[go: up one dir, main page]

JP2001150113A - 連続鋳造機の湯面レベル制御方法および制御装置 - Google Patents

連続鋳造機の湯面レベル制御方法および制御装置

Info

Publication number
JP2001150113A
JP2001150113A JP2000193304A JP2000193304A JP2001150113A JP 2001150113 A JP2001150113 A JP 2001150113A JP 2000193304 A JP2000193304 A JP 2000193304A JP 2000193304 A JP2000193304 A JP 2000193304A JP 2001150113 A JP2001150113 A JP 2001150113A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
frequency
level
phase
phase compensation
molten metal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000193304A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuharu Hanazaki
一治 花崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP2000193304A priority Critical patent/JP2001150113A/ja
Publication of JP2001150113A publication Critical patent/JP2001150113A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Feedback Control In General (AREA)
  • Continuous Casting (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 連続鋳造機において、非定常バルジング性あ
るいはピンチロールの偏心に起因する周期性外乱による
湯面レベル変動を抑制する制御方法を提供する。 【解決手段】 湯面レベル制御系の制御ループ中にノッ
チフィルタ21を介在させるとともに、湯面レベル偏差
をバンドパスフィルタ22、位相補償器23および位相
補償ゲイン24を経由させてから湯面レベル制御則16
の演算出力に加算する制御系を構成する。ノッチフィル
タ、バンドパスフィルタの周波数は予め求めた周期性外
乱周波数に調整する。湯面レベル変動を周波数解析して
得られたピーク成分から周期性外乱周波数を求め、前記
ノッチフィルタ、バンドパスフィルタに自動設定すると
よい。ノッチフィルタ、湯面レベル制御器、位相補償ゲ
インの制御パラメータを自動設定するとさらによい。周
波数解析に際し、可変周波数発振器を有する同調型周波
数解析法を用いると周期性外乱周波数を高速に求めるこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融金属(以下、
溶湯ともいう)の連続鋳造機において2次冷却帯で発生
する鋳片の非定常バルジングあるいはピンチロールの偏
心に起因する鋳型内での湯面レベル変動を防止する湯面
レベル制御方法および湯面レベル制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図1は連続鋳造機の湯面レベル制御系統
を示す概要図である。同図において、符号1は溶湯、2
はタンディッシュ、3は浸漬ノズル、4は鋳型、5は鋳
片、6は凝固シェル、7は未凝固部、8は2次冷却帯ロ
ール、9はピンチロール、10はピンチロールを駆動す
る駆動モータ、11は湯面レベル計、12は湯面レベル
制御器、13は湯面レベル制御器12の出力に応じてス
トッパの開度を制御するストッパ駆動装置、14はスト
ッパである。
【0003】図1において、鋳型に注入された溶湯1は
鋳型4で冷却され、凝固シェル6が形成され、内部は未
凝固部7が次第に凝固しつつ、鋳片5を形成し、複数の
2次冷却帯ロール8に支持されつつ、順次下方に引き抜
かれる。
【0004】湯面レベル制御は以下のように行われる。
溶湯1の湯面レベルを湯面レベル計11で検出し、湯面
レベル設定値との偏差(湯面レベル偏差)がゼロになる
ように、制御則(比例・積分動作による制御機能)を備
えた湯面レベル制御器12がストッパ駆動装置13を介
してストッパ14を駆動し、溶湯1の流入量を制御す
る。これによって、鋳造条件の変更、浸漬ノズル3の詰
まりなどの外乱が発生しても、湯面レベルは設定値に維
持される。
【0005】図2は非定常バルジングの発生状況を示す
模式図であり、同図(a) は鋳片が膨張した場合、同図
(b) は鋳片が収縮した場合を示す。同図において図1と
同一要素は同一符号で表す。
【0006】図2(a) のように、鋳片5の凝固シェル6
が十分な厚さになっていないときは変形しやすく、溶湯
の静圧によって鋳片5は2次冷却帯ロール8の間で膨張
する。鋳型への溶湯供給量が一定であれば、湯面レベル
は矢印Aのように下がる。凝固シェル6が変形しやすけ
れば、一旦膨張した部分は再度2次冷却帯ロール8で押
さえられ、2次冷却帯ロール8と接しなくなった部分は
膨張する。鋳片5の特定の部分ではこのように膨張と収
縮を繰り返すが、2次冷却帯ロール8の特定位置からみ
れば、鋳片の膨張形状は一定となる。このとき、鋳片5
の体積は変動しないので、鋳型4内の湯面レベルが変動
することはない。一旦下がった湯面レベルも溶湯供給を
増せば回復する。
【0007】しかし、何らかの原因で凝固シェル6が波
打ち状の形状を維持したまま硬くなって鋳造が進行する
と、同図(b) に示すように、山の部分が2次冷却帯ロー
ル8に押さえられるため、鋳片の体積が変動して、湯面
レベルは矢印Bのように上昇する。
【0008】これが繰り返されて、ロール間隔を周期と
する湯面レベル変動が発生する。この状態を非定常バル
ジングという。非定常バルジング性の湯面レベル変動が
大きくなると、鋳片の品質が悪化したり、ブレークアウ
トの危険性もある。このような非定常バルジングは炭素
含有量の高い鋼種や、合金成分の高い鋼種で発生しやす
い。
【0009】これとは別に、ピンチロールに偏心(ロー
ルの曲り)が存在する場合にも、鋳片の未凝固部が周期
的に圧下・開放されるために湯面レベルの周期的変動が
発生する。
【0010】一般に、2次冷却帯のロール間隔はすべて
同間隔ではなく、鋳型に近い部分のロールセグメントで
はロール間隔が小さく、鋳型から遠いセグメントでは大
きくなっており、1機の連続鋳造機には2種以上のロー
ル間隔のセグメントが用いられている。従って、前記の
非定常バルジング性湯面レベル変動には1種類だけでは
なく2種またはそれ以上の種類の周波数成分が含まれる
ことがある。
【0011】また、1機の連続鋳造機には径の異なる複
数のピンチロールが用いられることがあり、ピンチロー
ルの偏心に起因する湯面レベル変動にも1種類ばかりで
はなく2種またはそれ以上の種類の周波数成分が含まれ
ることがある。
【0012】非定常バルジングに起因する湯面レベル変
動とピンチロール偏心に起因する湯面レベル変動をあわ
せて周期性外乱といい、その周波数を周期性外乱周波数
と呼ぶ。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上記の非定常バルジン
グを抑制するため、例えば特開平4−65742号公報
には、2次冷却帯のロール間隔を不均等にすることによ
って、規則的周期的な温度変動(凝固シェル厚さの変
動)を防止する技術が開示されている。しかし、同公報
に開示された技術は、予備セグメントを多種類必要とす
るため、設備費の増大を招く。
【0014】特開平10−314911号公報には、湯
面レベル偏差の位相を進めるために特性周波数が非定常
バルジング周波数に調整された位相補償器を備え、この
位相補償器に湯面レベル偏差を入力し、位相補償器の出
力を湯面レベル制御器の演算出力(スライディングノズ
ルまたはストッパの制御器への制御指令)に加算し、鋳
型の積分特性による位相遅れを補償することによって非
定常バルジング性湯面レベル変動を防止する技術が開示
されている。
【0015】しかし、前記特開平10−314911号
公報に記載の技術は湯面レベル制御器に周期性外乱周波
数の変動成分が入力されるため、湯面レベル制御器の出
力と位相補償器の演算結果とが干渉することや、周期性
外乱周波数が複数存在する場合は対応できない等の問題
がある。
【0016】本発明の課題は刻々変動する非定常バルジ
ング性湯面レベル変動またはピンチロール偏心に起因す
る湯面レベル変動の周期性外乱周波数・振幅に対応し、
かつ複数種の周期性外乱周波数が存在する場合にも湯面
レベル変動を効果的に防止することができる連続鋳造機
の湯面レベル制御方法および湯面レベル制御装置を提供
することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】図3は図1の制御系統を
示すブロックダイアグラムである。同図において、図1
と同一要素は同一符号で示す。同図は従来技術の湯面レ
ベル制御系統を示している。同図において、符号15は
湯面レベルの設定値と偏差との差を演算する偏差計算
部、16は比例・積分動作を実行する制御則部、17は
ストッパ駆動装置の伝達関数、18はストッパの伝達関
数、19は鋳型の伝達関数、20は湯面レベル計の伝達
関数である。また、同図のSPは湯面レベルの設定値
(mm)、PVは湯面レベル計で測定した湯面レベル値
(mm)、MVは制御則部16の出力値(mm)であ
る。
【0018】図3において、制御則部16は通常の比例
積分制御(PI制御)を行う伝達関数として表され、時
間軸では湯面レベル偏差入力e(t)に対して、出力y
(t)は下記(1) 式で、ラプラス変換した周波数域では
湯面レベル偏差入力E(s)に対して出力Y(s)は
(2) 式でそれぞれ表される。
【0019】
【数1】
【0020】
【数2】 従って、湯面レベル制御器12の伝達関数は周波数域で
は(3) 式で表される。
【0021】
【数3】 以下では、ブロックダイアグラムの各要素を周波数領域
で表す。
【0022】ストッパ駆動装置の伝達関数17は無駄時
間を含んだ1次遅れ系として(4) 式で表される。
【0023】
【数4】 ストッパの伝達関数18は無駄時間を含む系として(5)
式で表される。
【0024】 F(s)=Kq -sLw ・・・・・・・ (5) 鋳型の伝達関数19はストッパの開度の積分結果として
湯面レベルが上昇することから、(6) 式で表すことがで
きる。
【0025】 Y(s)=1/As ・・・・・・・ (6) 湯面レベル計の伝達関数20は2次遅れ系であるため、
これを1次遅れ+無駄時間系とみなして(7) 式で表され
る。
【0026】
【数5】 ここで、Kp とTp は制御則部16の比例ゲイン(−)
および積分時間(s)、Tc とLc はストッパ駆動装置
の伝達関数17の時定数(s)および無駄時間(s)、
q はストッパの伝達関数18の流量特性のゲイン
(−)、Lw はストッパ部から鋳型に溶湯が落下するま
での無駄時間(s)、Aは鋳型の断面積(mm2 )、T
s およびLs は湯面レベル計の伝達関数20の時定数
(s)と無駄時間(s)をあらわす。
【0027】フィードバック制御系では制御に関する信
号が制御ブロックを一巡するため、一巡のルートを制御
ループともいう。制御ループの各制御ブロックの伝達関
数の積をループゲインという。
【0028】図3に示すような従来技術の制御系統を用
いた場合、周期性の湯面レベル変動が一層増大すること
がある。この理由は、同図に示すフィードバック制御系
の特定周波数におけるループゲインが1より大きく(制
御ループを1巡した信号がもとの信号より大きくなっ
て)、制御系が不安定となるためである。
【0029】図4は非定常バルジング発生時の湯面レベ
ル変動を示すグラフの一例である。同図に示すように、
鋳造速度Vc を大きくすると非定常バルジングによる湯
面レベル変動が大きくなり、鋳造速度Vc を落すと小さ
くなる。高速鋳造では、局部的な温度不均一が出やす
く、また速度変更時に不連続的な温度の段差が発生する
ため、非定常バルジングが発生しやすい。
【0030】図5は図3に示した制御系の制御系ゲイ
ン、すなわち外乱入力に対する湯面レベル変動の大きさ
を周波数対比で示すグラフである。同図の縦軸は制御系
の制御系ゲインr(=湯面レベル変動の振幅/外乱入力
の振幅)である。同図において、制御系ゲインrが1.
