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JP2002326999A - Gd3模倣ペプチド - Google Patents

Gd3模倣ペプチド

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JP2002326999A
JP2002326999A JP2001124504A JP2001124504A JP2002326999A JP 2002326999 A JP2002326999 A JP 2002326999A JP 2001124504 A JP2001124504 A JP 2001124504A JP 2001124504 A JP2001124504 A JP 2001124504A JP 2002326999 A JP2002326999 A JP 2002326999A
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JP
Japan
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peptide
antibody
amino acid
present
mimetic
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JP2001124504A
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English (en)
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Masaru Ishikawa
大 石川
Koichi Ogino
晃一 荻野
Takao Taki
孝雄 瀧
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Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
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  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】ガングリオシドGD3の糖鎖を構造的に模倣し、G
D3と交差反応性を示す抗GD3抗体産生能を有し、GD3に代
わるワクチンとして有用なペプチドなどを提供する。 【解決手段】 特定の4種類の配列のいずれかに示され
るアミノ酸配列を含むペプチドまたは該アミノ酸配列に
おいて1もしくは複数のアミノ酸残基が置換、欠失、付
加もしくは挿入により改変されたアミノ酸配列を含むペ
プチドであって、抗GD3抗体に特異的結合性を有するペ
プチドであるGD3模倣ペプチドおよび該ペプチドを含有
する医薬組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、GD3を模倣するペ
プチド、より詳しくはメラノーマなどの腫瘍に発現する
腫瘍関連抗原の一つとして知られているGD3を構造的に
模倣していると考えられる新しいペプチドに関する。
【0002】
【従来の技術】GD3は、シアル酸含有スフィンゴ糖脂質
に属しており、Gがシアル酸含有スフィンゴ糖脂質(ガ
ングリオシド)の一つを、Dがジシアロ型を意味する。
また、GD3は、GM2、GM3、GD2、GT3などの腫瘍関連抗原
と同様に、ヒト・メラノーマなどの腫瘍細胞上に発現す
るものとして知られている。該GD3は、構造式上、NeuAc
α2-8 NeuAcα2-3 Galβ1-4 Glc1-1 Cer として示され
る。
【0003】従来より、腫瘍の進展とGD3の発現が相関
すること、GD3がメラノーマ細胞上に高発現すること、
マウス抗GD3モノクローナル抗体の投与がメラノーマ患
者の腫瘍の成長を抑制することなどが報告されている。
これらのことから、GD3は、この種の腫瘍の免疫療法の
主な標的となっている。
【0004】GD3に対するヒトの免疫応答は、病気の臨
床経過において有益な効果を及ぼすことが期待でき、こ
れまでにもワクチン分野で種々の臨床的試験が実施され
てきている。しかしながら、上記期待に添う成功例は未
だ報告されていない(Cheresh, D. A., et al., Proc.
Natl. Acad. Sci., USA., 81, 5767-5771 (1984): Herl
yn, M., et al., Cancer Res., 45, 5670-5676 (1985):
Houghton, A. N., etal., Proc. Natl. Acad. Sci., U
SA., 82, 1242-1246 (1985): Livingston, P.O., Immun
ological Rev., 145, 147-163 (1995): Livingston, P.
O., et al.,Cancer Immunol. Immunother., 45, 1-9
(1997) など参照)。
【0005】腫瘍に関連したガングリオシド類は、癌に
対する免疫攻撃の好ましい標的として知られているが、
これらは免疫原性に乏しいといわれている。
【0006】この欠点を改善するものとして、ガングリ
オシドに対する抗体免疫応答を発現または増大させるた
めの癌ワクチン組成物が提案されている(特開平8-5336
6号公報)。このものは、ガングリオシドをN-グリコシ
ル化したもの(N-グリコリルGM3)である。
【0007】同様に、ガングリオシドを9-O-アセチル化
したもの(9-O-アセチルGD3)も報告されている(米国特
許第5102663号)。
【0008】更に、同様の癌ワクチンとして、GD3複合
体ワクチン(GD3-キーホールリンペットヘモシアニン複
合体)が、顕著に改善された抗体応答を示すことも報告
されている(特表平8-508978号公報)。この報告によれ
ば、GD3のセラミド骨格中の二重結合をオゾン開裂して
化学修飾し、アルデヒド基を導入後、該アルデヒド基を
還元的にアミノ化して、タンパク質のアミノリシル基に
結合させることによって、マラリアT細胞エピトープの
繰り返し、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)の外膜タ
ンパク(OMP)、陽イオン化ウシ血清アルブミン(cBSA)、
キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)およびポリリ
シンを表わす合成多重抗原性ペプチドとGD3との複合体
が構築される。また、この報告は、免疫学的アジュバン
トとして、南米の木、キラジャサポナリアモリナ(Quill
aja saponaria Molina)の皮から抽出した糖鎖であるQS-
21(Aquila Pharmaceuticals, Worcester, MA, U.S.A.:
Kensil,C. R. et al., J. Immunol., 146, 431 (199
1))が最も効果的であるとしている。
【0009】このように、GD3をそのまま抗原とした従
来のワクチンは、免疫応答が弱く、一過性である欠点が
ある。
【0010】また、原料であるGD3の入手にはかなりの
困難性を伴う不利がある。即ち、一般に、生体から対象
物質とするガングリオシドを多量に調製することは非常
に困難である。化学合成法あるいは遺伝子工学的手法を
利用したガングリオシドの合成もまた極めて困難であ
る。
【0011】更に、GD3に種々の修飾などを行ってワク
チンとする場合は、抗原性を高めるための化学処理、複
合体の作成などの煩雑な操作が必要であり、これらの操
作のための試薬材料などの入手、調製も煩雑であり、免
疫アジュバンドの選択なども必要となる不利がある。
【0012】一方、近年、分子生物学的手法が複合糖質
の分野にも応用され、糖鎖構造をペプチドに置き換える
技術が開発されつつある。
【0013】本発明者らも、先にガングリオシドの一つ
であるGD1αに対する抗体と特異的に結合するペプチド
を、糖鎖に対するモノクローナル抗体を用いたバイオパ
ニングによりファージディスプレイランダムライブラリ
ーから得ることに成功している。
【0014】このペプチド(15mer)は、複合糖脂質の糖
鎖構造を模倣するもの(レプリカペプチド)であり、糖
脂質GD1αに対するモノクローナル抗体と特異的に結合
し、抗原であるGD1αに対する抗体の結合を阻害する活
性を有している。
【0015】本発明者らは、このペプチドを化学合成法
により製造して、これがGD1αに対するモノクローナル
抗体と反応性を有することを先に確認している。また、
このGD1αのレプリカペプチド(化学合成品)が、高転
移性の癌細胞株に対して、該癌細胞の接着性を阻害する
ことおよび癌細胞の転移を抑制することも確認している
(特開平10-237099号公報参照)。
【0016】本発明者らは、更に、スフィンゴ糖脂質で
あるラクトテトラオシルセラミドまたはラクトネオテト
ラシルセラミドに対する抗体と特異的に反応し且つグリ
コシダーゼ活性を有するペプチドを、ランダムペプチド
ライブラリーから得ることにも成功している(特開平10
−237098号公報:石川大、瀧孝雄、細胞工学, 16 (12)1
821-1828 (1997) 参照)。
【0017】最近になって、本発明者らの上記研究成果
と同様に、GD2/GD3抗原に対する抗体を用いてファージ
ディスプレイペプチドライブラリーから得られるペブチ
ドであるTrp-Arg-Tyr配列を含む15-16merペプチドが、
抗体と交差反応を示す旨の報告がなされている(Qiu,
J., et al., Hybridoma, 18(1) 103-112 (1999))。
【0018】更に、15merおよび8merのペプチドをディ
スプレイする2つのファージディスプレイペプチドライ
ブラリーから、抗GD3モノクローナル抗体MB3.6、MG22お
よびMG21に結合する4つのファージディスプレイペプチ
ドが得られたことも報告されている(Willers, J., et a
l., Peptides, 20, 1021-1026 (1999))。これら4つの
ペプチドは、選択に使用された抗GD3抗体と結合性を示
し、この結合性はGD3により抑制されると報告されてい
る。しかしながら、いずれのペプチドについても所望さ
れる免疫原性は認められなかったことが示されている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ガン
グリオシドGD3の糖鎖を構造的に模倣するペプチドであ
って、抗GD3抗体に高い親和性を有する新規なペプチド
を提供することにある。
【0020】また本発明の他の目的は、抗GD3抗体の産
生能を有する免疫原性ペプチド、即ち当該ペプチドで免
疫して得られる抗体がGD3と交差反応性を示すことで特
徴付けられ、従って、GD3に代わるワクチンとしての有
用性を有する上記ペプチドを提供することにある。
【0021】更に本発明の他の目的は、上記ペプチドを
コードするDNA配列、該配列を挿入した組換え体発現ベ
クター、該ベクターを組込んだ宿主細胞および該細胞に
より産生される組換え体発現産物を提供することにあ
る。
【0022】更に本発明の他の目的は、上記ペプチドま
たは組換え体発現ベクターを有効成分とする医薬組成
物、特に抗腫瘍ワクチン(癌ワクチン)を提供すること
にある。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、さらに研
究を重ねた結果、抗GD3抗体に高い親和性を有する新規
なアミノ酸配列を見出した。また、このアミノ酸配列を
含むペプチド(GD3模倣ペプチド)で免疫して得られる抗
血清がGD3と交差反応性を示し、従って、このペプチド
がGD3に代わるワクチンとして利用できることを見出し
た。本発明はこれらの知見を基礎として完成されたもの
である。
【0024】本発明は、配列番号:1から4のいずれかに
示されるアミノ酸配列を含むペプチドまたは該アミノ酸
配列において1もしくは複数のアミノ酸残基が置換、欠
失、付加もしくは挿入により改変されたアミノ酸配列を
含むペプチドであって、抗GD3抗体に特異的結合性を有
することを特徴とするGD3模倣ペプチドを提供する。
【0025】特に、本発明は、免疫原性を高めるキャリ
ア蛋白との融合ペプチド形態である上記GD3模倣ペプチ
ド;キャリア蛋白がキーホールリンペットヘモシアニン
(KLH)である上記GD3模倣ペプチド;多抗原性ペプチド
形態である上記GD3模倣ペプチド;抗GD3抗体の産生能を
有する免疫原性ペプチドである上記GD3模倣ペプチド;
および配列番号:1から4のいずれかに示されるアミノ酸
配列を有するペプチドである上記GD3模倣ペプチドを提
供する。
【0026】また、本発明は、上記GD3模倣ペプチドを
有効成分として含有する医薬組成物を提供する。
【0027】更に、本発明は、以下の各態様の発明を提
供する。
【0028】(a) 本発明GD3模倣ペプチドをコードする
DNA配列、特に配列番号:1から4のいずれかに示される
アミノ酸配列、好ましくは、配列番号:3または4に示さ
れるアミノ酸配列をコードするDNA配列; (b) 配列番号:5から8のいずれかに示される配列を有
する上記DNA配列; (c) これらDNA配列の少なくとも1種が挿入された組換
え体発現ベクター; (d) 上記組換え体発現ベクターを組込んだ宿主細胞; (e) 上記組換え体発現ベクターを有効成分として含有
する医薬組成物; (f) 抗GD3抗体の誘起を刺激するかまたは該抗体の産生
を増強するためのワクチンとしての本発明医薬組成物の
使用; (g) 抗腫瘍、抗癌または癌転移抑制のための医薬とし
ての本発明医薬組成物の使用; (h) GD3発現性の腫瘍または癌、特に、黒色腫、大腸
癌、卵巣癌、肝癌、乳癌、脳腫瘍、腎癌、膵臓癌、子宮
頸癌、食道癌、肺癌および胃癌からなる群から選ばれる
疾患の処置である上記医薬組成物の使用; (i) リポソーム製剤である本発明医薬組成物。
【0029】本明細書におけるアミノ酸、ペプチド、塩
基配列、核酸などの略号による表示は、IUPAC、IUBの規
定、「塩基配列又はアミノ酸配列を含む明細書等の作成
のためのガイドライン」(特許庁編)および当該分野に
おける慣用記号に従うものとする。
【0030】
【発明の実施の形態】本発明GD3模倣ペプチド 本発明のGD3模倣ペプチドは、配列番号:1から4のいず
れかに示されるアミノ酸配列を含むペプチドまたは該ア
ミノ酸配列において1もしくは複数のアミノ酸残基が置
