【発明の詳細な説明】
変形生合成からのクリプトフィシン
本発明は、一部は、National Science
Foundation から助成金:No.CHE−9024748の下での合
衆国政府の支援を受けてなされたものであった。したがって、合衆国政府はこの
発明にある一定の権利を有する。技術分野
本発明は一般にクリプトフィシン化合物の製造に関し、さらに詳しくは、細菌
発酵の使用によるこのような化合物の製造に関する。発明の背景
クリプトフィシンは、本来シアノバクテリア(藍藻類)から単離された、構造
的に関連する化合物群である。このファミリーの化合物は、例えばヴィンブラス
チン、タキソール及びアドリアマイシンのような、現在用いられている抗腫瘍剤
に類似した、広いスペクトルの抗腫瘍活性を有することが判明している。
今までに知られたクリプトフィシン類の中で、クリプトフィシン1(クリプト
フィシンAとも呼ばれる)はシアノバクテリアのある一定のNostoc種によ
って産生される主要な細胞毒である。これは薬物感受性及び薬物耐性の固体腫瘍
に対して優れた活性を示している。この環状デプシペプチドは4単位:2個のヒ
ドロキシ酸単位と2個のアミノ酸単位から成る。2個のヒドロキシ酸単位の化学
量論は次の通りである:(5S,6S,7R,8R)−7,8−エポキシ−5−
ヒドロキシ−6−メチル−8−フェニル−2−オクテン酸(単位A)と(2S)
−2−ヒドロキシ−4−メチル吉草酸(単位D;ロイシン酸)。2個のアミノ酸
単位の化学量論は次の通りである:(2R)−3−(3−クロロ−4−メトキシ
フェニル)アラニン(単位B)と(2R)−3−アミノ−2−メチルプロピオン
酸(単位C)。これらの単位はABCD配列で連結される。
Nostoc種のクリプトフィシン単離物の他に、クリプトフィシン・グルー
プの他の要素は単離物を化学的に修飾することによって製造されている。さらに
、
他の(additional)クリプトフィシンは全合成によって製造されている。これらの
非細菌性(non-bacterial)クリプトフィシンの多くは、治療用途における有益性
を実証することができる活性とin vivo安定性とを示す。しかし、商業的
設定で化合物を製造するために、発酵は部分的化学合成又は全化学合成の使用よ
りもはるかに大きく費用効果的である。残念ながら、ネイティブな細菌発酵によ
って得られるクリプトフィシンの種類(variety)は限定される。
したがって、公知クリプトフィシン化合物と新規なクリプトフィシン化合物の
両方を細菌発酵によって得るための手段を提供することが、望ましいと考えられ
る。
ネイティブな細菌発酵によって得られる化合物に比べたときに安定性と活性と
の改良された性質を示す、新規なクリプトフィシン化合物を発酵によって製造す
ることも望ましいと考えられる。発明の開示
本発明は、細菌発酵における代謝基質の制御使用によって代謝産物としてクリ
プトフィシン化合物を製造する方法を提供する。1態様では、本発明は、所望の
クリプトフィシン化合物を製造するために充分な条件下での置換アミノ酸の存在
中でクリプトフィシン化合物を産生することができる細菌を培養することを含む
。
本発明の態様では、所望のクリプトフィシン化合物を製造するために充分な条
件下での置換アミノ酸の存在中でクリプトフィシンを産生することができる細菌
を培養することによって製造される新規なクリプトフィシン化合物も提供される
。
典型的に、このようなクリプトフィシン化合物は安定なマクロライドを有し、
有益な活性を与えることが判明している置換基を有すると考えられる。図面の簡単な説明
図1は、本発明の選択されたクリプトフィシン化合物と、クリプトフィシンを
特徴的に構成する4種類の異なる酸単位、2個のヒドロキシ酸基(A&D)と2
個のアミノ酸基(B&D)との一般構造を示す。図1はまた、選択された実施態
様におけるヒドロキシ酸単位AとD及び2個のアミノ酸単位BとCのナンバーリ
ング系(numbering system)をも提供する;及び
図2は、選択されたクリプトフィシン化合物に対して電子衝撃質量分光分析を
おこなった場合に得られるフラグメントイオン種の概略図を提供する。発明の詳細な説明
本発明は、細菌発酵における代謝基質の制御使用によって代謝産物としてクリ
プトフィシン化合物を製造する方法を提供する。1態様では、本発明は、所望の
クリプトフィシン化合物を製造するために充分な条件下での置換アミノ酸の存在
中でクリプトフィシンを産生することができる細菌を培養することを含む。
したがって、本発明は、ネイティブな細菌発酵からのごく限定された数のクリ
プトフィシンの製造という問題を克服するための手段を提供する。本発明を用い
ることによって、クリプトフィシン化合物を産生することができる細菌の発酵に
よって製造される所定のクリプトフィシンを得ることができる。典型的に、この
ような所定クリプトフィシン化合物は安定なマクロライドを有し、有益な活性を
与えることが判明している置換基を有すると考えられる。
本発明によると、所望のクリプトフィシン化合物を製造するために充分な条件
下での置換アミノ酸の存在中でクリプトフィシン化合物を産生することができる
細菌を培養することによって製造される新規なクリプトフィシン化合物も提供さ
れる。望ましいクリプトフィシン化合物の選択
クリプトフィシン1の他に、20種類を越える異なるクリプトフィシン化合物
がシアノバクテリアの1菌株(Nostoc種)から単離されうることが判明し
ている。さらに、非常に多くの他のクリプトフィシン化合物が全化学合成又は半
合成によって製造されている。これらの化合物の多くに対して、有益な治療的性
