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JP2003013253A - 塗膜密着性に優れたアルミニウム合金構造材およびアルミニウム合金構造材の塗膜密着性評価方法 - Google Patents

塗膜密着性に優れたアルミニウム合金構造材およびアルミニウム合金構造材の塗膜密着性評価方法

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Publication number
JP2003013253A
JP2003013253A JP2001203584A JP2001203584A JP2003013253A JP 2003013253 A JP2003013253 A JP 2003013253A JP 2001203584 A JP2001203584 A JP 2001203584A JP 2001203584 A JP2001203584 A JP 2001203584A JP 2003013253 A JP2003013253 A JP 2003013253A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating
oxide film
hydrated oxide
structural material
treatment
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001203584A
Other languages
English (en)
Inventor
Masao Takemoto
政男 竹本
Masakazu Hirano
正和 平野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2001203584A priority Critical patent/JP2003013253A/ja
Publication of JP2003013253A publication Critical patent/JP2003013253A/ja
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 塗膜密着性を向上させたAlの水和酸化物皮膜
を設けたAl合金構造材およびAlの水和酸化物皮膜を設け
たAl合金構造材の塗膜密着性の評価方法を提供する。 【解決手段】 リン酸塩処理および塗装処理されて使用
されるAl合金構造材であって、前記処理前にAlの水和酸
化物皮膜が構造材表面に予め設けられているとともに、
このAlの水和酸化物皮膜の厚みが1500〜10000 オングス
トローム (Å) であり、かつ皮膜表面の濡れ性を示す水
滴の接触角が20°以下であること。また水和酸化物皮膜
の表面の濡れ性を示す接触角によって塗膜密着性を評価
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塗膜密着性に優れ
たアルミニウム合金構造材 (以下、アルミニウムを単に
Alと言う) およびアルミニウム合金構造材の塗膜密着性
評価方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、排気ガス等による地球環境問題に
対し、車両、船舶、航空機、自動二輪あるいは自動車な
どの輸送機車体の軽量化による燃費の向上が追求されて
いる。この輸送機車体の軽量化の一貫として、パネル、
フレーム材などの構造部材へのAl合金材(圧延板、押出
形材、鍛造材などのAl合金展伸材)の使用も増加しつつ
ある。Al合金材は、鋼材などに比較して、比重が約1/
3と軽く、軽量化効果が大きい。
【0003】これら輸送機車体などの構造材用Al合金材
(Al合金構造材)は、多くは、Al合金材単独ではなく、
構造部材の一部に、これまで用いられてきた鋼材ととも
に使用されることが多い。また、Al合金の耐食性を活か
して、無塗装でも使用されるが、構造材用に、成形や接
合、あるいは組み立て後、塗装されて使用される場合も
多い。
【0004】今、自動車部材の内の自動車パネルの製造
工程を例にとると、鋼板やAl合金板は、プレス成形によ
り所定形状に成形加工した後、他の部品とともに、自動
車車体構造部材として組み立てられ、その後、リン酸亜
鉛などのリン酸塩処理による塗装下地処理、カチオン電
着塗装などの塗装処理により、自動車車体として完成す
る。この内、自動車車体の外側に位置するパネル外板
は、強度などの機械的特性の他に、自動車の外観を左右
