JP2003052789A - 間接灸用シートとその使用方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 温熱効果の持続性がよく、非常に扱い易い、
間接灸用シートを提供する。 【解決手段】 シート積層体の裏面に粘着剤層を設けた
もので、該シート積層体を、表面は不燃性で、中間層と
して遠赤外線放射性物質を含む層を含むものとする。遠
赤外線放射性物質は、前記積層体の中間層を構成する糊
剤に混入して使用するのがよい。このようにして得られ
て間接灸用シートは、その上に、台紙に艾の塊状物を置
いた間接灸を載置し、所定のツボに置き、艾に点火して
使用するものであるが、艾の点火により、間接灸用シー
トの温度を、肌に害を与えない穏やかな状態で、２０分
前後、４５℃以上に保つことが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、間接灸を、穏やか
な条件下で、効率よく実施できる間接灸用シートに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】間接灸として、耐熱性のシート状台座の
上に艾を置いて使用することは、広く実施されており、
そのための台座として、中央に穴をあけた灸点紙も開発
されており（実公昭５７−４０９９３号公報）、また、
セラミックシートを使用したものも存在する（特開平１
１−３４７０９９号公報）。しかし、これらの台座は通
常中央に穴を設け、その上に艾が位置するようにしてい
るため、艾の燃焼に伴い、皮膚に熱が強烈に伝わるな
ど、施灸効果にむらがあった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、温熱効果の
持続性がよく、非常に扱い易い、間接灸用シート及びそ
の効率のよい使用方法を提供することを課題とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明では、シート積層
体の裏面に粘着剤層を設けたものであって、前記シート
積層体が、表面は不燃性で、中間層として遠赤外線放射
性物質を含む層を有するものを間接灸用シートとするこ
とで、前記課題を解決した。

【０００５】シート積層体は、無孔とし、厚さを0.５〜
４ｍｍ、特に１〜３ｍｍとするのがよい。なお、シート
積層体は、複数枚の厚紙から構成される中間層表面に金
属薄膜等の不燃層を設けたもので、裏面を粘着剤層を介
して離型性シートに貼り合わせたものであるのがよく、
中間層に、遠赤外線放射性物質、例えば遠赤外線放射性
セラミック微粉末や酸化珪素と酸化鉄を含有する液状物
質等を含有させるのがよい。遠赤外線放射性物質は、特
に、中間層を構成するのに使用する糊剤に混入して使用
するのが好ましい。

【０００６】かかる間接灸用シートは、ツボに貼着し、
該シート上（不燃層上）に、台紙に艾の塊状物を置いた
間接灸具を載置し、艾に点火して使用するものである
が、この艾の塊状物としては、艾を直径約８〜１２ｍｍ
の団子状に固めたもの、又は艾の炭化物を直径約６〜８
ｍｍ、高さ約８〜１０ｍｍの円柱状に固めたもの等がい
ずれも効果的に使用できる。なお、この場合、前記台紙
の厚さは通常２ｍｍ前後でよい。

【０００７】本発明の間接灸用シートの使用では、艾の
点火で、艾の台紙が１００〜１２０℃となり、その下の
本発明の間接灸用シートが５５〜７０℃になるように設
定できるので、従来になく、非常に穏やかに持続性のよ
い施灸効果を得ることが可能となる。なお、肌の直接触
れる間接灸用シートが６０〜６７℃、特に６２〜６５℃
となるのが効果的である。

【０００８】また、本発明では、艾の燃焼により、間接
灸用シートを１５〜２５分間、４５℃以上に保持可能と
なる。従来の施灸では、急激な熱の上昇、降下により、
このような持続性よい温熱効果を得ることができなかっ
た。

【０００９】

【発明の実施の形態】本発明の実施例を次に示す。 実施例１ ボール紙３枚を合紙し、その表面にアルミニウム箔を積
層した積層体の裏面に粘着剤層を介して離型シート上
に、粘着剤層／チップボール２枚とコートボール１枚と
アルミニウム箔を積層した。ボール紙の合紙用の糊とし
て、通常の糊剤に遠赤外線放射物質（酸化珪素と酸化鉄
を主成分とする白色液状物）を混入したものを使用し
た。得られた間接灸用シート（２３ｍｍ平方の正方形）
は厚さ2.８ｍｍで、中間層に耐熱性のよい遠赤外線放射
物質が均一に分散して存在するため、非常に耐熱性よ
く、持続性ある保温効果を発揮した。例えば、艾を直径
約１０ｍｍの団子状に固めたものを厚さ2.２ｍｍ、直径
２２ｍｍの円板状の台紙に載置した間接灸を、このよう
にして得た間接灸用シート上に貼着し、所定のツボに置
き、艾に点火したところ、艾の燃焼で、加熱温度が１５
分程度かけて放物線状上昇し、間接灸の台紙が約１０５
℃、間接灸用シートが約６２℃となり、約２０分間、間
接灸用シートを４５℃以上に保った。