質を与えることに最も重要である種類の化合物の構造特徴を決定するために、構
造−活性関係(SAR)研究がおこなわれている。
これらのSAR研究は、in vivo活性が主として完全なマクロライドを
前提としていることを示している。単位Bにおけるエポキシド基、クロロ基及び
単位Cにおけるメチル基も重要である。SAR研究はさらに、クリプトフィシン
21におけるように、単位Cにおけるメチル基の欠如が単位Cと単位Dとの間の
エステル結合の不安定性を高める(それによって、マクロライドが腫瘍部位に達
する前にin vivoで完全な状態で留まる確率を減ずる)ことを実証してい
る。このエステル結合はクリプトフィシン1に比べてクリプトフィシン21では
100倍より大きく不安定性であった。
クリプトフィシン21はクリプトフィシン1とは、単位Cにメチル基を含有し
ないことのみで異なる。クリプトフィシン1とクリプトフィシン21はin
vitroにおいて本質的に同じ細胞毒姓を示すが、クリプトフィシン21は
in vivoでは不活性であることが発見された。このことは、化合物が腫瘍
部位に達する前に、マクロライドのC−Dエステル結合が破壊されることを示唆
した。
したがって、このような研究の結果に基づくと、クリプトフィシン化合物の望
ましい特徴を、代謝基質の制御選択によって細菌発酵において産生される代謝産
物中にエンジニアリングする(engineered)ことができる。クリプトフィシン化合物を産生することができる細菌
クリプトフィシンは、本来シアノバクテリア(藍藻類)から単離された、構造
的に関連する化合物群である。クリプトフィシン1(クリプトフィシンAとも呼
ばれる)はシアノバクテリアのある一定のNostoc種によって産生される主
要な細胞毒である。上述したように、ネイティブの細菌発酵によっては、限られ
た数の他のクリプトフィシン化合物を得ることができる。
米国特許第4,946,835号に述べられているような、シアノバクテリア
のNostoc種の形態的な特徴は周知であり、Nostoc種を同定するため
の根拠はJ.Gen.Micro.,111:1〜61(1979)に詳述され
ている。
本発明は、例えばNostoc種のようなクリプトフィシン化合物を産生する
ことができる細菌を適当な条件下で培養することができることと、新規なクリプ
トフィシン代謝産物を、既に開示されたクリプトフィシン代謝産物と同様に、こ
の培養物から単離することができることを提供する。本発明の実施態様では、G
SV224と名付けられた、Nostoc種菌株が、培養され、それから既知ク
リプトフィシンと新規なクリプトフィシンの両方が単離される菌株である。
1態様では、本発明の方法はNostoc種の任意の菌株に関し、好ましくは
、非自然的に生ずるクリプトフィシン化合物を産生するNostoc種GSV菌
株
に関する。このために、Nostoc種のGSV224菌株は特許手続きのため
の微生物の国際的寄託に関するブタペスト条約に従って、1993年10月7日
に、American Type Culture Collection(1
2301,Parklawn Drive,Rockville,
Maryland 20852,U.S.A.)によってATCC
Accession No.55483で寄託された。Nostoc種の他の菌
株、特に、Merk and Co.によってATCC Accession
No.53789で既に寄託された菌株MB5357は、本発明の実施に用いる
べく考慮された菌株である。
他の微生物による場合と同様に、Nostoc種の特徴は変化を受ける。例え
ば、所定菌株(specified strain)の組換え体、変異体又は突然変異体を、例えば
紫外線、X線、γ線及びN−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジンの
ような、種々な公知の物理的及び化学的な突然変異原による処置によって得るこ
とができる。クリプトフィシン化合物を産生するという特徴を保有する所定菌株
の全ての天然変異体と誘導変異体、突然変異体及び組換え体が、特許請求する発
明の範囲内に含まれるように意図される。
本発明のクリプトフィシン化合物は、適当な培養培地中の液内(submerged)好
気性条件下でNostoc種の菌株を、実質的な抗生物質活性(antibiotic
activity)が得られるまで培養することによって製造することができる。例えば
固体培地上での表面増殖のような、他の培養方法を用いて、これらの化合物を製
造することもできる。所定菌株を増殖させるために用いる培養培地は、当業者に
公知である多くの窒素及び炭素ソースの任意の1種と無機塩とを包含することが
できる。製造の経済性、最適の収率及び生成物単離の容易さが、用いるべき炭素
及び窒素ソースを選択する場合に考慮すべきファクターである。培養培地に組み
入れることができる栄養素無機塩には、鉄、カリウム、ナトリウム、マグネシウ
ム、カルシウム、アンモニウム、クロリド、カーボネート、ホスフェート、スル
フェート、ニトレート等のイオンを生成することができる慣用的な可溶性塩があ
る。
微生物の増殖と発生のために必要である必須微量元素も培養培地中に含めるこ
とができる。このような微量元素は通常、微生物の増殖条件を満たすために充分
な量で、培地の他の成分中の不純物として生ずる。発泡が問題になる場合には、
例えば大規模培養培地にポリプロピレングリコール(分子量約2000)のよう
な、消泡剤の少量(即ち、0.2ml/l)を加えることが望ましいと考えられ
る。
