ゼレンスキー大統領、ロシアがウクライナのデータセンター攻撃で「日常生活」を標的にしていると批判

画像提供, DSNS Ukraine
ヤロスラフ・ルキウ
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は25日、ロシアがウクライナのデータセンターやインターネットプロバイダーを標的に攻撃を拡大し、一般市民を相手に最大限の混乱を引き起こそうとしていると述べた。
「このすべてが、人と人のつながりを維持したり、勉強したり、仕事をしたりする能力に影響を与える」と大統領はソーシャルメディアで書いた。
同日にはロシアがドローンで首都キーウのビジネスセンターを攻撃し、4人を殺害。データセンターが損傷した。別の攻撃では14歳の少年が殺害された。イスラエル外務省は、死亡した少年はイスラエル国民だったと発表した。
ロシアは、ウクライナ軍の情報機関が使用していたデータセンターを標的としたと明らかにした。
キーウとその周辺では23日から、度重なる攻撃の影響で、約10万世帯でインターネット通信障害が起きている。
一部の企業は既に、データを損傷したサーバーから国外の施設へ移し始めている。
北西部ルツクの当局は25日、公共交通機関の停留所で電子案内板が作動していなかったと発表した。市議会は、これは「キーウのデータセンターに対するロシアの攻撃による被害」が原因だと述べた。
ゼレンスキー氏は同日、ソーシャルメディアへの投稿で、「ロシアはエスカレーション作戦を絶えず拡大している。アメリカやその他の企業、データセンター、インターネットプロバイダーなど、ロシアにとっては、日常生活のすべてが標的に過ぎないのだ」と非難した。
「世界がこうしたあらゆる事態に対応すること、そしてロシアが自らのテロ行為に対する報復を実感するようになることが、重要だ」とも、大統領は書いた。
ゼレンスキー大統領は同日さらに、ウクライナの国防・安全保障当局トップと会合を開き、同国のデータセンターやその他の重要な通信施設を保護し、継続的な運用を確保するための「追加的な決定」をしたと明らかにした。
ウクライナのアンドリー・シビハ外相は、ロシアがデータセンターを標的にすることで「人命救助に不可欠な情報」の流れを妨害しようとしていると批判した。
「ミサイルやドローンの脅威に関する迅速な警報は不可欠だ。人命を救うものだ。これは、欠かせない民間インフラであって、軍事目標ではない。日常生活を維持するために不可欠なものだ」と外相は強調した。
ウクライナ国防省の顧問を務める軍事技術専門家、セルヒー・ベスクレストノフ氏は24日、ロシアの攻撃によって「局地的な混乱が生じる可能性がある」とし、修復費用を賄うためにインターネットサービスの料金が値上がりする可能性があると認めた。
ベスクレストノフ顧問は一方、ウクライナのインターネットのネットワークは高度に分散化されているため、「インターネットへのアクセスが途絶えることはない」と強調した。

画像提供, DSNS Kyiv
ロシアが25日に攻撃したデータセンターは、データグループ社が運営していた。同社は、日中の攻撃後、専門家が被害状況を調査しているが、すべてのサービスは「バックアップサイトから稼働を続けている」と述べた。
キーウのヴィタリー・クリチコ市長は同日夜、前夜からのロシア軍による夜間攻撃で7人が殺害され、59人が負傷したと発表した。
ロシア国防省はその後、データグループのサイトを攻撃したことを認めた。ウクライナ軍の情報機関が使用していたと主張している。
データグループが入居していたインコム・ビジネスセンターの被害状況は、BBCが映像で確認した。
ロシア国防省はまた、過去数日間で、ウクライナ国内のニューテルコ、ユナイテッドDC、キーウスター、パルコヴィなどのデータ処理・通信センターを攻撃したと明らかにした。
ロシアはここ数週間、ウクライナのエネルギーおよび鉄道インフラに対する攻撃を強化しており、冬の到来を前に最大限の損害を与えようとしている。
対するウクライナ軍は、ロシアの石油精製施設や物流拠点を攻撃。そうした施設がロシアにとって、戦争を遂行するための資金源になっていると主張している。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は2022年2月にウクライナ全面侵攻を開始した。ロシアは現在、ウクライナ領の約20%を支配している。
プーチン大統領は25日深夜、記者団に対し、ウクライナ軍による先週の首都モスクワへの「大規模」攻撃や、その他の最近の攻撃について指摘した上で、ウクライナとの直接和平交渉再開を「慎重に検討する」と述べた。
「すべてあり得る」と大統領は述べつつ、ウクライナは「我々の報復攻撃を実感しなくてはならない」と強調。すべての決定は「ロシア連邦の国益に基づいて」行われると述べた。
ゼレンスキー大統領は以前、アメリカも参加する三者協議に参加する用意があると述べていた。
ウクライナと、ウクライナを支援する欧州各国は、プーチン大統領が和平交渉を拒否し、ウクライナ領土をさらに奪取しようとしていると、非難を繰り返してきた。
プーチン大統領は記者団に対し、ロシアにはヨーロッパを攻撃する「計画も理由もない」という自分の立場を改めて表明した。プーチン氏は約5年前、ウクライナ全面侵攻を開始する前にも、同様の発言をしていた。
こうした動きとは別に、欧州連合(EU)の外相にあたるカヤ・カラス外交安全保障上級代表はソーシャルメディアで、ウクライナへの66億ユーロ(約1兆1800億円)の支援を約束したと発表。これは「ウクライナにとっては朗報で、ロシアにとっては悪い知らせだ」と述べた。
カラス氏は、これにはEUのウクライナ軍事支援ミッションのための9億ユーロと、装備の共同調達のための10億ユーロの基金が含まれると説明した。
「モスクワのハイブリッド攻撃は、ヨーロッパを威嚇してウクライナへの支援を縮小させようとするものだ。しかし、ヨーロッパは正反対の行動をとっている」と、カラス氏は書いた。
一方、ポーランドの検察当局は、ポーランド中部にある米衛星通信サービス「スターリンク」の基地局で23日夜に発生した火災について、放火事案として捜査に着手したと発表した。
ポーランド国家検察庁は声明で、「犯人たちがロシアの特殊機関の命令に基づいて行動したという、合理的な疑いがある」と述べた。ロシアはこれについてコメントしていない。
ポーランドのクシシュトフ・ガフコフスキ副首相はこの基地局について24日、ポーランド経由でウクライナなどの国々にインターネット接続を提供するものだと説明。米実業家イーロン・マスク氏が所有するスペースXの「スターリンク」を使っていると述べた。
北大西洋条約機構(NATO)に加盟する欧州数カ国はここ数週間、、ウクライナ支援にヨーロッパがどこまで本気か試すためロシアがハイブリッド攻撃を準備している可能性があると警告してきた。ロシアはこれを否定している。
8月上旬にドイツ東部ザクセン州のライプツィヒ・ハレ空港で爆発物を搭載したドローンが見つかったという事件については、ドイツ政府が今月1日、責任はロシアにあると発表した。フランスのエマニュエル・マクロン大統領は18日、ロシアによるヨーロッパおよびフランスに対するハイブリッド攻撃の脅威が高まっていると警告し、この脅威を前にして、重要なインフラ施設と防衛産業施設を保護するための計画を指示したと述べた。















