JP2000273264A - 生体高分子/ポリアリルアミン複合体およびその製造方法 - Google Patents
生体高分子/ポリアリルアミン複合体およびその製造方法Info
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- JP2000273264A JP2000273264A JP11077510A JP7751099A JP2000273264A JP 2000273264 A JP2000273264 A JP 2000273264A JP 11077510 A JP11077510 A JP 11077510A JP 7751099 A JP7751099 A JP 7751099A JP 2000273264 A JP2000273264 A JP 2000273264A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 細胞の付着・増殖性に優れ、また成形性
のよい生体高分子/ポリアリルアミン複合体およびその
製造方法の提供。 【解決手段】 生体高分子と未中和のまたは中和したポ
リアリルアミンとを水性溶液または水性分散液状態で混
合し、水分を蒸発せしめ、両物質の分子間の相互作用を
高め、分子間凝集状態を向上させることによって得られ
る。
のよい生体高分子/ポリアリルアミン複合体およびその
製造方法の提供。 【解決手段】 生体高分子と未中和のまたは中和したポ
リアリルアミンとを水性溶液または水性分散液状態で混
合し、水分を蒸発せしめ、両物質の分子間の相互作用を
高め、分子間凝集状態を向上させることによって得られ
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体高分子/ポリ
アリルアミン複合体およびその製造方法に関する。この
複合体は、生化学・医学分野において種々の用途に利用
できる。
アリルアミン複合体およびその製造方法に関する。この
複合体は、生化学・医学分野において種々の用途に利用
できる。
【0002】
【従来の技術】ポリアリルアミンは、正の電荷を持ち、
化学反応性の大きな第1級アミノ基を側鎖に含む直鎖の
オレフィン系重合体であり、水によく溶け、水の中では
正に荷電するものであり、さらに結晶構造的には非結晶
性であり、強い吸湿性と吸水性を示すものである。ポリ
アリルアミンは、低pH領域で優れた水溶性となるた
め、ポリビニルアルコールなどのような非イオン性重合
体とも均一に混合できるし、ポリエチレンイミンのよう
なカチオン性の水溶性重合体の水溶液とも混合できる。
一連のポリアリルアミン化合物はアルカリ性pH領域で
水に不溶となってしまうため、溶解性を良くするため通
常は酸性溶液で保存することが多い。
化学反応性の大きな第1級アミノ基を側鎖に含む直鎖の
オレフィン系重合体であり、水によく溶け、水の中では
正に荷電するものであり、さらに結晶構造的には非結晶
性であり、強い吸湿性と吸水性を示すものである。ポリ
アリルアミンは、低pH領域で優れた水溶性となるた
め、ポリビニルアルコールなどのような非イオン性重合
体とも均一に混合できるし、ポリエチレンイミンのよう
なカチオン性の水溶性重合体の水溶液とも混合できる。
一連のポリアリルアミン化合物はアルカリ性pH領域で
水に不溶となってしまうため、溶解性を良くするため通
常は酸性溶液で保存することが多い。
【0003】かかるポリアリルアミンは細胞の増殖を促
す素材として知られており、例えば特開平2−1816
28号公報には、ポリアリルアミンを各種基質表面に塗
布することで、耐久性に富み、また優れた生体細胞付着
性および細胞培養機能を持つ細胞培養床基材を製造する
方法が開示されている。この場合、ポリアリルアミン分
子側鎖のアミノ基を正に荷電させたものを各種基質表面
に塗布し、所期の目的を達成している。これらの基質の
表面は通常負に帯電しているので、ポリアリルアミンが
静電気的に基質表面にイオン結合するため、両者の間の
結合は強く、ポリアリルアミンは基質表面から剥がれ難
くなるものとされている。
す素材として知られており、例えば特開平2−1816
28号公報には、ポリアリルアミンを各種基質表面に塗
布することで、耐久性に富み、また優れた生体細胞付着
性および細胞培養機能を持つ細胞培養床基材を製造する
方法が開示されている。この場合、ポリアリルアミン分
子側鎖のアミノ基を正に荷電させたものを各種基質表面
に塗布し、所期の目的を達成している。これらの基質の
表面は通常負に帯電しているので、ポリアリルアミンが
静電気的に基質表面にイオン結合するため、両者の間の
結合は強く、ポリアリルアミンは基質表面から剥がれ難
くなるものとされている。
【0004】また、生体高分子は生体細胞を付着させ、
増殖させることができることが知られている。
増殖させることができることが知られている。
【0005】ポリアリルアミンおよび生体高分子は、そ
れぞれ、優れた生体機能を持つため、医用分野等の先端
領域で付加価値の高い利用が可能であるが、所望の目的
を達成し得るような任意量の生体高分子を含有するポリ
アリルアミン複合体であって、各成分が持つそれぞれの
優れた機能を兼ね備え、またはそれぞれの単独の機能を
相乗的に兼ね備えた素材はいままでに得られていなかっ
た。
れぞれ、優れた生体機能を持つため、医用分野等の先端
領域で付加価値の高い利用が可能であるが、所望の目的
を達成し得るような任意量の生体高分子を含有するポリ
アリルアミン複合体であって、各成分が持つそれぞれの
優れた機能を兼ね備え、またはそれぞれの単独の機能を
相乗的に兼ね備えた素材はいままでに得られていなかっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記特開平2−181
628号公報に記載された各種基質としての合成重合
物、ガラス、金属、細孔質濾紙の帯電程度は、基質によ
り異なり、いずれの基質も同程度に十分に負に帯電して
いる訳ではない。そのため、細胞培養床基質の種類によ
っては細胞培養床基材のポリアリルアミンと該基質との
間の相互作用力に強弱の差が生じ、ポリアリルアミンの
被膜が細胞培養溶液と接する過程で細胞培養床基質表面
から剥がれてしまう危険性があり、実用上問題となって
いる。細胞培養床基質表面から剥がれず、所期の目的を
達成することのできる細胞培養床基材の開発が強く望ま
れていた。
628号公報に記載された各種基質としての合成重合
物、ガラス、金属、細孔質濾紙の帯電程度は、基質によ
り異なり、いずれの基質も同程度に十分に負に帯電して
いる訳ではない。そのため、細胞培養床基質の種類によ
っては細胞培養床基材のポリアリルアミンと該基質との
間の相互作用力に強弱の差が生じ、ポリアリルアミンの
被膜が細胞培養溶液と接する過程で細胞培養床基質表面
から剥がれてしまう危険性があり、実用上問題となって
いる。細胞培養床基質表面から剥がれず、所期の目的を
達成することのできる細胞培養床基材の開発が強く望ま
れていた。
【0007】また、正の電荷を持つポリアリルアミンの
水溶液を蒸発乾固させることで膜状に成形することはで
きるが、この膜状成形物は吸湿性が高いため、大気雰囲
気中に放置すると大気中の水蒸気を吸着して溶解してし
まうので、大気中で安定な膜状成形物を調製することは
できなかった。また、ポリアリルアミン自体は、成形性
が悪く、ポリアリルアミン単独から膜状、塊状等の成形
物を調製することは困難であり、またポリアリルアミン
を水不溶性にするための適当な不溶化処理方法も無いた
め、物理的に均一な水溶性および水不溶性成形物を製造
することは甚だしく困難であった。
水溶液を蒸発乾固させることで膜状に成形することはで
きるが、この膜状成形物は吸湿性が高いため、大気雰囲
気中に放置すると大気中の水蒸気を吸着して溶解してし
まうので、大気中で安定な膜状成形物を調製することは
できなかった。また、ポリアリルアミン自体は、成形性
が悪く、ポリアリルアミン単独から膜状、塊状等の成形
物を調製することは困難であり、またポリアリルアミン
を水不溶性にするための適当な不溶化処理方法も無いた
め、物理的に均一な水溶性および水不溶性成形物を製造
することは甚だしく困難であった。
【0008】本発明は、生体高分子とポリアリルアミン
とを水性溶液もしくは水性分散液状態で均一に混合した
混合水性溶液または水性分散液を基質の上で乾燥乾固す
ることにより、細胞の付着・増殖性に優れ、また強度等
の物性にも優れ、さらに成形性の良い生体高分子/ポリ
アリルアミン複合体(以下、単に「複合体」と略記する
こともある)、およびその複合体を効率的かつ経済的に
製造する方法を提供することを課題とする。
とを水性溶液もしくは水性分散液状態で均一に混合した
混合水性溶液または水性分散液を基質の上で乾燥乾固す
ることにより、細胞の付着・増殖性に優れ、また強度等
の物性にも優れ、さらに成形性の良い生体高分子/ポリ
アリルアミン複合体(以下、単に「複合体」と略記する
こともある)、およびその複合体を効率的かつ経済的に
製造する方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリアリ
ルアミン自体の成形性や強度等の物性の欠点を改善する
と共に、その機能特性を活かしてこれを細胞培養床基材
に応用しようとの考えから、ポリアリルアミンと分子レ
ベルで均一に混合でき、かつポリアリルアミンとの間に
強い分子相互作用が働くことで、優れた均一な複合体と
なり得る第二物質の開発を行ってきた。ここで、「ポリ
アリルアミンと分子レベルで均一に混合できる」とは、
ポリアリルアミンと第二物質とを水性溶液状態で混合
し、この混合水性溶液をポリエチレン等の基質の上に拡
げて蒸発乾固する過程で、水性溶液の構成成分の分子間
凝集性が密となり、相分離を起こさず、ドメイン構造を
取らない均一な構造を持った複合体となることを意味す
る。
ルアミン自体の成形性や強度等の物性の欠点を改善する
と共に、その機能特性を活かしてこれを細胞培養床基材
に応用しようとの考えから、ポリアリルアミンと分子レ
ベルで均一に混合でき、かつポリアリルアミンとの間に
強い分子相互作用が働くことで、優れた均一な複合体と
なり得る第二物質の開発を行ってきた。ここで、「ポリ
アリルアミンと分子レベルで均一に混合できる」とは、
ポリアリルアミンと第二物質とを水性溶液状態で混合
し、この混合水性溶液をポリエチレン等の基質の上に拡
げて蒸発乾固する過程で、水性溶液の構成成分の分子間
凝集性が密となり、相分離を起こさず、ドメイン構造を
取らない均一な構造を持った複合体となることを意味す
る。
【0010】本発明者らは、ポリアリルアミンと第二物
質とが持つそれぞれの優れた機能を兼ね備えた、または
それぞれの単独の機能を相乗的に兼ね備えた物性を持つ
複合体を得るための一手段として、第二物質として生体
高分子を用い、両物質の分子間に働く分子相互作用が良
好な基材に関して鋭意検討してきた。その結果、両性電
解質である生体高分子と正の電荷を持つポリアリルアミ
ンとの複合体が、強度等の優れた物性を有し、生体細胞
の付着・増殖を増強する作用のあることを見出し、本発
明を完成させるに至った。
質とが持つそれぞれの優れた機能を兼ね備えた、または
それぞれの単独の機能を相乗的に兼ね備えた物性を持つ
複合体を得るための一手段として、第二物質として生体
高分子を用い、両物質の分子間に働く分子相互作用が良
好な基材に関して鋭意検討してきた。その結果、両性電
解質である生体高分子と正の電荷を持つポリアリルアミ
ンとの複合体が、強度等の優れた物性を有し、生体細胞
の付着・増殖を増強する作用のあることを見出し、本発
明を完成させるに至った。
【0011】本発明の生体高分子/ポリアリルアミン複
合体は、生体高分子とポリアリルアミンとを水性溶液ま
たは水性分散液状態で混合し、水分を蒸発除去して乾固
せしめることにより、両物質の分子間の相互作用を高
め、分子間凝集状態を向上させて得られる水溶性および
水不溶性複合体である。両性電解質である生体高分子と
正の電荷を持つポリアリルアミン分子とを分子レベルで
相互作用を持たせることにより製造できる。水不溶性複
合体を調製するためには、例えば、水溶性複合体を、水
とアルコールとの混合水溶液に、エポキシ化合物、アル
デヒド、または両者の化合物を混合した水不溶化薬剤水
溶液で処理してもよい。
合体は、生体高分子とポリアリルアミンとを水性溶液ま
たは水性分散液状態で混合し、水分を蒸発除去して乾固
せしめることにより、両物質の分子間の相互作用を高
め、分子間凝集状態を向上させて得られる水溶性および
水不溶性複合体である。両性電解質である生体高分子と
正の電荷を持つポリアリルアミン分子とを分子レベルで