かなりの量のクリプトフィシン化合物を製造するためには、タンク内での液内
好気性培養を用いることができる。少量は振とうフラスコ培養によって得ること
ができる。大型タンクへの微生物の接種に一般に関連した代謝物産生の時間的遅
延のために、栄養接種原(vegetative inoculum)を用いることが好ましい。栄養
接種原は、少量の培養培地に微生物の栄養細胞糸(vegetative trichome)又は異
質細胞を含有する形のフラグメントを接種して、微生物の新鮮な、活性に増殖す
る培養物を得ることによって用意される。栄養接種原を次により大きいタンクに
移す。この栄養接種原に対して用いる培地は大規模培養又は発酵に用いた培地と
同じものでよいが、他の培地を用いることもできる。
細菌微生物は約20℃〜30℃の温度及び約100〜約200μmolフォト
ンm-2秒-1の入射照度(incident illumination intensity)(光合成的に有効な
照射)において増殖することができる。
この種類の好気性液内培養プロセスにおいて慣例的であるように、二酸化炭素
ガスを、培養培地に通してバブルさせる無菌空気流に加えることによって培養物
中に導入する。クリプトフィシン化合物を効果的に製造するために、二酸化炭素
の割合は約1%(24℃及び1気圧の圧力において)であるべきである。
先行技術、特に米国特許第4,946,835号(これの内容は本明細書に援
用される)はNostoc種の培養方法を提供する。
クリプトフィシン化合物の製造は、培養中に、これらの抗生物質に敏感である
ことが知られている微生物に対してブロス(broth)のサンプルを試験することに
よってフォローすることができる。1種の有用な分析用微生物はCandida albicansである。
本発明のクリプトフィシン化合物は、発酵培養条件下でのこれらの製造後に、
培養物及び培養培地から当業者に公知の方法によって回収することができる。回
収は一般に、最初に培養培地を濾過して、藻細胞(algal cell)を分離し、次に分
離された細胞を凍結乾燥することによって達成される。凍結乾燥済み藻を例えば
アセトニトリルとジクロロメタンとの混合物のような適当な溶媒によって抽出す
ることができる。この抽出物と培養培地とに対して逆相カラム上での迅速クロマ
トグラフィーをおこなうことによって、クリプトフィシンを分離することができ
る。このクリプトフィシンは逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によ
って精製することができる。
本発明の新規なクリプトフィシン化合物と、既に開示されたクリプトフィシン
化合物とは抗腫瘍剤として治療的に用いることができ、したがって、腫瘍性疾患
を治療する方法に用いることができる。クリプトフィシン1、3、5、13及び
15と名付けられた、5種類のクリプトフィシン化合物が米国特許第4,946
,835号、第4,845,085号、第4,845,086号及び第4,86
8,208号に開示されており、このような化合物はMB5357と名付けられ
た、Nostoc種の菌株から単離されたか、又はこのような単離された化合物
から合成されたものである。本発明は変形な生合成(aberrant biosynthesis)に
よるこれらの化合物の製造方法を提供する。抗腫瘍剤としてのこれらの使用を開
示されない他のクリプトフィシン類は、米国特許出願第08/400,057号
(1995年3月7日出願)、国際特許出願第PCT\US94\14740号
(1994年12月21日出願)、米国特許出願第08/249,955号(1
994年5月27日出願)、及び米国特許出願第08/172,632号(19
93年12月21日出願)に開示されている。これらの特許出願は本明細書に援
用される。代謝基質の選択
クリプトフィシン1の生合成では、L−フェニルアラニンが単位A(フェニル
アセテートと3当量のアセテートとからアセンブルされるポリケチド)のフェニ
ル及びエポキシド炭素の先駆体である。L−チロシンはS−アデノシル−L−メ
チオニンのメチル基から生じるO−メチル基を有する単位Bの先駆体である。L
−チロシンが単位B中に良好に組み入れられるばかりでなく、L−O−メチルチ
ロシンも単位Bに良好に組み入れられ、このことはチロシンのO−メチル化が最
初に生じ、これに続いて、O−メチルチロシン又は塩素化O−メチルチロシンの
デプシペプチドへの同化が生ずることを意味する。クリプトフィシン1の生合成
では、(2S,3R)−3−メチルアスパラギン酸が単位Cの先駆体である。し
かし、(2R)−2−メチル−β−アラニンも単位C中に良好に組み入れられ、
このことは(2S,3R)−3−メチルアスパラギン酸が脱炭酸されて、最初に
(2R)−2−メチル−β−アラニンになり、これに続いて、(2R)−2−メ
チル−β−アラニンのデプシペプチドへの同化が生ずることを示唆する。クリプ
トフィシン1の生合成では、L−ロイシンが単位Dの先駆体であり、この単位中
に良好に組み入れられる。L−ロイシン酸は単位Dに組み入れられず、このこと
はL−ロイシンがデプシペプチドシンターゼ(デプシペプチドのアセンブリをお
こなう多機能酵素)に取り入れられ、単位A、B、C及びD先駆体のデプシペプ
チドへのアセンブリ中にL−ロイシン中の窒素が失われ、酸素と置換されること
を示唆する。
既述された特性、例えば、完全なマクロライド、単位B中のエポキシド基、ク
ロロ基及び/又は単位C中のメチル基を有する望ましいクリプトフィシン化合物
を製造するために、クリプトフィシン化合物を産生することができる細菌の発酵
