
から、初期10分間の総移動距離(total distance)を
自発運動量として計測した。また30分間の全行動にお
いて、1)立ち止まりやうずくまりからなる移動停止
(Lying)、2)直進、方向転換あるいは壁に沿う歩行
等からなる移動(Walking)、3)口や手足による毛繕
い(Grooming)の3タイプの行動にそれぞれ費やされた
時間を情動行動の指標として計測した。新規な環境下に
おける自発運動量の測定を行った結果を、図5に示す。
オープンフィールド解析の結果、アンチセンスオリゴヌ
クレオチドを注入し、ドレブリンAの発現を抑制したラ
ットでは、全脳でドレブリンAの発現を抑制した結果、
新規な環境下における自発運動量の著明な増加(多動)
が起こった(図5上)。さらに、全脳でドレブリンAの
発現を抑制した結果、新規な環境に順応しにくいことか
らくる毛繕い行動の多発及び移動停止行動の減少(落ち
着きの無さ)が認められた(図5下)。上記結果より、
ドレブリンA発現抑制動物は多動で、かつ新規な環境に
順応しにくいと考えられる。
【0030】2.空間記憶機能解析 モリスの水迷路課題やプローブテストによる空間記憶機
能の解析を以下に示す方法で行った。即ち、モリスの水
迷路課題では、円形プール(直径1.5m、高さ0.5
m、水深約0.3m)に入れられたラットが、プールの
水面下1.5cmに沈められ隠されている透明なプラッ
トフォーム(直径15cm)を見つけ出し、水からプラ
ットフォームに脱出するまでの時間(latency)を計測
した。プラットフォームの場所を周囲の視覚的手がかり
から空間配置として学習記憶することにより、試行を重
ねる毎に水からプラットフォームに脱出する時間が短縮
する。1日6回の試行を1セッションとして、5日間5
セッション(全30回試行)で、この水迷路課題を無処
置ラット(nt)、BSS注入ラット(bss)、逆配列ア
ンチセンス注入ラット(rev)からなる対照群(contro
l)とドレブリンアンチセンス注入ラット(dre)からな
る実験群(test)について行った。更に水迷路課題全3
0回試行の後に、1回のプローブテストを行った。プロ
ーブテストは、プラットフォームを取り除いたプールに
60秒間ラットを泳がせて、プラットフォームがあった
場所を含むプールの4分の1の領域(target quadran
t)内での滞在時間を計測し、target quadrantに他の4
分の1領域(quadrant)よりも長く滞在するかどうか
で、ラットの水迷路課題学習の達成度をチェックした。
モリスの水迷路課題やプローブテストによる空間記憶機
能の解析結果を、図6に示す。モリスの水迷路課題で
は、アンチセンスオリゴヌクレオチドを注入したラット
と対照との間で、空間記憶形成に差が見られなかった。
プローブテストにおいては、アンチセンスオリゴヌクレ
オチドを注入したラットでは、プラットホームがあった
場所で、滞在時間の延長が見られた。空間記憶機能解析
の結果から、アンチセンスオリゴヌクレオチドを注入し
ドレブリンAの発現を抑制したラットでは、空間記憶機
能に障害はみられなかったが、状況変化(プラットフォ
ームの撤去・消失)の認知に異常が認められた。
【0031】3.驚愕反応解析 プレパルスインヒビション(prepulse inhibition:P
PI)テストで、驚愕反応解析を以下に示す方法で行っ
た。即ち、荷重変化モニター用の計測器を内蔵した床か
らなるテスト箱にラットを入れ、10分間テスト箱に慣
れさせた後、背景ノイズ音を聴かせながら5分間新しい
環境に順応させた。さらに、驚愕反応を引き起こす音刺
激(120デシベル、20ミリ秒)を十分の時間間隔を
もって5回与えて、この驚愕音刺激を覚えさせた。次い
で、80デシベル、20ミリ秒又は70デシベル、20
ミリ秒の先行音刺激(Prepulse:PP)と120デシベ
ル、20ミリ秒の驚愕音刺激(Pulse:P)を100ミ
リ秒間隔で組み合わせた2種のペアー刺激(80PP+
P、70PP+P)、驚愕音刺激のみ(P)、背景ノイ
ズ音のみの4種類の音刺激を用意し、音刺激40回(各
音刺激10回×4)をランダムな順序で、平均40秒の
間隔をもってラットに与え、驚愕反応の大きさ(荷重の
増加)を記録した。上記の先行音刺激(PP)により驚
愕音刺激(P)が誘起する驚愕反応に抑制がかかるプレ
パルスインヒビション反応(prepulse inhibition:P
PI)を次の公式に基づき数値化した。 % PPI 80 = [1- (80 PP + P)/(P )] x 100 プレパルスインヒビション反応は、先行刺激を伴う驚愕
刺激と驚愕刺激そのものとの違いを識別する知覚情報処
理の結果の行動表現であり、このPPI反応の減少は、
知覚内容を識別する認知機能の障害を意味している。上
記のPPIテストをBSS注入ラット(bss)、逆配列
アンチセンス注入ラット(rev)からなる対照群とドレ
ブリンアンチセンス注入ラット(dre)からなる実験群