0を超えている部分では、その周波数の外乱に対して湯
面レベル変動が増幅され、外乱入力に重畳するため、湯
面レベル変動幅がさらに増大することを示している。
【0031】図6は図4に示した非定常バルジング性湯
面レベル変動の周波数スペクトルを示すグラフである。
同図において、振幅がピークとなる(以下ピーク成分と
もいう)周波数f2 (Hz)は、鋳造速度Vc (m/m
in)と2次冷却帯ロール間隔d(mm)とから、 により求められる。この周波数が非定常バルジング起因
の周期性外乱周波数である。
【0032】鋳片の厚さが90〜120mm程度の中厚
スラブの連続鋳造では鋳造速度Vcは3〜8m/min
に達する。2次冷却帯ロールの間隔は160〜250m
mであり、ピンチロールの径は、160〜190mmで
あることから、周期性外乱周波数は、0.1〜0.5H
zの帯域に発生する。冷却条件によっては、まれに基本
周波数の2倍ないし3倍の高調波のレベル変動が発生す
るが、対応周波数の数が増えるだけである。
【0033】図5に示すように、制御系ゲインrが1.0
を超える部分があって、その周波数領域に周期性外乱周
波数が含まれていると、制御が不安定になりやすい。図
7は複数の周期性外乱周波数を含む制御系の湯面レベル
変動の一例を示すグラフである。
【0034】図8は図7に示した湯面レベル変動の周波
数スペクトルを示すグラフである。図8に示す例では、
周期性外乱周波数のピークは3つあり、それぞれf1
2、f3 (Hz)とすると、(9) 〜(11)式の関係が成
り立つ。
【0035】 ここで、Vc は鋳造速度(m/s)、RSCはピンチロー
ルの半径(mm)であり、d1 は鋳型直下の2次冷却帯
ロールの間隔(mm)、d2 はさらに下部のロール間隔
(mm)である(図1参照)。
【0036】上記のf1 に相当する低い周波数の変動は
2次冷却帯ロールの間隔に由来する非定常バルジング性
湯面レベル変動ではなく、ピンチロール(ロール半径;
SC)自体の偏心(ロールの曲り)によって、湯面レベ
ル変動が生じたものである。
【0037】このほか、より小さな周波数ピークが現れ
ることがあるが、問題になるのはピーク高さ、すなわち
振幅が10mmを超えるような湯面レベル変動の周期性
外乱周波数であり、通常の連続鋳造では図8のようにロ
ール間隔に起因する周期性外乱周波数およびピンチロー
ル偏心に起因する周期性外乱周波数が問題になることが
多い。以下の説明では、図8に示す1つのロール偏心起
因のf1 と2つの非定常バルジング性湯面レベル変動の
周波数f2 、f3 が発生した場合について説明する。
【0038】図3に示すような制御系でフィードバック
制御を行うことによって、かえって湯面レベルの変動が
大きくなるのは、周期性外乱周波数、とりわけ非定常バ
ルジング性の周期性外乱周波数f2 、f3 で制御系が共
振をおこすためである。本発明者はまず、非定常バルジ
ング性湯面レベル変動の周波数f2 、f3 の近傍でルー
プゲインを小さくし、他の制御特性を損なうことなく、
湯面レベル変動を抑制する方法を検討した。
【0039】図9は非定常バルジングを抑制する制御方
法の一例を示すブロックダイアグラムである。同図は、
図3に示す制御ループ中に周期性外乱周波数の変動を抑
制するノッチフィルタ21を付加したものであり、その
他の同一要素は前述した図3と同一符号で示す。
【0040】同図において、制御則部16、ストッパ駆
動装置の伝達関数17、ストッパの伝達関数18、鋳型
の伝達関数19、湯面レベル計の伝達関数20およびノ
ッチフィルタ21で制御ループを構成している。ノッチ
フィルタ21は制御ループのどの位置に挿入しても、ル
ープゲインは不変であるが、同図の例ではノッチフィル
タ21を湯面レベル値PVの系統に挿入した構成を示し
ている。
【0041】図10は図9に示したノッチフィルタ21
のフィルタゲインを示すグラフである。ノッチフィルタ
21の伝達関数は式(12)で表される。ただし、(12)式の
ωは角周波数を表し、ω=2πfである。
【0042】
【数6】 図10において、ノッチ周波数fn でフィルタゲイン
((出力/入力)の比、減衰率ともいう)が最も低く、
その時の減衰率はg(以下、ノッチ比率という)とな
る。また、帯域定数Qは、同図における谷形状の鋭さを
表す数値で、減衰率が(0.5)1/2 =0.707倍に
なるときの周波数幅Δfに対するfn の比で定義され、
帯域定数Qが大きいほど谷の形状は幅が狭く鋭くなる。
ノッチフィルタ21のノッチ周波数fn を周期性外乱周
波数fに調整しておけば、非定常バルジングが発生して
もその振幅は抑制されるため、制御系によって振幅が増
大するのを防止できる。また、ノッチ周波数fn は周期
性外乱周波数fに完全に一致していなくても、周期性外
乱周波数fがノッチフィルタの周波数幅Δfの範囲に含
まれていれば同様の効果がある。
【0043】(a) 本発明者は図9のような制御系の構成
でシミュレーションを実施した。ノッチフィルタ21の
ノッチ周波数を非定常バルジングによる周期性外乱周波
数に合わせ、湯面レベル制御器12のゲインを調整し
た。
【0044】図11は図9の制御系でシミュレーション
したときの湯面レベル変動を示すグラフである。図11
と図4とを比較すると、図4では鋳造速度が6m/mi
nに上昇したときに湯面レベル変動が継続的に増大する
傾向があったのに対し、図11では鋳造速度が6m/m
inになったときの振幅は鋳造速度3m/minのとき
より大きいものの、継続的に増大する傾向はなく、鋳造
速度を減速しなくてもよい点で改善が見られる。しか
し、やはり下記のような問題がある。
【0045】すなわち、ノッチフィルタ21により周期
性外乱周波数fが制御系から遮断されるため、制御によ
り当該周波数成分のレベル変動が助長され増大したり発
散することはないが、当該周期性外乱による溶鋼体積の
変動を給湯量制御で相殺しようとする機能も低下するた
め、元の外乱そのものに起因するレベル変動はそのまま
残存する。
【0046】本発明者はこの問題を以下のように整理し
た。制御系には本質的に、ストッパ開度→鋳型への溶湯
注入→湯面レベルの上昇という積分要素があり、90°
の位相遅れが発生するため、単にノッチフィルタ21に
よって周期性外乱周波数fの近傍の湯面レベル変動を制
御系から遮断するだけでは不十分である。
【0047】この対策として、本発明者は湯面レベル変
動の周波数近傍にて、給湯量を調節するストッパの開度
制御信号の位相遅れを補償し、当該周期性外乱に起因す
る体積変動を相殺することによって、湯面レベル変動が
抑制可能であることに想到した。
【0048】位相遅れの補償は、湯面レベル変動の周期
性外乱周波数fの成分をバンドパスフィルタで弁別し、
次いで位相進め演算処理することによって実現できる。
なお、位相補償要素は微分特性(入力変数の変化率に比
例して出力が得られる)を有しており、周期の早い変動
に対しては制御出力が過大になるため、位相進め演算
は、湯面レベル変動の周波数帯域外でゲインが小さくな
るようする必要がある。これに対しては、湯面レベル変
動をバンドパスフィルタで弁別した後に位相補償演算を
行えば、上記の制御出力が過大になるのを防止すること
ができる。
【0049】位相補償は制御ループに並列に挿入するの
がよい。その理由は、当該周波数に対する制御系のルー
プゲインをノッチフィルタ21で低減して安定性を増大
し、当該周波数成分だけをバンドパスフィルタで弁別し
てから位相補償を行なって、湯面レベル制御器12の出
力に加算できるからである。また、位相補償要素を制御
ループに並列挿入できるため、複数の位相補償要素を入
れることもできる。
【0050】本発明者は上記の着想に基づき試験用連続
鋳造機による試験および種々のシミュレーションを行っ
た結果、以下の知見を得た。 (a) 非定常バルジング性湯面レベル変動あるいは駆動ロ
ールの偏心に起因する湯面レベル変動を周波数解析する
と、1種または2種以上の周波数成分が含まれている。
これらの周波数は2次冷却帯のロール間隔が2〜3種、
またピンチロール径が1〜3種であるのに対応してお
り、その周波数は鋳造速度をロール間隔で除した値、ま
たは鋳造速度をピンチロール周長で除した値となる。通
常、非定常バルジング性湯面レベル変動が発生するとき
の周波数は0.2Hz以上である。これに対して、ピン
チロールの偏心に起因する湯面レベル変動はこれより低
い0.1Hz前後の周波数となる。
【0051】(b) 湯面レベル変動の周波数が複数ある場
合、周波数別の振幅は必ずしも一定ではない。特定の周
期性外乱周波数がまったく現れないこともある。これは
鋳造条件の変化によって、非定常バルジング性湯面レベ
ル変動の出やすいロール位置(2次冷却帯中のロール位
置)があるためである。
【0052】(c) 周期性外乱に起因する湯面レベル変動
が発生していない場合は、非周期性あるいは長周期
(0.1Hzより低い周波数帯域)の湯面レベル変動は
通常のPI制御器による湯面レベル制御で十分追随可能
である。
【0053】非定常バルジング性湯面レベル変動あるい
は駆動ロールの偏心に起因するレベル変動が発生した場
合、これを防止するには、制御系の信号から非定常バル
ジングに相当する周波数成分を減衰させ、レベル変動が
増大するのを防止すればよい。制御信号から特定周波数
成分を減衰させるにはノッチフィルタ21を制御ループ
中に介在させればよい。
【0054】(d) ノッチフィルタ21を用いると、制御
系の位相遅れが発生する。これは、ノッチ周波数より低
い周波数域では位相が遅れるためである。しかし、周期
性外乱周波数は、定常的に存在するレベル変動(ノズル
の詰まりあるいはタンディッシュの溶鋼ヘッドの変動)
の周波数帯域より高い周波数帯域側にあり、一般的には
問題がない。この帯域が近い場合は、これを補償する位
相補償演算を用いればよい。すなわち、湯面レベル偏差
を位相補償演算部に入力し、その出力を湯面レベル制御
器16の演算出力に加算し、ストッパ駆動装置に与えれ
ばよい。こうすることによって、湯面レベル偏差はフィ
ードフォワード的にストッパ駆動装置に伝達されるので
位相遅れを補償できる。この位相補償演算部は特定周波
数の応答特性をもったバンドパスフィルタ、位相補償器
および適当なゲイン定数の組み合わせで実現できる。
【0055】また、位相補償演算自体は遅れ要素を含ま
ないため、複数の位相補償演算出力を加算することがで
きる。 (e) 非定常バルジング性湯面レベル変動あるいはピンチ
ロールの偏心に起因するレベル変動は必ずしも特定のロ
ール間隔・ロール径(またはロール周長)によらず、変
動の大きさも一定しないため、ノッチフィルタ21の特
性(ノッチ周波数またはノッチ比率)、バンドパスフィ
ルタ特性(バンドパス周波数)あるいは湯面レベル制御
器12のゲインは一定値に固定することはできない。こ
の対策として、湯面レベル変動を常時観測して周波数解
析をすれば、ピーク成分の周波数、振幅が常時把握で
き、非定常バルジングの変化状況を捕らえることがで
き、さらには上記のノッチフィルタ21、バンドパスフ
ィルタの特性パラメータを自動設定するようにすれば刻
々変化するプロセス変化に対応することができる。
【0056】(f) 上記の周波数解析を高速で行うには高
速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transformatio
n )の手法を用いることにより、オンラインの計算が可
能である。しかし、FFT法は50秒間以上の時間にわ
たって湯面レベル変動のサンプリングを行わねばなら
ず、FFT演算自体は高速でも、周波数解析結果が判明
するのは少なくとも測定開始から50秒後である。従っ
てサンプリング区間終了までのタイミングで鋳造速度が
変化して周期性外乱周波数が変化するときや、新たな周
期性外乱周波数が発生したときは、自動設定用には鋳造
速度等が変化する前の周波数しか使えず、変化後の周波
数は、次のサンプリング区間が終了して初めて利用可能
になるので、必ずしも即応性が十分でない。
【0057】この対策として、周期性外乱周波数に常時
同調する可変周波数発振器を備えて、その発振周波数か
ら周期性外乱周波数を求めるようにすれば、より高速に
周期性外乱周波数を求めることができ、鋳造速度の変化
に対して速やかに対応することができる。
【0058】本発明は上記の知見に基づいて完成したも
のであり、その要旨は、下記の点にある。 (1) 湯面レベル制御器を用いた連続鋳造機の湯面レベル
制御方法において、非定常バルジングあるいはピンチロ
ールの偏心に起因する湯面レベル変動の周期性外乱周波
数を求めること、湯面レベル制御系の制御ループ中に、
特定のノッチ周波数の変動成分を選択的に減衰させ、か
つ該ノッチ周波数が前記周期性外乱周波数を含むように
調整されたノッチフィルタを介在させること、特定のバ
ンドパス周波数の変動成分を選択的に透過させ、かつ該
バンドパス周波数が前記周期性外乱周波数を含むよう調
整されたバンドパスフィルタと、位相補償周波数が周期
性外乱周波数を含むよう調整された位相補償器と、入力
信号に位相補償ゲインを乗じて出力する位相補償ゲイン
部とを直列に接続して位相補償演算部を構成すること、
および該位相補償演算部に湯面レベル偏差を入力し、該
位相補償演算部の出力を湯面レベル制御器の演算出力に
加算することを特徴とする連続鋳造機の湯面レベル制御
方法。
【0059】(2) 湯面レベル変動の周波数解析を行って
ピーク成分の周波数を求め、これらの周波数のうち0.