換、欠失、付加もしくは挿入により改変されたアミノ酸
配列を含むペプチドからなり、GD3に対する抗体(抗GD3
抗体)に特異的な結合性を有することにより特徴付けら
れる。
【0031】ここで抗GD3抗体は、当該分野における通
常の用語として使用され、GD3を認識する(GD3と結合す
る)特異抗体として定義される。当該抗体は、関連する
他のガングリオシドとは交差性を示さないのが好まし
い。また、特にモノクローナル抗体であるのが好まし
い。
【0032】配列番号:1から4に示されるアミノ酸配列
は、GD3の糖鎖構造を模倣する特徴的なアミノ酸配列と
して特徴付けらる。これらのアミノ酸配列を有するペプ
チドが本発明GD3模倣ペプチドの好適な具体例である。
【0033】また上記特定のアミノ酸配列は、GD3の糖
鎖構造を模倣するという構造的特徴が保持あるいは提示
される限りにおいて、その一部のアミノ酸またはアミノ
酸配列を置換、欠失、付加もしくは挿入により改変する
ことができる。本発明GD3模倣ペプチドには、このよう
な改変されたアミノ酸配列を有するペプチドも包含され
る。
【0034】アミノ酸配列の改変、即ち「置換、欠失、
付加もしくは挿入」の程度およびそれらの位置は、改変
されたアミノ酸配列を含むペプチドが、配列番号:1か
ら4で示されるアミノ酸配列を含むペプチドと同様の性
質を有する同効物であること、即ち、GD3の糖鎖構造を
模倣するという構造的特徴を保持あるいは提示すること
を必須として特に制限はない。
【0035】当該改変の程度は、通常80%以上の相同
性、好ましくは90%以上の相同性を保持するものとする
ことができる。
【0036】尚、本発明ペプチド中、少なくとも2つの
システイン残基を有するペプチド、例えば配列番号:2
で示されるアミノ酸配列を有するペプチドは、自発的に
環状化すると考えられる。このような環状ペプチドは、
線状形態で存在する場合においても活性(抗GD3抗体と
の特異結合性)を有するので、該ペプチド内のひとつま
たは両方のシステイン残基およびこれら2つのシスチン
残基に挟まれたアミノ酸配列部分は、GD3の糖鎖構造を
模倣する構造的特徴に著しい影響を与えることなく欠失
させることができる。かかる現象は、例えばコイビーネ
ンらの報告(Koivunen, et al., J. Biol. Chem., 268,
20205-20210 (1993))に支持される。このような欠失
されたアミノ酸配列の具体例としては、例えば、配列番
号:2に示されるアミノ酸配列のN端9アミノ酸残基から
なる配列を例示できる。
【0037】本発明GD3模倣ペプチドは、上記特定のア
ミノ酸配列を含むペプチドであり、GD3の糖鎖構造を模
倣する構造的特徴を保持あるいは提示しており、従っ
て、抗GD3抗体に特異的な結合性を有することにより特
徴付けられる。
【0038】本発明ペプチドは、その抗原性などを考慮
すると、少なくとも5アミノ酸配列の長さ、好ましくは8
から60アミノ酸配列の長さ、より好ましくは8から30ア
ミノ酸配列の長さあるいは10から20アミノ酸配列の長さ
からなることができる。
【0039】本発明ペプチドの好ましい例としては、配
列番号:3または4、特に好ましくは配列番号:4に示さ
れるアミノ酸配列を含むかまたは該アミノ酸配列におい
て1もしくは複数のアミノ酸残基が置換、欠失、付加も
しくは挿入により改変されたアミノ酸配列を含むものを
例示することができる。
【0040】また、本発明ペプチドの他の好ましい例と
しては、GD3に特異的な抗体の産生能を有する免疫原性
ペプチド、即ち、GD3に特異的な抗体を誘起できること
により特徴付けられるペプチドを例示することができ
る。
【0041】配列番号:1から4に示されるアミノ酸配列
を有する本発明GD3模倣ペプチドは、それ自体、GD3に特
異的な抗体の産生能を有しており、本発明免疫原性ペプ
チドの好適な具体例である。
【0042】本発明免疫原性ペプチドは、免疫原性を高
めた形態とされた場合に所望の免疫原性を有するペプチ
ドおよび当該形態であるペプチドを包含する。この免疫
原性ペプチドは、ペプチドそれ自体であってもよく、ま
た例えば、免疫原性を高める慣用のキャリア蛋白との融
合ペプチド形態、多抗原性ペプチド形態などの免疫原性
を高めた形態のペプチドであることができる。
【0043】尚、本発明ペプチドがGD3の糖鎖構造を模
倣する構造的特徴を保持あるいは提示していること、従
って抗GD3抗体に特異的な結合性を有することは、抗GD3
抗体との反応性を試験することにより確認できる。ま
た、本発明ペプチドが抗GD3抗体の産生能を有する免疫
原性ペプチドであることは、産生される抗体とGD3との
交差反応性を試験することにより確認できる。これらの
試験はいずれも常法に従い行い得る。本発明ペプチドの
抗GD3モノクローナル抗体への結合特異性の検出例およ
び本発明免疫原性ペプチドで誘起された抗体とGD3との
反応性試験例は、後記実施例に示されている。
【0044】本発明GD3模倣ペプチド(免疫原性ペプチ
ド)は、以下の態様を包含する。 (a)配列番号:1から4に示される特定アミノ酸配列
(それらの改変されたアミノ酸配列を含む、以下同じ)
の少なくとも1種が複数個融合または連結された配列を
含むペプチド; (b)前記特定アミノ酸配列の少なくとも1種のペプチド
を含む多抗原性ペプチド形態のペプチド; (c)前記特定アミノ酸配列の少なくとも1種のペプチド
と免疫原性を高めるかもしくは免疫応答を促進し得るキ
ャリア蛋白乃至ペプチドとの融合ペプチド形態のペプチ
ド。
【0045】これらの態様を含む本発明GD3模倣ペプチ
ドの具体例につき以下に詳述する。
【0046】後述の実施例においてGD3R-1、GD3R-2、GD
3R-3またはGD3R-4と呼称するペプチドは、それぞれ配列
番号:1から4に示されるアミノ酸配列を有する本発明GD
3模倣ペプチドの好適な具体例である。
【0047】また、これら各アミノ酸配列中の連続した
9-14個のアミノ酸残基からなるペプチドもまた本発明GD
3模倣ペプチドに包含される。これらの内では、各アミ
ノ酸配列のN端9-14個のアミノ酸残基からなるペプチド
およびC端9-14個のアミノ酸残基からなるペプチドが好
ましい。特に、各アミノ酸配列中、N端9個のアミノ酸残
基からなるペプチドおよびC端9個のアミノ酸残基からな
るペプチドが最も好ましい。
【0048】配列番号:1から4に示されるアミノ酸配列
を有する本発明GD3模倣ペプチドは、例えば実施例に示
されるように、ファージディスプレイライブラリーを利
用して抗GD3抗体に特異的な結合性を有するペプチドを
選択することにより収得される。この選択には、例えば
大集団の分子ライブラリーを作成し、該分子ライブラリ
ーをスクリーニングして所望ペプチドを同定する方法を
採用することができる。
【0049】該スクリーニングにおけるファージディス
プレイライブラリーの作成方法およびスクリーニング法
については、例えばスコットおよびスミスらの方法が参
照できる(Scott, J. M. and Smith, G. P., Science,
249, 386-390 (1990); Smith, G. P. and Scott, J.
K., Methods in Enzymology, 217, 228-257 (1993))。
【0050】本発明GD3模倣ペプチドの同定のためのよ
り好ましい方法としては、例えば特開平10-237098号公
報、特開平10-237099号公報および石川大、瀧孝雄、細
胞工学, 16 (12) 1821-1828 (1997)などに記載の糖脂質
糖鎖模倣ペプチドを同定する方法を例示することができ
る。
【0051】所望ペプチドを提示するファージクローン
のスクリーニング(選択)は、GD3を認識する抗体、好ま
しくはGD3に対する特異性に優れるモノクローナル抗体
を利用して、該抗体への結合性を試験することにより行
い得る。
【0052】選択されたファージクローンのDNA配列を
決定することにより、所望のGD3模倣ペプチドを同定す
ることができる。DNA配列の決定は、当業界で公知の方
法により容易に行い得る。例えばジデオキシ法〔Proc.
Natl. Acad. Sci. USA., 74, 5463-5467 (1977)〕、マ
キサム−ギルバート法〔Method in Enzymology, 65, 49
9(1980)〕などにより行うことができる。かかる塩基配
列の決定は、市販のシークエンスキットなどを用いても
容易に行い得る。本発明GD3模倣ペプチドの製造 本発明GD3模倣ペプチドは、そのアミノ酸配列に従っ
て、一般的な化学合成法により製造することができる。
該方法には、通常の液相法および固相法によるペプチド
合成法が包含される。
【0053】ペプチド合成法は、より詳しくは、アミノ
酸配列情報に基づいて、各アミノ酸を1個ずつ逐次結合
させて鎖を延長させていくステップワイズエロゲーショ
ン法と、アミノ酸数個からなるフラグメントを予め合成
し、次いで各フラグメントをカップリング反応させるフ
ラグメント・コンデンセーション法とを包含する。本発
明GD3模倣ペプチドの合成は、そのいずれによることも
できる。
【0054】上記ペプチド合成には一般的な各種の縮合
法が採用できる。その具体例としては、例えばアジド
法、混合酸無水物法、DCC法、活性エステル法、酸化還
元法、DPPA(ジフェニルホスホリルアジド)法、DCC+
添加物(1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、N-ヒドロキ
シサクシンアミド、N-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-
ジカルボキシイミドなど)法、ウッドワード法などを例
示できる。
【0055】これら各方法に利用できる溶媒も、この種
ペプチド縮合反応に使用されることがよく知られている
一般的なものから適宜選択することができる。その例と
しては、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチ
ルスルホキシド(DMSO)、ヘキサホスホロアミド、ジオ
キサン、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチルなど
およびこれらの混合溶媒などを挙げることができる。
【0056】尚、上記ペプチド合成反応に際して、反応
に関与しないアミノ酸乃至ペプチドにおけるカルボキシ
ル基は、一般にはエステル化により、例えばメチルエス
テル、エチルエステル、第三級ブチルエステルなどの低
級アルキルエステル;例えばベンジルエステル、p-メト
キシベンジルエステル、p-ニトロベンジルエステルなど
のアラルキルエステルなどとして保護することができ
る。
【0057】また、側鎖に官能基を有するアミノ酸、例
えばTyrの水酸基は、アセチル基、ベンジル(Z)基、ベン
ジルオキシカルボニル(Boc)基、第三級ブチル基などで
保護されてもよいが、必ずしもかかる保護を行う必要は
ない。
【0058】更に、例えばArgのグアニジノ基は、ニト
ロ基、トシル基、2-メトキシベンゼンスルホニル基、メ
タンスルホニル基、Boc基、イソボルニルオキシカルボ
ニル基、アダマンチルオキシカルボニル基などの適当な
保護基により保護することができる。
【0059】上記保護基を有するアミノ酸、ペプチドお
よび最終的に得られる本発明GD3模倣ペプチドにおける
これら保護基の脱保護反応もまた、慣用される方法、例
えば接触還元法、液体アンモニア/ナトリウム、フッ化
水素、臭化水素、塩化水素、トリフルオロ酢酸、酢酸、
蟻酸、メタンスルホン酸などを用いる方法などに従って
実施することができる。
【0060】得られる本発明GD3模倣ペプチドは、通常
の方法に従って、例えばイオン交換樹脂、分配クロマト
グラフィー、ゲルクロマトグラフィー、アフィニティー
クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HP
LC)、向流分配法などのペプチド化学の分野で汎用され
る方法に従って、適宜精製することができる。
【0061】また、本発明GD3模倣ペプチドは、当該ペ
プチドをコードするDNA配列を利用した遺伝子工学的手
法に従い製造することができる。
【0062】この手法は、常法に従うことができる。例
えばDNAの合成、該DNAの発現を可能とする発現ベクター
の製造、該ベクターの宿主細胞における発現などは、い
ずれも一般的な遺伝子工学的手法に準ずることができる
(Molecular Cloning 2d. Ed., Cold Spring Harbor La
b. Press (1989);続生化学実験講座「遺伝子研究法I、
II、III」、日本生化学会編(1986)など参照)。
【0063】本発明GD3模倣ペプチドをコードするDNA
は、本発明により提供されるGD3模倣ペプチドのアミノ
酸配列情報に基づいて、常法に従い調製することができ
る(Science, 224, 1431 (1984); Biochem. Biophys. R
es. Comm., 130, 692 (1985);Proc. Natl. Acad. Sci.,
USA., 80, 5990 (1983) など参照)。
【0064】より具体的には、DNAの合成は、ホスホル
アミダイト法またはトリエステル法による化学合成によ
ることができ、例えば、市販されている自動オリゴヌク
レオチド合成装置上で行うこともできる。二本鎖断片
は、化学合成した一本鎖生成物に、化学合成した相補鎖
を適当な条件下でアニーリングさせるか、または適当な
プライマー配列と共にDNAポリメラーゼを用いて相補鎖
を付加することによって得ることもできる。
【0065】上記で合成されるDNAは、これによってコ
ードされるアミノ酸配列が改変されたものであることも
できる。この改変されたアミノ酸配列をコードするDNA
は、例えばオリゴヌクレオチドを用いた部位特異的変異
導入法(Zoller, M., et al., Nucl. Acids Res., 10,
6487-6500 (1982))、カセット変異誘発法(Well, J.,
et al., Gene, 34, 315-323 (1985))などの公知方法に
よって得ることができる。
【0066】本発明ペプチドの遺伝子工学的製造(発
現)は、この分野で周知慣用の技術に従うことができる
(例えばScience, 224, 1431 (1984); Biochem. Biophy
s. Res. Comm., 130, 692 (1985); Proc. Natl. Acad.