相互作用を持たせることにより製造できる。水不溶性複
合体を調製するためには、例えば、水溶性複合体を、水
とアルコールとの混合水溶液に、エポキシ化合物、アル
デヒド、または両者の化合物を混合した水不溶化薬剤水
溶液で処理してもよい。
【0012】本発明の複合体を調製するために利用でき
る生体高分子としては、昆虫由来、例えばカイコ由来の
絹蛋白質繊維から得られる絹蛋白質、羊毛ケラチン、コ
ラーゲン、クモの糸、あるいは海性蛋白質である足糸等
の蛋白質がある。これらの生体高分子は約20種類のア
ミノ酸から構成され、カルボキシル基等の酸性基と、ア
ミノ基等の塩基性基とを分子内に有している両性電解質
であるため、その荷電状態は、等電点を境にして大幅に
変化する。すなわち、グルタミン酸、アスパラギン酸等
の負に荷電可能な酸性アミノ酸残基、およびリジン、ア
ルギニン、ヒスチジン等の正に荷電可能な塩基性アミノ
基を含んだ両性電解質であるため、これらの生体高分子
の環境pHを変えると、負あるいは正に荷電するように
なる。
る生体高分子としては、昆虫由来、例えばカイコ由来の
絹蛋白質繊維から得られる絹蛋白質、羊毛ケラチン、コ
ラーゲン、クモの糸、あるいは海性蛋白質である足糸等
の蛋白質がある。これらの生体高分子は約20種類のア
ミノ酸から構成され、カルボキシル基等の酸性基と、ア
ミノ基等の塩基性基とを分子内に有している両性電解質
であるため、その荷電状態は、等電点を境にして大幅に
変化する。すなわち、グルタミン酸、アスパラギン酸等
の負に荷電可能な酸性アミノ酸残基、およびリジン、ア
ルギニン、ヒスチジン等の正に荷電可能な塩基性アミノ
基を含んだ両性電解質であるため、これらの生体高分子
の環境pHを変えると、負あるいは正に荷電するように
なる。
【0013】本発明で用いるポリアリルアミンは、特に
制限されず、中和処理したものであっても、中和処理し
ないものであってもよく、正の電荷を持ち、化学反応性
の大きな第1級アミノ基を側鎖に含む直鎖のオレフィン
系重合体であり、水によく溶け、水の中では正に荷電す
るものであればよい。ポリアリルアミンの分子側鎖の第
1級アミノ基は、化学反応性が高いので、所望によりこ
の部位を化学修飾することにより多様な機能の置換基を
導入することができる。
制限されず、中和処理したものであっても、中和処理し
ないものであってもよく、正の電荷を持ち、化学反応性
の大きな第1級アミノ基を側鎖に含む直鎖のオレフィン
系重合体であり、水によく溶け、水の中では正に荷電す
るものであればよい。ポリアリルアミンの分子側鎖の第
1級アミノ基は、化学反応性が高いので、所望によりこ
の部位を化学修飾することにより多様な機能の置換基を
導入することができる。
【0014】本発明の複合体の製造方法によれば、絹蛋
白質等の生体高分子とポリアリルアミンとを水性溶液ま
たは水性分散液状態で混合して、水分を蒸発することで
膜状、ゲル状、粉末状または繊維状の様々な形態の複合
体を製造することができる。該複合体は、細胞の付着・
増殖を強化する機能を持つと共に、この複合体に医薬
品、生理活性物質、抗生物質、酵素、ホルモン、生体細
胞、微生物、抗原、抗菌成分、または抗菌性金属等を包
括固定化できるので、これらの物質を担持する担体とし
ても利用できる。
白質等の生体高分子とポリアリルアミンとを水性溶液ま
たは水性分散液状態で混合して、水分を蒸発することで
膜状、ゲル状、粉末状または繊維状の様々な形態の複合
体を製造することができる。該複合体は、細胞の付着・
増殖を強化する機能を持つと共に、この複合体に医薬
品、生理活性物質、抗生物質、酵素、ホルモン、生体細
胞、微生物、抗原、抗菌成分、または抗菌性金属等を包
括固定化できるので、これらの物質を担持する担体とし
ても利用できる。
【0015】ポリアリルアミン塩酸塩(PAA−HC
l:日東紡績(株)製、商品名)は、これを試験魚(コ
イ)に与えた評価では蓄積性の毒性は認められず、変異
原生もなく、また、マウスによる経口急性毒性(LD5
0)は1600mg/kg、ヒメダカを用いた魚毒性は
48時間のTLmが0.50ppmであるので、毒性は
極めて軽微である(原田亨、高分子加工、33巻、10
号、21(1984))。また、絹蛋白質、羊毛ケラチ
ン等は天然生体高分子であり、いずれの素材も生体組織
には毒性を示さない。そのため、生体高分子/ポリアリ
ルアミン複合体は生体組織に毒性を及ぼさないものと考
えられる。
l:日東紡績(株)製、商品名)は、これを試験魚(コ
イ)に与えた評価では蓄積性の毒性は認められず、変異
原生もなく、また、マウスによる経口急性毒性(LD5
0)は1600mg/kg、ヒメダカを用いた魚毒性は
48時間のTLmが0.50ppmであるので、毒性は
極めて軽微である(原田亨、高分子加工、33巻、10
号、21(1984))。また、絹蛋白質、羊毛ケラチ
ン等は天然生体高分子であり、いずれの素材も生体組織
には毒性を示さない。そのため、生体高分子/ポリアリ
ルアミン複合体は生体組織に毒性を及ぼさないものと考
えられる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明で用いることのできる生体
高分子としては上記したようなものがある。例えば、絹
蛋白質繊維としては、家蚕(Bombyx mori)幼虫から得
られる家蚕絹糸の他に、野蚕に属する柞蚕、天蚕、エリ
蚕、ムガ蚕、シンジュ蚕の幼虫から得られる野蚕絹糸ま
たはこれらの繊維製品の何れであっても使用できる。ま
た、絹蛋白質としては、カイコが吐糸して作る繭繊維の
外側を膠着するセリシン、または該セリシンを除去して
得られる絹フィブロイン繊維を中性塩水溶液中に溶解し
た後、セルロース製の透析膜を用いて透析して得た水溶
性絹フィブロイン、またはカイコ体内より取り出した絹
糸腺内の水溶性絹セリシンもしくは水溶性絹フィブロイ
ンも使用できる。
高分子としては上記したようなものがある。例えば、絹
蛋白質繊維としては、家蚕(Bombyx mori)幼虫から得
られる家蚕絹糸の他に、野蚕に属する柞蚕、天蚕、エリ
蚕、ムガ蚕、シンジュ蚕の幼虫から得られる野蚕絹糸ま
たはこれらの繊維製品の何れであっても使用できる。ま
た、絹蛋白質としては、カイコが吐糸して作る繭繊維の
外側を膠着するセリシン、または該セリシンを除去して
得られる絹フィブロイン繊維を中性塩水溶液中に溶解し
た後、セルロース製の透析膜を用いて透析して得た水溶
性絹フィブロイン、またはカイコ体内より取り出した絹
糸腺内の水溶性絹セリシンもしくは水溶性絹フィブロイ
ンも使用できる。
【0017】生体高分子の構造、化学特性、物理的特性
を論ずる場合、生体高分子として絹フィブロインを用い
て説明することにより生体高分子の全容が理解し易い。
そこで、本発明においては、具体的な生体高分子として
絹フィブロインを用い、これとポリアリルアミンとを混
合(以下、複合化と呼ぶこともある)することで調製で
きる複合体を例に取り以下詳細に説明する。
を論ずる場合、生体高分子として絹フィブロインを用い
て説明することにより生体高分子の全容が理解し易い。
そこで、本発明においては、具体的な生体高分子として
絹フィブロインを用い、これとポリアリルアミンとを混
合(以下、複合化と呼ぶこともある)することで調製で
きる複合体を例に取り以下詳細に説明する。
【0018】絹フィブロインは絹蛋白質繊維(絹糸)を
溶解させて、以下のようにして調製できる。絹糸を溶解
させるには、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、臭化リ
チウム、チオシアン酸リチウムなど従来既知の中性塩を
用いて行われる。すなわち、濃厚な中性塩水溶液中に絹
糸を入れて加熱し、溶解した水溶液をセルロース透析膜
に入れて、両端を縫糸でくくり、室温の水道水または純
水中に4〜5日間入れて置換し、リチウムイオンを完全
に除くことで純粋な絹フィブロイン水溶液を得る。この
絹フィブロイン水溶液をポリエチレン膜等の基質表面に
拡げ、送風乾燥して、水分を蒸発せしめることにより、
透明な絹フィブロイン膜を調製することができる。乾燥
固化直後の絹フィブロイン膜は水に溶解するが、所望に
より絹フィブロインの貧溶媒であるアルコール等の有機
溶媒中に絹フィブロイン膜を浸漬し、処理すると、絹フ
ィブロイン分子間の凝集性が向上して、絹フィブロイン
膜は容易に水に不溶性になる。
溶解させて、以下のようにして調製できる。絹糸を溶解
させるには、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、臭化リ
チウム、チオシアン酸リチウムなど従来既知の中性塩を
用いて行われる。すなわち、濃厚な中性塩水溶液中に絹
糸を入れて加熱し、溶解した水溶液をセルロース透析膜
に入れて、両端を縫糸でくくり、室温の水道水または純
水中に4〜5日間入れて置換し、リチウムイオンを完全
に除くことで純粋な絹フィブロイン水溶液を得る。この
絹フィブロイン水溶液をポリエチレン膜等の基質表面に
拡げ、送風乾燥して、水分を蒸発せしめることにより、
透明な絹フィブロイン膜を調製することができる。乾燥
固化直後の絹フィブロイン膜は水に溶解するが、所望に
より絹フィブロインの貧溶媒であるアルコール等の有機
溶媒中に絹フィブロイン膜を浸漬し、処理すると、絹フ
ィブロイン分子間の凝集性が向上して、絹フィブロイン
膜は容易に水に不溶性になる。
【0019】中性塩水溶液で絹蛋白質繊維を溶解する
際、中性塩濃度、溶解温度、および溶解時間を制限する
ことにより絹蛋白質の分子量を低下させないように配慮
することができる。中性塩濃度は8.0〜9.8M程度
であればよく、溶解温度は25〜70℃程度であればよ
い。溶解温度は60℃以下が好ましい。溶解温度が高温
になると絹フィブロインの分子量が低下し、絹フィブロ
インの高分子性が失われてしまう危険性があるからであ
る。また、溶解時間は1〜20分程度に設定することが
好ましい。中性塩の中でも絹蛋白質繊維の溶解力に優れ
たリチウム塩が好ましく用いられる。特に臭化リチウム
が好ましい。8M以上、好ましくは8.5M以上の臭化
リチウムであれば、55℃以上で15分程度で絹蛋白質
繊維は溶解する。
際、中性塩濃度、溶解温度、および溶解時間を制限する
ことにより絹蛋白質の分子量を低下させないように配慮
することができる。中性塩濃度は8.0〜9.8M程度
であればよく、溶解温度は25〜70℃程度であればよ
い。溶解温度は60℃以下が好ましい。溶解温度が高温
になると絹フィブロインの分子量が低下し、絹フィブロ
インの高分子性が失われてしまう危険性があるからであ
る。また、溶解時間は1〜20分程度に設定することが
好ましい。中性塩の中でも絹蛋白質繊維の溶解力に優れ
たリチウム塩が好ましく用いられる。特に臭化リチウム
が好ましい。8M以上、好ましくは8.5M以上の臭化
リチウムであれば、55℃以上で15分程度で絹蛋白質
繊維は溶解する。
【0020】本発明で用いることのできるポリアリルア
ミンは、アリルアミンが重合したものであって、前記し
たような物性を有するものであり、例えば塩酸塩であっ
てもよいし、塩酸を外した遊離形であってもよい。具体
的には、例えば、ジアリルジメチルアンモニウムクロラ
イド−二酸化イオウ共重合物、ジアリルジメチルアンモ
ニウムクロライド共重合物、ジアリルアミン塩酸塩−二
酸化イオウ共重合物、ポリアリルアミン・塩酸塩、ポリ
アリルアミン等がある。これらはいずれも日東紡績
(株)から、例えば、PAA−HCl−3L、PAA−
HCl−3S、PAA−HCl−10L、PAA−HC
l−10S(商品名)等として市販されている。
ミンは、アリルアミンが重合したものであって、前記し
たような物性を有するものであり、例えば塩酸塩であっ
てもよいし、塩酸を外した遊離形であってもよい。具体
的には、例えば、ジアリルジメチルアンモニウムクロラ
イド−二酸化イオウ共重合物、ジアリルジメチルアンモ
ニウムクロライド共重合物、ジアリルアミン塩酸塩−二
酸化イオウ共重合物、ポリアリルアミン・塩酸塩、ポリ
アリルアミン等がある。これらはいずれも日東紡績
(株)から、例えば、PAA−HCl−3L、PAA−
HCl−3S、PAA−HCl−10L、PAA−HC
l−10S(商品名)等として市販されている。
【0021】本発明の複合体は、絹フィブロインのよう
な生体高分子とポリアリルアミンとを水性溶液または水
性分散液状態で混ぜ、均一な水性溶液または水性分散液
とした後、この混合液を基質上に拡げ、水分を蒸発させ
ることにより、均一の組成を持つ複合体として製造でき
る。すなわち、絹フィブロインのような生体高分子およ
びポリアリルアミンの各物質の水性溶液もしくは水性分