する鮮映性、表面傷に対する耐糸錆性、塗膜密着性など
が特に要求される。
【0005】ただ、Al合金材を鋼材とともにリン酸塩処
理した場合、Al合金材表面からのAlイオンの溶出が問題
となる。そして、リン酸塩浴へのAlイオンの溶出が多く
なると、鋼材の方のリン酸亜鉛処理性を阻害するという
新たな問題を生じる。
【0006】勿論、リン酸亜鉛処理浴より、蓄積したAl
イオンを除去してやれば良いが、除去に伴うリン酸亜鉛
浴のロス分や、処理設備のコストが大きく、省エネや効
率化が厳しく追求される自動車の製造ラインからする
と、コストアップにつながってしまう結果となる。
【0007】このため、本発明者らは、先に、リン酸亜
鉛処理される際のAlの溶出を防止したAl合金材として、
特開2001-20080号、特開2001-20082号等の公報により、
表面にAlの水和酸化物皮膜を予め設けたAl合金材を提案
した。
【0008】このAlの水和酸化物皮膜によれば、Al合金
材がリン酸亜鉛処理される場合に、Al合金材表面からの
Alイオンの溶出を著しく抑えることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このAlの水和
酸化物皮膜を設けたAl合金材は、基本的に同じような条
件でAlの水和酸化物皮膜を設けた場合でも、Al合金材が
リン酸亜鉛処理および塗装処理された際に、塗装皮膜の
密着性 (塗膜密着性) に差が出ると言う問題を生じる。
【0010】また、輸送機車体用のAl合金構造部材とし
ては、Alの水和酸化物皮膜を設けてからリン酸亜鉛処理
されるまでに、通常は、数週間から数カ月程度の時間を
要する。このため、この間のAl合金材の保管状況によっ
ては、塗膜密着性が低下すると言う問題を生じる可能性
もある。
【0011】この塗膜密着性が低下した場合、Al合金構
造部材の耐食性が低下したり、塗膜が剥離するような問
題を生じる。本発明が意図する構造部材用途では、この
問題は、単に美観だけの問題ではなく、海水などの厳し
い塩水腐食環境では、腐食によってAl合金構造部材の厚
さが低下し、構造部材の強度なり耐久性が低下するとい
う問題を生じる。
【0012】また、従来から、リン酸塩処理およびカチ
オン電着塗装処理される前のAl水和酸化物皮膜自体の塗
膜密着性を評価する方法がない。このため、現状では、
Al水和酸化物皮膜の塗膜密着性を評価するには、実際
に、リン酸塩処理および塗装処理を行い、更に、イオン
交換水中に10日間浸漬後、碁盤目テープ剥離試験を行う
という複数の工程で、長時間を要する評価手段を用いて
いるのが実情である。
【0013】本発明の目的は、これら従来技術の問題点
に鑑み、塗膜密着性を向上させたAlの水和酸化物皮膜を
設けたAl合金構造材およびAlの水和酸化物皮膜を設けた
Al合金構造材の塗膜密着性の評価方法を提供することで
ある。
【0014】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明アルミニウム合金構造材の請求項1 の要旨
は、リン酸塩処理および塗装処理されて使用されるアル
ミニウム合金構造材であって、前記処理前にアルミニウ
ムの水和酸化物皮膜が構造材表面に予め設けられている
とともに、このアルミニウムの水和酸化物皮膜の厚みが
1500〜10000 オングストローム (Å) であり、かつ皮膜
表面の濡れ性を示す水滴の接触角が20°以下であること
である。
【0015】また、本発明請求項2 のアルミニウム合金
構造材の塗膜密着性評価方法の要旨は、表面にアルミニ
ウムの水和酸化物皮膜を設けたアルミニウム合金構造材
がリン酸塩処理および塗装処理される際の塗膜密着性を
予め評価する方法であって、前記アルミニウムの水和酸
化物皮膜表面の濡れ性を示す水滴の接触角によって塗膜
密着性を評価することである。
【0016】Al合金材の塗膜密着性がAl合金材表面の清
浄度や粗さによって影響を受けるとともに、この清浄度
を、Al合金材表面の濡れ性を示す水滴の接触角によっ
て、評価することは、特開2001-49458号や特開平9-1334
93号公報などによって公知である。
【0017】この内、特開2001-49458号公報では、特に
飲料缶の蓋材など、塗装後に蓋形状に成形加工されるAl
合金材を、市販のクロム系、チタニウム系、ジルコニウ
ム系の化成処理剤で下地処理した後、アクリル系、ウレ
タン系、エステル系、エチレン系、エポキシ系などの樹
脂塗装を行うことを開示している。そして、この塗装の
際に、Al合金材表面の清浄度を、濡れ性を示す水滴の接