培養のための代謝基質として、選択された置換アミノ酸を用いることができる。
最も広い意味において、置換アミノ酸は、細菌発酵培養の基礎を通常形成するタ
ンパク質アミノ酸以外の任意のアミノ酸であると考えられる。さらに通常は、こ
のような置換アミノ酸は、適当な位置に置換基を供給して、細菌発酵培養の代謝
産物として所望のクリプトフィシン化合物を形成するアミノ酸を包含する。この
ようなアミノ酸は、例えば、置換α−アミノ酸、置換フェニルアラニン、置換チ
ロシン、置換O−メチルチロシン及び置換β−アラニンを包含する。
典型的に置換基はクリプトフィシン代謝産物に所望の構造特徴を与えるように
選択される。例えば、アリール基に結合したハロゲンはクリプトフィシン化合物
の単位Bの望ましい特徴であると示されているので、少なくとも1つのハロゲン
部分で置換されたアミノ酸が有用であると判明するであろう。一般に、アラニン
又はフェニルアラニンが典型的に、ハロ置換アリール化合物によって置換される
、この点で選択すべきアミノ酸である。
同様に、単位Cにおけるメチル基は適当に置換したβ−アラニンの特徴として
包含されることができる。
したがって、多くの場合に、選択すべきアミノ酸はアルキル、アルコキシ、ア
ルカリール及びアルコキシアリール化合物並びにこれらのハロ置換誘導体から成
る群から選択される少なくとも1つの置換基によって置換される。
したがって、本発明はNostoc種の菌株を培養し、培養物中に予め選択さ
れた下記化合物:置換フェニルアラニン、置換β−アラニン、置換チロシン又は
O−メチルチロシン及び置換α−アミノ酸の1種以上を導入することによる、既
知クリプトフィシンと新規なクリプトフィシンとの製造方法を提供する。
詳しくは、本発明は変形生合成による既に開示されたクリプトフィシン−52
、クリプトフィシン−110及びクリプトフィシン−115の製造方法と、以下
で述べる新規なクリプトフィシン化合物とを提供する。例えば、シアノバクテリ
アを2,2−ジメチル−β−アラニンの存在下で増殖させる場合には、クリプト
フィシン−52が他のクリプトフィシンと共に製造される: シアノバクテリアをDL−p−フルオロフェニルアラニンの存在下で増殖させ
る場合には、クリプトフィシン−110とクリプトフィシン−115が製造され
る:
本発明の方法を用いて、図1の単位Aのアリール基において異なる新規なクリ
プトフィシンを、シアノバクテリアを適当に置換したフェニルアラニンの存在下
で増殖させることによって製造することができる。同様に、本発明の方法は、
(1)適当に置換したチロシン又はO−メチルチロシンの存在下でシアノバクテ
リアを増殖させることによって単位Bにおいて、(2)適当に置換したβ−アラ
ニンの存在下でシアノバクテリアを増殖させることによって単位Cにおいて、及
び(3)適当に置換したα−アミノ酸の存在下でシアノバクテリアを増殖させる
ことによって単位Dにおいて異なる新規なクリプトフィシンを製造することがで
きる。
本発明の新規なクリプトフィシン化合物の例は、シアノバクテリアをDL−3
−(3−メチル−4−メトキシフェニル)アラニンの存在下で増殖させることに
よって産生されるクリプトフィシン−189(クリプトフィシンB−8とも呼ば
れる)である:
本発明の新規なクリプトフィシン化合物の他の2つの例は、シアノバクテリア
をDL−3−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)アラニンの存在下で増殖
させることによって産生されるクリプトフィシン−190(クリプトフィシンB
−1とも呼ばれる)とクリプトフィシン−210である:
本発明の新規なクリプトフィシン化合物の他の例は、シアノバクテリアを(2
R)−3−(3−ブロモ−4−メトキシフェニル)アラニン又は(2R)−3−
(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)アラニンの存在下で増殖させることに
よって産生されるクリプトフィシンB−2である:
本発明の新規なクリプトフィシン化合物の他の例は、シアノバクテリアを(2
R)−3−(3,4−ジメトキシフェニル)アラニン又は(2R)−3−(3−
ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)アラニン又は(2R)−3−(3,4−ジ
ヒドロキシフェニル)アラニンの存在下で増殖させることによって産生されるク
リプトフィシンB−3である: 本発明の新規なクリプトフィシン化合物の他の2つの例は、シアノバクテリア
をDL−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)アラニンの存在下で増殖さ
せることによって産生されるクリプトフィシン−208とクリプトフィシン−2
09(クリプトフィシンB−4とも呼ばれる)である:
本発明の新規なクリプトフィシン化合物の他の例は、シアノバクテリアをDL
−3−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)アラニンの存在下で増殖させ
ることによって産生されるクリプトフィシン−211である: 本発明の新規なクリプトフィシン化合物の他の例は、シアノバクテリアを(2
R)−3−(4−メトキシ−2−ピリジル)アラニン又は(2R)−3−(4−
ヒドロキシ−2−ピリジル)アラニンの存在下で増殖させることによって産生さ
れるクリプトフィシンB−5である:
本発明の新規なクリプトフィシン化合物の他の例は、シアノバクテリアを(2
R)−3−(4−メトキシ−3−ピリジル)アラニンの存在下で増殖させること