散液をそれぞれ別個に調製して、その後両者を均一に混
合した混合液を用いて、または、両物質を均一に混合し
たものの水性溶液もしくは水性分散液を用いて、また
は、一方を溶解・分散せしめた液に他方を溶解・分散せ
しめて均一に混合した一つの水性溶液または水性分散液
を用いて、これをポリエチレン膜、ポリスチレン膜等の
基質上に拡げ、水分を蒸発させることによって製造でき
る。
な生体高分子とポリアリルアミンとを水性溶液または水
性分散液状態で混ぜ、均一な水性溶液または水性分散液
とした後、この混合液を基質上に拡げ、水分を蒸発させ
ることにより、均一の組成を持つ複合体として製造でき
る。すなわち、絹フィブロインのような生体高分子およ
びポリアリルアミンの各物質の水性溶液もしくは水性分
散液をそれぞれ別個に調製して、その後両者を均一に混
合した混合液を用いて、または、両物質を均一に混合し
たものの水性溶液もしくは水性分散液を用いて、また
は、一方を溶解・分散せしめた液に他方を溶解・分散せ
しめて均一に混合した一つの水性溶液または水性分散液
を用いて、これをポリエチレン膜、ポリスチレン膜等の
基質上に拡げ、水分を蒸発させることによって製造でき
る。
【0022】複合体を水不溶化させるには、水、メタノ
ール等の有機溶媒との混合水溶液にエポキシ化合物、ア
ルデヒド等、または両化合物を添加して得た不溶化薬剤
水溶液に水溶性複合体を浸漬処理すればよい。エポキシ
化合物、アルデヒド、その他の試薬は、水、メタノール
の混合水溶液組成に均一に混じる範囲であれば、使用用
途に応じて自由に変えることができる。水、メタノール
の混合液へのアルデヒドの溶解量はエポキシ化合物に比
べて多いのが一般的である。エポキシ化合物を用いる場
合には、水、メタノールの混合液組成で水の含量が多い
と、エポキシ化合物のエポキシ基が水と反応し開環し易
いので、エポキシ化合物を添加する場合には水の量は少
な目にするとよい。
ール等の有機溶媒との混合水溶液にエポキシ化合物、ア
ルデヒド等、または両化合物を添加して得た不溶化薬剤
水溶液に水溶性複合体を浸漬処理すればよい。エポキシ
化合物、アルデヒド、その他の試薬は、水、メタノール
の混合水溶液組成に均一に混じる範囲であれば、使用用
途に応じて自由に変えることができる。水、メタノール
の混合液へのアルデヒドの溶解量はエポキシ化合物に比
べて多いのが一般的である。エポキシ化合物を用いる場
合には、水、メタノールの混合液組成で水の含量が多い
と、エポキシ化合物のエポキシ基が水と反応し開環し易
いので、エポキシ化合物を添加する場合には水の量は少
な目にするとよい。
【0023】エポキシ化合物としては、一官能基のエピ
クロロヒドリン、あるいは二官能基のエチレングリコー
ルグリシジルエーテル等のエポキシ化合物を利用でき
る。その他に、一官能性、二官能性もしくは多官能性の
エポキシ化合物であればいずれも利用できる。メタノー
ル等のアルコールと水とからなる混合水溶液にエポキシ
化合物あるいはグルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド
等のアルデヒドの少なくとも1つを含ませた不溶化薬剤
水溶液に複合体を浸漬処理することにより、絹フィブロ
インのような生体高分子とポリアリルアミン相互間に架
橋結合が導入されるので、複合体は水不溶性となる。
クロロヒドリン、あるいは二官能基のエチレングリコー
ルグリシジルエーテル等のエポキシ化合物を利用でき
る。その他に、一官能性、二官能性もしくは多官能性の
エポキシ化合物であればいずれも利用できる。メタノー
ル等のアルコールと水とからなる混合水溶液にエポキシ
化合物あるいはグルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド
等のアルデヒドの少なくとも1つを含ませた不溶化薬剤
水溶液に複合体を浸漬処理することにより、絹フィブロ
インのような生体高分子とポリアリルアミン相互間に架
橋結合が導入されるので、複合体は水不溶性となる。
【0024】不溶化の程度は、不溶化薬剤水溶液の化学
組成を変えることにより達成できる。不溶化処理のため
の最も望ましい薬剤は、クロロオキシラン、水、メタノ
ール(5:10:85容量%)からなる不溶化薬剤水溶
液である。メタノール濃度は、一般に20〜85容量%
の範囲で、好ましくは40〜70容量%の範囲で用いら
れる。
組成を変えることにより達成できる。不溶化処理のため
の最も望ましい薬剤は、クロロオキシラン、水、メタノ
ール(5:10:85容量%)からなる不溶化薬剤水溶
液である。メタノール濃度は、一般に20〜85容量%
の範囲で、好ましくは40〜70容量%の範囲で用いら
れる。
【0025】分子側鎖が正に荷電する窒素原子を持つ未
中和のポリアリルアミン水溶液に絹フィブロイン水溶液
を混ぜた場合、一定濃度未満の絹フィブロイン水溶液で
あれば両水溶液は均一に混合し、この混合水溶液を蒸発
乾固させると各成分が均一に混ざり合った複合体を調製
することができるが、絹フィブロイン水溶液が一定濃度
以上になると、両水溶液は均一に混合できず、分離・白
濁してしまい、その結果、両物質の混合水溶液を蒸発乾
固させても、各成分が均一に混ざり合った複合体を調製
することができない。これは、絹フィブロインとポリア
リルアミンとの間に静電気的な反発が生じ、絹フィブロ
インとポリアリルアミンとが水溶液状態では分離してし
まい、均一に混合できないからである。その結果、構造
的に均一な絹フィブロイン/ポリアリルアミン複合体を
調製することができない。また、絹フィブロインの等電
点はpH=3.8〜4.0であるため、絹フィブロイン
と酸性pHを示すポリアリルアミンとを水溶液状態で混
合すると、絹フィブロインのpHが等電点以下となり、
絹フィブロインが凝固してしまい、ポリアリルアミンと
の均一な複合体を調製することができない。
中和のポリアリルアミン水溶液に絹フィブロイン水溶液
を混ぜた場合、一定濃度未満の絹フィブロイン水溶液で
あれば両水溶液は均一に混合し、この混合水溶液を蒸発
乾固させると各成分が均一に混ざり合った複合体を調製
することができるが、絹フィブロイン水溶液が一定濃度
以上になると、両水溶液は均一に混合できず、分離・白
濁してしまい、その結果、両物質の混合水溶液を蒸発乾
固させても、各成分が均一に混ざり合った複合体を調製
することができない。これは、絹フィブロインとポリア
リルアミンとの間に静電気的な反発が生じ、絹フィブロ
インとポリアリルアミンとが水溶液状態では分離してし
まい、均一に混合できないからである。その結果、構造
的に均一な絹フィブロイン/ポリアリルアミン複合体を
調製することができない。また、絹フィブロインの等電
点はpH=3.8〜4.0であるため、絹フィブロイン
と酸性pHを示すポリアリルアミンとを水溶液状態で混
合すると、絹フィブロインのpHが等電点以下となり、
絹フィブロインが凝固してしまい、ポリアリルアミンと
の均一な複合体を調製することができない。
【0026】任意量の絹フィブロインを含むポリアリル
アミン複合体を相分離を起こすことなく調製するには、
複合体を製造するに先だって、ポリアリルアミン水溶液
を好ましくは中性付近からアルカリ性領域までのpHを
有するように、さらに好ましくは中性付近のpHを有す
るようにしておけばよく、この場合、ポリアリルアミン
と絹フィブロインとは分子レベルでよく混じり合い、全
pH領域にわたって相分離が起こることはない。ポリア
リルアミンのpHを中性付近に調整することにより絹フ
ィブロインとの相溶性が向上するのは次の理由によるも
のであろうと考えられる。ポリアリルアミンの分子側鎖
には、正に荷電した窒素原子があり、塩酸存在下では、
ポリアリルアミンの窒素原子には、負に荷電する塩素イ
オンが結合して電荷は打ち消されている。そのため、未
中和のポリアリルアミンは、両性電解質の絹フィブロイ
ンとは何の相互作用も起こさないので、ポリアリルアミ
ンと一定量以上の絹フィブロインとを水溶液状態で混合
すると両者は分離してしまい、均一な構造の複合体には
ならない。しかし、ポリアリルアミンをアルカリ薬剤で
中和することで、正に荷電する窒素原子の電荷状態が露
呈し、この部分と、絹フィブロインの分子側鎖のうち負
に荷電するグルタミン酸、アスパラギン酸等のアミノ酸
残基部分との間でイオン結合が起こるか、またはポリア
リルアミンの正に荷電した側鎖部分と絹フィブロインの
ペプチド主鎖もしくは分子側鎖との間で水素結合、疎水
結合が形成されるため、両者は水溶液中で均一に混じる
ようになると考えられる。ポリアリルアミン水溶液を中
和すれば、これと絹フィブロイン水溶液とを混合しても
絹フィブロインのpHが等電点以下とならず、絹フィブ
ロインが凝固することもないので、絹フィブロインとポ
リアリルアミンとを水溶液状態で均一に混合させる上で
有益である。この結果、絹フィブロイン/ポリアリルア
ミン混合水溶液を蒸発乾固することにより成形性に優れ
た均一な複合体が得られる。
アミン複合体を相分離を起こすことなく調製するには、
複合体を製造するに先だって、ポリアリルアミン水溶液
を好ましくは中性付近からアルカリ性領域までのpHを
有するように、さらに好ましくは中性付近のpHを有す
るようにしておけばよく、この場合、ポリアリルアミン
と絹フィブロインとは分子レベルでよく混じり合い、全
pH領域にわたって相分離が起こることはない。ポリア
リルアミンのpHを中性付近に調整することにより絹フ
ィブロインとの相溶性が向上するのは次の理由によるも
のであろうと考えられる。ポリアリルアミンの分子側鎖
には、正に荷電した窒素原子があり、塩酸存在下では、
ポリアリルアミンの窒素原子には、負に荷電する塩素イ
オンが結合して電荷は打ち消されている。そのため、未
中和のポリアリルアミンは、両性電解質の絹フィブロイ
ンとは何の相互作用も起こさないので、ポリアリルアミ
ンと一定量以上の絹フィブロインとを水溶液状態で混合
すると両者は分離してしまい、均一な構造の複合体には
ならない。しかし、ポリアリルアミンをアルカリ薬剤で
中和することで、正に荷電する窒素原子の電荷状態が露
呈し、この部分と、絹フィブロインの分子側鎖のうち負
に荷電するグルタミン酸、アスパラギン酸等のアミノ酸
残基部分との間でイオン結合が起こるか、またはポリア
リルアミンの正に荷電した側鎖部分と絹フィブロインの
ペプチド主鎖もしくは分子側鎖との間で水素結合、疎水
結合が形成されるため、両者は水溶液中で均一に混じる
ようになると考えられる。ポリアリルアミン水溶液を中
和すれば、これと絹フィブロイン水溶液とを混合しても
絹フィブロインのpHが等電点以下とならず、絹フィブ
ロインが凝固することもないので、絹フィブロインとポ
リアリルアミンとを水溶液状態で均一に混合させる上で
有益である。この結果、絹フィブロイン/ポリアリルア
ミン混合水溶液を蒸発乾固することにより成形性に優れ
た均一な複合体が得られる。
【0027】上記したように、本発明の複合体を調製す
るに先立って、所望により、ポリアリルアミンのpHを
中性付近に調製しておくことにより、このポリアリルア
ミンは任意量の絹フィブロインと混じるようになる。安
定に保存するという便宜上の理由で、ポリアリルアミン
水溶液のpHは通常酸性側になっているため、アルカリ
薬剤を加えて中性処理をすると良い。中性処理に用いる
ことができる薬剤は従来既知のアルカリ薬剤であればい
ずれの薬剤でも利用可能である。アルカリ薬剤として
は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸
カリウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリ
ウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、トリエチ
ルアミン、アンモニア等のような水溶液にしたときアル
カリ性を示すものであればいずれのアルカリ薬剤であっ
ても同様に利用できる。濃厚なアルカリ水溶液の場合
は、水で十分に希釈したものをポリアリルアミンに加え
て中和することが好ましい。
るに先立って、所望により、ポリアリルアミンのpHを
中性付近に調製しておくことにより、このポリアリルア
ミンは任意量の絹フィブロインと混じるようになる。安
定に保存するという便宜上の理由で、ポリアリルアミン
水溶液のpHは通常酸性側になっているため、アルカリ
薬剤を加えて中性処理をすると良い。中性処理に用いる
ことができる薬剤は従来既知のアルカリ薬剤であればい
ずれの薬剤でも利用可能である。アルカリ薬剤として
は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸
カリウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリ
ウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、トリエチ
ルアミン、アンモニア等のような水溶液にしたときアル
カリ性を示すものであればいずれのアルカリ薬剤であっ
ても同様に利用できる。濃厚なアルカリ水溶液の場合
は、水で十分に希釈したものをポリアリルアミンに加え
て中和することが好ましい。
【0028】上記のアルカリ薬剤のうち、アンモニアが
最も好ましい。これは、生体高分子/ポリアリルアミン
の混合水溶液を蒸発乾固せしめる過程で除去でき、かつ
調製後の複合体に残留することがないからである。アン
モニアの希薄水溶液をポリアリルアミン水溶液に少しず
つ滴下して、ポリアリルアミン水溶液のpHをpH試験
紙を用いあるいはpHメーターで7付近に調整するとよ
い。pH7に調整したポリアリルアミン水溶液に絹フィ
ブロイン水溶液を加え、ガラス棒で注意深く静かに攪拌
し、室温で所定の時間、例えば15分程度静置したの
ち、ポリエチレン膜等の基質上に拡げ、送風乾燥し、水
分を蒸発せしめることで複合体が製造できる。こうして
調製される複合体は、2つの成分が均一に混じり、分子
間相互作用の良好なものとなる。なお、水に対する溶解
性は絹フィブロインの含有量の違いによって異なる。水
溶性の複合体は、所望により、次のような不溶化処理を
行って水不溶性に変えることができる。
最も好ましい。これは、生体高分子/ポリアリルアミン
の混合水溶液を蒸発乾固せしめる過程で除去でき、かつ
調製後の複合体に残留することがないからである。アン
モニアの希薄水溶液をポリアリルアミン水溶液に少しず
つ滴下して、ポリアリルアミン水溶液のpHをpH試験
紙を用いあるいはpHメーターで7付近に調整するとよ
い。pH7に調整したポリアリルアミン水溶液に絹フィ
ブロイン水溶液を加え、ガラス棒で注意深く静かに攪拌
し、室温で所定の時間、例えば15分程度静置したの
ち、ポリエチレン膜等の基質上に拡げ、送風乾燥し、水
分を蒸発せしめることで複合体が製造できる。こうして
調製される複合体は、2つの成分が均一に混じり、分子
間相互作用の良好なものとなる。なお、水に対する溶解
性は絹フィブロインの含有量の違いによって異なる。水
溶性の複合体は、所望により、次のような不溶化処理を
行って水不溶性に変えることができる。
【0029】また、前記したように、これら複合体に不
溶化薬剤水溶液からなるゲル化剤、すなわち不溶化薬剤
を適用することによってゲル状の水不溶性複合体を調製
することができるが、その他に既知の凍結乾燥法に従っ
て粉末状の水不溶性複合体を調製することができる。こ
のような簡単な処理で、絹フィブロインの分子凝集状態
が向上し、その結果絹フィブロインが不溶化する。この
不溶化した絹フィブロインのマトリックスにポリアリル
アミンが物理・化学的に捕捉されるので、絹フィブロイ
ン/ポリアリルアミン複合体は、特別な架橋用の化学薬
剤を使わなくとも不溶化することができる。また、不溶
化方法としては、この他に、両物質を静電気的に結合す
る方法もある。すなわち、水溶液中で、正の電荷を持つ
ポリアリルアミンと、正と負の電荷のうち負の電荷を有
するグルタミン酸、アスパラギン酸残基を持つ絹フィブ
ロインとはイオン結合、水素結合、その他の化学結合に
より結合するため両者が結合して不溶化する。不溶化処
理後は、ポリアリルアミンや絹フィブロインが複合体か
ら溶出することはない。
溶化薬剤水溶液からなるゲル化剤、すなわち不溶化薬剤
を適用することによってゲル状の水不溶性複合体を調製
することができるが、その他に既知の凍結乾燥法に従っ
て粉末状の水不溶性複合体を調製することができる。こ
のような簡単な処理で、絹フィブロインの分子凝集状態
が向上し、その結果絹フィブロインが不溶化する。この
不溶化した絹フィブロインのマトリックスにポリアリル
アミンが物理・化学的に捕捉されるので、絹フィブロイ
ン/ポリアリルアミン複合体は、特別な架橋用の化学薬
剤を使わなくとも不溶化することができる。また、不溶
化方法としては、この他に、両物質を静電気的に結合す
る方法もある。すなわち、水溶液中で、正の電荷を持つ
ポリアリルアミンと、正と負の電荷のうち負の電荷を有
するグルタミン酸、アスパラギン酸残基を持つ絹フィブ
ロインとはイオン結合、水素結合、その他の化学結合に
より結合するため両者が結合して不溶化する。不溶化処
理後は、ポリアリルアミンや絹フィブロインが複合体か
ら溶出することはない。
【0030】本発明の複合体には、医薬品、生体細胞、
抗菌性金属成分、抗生物質等の有効成分を固定化させる
ことができる。複合体に固定できる有効成分の種類およ
び量は特に制約されるものでなく、目的に合わせて任意
に決めることができる。有効成分としては、水溶解性の
ものが望ましい。有効成分を含んだ複合体を調製するに
は、絹フィブロイン(絹蛋白質)のような生体高分子の
水溶液と中性処理後のポリアリルアミン水溶液との混合
水溶液に有効成分を溶解、または分散させ、混合水溶液
を緩やかに注意深く攪拌した後、ポリスチレン、ポリエ
チレン等の基質膜上に拡げて水分を蒸発すればよい。有
効成分を含んだ混合水溶液を調製する場合、絹蛋白質の
ような生体高分子およびポリアリルアミンの好ましい濃
度はいずれも0.01〜10重量%、更に好ましくは
0.1〜5重量%である。生体高分子濃度が10重量%
を超えると、成形性が低下するため好ましくなく、ま
た、生体高分子濃度が0.01重量%未満だと、濃度が
希薄すぎるので、生体高分子の水溶液の使用量を多くし
なければならず、両水溶液を混合する際の効率が悪くな
る。また、生体高分子の希薄水溶液を用いると、ポリア
リルアミン水溶液との混合水溶液の蒸発乾燥時間が長く
なり、目的物調製上の効率も低下するため好ましくな
い。
抗菌性金属成分、抗生物質等の有効成分を固定化させる
ことができる。複合体に固定できる有効成分の種類およ
び量は特に制約されるものでなく、目的に合わせて任意
に決めることができる。有効成分としては、水溶解性の
ものが望ましい。有効成分を含んだ複合体を調製するに
は、絹フィブロイン(絹蛋白質)のような生体高分子の
水溶液と中性処理後のポリアリルアミン水溶液との混合
水溶液に有効成分を溶解、または分散させ、混合水溶液
を緩やかに注意深く攪拌した後、ポリスチレン、ポリエ
チレン等の基質膜上に拡げて水分を蒸発すればよい。有
効成分を含んだ混合水溶液を調製する場合、絹蛋白質の
ような生体高分子およびポリアリルアミンの好ましい濃
度はいずれも0.01〜10重量%、更に好ましくは
0.1〜5重量%である。生体高分子濃度が10重量%
を超えると、成形性が低下するため好ましくなく、ま
た、生体高分子濃度が0.01重量%未満だと、濃度が
希薄すぎるので、生体高分子の水溶液の使用量を多くし
なければならず、両水溶液を混合する際の効率が悪くな
る。また、生体高分子の希薄水溶液を用いると、ポリア
リルアミン水溶液との混合水溶液の蒸発乾燥時間が長く
なり、目的物調製上の効率も低下するため好ましくな
い。
【0031】
【実施例】次に、本発明を実施例及び比較例によりさら
に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定される
ものではない。 (1)実施例で使用するポリアリルアミンの種類 表1に以下の実施例で使用するポリアリルアミンの名
称、分子量ならびに特徴を示す。なお、表1に記載した
水溶性カチオン系高分子のポリアリルアミンは日東紡績
(株)から市販されており、化合物の名称はすべて日東
紡績(株)の商品名に従った。これらのポリアリルアミ
ンの詳細は次の通りである。
に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定される
ものではない。 (1)実施例で使用するポリアリルアミンの種類 表1に以下の実施例で使用するポリアリルアミンの名
称、分子量ならびに特徴を示す。なお、表1に記載した
水溶性カチオン系高分子のポリアリルアミンは日東紡績
(株)から市販されており、化合物の名称はすべて日東
紡績(株)の商品名に従った。これらのポリアリルアミ
ンの詳細は次の通りである。
【0032】PAS−A−120Lはジアリルジメチル
アンモニウムクロライド−二酸化イオウ共重合物であ
り、PAS−H−10Lはジアリルジメチルアンモニウ
ムクロライド共重合物であり、PAS−92はジアリル
アミン塩酸塩−二酸化イオウ共重合物であり、PAA−
HCl−10Lはポリアリルアミン・塩酸塩であり、P
AA−10Cはポリアリルアミンである。
アンモニウムクロライド−二酸化イオウ共重合物であ
り、PAS−H−10Lはジアリルジメチルアンモニウ
ムクロライド共重合物であり、PAS−92はジアリル
アミン塩酸塩−二酸化イオウ共重合物であり、PAA−
HCl−10Lはポリアリルアミン・塩酸塩であり、P
AA−10Cはポリアリルアミンである。
【0033】
【表1】 (2)実施例で得られた絹フィブロイン/ポリアリルア
ミン複合体の構造特性を調べる目的で次の項目の試験を
行った。
ミン複合体の構造特性を調べる目的で次の項目の試験を
行った。
【0034】(2−1)機械的特性:複合体膜の機械的
性質(強度および伸度)を測定し、切断時の複合体膜の
試料の強度と伸度を評価した。測定条件は、試料の長さ
15mmおよび幅2mm、膜厚10μm、引張り速度4
mm/min、チャートスピード500mm/min、
チャートスケール200gであり、(株)島津製作所製
引張り試験機(オートグラフ、形式AGS−5D)によ
り測定した。
性質(強度および伸度)を測定し、切断時の複合体膜の
試料の強度と伸度を評価した。測定条件は、試料の長さ
15mmおよび幅2mm、膜厚10μm、引張り速度4
mm/min、チャートスピード500mm/min、
チャートスケール200gであり、(株)島津製作所製
引張り試験機(オートグラフ、形式AGS−5D)によ
り測定した。
【0035】(2−2)フーリエ変換赤外吸収スペクト
ル パーキンエルマー社製のFT−IR(フーリエ変換赤外
吸収スペクトル)測定装置を用いて複合体の分子形態に
関する吸収スペクトルを観察した。測定波数は、200
0〜400cm-1、測定繰り返し数は20回であった。
ル パーキンエルマー社製のFT−IR(フーリエ変換赤外
吸収スペクトル)測定装置を用いて複合体の分子形態に
関する吸収スペクトルを観察した。測定波数は、200
0〜400cm-1、測定繰り返し数は20回であった。
【0036】(2−3)含水率、試料重量流出率 複合体膜を20℃の水に浸漬し、その処理前後で複合体
膜の試料に何%の水が入ったか(含水率)、また、複合
体膜を20℃の水に24時間浸漬処理することで試料重
量の何%が流出したか(試料重量流出率)を次式により
求めた。
膜の試料に何%の水が入ったか(含水率)、また、複合
体膜を20℃の水に24時間浸漬処理することで試料重
量の何%が流出したか(試料重量流出率)を次式により
求めた。
【0037】 含水率 = [(Wb−Wc)/Wc] ×100(%) 試料重量流出率 = [(Wa−Wc)/Wa] ×100
(%) 但し、Wa、Wb、Wcはそれぞれ次のことを意味す
る。
(%) 但し、Wa、Wb、Wcはそれぞれ次のことを意味す
る。
【0038】Wa:20℃の水中に浸漬する前、85℃
で3時間乾燥した試料重量。
で3時間乾燥した試料重量。
【0039】Wb:20℃の水中に24時間浸漬し、吸
水率が平衡状態にある試料重量。
水率が平衡状態にある試料重量。
【0040】Wc:吸水後に標準状態で風乾し、15℃
で3時間乾燥した試料重量。
で3時間乾燥した試料重量。
【0041】(2−4)熱分解挙動 理学電機(株)製示差熱走査測定装置(DSC−10
A)を用い、複合体膜の試料重量2.2mg、DSCレ
ンジ2.5mcal/s、昇温速度10℃/分で、測定
を200cc/分の窒素気流中で行った。この測定にお
いて180℃以上に現れる吸熱ピーク温度を試料の熱分
解温度とした。 (3)複合体膜の植物病原細菌の増殖に及ぼす阻害効果
による抗菌性評価 植物性病原細菌として、普遍的な植物性病原細菌の代表
であって、耐性菌が出現しやすく、多くの植物を犯す多
犯性の腐敗病菌であり、植物性病原細菌の中でも数少な
いグラム陽性菌としてトマトかいよう病菌(学術名:Co
rynebacteriummichiganese pv. michiganese)を選ん
だ。
A)を用い、複合体膜の試料重量2.2mg、DSCレ
ンジ2.5mcal/s、昇温速度10℃/分で、測定
を200cc/分の窒素気流中で行った。この測定にお