Sci. USA., 80, 5990 (1983)など参照)。また、本発明
ペプチドを融合ペプチド乃至融合蛋白として製造するに
際しては、例えば大野らの方法「タンパク実験プロトコ
ール1機能解析編、細胞工学別冊、実験プロトコールシ
リーズ、1997年、秀潤社」などを参考にすることができ
る。
【0067】得られる所望ペプチドは、その物理的性
質、化学的性質などを利用した各種の分離操作(例えば
「生化学データーブックII」、1175-1259 頁、第1版第1
刷、1980年 6月23日株式会社東京化学同人発行;Bioche
mistry, 25 (25), 8274-8277 (1986); Eur. J. Bioche
m., 163, 313-321 (1987)など参照)により分離、精製
することができる。該方法としては、具体的には、例え
ば、通常の再構成処理、蛋白沈澱剤による処理(塩析
法)、遠心分離、浸透圧ショック法、超音波破砕、限外
濾過、分子篩クロマトグラフィー(ゲル濾過)、吸着ク
ロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ア
フィニティクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラ
フィー(HPLC)などの各種液体クロマトグラフィー、透
析法、これらの組合せなどを例示することができる。
【0068】本発明GD3模倣ペプチドは、より好ましく
は、GD3に特異的な抗体の産生能を有する免疫原性ペプ
チドであり、これは、免疫原性を高めた形態、例えば、
免疫原性を高めるキャリア蛋白との融合ペプチド形態、
多抗原性ペプチド形態などであることができる。
【0069】免疫原性を高めるキャリア蛋白との融合ペ
プチド形態である本発明GD3模倣ペプチドは、免疫原性
を高める慣用のキャリア蛋白をペプチドに結合させるこ
とにより収得できる。
【0070】キャリア蛋白としては、免疫原性を高める
ことができる限り特に制限はなく、担体効果(carrier
effect)により免疫原性を与える各種の蛋白乃至ペプチ
ドおよび生体の免疫応答を促進する各種の蛋白乃至ペプ
チドを包含する。該キャリア蛋白は、また抗腫瘍活性な
どの医薬作用を併せ持つ蛋白乃至ペプチドであることが
できる。
【0071】本発明GD3模倣ペプチドが概して医薬品分
野で利用されることを考慮すると、上記キャリア蛋白と
しては、医薬として許容される蛋白乃至ペプチドから選
択されるのが好ましい。その具体例としては、例えばKL
H、IL-12、GM-CSFなどのサイトカインなどを例示でき
る。他の蛋白乃至ペプチドの例としては、例えばIFN-
α、IFN-β、IFN-γ、IL-1、IL-2、TNF、TGF-β、アン
ジオスタチン、トロンボスポンジン、エンドスタチンな
どを例示することができる。
【0072】本発明におけるペプチドとキャリア蛋白と
の結合反応は、前記したペプチド合成法に従い実施する
ことができ、かくして融合ペプチド形態の本発明ペプチ
ドを得ることができる。
【0073】また、融合ペプチド形態の本発明ペプチド
は、上記キャリア蛋白をコードするDNA乃至遺伝子を利
用して、前記した遺伝子組換え技術に従い製造すること
もできる。
【0074】本発明GD3模倣ペプチドは、多抗原性ペプ
チド(multiple antigen peptide: MAP)形態であるこ
ともできる。このMAPは、基本分子に、例えば配列番
号:1から4に示される特定アミノ酸配列のペプチドの複
数個が結合した形態として特徴付けられる。
【0075】MAP形態である本発明GD3模倣ペプチドの好
適な一例としては、例えば基本分子(骨格)としてデン
ドリマー構造を有するものを挙げることができる。
【0076】デンドリマーとは、一般に樹枝状形状から
星形の立体配置を有する球状乃至その他の構造の分子と
して知られている。該分子はまた複数個の機能基を有す
る枝(繰返し単位)を有することにより特徴付けられる
(例えば、特表昭60-500295号公報;特開昭63-99233号
公報;特開平3-263431号公報;米国特許第4507466号明
細書;同第4568737号明細書;Polymer Journal, 17, p.
117 (1985); Angewandte Chem. Int. Engl., 29, 138-1
75 (1990); Macromolecures, 25, p.3247 (1992)など参
照)。
【0077】本発明に利用できるデンドリマーは、開始
部分となる核構造、該開始核に結合した繰返し単位
(枝)で構成される内部層(世代)および各枝に結合し
て存在する機能基よりなる外表面を有するものであれ
ば、特に制限されない。該デンドリマーの大きさ、形
態、反応性などは、開始核部分、世代数および各世代に
用いられる繰返し単位を適宜選択することによって調節
することができ、これらにも特に制限はない。適当な大
きさなどを有するデンドリマーの製造は、後記する常法
に従うことができ、また異なる大きさのデンドリマー
は、利用される世代数を増やすことによって容易に得る
ことができる(例えば米国特許第4694064号明細書など
参照)。
【0078】デンドリマー構造を有する本発明GD3模倣
ペプチド(MAP)の一例としては、例えば窒素原子を開
始核部分とし、該核部分に結合する-CH2CH2CONHCH2CH2-
構造からなる繰返し単位(枝)を有するデンドリマーの
各枝の最外側末端に特定アミノ酸配列のGD3模倣ペプチ
ドの複数個を結合させたものを挙げることができる。他
の一例としては、例えばLys、Arg、Glu、Aspなどのアミ
ノ酸のいずれかを開始核部分とし、該核部分に直接結合
する繰返し単位として同様の各アミノ酸を利用し、同様
に各枝末端に同様に複数のGD3模倣ペプチドを結合させ
たものを挙げることができる。
【0079】上記窒素原子を開始核部分とするデンドリ
マーは、常法に従い製造できる。またその構造物(本発
明GD3模倣ペプチドを結合させるべきデンドリマー原
料)は、市販品としても入手できる(Polysciences, In
c., 400 Vally Road, Warrington, PA, 18976 U.S.
A.)。他方のアミノ酸を開始核部分とするデンドリマー
は、例えば前記したペプチド合成法に従い製造すること
ができる。また、例えばFmoc8-Lys4-Lys2-Lys-βAla-Al
ko樹脂(渡辺化学工業社製)などとして市販のデンドリ
マー原料を利用して製造することもできる。
【0080】より具体的には、上記デンドリマー原料
は、次の如くして製造することができる。即ち、固相ペ
プチド合成用の樹脂に、スぺーサーを介してまたは介さ
ずに、2つのアミノ基を同一のまたは同一でない保護基
で保護したα,ω-ジアミノ酸を縮合反応させ、ついで保
護基を除去し、更に同様の保護α,ω-ジアミノ酸の縮合
反応及び脱保護基反応を繰返す。
【0081】固相ペプチド合成用の樹脂としては、通常
のペプチド合成に汎用されているものをいずれも使用す
ることができる。その例としては、例えばポリスチレン
樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリスチレンポリエチ
レングリコール樹脂などの末端にクロロメチル基、4-
(ヒドロキシメチル)フェノキシ基、4-((α-2',4'-ジメ
トキシフェニル)-9-フルオレニルメトキシカルボニルア
ミノメチル)フェノキシ基などを有するものを挙げるこ
とができる。スぺーサーとしては、1個または複数個の
アミノ酸を挙げることができる。また、α,ω-ジアミノ
酸としては、リジン、オルニチン、1,4-ジアミノ酪酸、
1,3-ジアミノプロピオン酸などを挙げることができる。
【0082】保護基としては、Boc基、Fmoc基、Z基など
を挙げることができる。機能基としては、アミノ基、カ
ルボキシル基および水酸基を挙げることがきる。保護基
の除去反応は、前述したペプチド合成法に従うことがで
きる。枝の数は、繰返し単位の縮合と保護基の除去とを
n回繰り返すことにより2nとなる。この枝数は、具体的
には2から16の範囲を好ましいものとして挙げることが
できる。
【0083】得られるデンドリマー原料の各枝末端の機
能基に、特定アミノ酸配列のGD3模倣ペプチドを結合さ
せることにより、所望のMAP形態の本発明ペプチドを収
得することができる。この結合反応は、前記したペプチ
ド合成法に従うことができる。
【0084】MAP形態の本発明ペプチドは、常法に従
い、適当なマトリックス、例えばセファクリールS-300
(ファルマシア社製)などの樹脂を用いたクロマトグラ
フィー操作などにより精製することができる。
【0085】本発明MAPにおいて、各枝末端に結合させ
るGD3模倣ペプチドは、同一のものである必要はなく任
意に組合せたものであることもできる。異なるGD3模倣
ペプチドの組合せ例としては、例えば、配列番号:1、
配列番号:3、配列番号:4の各アミノ酸配列の組合せ、
配列番号:1から4に示される15アミノ酸配列のペプチド
と図2に示される9アミノ酸配列のペプチドとの組合せな
どを例示することができる。このような複合型MAPは、
投与対象における血中および組織中での安定性、結合さ
れた分子の免疫原性などの向上に役立ち、本発明GD3模
倣ペプチドによるGD3抗体の産生をより高める場合があ
る。
【0086】本発明MAPは、また、それが有するGD3模倣
ペプチドの一部としてもしくは開始核部分に結合させる
形で、前記した免疫原性を高めるキャリア蛋白、例えば
IL-12、GM-CSFなどの免疫応答を促進するポリペプチド
などを結合させた複合型MAP形態とすることもできる。
【0087】更に、本発明GD3模倣ペプチド以外の、腫
瘍細胞上に発現する他のガングリオシド、例えばGM2、G
M3、GD1、GD2、GD3、GT3などの模倣ペプチドの1または
それ以上を、本発明GD3模倣ペプチドとともにMAPの構成
成分として利用した複合型MAP形態とすることもでき
る。この複合型MAPの例としては、配列番号:1から4お
よび図2に示すアミノ酸配列のGD3模倣ペプチドのいずれ
か1以上と、例えば特開平10-237099号公報に開示されて
いるGD1αを模倣するレプリカペプチドの組合せなどを
例示することができる。
【0088】MAP形態である本発明GD3模倣ペプチドは、
免疫原性において優れており、GD3に対する抗体の産生
を誘起するかあるいは抗体産生を増加させる作用を奏し
得る。このように、MAP形態である本発明GD3模倣ペプチ
ドは、癌に対するワクチンとしての作用を示す結果、制
癌効果および癌転移抑制効果を奏し得る。
【0089】MAP形態の本発明ペプチドは、更に、その
内部に任意の薬剤、例えば免疫応答を促進させる作用を
有する薬剤などを包み込んだ形態に調製することもでき
る。これは、目的とする抗体の誘起を更に助長したり、
抗体産生を更に増加させ得るなどの、より高い効果を挙
げることができる利点がある。本発明医薬組成物 本発明は、本発明GD3模倣ペプチドを有効成分として含
有するヒトを含む動物のための医薬組成物をも提供す
る。
【0090】該医薬組成物は、その有効成分が癌関連抗
原であるGD3抗原に対する抗体と結合する作用を利用し
て、例えば癌の診断剤などとして有用である。
【0091】より好ましい本発明医薬組成物は、GD3に
特異的な抗体の産生能を有する免疫原性ペプチドである
本発明GD3模倣ペプチドを有効成分として含有する医薬
組成物である。
【0092】免疫原性ペプチドである本発明GD3模倣ペ
プチドは、GD3を構造的に模倣してGD3と類似の免疫原性
を示す作用を有している。従って、該ペプチドは、その
投与によって誘起または産生される抗体または補体に依
存的な細胞障害活性化による、あるいは細胞障害性T細
胞の活性化による、抗腫瘍作用を奏する医薬組成物とし
て有用である。また、該ペプチドは、GD3を発現する腫
瘍細胞におけるGD3を介した細胞間接着の抑制作用など
を奏する医薬組成物としても有用である。
【0093】本発明は、例えばGD3を認識する抗体の誘
起を刺激するかまたは該抗体の産生を増強するためのワ
クチンとしての本発明医薬組成物の使用;抗腫瘍、抗癌
または癌転移抑制のための本発明医薬組成物の使用;お
よびGD3発現性の腫瘍または癌、特には、黒色腫、大腸
癌、卵巣癌、肝癌、乳癌、脳腫瘍、腎癌、膵臓癌、子宮
頸癌、食道癌、肺癌および胃癌からなる群から選ばれる
疾患の処置への本発明医薬組成物の使用を包含する。
【0094】本発明医薬組成物は、薬学的有効量の本発
明GD3模倣ペプチドと薬学的に許容される担体を含む組
成物として調製することができる。
【0095】用いられる薬学的に許容される担体は、当
該分野において周知であり、調製される組成物の形態に
応じて適宜選択することができる。例えば、組成物が水
溶液形態に調製される場合、上記担体としては、水また
は生理学的緩衝液などを制限なく利用することができ
る。また、上記担体としては、例えばグリコール、グリ
セロール、オリーブ油のような注入可能な有機エステル
なども使用することができる。
【0096】本発明医薬組成物には、例えば有効成分お
よびその吸収性を安定化または増加させ得る任意成分を
更に配合することができる。この任意成分としては、例
えば、グルコース、スクロース、デキストランなどの炭
水化物、アスコルビン酸、グルタチオンなどの抗酸化
剤、キレート剤、低分子タンパク質、アルブミンなどの
安定化剤乃至賦形剤を例示することができる。
【0097】本発明医薬組成物には、製剤設計上汎用さ
れる任意の添加剤、例えば通常の各種の防腐剤、等張化
剤、緩衝剤、安定化剤、可溶化剤、吸収促進剤などを適
宜配合することができる。これら添加剤の具体例として
は、次のものを例示することかできる。例えば防腐剤と
しては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、
クロロヘキシジン、パラベン類(メチルパラベン、エチ
ルパラベンなど)、チメロサールなどの真菌および細菌
に有効な防腐剤を例示できる。等張化剤としては、例え
ばD-マンニトール、D-ソルビトール、D-キシリトール、
グリセリン、ブドウ糖、マネトース、蔗糖、プロピレン
グリコールなどの多価アルコール類および塩化ナトリウ
ムなどの電解質類を例示できる。安定化剤としては、例
えばトコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、ブ
チルヒドロキシトルエン、エチレンジアミン四酢酸塩
(EDTA)、システインなどを例示できる。
【0098】本発明医薬組成物の一具体例としては、リ
ポソーム製剤を挙げることができる。リポソーム製剤
は、酸性リン脂質を膜構成成分とするかあるいは中性リ
ン脂質と酸性リン脂質とを膜構成成分とするリポソーム
に、本発明GD3模倣ペプチドを保持させたものであるこ
とができる。
【0099】膜構成成分としての酸性リン脂質および中
性リン脂質としては、特に制限はなく、この種のリポソ
ーム製剤に慣用される各種脂質の一種を単独で、または
二種以上を混合して使用することができる。
【0100】リポソーム膜は、酸性リン脂質を単独で用
いるかまたは中性リン脂質と酸性リン脂質とを併用し
て、常法に従い形成される。中性リン脂質と併用される
場合、酸性リン脂質の併用割合は、リポソーム膜構成成
分中に0.1〜100モル%程度、好ましくは1〜90モル%、
より好ましくは10〜50モル%程度とするのがよい。
【0101】上記リポソームの調製に当たっては、例え
ばコレステロールなどを添加することができる。これに
よりリン脂質の流動性を調製して、リポソームの調製を
より簡便なものとすることができる。該コレステロール
は、通常リン脂質に対して等量まで、好ましくは0.5倍
重量から等重量の量で添加配合されるのが好ましい。
【0102】リポソーム製剤中の有効成分と酸性リン脂
質との配合割合は、有効成分に対して酸性リン脂質が0.