によって産生されるクリプトフィシンB−6である:
本発明の新規なクリプトフィシン化合物の他の例は、シアノバクテリアを(2
R)−3−(4−エトキシフェニル)アラニンの存在下で増殖させることによっ
て産生されるクリプトフィシンB−7である:
本発明の新規なクリプトフィシン化合物の他の例は、シアノバクテリアを(3
S)−3−アミノブタン酸の存在下で増殖させることによって産生されるクリプ
トフィシン−213である:
本発明の新規なクリプトフィシン化合物の他の例は、シアノバクテリアを(2
R)−2−エチル−β−アラニンの存在下で増殖させることによって産生される
クリプトフィシンC−1である: 本発明の新規なクリプトフィシン化合物の他の例は、シアノバクテリアを(2
R)−2−イソプロピル−β−アラニンの存在下で増殖させることによって産生
されるクリプトフィシンC−2である:
本発明の新規なクリプトフィシン化合物の他の例は、シアノバクテリアを(2
R)−2−t−ブチル−β−アラニンの存在下で増殖させることによって産生さ
れるクリプトフィシンC−3である:
本発明の新規なクリプトフィシン化合物の他の例は、シアノバクテリアを(2
R)−2−ジメチルアミノ−β−アラニンの存在下で増殖させることによって産
生されるクリプトフィシンC−4である:
本発明の新規なクリプトフィシン化合物の他の例は、シアノバクテリアを(2
R)−2−ジメチルアミノメチル−β−アラニンの存在下で増殖させることによ
って産生されるクリプトフィシンC−5である:
本発明の新規なクリプトフィシン化合物の他の例は、シアノバクテリアを2,
2−ジエチル−β−アラニンの存在下で増殖させることによって産生されるクリ
プトフィシンC−6である: 本発明の新規なクリプトフィシン化合物の他の例は、シアノバクテリアを2,
2−ジ(メトキシメチル)−β−アラニンの存在下で増殖させることによって産
生されるクリプトフィシンC−7である:
本発明の新規なクリプトフィシン化合物の他の例は、シアノバクテリアを1−
アミノメチルシクロプロパン−1−カルボン酸の存在下で増殖させることによっ
て産生されるクリプトフィシンC−8である:
本発明の新規なクリプトフィシン化合物の他の2つの例は、シアノバクテリア
を(2S)−2−アミノ酪酸の存在下で増殖させることによって産生されるクリ
プトフィシン−214及びクリプトフィシン−215である:
本発明の新規なクリプトフィシン化合物の他の例は、シアノバクテリアを3−
シクロプロピル−α−アラニンの存在下で増殖させることによって産生されるク
リプトフィシンD−1である:
本発明の新規なクリプトフィシン化合物の他の例は、シアノバクテリアを3−
t−ブチル−α−アラニンの存在下で増殖させることによって産生されるクリプ
トフィシンD−2である: 本発明の新規なクリプトフィシン化合物の他の例は、シアノバクテリアを3−
ビニル−α−アラニンの存在下で増殖させることによって産生されるクリプトフ
ィシンD−3である:
実験
以下の実験開示では、他に指定しないかぎり、全ての重量はグラム(g)、ミ
リグラム(mg)、マイクログラム(mg)、ナノグラム(ng)、ピコグラム
(pg)又はモル(mol)で記載し、全ての濃度は体積パーセント(%)、モ
ル(M)、ミリモル(mM)、マイクロモル(μM)、ナノモル(nM)又はピ
コモル(pM)、規定(N)として記載し、全ての体積はリットル(l)、ミリ
リットル(ml)又はマイクロリットル(μl)で記載し、尺度はミリメートル
(mm)で記載する。実施例1 置換アミノ酸を供給するための一般的操作
置換アミノ酸を用いる細菌発酵によってクリプトフィシン化合物を製造するた
めに、選択されたアミノ酸を15〜25mg/mlの濃度にまで0.5N
HC1中に溶解する。典型的に、この溶液の0.5ml部分を2〜4個のカーボ
イ(carbouy)の細菌培養物の各々に、細菌接種後の7〜10日目に開始して2日
間間隔で加える。アミノ酸溶液を7〜9回添加した後に、培養物をさらに3〜5
日間増殖させてから、回収した。実施例2 EI質量分光測定によるクリプトフィシンの同定
高分解能質量測定値(high resolution mass measurements)を包含する質量ス
ペクトルをVG−70SE機器(入手源??)で電子衝突モードにおいて測定す
る。クリプトフィシン−1、−2、−3及び−4は図2に示すような特徴的なフ
ラグメンテーション・パターン(fragmentation pattern)を与えることが判明し
た。イオンcは単位Aに見られるアリール基において異なる類似体を同定するた
めに有用である。イオンa、b及びdの比較は単位B、単位C及び/又は単位D
において異なる類似体を同定するために有用である。実施例3 クリプトフィシン52の変形生合成
標準条件下で増殖したNostoc種GSV224の9個のカーボイ(20リ
ットル)の各々に、2,2−ジメチル−β−アラニン(400mg)を各100
mgずつの4等分量で接種後の6日目、8日目、14日目及び22日目に加えた
。培養物を接種後の30日目に回収して、凍結乾燥して、103.6gの乾燥藻
を得た。抽出は2リットルの4:1アセトニトリル/ジクロロメタンによって5
2gバッチで実施した。抽出物を真空蒸発させ、残渣をC−18フラッシュクロ
マトグラフィーによって分別した。65:35アセトニトリル/水によって溶出
した粗クリプトフィシン画分(300mg)に対して、C−18上でのHPLC
をおこなった(Econosil,10μ,250X22mmカラム,65:3
5MeCN/H2O,6ml/分)。66.5分間後に溶出した画分をシリカ上