いて180℃以上に現れる吸熱ピーク温度を試料の熱分
解温度とした。 (3)複合体膜の植物病原細菌の増殖に及ぼす阻害効果
による抗菌性評価 植物性病原細菌として、普遍的な植物性病原細菌の代表
であって、耐性菌が出現しやすく、多くの植物を犯す多
犯性の腐敗病菌であり、植物性病原細菌の中でも数少な
いグラム陽性菌としてトマトかいよう病菌(学術名:Co
rynebacteriummichiganese pv. michiganese)を選ん
だ。
【0042】実施例中の細菌に対する抗菌活性評価は下
記の方法により行った。
記の方法により行った。
【0043】細菌に対する抗菌活性検定法:加熱溶解後
55℃に保持した半合成脇本培地またはキングB培地2
5mlと、検定菌(濃度109/ml)2mlとを混合
し、この混合物をシャーレに流し込んで平板状に固め
た。この菌液混合平板培地上に約1cm四方の複合体膜
の試料を置き、試料全体を培地に密着させた。これを2
0〜25℃に保ち、所定の経過時間毎に検定試料付近の
培地での菌増殖阻害程度を、試料の周囲に現れる阻止円
の大きさを実測し、mm単位の表示で評価した。 (4)複合体膜の大腸菌の増殖に及ぼす阻害効果による
抗菌性評価 上記トマトかいよう病原細菌の増殖に及ぼす阻害効果の
評価方法と同様の方法で大腸菌の増殖に及ぼす阻害効果
を評価した。大腸菌として、PROMEGA 社製のStrain: JM
109 を使用し、培地として、LB培地、LB寒天培地を
使用した。蒸留水100mL当たりのLB培地組成は次
の通りであった。ポリペプトン 1.0g、酵母エキス
0.5g、塩化ナトリウム 1.0gの組成から構成
された培地であり(LB寒天培地の場合は、さらに、寒
天 1.5g)、滅菌後の培地のpHを7.0−7.4
に調整した。具体的な培養手法は次の通りである。
55℃に保持した半合成脇本培地またはキングB培地2
5mlと、検定菌(濃度109/ml)2mlとを混合
し、この混合物をシャーレに流し込んで平板状に固め
た。この菌液混合平板培地上に約1cm四方の複合体膜
の試料を置き、試料全体を培地に密着させた。これを2
0〜25℃に保ち、所定の経過時間毎に検定試料付近の
培地での菌増殖阻害程度を、試料の周囲に現れる阻止円
の大きさを実測し、mm単位の表示で評価した。 (4)複合体膜の大腸菌の増殖に及ぼす阻害効果による
抗菌性評価 上記トマトかいよう病原細菌の増殖に及ぼす阻害効果の
評価方法と同様の方法で大腸菌の増殖に及ぼす阻害効果
を評価した。大腸菌として、PROMEGA 社製のStrain: JM
109 を使用し、培地として、LB培地、LB寒天培地を
使用した。蒸留水100mL当たりのLB培地組成は次
の通りであった。ポリペプトン 1.0g、酵母エキス
0.5g、塩化ナトリウム 1.0gの組成から構成
された培地であり(LB寒天培地の場合は、さらに、寒
天 1.5g)、滅菌後の培地のpHを7.0−7.4
に調整した。具体的な培養手法は次の通りである。
【0044】(i)LB培地で培養温度35℃で振盪し
ながら、一昼夜、大腸菌を増殖させた。
ながら、一昼夜、大腸菌を増殖させた。
【0045】(ii)約60℃で溶解したLB寒天培地
と、増殖した前記大腸菌の入ったLB培地を等量宛混合
し、滅菌済みの容器に注入した。
と、増殖した前記大腸菌の入ったLB培地を等量宛混合
し、滅菌済みの容器に注入した。
【0046】(iii)培地が固化した後、被検試料を培
地表面に置いた。
地表面に置いた。
【0047】(iv)一定時間の培養後、阻止円の大きさ
を観察した。 (5)昆虫細胞の付着・増殖実験 カイコの粉末体液(日本農産工業(株)製)5%、牛胎
児血清5%(Gibco社製)を含むGrace培地(Sigma社
製、G8142)、および1%のペニシリン・ストレプトマイ
シンの混合抗生物質を含む培地を用いて柞蚕由来の細胞
Ae細胞、あるいは家蚕由来のBm細胞の培養実験を行
った。細胞の付着状態は培養後1日目、倒立顕微鏡(Ol
ympus 1MT-2型)を用いて同一の培養プレートに付き、
4視野を観察し、視野の下で培養プレートを左右に揺り
動かして、細胞培養床底面に付着した細胞および培養液
に浮遊した細胞を目視で観察した。視野下における細胞
の全体数に対する付着細胞数の割合を目視で3回測定
し、その平均値を細胞付着状態(以下、「細胞付着」と
略記する)として評価した。細胞培養数は2日目に、血
球計算盤で観察した。絹フィブロイン含有量が異なる各
種複合体膜表面での柞蚕(Ae)および家蚕(Bm)昆
虫細胞の付着・増殖状態を観察した。 (6)マウス由来の繊維芽細胞の付着増殖実験 細胞培養基材表面におけるマウス由来の繊維芽細胞(L
929)の付着・増殖を観察した。用いたL929は、
1940年にEarle によって初代培養が開始されたマウ
ス繊維芽細胞のシリーズの1株でSanfordによってクロ
ーニングされたものである。L929のCell N
o.はRCB0091(理化学研究所)である。5%の
牛胎児血清、HEPES 20mM(Sigma 社製)、グ
ルタミンを含んだMEM培地(Gibco社製)を用い、3
7℃における細胞培養、4日目のL929繊維芽細胞の
付着状態を倒立顕微鏡(Olympus社製)で調べた。な
お、培養開始時の細胞数は1.5×105個/mlであ
った。 実施例1 絹フィブロインとポリアリルアミンとの水溶
液状態での相溶性評価 絹フィブロイン水溶液を次の方法で調製した。2.5g
の家蚕絹糸を55℃の8.5M臭化リチウム水溶液20
mL中で完全に溶解させた後、この水溶液をセルロース
製透析膜に入れて、5℃で5日間蒸留水で置換して、不
純物を除去し、純粋な絹フィブロイン水溶液を調製し
た。かくして調製された絹フィブロイン水溶液に蒸留水
を加え、絶乾濃度が6%となるように絹フィブロイン水
溶液の原液を調製した。この絹フィブロイン水溶液原液
に水を加えて3%の絹フィブロイン水溶液を調製した。
調製する複合体の重量基準で、絹フィブロインとポリア
リルアミンとの混合割合が一定となるように3%絹フィ
ブロイン水溶液と6%の各種ポリアリルアミン水溶液と
を所定量混合した。混合した直後の水溶液において2種
類のポリマーが良好に混じり合うか否かを目視により観
察した。得られた結果を表2に示す。
を観察した。 (5)昆虫細胞の付着・増殖実験 カイコの粉末体液(日本農産工業(株)製)5%、牛胎
児血清5%(Gibco社製)を含むGrace培地(Sigma社
製、G8142)、および1%のペニシリン・ストレプトマイ
シンの混合抗生物質を含む培地を用いて柞蚕由来の細胞
Ae細胞、あるいは家蚕由来のBm細胞の培養実験を行
った。細胞の付着状態は培養後1日目、倒立顕微鏡(Ol
ympus 1MT-2型)を用いて同一の培養プレートに付き、
4視野を観察し、視野の下で培養プレートを左右に揺り
動かして、細胞培養床底面に付着した細胞および培養液
に浮遊した細胞を目視で観察した。視野下における細胞
の全体数に対する付着細胞数の割合を目視で3回測定
し、その平均値を細胞付着状態(以下、「細胞付着」と
略記する)として評価した。細胞培養数は2日目に、血
球計算盤で観察した。絹フィブロイン含有量が異なる各
種複合体膜表面での柞蚕(Ae)および家蚕(Bm)昆
虫細胞の付着・増殖状態を観察した。 (6)マウス由来の繊維芽細胞の付着増殖実験 細胞培養基材表面におけるマウス由来の繊維芽細胞(L
929)の付着・増殖を観察した。用いたL929は、
1940年にEarle によって初代培養が開始されたマウ
ス繊維芽細胞のシリーズの1株でSanfordによってクロ
ーニングされたものである。L929のCell N
o.はRCB0091(理化学研究所)である。5%の
牛胎児血清、HEPES 20mM(Sigma 社製)、グ
ルタミンを含んだMEM培地(Gibco社製)を用い、3
7℃における細胞培養、4日目のL929繊維芽細胞の
付着状態を倒立顕微鏡(Olympus社製)で調べた。な
お、培養開始時の細胞数は1.5×105個/mlであ
った。 実施例1 絹フィブロインとポリアリルアミンとの水溶
液状態での相溶性評価 絹フィブロイン水溶液を次の方法で調製した。2.5g
の家蚕絹糸を55℃の8.5M臭化リチウム水溶液20
mL中で完全に溶解させた後、この水溶液をセルロース
製透析膜に入れて、5℃で5日間蒸留水で置換して、不
純物を除去し、純粋な絹フィブロイン水溶液を調製し
た。かくして調製された絹フィブロイン水溶液に蒸留水
を加え、絶乾濃度が6%となるように絹フィブロイン水
溶液の原液を調製した。この絹フィブロイン水溶液原液
に水を加えて3%の絹フィブロイン水溶液を調製した。
調製する複合体の重量基準で、絹フィブロインとポリア
リルアミンとの混合割合が一定となるように3%絹フィ
ブロイン水溶液と6%の各種ポリアリルアミン水溶液と
を所定量混合した。混合した直後の水溶液において2種
類のポリマーが良好に混じり合うか否かを目視により観
察した。得られた結果を表2に示す。
【0048】なお、相溶性は次の3段階により評価し
た。
た。
【0049】○:透明状態で良く混じり合う。
【0050】△:混じり合わず溶液が白濁する。
【0051】×:絹フィブロインとポリアリルアミンと
が水溶液状態で相分離してしまう。 また、表2中の溶
解性は、上記混合水溶液をポリエチレン膜上に拡げ、乾
燥乾固して得た複合体膜を水中に浸漬した時のその溶解
挙動を目視で次の二段階で評価したものである。
が水溶液状態で相分離してしまう。 また、表2中の溶
解性は、上記混合水溶液をポリエチレン膜上に拡げ、乾
燥乾固して得た複合体膜を水中に浸漬した時のその溶解
挙動を目視で次の二段階で評価したものである。
【0052】複合体膜の溶解挙動: ○:複合体膜が水によく溶ける。
【0053】△:複合体膜の一部水に溶ける。
【0054】
【表2】 表2は、一切中和処理をしない各種ポリアリルアミンを
用いた場合の相溶性、溶解性についての結果であり、絹
フィブロインとポリアリルアミンの比率を変えた時に、
各成分が水溶液状態で分離するかしないかを簡易的に事
前評価したものである。この結果から、ポリアリルアミ
ンの種類によっても異なるが、絹フィブロイン含量はお
よそ80〜90重量%以下であると両者は均一に混じ
る。ただし、ポリアリルアミンのpHを中性付近に調整
すると、以下述べるように、任意量の絹フィブロインと
均一に混じるようになる点において表2の結果とは異な
る。 実施例2 複合体膜の調製方法 ポリアリルアミン水溶液に水を加えてpHが3〜5にな
るように調整し、この水溶液を、ポリアリルアミンが2
5重量%含まれるように、3%絹フィブロイン(以下こ
れをSFと略記することもある)水溶液に添加し、混合
した。この混合液を基質(ポリエチレン膜)上に拡げ、
25℃で送風乾燥し、厚さ100μmの複合体膜を調製
した。用いたポリアリルアミンは、表1に示した日東紡
績株式会社製の商品名PAS−A−120L、PAS−
H−10L、PAS−92、PAA−HCl−10L、
PAA−10Cである。
用いた場合の相溶性、溶解性についての結果であり、絹
フィブロインとポリアリルアミンの比率を変えた時に、
各成分が水溶液状態で分離するかしないかを簡易的に事
前評価したものである。この結果から、ポリアリルアミ
ンの種類によっても異なるが、絹フィブロイン含量はお
よそ80〜90重量%以下であると両者は均一に混じ
る。ただし、ポリアリルアミンのpHを中性付近に調整
すると、以下述べるように、任意量の絹フィブロインと
均一に混じるようになる点において表2の結果とは異な
る。 実施例2 複合体膜の調製方法 ポリアリルアミン水溶液に水を加えてpHが3〜5にな
るように調整し、この水溶液を、ポリアリルアミンが2
5重量%含まれるように、3%絹フィブロイン(以下こ
れをSFと略記することもある)水溶液に添加し、混合
した。この混合液を基質(ポリエチレン膜)上に拡げ、
25℃で送風乾燥し、厚さ100μmの複合体膜を調製
した。用いたポリアリルアミンは、表1に示した日東紡
績株式会社製の商品名PAS−A−120L、PAS−
H−10L、PAS−92、PAA−HCl−10L、
PAA−10Cである。
【0055】PAA−10Cの場合、この水溶液(pH
=11)に絹フィブロイン水溶液を加えると乳白濁し、
30分放置するとオイル状のPAA−10Cがビーカ底
に沈殿した。そこで、SFとPAA−10Cとを複合化
させ透明な複合体膜をつくるため、次のように工夫し
た。3%絹フィブロイン水溶液にpH=11のアンモニ
ア水(和光純薬工業株式会社製)を加え、さらに6%P
AA−10C水溶液をポリアリルアミンが25重量%に
なるように加えた。良好に混合でき、両物質が分離する