触角で30°以下とし、Al合金材表面に活性なOH基などの
極性基が増加させて、塗膜の化学的結合を促進し、前記
成形加工時の塗膜密着性を向上させることを要旨として
いる。
【0018】一方、本発明は、特開2001-49458号公報に
開示の無い、輸送機などのパネル材など、成形や接合あ
るいは組み立て後にリン酸塩処理および塗装されて使用
される構造材用のAl合金材を対象としている点で相違す
る。そして、特開2001-49458号公報では、通常は表面が
Al酸化物皮膜となっているAl合金材を対象としているの
に対し、本発明では塗装処理される際の、Al酸化物とは
組成が異なるAlの水和酸化物皮膜の濡れ性を示す水滴の
接触角を20°以下に制御することを要旨としている点で
相違する。
【0019】本発明におけるAlの水和酸化物皮膜は、後
述する通り、前記通常のAl酸化物皮膜とは異なり、Alの
酸化物の水和反応により生成したAlの水和酸化物の皮膜
である。前記通常のAl酸化物皮膜も生成条件によっては
OH基などの極性基も一部含まれる。しかし、その組成の
大部分はAl酸化物から構成される皮膜である。これに対
し、本発明におけるAlの水和酸化物皮膜は、大部分がOH
基などの極性基を有するAlの水和酸化物であり、皮膜組
成が全く異なる。
【0020】そして、本発明では、特開2001-49458号公
報の示唆によれば、OH基などの極性基を増加させて塗膜
密着性を向上させたはずの、そのAlの水和酸化物皮膜で
の前記塗膜剥離性 (リン酸塩処理および塗装処理された
際の) を問題として、解決しようとしている。従い、結
果として、皮膜の濡れ性を示す水滴の接触角を一定以下
に制御する点は共通するものの、本発明と特開2001-494
58号公報とは、効果とともに技術思想が大きく相違す
る。
【0021】
【発明の実施の形態】(Al の水和酸化物皮膜) 本発明における、Alの水和酸化物皮膜とは、一般式、Al
2O3 ・XH2Oで表され、Alの酸化物の水和反応により生成
したAlの水和酸化物の皮膜を言う。そして、本発明にお
けるAlの水和酸化物とは、水和の程度(Xの値) などによ
る水和酸化物の種類や、形態、結晶構造や結晶度などに
特に限定されるものではない。ただ、Alの水和酸化物の
中でも、前記X の値が約1.5 〜1.9 である擬似ベーマイ
トのものは、ベーマイト皮膜と一般的に総称されてい
る。
【0022】そして、これらの皮膜構造の同定は、前記
走査型電子顕微鏡による形態的な観察の他に、入射角75
度の平行偏光使用によるFTIR (フーリエ変換式赤外分光
光度計) 分析で行うことができる。即ち、FTIRにより、
水酸基のスペクトルを吸光度表示した際の、3000〜3700
cm-1 (カイザー) 付近に認められるAlO ←→H の伸縮振
動による吸収スペクトル、および1000〜1050cm-1付近に
認められるAl←→OHの伸縮振動による吸収スペクトル、
更に800 〜600cm -1付近に認められるOAl ←→O の伸縮
振動による吸収スペクトルの、いずれか一つ以上が認め
られることにより、本発明のAlの水和酸化物皮膜の存在
確認と、通常のAl酸化物皮膜との識別が可能である。
【0023】また、Alの水和酸化物皮膜と、塗膜との区
別および膜厚の測定は、Al合金材の破面 (例えばAl合金
材の180 °曲げによる破面) を前記した走査型電子顕微
鏡による2 万倍以上の観察で行うことができる。なお、
この倍率は、Alの水和酸化物の膜厚が薄くなるに従い、
より高倍率とする必要がある。また、この他、X 線回折
によってもAlの水和酸化物皮膜の同定が可能であり、透
過型電子顕微鏡によっても形態的な観察が可能である。
【0024】(Alの水和酸化物皮膜の膜厚)更に、本発明
におけるAlの水和酸化物皮膜の膜厚は、1500〜10000 オ
ングストローム (Å) とする。皮膜厚が1500Å未満で
は、皮膜厚の絶対量が不足して、Al合金材がリン酸亜鉛
処理される場合に、Al合金材表面からのAlイオンの溶出
を著しく抑えることができない。
【0025】一方、皮膜厚が10000 Åを越えると、Alの
水和酸化物皮膜のAl合金材との密着性が却って低下し、
前記塗膜剥離性を向上させることができない。
【0026】(Alの水和酸化物皮膜の作製方法)本発明に
おけるAlの水和酸化物皮膜は、Al合金材を輸送機などの
構造部材に成形および溶接接合した後、あるいは、これ
らの前に予めAl合金材の段階で、少なくともリン酸塩処
理の前に設ける。
【0027】Alの水和酸化物皮膜の作製は、Al合金材や
Al合金構造部材表面を、有機溶剤やアリカリ性溶液によ