での順相HPLCによって精製した(Econosil,5μ,250X4.6
mmカラム,3:2EtOAc/ヘキサン,2.5ml/分)。21.4分間後
に溶出した画分(これはクリプトフィシン−52とクリプトフィシン−28との
混合物であった)をさらにC−18上でのHPLCによって精製した
(Econosil,10μ,250X10mm,85:15メタノール/水,
2ml/分)。分光比較によって信頼できる(authentic)物質と同じのクリプト
フィシン−52(2mg)が18.4分間後に溶出した。
クリプトフィシン52のスペクトルデータは次の通りである(Unitは単位
を表す):
実施例4 クリプトフィシン−110とクリプトフィシン−115の変形生合成
標準条件下で増殖したNostoc種GSV224の2個のカーボイ(20リ
ットル)の各々に、一般的操作に述べたように、DL−3−(4−フルオロフェ
ニル)アラニン(150mg)を加えた。回収後に、凍結乾燥した藻(26g)
を1リットルの5:1CH3CN/CH2Cl2によって24時間抽出し、抽出物
(1g)を真空濃縮して、暗緑色固体を得た。この粗抽出物をODS被覆シリカ
カラムに供給して、25:75CH3CN/H2O(250ml)、50:50C
H3CN/H2O(250ml)、65:35CH3CN/H2O(250ml)、
80:20CH3CN/H2O(500ml)、CH3OH(600ml)及びC
H2Cl2(500ml)によるフラッシュクロマトグラフィーを
受けさせた。65:35CH2CN/H2O(98mg)と80:20CH3CN
/H2O(45mg)によって溶出した画分を蒸発させ、さらに逆相HPLC(
Econosil C−18,10μ,250X22mmカラム,65:35M
eCN/H2O,6ml/分)によって分離した。クリプトフィシン−115を
含有する画分は45分<tR<59分において溶出し、クリプトフィシン−11
0を含有する画分は75分<tR<90分において溶出した。順相HPLC(E
conosilシリカ,5μ,250X4.6mmカラム,50:50EtOA
c/ヘキサン,3ml/分)によって精製して、クリプトフィシン−110(tR
=14分,0.1mg)と、クリプトフィシン−115(18分<tR<23分
,0.7mg)とを得た。単離したクリプトフィシンの1H−NMRスペクトル
は合成サンプルの1H−NMRスペクトルと同じであった。
クリプトフィシン−115:EIMSm/z(相対強度%)672(1.9,
M+),412(5.8,イオンa),280(10,イオンb),245(1
7,イオンc),195(52,イオンd),155(31),141(23)
,135(15),109(100,p−フルオロベンジル イオン=フルオロ
トロピリウム イオン);高分解能EIMS668.2853
(C35H42ClFN2O8として計算,△+3.4mmu,M+).
実施例5 クリプトフィシン−189の変形生合成
標準条件下で増殖したNostoc種GSV224の2個のカーボイ(20リ
ットル)の各々に、一般的操作に述べたように、DL−3−(3−メチル−4−
メトキシフェニル)アラニン(120mg)を加えた。回収後に、凍結乾燥した
藻(20g)を1リットルの5:1CH3CN/CH2Cl2によって24時間抽
出し、抽出物(1.1g)を真空濃縮して、暗緑色固体を得た。この粗抽出物を
ODS被覆シリカカラムに供給して、25:75CH3CN/H2O(250ml
)、50:50CH3CN/H2O(250ml)、65:35CH3CN/H2O
(250ml)、80:20CH3CN/H2O(250ml)、CH3OH(5
00ml)及びCH2Cl2(500ml)によるフラッシュクロマトグラフィー
を受けさせた。65:35CH2CN/H2O(178mg)と80:20CH3
CN/H2O(75mg)によって溶出した画分を蒸発させ、さらに逆相HPL
C(Econosil C−18,10μ,250X22mmカラム,65:3
5MeCN/H2O,6ml/分)によって分離した。クリプトフィシン−18
9を含有する画分は50分<tR<64分において溶出した。この画分(150
mg)の順相HPLC(Econosilシリカ10μ,250X10mmカラ
ム,60:40EtOAc/ヘキサン,3ml/分)は2.8mgの純粋化合物
(tR=28分)を与えた。
クリプトフィシン−189の単離と同定を容易にするために、[O−メチル−2
H3]−DL−3−(3−メチル−4−メトキシフェニル)アラニンをこの藻に
供給した。2H3−標識クリプトフィシン−189は下記スペクトル特性を示した
:
実施例6 クリプトフィシン−190とクリプトフィシン−210との 変形生合成
標準条件下で増殖したNostoc種GSV224の3個のカーボイ(20リ
ットル)の各々に、一般的操作に述べたように、DL−3−(3−フルオロ−4
−メトキシフェニル)アラニン(180mg)を加えた。回収後に、凍結乾燥し
た藻(32g)を1.5リットルの5:1CH3CN/CH2Cl2によって2
4時間抽出し、抽出物(1.2g)を真空濃縮して、暗緑色固体を得た。この粗
抽出物をODS被覆シリカカラムに供給して、25:75CH3CN/H2O
(250ml)、50:50CH3CN/H2O(250ml)、65:35
CH3CN/H2O(250ml)、80:20CH3CN/H2O(500ml)
、CH3OH(500ml)及びCH2Cl2(500ml)によるフラッシュク
ロマトグラフィーを受けさせた。65:35CH2CN/H2Oと80:20CH3
