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ラ・シヤ天文台

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ラ・シヤ天文台(ラ・シヤてんもんだい、ラ・シリャ-とも、La Silla Observatory)は、チリにある天文台。18基の望遠鏡を擁する。9基はヨーロッパ南天天文台 (ESO) が建造、その他も部分的にESOが関わっている。

概説

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ヨーロッパ南天天文台では一番古いサイトに当たる天体観測施設。ラスカンパナス天文台及びセロ・トロロ汎米天文台と並び、南米では最大級に当たる国際共同天体観測施設。古くから天文台構想があり、交通の便も良いため、新しい観測施設のテストサイトとしても用いられている。サイト全体の広さは、ALMA望遠鏡とほぼ同じ規模に相当する。

現在は、管理棟や技術開発棟を初めとして、天体観測者の宿泊施設なども完備しており、食事もヨーロッパ本国と同じ食事を摂ることが可能である(ただしセルフサービス)。標高は後に建設されたサイトよりも低いため、チリの主な国際空港より直接自動車などで訪問が可能である。

場所

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ラ・シヤ天文台は標高2,400メートル(m)の高山に位置する。アタカマ砂漠の北部にあり、ラ・セレナの町の160キロメートル(km)北に位置する。ラスカンパナス天文台27 km北にあり、セロ・トロロ汎米天文台が100 km南にある。良好なシーイングが得られる土地であり、1950年代から天文台設置構想があった。

成果

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観測所の風景

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望遠鏡

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設置されている望遠鏡を以下に示す

名前 詳細
NTT ESOが建設。口径 3.58 m新技術望遠鏡。能動光学によって鏡面を補正する。VLTの開発に役立った。
ESO 3.6 m ESOが1976年に建設。実際の口径は3.57 mで[1]、NTTより小さい。
MPG/ESO 2.2 m ドイツのマックス・プランク研究所(MPG)が1983年に建設、ESOが運営。
ESO 1 m ESOが1966年に建設。1994年からDENIS 1m望遠鏡としてDENISサーベイで使用されている[2]。※
ESO 1 mシュミット ESOが1971年に建設。シュミット式望遠鏡。1998年に運用を終えたが、改修の上2009年に運用を再開した[3]。※
デンマーク1.54 m デンマークが1978年に建設。
スイス1.2 m スイスが1998年に建設。別名レオンハルト・オイラー望遠鏡。
マルセイユ 36 cm マルセイユ天文台が1989年に建設[4]。※
REM イタリアが2003年に建設。ガンマ線バースト残光の観測を目的とした口径0.6 mロボット望遠鏡。
TRAPPIST-South ベルギーとスイスが2010年に建設。太陽系外惑星観測用の口径0.6 mロボット望遠鏡[5]
TAROT フランスが2006年に建設。ガンマ線バースト残光用の口径0.25 mロボット望遠鏡で、高速動作する[6]
運用を終了した望遠鏡
SEST スウェーデンとESOが1987年に建設。口径15 m電波望遠鏡。APEXALMAに代替され2003年に運用終了[7]
ESO 1.52 m ESOが1968年に建設。2002年に運用終了[8]
ESO 0.5 m ESOが1971年に建設。1998年に運用終了。後にチリ・カトリック大学に移設された[9]
ESO CAT ESOが1981年に建設。口径1.5 mの補助望遠鏡でESO 3.6 m望遠鏡に併設されていた。運用終了[10]
MarLy 1 m フランスが1996年に建設。2009年に運用終了しブルキナファソのDjaogari山へ移設された[11][12]
オランダ90 cm オランダが1979年に建設。2006年に運用終了[13]
スイスT70 スイスが1980年に建設。口径70 cm。1.2 m望遠鏡に代替され1998年に運用終了[14]。ドームはTRAPPIST-Southに再利用され現存する。
ボーフム61 cm ボーフム大学が1968年に建設。運用終了[15]
デンマーク50 cm デンマークが1971年に建設。運用終了[16]
スイス0.4 m スイスが1975年に建設。T70望遠鏡に代替され1980年に運用終了[17]
GPO フランスが1968年に建設。大型プリズムを備えた分光観測用屈折望遠鏡。1996年に運用終了[18]

※印の望遠鏡は国際共同利用観測には使用されていないが、大学や研究所などの占有観測には貸し出している。これらの望遠鏡群の一部は、ヨーロッパ本国の天体観測施設から移管されてきたものである。

参考文献

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  1. ^ ESO 3.6-metre telescope”. ESO. 2020年3月29日閲覧。
  2. ^ ESO 1-metre telescope”. ESO. 2020年3月29日閲覧。
  3. ^ ESO 1-metre Schmidt telescope”. ESO. 2020年3月29日閲覧。
  4. ^ Marseille 0.36-metre telescope”. ESO. 2020年3月29日閲覧。
  5. ^ TRAnsiting Planets and PlanetesImals Small Telescope–South”. ESO. 2020年3月29日閲覧。
  6. ^ Télescope à Action Rapide pour les Objets Transitoires”. ESO. 2020年3月29日閲覧。
  7. ^ Swedish–ESO Submillimetre Telescope (decommissioned)”. ESO. 2020年3月29日閲覧。
  8. ^ ESO 1.52-metre telescope (decommissioned)”. ESO. 2020年3月29日閲覧。
  9. ^ ESO 0.5-metre telescope (decommissioned)”. ESO. 2020年3月29日閲覧。
  10. ^ Coudé Auxiliary Telescope (decommissioned)”. ESO. 2020年3月29日閲覧。
  11. ^ Carignan, C. (2012). “Astrophysics in Burkina Faso”. African Skies 16: 18. Bibcode2012AfrSk..16...18C. 
  12. ^ 参照 EROS
  13. ^ Dutch 0.9-metre telescope (decommissioned)”. ESO. 2020年3月29日閲覧。
  14. ^ Swiss T70 telescope (decommissioned)”. ESO. 2020年3月29日閲覧。
  15. ^ Bochum 0.61-metre telescope (decommissioned)”. ESO. 2020年3月29日閲覧。
  16. ^ Danish 0.5-metre telescope (decommissioned)”. ESO. 2020年3月29日閲覧。
  17. ^ Swiss 0.4-metre telescope (decommissioned)”. ESO. 2020年3月29日閲覧。
  18. ^ Grand Prisme Objectif telescope (decommissioned)”. ESO. 2020年3月29日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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