1Hz以上の周波数を選んで前記周期性外乱周波数を求
めることを特徴とする前記(1) 項に記載の連続鋳造機の
湯面レベル制御方法。
【0060】(3) 前記周波数解析で得られたピーク成分
の振幅を求め、該振幅に応じて前記ノッチフィルタのノ
ッチ比率を設定し、さらに前記周波数解析から得られる
ピーク成分のうち、周波数0.1Hz以上の最低の周波
数に応じて湯面レベル制御器の制御ゲインを設定するこ
とを特徴とする前記(2) 項に記載の連続鋳造機の湯面レ
ベル制御方法。
【0061】(4) 前記位相補償演算部の位相補償ゲイン
を微小量増減させ、所定の時間制御を行い、次いでバン
ドパスフィルタの出力値の変動量を測定し、該位相補償
ゲインの増減方向と該変動量の増減方向の関係に基い
て、該変動量が減少するように位相補償ゲインの新たな
値を設定することを特徴とする前記(2) または(3) 項に
記載の連続鋳造機の湯面レベル制御方法。
【0062】(5) 前記ノッチフィルタおよび前記位相補
償演算部を、それぞれ複合ノッチフィルタおよび複合位
相補償演算部に置換えた構成とし、該複合ノッチフィル
タを、複数の周期性外乱周波数に対してそれぞれのノッ
チ周波数が各周期性外乱周波数を含むように調整され直
列に接続された複数のノッチフィルタで構成するととも
に、該複合位相補償演算部を、複数の位相補償演算部お
よび少なくとも1つの複合位相補償演算部加算器とで構
成し、かつ該複合位相補償演算部を、該複数の位相補償
演算部にそれぞれ湯面レベル偏差が入力され、該複数の
位相補償演算部のそれぞれの出力を該複合位相補償演算
部加算器で加算した結果が湯面レベル制御器の演算出力
に加算されるように構成し、該複数の位相補償演算部の
それぞれは、バンドパスフィルタ、位相補償器および位
相補償ゲイン部とを直列接続して構成したものとし、該
バンドパスフィルタと該位相補償器は、それぞれのバン
ドパス周波数と位相補償周波数とが各周期性外乱周波数
を含むように調整されたものとすることを特徴とする前
記(1) 〜(4) 項のいずれかに記載の連続鋳造機の湯面レ
ベル制御方法。
【0063】(6) 前記湯面レベル変動の周波数解析を行
ってピーク成分の周波数を求める際に、湯面レベル変動
の信号と、可変周波数発振器の信号を実時間で乗算し、
乗算結果から得られた湯面レベル変動と可変周波数発振
器のそれぞれの周波数の差信号に基いて、該可変周波数
発振器の発振周波数を変更し、該発振周波数を湯面レベ
ル変動の周期性外乱周波数に同調させ、そのときの発振
周波数から周期性外乱周波数を求めることを特徴とする
前記(2) 項に記載の連続鋳造機の湯面レベル制御方法。
【0064】(7) 前記制御ループ内に位相面軌道形状判
定器を介在させるとともに、周期性湯面レベル変動の信
号と、鋳型内に溶鋼を供給するためのタンディッシュに
取り付けられた給湯機構の開度指令とを前記位相面軌道
形状判定器に入力し、前記湯面レベル変動の信号の変動
量と前記給湯機構の開度指令の変動量とを同一平面上に
プロットすることにより得られる楕円状の位相面軌道形
状の真円度が向上するように、かつ、面積が減少するよ
うに、前記位相補償器による位相進め量および/または
前記位相補償ゲイン部による位相補償ゲインを修正して
設定することを特徴とする前記(1) 項または(6) 項に記
載の連続鋳造機の湯面レベル制御方法。
【0065】(8) 制御系が、湯面レベルセンサと、湯面
レベル制御器と、特定のノッチ周波数の変動成分を選択
的に減衰させ、かつ該ノッチ周波数が、湯面レベルの周
期性外乱周波数を含むように調整されたノッチフィルタ
と、特定のバンドパス周波数の変動成分を選択的に透過
させ、かつ該バンドパス周波数が前記周期性外乱周波数
を含むように調整されたバンドパスフィルタ、位相補償
周波数が前記周期性外乱周波数を含むように調整された
位相補償器、および、入力信号に該位相補償器による位
相補償ゲインを乗じて出力する位相補償ゲイン部を直列
に接続して構成された位相補償演算部とを少なくとも有
し、前記ノッチフィルタは、前記湯面レベルセンサから
の湯面レベル信号を受け、湯面レベル変動信号を前記湯
面レベル制御器に送る機能を有し、前記バンドパスフィ
ルタは、前記湯面レベルセンサからの湯面レベル信号を
受け、周期性外乱周波数を含むように調整されたバンド
パス周波数信号を前記位相補償器に送る機能を有し、前
記位相補償器は、周期性外乱周波数を含むように調整さ
れた位相補償周波数信号を位相補償ゲイン部に送る機能
を有し、さらに、前記位相補償演算部は、その出力を前
記湯面レベル制御器の演算出力に加算する機能を有する
ことを特徴とする連続鋳造機の湯面レベル制御装置。
【0066】(9) 前記制御系が、前記周期性外乱周波数
を検知する周波数検知演算部を有することを特徴とする
(8) 項に記載の連続鋳造機の湯面レベル制御装置。 (10)前記周波数検知演算部は、可変周波数発振器を有
し、前記湯面レベルセンサから出力される周期性湯面レ
ベル変動の信号と前記可変周波数発振器から発振される
信号とを実時間で乗算し、乗算結果から得られた湯面レ
ベル変動および前記可変周波数発振器それぞれの周波数
の差信号に基づいて、前記可変周波数発振器の発振周波
数を変更し、該発振周波数を周期性湯面レベル変動の周
期性外乱周波数に同調させ、同調した発振周波数から周
期性湯面レベル変動の周期性外乱周波数を求める機能を
有することを特徴とする(9) 項に記載の連続鋳造機の湯
面レベル制御装置。
【0067】(11)前記制御系が、前記湯面レベル制御器
の演算出力に加算する前記位相補償演算部の出力を調整
するための位相面軌道形状判定器を有し、該位相面軌道
形状判定器に入力された周期性湯面レベル変動の信号の
変動量と前記連続鋳造機の給湯機構の開度指令の変動量
とを同一平面上にプロットすることにより得られる楕円
形状の位相面軌道形状の真円度が向上するように、か
つ、面積が減少するように、前記位相補償器による位相
進め量および/または前記位相補償ゲイン部による位相
補償ゲインを修正して設定する機能を有することを特徴
とする(8) 項から(10)項までのいずれか1項に記載の連
続鋳造機の湯面レベル制御装置。
【0068】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)以下、本発
明の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明
する。
【0069】図12は本発明の制御方法を示すブロック
ダイアグラムである。同図において、図9と同一要素は
同一符号で示す。同図の符号22はバンドパスフィル
タ、23は位相補償器、24は位相補償ゲインKg を有
する位相補償ゲイン部である。同図ではバンドパスフィ
ルタ22、位相補償器23および位相補償ゲイン部24
を一括して点線で囲っており、総称して位相補償演算部
25という。
【0070】位相補償演算部25には湯面レベル偏差が
入力され、演算結果の出力は出力加算部26で制御則部
16の出力と加算され、ストッパ駆動装置の伝達関数1
7に指令値を与える。
【0071】同図ではノッチフィルタ21は制御系の湯
面レベル偏差を算出する偏差計算部15と制御則部16
との間に挿入されているが、先に述べたように、ノッチ
フィルタ21は制御ループのどこに挿入しても効果は同
じであり、図9のように湯面レベル計の伝達関数20と
偏差計算部15の間に挿入した場合と等価である。
【0072】図13はバンドパスフィルタ22の周波数
とそのゲイン(透過率)の関係を示すグラフである。バ
ンドパス周波数fb において、透過率は最大(この時の
透過率値をバンドパス比率:hという)となる。
【0073】本発明においては、バンドパス周波数fb
は非定常外乱周波数fに調整される。バンドパスフィ
ルタ22の伝達関数は下記(13)式となる。ただし、(13)
式でω=2πfb であり、バンドパス周波数が周期性外
乱周波数fに調整されているときはω=2πfである。
【0074】
【数7】 図14は位相補償器23の入力と出力の関係を示すグラ
フである。位相補償器23の入力信号に対して出力は図
示のように位相が90°進む。すなわち、位相補償とは
微分演算を施すことに相当する。位相補償器23の伝達
関数は下記(14)式で表される。ただし、(14)式のω(位
相補償器周波数)はバンドパスフィルタ22の周波数ω
b または非定常外乱周波数ωと同じ値に設定されている
ものとする。
【0075】
【数8】 位相補償ゲイン部24はバンドパスフィルタ22および
位相補償器23を経由した信号の振幅を調整する部分で
ある。すなわち、入力信号を位相補償ゲイン:Kg 倍す
る。
【0076】図12のようにバンドパスフィルタ22、
位相補償器23および位相補償ゲイン部24を直列に接
続して、位相補償演算部25を構成すると、特定の周波
数f b についてのみ位相を進めることができる。そし
て、この位相補償演算部25を湯面レベル制御系の制御
ループ中の制御則部16およびノッチフィルタ21と並
列に介在させることによって、制御ループ中にノッチフ
ィルタ21を挿入したために定常的に存在する外乱に起
因する非周期性あるいは長周期性(0.1Hzより低い
帯域)湯面レベル変動の周波数付近の制御感度が低下す
る問題を解決することができる。また、位相補償演算部
25は位相を90°進めているので周期性外乱周波数近
傍の外乱振幅を助長することもなく、制御が安定すると
いう効果がある。
【0077】図15は図9に示した制御系による外乱抑
制シミュレーションを示すグラフである。同図は、非定
常バルジングによる外乱として周波数0.25Hz、振
幅±10mmに相当する溶湯の体積変動が印加された場
合を示す。同図に示すように、制御によって体積変動外
乱がそのまま湯面レベル変動にはならず、抑制されてい
るものの、変動の振幅は±5mmとなっている。
【0078】図16は図12に示した本発明の制御系に
よる外乱抑制シミュレーション結果を示すグラフであ
る。外乱周波数、外乱振幅の条件は図15の場合と同じ
である。同図に示すように、湯面レベル変動は±2.5
mmとなっており、図15と比較して振幅は半分になっ
ている。
【0079】周期性外乱周波数は鋳造速度によって変化
する。また、先に述べたように2次冷却帯のロール間隔
は数種類あり、鋳造条件によって非定常バルジングを誘
起するロール間隔種類は特定できない。従って、上記制
御系のノッチ周波数、バンドパス周波数を一定としてお
くと、鋳造条件の変化に追随できないという問題があ
る。この対策として本発明の制御方法では周期性外乱周
波数を検出し、自動的にノッチ周波数、バンドパス周波
数を調整をする方法を提供する。
【0080】図17は本発明によるノッチ周波数、バン
ドパス周波数を自動調整する制御方法を示すブロックダ
イアグラムである。同図において図12と同一要素は同
一符号で示す。
【0081】同図は図12の二点鎖線で囲った部分(ノ
ッチフィルタ21、制御則部16および位相補償演算部
25)に相当するブロックを示し、ストッパ駆動装置の
伝達関数17、ストッパの伝達関数18、鋳型の伝達関
数19、および湯面レベル計の伝達関数20は省略して
いる。同図の周波数解析部27は湯面レベル変動を周波
数解析し、周波数別の振幅を検出する装置であって、好
適例として高速フーリエ変換装置あるいはFFT演算ソ
フトウェアがある。
【0082】その外、本発明においては、可変周波数発
振器を用いた周波数解析の方法を提供するが、詳細は後
述する。以下では周波数解析部27として、FFTを用
いた例について説明する。
【0083】周波数解析部27は湯面レベル変動のピー
ク周波数を検出し、その周波数を周期性外乱周波数とみ
なして、ノッチフィルタ21のノッチ周波数およびバン
ドパスフィルタ22のバンドパス周波数を自動設定す
る。図17において、周波数解析部からノッチフィルタ
21およびバンドパスフィルタ22に向かう点線矢印は
周波数の自動設定を意味している。
【0084】周期性外乱周波数は、0.1〜0.5Hz
が一般的であり、上記のノッチフィルタ21およびバン
ドパスフィルタ22の周波数自動設定は0.1Hz以上
の周波数のピーク周波数のみを対象とする。湯面レベル
の平均値に相当する周波数0Hzの成分が存在しても、
周波数解析を2倍長精度で演算するか、あるいは湯面レ
ベル変動の偏差を周波数解析演算することで無視するこ
とができる。図17では、湯面レベル偏差を周波数解析
の入力とする場合を示す。
【0085】上記のようにノッチフィルタ21およびバ
ンドパスフィルタ22の周波数を自動設定することによ
って、鋳造条件の変化に対して制御系の特性を自動的に
追随調整できるので、非定常バルジング性湯面レベル変
動を安定的に抑制できる。
【0086】以上に述べた制御方法によって、非定常バ
ルジング性湯面レベル変動あるいはピンチロール偏心に
起因する湯面レベル変動の抑制が可能となる。定常的に
存在する非周期性あるいは長周期性(0.1Hzより低