5〜100当量程度、好ましくは1〜60当量程度、より好ま
しくは1.5〜20当量程度とされるのがよい。
【0103】有効成分とする本発明GD3模倣ペプチドの
全脂質に対する使用モル%は、数モル%から数十モル%
程度、好ましくは5〜10モル%程度、通常5モル%前後で
あることができる。
【0104】尚、上記リポソーム製剤の製造、濃縮、粒
径コントロールなどは、常法に従い実施できる。またリ
ポソーム製剤には、所望により前記した各種の添加剤な
どを配合することもできる。
【0105】上記リポソーム製剤の製造において、有効
成分とする本発明GD3模倣ペプチドは、これに脂肪酸
(例えばベヘン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリ
スチン酸、オレイン酸など)、アルキル基、コレステリ
ル基などを結合させて用いることもできる。これらを結
合させて調製するリポソーム製剤の製造もまた常法に従
うことができる(Long Circulating Liposomes: old dr
ugs, New therapeutics., M. C. Woodle, G. Storm, Ed
s: Springer-Verlag Berlin (1998) など参照)。
【0106】本発明医薬組成物(製剤)中に含まれる有
効成分の量は、薬学的有効量である限り特に制限されず
広範囲から選択することができる。
【0107】通常、本発明GD3模倣ペプチドは、製剤中
に約0.00001〜70重量%、好ましくは約0.0001〜5重量%
含有される量範囲から選択されるのが望ましい。また、
上記製剤の投与量も、特に限定されず、所望の治療効
果、投与方法(投与経路)、治療期間、患者の年齢、性
別その他の条件などに応じて広範囲から適宜選択するこ
とができる。一般に、該投与量は、患者1日当たり体重1
kg当たり、有効成分が約0.01μg〜10mg、好ましくは約
0.1μg〜1mgとなる範囲から選ばれるのがよい。該製剤
は1日当たり1回投与に限らず、数回に分けて投与するこ
とができる。
【0108】本発明医薬組成物は、好ましくはワクチン
組成物として使用できる。その使用に際しては、薬学的
有効量のアジュバントと併用されるのが抗腫瘍効果を高
めるためにより好ましい。
【0109】アジュバントとしては、この種ワクチンに
慣用されるものをいずれも制限なく使用できる。その例
としては、例えばフロイント完全アジュバント、ムラミ
ルジペプチド、BCG、IL-12、N-アセチルムラミン-L-ア
ラニル-D-イソグルタミン(MDP)、サイモシンα1、QS-
21などを例示することができる。併用されるアジュバン
トの量は、その投与後、ヒトまたは動物に対する免疫反
応の一部として表出するおそれのある皮膚の軟化、痛
み、紅斑、発熱、頭痛、筋肉痛などの症状の程度に応じ
て適宜決定することができる。通常、患者1日当たり体
重1kg当たり、約0.1〜1000μg、好ましくは約1μg〜数
百μgの範囲から選ばれるのが適当である。
【0110】本発明医薬組成物は、例えば免疫応答促進
ペプチド、癌化学療法剤(抗癌剤)などの他の公知の医
薬品などと併用することができる。併用薬としての癌化
学療法剤には、5-フルオロウラシル(5-FU)を代表例とし
て、各種のアルキル化剤、代謝拮抗剤、抗腫瘍性抗生物
質製剤、抗腫瘍性植物成分製剤、抗腫瘍活性を有するサ
イトカインなどが含まれる。これら併用薬の投与量は、
当該併用薬の薬学的有効量に依存して適宜決定すること
ができる。例えばGM-CSFを併用薬として用いる場合、該
GM-CSFは通常患者1日当たり体重1kg当たり、約0.1〜100
0μg、好ましくは約1μg〜数百μgの範囲で投与され
る。
【0111】また、併用薬を利用するに際しては、前記
したように、MAP形態である本発明GD3模倣ペプチドの内
部にこれを包み込んだ形態で利用することもできる。
【0112】更に、併用薬の利用に当たっては、該併用
薬を含有し得る適当な室のあるマイクロデバイスのよう
な薬物送達系物質であって、本発明GD3模倣ペプチドを
含むものを利用することもできる。
【0113】薬物送達系物質は、非毒性且つ生分解性で
あるのが好ましい、その例としては、例えばリポソー
ム、透過性もしくは半透過性の膜を含有するマイクロカ
プセル、他の室を有するマイクロデバイスなどの生物学
的物質などを挙げることができる。
【0114】薬物送達系物質と本発明GD3模倣ペプチド
とは、常法に従い結合させることができる(例えば、Ha
rlow and Lane, Antibodies: A laboratory manual, Co
ld Spring Harbor Lab. Press (1988): Hermanson, Bio
conjugate Techniques, Academic Press (1996) など参
照)。
【0115】また、制癌剤、抗癌活性を有するサイトカ
インなどを含む本発明医薬組成物は、例えばナンバらの
文献(Liposomal applications to cancer therapy, Y.
Namba, N. Oku, J., Bioact. Compat. Polymers, 8, 1
58-177 (1993))などを参照して製造することができ
る。
【0116】本発明医薬組成物は、癌の診断剤として利
用することもできる。この場合、有効成分である本発明
GD3模倣ペプチドは、癌診断剤としての抗GD3抗体の検出
のために、例えば標識化することができる。この標識化
は、常法に従い、放射性化合物、蛍光物質、酵素、ビオ
チン、造影剤などを利用して行うことができる。
【0117】かかる診断剤の利用によれば、癌組織、癌
細胞、血液などの体液などの各種サンプル中の抗GD3抗
体が検出できる。この検出結果は、例えば、癌の診断、
病態の把握などに有用である。本発明GD3模倣ペプチドをコードするDNA 本発明は、本発明GD3模倣ペプチドをコードするDNA配列
のDNA自体をも提供する。該DNAは、前記した本発明GD3
模倣ペプチドの遺伝子工学的手法による製造に有用であ
る。また、該DNAはこれを有効成分とするDNAワクチンの
調製にも好適に利用することができる。
【0118】本発明GD3模倣ペプチドをコードするDNAの
配列は、前記した通りである。好ましいDNA配列は、抗G
D3抗体の産生能を有する免疫原性ペプチドである本発明
GD3模倣ペプチドをコードするDNA配列である。更に好ま
しいそれは、前記した特に好ましい本発明GD3模倣ペプ
チドをコードするDNA配列である。
【0119】DNAワクチンは、抗GD3抗体の産生能を有す
る免疫原性ペプチドである本発明GD3模倣ペプチドをコ
ードするDNA自体または該DNAを含みこれによってコード
される本発明GD3模倣ペプチドの発現を可能とする組換
え発現ベクターを有効成分とする。
【0120】該ワクチンは、ヒトを含む哺乳類の癌細胞
または癌組織を標的とするDNAワクチンとして有用であ
り、前記した本発明GD3模倣ペプチドを有効成分とする
医薬組成物と同様の使用において有用である。
【0121】DNAワクチンは、医薬として許容される担
体を利用して常法に従い医薬組成物形態に調製すること
ができる。該担体としては、例えば、滅菌生理食塩水、
滅菌緩衝化生理食塩水などの生理的に許容できる溶液を
挙げることができる。
【0122】また、該医薬組成物は、前記した本発明GD
3模倣ペプチドを有効成分とする医薬組成物の場合と同
じくリポソーム製剤であることができ、アジュバントな
どと併用することもできる。
【0123】更に、該医薬組成物には、任意の薬剤、添
加物などを含ませることもできる。その例としては、例
えばカルシウムイオンなどのDNAの細胞内取込みの助け
となる薬剤を例示することができる。また、前記リポソ
ームおよび例えばフルオロカーボン乳剤、コクリエート
(cochleate)、チューブル(tubule)、金粒子、生分
解性マイクロスフェア、カチオン性ポリマーなどのトラ
ンスフェクションを容易にする薬剤乃至添加物をも使用
することができる。
【0124】ワクチン宿主に導入される発現可能なDNA
または転写されたRNAの量は、非常に広い範囲から選択
される。それらの量は、例えば使用される転写および翻
訳プロモーターの強さにも依存する。免疫応答の大きさ
は、タンパク質発現のレベルと発現された遺伝子産物の
免疫原性によっても影響される。非経口投与に適したDN
Aワクチンの効果的投与範囲は、DNAとして一般的に約1n
g〜5mg、好ましくは約100ng〜2.5mg、より好ましくは
約1〜750μg、特に好ましくは約10〜300μgの範囲であ
る。これは、通常、直接、筋肉組織に投与される。ま
た、皮下注射、真皮導入、皮膚圧痕、腹腔内送達、静脈
内送達、吸入送達などの他の投与方法によることも可能
である。
【0125】本発明DNAワクチンは、一度のみの投与に
よるのではなく、初回投与後の状態をみながら、1から
複数回の追加ワクチン投与を行うことにより投与される
のが好ましい。これによって、所望の効果をより高める
ことが可能となる。また、DNAワクチン投与後、前記し
た本発明GD3模倣ペプチドからなる医薬組成物で追加免
疫することも可能である。更に、前記した各種併用薬の
併用もワクチン投与による治療効果を高める可能性があ
る。
【0126】尚、本発明DNAワクチンにおいて、所望のD
NAを発現可能とする組換え発現ベクターの製造に当たっ
ては、この種のDNAワクチンに慣用されるかあるいは当
該利用が可能とされる各種の発現ベクターを制限なく利
用することができる。その製造は常法に従うことができ
る。本発明抗体 本発明GD3模倣ペプチドは、これを抗原として新たな抗
体、即ち、GD3に結合性を有し、それ故、GD3を発現する
例えば悪性腫瘍細胞(メラノーマ細胞など)に結合し
て、該細胞の増殖を抑制したり、転移を抑制する活性を
発揮する抗体(中和抗体)を製造することができる。本
発明はかかる抗体をも提供する。
【0127】本発明抗体の製造は、本発明GD3模倣ペプ
チドが抗GD3抗体の産生能を有する免疫原性ペプチドで
あることの確認手段としても把握することができる。
【0128】本発明抗体には、モノクローナル抗体およ
びポリクローナル抗体の両者が包含される。これらはい
ずれも、本発明GD3模倣ペプチドを免疫抗原として利用
して、慣用される技術に従って製造することができる。
【0129】モノクローナル抗体の製造は、例えば上記
免疫抗原で免疫した哺乳動物の形質細胞(免疫細胞)と
哺乳動物の形質細胞腫細胞(ミエローマ細胞)との融合
細胞(ハイブリドーマ、hybridoma)を作成し、これよ
り所望のGD3を認識する抗体(モノクローナル抗体)を
産生するクローンを選択し、該クローンを培養すること
により実施できる。このモノクローナル抗体の製造操作
などは、基本的には常法に従うことができる(例えばHa
nfland, P., Chem. Phys. Lipids, 15, 105 (1975): Ha
nfland, P., Chem. Phys. Lipids, 10, 201 (1976): Ko
scielak, J., Eur. J. Biochem., 37, 214 (1978) など
参照)。
【0130】該方法において、免疫抗原で免疫される哺
乳動物としては、特に制限はない。細胞融合に使用され
る形質細胞腫細胞との適合性を考慮すれば、一般には、
マウス、ラットなどが有利に用いられる。免疫は一般的
方法により、例えば上記免疫抗原を哺乳動物に静脈内、
皮内、皮下、腹腔内注射などにより投与することにより
実施できる。
【0131】より具体的には、例えばマウスの場合、免
疫抗原を生理食塩水含有リン酸緩衝液(PBS)、生理食
塩水などで適当濃度に希釈し、所望により通常のアジュ
バントと併用して、供試動物に2〜14日毎に数回、総投
与量が約100〜500μg/マウス程度になるように投与する
のが好ましい。アジュバントとしては、百日咳ワクチ
ン、完全フロインドアジュバント、アラムなどを好まし
く利用できる。また免疫細胞としては、上記最終投与の
約3日後に摘出した脾細胞を使用するのが好ましい。
【0132】上記免疫細胞と融合される他方の親細胞と
しての哺乳動物の形質細胞腫細胞としては、既に公知の
種々のものを使用できる。融合反応も、公知の方法、例
えばマイルスタイン(Milstein)らの方法(Method in En
zymology, 73, 3 (1981))などに準じて行うことができ