ことはなかった。この混合液をポリエチレン膜上に拡
げ、25℃で送風乾燥して透明な複合体膜の試料を作成
した。 実施例3 複合体のFT−IR解析 実施例1と同様の方法で、表1記載のポリアリルアミン
を用い、絹フィブロインとポリアリルアミンとの複合体
を調製した。すなわち、複合体中に絹フィブロインが7
5重量%含まれるように、絹フィブロイン水溶液と未中
和のポリアリルアミン水溶液とを均一に分子レベルで混
合し、ポリエチレン膜上に拡げ、乾燥乾固せしめて複合
体膜を調製した。絹フィブロイン/ポリアリルアミン複
合体の分子構造特性を明らかにするため、この複合体膜
の試料を用いて、フーリエ変換赤外スペクトル(FT−
IR)をパーキンエルマー社製の測定装置で測定した。
測定波数領域は2000〜400cm-1であり、測定繰
り返し数は20回であった。吸収ピーク位置の数を求
め、ピーク強度を、非常に強(VS)、強(S)、中
(M)、弱(W)の4段階で示した。得られた結果を表
3に示す。表3において、例えばSF/PAA−10C
(75/25)とは、別々に調製した濃度が3%の絹フ
ィブロイン水溶液と濃度が6%のポリアリルアミン(P
AA−10C)水溶液とを、絹フィブロインとポリアリ
ルアミンとの重量割合が75%と25%となるように均
一に混合し、更に、この混合液に水を適宜加えて絹フィ
ブロインとポリアリルアミンとを合計した混合水溶液の
濃度が1%となるように混合し、その後この混合水溶液
を基質上に拡げ、蒸発乾固せしめて調製した複合体膜を
意味する。表3中の他の複合体膜も同じように調製され
た膜を意味する。また、以下の表4および6記載の複合
体膜の場合も同じである。
=11)に絹フィブロイン水溶液を加えると乳白濁し、
30分放置するとオイル状のPAA−10Cがビーカ底
に沈殿した。そこで、SFとPAA−10Cとを複合化
させ透明な複合体膜をつくるため、次のように工夫し
た。3%絹フィブロイン水溶液にpH=11のアンモニ
ア水(和光純薬工業株式会社製)を加え、さらに6%P
AA−10C水溶液をポリアリルアミンが25重量%に
なるように加えた。良好に混合でき、両物質が分離する
ことはなかった。この混合液をポリエチレン膜上に拡
げ、25℃で送風乾燥して透明な複合体膜の試料を作成
した。 実施例3 複合体のFT−IR解析 実施例1と同様の方法で、表1記載のポリアリルアミン
を用い、絹フィブロインとポリアリルアミンとの複合体
を調製した。すなわち、複合体中に絹フィブロインが7
5重量%含まれるように、絹フィブロイン水溶液と未中
和のポリアリルアミン水溶液とを均一に分子レベルで混
合し、ポリエチレン膜上に拡げ、乾燥乾固せしめて複合
体膜を調製した。絹フィブロイン/ポリアリルアミン複
合体の分子構造特性を明らかにするため、この複合体膜
の試料を用いて、フーリエ変換赤外スペクトル(FT−
IR)をパーキンエルマー社製の測定装置で測定した。
測定波数領域は2000〜400cm-1であり、測定繰
り返し数は20回であった。吸収ピーク位置の数を求
め、ピーク強度を、非常に強(VS)、強(S)、中
(M)、弱(W)の4段階で示した。得られた結果を表
3に示す。表3において、例えばSF/PAA−10C
(75/25)とは、別々に調製した濃度が3%の絹フ
ィブロイン水溶液と濃度が6%のポリアリルアミン(P
AA−10C)水溶液とを、絹フィブロインとポリアリ
ルアミンとの重量割合が75%と25%となるように均
一に混合し、更に、この混合液に水を適宜加えて絹フィ
ブロインとポリアリルアミンとを合計した混合水溶液の
濃度が1%となるように混合し、その後この混合水溶液
を基質上に拡げ、蒸発乾固せしめて調製した複合体膜を
意味する。表3中の他の複合体膜も同じように調製され
た膜を意味する。また、以下の表4および6記載の複合
体膜の場合も同じである。
【0056】
【表3】 表3から明らかなように、絹フィブロイン/ポリアリル
アミン複合体のFT−IRスペクトルには、絹蛋白質に
由来する特有な吸収ピークと、ポリアリルアミンに由来
する特有な吸収ピークとが重複して現れていることが分
かる。このことは、複合体は絹フィブロイン分子とポリ
アリルアミン分子とから構成され、両者が複合化した結
果、全く新たな化学結合が形成することのないことを意
味する。 実施例4 DSCによる組成成分間の分子相互作用の推
定 ポリアリルアミン膜、絹フィブロイン(SF)膜、およ
び絹フィブロインの含量が異なる絹フィブロイン/ポリ
アリルアミン複合体膜を次のようにして製造した。表4
に示した5種類のポリアリルアミン(PAA−10C、
PAA−HCl−10L、PAS−H−10L、PAS
−A、PAS−92)を用い、実施例1と同様の方法で
絹フィブロイン/ポリアリルアミン複合体膜を調製し、
またポリアリルアミン単独の膜およびSF単独の膜も同
様にして調製した。
アミン複合体のFT−IRスペクトルには、絹蛋白質に
由来する特有な吸収ピークと、ポリアリルアミンに由来
する特有な吸収ピークとが重複して現れていることが分
かる。このことは、複合体は絹フィブロイン分子とポリ
アリルアミン分子とから構成され、両者が複合化した結
果、全く新たな化学結合が形成することのないことを意
味する。 実施例4 DSCによる組成成分間の分子相互作用の推
定 ポリアリルアミン膜、絹フィブロイン(SF)膜、およ
び絹フィブロインの含量が異なる絹フィブロイン/ポリ
アリルアミン複合体膜を次のようにして製造した。表4
に示した5種類のポリアリルアミン(PAA−10C、
PAA−HCl−10L、PAS−H−10L、PAS
−A、PAS−92)を用い、実施例1と同様の方法で
絹フィブロイン/ポリアリルアミン複合体膜を調製し、
またポリアリルアミン単独の膜およびSF単独の膜も同
様にして調製した。
【0057】上記のようにして調製した複合体膜を用い
てDSC測定を行い、これらの熱挙動を調べた。100
℃以上の温度領域に現れる吸熱ピーク温度を調整した。
得られた結果を表4に示す。表4中で表示温度に付され
た英文字は吸熱ピークの形態を意味し、Bは幅広いピー
ク、VBは非常に幅広いピークであることを意味する。
てDSC測定を行い、これらの熱挙動を調べた。100
℃以上の温度領域に現れる吸熱ピーク温度を調整した。
得られた結果を表4に示す。表4中で表示温度に付され
た英文字は吸熱ピークの形態を意味し、Bは幅広いピー
ク、VBは非常に幅広いピークであることを意味する。
【0058】
【表4】 表4から明らかなように、絹フィブロインのDSC吸熱
ピークは280℃に表れるが、絹フィブロイン/ポリア
リルアミン複合体において、絹フィブロインの含量が異
なることにより吸熱ピーク温度位置が若干変化すること
が分かる。このことは、絹フィブロインとポリアリルア
ミンとの間に、水素結合、イオン結合、疎水結合等の、
何らかの分子間の凝集作用を高めるような物理的結合が
生ずることを示唆している。 実施例5 不溶化処理方法の検討 実施例1と同じ方法により表5に示した複合体膜を調製
し、これらの複合体膜について水不溶化程度を次のよう
にして評価した。複合体膜を水不溶化させるため不溶化
薬剤水溶液として、クロロオキシラン(別称:エピクロ
ロヒドリン、関東化学株式会社製)、水、メタノール
(5:10:85容量%)から調製した水溶液を用い
た。表5に示した複合体膜をこの不溶化薬剤水溶液2.
5mL中に浸漬して3分間静置した。その後複合体膜を
取り出して、さらに50%メタノール水溶液で洗浄し、
室温で乾燥させることで水溶解程度の異なる複合体膜を
調製した。こうして調製した複合体膜の水不溶化試料を
水に漬け込み、30分間にわたって試料の溶解状態を目
視により観察した。得られた結果を表5に示す。表5に
おいて、複合体膜の溶解状態は、次の三段階で評価し
た。
ピークは280℃に表れるが、絹フィブロイン/ポリア
リルアミン複合体において、絹フィブロインの含量が異
なることにより吸熱ピーク温度位置が若干変化すること
が分かる。このことは、絹フィブロインとポリアリルア
ミンとの間に、水素結合、イオン結合、疎水結合等の、
何らかの分子間の凝集作用を高めるような物理的結合が
生ずることを示唆している。 実施例5 不溶化処理方法の検討 実施例1と同じ方法により表5に示した複合体膜を調製
し、これらの複合体膜について水不溶化程度を次のよう
にして評価した。複合体膜を水不溶化させるため不溶化
薬剤水溶液として、クロロオキシラン(別称:エピクロ
ロヒドリン、関東化学株式会社製)、水、メタノール
(5:10:85容量%)から調製した水溶液を用い
た。表5に示した複合体膜をこの不溶化薬剤水溶液2.
5mL中に浸漬して3分間静置した。その後複合体膜を
取り出して、さらに50%メタノール水溶液で洗浄し、
室温で乾燥させることで水溶解程度の異なる複合体膜を
調製した。こうして調製した複合体膜の水不溶化試料を
水に漬け込み、30分間にわたって試料の溶解状態を目
視により観察した。得られた結果を表5に示す。表5に
おいて、複合体膜の溶解状態は、次の三段階で評価し
た。
【0059】○:水に不溶。
【0060】△:浸漬直後は水に不溶、次第に水を吸っ
て溶解しはじめる。
て溶解しはじめる。
【0061】×:水に浸漬直後に溶け出す。
【0062】
【表5】 表5から明らかなように、いずれのポリアリルアミンも
単独では高い吸湿性を示し、水に溶解する性質がある。
しかし、本発明の場合には、ポリアリルアミンが両性電
解質の絹フィブロインの負の電荷をもつアミノ酸側鎖と
イオン結合して、絹フィブロイン含有率が50重量%以
上の範囲でその複合体膜は水不溶性となる。ただし、一
部のポリアリルアミンでは25重量%程度でも不溶化す
る場合がある。 実施例6 複合体膜の機械的特性 乾燥時の機械的特性:3%絹フィブロイン水溶液6mL
と6%ポリアリルアミン水溶液4mLとを混合し、ガラ
ス棒で静かに攪拌し、この混合液をポリエチレン膜表面
に拡げ、室温で水分を蒸発させて絹フィブロインとポリ
アリルアミンとを75重量%と25重量%との比率で含
む複合体膜を調製した。かくして得られた複合体膜の強
度と伸度を測定し、得られた結果を表6に示す。
単独では高い吸湿性を示し、水に溶解する性質がある。
しかし、本発明の場合には、ポリアリルアミンが両性電
解質の絹フィブロインの負の電荷をもつアミノ酸側鎖と
イオン結合して、絹フィブロイン含有率が50重量%以
上の範囲でその複合体膜は水不溶性となる。ただし、一
部のポリアリルアミンでは25重量%程度でも不溶化す
る場合がある。 実施例6 複合体膜の機械的特性 乾燥時の機械的特性:3%絹フィブロイン水溶液6mL
と6%ポリアリルアミン水溶液4mLとを混合し、ガラ
ス棒で静かに攪拌し、この混合液をポリエチレン膜表面
に拡げ、室温で水分を蒸発させて絹フィブロインとポリ
アリルアミンとを75重量%と25重量%との比率で含
む複合体膜を調製した。かくして得られた複合体膜の強
度と伸度を測定し、得られた結果を表6に示す。
【0063】
【表6】 乾燥時の機械的性質では、絹フィブロイン膜は切断伸度
がわずか0.6%という脆い性質を示すが、ポリアリル
アミンと複合化することで伸び易くなる。
がわずか0.6%という脆い性質を示すが、ポリアリル
アミンと複合化することで伸び易くなる。
【0064】湿潤時の複合体膜の機械的特性:上記と同
様にして得た複合体膜を24時間水中に入れて水分が平
衡状態に達した後、この複合体膜の機械的特性を調べ、
得られた結果を表7に示す。
様にして得た複合体膜を24時間水中に入れて水分が平
衡状態に達した後、この複合体膜の機械的特性を調べ、
得られた結果を表7に示す。
【0065】
【表7】 表7から明らかなように、吸水した複合体膜は、乾燥状
態の複合体膜と比べ、強度は悪くなるが、伸度は高くな
り、伸びやすくなることが分かる。 実施例7 人工皮膚への応用 実施例1と同様にして得られた複合体膜を実施例5と同
様の不溶化混合水溶液中に15秒間浸漬する簡単な処理
で、98重量%の水分を長時間保持するハイドロゲル状
物質を得た。このゲル状物質をそのまま皮膚に塗布して
乾燥させると、弾性的な被膜が得られた。前記実施例6
からも明らかなように、乾燥状態の絹フィブロイン/ポ
リアリルアミン複合体膜は、切断伸度が微少である絹フ
ィブロイン膜の欠点を補った特性を示し、伸び易く(表
6)、また、水を吸った状態では、複合体膜の伸度は更
に増加して弾性的となった(表7)。
態の複合体膜と比べ、強度は悪くなるが、伸度は高くな
り、伸びやすくなることが分かる。 実施例7 人工皮膚への応用 実施例1と同様にして得られた複合体膜を実施例5と同
様の不溶化混合水溶液中に15秒間浸漬する簡単な処理
で、98重量%の水分を長時間保持するハイドロゲル状