い帯域)の湯面レベル変動の抑制は従来技術と同様、湯
面レベル制御器の比例積分(PI)動作による制御によ
り的確に行われる。
【0087】制御精度や応答速度を向上するには湯面レ
ベル制御器12の制御ゲインKp を大きくすることが望
ましい。ただし、制御ゲインKp が大きすぎると外乱に
対して変動が増大するという問題をもたらす。適切な制
御ゲインKp の値は鋳造条件によって変化する。従っ
て、制御ゲインKp も自動設定することが望ましい。ま
た、制御ゲインKp が変化すると、制御系全体が調和す
るようにノッチフィルタ21のノッチ比率gおよび位相
補償演算部25の位相補償ゲインKg も調整するのが望
ましい。
【0088】本発明はこれらの制御要素のゲインの自動
設定方法をも提供するものであり、以下にこれを説明す
る。本発明に係る各種ゲインの自動設定の対象は、湯面
レベル制御器12の制御ゲインKp 、ノッチ比率g、お
よび位相補償ゲインKg である。
【0089】図18は、本発明の制御方法の各種ゲイン
の自動設定方法を示すブロックダイアグラムである。同
図において、図17と同一要素は同一符号で示す。ま
た、図17と同様、図12の二点鎖線枠で囲った部分の
みを示す。
【0090】同図の符号28はノッチ比率設定部、29
は制御ゲイン設定部、30は位相補償ゲイン設定部であ
る。同図において、ノッチ比率設定部28は周波数解析
部27によって得られた周期性外乱周波数の湯面レベル
変動の振幅(ピーク高さ)に応じてノッチフィルタ21
のノッチ比率gを設定する。制御ゲイン設定部28は周
波数解析部27によって得られた周期性外乱周波数に応
じて制御ゲインKp を設定する。位相補償ゲイン設定部
30はバンドパスフィルタ22の出力を観察しながら位
相補償ゲインKg を設定する。図18ではgおよびKp
の設定系統を、周波数解析部27→ノッチ比率設定部2
8→ノッチフィルタ21に向う破線、周波数解析部27
→制御ゲイン設定部29→制御則部16に向う破線、お
よびバンドパスフィルタ22の出力から分岐し→位相補
償ゲイン設定部30→位相補償ゲイン部24に向う破線
でそれぞれ示す。以下に自動設定方法の詳細を述べる。
【0091】ノッチ比率gの設定方法:制御ループに混
入するノッチ周波数(本発明では周期性外乱周波数に調
整されている)の外乱を遮断するため、ノッチ比率は1
より小さくしなければ効果がない。しかし、ノッチ比率
を小さくしすぎると、ノッチ周波数より低い周波数で位
相遅れが生じ、湯面レベル制御が不安定になる。そこ
で、周期性外乱に起因する湯面レベル変動が大きいとき
はノッチフィルタ21による減衰を大きく(ノッチ比率
gを小さく)し、同湯面レベル変動が小さいときは減衰
を小さく(gを大きく)、あるいは全く減衰させない
(g=1)ようにするのがよい。
【0092】図19はノッチフィルタ21のノッチ比率
gを求める方法の一例を示すグラフである。同図におい
て、周期性外乱周波数の湯面レベル変動が大きい場合
(図の例では振幅2mmを超える場合)ノッチ比率gを
小さく(0.2)しており、湯面レベル変動が小さい
(図の例では振幅1mm未満)ときは、ノッチ比率を大
きく(1.0、すなわち減衰させない)している。ま
た、湯面レベル変動振幅が1〜2mmの区間でノッチ比
率をスロープ状に変化させているのは、急激な変化を回
避するためである。
【0093】湯面レベル制御器12の制御ゲインKp
設定方法:Kp の調整には湯面レベル変動の周波数解析
結果から得られるピーク成分の中で、比較的低周波数の
変動に着目する。
【0094】通常の非定常バルジング性湯面レベル変動
は0.2Hz以上の周波数を有し、ピンチロール偏心に
起因するものは0.1Hz付近の周波数を有する。それ
以下の周波数成分は、定常的に存在するノズルの詰まり
あるいは、タンディシュの溶鋼ヘッド高さの変動等、非
周期的あるいは,長周期(0.1Hzより低い周波数)
のレベル変動である。このように0.1Hz以下にピー
ク成分がある場合、ピンチロールの偏心に起因する変動
をノッチフィルタ21で制御系から遮断しようとする
と、ノッチフィルタ21に起因する位相遅れが制御ルー
プに大きく影響し湯面レベル変動を増大させ不安定にな
る方向に働く。従って、この場合制御ゲインKp を小さ
くして(若干応答速度を犠牲にして)制御の不安定化を
防止する。
【0095】ピンチロール偏心に起因する0.1Hz付
近のレベル変動が存在せず、非定常バルジング性湯面レ
ベル変動の抑制だけを対象にする場合は、ノッチフィル
タ21のノッチ周波数は、0.2Hz以上の高帯域にあ
り、これより低い周波数の定常的外乱の帯域への遅れの
影響は少なくなるのでこの問題は生じない。
【0096】図20は本発明の湯面レベル変動の周波数
に対して湯面レベル制御器12の制御ゲインKp の修正
係数設定例を示すグラフである。同図の例では、湯面レ
ベル変動の最低周波数が0.1Hzより小さく、かつ
0.1Hz付近にもレベル変動が存在する場合で、ノッ
チフィルタ21を制御系に挿入したときはKp を小さく
し、0.2Hzより大きいときKp を基準の制御ゲイン
のままとする例を示している。0.1〜0.2Hzの間
では急激な変動を回避するため、修正係数をスロープ状
に変化させている。ここで、基準の制御ゲインとは、低
炭素鋼など非定常バルジングが発生しにくい鋼種で調整
された湯面レベル制御器の制御ゲインである。
【0097】位相補償ゲインのKg 設定方法:位相補償
演算部25は先に述べたように、微分演算を行う。微分
演算は湯面レベル変動の「先読み」をして、変動が増大
しないように「先手」で抑制方向の制御を行うため、位
相遅れの補償に有効である。しかし、外乱信号に高周波
の細かい変動があるような場合、微分演算によって抑制
のアクションが大きくなり、かえって変動が大きくな
る。このような高周波の変動は実際のプロセスの各機器
の特性、構成、連続鋳造機固有のプロセスパラメータな
どによって変化するため、一定の条件式によって自動設
定するのは困難である。本発明では、位相補償演算部の
位相補償ゲインを微小量増減させて制御を実行し、結果
的に当該周波数の湯面レベル変動が、増大するか減少す
るかを観察し、これが減少するように位相補償ゲインを
設定しなおすことによって、最適値を探し出す方法を用
いる。一例として、以下のように位相補償演算部25の
位相補償ゲインを試行錯誤的に求める方法を説明する。
【0098】位相補償演算部25にはあらかじめ位相補
償ゲインKg の初期値を設定し、この位相補償ゲインK
g の値を微小量増減させて湯面レベル制御を実行し、そ
の間で湯面レベル変動(湯面レベル偏差eの振幅)が減
少、または増大したかを評価する。位相補償ゲインKg
を増減させた結果、湯面レベル変動が増大する場合には
g は誤った方向に増減させたことになるから、Kg
前回の増減操作とは逆方向に増減させる。位相補償ゲイ
ンKg を増減させた結果、湯面レベル変動が減少するな
ら、Kg の調整方向は正しい方向に増減したことにな
り、さらに同方向に増減させてより最適なKg の値を探
すためさらに増加させる。
【0099】このような操作を有限回繰り返してその中
から最適なKg 、すなわち湯面レベル変動が最小になる
g を選んで、新たなKg として設定する。あるいは、
常時この操作を毎回実行し、常に最適なKg を維持する
ようにしてもよい。
【0100】湯面レベル変動の大小比較は、演算処理が
簡単な二乗平均で比較し評価するのが好ましい。実プロ
セスに適用するには、1回の試行時間としてバンドパス
フィルタ22の基本周期T((秒);バンドパス周波数
の逆数=1/fb )の整数倍の時間をとるのが望まし
い。また、過渡状態の影響を除くため、各回の試行ごと
にKg を変化させてから少なくとも1周期T(秒)後か
ら二乗平均計算を開始するのが望ましい。位相補償ゲイ
ンの最適化は位相補償演算部25に関わるものであるか
ら、湯面レベル変動は特定の周波数、すなわちバンドパ
ス周波数(位相補償器周波数でもある)の成分のみ二乗
平均を求めるのがよい。従って、本発明においては、湯
面レベル変動の二乗平均の観察はバンドパスフィルタ2
2の出力値eb から求めている。
【0101】Kg を微小量変化させつつ最適な値を探す
方法として、例えば以下のような適応学習法が好適であ
る。図21は本発明の位相補償ゲインKg の設定方法例
を示すフローチャートである。同図においてステップS
1では、初期設定を行い、ステップS2では過去1周期
の間求めた湯面レベル変動の二乗平均を求め、ステップ
S3ではその判定を行っている。ステップS4またはス
テップS6では、湯面レベル変動の二乗平均Wn が前回
の値Wn-1 より大きい場合(誤差範囲εより大きい)は
n の値を微小量増加させ再び制御を続行する。逆にW
n が前回の値Wn-1 より小さい場合、Kn の値を微小量
減少させる。ステップS5は適正なKg が設定されてい
て変更不要の場合である。これをくり返し実行すること
により、常時最適なKg が維持できる。
【0102】先に述べたように、非定常バルジング性湯
面レベル変動あるいはピンチロール偏心に起因する湯面
レベル変動は単一の周波数成分のみではなく、複数の周
波数成分が含まれることがある。これに対応するため、
制御ループに介在させるノッチフィルタ21には複数種
類の周波数を減衰させる特性を持たせるのが望ましい。
このことは、1つのノッチ周波数を持つノッチフィルタ
21を複数直列接続し、全体を一つのノッチフィルタ2
1とみなすこと、すなわち複合ノッチフィルタを構成し
て従来のノッチフィルタに置き換え、制御ループ中に挿
入することで実現できる。
【0103】同様に、位相補償演算部25についても、
複数の周波数に対応させるためには1つのバンドパス周
波数を有する位相補償演算部25を複数並列接続し、全
体を一つの位相補償演算部としてみなすこと、すなわ
ち、複合位相補償演算部を構成して従来の位相補償演算
部に置き換えることで実現できる。
【0104】図22は本発明に係る複数の周期性外乱周
波数に対応した制御系を示すブロックダイアグラムであ
る。同図において図12、17、18と同一要素は同一
符号で示し、同一要素が複数ある場合は枝番を付してい
る。また、図17、18と同様、図12の二点鎖線枠で
囲った部分のみを示す。同図において、複合ノッチフィ
ルタはノッチフィルタ21−1、21−2および21−
3の3つのノッチフィルタを直列接続したもので構成さ
れている。また、複合位相補償演算部32は3つの位相
補償演算部25−1、25−2、25−3および複合位
相補償演算部加算器33で構成されている。3つの位相
補償演算部25−1、25−2、25−3に対して、湯
面レベル偏差が入力され、各々の出力は複合位相補償演
算部加算器33で足し合わされており、全体で位相補償
演算部25−1、25−2および25−3の並列接続と
なっている。位相補償演算部25−1はバンドパスフィ
ルタ22−1、位相補償器23−1および位相補償ゲイ
ン部24−1で構成されている。位相補償演算部25−
2、25−3についても同様である。さらに、複合位相
補償演算部加算器33で足し合わされた結果は、出力加
算器26で制御則部16の出力と足し合わされて、スト
ッパ駆動装置への制御信号となる。
【0105】先に述べた周波数解析部27による周波数
自動設定機能により、ノッチフィルタ21−1のノッチ
周波数は一つの周期性外乱周波数f1 に設定され、バン
ドパスフィルタ22−1のバンドパス周波数もおなじ周
期性外乱周波数f1 に設定される。同様に、ノッチフィ
ルタ21−2、21−3およびバンドパスフィルタ22
−2、22−3の周波数は他の周期性外乱周波数f2
3 にそれぞれ設定される。図22においては、これら
の自動設定経路を点線で示している。
【0106】図22においてはさらに、先に述べたノッ
チ比率gおよび位相補償ゲインKgの自動設定機能が各
々のノッチフィルタ21−1、21−2、22−3およ
び各々の位相補償ゲイン部24−1、24−2、24−
3に対して行われる。これらの自動設定経路を破線で示
す。ただし、図18で示したノッチ比率設定部28、位
相補償ゲイン設定部30に相当するブロックは省略して
おり、周波数解析部27から直接各々のノッチフィル
タ、位相補償ゲイン部に設定するように図示している。
【0107】次に図17におけるノッチフィルタ21お
よびバンドパスフィルタ22への周期性外乱周波数の自
動設定方法において、周波数解析部27の別の態様につ
いて説明する。
【0108】前述のように、連続鋳造機の湯面レベル制
御における周波数解析をFFTで行う場合、検出すべき
周期性外乱周波数は0.1〜0.5Hzである。このう
ち、2次冷却帯のロール間隔に起因する周期性外乱周波
数は0.2から0.5Hzである。2次冷却帯のロール
間隔(距離)の差は10〜15%である。従って、前記
周波数解析の分解能は0.02Hz程度を確保する必要
があり、FFT解析のためのサンプル数は29 (=51
2)以上となる。制御のサンプリング周期は一般に0.