る。得られるハイブリドーマの分離とクローニングも、
常法に従い実施できる。
【0133】目的抗体産生株の検索は、例えばELISA法
(Engvall, E., Meth. Enzymol., 70, 419-439 (198
0))、プラーク法、スポット法、凝集反応法、オクタロ
ニー(ochterlony)法、ラジオイムノアッセイ(RIA)法な
どの一般に抗体の検出に用いられている種々の方法
(「ハイブリドーマ法とモノクローナル抗体」、株式会
社R&Dプラニング発行、第30-53 頁、昭和57年3月5日)
に従い実施することができる。この検索には前記免疫抗
原およびGD3が利用できる。
【0134】得られる所望のモノクローナル抗体を産生
するハイブリドーマは、通常の培地で継代培養すること
ができ、また液体窒素中で長期間保存することができ
る。ハイブリドーマからのモノクローナル抗体の採取
は、該ハイブリドーマを常法に従って培養してその培養
上清として得る方法、ハイブリドーマをこれと適合性の
ある哺乳動物に投与して増殖させ、その腹水として得る
方法などが採用される。前者の方法は、高純度の抗体を
得るのに適しており、後者の方法は、抗体の大量生産に
適している。
【0135】上記方法に従い得られる抗体産生ハイブリ
ドーマ培養上清、マウス腹水などは、これらをそのまま
粗製抗体液として用いることができ、また常法に従っ
て、硫酸アンミモニウム分画、塩析、ゲル濾過法、イオ
ン交換クロマトグラフィー、プロテインAカラムクロマ
トグラフィーなどのアフィニテイクロマトグラフィーな
どにより精製して、精製抗体として利用することができ
る。
【0136】
【発明の効果】本発明によれば、癌組織または癌細胞表
面上に発現するGD3を模倣する新規なアミノ酸配列のペ
プチドなどが提供される。該ペプチドは、例えば癌の診
断剤、癌ワクチンなどとして医薬品分野に応用可能であ
り、かくして、癌治療効果の向上に寄与する癌治療方
法、癌診断方法などが提供される。
【0137】
【実施例】以下、本発明を更に詳しく説明するため実施
例を挙げる。本発明はこれらの実施例範囲に限定される
ものではない。尚、用いた略号は、既に本明細書中に示
したものであるか、または以下の通りである。 TBS:トリスリン酸生理食塩水緩衝液 TC:テトラサイクリン KM:カナマイシン PEG/NaCl:ポリエチレングリコール/塩化ナトリウム TFA:トリフルオロ酢酸
【0138】
【実施例1】GD3模倣ペプチドの同定 (1)ファージディスプレイライブラリーの調製 ニシ、サヤらの報告(Nishi T., Saya H., et al., FEB
S Letter, 399, 237-240 (1996))に従って、ファージ
のコートタンパク質pIII遺伝子に15残基のランダムなア
ミノ酸配列ペプチドをコードするランダムDNAを挿入し
て、ファージ外殻表面にランダムな15残基のアミノ酸配
列ペプチドを発現できるファージディスプレイライブラ
リーを構築した。
【0139】該ファージは、TC耐性遺伝子を有している
ため、該ファージに感染された大腸菌はTC耐性株にな
る。増殖させたファージライブラリーは、0.02%NaN3
を含むTBS溶液に溶解して保存した。
【0140】上記で構築されたファージディスプレイラ
イブラリーの特徴は、スコットらにより報告されている
(Scott, J. K. and Smith G. P., Science, 249, 386-3
90 (1990))。
【0141】(2)抗GD3モノクローナル抗体の固相化 抗GD3抗体として、抗GD3モノクローナル抗体(4F6)
(以下、4F6抗体という)を使用した。4F6抗体は、GD3に
対するマウスモノクローナル抗体(IgG)であり(Thoma
s C. P., et al., Glycoconj. J., 13 (3), 377-384 (1
996))、ポートカリアン博士(Dr. Jacques Portoukalia
n; INSERM, France)より譲渡を受けた。
【0142】50μlの組換えプロティンAセファロース懸
濁液(rProtein A Sepharose Fast Flow; ファルマシア
バイオテク製造、コード番号; 17-1279-01、Lot番号; 2
37393)を0.5mlのエッペンドルフ・チューブに移し、TB
Sを400μl加えた。次いで1mlの4F6抗体を加え、よく撹
拌しながら、4℃で一晩反応させた。反応後、3000回転
/分で5分間遠心し、上清を除き、0.5mlのTBSを加え、
よく攪拌した後、新しい1.5mlエッペンドルフ・チュー
ブに移した。さらにTBSを0.5ml加え、3000回転/分で5
分間遠心した。上清を除き、1mlのTBSを加え、再度3000
回転/分で5分間遠心して上清を除いた。100μlのTBSを
加えて懸濁し、4F6抗体の結合した組換えプロティンAセ
ファロース(100μl)を調製した。このものは使用時まで
4℃にて保存した。
【0143】50μlの組換えプロティンAセファロース懸
濁液を1.5mlのエッペンドルフ・チューブに移し、TBSを
900μl加えた。12mg/mlのマウスイムノグロブリン標準
血清(コード番号: RS10-101-2; Bethyl社製造; コスモ
バイオ社)のTBS溶液100μlを加えた後、よく撹拌しなが
ら、4℃で一晩反応させた(未反応のプロティンAの存在
を極力なくすため、大過剰量のIgGと反応させた)。反
応後、3000回転/分で5分間遠心し、上清を除いた。1ml
のTBSを加え、よく攪拌した後、新しい1.5mlエッペンド
ルフ・チューブに移し、3000回転/分、5分間遠心し、
上清を除いた。この操作を3回繰り返した後、100μlのT
BSを加えて懸濁し、およそ250μgのマウスIgGの結合し
た組換えプロティンAセファロース(100μl)を得た。こ
のものは使用時まで4℃にて保存した。
【0144】(3)大腸菌の調製 ファージの宿主大腸菌として、大腸菌K91KAN(カナマイ
シン耐性株:熊本大学・腫瘍医学講座、佐谷秀幸教授よ
り分与)を使用した。
【0145】即ち、ディスポーザブルの白金耳を用いて
上記大腸菌を掻き取り、100μg/mlのカナマイシン(和光
純薬社製)を含むNYZプレートに一晩37℃で培養し、翌
日、プレートを取り出し、使用時まで4℃にて保存し
た。
【0146】ファージを大腸菌に感染させる前日に、4
℃で保存していた上記大腸菌のプレートから白金耳で菌
を微量掻き取り、100μg/mlのカナマイシンを含むNZY培
地5mlに殖菌し、37℃、200回転/分で一晩振とう培養し
た(前培養)。翌日、100μlの前培養液を、新鮮なNZY
培地10mlに移し、37℃で4時間振とう培養した。菌体のF
-繊毛を発現させるために振盪を止め、30分間放置し、
ファージへの感染に用いた。
【0147】尚、上記NZY培地は、10g NZアミンA(和光
純薬社製; コード番号: 541-00241)、5gビール酵母エ
キス(商品名: エビオス、アサヒビール社製)および5g N
aClを精製水1Lに溶解し、5N NaOHを1ml加え、pH7.5に調
整し、オートクレーブ滅菌した後、室温保存したものを
使用した。
【0148】(4)ファージの増幅 前記(1)で得られたファージを宿主大腸菌に感染させ
た。即ち、各ファージ希釈溶液10μlと上記調製済み大
腸菌 K91KAN10μlを15ml遠心チューブに加えて室温で15
分間反応させた後、予め37℃に加温しておいたNZY培地
(0.2μg/ml TCを含む)1mlを加え、37℃、2000回転/分
で40分間振とう培養した。各々のチューブから、200μl
をNZYプレート(20μg/ml TC、100μg/ml KMを含む)に蒔
き、37℃、一晩培養し、翌日コロニーの数を測定した。
【0149】希釈溶液10μlに大腸菌K91KAN10μlを反応
させたものをネガティブコントロールとした。これはTC
感受性株のままであるため、TC含有NZYプレートでは増
殖しなかった。
【0150】また、後述のバイオパニングで回収したフ
ァージの増幅は以下のようにして行なった。
【0151】即ち、タイター測定に用いる量(2μl)を
除いたファージ溶液全量の入った1.5mlエッペンドルフ
・チューブに、調製済み大腸菌 K91KAN100μlを添加
し、室温で15分間反応させた。反応後、全量を、予め50
ml遠心チューブにて37℃に保温しておいた0.2μg/mlのT
Cを含む20mlNZY培地中に加えた。200回転/分で37℃、4
0分間振盪培養した。20mg/ml TCを20μl加え、37℃にて
一晩振盪培養を行った。翌日、3000回転/分で10分間遠
心分離を行い、さらに、上清をオークリッジ遠心チュー
ブに移し、12000回転/分で10分間、遠心分離し大腸菌
を完全に除去した。上清を別のオークリッジ遠心チュー
ブに移し、3mlのPEG/NaClを加え、よく攪拌した後、4℃
にて4時間以上静置した。
【0152】次いで12000回転/分で10分間遠心分離を
行い、増幅したファージを沈殿させた。上清を除き、沈
殿したファージを1mlのTBSで懸濁した。1.5mlのエッペ
ンドルフ・チューブに移し、15000回転/分で10分間遠
心分離し、不溶性の物質を除去した。上清を別のエッペ
ンドルフ・チューブに移し、150μlのPEG/NaClを加え、
よく攪拌した後、4℃にて1時間以上静置した。
【0153】15000回転/分で10分間遠心分離を行な
い、ファージを再度沈殿させた。上清を除き、0.02%Na
N3を含むTBS200μlでファージを懸濁した。15000回転/
分、10分間遠心分離を行い不溶性の物質を沈殿させた。
沈殿を500μlエッペンドルフ・チューブに移し、4℃に
て保存した。これを各々のラウンド(Round)における、
増幅ファージとした。
【0154】尚、ファージのタイター測定は、以下のよ
うにして実施した。
【0155】各ラウンドで回収したファージのタイター
測定には102、103および104希釈したものを用い、増幅
したファージのタイター測定には107、108および109
釈したものを用いた。希釈溶液としてTBS/ゼラチン(和
光純薬社製)を用い、希釈の仕方は以下の通りである。
【0156】102倍希釈=ファージ溶液2μl+TBS/ゼラ
チン198μl 103倍希釈=102倍希釈ファージ溶液10μl+TBS/ゼラチ
ン90μl 104倍希釈=102倍希釈ファージ溶液 2μl+TBS/ゼラチ
ン198μl 106倍希釈=104倍希釈ファージ溶液 2μl+TBS/ゼラチ
ン198μl 107倍希釈=106倍希釈ファージ溶液10μl+TBS/ゼラチ
ン90μl 108倍希釈=106倍希釈ファージ溶液 2μl+TBS/ゼラチ
ン198μl 109倍希釈=108倍希釈ファージ溶液10μl+TBS/ゼラチ
ン90μl ファージタイターの計算方法は以下の通りである。
【0157】タイター/ml=コロニー×1020(μl)/200
(μl)×1000(μl)/10(μl)×希釈率 また、回収されたファージの総タイターは、上記の値に
回収された溶液の総量(ml)を掛けることで算出した。
【0158】反応に用いたファージのタイターが6.2×1
010であるため、回収率(%)は(回収されたファージの
総タイター/6.2×1010)×100として算出した。
【0159】(5)抗GD3抗体に結合するファージクロー
ンの選択(バイオパニング) 4F6抗体に特異的に結合するペプチドを発現しているフ
ァージクローンの選択(バイオパニング)を以下の通り実
施した。即ち、4F6抗体のFab領域に結合するファージを
効率よく得るために、予め標準マウスIgGおよび組換え
プロティンAセファロースに結合するファージを排除し
た後、4F6抗体とファージライブラリーとを反応させ
た。
【0160】バイオパニングは以下の手順で行った。
【0161】第1ラウンド:標準マウスIgG-組換えプロ
ティンAセファロース10μlおよび組換えプロティンAセ
ファロース50μlをPBS340μlに溶解し、ファージライブ
ラリー10μl(6.2×10 10タイター)を添加し、500μlエッ
ペンドルフ・チューブにて、4℃一晩反応させた後、300
00回転/分、3分間遠心分離し、予め、標準マウスIgGお
よび組換えプロティンAセファロースに結合するファー
ジを排除した。
【0162】上記で得た380μlの上清と前記(2)で得た4
F6抗体-組換えプロティンAセファロース50μlを500μl
エッペンドルフ・チューブに移して、4℃で5時間反応さ