【００１０】比較例１ 実施例１の間接灸用シートの変わりに、市販の間接灸用
セラミックシートを使用して、実施例１と同様の施灸を
した。実施例１と比較例１の施灸効果を比較して、次表
に示す。なお、表中の数値は施灸した４２人中の回答数
を示す。

【００１１】 表１ ． 実施例１ 比較例１ ．施灸による温熱感 ． あまり熱くない ４／４２ ７／４２ ． 心地よい熱さ ２５／４２ １６／４２ ． 熱いが我慢できる ６／４２ １０／４２ ． 耐え難い熱さ ７／４２ ９／４２ ．施灸による皮膚の変化 ． 不変 ２／４２ ２／４２ ． 発赤のみ ３８／４２ ３１／４２ ． 赤くヒリヒリする １／４２ ６／４２ ． 水泡ができる １／４２ ４／４２

【００１２】実施例２ 健康な成人女子２名を被験者として、ベルト、時計バン
ド等身体を束縛するものを外した状態で、安静状態を保
った後、血流量をレーザードップラー血流計で測定し、
その後、右手の親指と人指し指のつけ根の中間に、実施
例１の施灸をし、同様の方法で血流量の変化を測定し
た。施灸前１０分間の平均血流速度及び血流量と施灸後
１０分間の平均血流速度及び血流量を比較して、次表に
示す。

【００１３】 表２ ． 〔平均血流速度〕 〔平均血流量〕 ． 施灸前 施灸後 増加率 施灸前 施灸後 増加率 被験者Ａ 4.11 4.20 2.2% 32.70 38.03 26.3% 被験者Ｂ 2.78 3.09 11.2% 33.31 36.94 10.9%

【００１４】実施例３ 間接灸として、直径７ｍｍ、高さ９ｍｍの円柱状の艾炭
化物を、厚さ2.２ｍｍ、直径２２ｍｍの円板状の台紙に
載置したものを使用した以外は、実施例１と同様の方法
を実施した。艾炭化物の燃焼で、加熱温度が１５分程度
かけて放物線状上昇し、間接灸の台紙が約１１０℃、間
接灸用シートが約６５℃となり、２０分間以上、間接灸
用シートを４５℃以上に保った。

【００１５】

【発明の効果】本発明の間接灸用シートは、その上に、
台紙上に艾を載置した間接灸を置いて使用するだけで、
非常に持続性のよい温熱効果で、適度の温度をツボに付
与することができ、穏やかな状態で、効率のよい施灸効
果を発揮する。

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シート積層体の裏面に粘着剤層を設けた
   ものであって、前記シート積層体が、表面は不燃性で、
   中間層として遠赤外線放射性物質を含む層を有すること
   を特徴とする間接灸用シート。
2. 【請求項２】 シート積層体の厚さが0.５〜４ｍｍであ
   ることを特徴とする請求項１の間接灸用シート。
3. 【請求項３】 遠赤外線放射性物質が、前記積層体の中
   間層を構成する糊剤に混入して使用されていることを特
   徴とする請求項１又は２の間接灸用シート。
4. 【請求項４】 請求項１〜３のいずれかに記載の間接灸
   用シートを、ツボに貼着し、該シート上に、台紙に艾の
   塊状物を置いた間接灸具を載置し、前記艾に点火するこ
   とを特徴とする前記シートの使用方法。
5. 【請求項５】 前記艾の塊状物が艾の炭化物からなるも
   のであることを特徴とする請求項４の方法。
6. 【請求項６】 前記点火により、前記台紙が１００〜１
   ２０℃となり、前記シートが５５〜７０℃になることを
   特徴とする請求項４又は５の方法。
7. 【請求項７】 前記艾の燃焼により、前記シートが１５
   〜２５分間、４５℃以上に保たれることを特徴とする請
   求項６の方法。