CN/H2Oによって溶出した画分を蒸発させ、さらに逆相HPLC(Econ
osil C−18,10μ,250X22mmカラム,65:35MeCN/
H2O,6ml/分)によって分離した。クリプトフィシン−190を含有する
画分は44分<tR<50分において溶出し、クリプトフィシン−210を含有
する画分は75分<tR<96分において溶出した。これらの2画分の順相HP
LC(Econosilシリカ,5μ,250X4.6mmカラム,2.5ml
/分)によるさらなる精製は、4.3mgのクリプトフィシン−190(45:
55EtOAc/ヘキサン,tR=22分)と1.5mgのクリプトフィシン−
210(50:50EtOAc/ヘキサン,tR=14.4分)を生じた。
クリプトフィシン−190とクリプトフィシン−210との単離と同定を容易
にするために、[O−メチル−2H3]−DL−3−(3−フルオロ−4−メトキ
シフェニル)アラニンをこの藻に供給した。2H3−標識クリプトフィシン−19
0は下記スペクトル特性を示した: 実施例7 クリプトフィシン−208とクリプトフィシン−209との 変形生合成
標準条件下で増殖したNostoc種GSV224の2個のカーボイ(20リ
ットル)の各々に、一般的操作に述べたように、DL−3−(3,4−メチレン
ジオキシフェニル)アラニン(120mg)を加えた。回収後に、凍結乾燥した
藻(25g)を1リットルの5:1CH3CN/CH2Cl2によって24時間抽
出し、抽出物(510mg)を真空濃縮して、暗緑色固体を得た。この粗抽出物
をODS被覆シリカカラムに供給して、25:75CH3CN/H2O(250m
l)、50:50CH3CN/H2O(250ml)、65:35
CH3CN/H2O(250ml)、80:20CH3CN/H2O(250ml)
、CH3OH(500ml)及びCH2Cl2(500ml)によるフラッシュク
ロマトグラフィーを受けさせた。65:35CH2CN/H2O(204mg)と
80:20CH3CN/H2O(35mg)とによって溶出した画分を蒸発させ、
さらに逆相HPLC(Econosil C−18,10μ,250X22mm
カラム,65:35MeCN/H2O,6ml/分)によって分離した。クリプ
トフィシン−209を含有する画分は42分<tR<48.5分において溶出し
、クリプトフィシン−208を含有する画分は69分<tR<88.5分におい
て溶出した。クリプトフィシン−209を含有する画分の順相HPLC(Eco
nosilシリカ,5μ,250X4.6mmカラム,45:55EtOAc/
ヘキサン,3ml/分)は、<0.1mgの純粋な化合物(tR=16.5分)を
生じた。クリプトフィシン−208を含有する画分のHPLC(Econosi
lシリカ,5μ,250X4.6mmカラム,50:50EtOAc/ヘキサン
,2.5ml/分)は、<0.1mgの純粋な化合物(tR=12分)を生じた
。
クリプトフィシン−208とクリプトフィシン−209との単離と同定を容易
にするために、[メチレンジオキシ−2H2]−DL−3−(3,4−メチレンジ
オキシフェニル)アラニンをこの藻に供給した。2H2−標識クリプトフィシン−
208は下記スペクトル特性を示した:2
H NMR(500MHz,CHCl3)δ(炭素位置,多重性)UnitB
5.88(6,7−OC2H2O,s):EIMS m/z(相対強度,帰属)6
20(5,M+),394(68,イオンa),393(49),262(12
,イオンb),227(45,イオンc),177(100,イオンd),91
(79);高分解能EIMS m/z620.3090
(C35H40D2N2O8として計算,△−2.3mmu誤差)。2
H2−標識クリプトフィシン−209は下記スペクトル特性を示した:
実施例8 クリプトフィシン−211の変形生合成
標準条件下で増殖したNostoc種GSV224の3個のカーボイ(20リ
ットル)の各々に、一般的操作に述べたように、DL−3−(3−フルオロ−4
−ヒドロキシフェニル)アラニン(180mg)を加えた。回収後に、凍結乾燥
した藻(34g)を1.5リットルの5:1CH3CN/CH2Cl2によって2
4時間抽出し、抽出物(1.1g)を真空濃縮して、暗緑色固体を得た。この粗
抽出物をODS被覆シリカカラムに供給して、25:75CH3CN/H2O(2
50ml)、50:50CH3CN/H2O(250ml)、65:35CH3C
N/H2O(250ml)、80:20CH3CN/H2O(600ml)、CH3
OH(600ml)及びCH2Cl2(500ml)によるフラッシュクロマトグ
ラフィーを受けさせた。65:35CH2CN/H2O(302mg)と80:2
0CH3CN/H2O(49mg)によって溶出した画分を蒸発させ、さらに逆相
HPLC(Econosil C−18,10μ,250X22mmカラム,6
5:35MeCN/H2O,6ml/分)によって分離した。クリプトフィシン
−211を含有する画分はtR=66分において溶出した。順相HPLC(Eco
nosilシリカ,5μ,250X4.6mm,50:50EtOAc/ヘキサ
ン,3ml/分)によるさらなる精製は3.5mgの純粋化合物(tR=5.5分
)を生じた。
クリプトフィシン−211: 実施例9 クリプトフィシン−213の変形生合成
標準条件下で増殖したNostoc種GSV224の3個のカーボイ(20リ
ットル)の各々に、一般的操作に述べたように、S−3−アミノブタン酸(18
0mg)を加えた。回収後に、凍結乾燥した藻(31g)を1.5リットルの
5:1CH3CN/CH2Cl2によって24時間抽出し、抽出物(1g)を真空