せた後、3000回転/分、3分間遠心分離した。
【0163】上清を除き、1mlのPBSを加え懸濁した後、
1.5mlのエッペンドルフ・チューブに移し、3000回転/
分、3分間遠心分離した。この操作を2回繰り返した後、
上清を除き、500μlのPBSを加え懸濁した。この懸濁液
を500μlのエッペンドルフ・チューブに移し、3000回転
/分、3分間遠心分離した。上清を除き、50μlの抽出緩
衝液を加え、室温に15分間放置した(3分おきに穏やか
に攪拌した)後、3000回転/分、3分間遠心分離した。
得られた上清をコンセントレーター(CentriconTM 30 C
oncentrator: アミコン社製)に移し、75μlの1Mトリス
(pH9.1)を加えて中和した後、2mlのTBSを加えた。
【0164】更に5000回転/分、20分間遠心分離した
後、2mlのTBSを加え、再度5000回転/分、20分間遠心分
離した。
【0165】フィルター上に残っているファージ溶液を
1.5mlのエッペンドル・チューブに移し、フィルターを5
0μlのTBSで洗浄し、先のファージ溶液のエッペンドル
フ・チューブに加えた(総量は470μl)。
【0166】第2ラウンド:上記第1ラウンドで得た増幅
させたファージ100μlと標準マウスIgG-組換えプロティ
ンAセファロース10μl(25μg)をPBSの350μlに溶解し、
500μlエッペンドルフ・チューブに加えて、4℃一晩反
応させた後、組換えプロティンAセファロース50μlを加
えて、4℃一晩反応させた。3000回転/分、3分間遠心分
離して上清500μlを得た。
【0167】上記で得た500μlの上清を1.5mlのエッペ
ンドルフ・チューブに移し、それに抗GD3抗体溶液を1ml
加え、4℃一晩反応させた後、3000回転/分、3分間遠心
分離した。
【0168】さらに、組換えプロティンAセファロース5
0μlを加え4℃、3時間反応させた後、3000回転/分、3
分間遠心分離した。この溶液の上清を除き、1mlのTBSを
加えて懸濁した。この懸濁液を1.5mlのエッペンドルフ
・チューブに移し、3000回転/分、3分間遠心分離し
た。この操作を2回繰り返した。次いで上清を除き、50
μlの抽出緩衝液を加え、室温に15分間放置した(3分お
きに穏やかに攪拌した)。3000回転/分、3分間遠心分
離した後、上清をコンセントレーターに移し、75μlの1
Mトリス(pH9.1)を加えて中和し、2mlのTBSを加えた。50
00回転/分、20分間遠心分離し、2mlのTBSを加え、再度
5000回転/分、20分間遠心分離した。 フィルター上に
残っているファージ溶液を1.5mlのエッペンドル・チュ
ーブに移した。フィルターを50μlのTBSで洗浄し、先の
ファージ溶液をエッペンドルフ・チューブに加えた(総
量230μl)。
【0169】第3ラウンド:上記第2ラウンドで増幅させ
たファージ100μlを用い、第1ラウンドの方法に準じた
手順でファージを抗4F6抗体溶液と反応させて増幅した
ファジーを得た。このようにして得られ、セントリコン
による遠心分離で回収された溶出液の総量は110μlであ
った。
【0170】上記3回のパンニングの結果(各ラウンド
後のファージ・クローンの回収率)を下記表1に示す。
【0171】
【表1】
【0172】尚、表1中、「fd wild type」は、実施例1
で用いられたライブラリーのもとの野生株であり、ペプ
チドが挿入されていないファージである。このものは、
ファージペプチドライブラリーのファージを構成する遺
伝子からなるファージベクターのペプチド挿入部位を制
限酵素で切断、除去し、残ったベクターを再度結合(ラ
イゲーション)して作製されたベクターで、大腸菌JM10
9(タカラ社より購入)を形質転換(トランスフォーメ
ーション)し、得られた形質転換体をNZY培地で一晩培
養し、産生、増殖させたファージを回収して、本試験に
利用した。
【0173】3回のパンニングで得られたファージクロ
ーンが発現しているペプチドの配列決定を以下のとおり
行った。
【0174】即ち、3回目のバイオパニング後のタイタ
ー測定で得られたプレート上のコロニーをそれぞれ32コ
ロニーずつ無作為に拾い上げ、新しいNZYプレートに植
菌し直し、一晩37℃にて培養し、これをマスタープレー
トとして4℃で保存した。
【0175】マスタープレートのコロニーを各々20mlの
NZY培地(20μg/ml TC含有)の入った50ml遠心チューブに
懸濁し、37℃で一晩200回転/分で振盪培養した。
【0176】3000回転/分、10分間遠心分離を行った
後、上清をオーク・リッジ遠心チューブに移し、12000
回転/分で10分間遠心分離し、大腸菌を除菌した。更に
上清をオーク・リッジ遠心チューブに移し、3mlのポリ
エチレングリコール(PEG6000、ナカライテスク社製)/Na
Clを加え、よく撹拌した後、4℃に4時間静置した。1200
0回転/分で10分間遠心分離し、ファージを沈殿させ
た。ついで上清を除去し、沈殿したファージを1mlのTBS
に懸濁させた。1.5mlのエッペンドルフ・チューブに移
し、15000回転/分で10分間遠心分離し、不溶性物質を
除去後、上清を別のエッペンドルフ・チューブに移し、
150μlのポリエチレングリコール/NaClを加え、よく撹
拌した後、4℃に1時間静置した。
【0177】15000回転/分で10分間遠心分離し、ファ
ージを再沈殿させた。上清を除去し、沈殿したファージ
を200μlのTBSで再度懸濁した。15000回転/分で10分間
遠心分離し、不溶性物質を沈殿させた後、該沈澱物を0.
5mlのエッペンドルフ・チューブに移し、ファージクロ
ーンを4℃で保存した。
【0178】上記で得たファージクローンからのDNAの
抽出は、次の通り行った。即ち、1.5mlのエッペンドル
フ・チューブに、ファージクローン100μlに対してTBS
100μlおよびTE飽和フェノール(ニッポジーン社製)200
μlを加えて、10分間激しく撹拌後、15000回転/分で10
分間遠心分離した。次いで、上清(水相)200μlに対し
てTE飽和フェノール200μlおよびクロロホルム200μlを
加えて、前記と同様に10分間激しく撹拌後、15000回転
/分で10分間遠心分離した。更に、上清(水相)150μl
に対してTE250μl、3M酢酸ナトリウム40μl、20mg/mlグ
リコ−ゲン(ベーリンガー・マインハイム社製)1μlおよ
びエタノール1mlを加えて、1.5mlのエッペンドルフ・チ
ューブにて-20℃で1時間放置した後、15000回転/分で1
0分間遠心分離した。上清を取り除き、1mlの80%エタノ
ール(-20℃)を緩やかに加えて、15000回転/分で10分間
遠心分離し残存する塩を除いた。上清を除去後、チュー
ブ内の水分を蒸発させ、沈殿しているDNAを10μlの滅菌
蒸留水に溶解し、4℃にて保存した。
【0179】かくして得られた個々のファージDNAをペ
プチドのアミノ酸配列決定のために使用した。
【0180】(6)選別されたペプチドのアミノ酸配列
決定 ファージDNAによりコードされるペプチドのアミノ酸配
列の決定は、パーキンネルマー社のDNAシークエンスキ
ット(DNA Sequence Kit, Perkin Elmer, Code;402079,
Lot; A6L015)を用いて、該キットに添付の仕様書に準じ
て、ダイターミネーター法により実施した。用いたプラ
イマーのDNA配列は、配列番号:9に示されるとおりであ
り、これは自動DNA合成機で合成した。
【0181】DNAの伸長反応は、パーキンエルマー社の
サーマルサイクラーモデル9600を用いて、96℃10秒、50
℃5秒、60℃4分を1サイクルとして、25サイクル行い、D
NAの配列は、ABI社製のDNAシーケンサー(ABI PRISMTM 3
77 DNAシーケンサー)を用いて決定した。
【0182】32クローンのうち、配列決定できた27クロ
ーンのDNA配列は、4種の配列に分類できた。これら4種
類の配列のペプチドをGD3模倣ペプチドとし、それぞれ
出現頻度の高い順に「GD3R-1」、「GD3R-2」、「GD3R-
3」および「GD3R-4」と命名した。
【0183】かくして決定された4種のGD3模倣ペプチド
のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号:1、配列番号:
2、配列番号:3および配列番号:4として示されるとお
りである。また、これら4種のアミノ酸配列をコードす
るDNA配列は、それぞれ配列番号:5、配列番号:6、配
列番号:7および配列番号:8として示されるとおりであ
る。
【0184】
【実施例2】GD3模倣ペプチドと抗GD3抗体との結合親和
性(ELISA) 実施例1で得た各ファージクローン1011、1010および109
タイター/100μl-0.1MNaHCO3溶液を、96穴マイクロタイ
タープレート(ヌンク社製)に添加し、室温にて1時間固
定した。上清を除き、400mlのブロッキング溶液(1%BS
A、0.1%スキムミルク、0.02%ツイーン20を含むTBS、p
H7.5)を加え、37℃で4時間ブロッキングを行った。
【0185】上清を除き、1次抗体としての4F6抗体を10
0μlずつ添加した。室温にて2時間振盪しながら反応さ
せた。反応後、上清を除き、各ウェルを400μlの洗浄液
(0.05%ツィーン20を含むTBS)で6回洗浄し、予め調製し
ておいたブロッキング溶液で5000倍に希釈した2次抗体
(抗マウスIgG-HRP、サンタクルズ・バイオテクノロジー
社製、カタログ番号: SC-2031、ロット番号: C089)を10
0μlずつ添加し、室温にて振盪しながら1時間反応させ
た。反応後、各ウェルを400μlの洗浄液で4回洗浄し、
検出試薬(TMB Microwell; KPL社製、カタログ番号:50-
76-04, ロット番号: WF075)100μlを加え、室温5分間静
置した。
【0186】1N塩酸を100μl添加して反応を停止させた
後、各ウェルの450nmおよび620nmの吸光度を測定し、(O
D450-OD620)の値を算出した。吸光度の測定にはラボシ
ステムズ(Labosystems)社製のマルチスキャンを使用し
た。ファージを固定していないウェルをブランクとし、
その値を差し引いた値を各ウェルの吸光度とした。
【0187】結果を図1に示す。
【0188】図1に示す結果より、4F6抗体との結合親和
性は、GD3R-4が最も強いことが明らかとなった。
【0189】
【実施例3】GD3模倣ペプチドの合成およびその抗GD3抗
体との結合親和性 (1)GD3模倣ペプチドの合成 実施例1で同定した4種のGD3模倣ペプチドのそれぞれを
以下の方法により合成した。
【0190】即ち、全自動ペプチド合成機(ACT357、ア
ドバンストケムテック社製)を使用し、同社のプログラ
ムに従い、Fmoc/NMP、HOBt法〔Fmoc:9-フルオレニルメ
トキシカルボニル、NMP:N-メチルピロリドン、HOBt:1
-ヒドロキシペンゾトリアゾール〕による各ペプチドの
固相合成を実施した。
【0191】C端フリー(OH)のペプチドは、配列番号:1
〜4に示されるアミノ酸配列に従って、C端アミノ酸に相
当するFmoc-アミノ酸-Alko樹脂0.25mmolに、C端より2番
目以降の各アミノ酸に相当するFmoc-アミノ酸を順次、
合成プログラムに従い伸長反応させた。
【0192】またC端アミドの各ペプチドは、Fmoc-NH-S
AL樹脂0.25mmolにC端アミノ酸に相当するFmoc-アミノ酸
を合成プログラムに従い縮合反応させ、その後、C端よ
り2番目以降の各アミノ酸に相当するFmoc-アミノ酸を順
次縮合反応させて鎖伸長を行った。
【0193】各反応終了後、プログラムに従って、N端F
moc基の脱保護反応を行った。
【0194】得られた各ペプチド-樹脂をポリプロピレ
ン製のミニカラム(アシスト社製)に回収し、メタノール
洗浄後、真空で乾燥し、以下の操作に付してペプチドを
樹脂から切り出し、側鎖の脱保護反応を行った。即ち、
各樹脂にリエージェントK(Reagent K; 82.5%TFA, 5%フ
ェノール, 5%H2O, 5%チオアニソール(Thioanisole)およ
び2.5%エタンジチオール)2mlを加え、ミニカラム中で60
分間反応させた。
【0195】次いで、反応液を冷ジエチルエーテル8ml
中に滴下して反応を停止させ、同時にペプチドを沈殿さ
せた。更に、ミニカラムをTFA2mlにて洗浄し、冷ジエチ