り、脱脂乃至洗浄する前処理を行った後に、高温水や水
蒸気に直接接触させる方法、あるいはAl合金材表面にAl
の酸化物層を設けた後で水和反応によりAlの水和酸化物
皮膜に変換する方法、更に、これらAlの水和酸化物皮膜
を設けた後に、加熱により水和量を調節する方法などが
適宜選択さる。
【0028】このAlの水和酸化物皮膜の作製に使用され
る水なり水分は、中性または弱アルカリ性浴、より具体
的には、水道水、純水、あるいはトリエタノールアミン
やアンモニアなどの水溶液が用いられる。
【0029】この際、Alの水和酸化物皮膜の形成温度
(水なり水分の接触温度)を高温とし、更に長時間とす
るほど、Alの水和酸化物皮膜が緻密となり、前記塗膜剥
離性を向上させることができる。
【0030】例えば、Al合金材の化学成分やAlの水和酸
化物皮膜の処理液によっても異なるが、70℃未満の処理
温度や10分以内の短時間処理では、Alの水和酸化物皮膜
を緻密化できず、また、Alの水和酸化物皮膜の膜厚を15
00Å以上にできない。
【0031】ただ、処理水として、水道水など、油分、
や他の金属イオンや不純物などが多く含まれる水なり水
分を選択した場合、また、純水であっても、処理量が増
大したような場合、他の金属イオンや不純物などが処理
水中に多く含まれるようになる。そして、このような場
合には、他の金属イオンや不純物などが、Alの水和酸化
物皮膜に混入し、本発明におけるAlの水和酸化物皮膜の
濡れ性を示す水滴の接触角を20°以下にできない可能性
が高くなる。
【0032】本発明者らが知見したところによれば、前
記した通り、Alの水和酸化物皮膜作製の処理条件や膜厚
などの基本的な条件を満足しても、Al合金材がリン酸亜
鉛処理および塗装処理された際の塗膜密着性に差が出る
のは、この他の金属イオンや不純物などの、Alの水和酸
化物皮膜への混入が主たる原因である。
【0033】従い、本発明では、他の金属イオンや不純
物などをできるだけ含まない純水などの処理水を用い、
皮膜もAl2O3 ・XH2OのAl水和酸化物からのみ構成される
皮膜の方が、Alの水和酸化物皮膜の濡れ性を示す水滴の
接触角を20°以下にでき、塗膜密着性を向上できる点で
好ましい。
【0034】ここにおいて、炭酸カルシウムを含む処理
水を用いた場合には、炭酸カルシウム自体を含めて、前
記他の金属イオンや不純物などの、Alの水和酸化物皮膜
への混入を防止でき、本発明におけるAlの水和酸化物皮
膜の濡れ性を示す水滴の接触角を20°以下にでき易い。
したがって、Alの水和酸化物皮膜の作製は、炭酸カルシ
ウムや水酸化アルミを含む処理水を用いることが好まし
い。
【0035】なお、Alの水和酸化物皮膜中の、他の金属
イオンや不純物量、あるいはAl水和酸化物量(純度)の
定量的な把握は、分析手法の選択によっても、非効率的
であり、現実的ではない。また、Alの水和酸化物皮膜作
製時に厳密な管理を行っても、前記した通り、リン酸亜
鉛処理されるまでの保管状況によっては、塗膜密着性が
低下する可能性もある。
【0036】したがって、本発明には、このようなAlの
水和酸化物皮膜の塗膜密着性を劣化させる諸原因に依ら
ず、あるいはAl合金構造材の履歴が不明であっても、リ
ン酸亜鉛処理される直前の段階で、一括してAl合金構造
材の塗膜密着性を評価できる意義もある。
【0037】また、前記した通り、これまでは実際に、
リン酸塩処理および塗装処理を行った上で、Alの水和酸
化物皮膜を設けたAl合金構造材の塗膜密着性を評価する
しかないのが実情であったのであり、この点からも、本
発明Alの水和酸化物皮膜の塗膜密着性評価方法の意義が
ある。
【0038】本発明のAlの水和酸化物皮膜を設けたAl合
金構造材およびAlの水和酸化物皮膜を設けたAl合金構造
材の塗膜密着性の評価方法が対象とするのは、塗装下地
処理としてのリン酸塩処理および塗装処理である。より
具体的には、前記自動車パネルなどに汎用されている、
リン酸亜鉛などのリン酸塩処理による塗装下地処理とカ
チオン電着塗装などの塗装処理を直接の対象とする。た
だ、Alの水和酸化物皮膜の濡れ性を示す水滴の接触角で
の塗膜密着性評価は、リン酸亜鉛処理の条件が大きく違
う場合や、リン酸亜鉛に他のリン酸塩やフッ素などの添
加剤が含まれた場合、あるいはリン酸亜鉛以外のリン酸
塩処理の場合にも適用可能である。Alの水和酸化物皮膜
の濡れ性を示す水滴の接触角と塗膜密着性との関係乃至
傾向は、これらのリン酸塩処理に共通して一致する。こ
の点は、塗装処理の手段や条件が異なる場合も同じであ
る。