1秒程度であり、この結果サンプリングに必要な最小時
間は51.2秒である。
【0109】一方、連続鋳造機においては、鋳造開始後
または終了時の鋳造速度上昇、下降あるいは品質点検・
タイミング調整等のための鋳造速度増速・減速がある。
速度の増減とともに、最終凝固点(クレータエンド)の
位置の変化があり、これにともなう非定常バルジングの
状態の変化、すなわち、非定常バルジングを発生させる
ロール間隔種類の変化があって、別の周期性外乱周波数
が突然現れることがある。これらの周期性外乱周波数の
種類の変化、周波数の変化に対して、FFT法は変化が
完了した時点からサンプリングを開始し、周波数解析結
果が結果が出て本発明の制御系パラメータへの設定が行
われるのは周波数等の変化の終了後50秒以上経過して
からである。品質・歩留の向上およびブレークアウト減
少の観点からこの時間の短縮がのぞましい。
【0110】本発明が提供する周波数解析部27の別の
態様は、内部の可変周波数発振器によって、湯面レベル
変動の周期性外乱周波数に同調しながら、その周波数を
求める方式である。以下の説明ではこの方式を同調型周
波数解析(PLL;Phase Lock Loop とも略称する)と
よぶ。
【0111】図23は本発明の同調型周波数解析法によ
る周波数解析方法を示すブロックダイアグラムである。
同図において、符号34は可変周波数発振器、35は掛
算器、36はローパスフィルタ、37は周波数測定器で
ある。これらの要素が複合したものが周波数解析部27
を構成している。
【0112】図17と同様に、周期性外乱周波数を含ん
だ湯面レベル信号または湯面レベル偏差信号(湯面レベ
ル変動)が周波数解析部27に入力されるが、周波数解
析部27の内部では掛算器35に入力される。一方、掛
算器35には可変周波数発振器34から正弦波が入力さ
れ、掛算結果の出力を一旦ローパスフィルタ36を経由
させることにより、湯面レベル変動と可変周波数発振器
の周波数差に相当する「うなり」の成分が抽出される。
この「うなり(周波数差信号)」の値によって可変周波
数発振器34の周波数を変更する。
【0113】周波数測定器37は可変周波数発振器34
の出力を観測し、出力値がゼロになった時点(ゼロクロ
ス)から次にゼロになった時点までの時間をT/2(T
は周期(秒))として、f=1/Tを周波数とする。こ
の周波数が可変周波数発振器34の発振周波数である。
【0114】図23のようにPLL法による周波数解析
部27を用いて湯面レベル制御系を構成することによ
り、周期性外乱周波数と可変周波数発振器34の周波数
とが常時一致(同調)する。
【0115】上記の同調の原理は数学的には以下のよう
に説明できる。湯面レベル変動の信号e(t)に含まれ
る特定の周期性外乱周波数ωi (ただし、角周波数とし
て表す)の成分をvi 、周波数ωp の可変周波数発振器
34の信号をv p とすると、 ここで、φp 、φi は時刻0における各々の信号の位相
である。
【0116】通常、ωp ≠ωi であるが、可変周波数発
振器34の周波数を連続的に変更するとき、周波数差を
位相差に置換えることができる。すなわち、式(16)の角
周波数ωi をωp で置き換え、位相自体が時間的に変化
するものとみなすと、(15)式および(16)式は、 ここで、θp (t) =φp であり、ωi t +φi =ωp t
+θi (t) である。すなわち、θp (t) およびθi (t)
は、周期性外乱周波数および可変周波数発振器34に与
えられる位相変化とみなすことができる。
【0117】掛算器35の出力は、(17)式および(18)式
の積となり、 として表される。
【0118】図23において、掛け算の結果をローパス
フィルタ36に通すと、(19)式の右辺第2項は消去さ
れ、第1項のみが残る。これをvd (t) とすると、 となる。(20)式は掛算器35の出力の「うなり」または
周波数差信号に相当する。
【0119】本発明では(20)式で表されるvd (t) に応
じて可変周波数発振器34の周波数を変化させるが、上
述のように角周波数の変化を位相変化(位相シフト)と
みなすと、位相変化θp (t) の速度をvd (t) に比例さ
せるように変化させることで定義づけられ、
【0120】
【数9】 として表せる。
【0121】または、
【0122】
【数10】 としても表現できる。ただし、K0 は可変周波数発振器
34の周波数変更のゲインである。
【0123】(22)式により、(17)式は、
【0124】
【数11】 と表される。(22)式の{ }内の積分項は、前記「うな
り」を可変周波数発振器34にフィードバックすること
によって、時刻0から現在時刻tまでに行われた可変周
波数発振器34の位相シフトの累計を表しているが、前
述のように、角周波数ωp を変化させることと等価であ
る。
【0125】ここで、(20)式{ }内の{θp (t) −θ
i (t)+π/2}、あるいはωp が最終的にどのような値と
なるかを確認する。 とすると、(21)式および(20)式より、
【0126】
【数12】 ただし、KL =1/2 ・K0 p i である。
【0127】ここで、t=0における周期性外乱周波数
と発振周波数の差をΔω=ωi −ω p とすると、(15)式
〜(18)式より、 と表すことができる。
【0128】あるいは、
【0129】
【数13】 と表すことができる。
【0130】(25)式および(27)式より、
【0131】
【数14】 が導出される。
【0132】図24は本発明のPLL法に係る(28)式の
微分方程式の解を検討するためのΘ(t) に関する位相状
態図である。同図においては、|Δω|<KL であれば
位相状態のグラフが横軸と交わっているため、−π/2<
Θ(t) <π/2の範囲で dΘ(t)/dt=0、すなわちΘ(t)
=一定の条件を満たす解が存在する。
【0133】同図において、Θ(t) はΘ(t) =0の近傍
では正弦曲線を直線で近似できるので、(28)式を、
【0134】
【数15】 と表すことができる。
【0135】従って、(29)式のΘ(t) に関する微分方程
式の近似解として、
【0136】
【数16】 が得られる。
【0137】(30)式は、t=∞で、
【0138】
【数17】 となる。
【0139】(30)式または(31)式は、位相差Θ(t) がt
=∞でΔω/KL に収束することを示しており、このと
き(20)式のvd (t) は、=1/2 ・Ap i sin{Δω/
L}なる一定値で安定する。
【0140】また、(17)式のvp (t) は、t=∞におい
て、 として、可変周波数発振器34の発振周波数ωp がωi
に収束することを示す。この状態が同調状態である。
【0141】図25は周期性外乱周波数を有する信号に
対して可変周波数発振器34の発信周波数が同調する状
態のシミュレーション結果を示すグラフである。同図は
図23のブロックダイアグラムにおいて、周期性外乱周
波数に相当する入力vi (t) =sin(ωi t) 、可変周波
数発振器34の出力vp (t) =sin(ωpt) 、掛算器3
5の出力およびローパスフィルタ36の出力の時間変化
を示している。同図において、時刻0で、vi とvp
の間に位相差はなく、周波数に差がある状態を示してい
る(fp =ωp /2π=0.3Hz:可変、fi =ωi
/2π=0.33Hz:一定)。
【0142】同図においては、時刻0〜5秒の期間では
i 、ローパスフィルタ36通過後の出力vd が漸増す
るとともに、vp とvi の位相差が漸増(ωp の位相が
漸次遅れてくる)している。
【0143】次いで、時刻5〜15秒では、ローパスフ
ィルタ36通過後の出力vd がさらに増加するととも
に、ωp が漸増し、位相差の拡大が減少してくる。最後
に、時刻15秒以後は、ローパスフィルタ36通過後の
出力vd はほぼ一定値となり、ωp はほぼωi と等しく
なり、位相差は一定に保持される。この状態が同調した
状態である。
【0144】以上述べたように、同調型周波数解析(P
LL)法を用いれば、15〜20秒程度で同調を検出で
きるため、FFT法の周波数解析に比べて短時間で周期
性外乱周波数を求めることができる。
【0145】なお、図25のグラフに示すように、PL
L法は、時刻0時点での可変周波数発振器34の発振周
波数fp と周期性外乱周波数fi の差が小さいほど同調
に要する時間が短縮されるという特徴がある。すなわ
ち、周期性外乱周波数fi が急に発生する場合(ステッ
プ状変化)には、あらかじめ予想される周期性外乱周波
数fi に近い発振周波数を可変周波数発振器34に与え
ておけば、同調に要する時間を短縮することができる。
【0146】また、本発明のPLL方式は常時連続的に
同調周波数を求めているため、常時fp ≒fi の関係が
成立っている。従って、周期性外乱周波数fi が漸増ま
たは漸減する場合(ランプ状変化)にも、発振周波数f
p が逐次fi に追随するため、ほぼ時間遅れなしに周期
性外乱周波数を求めることができ、即応性が高い。
【0147】しかしながら、本発明のPLL方式による
周波数解析では、周期性外乱の振幅情報は得られないた
め、振幅情報に基づいて制御パラメータを設定する方
法、例えば、本発明の要旨(3) に述べたノッチフィルタ
21のノッチ比率の自動設定はできない。従って、湯面
レベル変動の振幅が大きく変化する鋳造開始直後、ある
いは鋳造速度を急激に増減するような場合はPLL方式
の使用を避け、FFT方式による周期性外乱周波数およ
び制御ゲイン等の自動設定で対応するか、あるいは周期
性外乱周波数の自動設定のみPLL方式で即時対応し、
平行してFFTによる振幅検出を行ってノッチ比率等の
自動設定をするなど、それぞれの特長を活かした制御方
式を用いるのが好ましい。
【0148】(第2の実施の形態)次に、本発明の第2
の実施の形態を説明する。なお、以降の説明では、前述
した第1の実施の形態と相違する部分だけを説明し、共
通する部分については同一の図中符号を付すことによ
り、重複する説明を適宜省略する。
【0149】図26は、前述した特開平10−3149
11号公報により開示された技術を模式的に示す説明図
である。同図に示すように、この技術は、湯面レベル制
御器12において周期性を有するレベル変動(湯面レベ
ル信号)の位相を進めて遅れ分を補償するため、位相補
償器23を制御則部16と並列に介在させることにより
進め要素の出力に制御ゲインを乗じ、これを位相補償器
23から出力される制御指令と足し合わせることによ
り、給湯機構の開度を調整していた。
【0150】図27は、前述した第1の実施の形態を模
式的に示す説明図である。同図に示すように、第1の実
施の形態では、湯面レベル制御器12の制御ループ内
に、周期性外乱周波数を含む周波数を有する信号を遮断
するノッチフィルタ21を追加することにより、レベル
変動が増大するのを防止している。
【0151】ところで、第1の実施の形態では、給湯機
構の開度を決定する制御信号(図26における加算器2
6からの出力信号)のゲインを決定・調整することは考
慮されているが、その制御信号の位相については、固定
の値としている。
【0152】しかし、位相補償器23のゲインを変更し
て高めたり、あるいは位相を変更すると、高周波域では
制御特性が不安定になり、実際に鋳型の湯面レベル制御
では、鋳型内の湯面の波立ちにより制御が不安定になる
可能性がある。
【0153】ここでいう「波立ち」とは、鋳型内の湯面
レベル変動であるが、鋳片がバルジングすることによる
鋳片内部の未凝固部の溶鋼の体積変化による湯面レベル
の変動ではなく、ただ単に、鋳型内の溶鋼の表面近傍で
発生する湯面レベル変動のことである。
【0154】そこで、本実施形態では、周期性湯面変動
を抑制するととともに鋳型内の湯面の波立ちによる高周
波域の外乱に対して制御を安定にするために、位相補償
器23のゲインと位相補償器23の位相進め量とをとも
に最適化する。
【0155】図28は、本実施形態の湯面レベル制御器
12の制御ブロックを示す説明図である。同図に示すよ
うに、本実施形態の湯面レベル制御器12は、図27に
その構成例を示す第1の実施の形態の湯面レベル制御器
12において、位相面軌道形状判定器40を追加したも
のである。
【0156】位相面軌道形状判定器40は、スライディ
ングノズル等の給湯機構を開閉し給湯量を調節するため
の制御指令と、湯面レベル変動の信号(湯面レベル信
号)とを入力することにより得られる位相面軌道形状か
ら、位相補償量とゲインの適否を判定する演算器であ
る。
【0157】位相面軌道形状判定器40は、入力された
湯面レベル変動の信号の変動量と給湯機構の開度指令の
変動量とを同一平面上にプロットすることにより、位相
面軌道形状を描く。
【0158】図29〜図31は、いずれも、湯面レベル
制御器12による位相進め量と位相面軌道形状判定器4
0とにより描かれる位相面軌道形状との関係を示す説明
図であって、図29(a)〜図31(a)は、いずれ
も、湯面レベル変動(実線)と給湯機構の開度指令(破
線)との関係を示し、一方、図29(b)〜図31
(b)は、いずれも、位相面軌道形状を示しており、横
軸が湯面レベル変動量であり、縦軸が給湯機構の開度指
令である。さらに、図29は位相補償器23による位相
進め量が0°である場合であり、図30は位相補償器2
3による位相進め量が90°である場合であり、図31
は位相補償器23による位相進め量が45°である場合
である。
【0159】図29(a)および図29(b)に示すよ
うに、位相補償器23による位相進め量が0°である場
合、すなわち位相補償器23による位相進め量が適正で
ない場合、位相面軌道形状判定器40により描かれる位
相面軌道形状は直線状になる。
【0160】また、図30(a)および図30(b)に
示すように、位相補償器23による位相進め量が90°
である場合、すなわち位相補償器23による位相進め量
が適正である場合、位相面軌道形状判定器40により描
かれる位相面軌道形状は略真円形状となる。
【0161】さらに、図31(a)および図31(b)
に示すように、位相補償器23による位相進め量が45
°である場合、すなわち位相補償器23による位相進め
量が図29および図30に示す場合の中間の値であって
適正でない場合、位相面軌道形状判定器40により描か
れる位相面軌道形状は、位相進め量に応じて変化する楕
円状となる。
【0162】鋳型内の湯面の状態が、湯面の波立ちが発
生しない理想的な状態であると仮定すると、位相補償器
23による位相進め量を90°に設定するとともに位相
補償器23による位相補償指令のゲインを大きく設定す
ることにより、位相面軌道形状は種々の楕円状を示す過
度応答特性を呈しながらも、小さな真円形状に収斂して
いく。
【0163】図32は、この過度応答特性を呈している
際の湯面レベル制御器12による位相進め量と、位相面
軌道形状判定器40により描かれる位相面軌道形状との
関係を示す説明図であって、図32(a)は湯面レベル
変動(実線)と給湯機構の開度指令(破線)との関係を
示し、一方、図32(b)は位相面軌道形状の変化を示
しており、横軸が湯面レベル変動量であり、縦軸が給湯
機構の開度指令である。