ルエーテル5mlを追加し、遠心し、沈殿をジエチルエー
テル10mlで4回洗浄後、約5mlの50%アセトニトリルでペ
プチドを可溶化し、凍結乾燥した。更に可溶化と凍結乾
燥操作を2回繰り返して、所望の粗凍結乾燥品を得た。
【0196】これをオクタデシルカラム(直径20×250m
m、YMC社製)を用いた逆相高速液体クロマトグラフィー
(HPLC)により分画し、所望のペプチドを単離した。
【0197】尚、上記において用いた樹脂およびアミノ
酸誘導体は、いずれも渡辺化学工業社製のものである。
【0198】かくして単離された各ペプチドは、アミノ
酸配列分析およびマススペクトロメトリーによる分子量
測定により同定した。
【0199】(2)多抗原性ペプチド(デンドリマーペプ
チド)の合成 上記で得たGD3模倣ペプチドの多抗原性ペプチド(MAP: m
ulti antigen peptide)を、Fmoc-MAP-Alko樹脂(渡辺化
学工業社製)を用いて合成した。
【0200】Fmoc-MAP-Alko樹脂(Fmoc8-Lys4-Lys2-Lys-
βAla-Alko樹脂)とGD3模倣ペプチドとの反応は、上記
(1)の固相合成法と同様にして実施した。
【0201】得られたMAPの構造は、アミノ酸残基の一
文字表示により示せば、それぞれ以下の通りである。 配列番号:1のペプチドのMAP: (LAPPRPRSELVFLSV)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla 配列番号:2のペプチドのMAP: (PHFDSLLYPCELLGC)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla 配列番号:3のペプチドのMAP: (GLAPPDYAERFFLLS)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla 配列番号:4のペプチドのMAP: (RHAYRSMAEWGFLYS)8-Lys4-Lys2-Lys-βAla (3)抗GD3抗体との結合親和性 上記で得たMAP形態の本発明GD3模倣ペプチド(GD3R-1, G
D3R-2, GD3R-3およびGD3-R4)の0.1M NaHCO3溶液を100ng
/100μlの濃度で96穴マイクロタイタープレートの各ウ
エルに添加し、室温にて1時間固定し、その後、実施例2
のELISA法と同様の操作を行って、4F6抗体(抗GD3抗
体)との結合親和性を調べた。
【0202】尚、対照として、抗GD2抗体および抗OAcGD
3抗体(Cerato, E., et al., Hybridoma, 16 (4), 307-3
16 (1997)、ポートカリアン博士(Dr. Jaques Portoukal
ian(Lyon-Sud, France))より譲渡を受けた)を使用し
て、同様の試験を繰り返した。
【0203】結果を下記表2に示す。
【0204】
【表2】
【0205】表2に示す結果より、GD3R-3とGD3R-4は、
抗GD3抗体(4F6抗体)との結合が他よりも強いことが判明
した。また、どのペプチドにおいても抗GD3抗体との結
合が対照抗体(抗GD2抗体および抗OAcGD3抗体よりも強い
ことが判明した。
【0206】(4)融合ペプチドの合成 前記で得たGD3模倣ペプチドおよびそのMAPを用いて、KL
Hとの融合ペプチドを合成した。
【0207】即ち、0.25%グルタルアルデヒドのPBS(pH
7.4)溶液に、各合成ペプチドまたはそのMAPとKLHとを重
量比が1/10となるように加え、室温で一晩反応させ、各
融合ペプチドを合成した。
【0208】
【実施例4】GD3模倣ペプチドによる免疫 (1)免疫:実施例3の(2)で得たMAP形態の4種類のGD3
模倣ペプチドをそれぞれ200μg/mlの濃度でPBSに溶解し
た。これをフロイント完全(または不完全)アジュヴァン
トと合わせて(1:1、容量比)エマルジョンを作製し
た。
【0209】8匹のマウス(C57BL/6)のそれぞれに、上記
エマルジョンの0.2ml/一匹(ペプチド量5μg/1匹1回)を
皮下投与して免疫した。投与は2週間毎に行い(但し、2
回目の投与以降ではフロイント不完全アジュヴァントを
用いた)、各投与の1週間後にそれぞれのマウスの後尾
より採血して、抗血清を調製した。
【0210】一回目投与後に得た抗血清を「1st」、二
回目のそれを「2nd」、また3回目のそれを「3rd」とす
る。
【0211】(2)抗血清の力価測定(ELISA):上記
(1)で得た各抗血清(3×8匹=24サンプル)のGD3に対す
る力価を、以下の通りELISA法により測定した。
【0212】GD3としては、メラノーマより抽出、精製
されたもの(J. Portoukalian et al., Int. Cancer, 4
9, 893-899 (1991))を使用した(ポートカリアン博士よ
り譲渡を受けた)。該GD3は、シリカゲルSi60(米国メル
ク社製)カラムを用いて、日立L-6200装置によるHPLCで
精製した。カラムに吸着したGD3は、イソプロパノール/
ヘキサン/精製水の混液(55/35/12から55/30/15(容量
比))によるグラジエントで溶出した。カラムの流速は毎
分4mlとした。
【0213】得られた精製GD3をメタノールに溶解して1
0μg/mlの濃度のGD3溶液を調整した。96穴マイクロータ
イタープレートの各ウェルに、上記GD3溶液をウェル当
たり10μl(GD3として100ng)ずつ添加し、メタノールを
蒸発させた。次いで、各ウェルにブロッキング溶液(1%
BSAを含むTBS)を50μlずつ加え、37℃で4時間ブロッキ
ングした。
【0214】上清を除き、前記(1)で得た抗血清を上記
ブロッキング溶液で100倍、400倍および1600倍に希釈し
た希釈液のそれぞれ50μlを、各ウェルに加え、4℃で一
晩反応させた。各ウェルをTBSで6回洗浄した後、ブロッ
キング溶液で5000倍に希釈したHRP標識マウスIgG抗体を
50μlずつ加え、室温にて2時間反応させた。TBSで4回洗
浄した後、各ウェルの酵素活性(ペルオキシダーゼ)をTM
B溶液50μlで検出し、1N塩酸50μlで反応を停止した
後、(420nm-620nm)の値を算出した。
【0215】対照として、実施例1で得られた4種類のペ
プチド配列とは異なる15残基の配列を有するペプチドで
あって、抗GD3抗体と結合親和性を示さないペプチド(配
列番号:10に示す配列のもの、コントロールペプチド)
を、実施例3に示す方法と同様にして合成し、その後、
前記(1)と同様にしてマウスに投与して免役し、得られ
た抗血清をコントロールとして、その力価を同様にして
求めた(但し、供試マウス数は5匹とし、100倍希釈液の
みを用いた)。尚、このコントロールペプチドも前記と
同様にしてMAP形態で使用した。
【0216】各抗血清のGD3に対する反応性を求めた結
果を下記表3〜表5に示す。
【0217】
【表3】
【0218】
【表4】
【0219】
【表5】
【0220】上記表3〜5に示されるとおり、本発明GD3
模倣ペプチドを免疫原として得られる抗血清は、GD3と
反応性を有することが明らかである。特に、GD3R-4を免
疫原として得られた抗血清は、GD3に対する高い反応性
を示すことが明らかである。これに対して、コントロー
ルペプチドを用いて得られた抗血清では、そのGD3に対
する反応性は弱く、このことからも、本発明GD3模倣ペ
プチドを用いて得られる抗血清はGD3と交叉反応するも
のであることが示唆された。
【0221】この結果は、本発明GD3模倣ペプチドがGD3
の構造の一部、つまり4F6抗体が認識する構造を模倣す
ることを示唆している。特にGD3R-4は、この傾向の強い
ことが示唆された。
【0222】
【実施例5】GD3模倣ペプチドの反応性 (1)供試ペプチド 本試験で用いたペプチドの名称と配列(一文字表示によ
る)を図2に示す。図2に示す各アミノ酸配列のペプチド
は、それぞれ実施例3の(1)と同様にして合成した。また
実施例3の(3)と同様にして各ペプチドを多抗原性ペプチ
ド(MAP)の形態に調製して、本試験に利用した。
【0223】(2)抗体結合親和性の検討1 図1に示す4F6抗体とGD3模倣ペプチドとの結合性を更に
検討する目的で、上記(1)で調製した多抗原性ペプチド
(MAP)を用いて、実施例2と同様にしてELISAを行った。
【0224】即ち、図3の横軸に示した各濃度(μg/ウエ
ル)のMAPをそれぞれ、96ウエルプレートに固相化し、ブ
ロッキング液(1%BSA、0.1%スキムミルク、0.02%ツイ
ーン20を含むTBS)で一晩4℃でブロッキングした後、4F6
抗体(ハイブリドーマ上清:原液で使用)を100μl/ウエ
ルの量で添加し、室温にて2時間反応させた。反応後、
上清を除き、洗浄液(1%FBS、0.05%ツイーン20を含むT
BS)で6回各ウエルを洗浄した。その後、ペルオキシダー
ゼ標識抗マウスIgG(ブロッキング液で1000倍希釈)を添
加し、室温で2時間反応させた。各ウエルを再度洗浄液
で洗浄(4回)した後、各ウエルに残存するペルオキシダ
ーゼ量を、基質のTMBを加えて検出・定量(吸光度A450-A
620測定)して、各MAPと4F6抗体との結合性を調べた。各
試験をそれぞれ3回繰り返し行って、その平均値±SDを
求めた。
【0225】得られた結果を図3に示す。
【0226】図3に示すように、GD3模倣ペプチド(GD3R3
およびGD3R4)は、4F6抗体と量依存的に結合した。尚、
見かけ上、GD3模倣ペプチド量が0.8μg/ウェル以上で
は、4F6抗体との結合は下がっているが、これは、ELISA
プレート上に固相化した抗体量が多すぎ、疎水的な性質
が強く働いたために、抗体との結合性が低下したものと
推測される。
【0227】(3)抗体結合親和性の検討2 上記(2)で求めた抗体結合親和性(図2参照)を更に別の
方法で検討した。
【0228】即ち、96穴プレートに図4の横軸に示す各
濃度(μg/ウエル)で各MAPを固相化し、4F6抗体(100μl/
ウェル)と一晩4℃で反応させた。翌日、上清(80μl)を
取りだし、GD3(100ng/ウェル)を固相化した別のプレー
トに加え、室温2時間反応させた。反応後、上記(2)の方
法に従って、GD3に結合した(MAPに吸収されなかった)4F
6抗体の量を検出、定量して、MAPによる4F6抗体の結合
の阻害試験を試みた。
【0229】各試験を各々3回繰り返し行って得られた
結果(平均値±SD)を図3と同様にして図4に示す。
【0230】図4に示す結果より、GD3模倣ペプチド(GD3
R3およびGD3R4)は、GD3と同様に、固相化した量依存的
に、GD3と抗体との結合を阻止することが明らかとなっ
た。
【0231】(4)抗体−ペプチド結合部位の検討 この試験では、GD3R3またはGD3R4と4F6抗体との結合
が、該抗体のGD3結合部位で起こるかどうかを調べた。
【0232】GD3(100ng/ウェル)を固相化したプレート
に、4F6抗体(100μl/ウェル)と同時に、図5の横軸に示
す各濃度(μg/ウエル)のMAPを加え、上記(3)と同様にし
て阻害実験を行った。
【0233】各試験をそれぞれ3回繰り返し行って得ら
れた結果(平均値±SD)を、図4と同様にして図5に示
す。
【0234】図5に示す結果より、使用した濃度内で
は、GD3R3がGD3と同様に結合阻害を示したが、GD3R4
は、阻害効果を示さないことが判った。
【0235】この結果から、2つのことが推測される。
一つは4F6抗体と個々のMAPとの結合の強さは、GD3>GD3
R3>GD3R4であること、もうひとつは、GD3R3は4F6抗体
のGD3結合部位またはその近傍に結合することである。
【0236】上記により、GD3R3が最も4F6抗体のGD3結
合ドメインまたはそれに近い位置に結合していることが
示された。
【0237】(5)GD3模倣ペプチドにおける抗体結合ドメ
インの決定 GD3模倣ペプチドの4F6抗体との結合に必要なドメインを
決定する目的で、GD3R3ペプチドおよびGD3R4ペプチドの
各N端およびC端のそれぞれ9アミノ酸残基からなるペプ
チド(図2参照)をMAP形態で用いて、各MAPの4F6抗体と
の結合性を、実施例2に記載のELISA法に従って調べた。
対照としてGD3およびGD2と4F6抗体との結合性を同様に
して調べた。各試験はそれぞれ3回行い、結果を、図3-5
と同様にして図6(平均値±SD)に示す。
【0238】図6に示す結果から明らかなとおり、R3C9