物質を得た。このゲル状物質をそのまま皮膚に塗布して
乾燥させると、弾性的な被膜が得られた。前記実施例6
からも明らかなように、乾燥状態の絹フィブロイン/ポ
リアリルアミン複合体膜は、切断伸度が微少である絹フ
ィブロイン膜の欠点を補った特性を示し、伸び易く(表
6)、また、水を吸った状態では、複合体膜の伸度は更
に増加して弾性的となった(表7)。
【0066】絹フィブロイン自体は、手術用素材として
生体内に埋め込まれて利用されており、生体組織に悪影
響を及ぼさないものであり、また、ポリアリルアミン
は、生体細胞や組織などの培養支持台への固定化材(特
開平2−181628および2−191629号公報)
として利用されるものであるため、本発明の複合体は創
傷被覆材等の医療用素材として利用できるものといえよ
う。 実施例8 複合体膜表面における昆虫細胞の増殖実験 細胞培養床基材の調製方法:以下述べるように、3%絹
フィブロイン水溶液および6%ポリアリルアミン水溶液
を原液として、絹フィブロインの含量(100、90、
75、50、25、0重量%)が異なる絹フィブロイン
/ポリアリルアミン混合水溶液を調製し、この混合水溶
液1.2mLを細胞培養容器に入れ、培養容器を被覆
し、細胞培養床を調製した。6%ポリアリルアミン水溶
液の原液は、ポリアリルアミン水溶液にアンモニア水溶
液の希薄溶液を少量ずつ添加し、pH試験紙でポリアリ
ルアミン水溶液のpHを7前後に調整して調製した。こ
れを原液に用いて、以下述べるように中和処理した細胞
培養床基材を製造した。
生体内に埋め込まれて利用されており、生体組織に悪影
響を及ぼさないものであり、また、ポリアリルアミン
は、生体細胞や組織などの培養支持台への固定化材(特
開平2−181628および2−191629号公報)
として利用されるものであるため、本発明の複合体は創
傷被覆材等の医療用素材として利用できるものといえよ
う。 実施例8 複合体膜表面における昆虫細胞の増殖実験 細胞培養床基材の調製方法:以下述べるように、3%絹
フィブロイン水溶液および6%ポリアリルアミン水溶液
を原液として、絹フィブロインの含量(100、90、
75、50、25、0重量%)が異なる絹フィブロイン
/ポリアリルアミン混合水溶液を調製し、この混合水溶
液1.2mLを細胞培養容器に入れ、培養容器を被覆
し、細胞培養床を調製した。6%ポリアリルアミン水溶
液の原液は、ポリアリルアミン水溶液にアンモニア水溶
液の希薄溶液を少量ずつ添加し、pH試験紙でポリアリ
ルアミン水溶液のpHを7前後に調整して調製した。こ
れを原液に用いて、以下述べるように中和処理した細胞
培養床基材を製造した。
【0067】別々に調製した3%絹フィブロイン水溶液
と6%ポリアリルアミン水溶液とを、絹フィブロインの
重量割合が100、90、75、50、25、0重量%
となるように、均一に混合し、更に、この混合液に水を
適宜加えて絹フィブロインとポリアリルアミンとを混合
した水溶液をその濃度が1%となるように調製した。こ
のようにして調製した混合水溶液1.5mLを細胞培養
容器(24穴、BectonDickinson Company、商品名FALCO
N 3047)に入れ、室温で30分静置した。混合溶液をデ
カンテーション法で完全に除去し、20℃で1日風乾さ
せ、細胞培養容器表面に複合体の薄膜を形成させた。次
いで、この複合体膜を水不溶化させるため、クロロオキ
シラン(別称:エピクロロヒドリン、関東化学株式会社
製)、水、メタノール(5:10:85容量%)からな
る不溶化薬剤水溶液2.5mLをこの複合体膜に適用し
て3分間静置した。次いで、溶液を除去した後、標準状
態で風乾させ、さらに40℃で30分乾燥させた。メタ
ノールを2mL加えて洗浄し、風乾後40℃で15分乾
燥させた。例えば、3%の絹フィブロイン水溶液と6%
のポリアリルアミン水溶液とから絹フィブロインとポリ
アリルアミンとの重量割合が90%と10%である複合
体膜を調製するための各水溶液および水の添加量は次の
通りであった。
と6%ポリアリルアミン水溶液とを、絹フィブロインの
重量割合が100、90、75、50、25、0重量%
となるように、均一に混合し、更に、この混合液に水を
適宜加えて絹フィブロインとポリアリルアミンとを混合
した水溶液をその濃度が1%となるように調製した。こ
のようにして調製した混合水溶液1.5mLを細胞培養
容器(24穴、BectonDickinson Company、商品名FALCO
N 3047)に入れ、室温で30分静置した。混合溶液をデ
カンテーション法で完全に除去し、20℃で1日風乾さ
せ、細胞培養容器表面に複合体の薄膜を形成させた。次
いで、この複合体膜を水不溶化させるため、クロロオキ
シラン(別称:エピクロロヒドリン、関東化学株式会社
製)、水、メタノール(5:10:85容量%)からな
る不溶化薬剤水溶液2.5mLをこの複合体膜に適用し
て3分間静置した。次いで、溶液を除去した後、標準状
態で風乾させ、さらに40℃で30分乾燥させた。メタ
ノールを2mL加えて洗浄し、風乾後40℃で15分乾
燥させた。例えば、3%の絹フィブロイン水溶液と6%
のポリアリルアミン水溶液とから絹フィブロインとポリ
アリルアミンとの重量割合が90%と10%である複合
体膜を調製するための各水溶液および水の添加量は次の
通りであった。
【0068】絹フィブロイン ポリアリルアミン 水の添加量 360μl 20μl 820μl 絹フィブロイン/ポリアリルアミン複合体膜の調製条件
を表8に示す。
を表8に示す。
【0069】
【表8】 昆虫細胞の培養実験(1):昆虫細胞を用いて細胞の付
着・増殖状態を観察した。ポリアリルアミン水溶液とし
て中和処理しないものを用い、絹フィブロインとポリア
リルアミンとを複合化させて細胞培養床基材を作った。
絹フィブロイン含量が異なる各種複合体膜で被覆された
細胞培養床表面での柞蚕(Ae)および家蚕(Bm)昆
虫細胞の付着状態(以下、Ae、Bm付着と略記)と増
殖状態(以下、Ae、Bm増殖と略記)を観察し、細胞
数を測定した。得られた結果を表9に示す。
着・増殖状態を観察した。ポリアリルアミン水溶液とし
て中和処理しないものを用い、絹フィブロインとポリア
リルアミンとを複合化させて細胞培養床基材を作った。
絹フィブロイン含量が異なる各種複合体膜で被覆された
細胞培養床表面での柞蚕(Ae)および家蚕(Bm)昆
虫細胞の付着状態(以下、Ae、Bm付着と略記)と増
殖状態(以下、Ae、Bm増殖と略記)を観察し、細胞
数を測定した。得られた結果を表9に示す。
【0070】
【表9】 昆虫細胞の培養実験(2):昆虫細胞を用いて細胞の付
着・増殖状態を観察した。アルカリ薬剤を加えて中和処
理したポリアリルアミン水溶液を用い、絹フィブロイン
とポリアリルアミンとを複合化させて細胞培養床基材を
作った。絹フィブロイン含量が異なる各種複合体膜で被
覆された細胞培養床表面での柞蚕(Ae)および家蚕
(Bm)昆虫細胞の付着状態(以下、Ae、Bm付着と
略記)と増殖状態(以下、Ae、Bm増殖と略記)を観
察し、細胞数を測定した。得られた結果を表10に示
す。
着・増殖状態を観察した。アルカリ薬剤を加えて中和処
理したポリアリルアミン水溶液を用い、絹フィブロイン
とポリアリルアミンとを複合化させて細胞培養床基材を
作った。絹フィブロイン含量が異なる各種複合体膜で被
覆された細胞培養床表面での柞蚕(Ae)および家蚕
(Bm)昆虫細胞の付着状態(以下、Ae、Bm付着と
略記)と増殖状態(以下、Ae、Bm増殖と略記)を観
察し、細胞数を測定した。得られた結果を表10に示
す。
【0071】
【表10】 なお、表9および10における細胞増殖の数は、血球計
算盤により求めた10 -4ml当たりの細胞数を示すた
め、培養後の細胞数の実測値は、上記の表の値に104
を乗じた数となる。
算盤により求めた10 -4ml当たりの細胞数を示すた
め、培養後の細胞数の実測値は、上記の表の値に104
を乗じた数となる。
【0072】表9および10から分かるとおり、付着性
細胞に分類される柞蚕細胞(Ae細胞)は、生体高分子
/ポリアリルアミン複合体膜において、絹フィブロイン
含量が75〜25重量%の範囲で増殖状態が良好になっ
た。また、付着状態も良好であった。ポリアリルアミン
としては、未中和状態のPAS−92、中和状態のPA
S−H−10Lが特に良好である。また中和状態のPA
A−HCl−10L表面において絹フィブロインが50
〜25重量%の複合体膜表面ではAe細胞は死亡してお
り、丸形の細胞に果粒細胞が確認された。半浮遊細胞の
家蚕由来のBm細胞は絹フィブロイン含有率が50%付
近において増殖状態が良好になった。ポリアリルアミン
としては、未中和状態のPAA−HCl−10L、中和
状態のPAS−92が特に良好である。また生体高分子
/ポリアリルアミン複合体膜において、中和試料を用い
た方が未中和試料よりも、Ae、Bm細胞の増殖はいず
れも良好であった。
細胞に分類される柞蚕細胞(Ae細胞)は、生体高分子
/ポリアリルアミン複合体膜において、絹フィブロイン
含量が75〜25重量%の範囲で増殖状態が良好になっ
た。また、付着状態も良好であった。ポリアリルアミン
としては、未中和状態のPAS−92、中和状態のPA
S−H−10Lが特に良好である。また中和状態のPA
A−HCl−10L表面において絹フィブロインが50
〜25重量%の複合体膜表面ではAe細胞は死亡してお
り、丸形の細胞に果粒細胞が確認された。半浮遊細胞の
家蚕由来のBm細胞は絹フィブロイン含有率が50%付
近において増殖状態が良好になった。ポリアリルアミン
としては、未中和状態のPAA−HCl−10L、中和
状態のPAS−92が特に良好である。また生体高分子
/ポリアリルアミン複合体膜において、中和試料を用い
た方が未中和試料よりも、Ae、Bm細胞の増殖はいず
れも良好であった。
【0073】ポリアリルアミンを中和処理をした後、絹
フィブロインを加えることでAeおよびBmの昆虫細胞
の増殖数が増加しかつ付着性が良好であった理由は次の
ように考察できる。ポリアリルアミンは塩酸性pH領域
でポリアリルアミンの塩酸塩となっているが、アンモニ
ア水を少量ずつ添加してpHをアルカリ側に調整すると
塩酸塩が除去されて、分子側鎖がNH2のポリアリルア
ミンとなる。これと両性電解質の絹蛋白質分子とは分子
レベルでよく混じり合い相溶性に優れた複合体が製造で
きるため、生体細胞の付着性と増殖性とが向上したもの
と考えられる。 実施例9 マウス由来の繊維芽細胞による付着・増殖実
験 複合体膜表面でのマウス由来の繊維芽細胞(L929)
の培養4日目の細胞の付着・増殖状態を観察し、細胞数
を測定した。得られた結果を表11に示す。
フィブロインを加えることでAeおよびBmの昆虫細胞
の増殖数が増加しかつ付着性が良好であった理由は次の
ように考察できる。ポリアリルアミンは塩酸性pH領域
でポリアリルアミンの塩酸塩となっているが、アンモニ
ア水を少量ずつ添加してpHをアルカリ側に調整すると
塩酸塩が除去されて、分子側鎖がNH2のポリアリルア
ミンとなる。これと両性電解質の絹蛋白質分子とは分子
レベルでよく混じり合い相溶性に優れた複合体が製造で
きるため、生体細胞の付着性と増殖性とが向上したもの
と考えられる。 実施例9 マウス由来の繊維芽細胞による付着・増殖実
験 複合体膜表面でのマウス由来の繊維芽細胞(L929)
の培養4日目の細胞の付着・増殖状態を観察し、細胞数
を測定した。得られた結果を表11に示す。
【0074】なお、表11におけるContとは、市販
培養プレート表面への細胞付着・増殖状態を意味する。
また、細胞増殖の数は、血球計算盤により求めた10-4
ml当たりの細胞数を示すため、培養後の細胞数の実測
値は、上記の表の値に104を乗じた数となる。
培養プレート表面への細胞付着・増殖状態を意味する。
また、細胞増殖の数は、血球計算盤により求めた10-4
ml当たりの細胞数を示すため、培養後の細胞数の実測
値は、上記の表の値に104を乗じた数となる。
【0075】
【表11】 表11における細胞の付着状態: +++ 細胞が細胞容器表面に非常に強く付着している。
【0076】++ 細胞が細胞容器表面に良く付着して
いる。
いる。
【0077】+ 細胞が細胞容器表面に普通に付着し
ている。
ている。
【0078】− 細胞が細胞容器表面に付着していな
い。
い。
【0079】表11における細胞の付着・増殖状態の観
察結果: *1 一部の細胞が培地表面に浮上する。凝集塊はな
い。
察結果: *1 一部の細胞が培地表面に浮上する。凝集塊はな
い。
【0080】*2 細胞が培地表面に浮上する。凝集塊
を形成。
を形成。
【0081】*3 細胞中に顆粒状物質が見られ、細胞