濃縮して、暗緑色固体を得た。この粗抽出物をODS被覆シリカカラムに供給し
て、25:75CH3CN/H2O(250m1)、50:50CH3CN/H2O
(250m1)、65:35CH3CN/H2O(250m1)、80:20CH2
CN/H2O(250ml)、CH3OH(500m1)及び
CH2Cl2(500ml)によるフラッシュクロマトグラフィーを受けさせた。
65:35CH2CN/H2O(205mg)と80:20CH,、CN/H2O(
108mg)によって溶出した画分を蒸発させ、さらに逆相HPLC
(Econosil C−18,10μ,250X22mmカラム,65:35
MeCN/H2O,6ml/分)によって分離した。クリプトフィシン−213
を含有する画分(192mg)は52分<tR<69分において溶出した。順相
HPLC(Econosilシリカ,5μ,250X4.6mmカラム,50:
50EtOAc/ヘキサン,2.5ml/分)によるさらなる精製は、<0.1
mgの純粋化合物(tR=??分)を生じた。
クリプトフィシン−213の単離と同定を容易にするために、[メチル−2
H3]−S−3−アミノブタン酸をこの藻に供給した。2H3−標識クリプトフィ
シン−213は下記スペクトル特性を示した:2H NMR(500MHz,C
HCl3)δ(炭素位置,多重性)UnitCl.11(C−2上のC2H3)。実施例10 クリプトフィシン−214とクリプトフィシン−215との 変形生合成
標準条件下で増殖したNostoc種GSV224の3個のカーボイ(20リ
ットル)の各々に、一般的操作に述べたように、S−2−アミノブタン酸(18
0mg)を加えた。回収後に、凍結乾燥した藻(41g)を1.7リットルの
5:1CH3CN/CH2Cl2によって24時間抽出し、抽出物(1g)を真空
濃縮して、暗緑色固体を得た。この粗抽出物をODS被覆シリカカラムに供給し
て、25:75CH3CN/H2O(250ml)、50:50CH3CN/H2O
(250ml)、65:35CH3CN/H2O(250ml)、80:20CH3
CN/H2O(250ml)、CH3OH(600ml)及び
CH2Cl2(500ml)によるフラッシュクロマトグラフィーを受けさせた。
65:35CH2CN/H2O(529mg)と80:20CH3CN/H2O
(59mg)によって溶出した画分を蒸発させ、さらに逆相HPLC
(Econosil C−18,10μ,250X22mmカラム,65:35
MeCN/H2O,6ml/分)によって分離した。クリプトフィシン−214
を含有する画分は87分<tRにおいて溶出し、クリプトフィシン−215を含
有する画分は53分<tR<68分において溶出した。順相HPLCによって、
さらなる分離をおこなって、<1mgの不純なクリプトフィシン−214
(Econosilシリカ,5μ,250X4.6mmカラム,45:55
EtOAc/ヘキサン,2.5ml/分)(17分<tR<19.5分)と<1
mgの不純なクリプトフィシン−215(Econosilシリカ,10μ,2
50X10mm,60:40EtOAc/ヘキサン,3ml/分)(10分<
tR<12分)を得た。
クリプトフィシン−214とクリプトフィシン−215との単離と同定を容易
にするために、[メチル−2H3]−S−2−アミノブタン酸をこの藻に供給した
。2H3−標識クリプトフィシン−214は下記スペクトル特性を示した:2
H NMR(500MHz,CHCl3)UnitD δ(帰属)0.76
(4−2H3)。2H3−標識クリプトフィシン−215は下記スペクトル特性を示
した:2H NMR(500MHz,CHCl3)UnitD δ(帰属)0.7
6(4−2H3)。実施例11 変形生合成によって製造されるクリプトフィシンの細胞毒性
クリプトフィシン−52(IC50 43pM)とクリプトフィシン−115(
IC50 39pM)とは、ヒト腫瘍細胞株KBに対して、クリプトフィシン−1
(IC50 9〜29pM)よりもやや低い細胞毒性である。クリプトフィシン−
110(IC50 4.6nM)は、クリプトフィシン−3(IC50 3.1〜4
.6nM)の細胞毒性に匹敵する、ヒト腫瘍細胞株KBに対する細胞毒性を有す
る。
新規なスチレン型クリプトフィシン208、210及び214のKBに対する
細胞毒性(MIC)は10〜100nMの範囲内である。クリプトフィシン18
9、190、209、211、213及び215のKBに対する細胞毒性は<1
nMである。
本明細書に引用した全ての刊行物と特許出願とは、参考文献として包含される
ことが明確にかつ個別に表示されているかのように、本明細書に援用される。
上記では本発明を、明確にし、理解させるために例示と実施例とに基づいてあ
る程度詳しく説明したが、この開示を考慮するならば、ある一定の変化と修正と
が特許請求の要旨及び範囲から逸脱せずに本発明に加えられうることが、当業者
に明らかであろう。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),AM,AT,AU,BB,BG,BR,B
Y,CA,CH,CN,CZ,DE,DK,ES,FI
,GB,GE,HU,JP,KE,KG,KP,KR,
KZ,LK,LT,LU,LV,MD,MG,MN,M
W,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE
,SI,SK,TJ,TT,UA,US,UZ,VN
(72)発明者 ヘムシャイドト,トマス,ケイ.
アメリカ合衆国96821 ハワイ州ホノルル,
アイプニ ストリート 640