が、15残基のアミノ酸配列からなるペプチド(GD3R3)
とほぼ同等にGD3と4F6抗体との結合阻害を、固相化した
量依存的に、引き起こしていることが判明した。
【0239】以上の結果から、GD3R3が、最も強く4F6抗
体と結合しており、またそのC端から9残基(R3C9)が結合
に重要であることが示唆された。
【0240】
【実施例6】融合ペプチドによる免疫 (1)免疫:実施例3の(4)で得たGD3R-4とKLHとの融合ペ
プチド(R4-KLH)またはMAP形態である該GD3R-4とKLHとの
融合ペプチド(R4MAP-KLH)を用い、実施例5の(1)と同
様にしてマウスを免疫した。
【0241】即ち、アジュバントと混合(1:1、容量比)
したエマルジョンの100μl/匹(ペプチド量30μg/1匹1
回)を、1群3匹のマウス(CD-1)のそれぞれに腹腔内(ip)
投与して免疫した。投与は、R4-KLHの場合は、1週間毎
に1ヶ月、次いで2週間毎に1ヶ月行い、R4MAP-KLHの場合
は、1週間毎に2ケ月行った。いずれも最終免疫の4日後
に採血して抗血清を調製した。
【0242】尚、R4-KLHでの免疫と同様にして、GD3(30
μg)で免疫した抗血清も調製した。
【0243】(2)ELISA試験 GD3またはGD3R-4ペプチドを固相化したELISAプレートを
用いて、実施例4の(2)に準じて試験した。
【0244】GD3固相化プレートは、GD3の0.5μg/50μl
メタノール-PBS溶液(1:1)を各ウエルに加え、プレート
を1時間放置した後、PBSで洗浄し、1%HSAのPBS溶液を2
00μl/ウエル加えて、37℃で2時間インキュベートして
ブロッキングした。
【0245】GD3R-4ペプチド固相化プレートは、0.1M重
炭酸塩緩衝液(pH9.5)に溶解したGD3R-4ペプチドの1μg
を各ウエルに加え、37℃で一晩インキュベートした後、
PBSで洗浄し、上記同様にしてブロッキングした。
【0246】上記(1)で調製した抗血清をPBSで希釈して
100-10000倍の希釈血清を調製した。この希釈血清の50
μlを各ウエルを加えて1時間反応させた。次いで、ビオ
チン化抗マウスイムノグロブリン抗体(Ig、IgM、IgG、I
gG1、IgG2a、IgG2bまたはIgG3特異抗体)と1時間、更に
ストレプトアビジン-HRPと1時間、同様に反応させ、各
ウエルの酵素活性を同様にして検出した(405nm)。
【0247】(3)細胞応答試験 (1)で免疫した各マウスの脾臓を無菌下に調製し、10%F
CS加RPMI 1640培地中で細切した。ナイロンウールカラ
ムにてT細胞富化リンパ球を調製して細胞をカウントし
た。105細胞/150μl上記培地を培養プレートの各ウエル
に加え、PHAを終濃度1μg/mlとなるように添加した。
【0248】本発明ペプチドまたは各種ガングリオシド
のPBS溶液を加えて96時間インキュベーションし、各ウ
エルの遠心上清100μlを得た。上清中のIL-2活性をIL-2
依存性マウス細胞CTLL2を用いて測定した。即ち、培地
で2-50倍希釈した上清の100μlを104CTLL2細胞/ウエル
に加え、37℃で48時間インキュベーション後、0.5μCi
3H-チミジンを各ウエルに加えて6時間インキュベーシ
ョンした。CTLL2細胞をペーパーフィルターに回収し、
標識量(3H)をカウントした。
【0249】(4)結果 R4-KLHで免疫した抗血清とGD3との反応性を求めた結果
を図7(縦軸:DO405nm、横軸:血清希釈倍率)に示す。
【0250】R4MAP-KLHで免疫した抗血清とGD3との反応
性を求めた結果を図8(縦軸:DO405nm、横軸:血清希釈
倍率)に、また該抗血清とGD3R-4ペプチドとの反応性を
求めた結果を図9(縦軸:DO405nm、横軸:血清希釈倍
率)に示す。
【0251】各図に示す結果より、R4-KLHおよびR4MAP-
KLHのいずれで免疫した抗血清も、GD3R-4ペプチドおよ
びGD3の両者と反応する特異性を有しており、そのIgG抗
体とIgM抗体の力価は略同等であることが明らかとなっ
た。
【0252】また、種々のガングリオシド(GD3, GM3,
GM1)またはペプチド(GD3R-1, GD3R-2, GD3R-3およびGD
3R-4の存在下、GD3で免疫し、PHAで96時間刺激したマウ
ス脾臓細胞の培養上清中でインキュベーションしたIL-R
依存性CTLL2細胞への3H-チミジンの取り込みを求めた結
果を下記表6に示す。
【0253】
【表6】
【0254】表6に示す結果から次のことが判る。即
ち、GD3免疫マウスのT細胞富化リンパ球は、ガングリオ
シド存在下では、IL-2活性が検出されず、活性化されて
いるとは認められない。しかしながら、GD3R-4ペプチド
またはGD3R-3ペプチドの存在下ではIL-2の産生が認めら
れた。
【0255】更に、種々のガングリオシドまたはペプチ
ド存在下で、R4-KLHで免疫し、PHAで96時間刺激したマ
ウス脾臓細胞の培養上清中でインキュベーションしたIL
-2依存性CTLL2細胞への3Hチミジンの取り込みを求めた
結果を、表6と同様にして表7に示す。
【0256】
【表7】
【0257】表7に示す結果から次のことが判る。即
ち、R4-KLHで免疫されたマウスにおいても、GD3R-4ペプ
チドまたはGD3R-3ペプチドによるT細胞活性化が確認さ
れる。
【0258】これらの結果は、本発明ペプチドが、GD3
免疫マウスにおいて特異的T細胞の活性化を引き起こす
ことを示唆する。
【0259】 SEQUENCE LISTING <110> Otsuka Pharmaceutical Co., Ltd. <120> GD3-replica peptides <130> 13801JP <150> JP 2000-124259 <151> 2000-04-25 <160> 10 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 15 <212> PRT <213> Pharge display library(GD3R-1) <400> 1 Leu Ala Pro Pro Arg Pro Arg Ser Glu Leu Val Phe Leu Ser Val 5 10 15 <210> 2 <211> 15 <212> PRT <213> Pharge display library(GD3R-2) <400> 2 Pro His Phe Asp Ser Leu Leu Tyr Pro Cys Glu Leu Leu Gly Cys 5 10 15 <210> 3 <211> 15 <212> PRT <213> Pharge display library(GD3R-3) <400> 3 Gly Leu Ala Pro Pro Asp Tyr Ala Glu Arg Phe Phe Leu Leu Ser 5 10 15 <210> 4 <211> 15 <212> PRT <213> Pharge display library(GD3R-4) <400> 4 Arg His Ala Tyr Arg Ser Met Ala Glu Trp Gly Phe Leu Tyr Ser 5 10 15 <210> 5 <211> 45 <212> DNA <213> Pharge display library(GD3R-1) <220> <400> 5 ctggctcctc ctcggccgcg ttctgagctg gtttttcttt ctgtt 45 <210> 6 <211> 45 <212> DNA <213> Pharge display library(GD3R-2) <220> <400> 6 ccgcattttg attcgttgct gtatccttgt gagctgctgg ggtgt 45 <210> 7 <211> 45 <212> DNA <213> Pharge display library(GD3R-3) <220> <400> 7 ggtcttgctc cgccggatta tgctgagcgt ttttttcttc tttct 45 <210> 8 <211> 45 <212> DNA <213> Pharge display library(GD3R-4) <220> <400> 8 cggcatgctt atcggtctat ggctgagtgg gggtttctgt attct 45 <210> 9 <211> 24 <212> DNA <213> Primer sequence <220> <400> 9 taacactgag tttcgtcacc agta 24 <210> 10 <211> 23 <212> PRT <213> Pharge display library <400> 10 Ala Asp Gly Ala Arg Gly Gly Phe Ser Asp Thr Ser Arg Thr Gly Met 5 10 15 Val Ser Val Gly Ala Ala Gly 20
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2に示す方法により求められた本発明免疫
原性ペプチドと抗GD3抗体との結合親和性を示すグラフ
である。
【図2】実施例5で使用した多抗原性ペプチドの配列を示
す図である。
【図3】GD3模倣ペプチドに対する抗GD3モノクローナル
抗体の結合親和性を示す図である。
【図4】GD3と4F6抗体との結合に対する固相化GD3模倣ペ
プチドによる結合阻害を示す図である。
【図5】GD3と4F6抗体との結合に対する外因性に添加し
たGD3模倣ペプチドによる結合阻害を示す図である。
【図6】GD3と4F6抗体との結合に対する外因性に添加し
たGD3模倣ペプチド(9残基)による結合阻害を示す図で
ある。
【図7】ペプチドR4-KLHで免疫したマウス抗血清の希釈
倍率とGD3のELISA結果との関係を示す図である。
【図8】R4MAP-KLHで免疫したマウス抗血清の希釈倍率と
GD3のELISA結果との関係を示す図である。
【図9】R4MAP-KLHで免疫したマウス抗血清の希釈倍率と
GD3R-4ペプチドのELISA結果との関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 14/435 C07K 19/00 19/00 A61K 37/02 // C12N 15/09 C12N 15/00 A (72)発明者 荻野 晃一 徳島県鳴門市撫養町南浜字東浜197−3 (72)発明者 瀧 孝雄 徳島県板野郡北島町江尻字山王宮8−4 Fターム(参考) 4B024 AA11 CA01 DA06 EA03 GA11 HA11 4C084 AA01 AA07 BA44 NA14 ZB26 4C085 AA03 BB01 BB11 CC21 EE01 GG03 4H045 AA10 AA30 BA15 BA41 CA50 DA86 EA31 EA51 FA34 FA61

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号:1から4のいずれかに示される
    アミノ酸配列を含むペプチドまたは該アミノ酸配列にお
    いて1もしくは複数のアミノ酸残基が置換、欠失、付加
    もしくは挿入により改変されたアミノ酸配列を含むペプ
    チドであって、抗GD3抗体に特異的結合性を有すること
    を特徴とするGD3模倣ペプチド。
  2. 【請求項2】 免疫原性を高めるキャリア蛋白との融合
    ペプチド形態である請求項1に記載のGD3模倣ペプチド。
  3. 【請求項3】 キャリア蛋白がキーホールリンペットヘ
    モシアニンである請求項2に記載のGD3模倣ペプチド。
  4. 【請求項4】 多抗原性ペプチド形態である請求項1に記
    載のGD3模倣ペプチド。
  5. 【請求項5】 抗GD3抗体の産生能を有する免疫原性ペプ
    チドである請求項1記載のGD3模倣ペプチド。
  6. 【請求項6】 配列番号:1から4のいずれかに示される
    アミノ酸配列を有するペプチドである請求項1に記載のG
    D3模倣ペプチド。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載のGD3模倣ペプチドを有効
    成分として含有することを特徴とする医薬組成物。
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