について行った。
【0032】PPIテストでは、80デシベルでPPI
減少傾向がみられ、70デシベルで有意なPPI減少が
みられた。このPPI反応異常(驚愕反応を誘起する刺
激に慣れにくい)は、明かな認知機能の障害と見られ
る。結果を、図7に示す。この結果より、アンチセンス
オリゴヌクレオチドを注入し、ドレブリンAの発現を抑
制したラットでは、認知障害が生じると考えられる。上
記1〜3の解析の結果は、非ヒトモデル動物において、
ドレブリンAの発現を抑制すると精神分裂病様の行動異
常を生ずることが示された。
【0033】
【発明の効果】本発明によりドレブリンAの発現を抑制
した動物神経細胞及び非ヒトモデル動物を作製すること
により、グルタミン酸受容体の機能を低下させた動物神
経細胞、或いはグルタミン酸受容体の機能を低下させた
及び/又は精神分裂病徴を発症する非ヒトモデル動物を
構築することができる。該動物神経細胞又は非ヒトモデ
ル動物は、グルタミン酸受容体機能亢進物質や精神分裂
病予防或いは治療効果を有する物質のスクリーニングに
利用することができ、グルタミン酸受容体機能亢進剤や
精神分裂病予防或いは治療剤の開発に有用な方法を提供
することができる。更には、本発明においては、グルタ
ミン酸受容体の機能の低下と精神分裂病徴の発症との関
連を利用して、被検動物の組織細胞のグルタミン酸受容
体機能を測定することにより精神分裂病の診断を行うこ
とを可能とする。
【0034】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> JAPAN SCIENCE AND TECHNOLOGY CORPORATION <120> Animal cells and non-human animals with inhibitory action of DrebrinA expression <130> A091P23 <140> <141> <160> 2 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 138 <212> DNA <213> Rattus norvegicus <400> 1 gtcgtccgta ctgccctttc ataaaggcat cggacagtgg gccttcctcc tcctcctctt 60 cctcctcttc ccctccacgg actccctttc cctatatcac ctgccaccgc accccaaacc 120 tctcttcctc cctcccat 138 <210> 2 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Antisense oligonucleotide <400> 2 aggaaggccc actgtccgat gcct 24
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において、アンチセンスオリゴヌクレオ
チドを導入したラット神経細胞の、ドレブリンAタンパ
クの発現を分析したウエスタンブロット分析の結果を示
す図である。
【図2】本発明において、アンチセンスオリゴヌクレオ
チドを導入したラット神経細胞の免疫染色の結果を示す
図である。
【図3】本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを導
入したラット神経細胞において、ドレブリンAの発現を
抑制した結果、グルタミン酸投与後のグルタミン酸受容
体の消失が起こらなくなったことを表す写真を示す図で
ある。
【図4】本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを導
入したラット神経細胞において、ドレブリンAの発現を
抑制した結果、グルタミン酸投与後のα−アクチニンの
消失が起こらなくなったことを表す写真を示す図であ
る。
【図5】本発明のドレブリンAの発現を抑制したラット
における行動解析において、新規な環境下における自発
運動量の測定を行った結果を示す図である。
【図6】本発明のドレブリンAの発現を抑制したラット
において、モリスの水迷路課題やプローブテストによる
空間記憶機能の解析を行った結果を示す図である。
【図7】本発明のドレブリンAの発現を抑制したラット
において、プレパルスインヒビション(PPI)テスト
で、驚愕反応解析を行った結果を示す図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 5/10 C12N 15/00 ZNAA C12Q 1/02 5/00 B (72)発明者 小林 利佳 東京都小金井市中町2−1−22 Fターム(参考) 4B024 AA11 BA63 CA01 DA02 GA13 HA15 4B063 QA18 QQ79 QR32 QR77 QR80 QS24 QS28 4B065 AA91X AB01 AC14 CA24 CA46 4C084 AA17 NA14 ZA182 ZC02