【0039】(適用対象Al合金材)次に、本発明におけ
る適用対象Al合金材は、AA乃至JIS に規格される乃至規
格に含まれる、3000系、5000系、6000系、7000系などの
成分規格のAl合金が適宜使用可能である。しかし、この
AA乃至JIS 規格以外のAl合金でも、構造部材としての用
途の要求特性を満足するAl合金材は、全て本発明の適用
対象となる。
【0040】更に、本発明に係るAl合金材は、常法によ
る圧延加工、あるいは常法による押出加工等によって、
板材や形材 (中空断面など断面形状が長さ方向のどの位
置でも本質的に同一である形材) として製造される。即
ち、成分規格範囲内に溶解調整されたアルミ合金溶湯を
通常の溶解鋳造法を適宜選択して鋳造する。次いで、こ
のアルミ合金鋳塊に均質化熱処理を施し、熱間圧延−冷
間圧延−調質処理 (焼鈍、溶体化および焼き入れ処理や
時効硬化処理など) 、押出加工−調質処理、熱間鍛造−
調質処理、あるいはこれらの組み合わせにより、板材、
形材、鍛造材等の所望の断面形状のAl合金材とする。
【0041】
【実施例】次に、本発明の実施例を説明する。表1 に示
すA 〜D までの合金組成で、各々の合金組成に見合った
条件により押出加工された、断面口形の中空押出形材
(高さ70mm、幅 50mm 、肉厚2mm)を準備した。
【0042】このAl合金形材より供試材を採取し、供試
材のエッチングを伴う洗浄処理 (電解脱脂を選択的に含
む) を行った。そして、表2 に示す種々の処理水 (純水
や水道水を使用) 、処理温度、処理時間、添加剤 (処理
水への) 条件で、Alの水和酸化物皮膜を形成した。この
際、皮膜形成処理の量産等により、処理水が順次汚れて
いくことを模擬して、処理水に種々の不純物を含む比較
例も準備した。なお、表2 の発明例は全て処理水に純水
を用いたが、発明例No.8 のみは、純水に不純物として
油分0.5%を混合した処理水に炭酸カルシウムを1%添加し
た。これらのAlの水和酸化物皮膜の厚み (Å) を前記し
た測定条件で求めた。この結果を表2 に示す。
【0043】次いで、これらAlの水和酸化物皮膜を設け
た供試材を表2 に示す種々の条件で保管した後、供試材
(Al の水和酸化物皮膜) 表面の濡れ性を示す水滴の接触
角を測定した。この結果も表2 に示す。なお、接触角
は、図1 に示すように、水平に載置した供試材2 表面に
水滴1 を置いた (付着させた) 場合の水滴1 の表面が供
試材2 (Al の水和酸化物皮膜) 表面と接触している点か
ら接線3 を引いた場合の接線3 と供試材2 表面とのなす
角度θ1 を測定し、接触角とした。
【0044】更に、これらのAlの水和酸化物皮膜を設け
た供試材を、リン酸チタンを0.1 %含むコロイド分散液
に、室温で20秒間浸漬する処理を行い、供試材表面にリ
ン酸チタンを吸着被覆した。その後、直ちに、鋼板に適
したフリーフッ素量を150 ppm 含むリン酸亜鉛浴に2 分
間浸漬するリン酸亜鉛処理を、各例とも同じ条件で行っ
た。そして、各供試材のリン酸亜鉛処理によって増加し
たリン酸亜鉛浴中の総Al量(mg)を原子吸光法により測定
し、それぞれの供試材からのAlの溶出量(mg/m2) を、供
試材単位面積当たり(/m2) に換算して求めた。そして、
Al溶出量が70mg/m2 未満の場合を〇、Al溶出量が70mg/m
2 以上で120mg/m2未満の場合を△、Al溶出量が120mg/m2
以上の場合を×として評価した。これらの結果を表3 に
示す。
【0045】そして、更に、このリン酸亜鉛皮膜を設け
た供試材に、カチオン電着塗装により (塗装焼付硬化処
理170 ℃×20分) 、エポキシ樹脂系の塗装皮膜を設け
た。
【0046】これら、塗膜を設けた供試材より試験片を
採取し、塗膜密着性 (剥離性) 試験を行った。試験は40
℃のイオン交換水中に10日間浸漬し、浸漬後の塗膜に対
し、2mm 幅で10×10マスの碁盤目テープ剥離試験を行っ
た。100 個の碁盤目の内の剥離した碁盤目の数で評価し
た。これらの結果も表3 に示す。
【0047】表2 、3 より明らかな通り、発明例No.1
〜9 はAlの水和酸化物皮膜厚みが1500〜10000 Åであ
り、比較例に比して、リン酸亜鉛処理におけるAlの溶出
量が少ない。また、発明例No.1 〜9 は皮膜表面の濡れ
性を示す水滴の接触角が20°以下であり、比較例に比し
て、塗膜密着性に優れている。なお、純水に不純物とし
て油分0.5%を混合した処理水で処理した発明例No.8
は、皮膜表面の濡れ性に対しては、後述する比較例No.