【0164】しかし、実際には、位相補償器23による
位相補償指令のゲインを大きく設定すること、あるいは
位相補償器23による位相進め量を90°に近つけるこ
とにより、鋳型内の湯面の波立ちが発生し、高周波域の
不安定性が増大し、発散してしまうことがある。
【0165】図33は、鋳型内の湯面の波立ちが発生し
て高周波域の不安定性が増大している際の湯面レベル制
御器12による位相進め量と、位相面軌道形状判定器4
0により描かれる位相面軌道形状との関係を示す説明図
であって、図33(a)は湯面レベル変動(実線)と給
湯機構の開度指令(破線)との関係を示し、一方、図3
3(b)は位相面軌道形状の変化を示しており、横軸が
湯面レベル変動量であり、縦軸が給湯機構の開度指令で
ある。
【0166】このような発散現象が発生する原因は、位
相補償器23による位相進め量が0度のレベル振動、す
なわち位相補償器23の前段に設けたバンドパスフィル
タ22の帯域外のレベル変動が発生するためである。こ
のレベル振動は、体積変動を伴っていないために給湯機
構による給湯量を調節しても抑制できない。
【0167】そこで、本実施形態では、位相面軌道形状
判定器40に求められた位相面軌道形状に基づいて、位
相補償器23により設定される、位相補償指令のゲイン
Kと位相補償指令の位相進め量φとを、以下に示す手順
で最適値に適用修正する。
【0168】図34は、位相面軌道を示す図である。す
なわち、S/N開度指令とレベル変動信号の位相面軌道
の形状は、S/N開度指令をy軸とし、レベル変動信号
をx軸とするS/N指令とレベル変動信号の位相差によ
り、図34のようになる。
【0169】ここで位相差:ψ=arcsin(b/a)であ
る。図35、図36、図37、図38および図39は、
位相面軌道の形状判定パラメータを示す図である。
【0170】図35に示すように、楕円の半径軸がなす
角をΘとし、楕円状の位相面軌道に外接する長方形のY
軸に平行な辺との接点と原点を結んだ直線がなす角度を
θとし、辺の長さをAおよびBとする。
【0171】位相補償が小さい場合は、図36に示すよ
うに、θはΘとほぼ同じ角度であるが、位相補償が進
み、位相差:ψが、徐々に90°に近づくと、図37に
示すように、θはΘより離れ小さく(0度)になる。
【0172】制御ゲインが小さい場合は、図38に示す
ように、x軸に対して、y軸が小さいので、B>Aで横
長の楕円かつ長方形となる。逆に制御ゲインが大きい場
合は、図39に示すように、x軸に対して、y軸が大き
いので、B<Aで縦長の楕円かつ長方形となる。
【0173】これらをベースに、位相面軌道の形状と位
相補償量とゲインの状況をパターン化する。図40〜図
44は、いずれも、位相面軌道形状判定器40に求めら
れた位相面軌道形状と、本実施形態の位相補償器23に
よる制御を行われた後のこの位相面軌道形状とを示す説
明図であり、図40(a)〜図44(a)は、いずれ
も、制御前の位相面軌道形状を示し、図40(b)〜図
44(b)は、いずれも、制御後の位相面軌道形状を示
す。
【0174】位相補償器23は、位相補償指令のゲイン
Kの初期値K0 (本実施形態では90°とした)を設定
されている。この初期値K0 は、事前の確認実験やシュ
ミレーション等の適宜手段により予め設定される。
【0175】位相補償器23は、位相補償指令のゲイン
Kを、高周波域の不安定性が現れない限り、初期値K0
から設定変更していく。なお、位相補償指令のゲインK
が初期値K0 である時点で既に高周波域の不安定性が存
在している場合には、位相補償器23による位相進み量
を90°から適当なきざみ量で暫時減算して小さくす
る。なお、位相補償指令のゲインKの設定変更の際、位
相補償器23により、設定変更量に適当なきざみ量が暫
時加算されるようにしてもよい。
【0176】また、位相補償指令のゲインKのこの設定
変更の際に、高周波域の不安定性が発生したら、その発
生時点のゲインKより暫時減算して設定変更する。すな
わち、位相面軌道形状判定器40に求められた位相面軌
道形状が図40(a)に示す場合は、角度θは、Θより
小さく、0°に近いことから、位相進め量φは適当であ
るものの、位相面軌道に外接する長方形の辺の値A/B
が小さい横長に扁平な楕円であることから位相補償指令
のゲインKが適正値よりも小さいことがわかる。そこ
で、この場合には、位相補償器23は、位相補償指令の
ゲインKを、高周波域の不安定性が現れない限り、初期
値K0 から大きく設定変更していく。
【0177】また、位相面軌道形状判定器40に求めら
れた位相面軌道形状が図41(a)に示す場合は、角度
θは、Θより小さく、0°に近いことから、位相進め量
φは適当であるものの、位相面軌道に外接する長方形の
辺の値A/Bが大きい縦長の扁平な楕円であることから
位相補償指令のゲインKが適正値よりも大きいことがわ
かる。そこで、この場合には、位相補償器23は、位相
補償指令のゲインKを、高周波域の不安定性が現れない
限り、初期値K0 から小さく設定変更していく。
【0178】また、位相面軌道形状判定器40に求めら
れた位相面軌道形状が図42(a)に示す場合は、角度
θは、大きく、Θに近い値であることから位相進め量φ
は適正値よりも小さく、かつ、位相面軌道に外接する長
方形の辺の値A/Bが大きい縦長の扁平な楕円であるこ
とから位相補償指令のゲインKが適正値よりも大きいこ
とがわかる。そこで、この場合には、位相補償器23
は、位相補償指令の位相進め量φを大きく設定変更して
いくとともに、位相補償指令のゲインKを、高周波域の
不安定性が現れない限り、初期値K0 から小さく設定変
更していく。
【0179】また、位相面軌道形状判定器40に求めら
れた位相面軌道形状が図43(a)に示す場合は、角度
θは、大きく、Θに近い値であることから位相進め量φ
は適正値よりも小さく、かつ、位相面軌道に外接する長
方形の辺の値A/Bが大きい縦長の扁平な楕円であるこ
とから位相補償指令のゲインKが適正値よりも小さいこ
とがわかる。そこで、この場合には、位相補償器23
は、位相補償指令の位相進め量φを大きく設定変更して
いくとともに、位相補償指令のゲインKを、高周波域の
不安定性が現れない限り、初期値K0 から大きく設定変
更していく。
【0180】さらに、位相面軌道形状判定器40に求め
られた位相面軌道形状が図44(a)に示す場合は、角
度θは、大きく、Θに近い値であることから位相進め量
φは適正値よりも小さく、かつ、位相面軌道に外接する
長方形の辺の値A/Bが1に近い楕円であることから位
相補償指令のゲインKが適正値に近いことがわかる。そ
こで、この場合には、位相補償器23は、位相補償指令
の位相進め量φを大きく設定変更していく。
【0181】これにより、図40(a)〜図44(a)
のいずれに示す場合においても、図40(b)〜図44
(b)にそれぞれ示すように、位相補償指令の位相進め
量φおよび位相補償指令のゲインKがいずれも最適値に
近づいていき、これにともなって、位相面軌道形状は小
さい真円形状に近づいていく。
【0182】図45は、本実施形態の位相補償器23に
よって、位相補償指令の位相進め量φおよび位相補償指
令のゲインKがいずれも最適値に設定変更される際の判
断ロジックを示すフロー図である。
【0183】図45において、ステップ(以下、「S」
と略記する)1において、位相補償指令のゲインKの初
期値K0 、位相補償指令の位相進め量φの初期値φ0
90°、位相補償指令のゲインKの変更量ΔK、位相補
償指令の位相進め量φの変更量Δφとして制御が開始さ
れる。そして、S2に移行する。
【0184】S2において、得られた位相面軌道形状に
基づき、位相が最適か否かが判定される。最適であると
判定された場合にはS3に移行し、最適でないと判定さ
れた場合にはS4に移行する。
【0185】S3において、位相補償指令のゲインKの
新たな設定値K0 がK0 =K0 +ΔKとして求められ
る。そして、S5へ移行する。一方、S4において、位
相補償指令の位相進め量φの新たな設定値φ0 がφ0
φ0 −Δφとして算出される。そして、S12に移行す
る。
【0186】S12において、得られた位相面軌道形状
に基づき、位相が最適か否かが判定される。最適である
と判定された場合にはS13に移行し、最適でないと判
定された場合にはS4に移行する。
【0187】S13において、位相補償指令の位相進め
量φの新たな設定値φ0 がφ0 =φ 0 −Δφ/2n とし
て算出される。そして、S14に移行する。S14にお
いて、S13と同様に、φ1 〜φn+1 が算出される。そ
して、S15に移行する。
【0188】S15において、得られた位相面軌道形状
が最適か否かが判定される。最適であると判定された場
合には、S13に移行し、最適でないと判定された場合
にはS16に移行する。
【0189】S16において、位相補償指令の位相進め
量φの変更量Δφが、Δφ=−Δφとして設定される。
そして、S17に移行する。S17において、n≦n
max であるか否かが判定される。n≦nmax である場合
にはS13に移行し、n≦nmax である場合にはS15
に移行する。
【0190】S5において、得られた位相面軌道形状が
最適か否かが判定される。最適であると判定された場合
には、S3に移行し、最適でないと判定された場合には
S6に移行する。
【0191】S6において、位相補償指令のゲインKの
新たな設定値K0 がK0 =φ0 −ΔK/2n として算出
される。そして、S7に移行する。S7において、S6
と同様に、φ1 〜φn+1 が算出される。そして、S8に
移行する。
【0192】S8において、得られた位相面軌道形状が
最適か否かが判定される。最適であると判定された場合
には、S6に移行し、最適でないと判定された場合には
S9に移行する。
【0193】S9において、位相補償指令のゲインKの
変更量ΔKが、ΔK=−ΔKとして設定される。そし
て、S10に移行する。S10において、n≦nmax
あるか否かが判定される。n≦nmax である場合にはS
6に移行し、n≦nmax である場合にはS11に移行す
る。
【0194】S11において、制御を終了する。図46
は、図45に示す判断ロジックにより、位相補償器23
により、位相補償指令の位相進め量φおよび位相補償指
令のゲインKがいずれも最適値に設定変更される際の、
ゲインKおよび位相進め量φそれぞれが収束する状況を
示す図である。
【0195】図46に示すように、図45のS3により
ゲインKが変更され、図45のS4により位相進め量φ
が変更され、さらに、図45のS3によりゲインKがさ
らに変更されることによって、位相補償指令の位相進め
量φおよび位相補償指令のゲインKがいずれも最適値に
設定変更される。
【0196】このように、本実施形態によれば、湯面レ
ベルの変動信号と給湯機構の開度制御指令との位相平面
図として得られる位相面軌道形状の楕円状の真円度が向
上し、面積が減少するように、位相補償器23による位
相進め量φおよびゲインKをいずれも最適値に修正して
設定することができる。
【0197】このため、本実施形態によれば、位相補償
器23のゲインを変更して高めたり、あるいは位相を変
更しても、高周波域においても制御特性が安定し、実際
に鋳型の湯面レベル制御においても、鋳型内の湯面の波
立ちが発生しても、制御が安定する。このため、本実施
形態によれば、周期性湯面変動を抑制するととともに鋳
型内の湯面の波立ちによる高周波域の外乱に対して制御
を安定にすることができる。
【0198】
【実施例】(実施例1)本発明例として図12に示す制
御系を用いて制御シミュレーションを行った。シミュレ
ーションに用いた鋳造条件は以下の通りである。
【0199】 鋳型寸法:厚90mm×幅1200mm、 鋳造速度:3.0m/min、 2次冷却帯ロール間隔:200mm。
【0200】本発明による制御方法を従来技術と比較す
るため、図3に示す湯面レベル制御器のみによる制御系
を用いた制御シミュレーションをあわせて行った。従来
技術の制御系の制御ループ全体の制御系ゲインは図5の
ように0.25Hzで最大になっている。また、本発明
例の湯面レベル制御器の制御パラメータ(制御ゲインお
よび積分時間)は従来例と同じとした。
【0201】図12におけるノッチフィルタ21のノッ
チ周波数、バンドパスフィルタ22のバンドパス周波数
は上記の周期性外乱周波数と同じ値に調整し、ノッチ比
率g=0.2、湯面レベル制御器の制御ゲインKp
1.0、位相補償ゲインKg =0.8とした。
【0202】中厚高速連続鋳造機に発生する外乱を想定
した外乱条件として、周期性外乱周波数f2 :0.25
Hz(=鋳造速度/ロール間隔)、振幅1080cm3
/秒の体積変動(湯面レベルでは±10mm/秒に相
当)を制御系に印加した。この周波数は従来技術の制御
系の共振周波数に相当する。
【0203】図47は従来技術による制御結果を示すグ
ラフである。図48は本発明による制御結果を示すグラ
フである。図47の従来技術による制御例では、印加さ
れた上記の体積変動外乱に対して実際の湯面レベル変動
は±25mmまで増大している。これに対する制御の結
果実際の湯面レベル変動はおよそ±15mmまでに抑制
できた。しかし、この程度の湯面レベル変動は実際の連
続鋳造プロセスでは重大な品質不良若しくはブレークア
ウトをもたらすものである。
【0204】図48に示すように、本発明による制御例
においては、当初は体積変動外乱振幅に近い±10mm
湯面レベル変動が見られたが、その後10程度で±5
mmの範囲に抑制できた。この程度湯面レベル変動は実
際の連続鋳造プロセスでは許容範囲である。
【0205】上記のように従来技術では、外乱(非定常
バルジング)の周波数が制御系固有の共振周波数と同じ
になると、湯面レベル変動が極めて大きくなるが、本発
明によれば、ノッチフィルタによって当該周波数を制御
ループ中で抑制するとともに、位相補償演算部(バンド
パスフィルタおよび位相補償器)によって、バルジング
による体積変動を給湯量を調整することで相殺している
ため、効果的に非定常バルジング性湯面レベル変動を抑
制可能であることがわかった。
【0206】(実施例2)図22に示す本発明の制御系
を用い、非定常バルジングとピンチロール偏心に起因す
る湯面レベル変動が共存し、かつ非定常バルジング性湯
面レベル変動の周波数が変化する場合の制御系のパラメ
ータの自動設定を実施する場合のシミュレーションを行
った。図22に示すように、自動設定の対象はノッチフ
ィルタ、バンドパスフィルタの周波数および湯面レベル
制御器の制御ゲイン、ノッチ比率、位相補償ゲインであ
る。シミュレーションに用いた鋳造条件は以下の通りで
あった。
【0207】 鋳型寸法:厚90mm×幅1200mm、 鋳造速度Vc :2.0〜5.0m/min、 ピンチロール径RSC:100mm 2次冷却帯ロール間隔:d1 =200mm、d2 =25
0mm(2種類)。
【0208】 周期性外乱周波数および振幅: f1 =Vc /2πRSC=0.05〜0.13Hz、2mm f2 =Vc /d1 =0.17〜0.42Hz、3mm f3 =Vc /d1 =0.13〜0.33Hz、3mm シミュレーションでは、鋳造開始から順次鋳造速度を増