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ドレブリンAの発現を抑制することによ
    りグルタミン酸受容体の機能を低下させたことを特徴と
    する動物神経細胞。
  2. 【請求項2】 ドレブリンAの発現抑制が、動物神経細
    胞にドレブリンA発現抑制作用を有するアンチセンスオ
    リゴヌクレオチドを導入することにより行われたことを
    特徴とする請求項1記載の動物神経細胞。
  3. 【請求項3】 アンチセンスオリゴヌクレオチドが、配
    列表の配列番号1に示される塩基配列とストリンジェン
    トな条件下でハイブリダイズし、かつドレブリンA発現
    抑制作用を有することを特徴とする請求項2記載の動物
    神経細胞。
  4. 【請求項4】 アンチセンスオリゴヌクレオチドが、配
    列表の配列番号2に示される塩基配列を有することを特
    徴とする請求項2又は3記載の動物神経細胞。
  5. 【請求項5】 動物神経細胞が、中枢神経細胞、抹消神
    経細胞、又は株化神経細胞であることを特徴とする請求
    項1〜4のいずれか記載の動物神経細胞。
  6. 【請求項6】 神経細胞が、ラット大脳皮質由来である
    ことを特徴とする請求項5記載の動物神経細胞。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか記載の動物神経
    細胞を被検物質に接触させ、グルタミン酸受容体機能を
    測定することを特徴とするグルタミン酸受容体機能亢進
    物質のスクリーニング方法。
  8. 【請求項8】 請求項7により得られたグルタミン酸受
    容体機能亢進物質を有効成分として含有することを特徴
    とするグルタミン酸受容体機能亢進剤。
  9. 【請求項9】 ドレブリンAの発現を抑制したことを特
    徴とするグルタミン酸受容体の機能の低下及び/又は精
    神分裂病徴発症非ヒトモデル動物。
  10. 【請求項10】 ドレブリンAの発現抑制が、動物にド
    レブリンA発現抑制作用を有するアンチセンスオリゴヌ
    クレオチドを導入することにより行われることを特徴と
    する請求項9記載のグルタミン酸受容体の機能の低下及
    び/又は精神分裂病徴発症非ヒトモデル動物。
  11. 【請求項11】 アンチセンスオリゴヌクレオチドが、
    配列表の配列番号1に示される塩基配列とストリンジェ
    ントな条件下でハイブリダイズし、かつドレブリンA発
    現抑制作用を有することを特徴とする請求項10記載の
    グルタミン酸受容体の機能の低下及び/又は精神分裂病
    徴発症非ヒトモデル動物。
  12. 【請求項12】 アンチセンスオリゴヌクレオチドが、
    配列表の配列番号2に示される塩基配列を有することを
    特徴とする請求項10又は11記載のグルタミン酸受容
    体の機能の低下及び/又は精神分裂病徴発症非ヒトモデ
    ル動物。
  13. 【請求項13】 アンチセンスオリゴヌクレオチドを、
    動物の脳室内に導入したことを特徴とする請求項10〜
    12のいずれか記載のグルタミン酸受容体の機能の低下
    及び/又は精神分裂病徴発症非ヒトモデル動物。
  14. 【請求項14】 非ヒトモデル動物が、ラットであるこ
    とを特徴とする請求項9〜13のいずれか記載のグルタ
    ミン酸受容体の機能の低下及び/又は精神分裂病徴発症
    非ヒトモデル動物。
  15. 【請求項15】 請求項9〜14のいずれか記載のグル
    タミン酸受容体の機能の低下及び/又は精神分裂病徴発
    症非ヒトモデル動物に、被検物質を投与し、グルタミン
    酸受容体機能を測定するか又は非ヒトモデル動物の精神
    分裂病徴の発症の状況を評価することを特徴とするグル
    タミン酸受容体の機能亢進及び/又は精神分裂病の予防
    又は治療効果を有する物質のスクリーニング方法。
  16. 【請求項16】 請求項15により得られたグルタミン
    酸受容体の機能亢進及び/又は精神分裂病の予防又は治
    療効果を有する物質を有効成分として含有することを特
    徴とするグルタミン酸受容体の機能亢進剤及び/又は精
    神分裂病予防又は治療剤。
  17. 【請求項17】 被検動物の組織細胞のドレブリンAの
    遺伝子の異常又はドレブリンAの遺伝子の発現制御の異
    常を検査することを特徴とする精神分裂病の診断方法。
  18. 【請求項18】 被検動物の組織細胞のグルタミン酸受
    容体機能の低下を測定することを特徴とする精神分裂病
    の診断方法。
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