12のように、不利な条件となっている。しかし、処理水
への炭酸カルシウムの添加により、皮膜表面の濡れ性と
塗膜密着性が優れており、処理水が汚れても、生成する
Alの水和酸化物皮膜表面の濡れ性を確保する炭酸カルシ
ウムの添加効果が分かる。
【0048】これに対し、純水でAlの水和酸化物皮膜形
成処理したが、処理温度の低い比較例No.10は皮膜表面
の濡れ性を示す水滴の接触角は20°以下であるものの、
Alの水和酸化物皮膜厚みが下限の1500Å未満であり、リ
ン酸亜鉛処理におけるAlの溶出量が多い。また、溶出不
純物として珪酸塩を10ppm 程度含む水道水で処理した比
較例No.11も、皮膜表面の濡れ性を示す水滴の接触角は
20°以下であるものの、皮膜厚みが下限の1500Å未満で
あり、リン酸亜鉛処理におけるAlの溶出量が多い。
【0049】純水に油分を0.5%程度含ませた処理水で処
理した比較例No.12はAlの水和酸化物皮膜厚みは満足
し、リン酸亜鉛処理におけるAlの溶出量も少ないもの
の、接触角が20°を越え、塗膜密着性が低い。純水に不
純物として硫酸鉄を0.5%程度含ませた処理水で処理した
比較例No.13もAlの水和酸化物皮膜厚みは満足し、リン
酸亜鉛処理におけるAlの溶出量も少ないものの、接触角
が20°を越え、塗膜密着性が低い。
【0050】また、純水でAlの水和酸化物皮膜形成処理
した比較例No.14、15はAlの水和酸化物皮膜厚みは満足
し、リン酸亜鉛処理におけるAlの溶出量も少ないもの
の、保管条件が悪いため、Alの水和酸化物皮膜が変質
し、接触角が20°を越え、塗膜密着性が低い。
【0051】これら実施例の結果から、本発明条件の臨
界的な意義が裏付けられる。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、塗膜密着性を向上させ
たAlの水和酸化物皮膜を設けたAl合金構造材およびAlの
水和酸化物皮膜を設けたAl合金構造材の塗膜密着性の評
価方法を提供することが可能となる。したがって、Al合
金材の構造材などの用途への拡大を図れる点で、工業的
な価値が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で規定する接触角を示す模式図である。
【符号の説明】
1:水滴、2:供試材、3:接線、θ1:接線3 と供試材2 表面
とのなす角度、
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 13/00 G01N 13/00 Fターム(参考) 4D075 BB67X BB75Z CA13 CA33 CA35 DA06 DA10 DA23 DB07 DC08 DC11 EB33 4K026 AA09 BA08 BB06 CA16 EA08 EB04

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リン酸塩処理および塗装処理されて使用
    されるアルミニウム合金構造材であって、前記処理前に
    アルミニウムの水和酸化物皮膜が構造材表面に予め設け
    られているとともに、このアルミニウムの水和酸化物皮
    膜の厚みが1500〜10000 オングストローム (Å) であ
    り、かつ皮膜表面の濡れ性を示す水滴の接触角が20°以
    下であることを特徴とする塗膜密着性に優れたアルミニ
    ウム合金構造材。
  2. 【請求項2】 表面にアルミニウムの水和酸化物皮膜を
    設けたアルミニウム合金構造材がリン酸塩処理および塗
    装処理される際の塗膜密着性を予め評価する方法であっ
    て、前記アルミニウムの水和酸化物皮膜表面の濡れ性を
    示す水滴の接触角によって塗膜密着性を評価することを
    特徴とするアルミニウム合金構造材の塗膜密着性評価方
    法。
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