し、その間でロール間隔d1 による非定常バルジングが
発生し(時刻T1)、次いでd2 による非定常バルジン
グが重畳して発生し(時刻T2)、さらにピンチロール
偏心による周期性外乱が発生した場合を想定した。
【0209】図49は本発明の自動設定機能による制御
結果を示すグラフである。同図に示すように、当初非定
常バルジングが発生していないとき湯面レベル(4秒毎
の湯面レベル偏差の二乗平均の平方根)は安定していた
が時刻T1で最初の非定常バルジングが発生したときに
湯面レベル変動が増大した。暫くすると制御パラメータ
が最適化され湯面レベル変動が小さくなった。時刻T2
で新たな非定常バルジングが発生したとき、再び湯面レ
ベル変動が増大したが、暫くして安定した。次いで時刻
T3でピンチロール偏心による周期性外乱が発生したと
きに、湯面レベル変動がやや増加したが、まもなく安定
した。
【0210】上記のシミュレーションから、本発明のF
FT法によるノッチ周波数、湯面レベル制御器の制御ゲ
インなどのパラメータ自動設定により、非定常バルジン
グの条件変化に対しても有効に対応できることがわかっ
た。
【0211】(実施例3)本発明のFFT法によるノッ
チ周波数およびバンドパス周波数の自動設定と、本発明
のPLL法によるものとを比較するためにシミュレーシ
ョンを行った。
【0212】シミュレーションの鋳造条件はFFT法、
PLL法とも以下のとおりとした。鋳造速度:3.0m
/minから、10秒で3.6m/minまで鋳造速度
を上昇、2次冷却帯ロール間隔:180mm、この結
果、非定常バルジングによる周期性外乱周波数:0.2
78Hzから0.333Hzに上昇した。
【0213】図50は本発明のFFT法のシミュレーシ
ョン時の鋳造速度および周期性外乱周波数の条件を示す
グラフである。同図において、FFT法では時刻0から
周波数解析のためのサンプリングを開始しているが、5
12点のサンプルを収集し終わらないうちに鋳造速度が
変化し、周期性外乱周波数は変化した。サンプリング区
間が終了した時点で、検出された周波数は、鋳造速度が
増速以前の値であり、変化後の周波数の検知は、今回の
サンプリング区間が終了するまで遅れた。
【0214】図51はFFT法による湯面レベル変動を
示すグラフである。同図に示すように、当初湯面レベル
変動の振幅は1mm程度であったものが、鋳造速度が上
昇しはじめたt=40秒時点から急激に増大し、t=1
00秒付近では5.5mm程度まで増大した。
【0215】図52はPLL法による湯面レベル変動を
示すグラフである。同図に示すように、当初湯面レベル
変動の振幅は1mm程度であったものが、鋳造速度が上
昇しはじめた時点から増大した。しかし、t=約55秒
で最大振幅1.8mmとなり、以後漸減してt=100
秒後にはもとの振幅に回復した。
【0216】以上の比較からわかるように、PLL法で
は鋳造速度の変動に対して安定した湯面レベル制御が可
能になる。 (実施例4)図28〜図46を参照しながら説明した第
2の実施形態の湯面レベル制御器12を用いて、制御シ
ミュレーションを行った。シミュレーションに用いた鋳
造条件は、前述した実施例1と同じとした。
【0217】結果を、図53にグラフにまとめて示す。
図53は、湯面レベル制御器12による位相進め量と、
位相面軌道形状判定器40により描かれる位相面軌道形
状との関係を示す説明図であって、図53(a)は湯面
レベル変動(実線)と給湯機構の開度指令(破線)との
関係を示し、一方、図53(b)は位相面軌道形状を示
しており、横軸が湯面レベル変動量であり、縦軸が給湯
機構の開度指令である。
【0218】図53(a)に示すように、約5秒経過時
に引抜き速度Vcを上昇したことに伴って、周期性のレ
ベル変動が発生した。しかし、本実施例では、位相補償
器23により、直ちに、位相補償指令のゲインKおよび
位相進み量φをそれぞれ最適値に修正設定したため、湯
面レベルの変動を約13秒経過時に抑制できた。
【0219】
【発明の効果】本発明の制御方法および制御装置によ
り、連続鋳造機における非定常バルジング性あるいはピ
ンチロール偏心に起因する周期性外乱の湯面レベル変動
を効果的に抑制することができる。また、本発明により
周期性外乱周波数が変化する場合でも、制御系のパラメ
ータを最適に追随させることができ、高速鋳造を行う場
合にも常時安定した制御が実現できる。
【0220】また、本発明の制御方法および制御装置に
より、位相補償器のゲインを変更して高めたり、または
位相を変更しても、高周波域においても制御特性が安定
する。実際に鋳型の湯面レベル制御において、鋳型内の
湯面の波立ちが発生しても、制御が安定する。このた
め、周期性湯面変動を抑制するととともに鋳型内の湯面
の波立ちによる高周波域の外乱に対して制御を安定にす
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】連続鋳造機の湯面レベル制御系統を示す概要図
である。
【図2】非定常バルジングの発生状況を示す模式図であ
り、同図(a) は鋳片が膨張した場合、同図(b) は鋳片が
収縮した場合を示す。
【図3】図1の制御系統を示すブロックダイアグラムで
ある。
【図4】非定常バルジング発生時の湯面レベル変動を示
すグラフの一例である。
【図5】図3に示した制御系の制御系ゲイン、すなわち
外乱入力に対する湯面レベル変動の大きさを周波数対比
で示すグラフである。
【図6】図4に示した非定常バルジング性湯面レベル変
動の周波数スペクトルを示すグラフである。
【図7】複数の周期性外乱周波数を含む制御系の湯面レ
ベル変動のグラフである。
【図8】図7に示した湯面レベル変動の周波数スペクト
ルを示すグラフである。
【図9】非定常バルジングを抑制する制御方法の一例を
示すブロックダイアグラムである。
【図10】図9に示したノッチフィルタのフィルタゲイ
ンを示すグラフである。
【図11】図9に示した制御系でシミュレーションした
ときの湯面レベル変動を示すグラフである。
【図12】本発明の制御方法を示すブロックダイアグラ
ムである。
【図13】バンドパスフィルタの周波数とそのゲイン
(透過率)の関係を示すグラフである。
【図14】位相補償器の入力と出力の関係を示すグラフ
である。
【図15】図9に示した制御系による外乱抑制シミュレ
ーションを示すグラフである。
【図16】図12に示した本発明の制御系による外乱抑
制シミュレーション結果を示すグラフである。
【図17】本発明によるノッチ周波数、バンドパス周波
数を自動調整する制御方法を示すブロックダイアグラム
である。
【図18】本発明の制御方法の各種ゲインの自動設定方
法を示すブロックダイアグラムである。
【図19】ノッチフィルタのノッチ比率gを求める方法
の一例を示すグラフである。
【図20】本発明の湯面レベル変動の周波数に対して湯
面レベル制御器の制御ゲインKpの修正係数設定例を示
すグラフである。
【図21】本発明の位相補償ゲインKg の設定方法例を
示すフローチャートである。
【図22】本発明に係る複数の周期性外乱周波数に対応
した制御系を示すブロックダイアグラムである。
【図23】本発明の同調型周波数解析法による周波数解
析方法を示すブロックダイアグラムである。
【図24】本発明のPLL法に係る微分方程式の解を検
討するためのΘ(t) に関する位相状態図である。
【図25】周期性外乱周波数を有する信号に対して可変
周波数発振器の発信周波数が同調する状態のシミュレー
ション結果示すグラフである。
【図26】特開平10−314911号公報により開示
された技術を模式的に示す説明図である。
【図27】第1の実施の形態を模式的に示す説明図であ
る。
【図28】第2実施形態の湯面レベル制御器の制御ブロ
ックを示す説明図である。
【図29】位相補償器による位相進め量が0°である場
合について、湯面レベル制御器による位相進め量と、位
相面軌道形状判定器により描かれる位相面軌道形状との
関係を示す説明図であって、図29(a)は湯面レベル
変動(実線)と給湯機構の開度指令(破線)との関係を
示し、一方、図29(b)は位相面軌道形状を示してお
り、横軸が湯面レベル変動量であり、縦軸が給湯機構の
開度指令である。
【図30】位相補償器による位相進め量が90°である
場合について、湯面レベル制御器による位相進め量と、
位相面軌道形状判定器により描かれる位相面軌道形状と
の関係を示す説明図であって、図30(a)は湯面レベ
ル変動(実線)と給湯機構の開度指令(破線)との関係
を示し、一方、図30(b)は位相面軌道形状を示して
おり、横軸が湯面レベル変動量であり、縦軸が給湯機構
の開度指令である。
【図31】位相補償器による位相進め量が45°である
場合について、湯面レベル制御器による位相進め量と、
位相面軌道形状判定器により描かれる位相面軌道形状と
の関係を示す説明図であって、図31(a)は湯面レベ
ル変動(実線)と給湯機構の開度指令(破線)との関係
を示し、一方、図31(b)は位相面軌道形状を示して
おり、横軸が湯面レベル変動量であり、縦軸が給湯機構
の開度指令である。
【図32】図32は、この過度応答特性を呈している際
の湯面レベル制御器12による位相進め量と、位相面軌
道形状判定器40により描かれる位相面軌道形状との関
係を示す説明図であって、図32(a)は湯面レベル変
動(実線)と給湯機構の開度指令(破線)との関係を示
し、一方、図32(b)は位相面軌道形状の変化を示し
ており、横軸が湯面レベル変動量であり、縦軸が給湯機
構の開度指令である。
【図33】鋳型内の湯面の波立ちが発生して高周波域の
不安定性が増大している際の湯面レベル制御器による位
相進め量と、位相面軌道形状判定器により描かれる位相
面軌道形状との関係を示す説明図であって、図33
(a)は湯面レベル変動(実線)と給湯機構の開度指令
(破線)との関係を示し、一方、図33(b)は位相面
軌道形状の変化を示しており、横軸が湯面レベル変動量
であり、縦軸が給湯機構の開度指令である。
【図34】位相面軌道を示す図である。
【図35】位相面軌道の形状判定パラメータを示す図で
ある。
【図36】位相面軌道の形状判定パラメータを示す図で
ある。
【図37】位相面軌道の形状判定パラメータを示す図で
ある。
【図38】位相面軌道の形状判定パラメータを示す図で
ある。
【図39】位相面軌道の形状判定パラメータを示す図で
ある。
【図40】位相面軌道形状判定器に求められた位相面軌
道形状と、本実施形態の位相補償器による制御を行われ
た後のこの位相面軌道形状とを示す説明図であり、図4
0(a)は制御前の位相面軌道形状を示し、図40
(b)は制御後の位相面軌道形状を示す。
【図41】位相面軌道形状判定器に求められた位相面軌
道形状と、本実施形態の位相補償器による制御を行われ
た後のこの位相面軌道形状とを示す説明図であり、図4
1(a)は制御前の位相面軌道形状を示し、図41
(b)は制御後の位相面軌道形状を示す。
【図42】位相面軌道形状判定器に求められた位相面軌
道形状と、本実施形態の位相補償器による制御を行われ
た後のこの位相面軌道形状とを示す説明図であり、図4
2(a)は制御前の位相面軌道形状を示し、図42
(b)は制御後の位相面軌道形状を示す。
【図43】位相面軌道形状判定器に求められた位相面軌
道形状と、本実施形態の位相補償器による制御を行われ
た後のこの位相面軌道形状とを示す説明図であり、図4
3(a)は制御前の位相面軌道形状を示し、図43
(b)は制御後の位相面軌道形状を示す。
【図44】位相面軌道形状判定器に求められた位相面軌
道形状と、本実施形態の位相補償器による制御を行われ
た後のこの位相面軌道形状とを示す説明図であり、図4
4(a)は制御前の位相面軌道形状を示し、図44
(b)は制御後の位相面軌道形状を示す。
【図45】第2実施形態の位相補償器によって、位相補
償指令の位相進め量φおよび位相補償指令のゲインKが
いずれも最適値に設定変更される際の判断ロジックを示
すフロー図である。
【図46】図45に示す判断ロジックにより、位相補償
器により、位相補償指令の位相進め量φおよび位相補償
指令のゲインKがいずれも最適値に設定変更される際
の、ゲインKおよび位相進め量φそれぞれが収束する状
況を示すグラフである。
【図47】従来技術による制御結果を示すグラフであ
る。
【図48】本発明による制御結果を示すグラフである。
【図49】本発明の自動設定機能による制御結果を示す
グラフである。
【図50】本発明のFFT法のシミュレーション時の鋳
造速度および周期性外乱周波数の条件を示すグラフであ
る。
【図51】FFT法による湯面レベル変動を示すグラフ
である。
【図52】PLL法による湯面レベル変動を示すグラフ
である。
【図53】実施例4の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1:溶湯 2:タンディッシュ 3:浸漬ノズル 4:鋳型 5:鋳片 6:シェル 7:未凝固部 8:2次冷却帯ロール 9:ピンチロール 10:駆動モータ 11:湯面レベル計 12:湯面レベル制御器 13:ストッパ駆動装置 14:ストッパ 15:偏差計算部 16:制御則部 17:ストッパ駆動装置の伝達関数 18:ストッパの伝達関数 19:鋳型の伝達関数 20:湯面レベル計の伝達関数 21:ノッチフィルタ 22:バンドパスフィルタ 23:位相補償器 24:位相補償ゲイン部 25:位相補償演算部 26:出力加算部 27:周波数解析部 28:ノッチ比率設定部 29:制御ゲイン設定部 30:位相補償ゲイン設定部 31:複合ノッチフィルタ 32:複合位相補償演算部 33:複合位相補償演算部加算器 34:可変周波数発振器 35:掛算器 36:ローパスフィルタ 37:周波数測定器

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 湯面レベル制御器を用いた連続鋳造機の
    湯面レベル制御方法において、 非定常バルジングあるいはピンチロールの偏心に起因す
    る湯面レベル変動の周期性外乱周波数を求めること、 湯面レベル制御系の制御ループ中に、特定のノッチ周波
    数の変動成分を選択的に減衰させ、かつ該ノッチ周波数
    が前記周期性外乱周波数を含むように調整されたノッチ
    フィルタを介在させること、 特定のバンドパス周波数の変動成分を選択的に透過さ
    せ、かつ該バンドパス周波数が前記周期性外乱周波数を
    含むよう調整されたバンドパスフィルタと、位相補償周
    波数が周期性外乱周波数を含むよう調整された位相補償
    器と、入力信号に位相補償ゲインを乗じて出力する位相
    補償ゲイン部とを直列に接続して位相補償演算部を構成
    すること、および該位相補償演算部に湯面レベル偏差を
    入力し、該位相補償演算部の出力を湯面レベル制御器の
    演算出力に加算することを特徴とする連続鋳造機の湯面
    レベル制御方法。
  2. 【請求項2】 湯面レベル変動の周波数解析を行ってピ
    ーク成分の周波数を求め、これらの周波数のうち0.1
    Hz以上の周波数を選んで前記周期性外乱周波数を求め
    ることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造機の湯面
    レベル制御方法。
  3. 【請求項3】 前記周波数解析で得られたピーク成分の
    振幅を求め、該振幅に応じて前記ノッチフィルタのノッ
    チ比率を設定し、さらに前記周波数解析から得られるピ
    ーク成分のうち、周波数0.1Hz以上の最低の周波数
    に応じて湯面レベル制御器の制御ゲインを設定すること
    を特徴とする請求項2に記載の連続鋳造機の湯面レベル
    制御方法。
  4. 【請求項4】 前記位相補償演算部の位相補償ゲインを
    微小量増減させ、所定の時間制御を行い、次いでバンド
    パスフィルタの出力値の変動量を測定し、該位相補償ゲ
    インの増減方向と該変動量の増減方向の関係に基いて、
    該変動量が減少するように位相補償ゲインの新たな値を
    設定することを特徴とする請求項2または請求項3に記
    載の連続鋳造機の湯面レベル制御方法。
  5. 【請求項5】 前記ノッチフィルタおよび前記位相補償
    演算部を、それぞれ複合ノッチフィルタおよび複合位相
    補償演算部に置換えた構成とし、 該複合ノッチフィルタを、複数の周期性外乱周波数に対
    してそれぞれのノッチ周波数が各周期性外乱周波数を含
    むように調整され直列に接続された複数のノッチフィル
    タで構成するとともに、 該複合位相補償演算部を、複数の位相補償演算部および
    少なくとも1つの複合位相補償演算部加算器とで構成
    し、かつ該複合位相補償演算部を、該複数の位相補償演
    算部にそれぞれ湯面レベル偏差が入力され、該複数の位
    相補償演算部のそれぞれの出力を該複合位相補償演算部
    加算器で加算した結果が湯面レベル制御器の演算出力に
    加算されるように構成し、 該複数の位相補償演算部のそれぞれは、バンドパスフィ
    ルタ、位相補償器および位相補償ゲイン部とを直列接続
    して構成したものとし、該バンドパスフィルタと該位相
    補償器は、それぞれのバンドパス周波数と位相補償周波
    数とが各周期性外乱周波数を含むように調整されたもの
    とすることを特徴とする請求項1から請求項4までのい
    ずれか1項に記載の連続鋳造機の湯面レベル制御方法。
  6. 【請求項6】 前記湯面レベル変動の周波数解析を行っ
    てピーク成分の周波数を求める際に、 前記制御ループ内に可変周波数発振器を介在させ、湯面
    レベル変動の信号と、前記可変周波数発振器の信号とを
    実時間で乗算し、乗算結果から得られた湯面レベル変動
    および前記可変周波数発振器それぞれの周波数の差信号
    に基いて、該可変周波数発振器の発振周波数を変更し、
    該発振周波数を湯面レベル変動の周期性外乱周波数に同
    調させ、同調した発振周波数から周期性外乱周波数を求
    めることを特徴とする請求項2に記載の連続鋳造機の湯
    面レベル制御方法。
  7. 【請求項7】 前記制御ループ内に位相面軌道形状判定
    器を介在させるとともに、周期性湯面レベル変動の信号
    と、鋳型内に溶鋼を供給するためのタンディッシュに取
    り付けられた給湯機構の開度指令とを前記位相面軌道形
    状判定器に入力し、 前記湯面レベル変動の信号の変動量と前記給湯機構の開
    度指令の変動量とを同一平面上にプロットすることによ
    り得られる楕円状の位相面軌道形状の真円度が向上する
    ように、かつ、面積が減少するように、前記位相補償器
    による位相進め量および/または前記位相補償ゲイン部
    による位相補償ゲインを修正して設定することを特徴と
    する請求項1または請求項6に記載の連続鋳造機の湯面
    レベル制御方法
  8. 【請求項8】 制御系が、 湯面レベルセンサと、 湯面レベル制御器と、 特定のノッチ周波数の変動成分を選択的に減衰させ、か
    つ該ノッチ周波数が、前記湯面レベルの周期性外乱周波
    数を含むように調整されたノッチフィルタと、 特定のバンドパス周波数の変動成分を選択的に透過さ
    せ、かつ該バンドパス周波数が前記周期性外乱周波数を
    含むように調整されたバンドパスフィルタ、位相補償周
    波数が前記周期性外乱周波数を含むように調整された位
    相補償器、および、入力信号に該位相補償器による位相
    補償ゲインを乗じて出力する位相補償ゲイン部を直列に
    接続して構成された位相補償演算部とを少なくとも有
    し、 前記ノッチフィルタは、前記湯面レベルセンサからの湯
    面レベル信号を受け、湯面レベル変動信号を前記湯面レ
    ベル制御器に送る機能を有し、前記バンドパスフィルタ
    は、前記湯面レベルセンサからの湯面レベル信号を受
    け、周期性外乱周波数を含むように調整されたバンドパ
    ス周波数信号を前記位相補償器に送る機能を有し、 前記位相補償器は、周期性外乱周波数を含むように調整
    された位相補償周波数信号を位相補償ゲイン部に送る機
    能を有し、さらに、 前記位相補償演算部は、その出力を前記湯面レベル制御
    器の演算出力に加算する機能を有することを特徴とする
    連続鋳造機の湯面レベル制御装置。
  9. 【請求項9】 前記制御系が、前記周期性外乱周波数を
    検知する周波数検知演算部を有することを特徴とする請
    求項8に記載の連続鋳造機の湯面レベル制御装置。
  10. 【請求項10】 前記周波数検知演算部は、可変周波数
    発振器を有し、 前記湯面レベルセンサから出力される周期性湯面レベル
    変動の信号と前記可変周波数発振器から発振される信号
    とを実時間で乗算し、乗算結果から得られた湯面レベル
    変動および前記可変周波数発振器それぞれの周波数の差
    信号に基づいて、前記可変周波数発振器の発振周波数を
    変更し、該発振周波数を周期性湯面レベル変動の周期性
    外乱周波数に同調させ、同調した発振周波数から周期性
    湯面レベル変動の周期性外乱周波数を求める機能を有す
    ることを特徴とする請求項9に記載の連続鋳造機の湯面
    レベル制御装置。
  11. 【請求項11】 前記制御系が、前記湯面レベル制御器
    の演算出力に加算する前記位相補償演算部の出力を調整
    するための位相面軌道形状判定器を有し、 該位相面軌道形状判定器に入力された周期性湯面レベル
    変動の信号の変動量と前記連続鋳造機の給湯機構の開度
    指令の変動量とを同一平面上にプロットすることにより
    得られる楕円形状の位相面軌道形状の真円度が向上する
    ように、かつ、面積が減少するように、前記位相補償器
    による位相進め量および/または前記位相補償ゲイン部
    による位相補償ゲインを修正して設定する機能を有する
    ことを特徴とする請求項8から請求項10までのいずれ
    か1項に記載の連続鋳造機の湯面レベル制御装置。
JP2000193304A 1999-09-14 2000-06-27 連続鋳造機の湯面レベル制御方法および制御装置 Withdrawn JP2001150113A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000193304A JP2001150113A (ja) 1999-09-14 2000-06-27 連続鋳造機の湯面レベル制御方法および制御装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11-259973 1999-09-14
JP25997399 1999-09-14
JP2000193304A JP2001150113A (ja) 1999-09-14 2000-06-27 連続鋳造機の湯面レベル制御方法および制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001150113A true JP2001150113A (ja) 2001-06-05

Family

ID=26544384

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000193304A Withdrawn JP2001150113A (ja) 1999-09-14 2000-06-27 連続鋳造機の湯面レベル制御方法および制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001150113A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3494135B2 (ja) 2000-08-09 2004-02-03 住友金属工業株式会社 連続鋳造機の湯面レベル制御方法及び湯面レベル制御装置
JP2007007722A (ja) * 2005-07-04 2007-01-18 Sumitomo Metal Ind Ltd 連続鋳造機の湯面レベル制御方法及び湯面レベル制御装置
JP2013041601A (ja) * 2006-08-14 2013-02-28 Seagate Technology Internatl 適応的外乱抑制方法、コンピュータで読み取り可能な記録媒体、適応的外乱抑制装置、ディスクドライブ装置、およびディスクドライブ装置制御方法
JP2014111266A (ja) * 2012-12-05 2014-06-19 Nippon Steel & Sumitomo Metal 連続鋳造機の湯面レベル制御装置、方法及びプログラム
KR20150033718A (ko) * 2012-07-05 2015-04-01 다니엘리 앤드 씨. 오피시네 메카니케 쏘시에떼 퍼 아찌오니 연속으로 주조된 금속 제품의 액체 원뿔체의 폐쇄 위치를 포함하는 주조 라인의 구간을 결정하는 방법
KR20200140901A (ko) * 2018-06-12 2020-12-16 도시바 미쓰비시덴키 산교시스템 가부시키가이샤 철강 플랜트 제어 장치

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3494135B2 (ja) 2000-08-09 2004-02-03 住友金属工業株式会社 連続鋳造機の湯面レベル制御方法及び湯面レベル制御装置
JP2007007722A (ja) * 2005-07-04 2007-01-18 Sumitomo Metal Ind Ltd 連続鋳造機の湯面レベル制御方法及び湯面レベル制御装置
JP2013041601A (ja) * 2006-08-14 2013-02-28 Seagate Technology Internatl 適応的外乱抑制方法、コンピュータで読み取り可能な記録媒体、適応的外乱抑制装置、ディスクドライブ装置、およびディスクドライブ装置制御方法
KR20150033718A (ko) * 2012-07-05 2015-04-01 다니엘리 앤드 씨. 오피시네 메카니케 쏘시에떼 퍼 아찌오니 연속으로 주조된 금속 제품의 액체 원뿔체의 폐쇄 위치를 포함하는 주조 라인의 구간을 결정하는 방법
KR101714942B1 (ko) 2012-07-05 2017-03-09 다니엘리 앤드 씨. 오피시네 메카니케 쏘시에떼 퍼 아찌오니 연속으로 주조된 금속 제품의 액체 원뿔체의 폐쇄 위치를 포함하는 주조 라인의 구간을 결정하는 방법
JP2014111266A (ja) * 2012-12-05 2014-06-19 Nippon Steel & Sumitomo Metal 連続鋳造機の湯面レベル制御装置、方法及びプログラム
KR20200140901A (ko) * 2018-06-12 2020-12-16 도시바 미쓰비시덴키 산교시스템 가부시키가이샤 철강 플랜트 제어 장치
KR102359397B1 (ko) 2018-06-12 2022-02-08 도시바 미쓰비시덴키 산교시스템 가부시키가이샤 철강 플랜트 제어 장치

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2000066293A1 (fr) Regulation du niveau de la surface du metal dans un moule en moulage continu
US5918662A (en) Method of controlling the operation of continuous casting and apparatus therefor
JP2001150113A (ja) 連続鋳造機の湯面レベル制御方法および制御装置
JP2000202606A (ja) 連続鋳造設備のモ―ルド湯面制御装置
US8788084B2 (en) Control method for the meniscus of a continuous casting mold
JP2024177396A (ja) 湯面レベル制御装置および該方法
JP2012170984A (ja) 連続鋳造機のモールド内湯面レベル制御装置及び制御方法
JP5637007B2 (ja) モールド内溶鋼湯面レベル制御方法
JP3271242B2 (ja) 連続鋳造機モールド内湯面レベル制御装置
JP5751144B2 (ja) 連続鋳造機の制御装置および制御方法
CN114867570B (zh) 时变系统的迭代学习控制的故障检测
JP3050230B1 (ja) 連続鋳造機の湯面レベル制御方法
JP3494135B2 (ja) 連続鋳造機の湯面レベル制御方法及び湯面レベル制御装置
JP6065559B2 (ja) 連続鋳造機の湯面レベル制御装置、方法及びプログラム
JP5958311B2 (ja) 連続鋳造機の湯面レベル制御装置、方法及びプログラム
KR101167997B1 (ko) 탕면 레벨 안정화 방법 및 탕면 레벨 안정화 시스템
JP4517960B2 (ja) 連続鋳造機の湯面レベル制御方法及び湯面レベル制御装置
JP2000322106A (ja) 連続鋳造機モールド内湯面レベル制御方法
KR100530465B1 (ko) 고속 연속주조공정에서의 탕면레벨 제어방법
KR101664171B1 (ko) 몰드 내 용강탕면 레벨 제어 방법
JP7415171B2 (ja) 連続鋳造機の湯面レベル制御装置、方法、およびプログラム
JP2000052010A (ja) 連続鋳造機における湯面レベル制御方法
CN116000260B (zh) 一种连铸结晶器非正弦振动系统防共振方法
JP6555234B2 (ja) 連続鋳造機の制御装置、連続鋳造機の制御方法、及び鋼の連続鋳造方法
US12447526B2 (en) Continuous casting plant and corresponding regulation method

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20070904