の内容物が外に流出している。
の内容物が外に流出している。
【0082】*4 細胞の足糸は伸展し、紡錘形で張り
付く。細胞の付着状態は良好で一部細胞が培地表面に浮
く。
付く。細胞の付着状態は良好で一部細胞が培地表面に浮
く。
【0083】*5 細胞増殖数多い。細胞培養床表面に
良く付着している。
良く付着している。
【0084】*6 細胞が細胞培養基材表面に良く伸展
し、細胞の増殖数も多い。
し、細胞の増殖数も多い。
【0085】表11からPAA−HCl−10Lと絹フ
ィブロインとからできる複合体膜表面ではマウス由来の
繊維芽細胞の増殖数は、絹フィブロイン含有率90〜5
0重量%で良好な値となった。PAS−H−10Lと絹
フィブロイン(絹フィブロイン含有率90重量%付近)
との複合体膜表面では繊維芽細胞が強く付着しているこ
とが確認された。 実施例10 複合体への金属イオン吸着(Ag、Co) 3%の絹フィブロイン水溶液3mLと6%のPAA−1
0C水溶液2mLとを混合し、静かに攪拌した後、混合
液をポリエチレン膜上に拡げ、室温で乾燥固化させて絹
フィブロインとPAA−10Cとからなる複合体膜を調
製した。水に対して不溶化させるため、実施例5と同様
の方法で不溶化薬剤水溶液に該複合体膜を30秒間浸漬
し、取り出した後、50容量%メタノール水溶液で洗浄
し、室温で乾燥させて、水不溶化複合体(PAA/SF
と略記する)膜を調製した。
ィブロインとからできる複合体膜表面ではマウス由来の
繊維芽細胞の増殖数は、絹フィブロイン含有率90〜5
0重量%で良好な値となった。PAS−H−10Lと絹
フィブロイン(絹フィブロイン含有率90重量%付近)
との複合体膜表面では繊維芽細胞が強く付着しているこ
とが確認された。 実施例10 複合体への金属イオン吸着(Ag、Co) 3%の絹フィブロイン水溶液3mLと6%のPAA−1
0C水溶液2mLとを混合し、静かに攪拌した後、混合
液をポリエチレン膜上に拡げ、室温で乾燥固化させて絹
フィブロインとPAA−10Cとからなる複合体膜を調
製した。水に対して不溶化させるため、実施例5と同様
の方法で不溶化薬剤水溶液に該複合体膜を30秒間浸漬
し、取り出した後、50容量%メタノール水溶液で洗浄
し、室温で乾燥させて、水不溶化複合体(PAA/SF
と略記する)膜を調製した。
【0086】得られた水不溶化複合体膜に金属イオンを
次のようにして吸着させた。まず、4mLの水に33
9.7mgの硝酸銀(和光純薬工業株式会社製)を溶解
させ、0.5mMの硝酸銀水溶液を調製した。この中に
硝酸カリウム(和光純薬工業株式会社製)を505.6
mg加え、1Nのアンモニア水(和光純薬工業株式会社
製)でこの水溶液のpHを11.4に調整し、次いで水
を加えて溶液の全量が60mLとなるようにして金属イ
オン水溶液を調製した。この銀イオンを含む金属イオン
水溶液に上記の複合体膜を入れ、25℃で5時間静置
し、取り出した後、室温で風乾させた。このようにして
銀イオンが吸着・配位された複合体(以下、PAA/S
F−Agと略記する)膜を調製した。
次のようにして吸着させた。まず、4mLの水に33
9.7mgの硝酸銀(和光純薬工業株式会社製)を溶解
させ、0.5mMの硝酸銀水溶液を調製した。この中に
硝酸カリウム(和光純薬工業株式会社製)を505.6
mg加え、1Nのアンモニア水(和光純薬工業株式会社
製)でこの水溶液のpHを11.4に調整し、次いで水
を加えて溶液の全量が60mLとなるようにして金属イ
オン水溶液を調製した。この銀イオンを含む金属イオン
水溶液に上記の複合体膜を入れ、25℃で5時間静置
し、取り出した後、室温で風乾させた。このようにして
銀イオンが吸着・配位された複合体(以下、PAA/S
F−Agと略記する)膜を調製した。
【0087】硝酸銀の変わりに硝酸コバルト(和光純薬
工業株式会社製)を用いて、上記と同様にしてコバルト
が配位された水不溶化複合体(以下、PAA/SF−C
oと略記する)膜を調製した。また、3%絹フィブロイ
ン水溶液をポリエチレン膜に拡げ、水分を蒸発させて絹
フィブロイン(以下、SFと略記する)膜を調製し、こ
れを銀、またはコバルトの金属イオン水溶液に25℃、
5時間浸漬処理することで銀またはコバルトが吸着・配
位された絹フィブロイン(以下、SF−Ag、SF−C
oと略記する)膜を調製した。
工業株式会社製)を用いて、上記と同様にしてコバルト
が配位された水不溶化複合体(以下、PAA/SF−C
oと略記する)膜を調製した。また、3%絹フィブロイ
ン水溶液をポリエチレン膜に拡げ、水分を蒸発させて絹
フィブロイン(以下、SFと略記する)膜を調製し、こ
れを銀、またはコバルトの金属イオン水溶液に25℃、
5時間浸漬処理することで銀またはコバルトが吸着・配
位された絹フィブロイン(以下、SF−Ag、SF−C
oと略記する)膜を調製した。
【0088】トマトかいよう病細菌の増殖に及ぼすこれ
ら金属イオン吸着膜の阻害効果を評価した。黒い布で覆
った暗の区で培養を実施して、抗菌性を評価した。得ら
れた結果を表12に示す。
ら金属イオン吸着膜の阻害効果を評価した。黒い布で覆
った暗の区で培養を実施して、抗菌性を評価した。得ら
れた結果を表12に示す。
【0089】
【表12】 表12から明らかなように、絹フィブロインそのものに
金属を配位させるよりも、絹フィブロイン/ポリアリル
アミン複合体に金属を配位させた方が抗菌活性が高まる
ことがわかる。
金属を配位させるよりも、絹フィブロイン/ポリアリル
アミン複合体に金属を配位させた方が抗菌活性が高まる
ことがわかる。
【0090】次に、トマトかいよう病細菌の代わりに大
腸菌を用い、大腸菌の増殖に及ぼす金属イオン吸着膜の
阻害程度を調べた。得られた結果を表13に示す。
腸菌を用い、大腸菌の増殖に及ぼす金属イオン吸着膜の
阻害程度を調べた。得られた結果を表13に示す。
【0091】
【表13】 表13から明らかなように、本発明の金属イオン吸着膜
はいずれも大腸菌の増殖を阻害することがわかる。
はいずれも大腸菌の増殖を阻害することがわかる。
【0092】また、実施例10と同じ方法で、Ag、C
oの代わりにCuまたはZnを吸着・配位した水不溶化
複合体はトマトかいよう病細菌および大腸菌の増殖を抑
制した。
oの代わりにCuまたはZnを吸着・配位した水不溶化
複合体はトマトかいよう病細菌および大腸菌の増殖を抑
制した。
【0093】かくして、本発明の複合体は各種物質を担
持する担体として有用である。
持する担体として有用である。
【0094】上記実施例では、生体高分子として、絹フ
ィブロインのような代表的な絹蛋白質について記載した
が、上記した他の生体高分子についても同様な結果が得
られる。
ィブロインのような代表的な絹蛋白質について記載した
が、上記した他の生体高分子についても同様な結果が得
られる。
【0095】
【発明の効果】本発明の生体高分子/ポリアリルアミン
複合体は、絹フィブロイン等の生体高分子とポリアリル
アミンとを所定の条件下で複合化したものであり、両方
の性質を兼ね備えしかも単独の素材には無い機械的性
質、またはそれぞれの素材が持つ生化学特性を相乗的に
兼ね備えている。
複合体は、絹フィブロイン等の生体高分子とポリアリル
アミンとを所定の条件下で複合化したものであり、両方
の性質を兼ね備えしかも単独の素材には無い機械的性
質、またはそれぞれの素材が持つ生化学特性を相乗的に
兼ね備えている。
【0096】本発明の複合体によれば、その表面に昆虫
細胞およびマウス由来の繊維芽細胞等の生体細胞を効率
的に付着させることができ、またそこで該細胞を増殖さ
せることもできる。さらに、該複合体は、絹フィブロイ
ン等の生体高分子の持つ細胞の付着・増殖性に加えて、
ポリアリルアミンの持つ細胞増殖機能をも兼ね備えてい
る。そのため、本発明の複合体は、固定化酵素、医用材
料、生体成分分離用担体、免疫測定法、細胞培養床基材
等に利用できる。
細胞およびマウス由来の繊維芽細胞等の生体細胞を効率
的に付着させることができ、またそこで該細胞を増殖さ
せることもできる。さらに、該複合体は、絹フィブロイ
ン等の生体高分子の持つ細胞の付着・増殖性に加えて、
ポリアリルアミンの持つ細胞増殖機能をも兼ね備えてい
る。そのため、本発明の複合体は、固定化酵素、医用材
料、生体成分分離用担体、免疫測定法、細胞培養床基材
等に利用できる。
【0097】本発明の複合体は、側鎖に正の電荷を持つ
ポリアリルアミンと両性電解質の生体高分子とからなる
ため、両分子間でイオン結合が生じ、分子凝集性が強い
素材である。そのため、かかる複合体に有効成分を包括
させることによって、医薬品・生理活性物質等を含むこ
とのできる徐放担体とすることができるので、この複合
体は長時間にわたって医薬品・生理活性物質等を継続し
て徐放することが可能な徐放担体(Drug delivery Devic
e)として利用できる。この複合体は、抗菌性金属を確実
に包括し得るので、耐久性に富んだ抗菌材料として利用
できる。
ポリアリルアミンと両性電解質の生体高分子とからなる
ため、両分子間でイオン結合が生じ、分子凝集性が強い
素材である。そのため、かかる複合体に有効成分を包括
させることによって、医薬品・生理活性物質等を含むこ
とのできる徐放担体とすることができるので、この複合
体は長時間にわたって医薬品・生理活性物質等を継続し
て徐放することが可能な徐放担体(Drug delivery Devic
e)として利用できる。この複合体は、抗菌性金属を確実
に包括し得るので、耐久性に富んだ抗菌材料として利用
できる。
【0098】本発明の複合体はまた、細胞、酵素、ホル
モンなどの生理活性物質を組み込むことができるので、
より生体の機能に近い人工臓器材料として利用すること
が可能である。さらに、本発明の複合体は、人工血管、
コンタクトレンズ、傷創被覆材、皮内注入用素材等の生
医学材料としても活用できる。
モンなどの生理活性物質を組み込むことができるので、
より生体の機能に近い人工臓器材料として利用すること
が可能である。さらに、本発明の複合体は、人工血管、
コンタクトレンズ、傷創被覆材、皮内注入用素材等の生
医学材料としても活用できる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年4月24日(2000.4.2
4)
4)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // A61L 15/16 C12Q 1/18 27/00 C12N 5/00 E C12Q 1/18 A61L 15/01 (72)発明者 日本 理都子 茨城県つくば市大わし1−2 農林水産省 蚕糸・昆虫農業技術研究所内 (72)発明者 早坂 昭二 茨城県つくば市大わし1−2 農林水産省 蚕糸・昆虫農業技術研究所内 Fターム(参考) 4B033 NA11 NA16 NA21 NA22 NA42 NB13 NB34 NB58 NB59 NB63 NB70 NC06 ND05 ND11 NF06 4B063 QA01 QA06 QQ89 QR69 QR75 QR77 QR84 QS11 QS24 QX10 4B065 AA26X AA90X AA91X BB02 BC31 BC41 CA46 CA60 4C081 AA01 AB32 BA12 CA281 CD111 CD121 CD161 DA02 DA03 DC12 4J002 AD00W BJ00X CD01Y EE016 GB01
Claims (4)
- 【請求項1】 生体高分子と、中和処理後の、または未
中和のポリアリルアミンであって、分子内に正の電荷を
持つポリアリルアミンとからなる生体高分子/ポリアリ
ルアミン複合体。 - 【請求項2】 前記生体高分子が絹蛋白質、羊毛ケラチ
ン、コラーゲン、クモの糸、または海性蛋白質であり、
また前記生体高分子/ポリアリルアミン複合体が細胞の
付着・増殖増強機能を有するものであることを特徴とす
る請求項1記載の生体高分子/ポリアリルアミン複合
体。 - 【請求項3】 請求項1または2記載の生体高分子/ポ
リアリルアミン複合体が、水とアルコールとの混合水溶
液に、エポキシ化合物、アルデヒド、または両者の化合
物を混合した水不溶化薬剤水溶液で処理されたものであ
ることを特徴とする水不溶化生体高分子/ポリアリルア
ミン複合体。 - 【請求項4】 生体高分子と、中和処理後の、もしくは
未中和のポリアリルアミンとを水性溶液または水性分散
液状態で混合し、その後蒸発乾固せしめて、生体高分子
/ポリアリルアミン複合体を得ることを特徴とすると生
体高分子/ポリアリルアミン複合体の製造方法。
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